説明

バンパー衝突センサ

【課題】歩行者保護システムに用いられる歩行者との衝突検知のためのバンパー衝突センサにおいて、バンパーが大きく変形しても歩行者を傷つけることなく、また、センサが破断することなく高信頼に衝突検知を可能としたバンパー衝突センサを提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも一部に伸縮部分を有するワイヤ13と、ワイヤ13の一端に接続された張力センサ14と、張力センサ14およびワイヤ13を内蔵した可塑性を有するバンパー11とからなり、張力センサ14をバンパー11の一端に固定し、ワイヤ13を張力センサ14にほとんど応力がかからないようにバンパー11の長手方向に沿って配置し、ワイヤ13の他端をバンパー11に固定した構成とすることにより、衝突によるバンパー11の変形を伸縮部分が吸収するので、上記課題を解決するバンパー衝突センサが構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者の衝突を検出するための自動車用バンパー衝突センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故における歩行者保護の観点から、世界的に自動車に対する歩行者保護規則が制定される傾向にある。これは自動車が歩行者と衝突した際に歩行者の受ける傷害の程度を軽減するものであり、従来から様々な歩行者保護システムが提案されている。中でも歩行者との衝突を検知すると、ボンネットを持ち上げて硬いエンジン部への頭部衝突を防ぐシステムやボンネット上にエアバッグを展開するシステムは、歩行者の頭部障害を積極的に軽減するシステムとして注目され、盛んに開発されている。
【0003】
これらの歩行者保護システムには歩行者と衝突したことを検知するためのバンパー衝突センサが必要である。このようなバンパー衝突センサとして荷重センサを用いたものが提案されており、図14にその荷重センサの平面図を、図15にその荷重センサの出力波形図を示す。
【0004】
図14において、荷重センサ1は帯状のセンサフィルム1aの上にスクリーン印刷等によって形成されたセンサセル1bからなる。このセンサセル1bに荷重が加わると、その大きさに比例して出力(電圧)が変化する。このようなセンサセル1bはセンサフィルム1aの長手方向に略等間隔に複数個形成されている。そして、このような構成の荷重センサ1は自動車のバンパーの長手方向に配置される。
【0005】
自動車が歩行者と衝突すると、バンパーに配置した荷重センサ1に衝突による衝撃に応じた荷重が加わる。図15に示すように、自動車が歩行者に衝突するとセンサ出力は急増するが、その後歩行者は跳ね飛ばされるためセンサ出力は急減する。従って歩行者と衝突したときはセンサ出力がピークを持つ波形となる。この場合、対大人の場合はピークが大きく、対小人の場合はピークが小さくなる。
【0006】
一方、壁や柱など固定物に衝突すると、センサ出力は急増した後、固定物なので跳ね飛ばされることがないため荷重がかかり続ける。その結果、センサ出力は減少することなく緩やかに増加し続ける波形となる。
【0007】
このことから、従来の荷重センサ1は単に衝突を検知するだけでなく、図15における時間幅Tの間のピーク値が対人出力範囲(S1からS2の間)にあるか否かで、衝突対象物が人か物かを判断することができる。
【0008】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2004−276885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような荷重センサ1を用いることで、確かに人と物を区別して衝突を検出することは可能であるが、それには図15に示した波形を正確に得る必要がある。従って、荷重センサ1はバンパーに対して強固に固定しておかなければならない。
【0010】
一方、歩行者保護の観点から、衝突する歩行者の最初にダメージが加わる脚部への損傷を低減するために、バンパーはあえて変形しやすくした衝撃吸収構造が採用される傾向にある。このようなバンパーに歩行者が衝突したときのバンパーの変形量は、いずれもほぼ片足の大腿部の太さ程度であることが知られている。これは標準体型で約15〜20cmに相当する。
【0011】
このような衝突による変形に対し、バンパーに強固に固定した荷重センサ1はセンサフィルム1aからなる帯状のものであるので、数10cmオーダーで引っ張られるとバンパーの変形中に破断することが考えられる。その結果、図15に示した波形を計測中にセンサ出力が途切れて衝突検知ができなくなる可能性があるという課題があった。
【0012】
これに対し、センサフィルム1aを破断しないように丈夫な構成とすることも考えられるが、この場合は歩行者の衝突時にバンパーは変形しても荷重センサ1が変形しないため、かえって荷重センサ1が歩行者の脚部を傷つけてしまうという問題があった。
【0013】
また、センサフィルム1aをゴム状の柔らかい構成とすると、センサセル1bがバンパー変形に合わせて動いてしまい、正確な荷重を測定することができなくなる。
【0014】
