説明

バーコード表示媒体

【課題】複数の電極を用いてバーコードを表示する場合に、電極に接続された配線を形成しやすくする。
【解決手段】白色のバーと黒色のバーとが交互に並んで表示されることによって識別情報が表現され、バーの幅が識別情報によらずに固定な固定領域と、バーの幅が識別情報に応じて可変となる可変領域とを有するバーコードを表示するバーコード表示媒体において、バーの並び方向に並んで配置され、バーを表示するための複数の帯状電極12〜14を有し、複数の帯状電極12〜14のうち、固定領域における白色のバーを表示するための複数の帯状電極12が1つの配線15bに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードを表示するバーコード表示媒体に関し、特に、固定領域と可変領域とからなるバーコードを表示する際の固定領域の表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品を管理するためにバーコードが利用されている。このバーコードは、白色領域にて識別情報を複数本からなる黒色線の幅及び間隔で表したものであり、バーコードリーダで読み取ることにより識別情報を認識することができる。このようなバーコードは、物品に直接印刷されたり、ラベルに印刷されて物品に貼付されたりして利用されている。そのため、一度印刷されたバーコードを変更することができず、バーコードを変更する場合は、物品にバーコードを印刷しなおしたり、変更したバーコードが印刷されたラベルを貼りなおしたりしなければならない。
【0003】
そこで、対向する電極間に液晶や表示媒体を配置し、その電極に印加する電位を用いて液晶や表示媒体の状態を変化させて情報を表示する情報表示パネルを用いてバーコード表示を行う技術が考えられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−41980号公報
【特許文献2】特開2006−234911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような情報表示パネルを用いてバーコードを表示するものにおいては、バーコードを表示するために、バーコードの最小幅に対応する幅を有する電極を複数並べて配置し、この複数の電極に選択的に電位を印加することになるため、これら複数の電極にはそれぞれ電位を印加するための配線が接続されている必要がある。ところが、バーコードの最小幅は極めて狭いものであり、さらには、バーコードの種類によっては、そのバーの数が極めて多く、これら複数の電極のそれぞれに接続された配線を配置することが困難となってしまうという問題点がある。特に、配線の形成には、一般的にエッチングや導電性インキを用いたスクリーン印刷が利用されるが、スクリーン印刷においては、インキが厚く盛られてしまうため、細かい配線を形成することが困難である。
【0006】
ここで、上述したようなバーコードにおいては、その種類によって一義に決められた固定領域と、物品を識別するための可変領域とから構成されている。そこで、固定領域の表示を工夫することによって上述したような問題点を解決することを検討する。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、複数の電極を用いてバーコードを表示する場合に、電極に接続された配線を形成しやすくすることができるバーコード表示媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
第1の色を具備する第1のバーと第2の色を具備する第2のバーとが交互に並んで表示されることによって識別情報が表現され、前記第1及び第2のバーの幅が前記識別情報によらずに固定な固定領域と、前記第1及び第2のバーの幅が前記識別情報に応じて可変となる可変領域とを有するバーコードを表示するバーコード表示媒体であって、
前記第1及び第2のバーの並び方向に並んで配置された複数の帯状電極と、
前記複数の帯状電極に電位を印加するための配線と、
前記複数の帯状電極に対向して配置され、前記複数の帯状電極に印加された電位に応じて前記第1の色または前記第2の色を表示する情報表示手段とを有し、
前記複数の帯状電極のうち、前記固定領域における前記第1のバーを表示するための複数の帯状電極が1つの配線に接続されている。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、第1の色を具備する第1のバーと第2の色を具備する第2のバーとが交互に並んで表示されることによって識別情報が表現され、第1及び第2のバーの幅が識別情報によらずに固定な固定領域と、第1及び第2のバーの幅が識別情報に応じて可変となる可変領域とを有するバーコードを表示する場合、第1及び第2のバーの並び方向に並んで配置された複数の帯状電極に配線を介して印加された電位に応じて、情報表示手段において第1の色または第2の色が表示されることにより、バーコードの表示がなされるが、複数の帯状電極のうち、固定領域における第1のバーを表示するための複数の帯状電極が1つの配線に接続されているので、複数の帯状電極のうち、固定領域における第1のバーを表示するための複数の帯状電極においては、接続される配線が共有化され、それにより、帯状電極に接続された配線の数が減少し、帯状電極に接続された配線が形成しやすくなる。
【0010】
