説明

バーコードリーダ

【課題】 設定作業を煩雑にすることなく、読み取り対象となるバーコードラベルに記載されたバーコードデータのみを有効にする。
【解決手段】 バーコードラベルに記載されたバーコードデータを読み取り可能な距離範囲がメモリ207に格納され、バーコードリーダと読み取り対象となるバーコードラベルとの距離が距離センサ206によって測定され、測定された距離がメモリ207に格納された読み取り可能な距離範囲にあるかどうかが判断部204によって判断され、読み取り可能な距離範囲にあると判断された場合に、読み取られたバーコードデータが送信部205から上位装置に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードリーダに関し、特に、バーコードリーダから様々な距離に存在するバーコードラベルに記載されたバーコードデータの読み取りを行うバーコードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体レーザ式及びCCD式の両方の方式によって、読み取り距離が長深度まで対応したバーコードリーダが商品化されている。このようなバーコードリーダにおいては、読み取り可能な距離内においては、バーコードリーダから近距離にあるバーコードラベルも、バーコードリーダから遠距離にあるバーコードラベルも読み取ることが可能である。
【0003】
しかしながら、バーコードラベルが遠距離と近距離とにそれぞれ存在する場合であって、そのうち遠距離に存在するバーコードラベルを読み取り対象とする場合、読み取り対象ではない近距離にあるバーコードラベルに読み取りレーザを照射してしまい、近距離にあるバーコードラベルに記載されたバーコードデータを誤って読み取ってしまう可能性がある。その場合、遠距離にあるバーコードラベルに記載されたバーコードデータと近距離にあるバーコードラベルに記載されたバーコードデータとが異なっていれば、読み取りコードを限定することにより認識は可能となるが、バーコードデータが同一の場合は認識は不可能となる。そのため、バーコードリーダによって読み取られたバーコードデータが正しいかどうかまで意識する必要がある。
【0004】
近年では、バーコードリーダによって読み取られたバーコードデータから、バーコードシンボルのバーの幅及びバーとバーとの間のスペースの幅を検出し、検出された結果からバーコードリーダからバーコードラベルまでの距離を判断し、予め設定されている距離よりも近い場合に、読み取ったバーコードデータを有効にする方法が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平06−012514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された検出されたバーコードシンボルのバーの幅及びバーとバーとの間のスペースの幅から距離を判断する方法については、どのくらいのバーコードシンボルのバーの幅及びバーとバーとの間のスペースの幅が、どのくらいの距離に対応するかという対応付けを予め行っておく必要があり、そのための設定作業が煩雑になってしまうという問題点がある。また、予め設定された距離よりも近くにあると判断されたバーコードラベルに記載されたバーコードデータを有効にするため、遠くにあるバーコードラベルに記載されたバーコードデータが有効にできず、さらに予め設定された距離よりも近くにあると判断されたバーコードラベルに記載されたバーコードデータすべてを有効にしてしまい、読み取り対象ではないバーコードラベルに記載されたバーコードデータまでも有効にしてしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点を鑑みてなされたものであって、設定作業を煩雑にすることなく、読み取り対象となるバーコードラベルに記載されたバーコードデータのみを有効にすることができるバーコードリーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
バーコードラベルに記載されたバーコードデータの読み取りを行う読み取り手段と、前記読み取り手段にて読み取られたバーコードデータを解読するデコード手段とを少なくとも有してなるバーコードリーダにおいて、
前記バーコードリーダから読み取り対象となるバーコードラベルまでの距離を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段にて測定された距離が予め設定された距離範囲にあるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段にて前記測定された距離が前記距離範囲にあると判断された場合、前記デコード手段にて解読されたバーコードデータを上位装置に送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、前記判断手段は、前記距離測定手段にて測定された距離が前記距離範囲にないと判断された場合、前記デコード手段にて解読されたバーコードデータを消去することを特徴とする。
【0009】
また、前記距離範囲が格納されたメモリを有し、
前記判断手段は、前記距離測定手段にて測定された距離と前記メモリに格納された距離範囲とを比較することにより、前記距離測定手段にて測定された距離が前記距離範囲にあるかどうかを判断することを特徴とする。
【0010】
また、前記デコード手段は、前記読み取り手段にて読み取られたバーコードデータが、前記距離範囲データを含むメニューデータであるかどうかを判断し、前記距離範囲データを含むメニューデータであると判断した場合、該距離範囲データを前記メモリに格納することを特徴とする。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、バーコードラベルに記載されたバーコードデータが読み取り手段にて読み取られる際に、距離測定手段においてバーコードリーダと読み取り対象となるバーコードラベルとの距離が測定され、その後、判断手段において、測定された距離が予め設定された距離範囲にあるかどうかが判断され、距離範囲にあると判断された場合、送信手段において、読み取り手段にて読み取られ、デコード手段にて解読されたバーコードデータが上位装置に送信される。