以上のことから、本発明は前記従来の課題を解決するもので、バンパーが大きく変形しても歩行者を傷つけることなく衝突を検知できるバンパー衝突センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明のバンパー衝突センサは、少なくとも一部に伸縮部分を有するワイヤと、このワイヤの一端に接続された張力センサと、この張力センサおよび前記ワイヤを内蔵した可塑性を有するバンパーとからなり、前記張力センサをバンパーの一端に固定し、前記ワイヤを前記張力センサにほとんど応力がかからないように前記バンパーの長手方向に沿って配置し、前記ワイヤの他端を前記バンパーに固定したものである。
【0016】
本構成によって、衝突によるバンパーの変形に応じた伸縮部分の伸びをワイヤの張力として張力センサで検出している。
【発明の効果】
【0017】
本発明のバンパー衝突センサによれば、バンパーの変形をワイヤの伸縮部分の伸びで吸収するので、歩行者を傷つけることなく、かつ、センサが破断することなく高信頼に衝突を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるバンパー衝突センサの概略斜視図である。図2は同バンパー衝突センサのカバー部分の突起部への組み込み方法を示す組み立て図である。図3は同バンパー衝突センサの張力センサ部分の構造を示す一部断面図である。図4は同バンパー衝突センサの張力検出部の概略断面図である。図5は同バンパー衝突センサの出力から直流成分をカットした後の出力波形図である。図6は同バンパー衝突センサの動作を示すフローチャートである。
【0020】
図1において、バンパー11は歩行者への傷害を低減するため可塑性を有する材料から成型されている。バンパー11には断面が円形の円錐形状に形成した複数の突起12がバンパー11と一体成型により設けられている。
【0021】
突起12をバンバー11と一体に成型することにより部品点数を減らすことができ、歩行者との衝突による部品の脱落に起因した負傷の可能性を低減することができる。
【0022】
2本の突起12の間にはステンレス製の引っ張りバネからなるワイヤ13が設置されている。ここで、引っ張りバネは伸縮部分に相当し、実施の形態1ではワイヤ13全体を伸縮部を有する引っ張りバネとして構成した。
【0023】
また、ワイヤ13が突起12に引っかからないように突起12の間隔はワイヤ13の直径よりも大きくしてある。
【0024】
なお、伸縮部分は弾性を有するゴム系材料でも適用できるが、自動車の過酷な環境下での劣化が懸念されるため、金属材料、中でも耐久性に優れるステンレス材料からなる引っ張りバネにすることにより信頼性が向上する。
【0025】
ワイヤ13の一端は張力センサ14に内蔵された張力検出部(図示せず)に接続されている。
【0026】
張力センサ14はバンパー11の一端に固定されている。この部分は歩行者と衝突することができないので、衝突によるセンサ破損の可能性を極めて低減できる。
【0027】
ワイヤ13の他端は図1の左下に位置する突起12にワイヤ13を構成する引っ張りバネの一部をはめ込んで固定されている。このように固定することで新たな固定部材が不要となり部品点数を削減できる。また、歩行者との衝突による部品の脱落に起因した負傷の可能性を低減することができる。
【0028】
ワイヤ13の長さは固定用の突起12と張力センサ14を結ぶ長さとしたので、図1のように取り付けた際に張力センサ14にはほとんど応力がかからない状態となる。このように構成することでワイヤ13に張力がほとんどかからないため、自動車運転時のワイヤ13の振動が張力センサ14に伝わらず信頼性が向上する。
【0029】
ワイヤ13の中間部分は、バンパー11から外れないように、断面が円形の円柱形状からなるカバー15を突起12にはめ込むことでバンパー11に組み込まれている。なお、突起12およびカバー15の断面をそれぞれ円形としたのは、角のある形状だと衝突によるバンパー変形によってワイヤ13が角に引っかかり、ワイヤの張力が正確に張力センサ14に伝わらなくなる可能性があるが、その可能性を低減するためである。さらに、角がないためバンパー変形により歩行者に突起12やカバー15が当たることによる負傷の可能性を低減することもできる。
【0030】
突起12へのカバー15の組み込み方法を図2に示す。なお、図2は図1の点線部分の断面を示す。
【0031】
まず、突起12の間にワイヤ13を差し込む(図2(a))。次に突起12にカバー15の穴(図示せず)を挿入する(図2(b))。次に突起12のカバー15からはみ出した部分に熱プレス16を押し付ける(図2(c))。これによりはみ出し部分が軟化して加熱圧縮される。最後に熱プレス16を外すことでつぶれたはみ出し部分が硬化してカバー15を突起12に固定する(図2(d))。このような組み立て方法とすることで、極めて容易にワイヤ13をバンパー11に組み込むことが可能となる。
【0032】
次に張力センサの詳細について説明する。図3に張力センサ14の内部の構成図を示す。
【0033】
張力センサ14の内部には張力検出部17がネジ18により本体19に固定されている。
【0034】
張力検出部17は、図3に示すような片持ち梁形状のステンレス基板20の表面に図示しない絶縁層を形成し、その表面に配線を構成する電極21を形成し、さらに電極21の一部と重なるように絶縁層の上で梁の表面の一部に、歪により抵抗値が変化する歪抵抗素子22を形成し、その表面に歪抵抗素子22を覆うように図示しない保護層を形成することで構成されている。また、ステンレス基板20における梁の根元部分には検出回路23が形成されている。なお、検出回路23の全面には回路部品(図示せず)を保護する樹脂製の保護膜が塗布されている。
【0035】