また、複数の帯状電極がベース基板の一方の面に形成され、固定領域における第2のバーを表示するための帯状電極が、ベース基板の一方の面に形成された第1の配線と、ベース基板の他方の面に形成され、ベース基板に形成された導通ホールを介して第1の配線に接続された第2の配線とによって互いに接続されている場合は、固定領域が可変領域に挟まれている場合であっても、可変領域の配線に影響を与えることなく、固定領域における第2のバーを表示するための複数の帯状電極を互いに接続された状態で1つの配線に接続することができる。
【0011】
また、情報表示手段の複数の帯状電極とは反対側に配置され、固定領域における第2のバーの表示領域が第2の色に着色されている透明基材を有する構成とすれば、固定領域において第2のバーを表示するための帯状電極及び配線が不要となり、帯状電極に接続された配線の数がさらに減少し、帯状電極に接続された配線が形成しやすくなる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明においては、第1の色を具備する第1のバーと第2の色を具備する第2のバーとが交互に並んで表示されることによって識別情報が表現され、第1及び第2のバーの幅が識別情報によらずに固定な固定領域と、第1及び第2のバーの幅が識別情報に応じて可変となる可変領域とを有するバーコードを表示するバーコード表示媒体において、第1及び第2のバーの並び方向に並んで配置された複数の帯状電極と、複数の帯状電極に電位を印加するための配線と、複数の帯状電極に対向して配置され、複数の帯状電極に印加された電位に応じて第1の色または第2の色を表示する表示手段とを有し、複数の帯状電極のうち、固定領域における第1のバーを表示するための複数の帯状電極が1つの配線に接続されている構成としたため、複数の帯状電極のうち、固定領域における第1のバーを表示するための複数の帯状電極においては、接続される配線が共有化され、それにより、帯状電極に接続された配線の数が減少し、帯状電極に接続された配線を形成しやすくすることができる。
【0013】
また、複数の帯状電極がベース基板の一方の面に形成され、固定領域における第2のバーを表示するための帯状電極が、ベース基板の一方の面に形成された第1の配線と、ベース基板の他方の面に形成され、ベース基板に形成された導通ホールを介して第1の配線に接続された第2の配線とによって互いに接続された構成としたものにおいては、固定領域が可変領域に挟まれている場合であっても、可変領域の配線に影響を与えることなく、固定領域における第2のバーを表示するための帯状電極を互いに接続された状態で1つの配線に接続することができる。
【0014】
また、情報表示手段の複数の帯状電極とは反対側に配置され、固定領域における第2のバーの表示領域が第2の色に着色されている透明基材を有する構成としたものにおいては、固定領域において第2のバーを表示するための帯状電極及び配線が不要となり、帯状電極に接続された配線の数がさらに減少し、帯状電極に接続された配線が形成しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のバーコード表示媒体によって表示されるバーコードの一例を示す図である。
【図2】本発明のバーコード表示媒体の第1の実施の形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図3】図2に示した配線電極基板を用いたバーコード表示媒体の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したA部拡大図である。
【図4】図3に示したバーコード表示媒体によって図1に示したバーコードを表示する際の動作を説明するための図である。
【図5】本発明のバーコード表示媒体の第2の実施の形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【図6】本発明のバーコード表示媒体の第3の実施の形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図7】図6に示した配線電極基板を用いたバーコード表示媒体の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
まず、本発明のバーコード表示媒体によって表示されるバーコードについて説明する。
【0018】
図1は、本発明のバーコード表示媒体によって表示されるバーコードの一例を示す図であり、CODE128と呼ばれるものを示す。
【0019】
本例におけるバーコードは図1に示すように、第1の色となる白色を具備する第1のバー4と、第2の色となる黒色を具備する第2のバー5とが交互に並んで表示され、バー4,5の幅によって識別情報が表現されたものである。このようなバーコード1は、ライトマージン、レフトマージン、スタートコード及びストップコードを付与する必要があり、それらは、バーコード1の両側においてバー4,5の幅によってそれぞれ表現されている。また、識別情報を2ビットずつ表現していくために、その表現された領域がバー4,5によって区切られている。このようなスタートコードやストップコードを示す情報と、識別情報を表現した領域を区切るための情報は、表現する識別情報とは無関係に一義的となる情報であるため、それらの情報が表現された領域は、バー4,5の幅が識別情報によらずに固定となっている。すなわち、図1に示したバーコード1においては、表現する識別情報によらずにバー4,5の幅が固定な固定領域2と、バー4,5の幅が識別情報に応じて可変となる可変領域3とから構成されている。なお、可変領域3には、チェックデジットを表現する領域も含まれている。