【0012】
このように、予め設定された距離範囲にあるバーコードラベルに記載されたバーコードデータのみが有効とされ上位装置に送信されるため、読み取り可能な距離範囲が自由に設定され、読み取りエリア内に読み取り距離の異なるバーコードラベルが存在する場合であっても、限定された距離範囲に存在するバーコードラベルに記載されたバーコードデータのみが、上位装置において認識される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明においては、バーコードラベルに記載されたバーコードデータが読み取られる際に、バーコードリーダと読み取り対象となるバーコードラベルとの距離が測定され、測定された距離が予め設定された距離範囲にあると判断された場合のみ、読み取られたバーコードデータが上位装置に送信される構成としたため、設定作業を煩雑にすることなく、読み取り対象となるバーコードラベルに記載されたバーコードデータのみを有効にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明のバーコードリーダが適用されるシステム構成の一例を示す図である。
【0016】
本システムは図1に示すように、バーコードラベル101,102に記載されたバーコードデータをバーコードリーダ103によって読み取り、読み取られたバーコードデータをバーコードリーダ103によって上位装置104へ送信するように構成されている。なお、バーコードリーダ103と上位装置104との間においては、図1に示すように有線によって通信が行われる構成としても良いし、または、無線によって通信が行われる構成としても良い。
【0017】
図2は、図1に示したバーコードリーダ103の構成を示す図である。
【0018】
図2に示すように、図1に示したバーコードリーダ103には、バーコードラベル101,102に記載されたバーコードデータを光学的に読み取る読み取り部201と、読み取り部201にて光学的に読み取られたバーコードデータを電気信号へ変換する光電変換部202と、光電変換部202にて変換された電気信号からデータキャラクタ解読を行うデコード部203と、バーコードリーダ103からバーコードラベル101,102までの距離を測定する距離測定手段である距離センサ206と、バーコードリーダ103によるバーコードデータの読み取り可能な距離範囲が格納されるメモリ207と、距離センサ206によって測定された距離とメモリ207に格納された距離範囲とから、読み取り部201にて現在読み取られたバーコードデータが有効なものかどうかを判断する判断部204と、判断部204にて有効であると判断されたバーコードデータを上位装置104へ送信する送信部205とが設けられている。
【0019】
以下に、図2に示したように構成されたバーコードリーダ103を図1に示したシステムに適用した場合の処理について、フローチャートを用いて説明する。
【0020】
図3は、図2に示した構成のバーコードリーダ103を図1に示したシステムに適用した場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【0021】
ここで、バーコードラベル101をバーコードリーダ103が読み取り可能な距離範囲データを含むメニューラベルとし、また、バーコードラベル102を通常のバーコードデータが記載されたバーコードラベルとする。
【0022】
まず、バーコードリーダ103によってメニューラベルであるバーコードラベル101が読み取り対象として読み取られることにより、バーコードリーダ103が読み取り可能な距離範囲が設定される際の処理について説明する。
【0023】
バーコードリーダ103の読み取り部201において、バーコードラベル101に記載されたバーコードデータが光学的に読み取られる(ステップS1)。また、同時に、距離センサ206において、バーコードリーダ103とバーコードラベル101との間の距離が測定される(ステップS2)。
【0024】
次に、読み取り部201によって光学的に読み取られたバーコードデータが、光電変換部202へ出力されて光電変換部202において電気信号へ変換され(ステップS3)、バーコードラベル101の白及び黒バーがパターン化(2値化)処理された信号でデコード部203へ出力される。
【0025】
デコード部203においては、電気信号のバーコードの種類が決定されてデータキャラクタが解読され(ステップS4)、バーコードリーダ103が読み取り可能な距離範囲データを含むメニューデータか、通常のバーコードデータかが判断される(ステップS5)。ここでは、バーコードリーダ103によってバーコードラベル101に記載されたバーコードデータが読み取られた場合であるので、メニューデータであると判断され、バーコードリーダ103が読み取り可能な距離範囲データがメモリ207に格納される(ステップS6)。なお、メモリ207は不揮発性メモリであり、必要に応じて内容の書き換えが可能なものである。
【0026】
次に、バーコードリーダ103によって通常のバーコードデータが記載されたバーコードラベル102が読み取り対象として読み取られる際の処理について説明する。
【0027】
バーコードリーダ103の読み取り部201において、バーコードラベル102に記載されたバーコードデータが光学的に読み取られる(ステップS1)。また、同時に、距離センサ206において、バーコードリーダ103とバーコードラベル102との間の距離が測定される(ステップS2)。
【0028】
次に、読み取り部201によって光学的に読み取られたバーコードデータが、光電変換部202へ出力されて光電変換部202において電気信号へ変換され(ステップS3)、バーコードラベル102の白及び黒バーがパターン化(2値化)処理された信号でデコード部203へ出力される。