このような構造とすることにより極めて容易に検出回路23も一体化して張力検出部17を構成することができるため、部品点数の削減による低コスト化に加え、歩行者との衝突による部品の脱落に起因した負傷の可能性を低減することができる。
【0036】
梁の先端部近傍にはワイヤ13が溶接接続されている。このように梁もワイヤ13もステンレスとしたことで溶接が可能になるので、材料自身の耐久性確保に加え、容易に確実に両者を接続することができる。
【0037】
張力検出部17の張力検出部分の断面(図3のA−A部断面)を図4に示す。なお、図4はわかりやすくするためにステンレス基板20の上に形成される構成物の厚みを実際より誇張して示した。
【0038】
ステンレス基板20の上には絶縁層24としてガラス成分を含有する絶縁ペーストを印刷、焼成することにより形成してある。なお、絶縁性を確実にするため、複数回の印刷、焼成を行った。
【0039】
絶縁層24の上には金属成分(微粒子)からなる導体ペーストを印刷、焼成することにより電極21が形成してある。ここでは銀−パラジウム系の金属成分を用いた。なお、このときに検出回路23の配線パターン(図示せず)も同時に形成してある。
【0040】
電極21の上には、その一部が重なるようにルテニウム酸化物系導電粒子とガラス成分を含む厚膜抵抗体ペーストを印刷、焼成することにより歪抵抗素子22が形成してある。
【0041】
歪抵抗素子22および電極21でステンレス基板20の梁の部分には、その全体を覆うように絶縁層24より焼成温度が低いガラス成分を含有する絶縁ペーストを印刷、焼成することにより保護層25が形成してある。
【0042】
このような構成で張力検出部分は構成され、いずれの構成物も使用環境温度よりはるかに高温で焼成されるので、極めて高い信頼性を確保することができる。
【0043】
なお、検出回路23は保護層25を形成した後、回路部品を実装し、半田リフロー炉を通すことで組み立てられる。その後、前記のように回路部品上に保護膜を塗布することで張力検出部17が完成する。
【0044】
次に動作について説明する。なお、一般に自動車が歩行者と衝突する時、車速が時速20km未満であれば大きな傷害を及ぼさず、車速が時速60kmを超えると歩行者はボンネットより後方に大きく跳ね飛ばされるため、いずれの場合も歩行者安全システムを駆動しても効果がない。従って、システム駆動の前提として、自動車に搭載されている車速センサからの車速信号を読み込んだ結果、時速20〜60kmの時であれば以下の動作を行うものとする。
【0045】
バンパー11に歩行者が衝突すると、可塑性の材料からなるバンパー11は数10cm程度変形する。その結果、バンパー11に内蔵されたワイヤ13は変形に応じて引っ張られる。この際、ワイヤ13全体が引っ張りバネでできているため、ワイヤ13が破断することなく伸びるとともに、その張力が張力検出部17に伝達される。
【0046】
張力検出部17にはステンレス基板20の一部に設けた梁が引っ張られる方向に応力が加わる。その結果、梁の表面に設けた歪抵抗素子22が歪み、抵抗値が変化する。この変化は検出回路23で電気的に検出される。
【0047】
検出回路23は歪抵抗素子22の抵抗値変化を電圧の変化として検出するが、この際に電圧の直流成分をカットするようにフィルター回路が組み込まれている。これにより、歪抵抗素子22の経時的な変化や温度変化等の直流的な各種抵抗値変動要因をカットすることができ、出力の信頼性が向上する。
【0048】
但し、このように構成すると張力の絶対値を検出できなくなり、張力の変化量のみを出力することになる。そのときの張力センサ14の出力波形例を図5に示す。図5で横軸は時間、縦軸は出力を示す。また、実線は歩行者に衝突したとき、点線は固定物に衝突したときの波形をそれぞれ示す。
【0049】
まず、歩行者に衝突したときは、バンパー11が急激に変形し、ワイヤ13が引っ張られて張力は急増する。その後、歩行者は跳ね上げられ、バンパー11の変形はそれ以上進行しなくなる。従って、ワイヤ13は歩行者が跳ね上げられた状態でのバンパー13の変形量に応じた張力のまま推移する。よって、張力の変化は衝突の瞬間に急増し、後は一定の張力のままとなる。
【0050】
この変化を、直流成分をカットした検出回路23から見た出力で考えると、上記した張力の変化量(微分量)を表すことになるので、歩行者との衝突の瞬間に発生する張力の急増に応じて出力変化量も急増する。次に跳ね上げられるに従って張力が一定になるので変化量は急減し、最終的には0になる。ゆえに出力は図5の実線で示したようにピークを持つ波形となる。
【0051】
次に固定物に衝突した場合については、歩行者衝突と同様にまずバンパー11が急激に変形し、ワイヤ13が引っ張られて張力は急増する。その後、固定物は跳ね上げられないのでバンパー11は自動車が停止するか固定物によって跳ね返されるまで変形し続ける。従って、ワイヤ13は歩行者を跳ね上げられた状態より大きな張力で長時間に渡って増大し続け、最後にはバンパー13の変形量に応じた張力のまま推移する。よって、張力の変化は衝突の瞬間に歩行者衝突より大きい値まで急増し、その後衝突時よりはゆっくりと増加し続け、最後に一定の張力を保つことになる。
【0052】
この変化を、直流成分をカットした検出回路23から見た出力で考えると、固定物との衝突の瞬間に発生する張力の急増に応じて出力変化量も急増する。次にバンパー11がつぶれ続けることにより張力の変化量は緩やかに減少し、自動車が止まるか跳ね返されることでバンパー11の変形が止まり、張力が一定になるので変化量は最終的に0になる。ゆえに出力は図5の点線で示したようにピークを持った後、緩やかに減少する波形となる。