【0029】
デコード部203においては、電気信号のバーコードの種類が決定されてデータキャラクタが解読され(ステップS4)、バーコードリーダ103が読み取り可能な距離範囲データを含むメニューデータか、通常のバーコードデータかが判断される(ステップS5)。ここでは、バーコードリーダ103によってバーコードラベル102に記載されたバーコードデータが読み取られた場合であるので、通常のバーコードデータであると判断される。
【0030】
すると、判断部204において、ステップS6にて格納されたバーコードリーダ103が読み取り可能な距離範囲データがメモリ207から読み出され(ステップS7)、ステップS2にて距離センサ206によって測定された距離と、メモリ207から読み出された距離範囲データとが比較され、バーコードリーダ103とバーコードラベル102との間の距離が、読み取り可能な範囲内かどうかが判断される(ステップS8)。
【0031】
バーコードリーダ103とバーコードラベル102との間の距離が読み取り可能な距離の範囲内であると判断された場合、デコード部203にて解読されたバーコードデータが送信部205から上位装置104へ送信される(ステップS9)。
【0032】
また、バーコードリーダ103とバーコードラベル102との間の距離が読み取り可能な距離の範囲外であると判断された場合は、制御部204において、デコード部203にて解読されたバーコードデータが消去される(ステップS10)。
【0033】
なお、読み取り部201において走査または照射される光は、レーザ光でも良いし、LED光でもよい。また、光電変換部202としては、受光素子やCCDが考えられる。
【0034】
また、距離センサ206については、赤外線LEDとフォトトランジスタとで構成されるものでも良いし、超音波やレーザ光によって測定されるものであっても良い。
【0035】
また、本形態においては、メニューラベルが読み取られることにより、バーコードリーダ103が読み取り可能な距離範囲が設定される例を示したが、メニューラベルが読み取られることにより、単にバーコードリーダ103が距離測定モードに設定され、距離測定モードに設定された状態で読み取られたバーコードラベル102までの距離がバーコードリーダ103が読み取り可能な距離範囲として設定される方法も考えられる。
【0036】
また、バーコードリーダ103を距離測定モードに設定するためのスイッチを設け、そのスイッチによりバーコードリーダ103を距離測定モードに設定し、同様の処理が行われることも考えられる。
【0037】
さらに、本発明はバーコードだけではなく、近年普及してきている二次元コードに適用することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のバーコードリーダが適用されるシステム構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示したバーコードリーダの構成を示す図である。
【図3】図2に示した構成のバーコードリーダを図1に示したシステムに適用した場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
101,102 バーコードラベル
103 バーコードリーダ
104 上位装置
201 読み取り部
202 光電変換部
203 デコード部
204 判断部
205 送信部
206 距離センサ
207 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードラベルに記載されたバーコードデータの読み取りを行う読み取り手段と、前記読み取り手段にて読み取られたバーコードデータを解読するデコード手段とを少なくとも有してなるバーコードリーダにおいて、
前記バーコードリーダから読み取り対象となるバーコードラベルまでの距離を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段にて測定された距離が予め設定された距離範囲にあるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段にて前記測定された距離が前記距離範囲にあると判断された場合、前記デコード手段にて解読されたバーコードデータを上位装置に送信する送信手段とを有することを特徴とするバーコードリーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のバーコードリーダにおいて、
前記判断手段は、前記距離測定手段にて測定された距離が前記距離範囲にないと判断された場合、前記デコード手段にて解読されたバーコードデータを消去することを特徴とするバーコードリーダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバーコードリーダにおいて、
前記距離範囲が格納されたメモリを有し、
前記判断手段は、前記距離測定手段にて測定された距離と前記メモリに格納された距離範囲とを比較することにより、前記距離測定手段にて測定された距離が前記距離範囲にあるかどうかを判断することを特徴とするバーコードリーダ。
【請求項4】
請求項3に記載のバーコードリーダにおいて、
前記デコード手段は、前記読み取り手段にて読み取られたバーコードデータが、前記距離範囲データを含むメニューデータであるかどうかを判断し、前記距離範囲データを含むメニューデータであると判断した場合、該距離範囲データを前記メモリに格納することを特徴とするバーコードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−201921(P2006−201921A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−11381(P2005−11381)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】