【0053】
このような出力特性の違いを利用して人と物の衝突区別をすることが可能となる。そのためのアルゴリズムを図6のフローチャートに示す。なお、このソフトウエアは検出回路23に内蔵したマイクロコンピュータ(図示せず)によって実行される。
【0054】
まず、張力センサ14の直流成分をカットした後の出力を読み込む(S1)。次に、前回の出力値と比較し(S2)、変化していなければ衝突が起こっていないので(S2のNo)今回読み込んだ値を前回値として更新する(S3)。その後S1に戻る。
【0055】
S2で変化していれば(S2のYes)、何らかの衝突がバンパー11で起こっているので、それ以降の張力センサ17の変化を既定時間分連続して読み込む(S4)。ここで、規定時間はあらかじめバンパー11を内蔵した自動車に歩行者ダミーを衝突させたときの張力センサ14の出力特性から図5に示すTに相当する時間を求めておくことで決定する。
【0056】
既定時間分の出力を読み込んだ後、最大値をサーチし、その値が既定範囲内(前記のごとくあらかじめ歩行者ダミーを衝突させて求めた出力波形の最大値範囲)にあるか否かを比較する(S5)。
【0057】
既定範囲内であれば(S5のYes)、最大値から後の出力減衰速度の絶対値と規定値(歩行者ダミーから求めた出力波形の減衰速度絶対値)とを比較する(S6)。規定値以上であれば(S6のYes)、歩行者と衝突したと判断し、最大値の大きさをバンパー11の変形大きさとしてデジタル信号で出力する(S7)。この値を出力することで歩行者と衝突したことがシステム側に伝達される。
【0058】
一方、S5で既定範囲外である(S5のNo)か、S6で規定値より小さければ(S6のNo)、固定物に衝突したと判断し、固定物衝突フラグ(例えば前記変形大きさの値を−1とする)を出力する(S8)。
【0059】
このようにバンパー衝突センサとして検出回路23内で衝突判断まで行うことで、張力センサ14の出力をアナログ値として直接歩行者保護システムに出力することによる両者間の配線への外乱ノイズの影響を除外することができるため、高い信頼性が得られるとともに歩行者保護システムのソフトウエア負担が軽減される。
【0060】
また、歩行者と衝突したときはバンパー11の変形の大きさをデジタル出力するので、前記同様ノイズの影響を受けず信頼性が高まるだけでなく、あらかじめ歩行者ダミーの衝突実験により求めた変形の大きさと衝突時の車速とのマトリックスから、衝突したのが大人か小人かを歩行者保護システム側で直接判定できるため、それに応じた最適なエアバッグの展開制御などが容易に可能となる。
【0061】
以上の構成、動作により、バンパー11が大きく変形しても歩行者を傷つけることなく高信頼に衝突検知できるバンパー衝突センサが得られる。
【0062】
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2におけるバンパー衝突センサの概略斜視図である。図8は同バンパー衝突センサのカバー部分の突起部への組み込み方法を示す組み立て図である。図9は同バンパー衝突センサの張力センサ部分の構造を示す一部断面図である。図10は同バンパー衝突センサの衝突位置によるワイヤの変形パターンを示す概略図である。図11は同バンパー衝突センサの動作を示すフローチャートである。図7、8、9において、それぞれ図1、2、3と同じ構成要素については同じ符号を用い説明を省略する。
【0063】
図7に示した実施の形態2におけるバンパー衝突センサの特徴となる部分は、実施の形態1(図1)の構成において互いに長さの異なる複数(図7では4本)のワイヤ13をバンパー11の長手方向に対し平行に配置した点である。それに対応して突起12の数を増やすとともにカバー15を長くして全てのワイヤ13を保持できるようにしてある。また、張力センサ14にはワイヤ13と同数の張力検出部が内蔵されている。
【0064】
このような構成とすることにより、例えば図7でバンパー11の右側に歩行者が衝突すると、4本のワイヤ13が全て引っ張られるため、張力検出部の出力が4つとも変化する。一方、バンパー11の左側に歩行者が衝突すると、一番長いワイヤ13(図7で一番上のワイヤ)だけが引っ張られるため、一番上のワイヤ13が接続された張力検出部の出力だけが変化する。従って、図7のような構成とすることで歩行者がバンパーのどの位置に衝突したかを判別できる点が新たな機能として追加される。
【0065】
このようなバンパー衝突センサのバンパー11へのワイヤ13組み込み方法も図8(図7における点線部分の断面)に示すように、ほぼ図2と同様の手順となるが、図8の例ではワイヤ13を4本保持するために突起12が一列あたり5本、これに対応してカバー15も長くなり、図示しない穴の数も5個となる。これを実施の形態1と同様に熱プレス16で同時に固定することで実施の形態1と同じ工程で一気に4本のワイヤ13をバンパー11に組み込むことができる。
【0066】
張力センサ14の内部構造を図9に示す。基本的にはワイヤ13が4本に増えたことに対応し、張力センサ14を4個設けてもよいが、図9に示すようにステンレス基板20に張力検出部17を構成する梁を4本とすることで、一枚のステンレス基板20から4個の張力検出部17を同列状に一体に形成できる。このような構成とすることで張力センサ14の空間効率が良くなるとともに、印刷、焼成工程により一気に歪抵抗素子22を形成することで生産効率が上がり、かつ、ばらつきが少ない4個の張力検出部17が構成できる。
【0067】
さらに検出回路23は4つの梁の根元部分に共通して形成できる上、マイクロコンピュータによる判断部分は共用できるので、張力センサを個別に4個設けた場合に比べ検出回路23の構成が簡略化され、部品点数削減による信頼性向上および低コスト化も可能となる。
【0068】
次に動作について説明する。なお、動作の前提となる車速範囲は実施の形態1と同様に時速20〜60kmとする。
【0069】
バンパー11に歩行者または固定物が衝突したときの各々の張力検出部17の出力は、図5と同様であるので、ここでは実施の形態2の特徴である衝突位置の検出動作について説明する。
【0070】
図10は図7の矢印方向から見たバンパー11の模式図である。わかりやすくするために4本のワイヤ13を太線で示した。また、各ワイヤ13を区別するために、バンパー11の上側に設けた最も長いものから順にワイヤ131、ワイヤ132、ワイヤ133、ワイヤ134と定義する。
【0071】
各ワイヤ13に接続された張力検出部17は、実施の形態1と同様に経時変化や温度変化の影響を避けるため、直流成分の出力を検出回路23内に設けたフィルターによってカットしている。
【0072】
図10(a)に示す通常時はバンパー11が変形していないので、各ワイヤー13には張力が加わっていない。従って、それぞれの張力検出部17の出力は全て0である。
【0073】
バンパー11の左に歩行者が衝突すると、図10(b)に示すようにバンパー11の左側が変形する。この変形を下向きの窪みで表現した(以下、同様)。この場合はワイヤ131のみが変形により引っ張られる。そのときの図5の実線で示した波形の積分値(面積)を1とすると、各張力検出部17の出力(前記積分値と定義する)の比率は順に1:0:0:0となる。この比率は図10(b)の張力センサ14の右側に表示した(以下、同様)。
【0074】
バンパー11の中央に歩行者が衝突すると、図10(c)に示すようにバンパー11の中央が変形する。この場合はワイヤ131、ワイヤ132、ワイヤ133が引っ張られる。このときの引っ張られ度合いを前記した各張力検出部17の出力積分値の比で表すと、1:1:0.5:0となる。
【0075】
同様に、バンパー11の右に歩行者が衝突すると、図10(d)に示すようにバンパー11の右側が変形し、全てのワイヤ13が引っ張られる。この場合の各張力検出部17の出力積分値比は1:1:1:1となる。
【0076】
以上のことから、バンパー11のどの部分に歩行者が衝突したかを各張力検出部17の出力積分値比で知ることができる。
【0077】
なお、実施の形態2ではワイヤ13の長さを4種類としたが、さらに長さを細かく変えた多数のワイヤとしてもよい。これにより、位置検出精度を更に向上することができる。
【0078】
図7の構成では、さらに複数の歩行者が同時にバンパー11に衝突した際も、その位置を知ることができる。
【0079】
図10(e)は歩行者がバンパー11の左と中央に同時に衝突した場合を示す。このときはバンパー11の左側と中央が変形するので、その部分に配置されたワイヤ13が引っ張られるが、ワイヤ131は2ヶ所で引っ張りを受けるため、張力検出部17の出力積分値は1ヶ所の場合の約2倍となる。一方、他のワイヤ132,133,134は歩行者がバンパー11の中央のみで衝突した場合と同様であるので、各張力検出部17の出力積分値比は2:1:0.5:0となる。
【0080】
同様に歩行者がバンパー11の左右側に同時に衝突した場合は、図10(f)に示すように各張力検出部17の出力積分値比は2:1:1:1、歩行者がバンパー11の中央と右側に同時に衝突した場合は、図10(g)に示すように各張力検出部17の出力積分値比は2:2:1.5:1となる。
【0081】
さらに歩行者が3人同時に衝突したときは、図10(h)に示すようにバンパー11の左右、中央それぞれが変形することになるので、各張力検出部17の出力積分値比は3:2:1.5:1となる。
【0082】
以上、通常時を含め8通りの衝突パターンを示したが、それぞれの出力積分値比は全て異なることがわかる。従って、出力積分値比を求めることによってバンパー11のどこに何人衝突したかを知ることができる。
【0083】
なお、出力積分値を用いているのは次の理由による。
【0084】
実施の形態1に示したような出力の最大値を用いた場合、複数の歩行者との衝突が完全に同時であれば衝突人数に応じた最大値が得られるものの、衝突に僅かな時間差があるとピーク値が複数出現し、必ずしも衝突人数に比例した最大値が得られない。一方、波形の積分値を用いると、時間差があっても最大値が低くなる分、波形の幅が広がるため最大値検出に比べより正確に衝突人数を割り出せる。
【0085】
従って、衝突が一人の場合は積分しなくても実施の形態1と同様に最大値でバンパー11の変形の大きさとすることができ、最大値がどの張力検出部17で得られたかにより衝突位置を知ることもできるが、複数の歩行者との衝突も想定した判定出力を得る場合は出力積分値比を用いるのがよい。
【0086】
以上の動作を踏まえ、実施の形態2における動作のアルゴリズムを図11のフローチャートに示す。なお、このソフトウエアも実施の形態1と同様に検出回路23に内蔵したマイクロコンピュータ(図示せず)によって実行される。
【0087】
まず、各張力検出部17の直流成分をカットした後の出力を読み込む(S11)。次に、前回の出力値と比較し(S12)、いずれも変化していなければ衝突が起こっていないので(S12のNo)今回読み込んだ値を前回値としてそれぞれ更新する(S13)。その後S11に戻る。
【0088】
S12でいずれかの出力が変化していれば(S12のYes)、何らかの衝突がバンパー11で起こっているので、それ以降の各張力検出部17の変化をそれぞれ既定時間分連続して読み込む(S14)。ここで、規定時間の決定方法は実施の形態1と同様である。
【0089】
既定時間分の出力を読み込んだ後、各出力の最大値をサーチし、その値が既定範囲内(あらかじめ歩行者ダミーを衝突させて求めた出力波形の最大値範囲)にあるか否かを比較する(S15)。
【0090】
既定範囲内であれば(S15のYes)、最大値から後の出力減衰速度の絶対値と規定値(歩行者ダミーから求めた出力波形の減衰速度絶対値)とを比較する(S16)。規定値以上であれば(S16のYes)、歩行者と衝突したと判断し、各張力検出部17の最大値を求めるとともに出力値を積分する(S17)。次に、最大値の大きさをバンパー11の変形大きさとしてデジタル信号で出力するとともに、各積分値の比から図10に示したパターンと比較することで衝突位置、および衝突人数を出力する(S18)。なお、バンパー11の変形の大きさをデジタル出力することで歩行者と衝突したことがシステム側に伝達される。
【0091】
一方、S15で既定範囲外である(S15のNo)かS16で規定値より小さければ(S16のNo)、固定物に衝突したと判断し固定物衝突フラグ(例えば前記変形大きさの値を−1とする)を出力する(S19)。
【0092】
このようにバンパー衝突センサとして検出回路23内で衝突判断まで行うことで、実施の形態1と同様に配線への外乱ノイズの影響を除外でき高い信頼性が得られるとともに、衝突位置や衝突人数まで出力することで複数のエアバッグを有する歩行者保護システムにおける衝突位置に近い最適なエアバッグ展開を制御するためのソフトウエア負担が軽減される。
【0093】
また、バンパー11の変形の大きさをデジタル出力することによる大人か小人かの判定も含め、歩行者保護システムトータルとして最適なエアバッグ展開制御が可能となる。
【0094】
以上の構成、動作により、バンパー11が大きく変形しても歩行者を傷つけることなく高信頼に、どこに何人衝突したかを検知できるバンパー衝突センサが得られる。
【0095】
(実施の形態3)
図12は本発明の実施の形態3におけるバンパー衝突センサの概略斜視図である。図13は本実施の形態3におけるバンパー衝突センサの衝突位置によるワイヤ変形パターンを示す概略図である。図12、13において、それぞれ図1、10と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0096】
図12に示した実施の形態3におけるバンパー衝突センサの特徴となる部分は、実施の形態2(図7)の構成においてワイヤ13と、各々のワイヤ13の一端に接続された複数の張力検出部17を内蔵した張力センサ14からなるバンパー衝突検知部を2組設け、2個の張力センサ14R、14Lをそれぞれバンパーの両端に固定した点である。
【0097】
2組のバンパー衝突検知部を空間効率よくバンパー内に配置するため、図12に示すように、例えば一方のワイヤ13の長さが長い場所には他方のワイヤ13は短く配置するというように、長さの関係が互いに逆転するように配置してある。これにより、突起12は図7に比べもう一段分追加するだけで2組のバンパー変形検知部をバンパーに内蔵できる。
【0098】
なお、図12ではワイヤ13の一部だけを引っ張りバネとした構造を示しているが、これは実施の形態1や2で述べたように全体が引っ張りバネの構成でもよいし、逆に実施の形態1や2のワイヤ13を実施の形態3のように一部引っ張りバネの構成としてもよい。
【0099】
このような構成とすることにより張力センサ14が2個となるので、一方の張力センサ14や内蔵された張力検出部17が故障しても、もう一方の張力センサ14によって図10と同様の考え方で出力が得られ、歩行者安全システム全体の信頼性が極めて向上する。この点について図13を用いて詳しく説明する。
【0100】
図13は図10と同様に図12の矢印方向から見たバンパー11の模式図である。2組のワイヤ13は互いに区別できるように太さを変えて示した。
【0101】
また、全ワイヤ13を区別するために、バンパー右側に固定した張力センサ14Rに接続されたワイヤ13をバンパー11の上側に設けた最も長いものから順にワイヤ131R、ワイヤ132R、ワイヤ133R、ワイヤ134Rと定義する。
【0102】
バンパー左側に固定した張力センサ14Lに接続されたワイヤ13を、バンパー11の上側に設けた最も短いものから順にワイヤ132L、ワイヤ133L、ワイヤ134L、ワイヤ135Lと定義する。ここで、番号の統一性を持たせるため対向するワイヤは同じ数字になるようにし、L、Rで区別することとする。なお、一番長いワイヤ131R、135Lには対向するワイヤはない。
【0103】
また、バンパー11の左右に示した数字は図10と同様、張力センサ14に内蔵された各張力検出部17の出力積分値の比率を表す。
【0104】
図13(a)に示す通常時はバンパー11が変形していないので、各ワイヤー13には張力が加わっていない。従って、各張力検出部17の出力は全て0である。
【0105】
バンパー11の左に歩行者が衝突すると、図13(b)に示すようにバンパー11の左側が変形する。この場合は右側の張力センサ14Rに接続されたワイヤ13のうち、ワイヤ131Rのみが変形により引っ張られる。一方、左側の張力センサ14Lに接続されたワイヤ13は全て(132L、133L、134L、135L)引っ張られる。従って、右側の各張力検出部17の出力積分値比は1:0:0:0となり、左側は1:1:1:1となる。
【0106】
以下同様に、バンパー11の中央に衝突したときは図13(c)より右側が1:1:0.5:0、左側が0:0.5:1:1となる。バンパー11の右に衝突したときは図13(d)より右側が1:1:1:1、左側が0:0:0:1となる。
【0107】
さらに複数の歩行者が衝突した場合も同様に、バンパー11の左と中央に衝突したときは図13(e)より右側が2:1:0.5:0、左側が1:1.5:2:2となる。バンパー11の左右に衝突したときは図13(f)より右側が2:1:1:1、左側が1:1:1:2となる。バンパー11の右と中央に衝突したときは図13(g)より右側が2:2:1.5:1、左側が0:0.5:1:2となる。バンパー11の左右と中央に衝突したときは図13(h)より右側が3:2:1.5:1、左側が1:1.5:2:3となる。
【0108】
このように、それぞれの衝突状況により出力積分値比が2組得られることになる。従って、実施の形態2において、もし張力検出部17の1つが故障し、図10(a)〜(h)で示した8種類の出力積分値比パターンから外れた場合、実際にどの状況で衝突したのか知ることはできなくなるが、実施の形態3ではもう一組の出力積分値比が得られているので、いずれかのパターンが合えばその衝突状況を出力するようにすることで、故障に対して極めて高い信頼性が得られる。
【0109】
なお、動作のアルゴリズムについては図11と同様である。
【0110】
さらに本構成とすることにより、例えば建物の角近くに歩行者がいるところへ衝突した場合でも歩行者検知の可能性が高まる効果がある。この点について以下に詳しく説明する。
【0111】
例えばバンパー11の右側に建物の角がオフセット衝突し、その近くにいた歩行者を同時にバンパー11の左側で撥ねた場合を考える。
【0112】
実施の形態1や2の構造ではバンパー11の右端に張力センサ14が固定されているので建物の角に衝突すると張力センサ14自体が破壊され、同時に衝突した歩行者を検知することは不可能である。
【0113】
一方、実施の形態3では右側の張力センサ14Rは破壊されるが左側の張力センサ14Lは動作し続けられる。この時、建物との衝突で長いワイヤ133L、134L、135Lに接続された張力検出部17の出力は図5の点線のような波形になり、固定物にぶつかったと判断される。しかし、一番短いワイヤ132Lだけは図5の実線のような波形になり、人とぶつかったことを知ることができる。この場合、複数のボンネットエアバッグを有するシステムであれば、建物と衝突した部分のエアバッグは破壊されているか、破壊に到らなくても歩行者がいないので展開する必要がないため、衝突位置や衝突人数の判定は不要で、左側のエアバッグだけを展開すればよい。このような動作により、一方の張力センサ14が衝突で破壊されても他方の張力センサ14で歩行者の衝突を検知できる可能性が高まる。
【0114】
以上の構成、動作により、バンパー11が大きく変形しても歩行者を傷つけることなく、極めて高信頼に、どこに何人衝突したかを検知できるバンパー衝突センサが得られる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明にかかるバンパー衝突センサは、歩行者を傷つけずに、かつ、センサが破断することなく高信頼に衝突を検知することが可能になるので、自動車の歩行者保護システムにおける歩行者との衝突検知等への適用に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施の形態1におけるバンパー衝突センサの概略斜視図
【図2】同バンパー衝突センサのカバー部分の突起部への組み込み方法を示す組み立て図、(a)突起の間へのワイヤはめ込み図、(b)突起へのカバーはめ込み図、(c)突起の熱プレス実施図、(d)突起へのカバー組み込み完了図
【図3】同バンパー衝突センサの張力センサ部分の構造を示す一部断面図
【図4】同バンパー衝突センサの張力検出部の概略断面図
【図5】同バンパー衝突センサの出力から直流成分をカットした後の波形図
【図6】同バンパー衝突センサの動作を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態2におけるバンパー衝突センサの概略斜視図
【図8】同バンパー衝突センサのカバー部分の突起部への組み込み方法を示す組み立て図、(a)突起の間へのワイヤはめ込み図、(b)突起へのカバーはめ込み図、(c)突起の熱プレス実施図、(d)突起へのカバー組み込み完了図
【図9】同バンパー衝突センサの張力センサ部分の構造を示す一部断面図
【図10】同バンパー衝突センサの衝突位置によるワイヤ変形パターンを示す概略図、(a)通常時のワイヤ状態図、(b)左衝突時のワイヤ状態図、(c)中央衝突時のワイヤ状態図、(d)右衝突時のワイヤ状態図、(e)左、中央衝突時のワイヤ状態図、(f)左、右衝突時のワイヤ状態図、(g)中央、右衝突時のワイヤ状態図、(h)左、中央、右衝突時のワイヤ状態図
【図11】同バンパー衝突センサの動作を示すフローチャート
【図12】本発明の実施の形態3におけるバンパー衝突センサの概略斜視図
【図13】同バンパー衝突センサの衝突位置によるワイヤ変形パターンを示す概略図、(a)通常時のワイヤ状態図、(b)左衝突時のワイヤ状態図、(c)中央衝突時のワイヤ状態図、(d)右衝突時のワイヤ状態図、(e)左、中央衝突時のワイヤ状態図、(f)左、右衝突時のワイヤ状態図、(g)中央、右衝突時のワイヤ状態図、(h)左、中央、右衝突時のワイヤ状態図
【図14】従来の荷重センサの平面図
【図15】従来の荷重センサの出力波形図
【符号の説明】
【0117】
11 バンパー
12 突起
13 ワイヤ
14 張力センサ
15 カバー
16 熱プレス
17 張力検出部
18 ネジ
19 本体
20 ステンレス基板
21 電極
22 歪抵抗素子
23 検出回路
24 絶縁層
25 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に伸縮部分を有するワイヤと、このワイヤの一端に接続された張力センサと、この張力センサおよび前記ワイヤを内蔵した可塑性を有するバンパーとからなり、前記張力センサをバンパーの一端に固定し、前記ワイヤを前記張力センサにほとんど応力がかからないように前記バンパーの長手方向に沿って配置し、前記ワイヤの他端を前記バンパーに固定したバンパー衝突センサ。
【請求項2】
ワイヤの伸縮部分を引っ張りバネとした請求項1に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項3】
ワイヤをステンレス製とした請求項2に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項4】
バンパーと一体に複数の突起を形成し、この突起の間にワイヤを配置した後、前記突起にカバーを固定した請求項1に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項5】
突起の断面を円形状とした請求項4に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項6】
カバーの断面を円形状とした請求項4に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項7】
カバーの一部に穴を設け、この穴に突起を通した後、前記突起の一部を加熱圧縮することで前記カバーを前記突起に固定した請求項4に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項8】
ワイヤの他端を突起の一部に固定した請求項4に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項9】
張力センサを歪により抵抗値が変化する歪抵抗素子とした請求項1に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項10】
歪抵抗素子はルテニウム酸化物系導電粒子とガラス成分を含む厚膜抵抗体ペーストを印刷、焼成して形成された請求項9に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項11】
張力センサは検出回路を内蔵し、この検出回路は歪抵抗素子とともにステンレス基板上に形成した請求項9に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項12】
検出回路は張力センサの直流成分をカットした出力の最大値が既定範囲内であり、かつ前記出力の減衰速度絶対値が既定値以上であれば歩行者に衝突したと判断し、前記最大値をバンパーの変形の大きさとして出力する請求項11に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項13】
ワイヤおよびこのワイヤの一端に接続された張力センサを平行に複数配置し、各々の前記ワイヤの長さが互いに異なるように構成した請求項1に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項14】
張力センサは同列状に一体形成された請求項13に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項15】
張力センサは検出回路を内蔵し、この検出回路は各々の張力センサの直流成分をカットした出力の最大値が既定範囲内であり、かつ前記出力の減衰速度絶対値が規定値以上であれば歩行者に衝突したと判断し、前記最大値をバンパーの変形の大きさとして出力するとともに、各々の前記張力センサの直流成分をカットした出力を積分した値から衝突位置および衝突人数を求めて出力する請求項13に記載のバンパー衝突センサ。
【請求項16】
互いに長さが異なり平行に配置した複数のワイヤと、各々の前記ワイヤの一端に接続された張力センサを2組設け、この2組の張力センサをそれぞれバンパーの両端に固定した構成の請求項13に記載のバンパー衝突センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−168606(P2006−168606A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365693(P2004−365693)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)