【0020】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明のバーコード表示媒体の第1の実施の形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。なお、図2に示す配線電極基板10は、図1に示したバーコード1を表示するためのバーコード表示媒体に用いられるものである。
【0021】
本形態における配線電極基板は図2に示すように、ベース基板11の一方の面に、複数の帯状電極12〜14が微小間隔で並んで形成されているとともに、帯状電極12に接続された配線15a,15bと、帯状電極13に接続された配線16a〜16cと、帯状電極14に接続された配線18とが形成されている。また、配線15b,16a〜16c,18のそれぞれは、これら帯状電極12〜14に外部から電位を印加するための接続端子17に接続されている。なお、帯状電極14、配線18及び接続端子17については、その一部のみしか符号を付していないが、可変領域3に配置された帯状電極の全てが帯状電極14であり、その帯状電極14のそれぞれに配線18が接続され、さらに、配線18を介して接続端子17が接続されている。
【0022】
帯状電極12は、固定領域2において白色を表示するためのものであり、また、帯状電極13は、固定領域2において黒色を表示するためのものである。そのため、帯状電極12,13のそれぞれの幅は、図1に示したバーコード1の固定領域2におけるバー4,5の幅と略同一のものとなっている。また、帯状電極14は、可変領域3において表現する識別情報に応じて白色または黒色を選択的に表示するためのものである。そのため、その幅は、図1に示したバーコード1の可変領域3にて表示されるバー4,5の最小幅となっている。すなわち、これら帯状電極12〜14は、図1に示したバー4,5の並び方向に並んで配置されている。
【0023】
また、固定領域2に配置された複数の帯状電極12は、配線15aによって互いに接続された状態で1つの配線15bに接続されている。これにより、固定領域2に配置された複数の帯状電極12には、1つの接続端子17を介して電位を印加することにより同一の電位が印加されることになる。
【0024】
また、固定領域2に配置された複数の帯状電極13は、バーコード1の両側に配置されたものにおいては、配線16a,16bを介してそれぞれ互いに接続された状態で接続端子17に接続され、可変領域3に挟まれた領域においては、配線16cを介して接続端子17に個別に接続されている。
【0025】
図3は、図2に示した配線電極基板10を用いたバーコード表示媒体の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(b)に示したA部拡大図である。
【0026】
本形態におけるバーコード表示媒体は図3に示すように、図2に示した配線電極基板10の帯状電極12〜14が形成された面に、情報表示手段である情報表示層20と、透明基材である透明導電膜基板30とが積層されて構成されている。透明導電膜基板30は、ガラス等からなる透明基板31の一方の面に透明電極(例えば、ITO)32が形成されて構成されており、また、情報表示層20は、隔壁21とシール層24とで囲まれた領域に、帯電性粒子23が分散した隔壁内液体22が収容されて構成されている。そして、これら配線電極基板10、情報表示層20及び透明導電膜基板30は、透明電極32と帯状電極12〜14とが、隔壁21とシール層24とで囲まれた領域に収容された隔壁内液体22を介して対向するように積層されている。なお、隔壁21は、底部と、情報表示層20の外周部となる側部と、側部で囲まれた領域を複数の領域に区画するための壁部とからなり、底部とは反対側の面が開口した形状となっている。そして、底部側が配線電極基板10に対向するように積層されており、開口した側にシール層24が積層されている。
【0027】
また、透明導電膜基板30は、帯状電極12〜14に対向しない領域に、例えば黒色等のマスク印刷33が施されており、それにより、配線電極基板10に形成された配線15a,15b,16a〜16c,18が透明導電膜基板30を介して視認されないようになっている。
【0028】
以下に、上記のように構成されたバーコード表示媒体によるバーコード表示について説明する。
【0029】
図4は、図3に示したバーコード表示媒体によって図1に示したバーコードを表示する際の動作を説明するための図である。
【0030】
図3に示したバーコード表示媒体によって図1に示したバーコードを表示する場合、例えば、透明電極32をGND電位とし、また、ベース基板11に形成された帯状電極12〜14のうち、固定領域2にて白色のバー4を表示するための帯状電極12と、可変領域3にて表現したい識別情報に応じて白色のバー4を表示するための帯状電極14をマイナス電位とするとともに、固定領域2にて黒色のバー5を表示するための帯状電極13と、可変領域3にて表現したい識別情報に応じて黒色のバー5を表示するための帯状電極14をプラス電位とする。これは、配線15b,16a〜16c,18を介してこれら帯状電極12〜14に接続された接続端子17にプラス電位あるいはマイナス電位が選択的に印加されることにより行われる。この際、配線電極基板10には、バーコード1の固定領域2において白色を表示するための複数の帯状電極12が形成されているが、複数の帯状電極12は、上述したように配線15aによって互いに接続された状態で1つの配線15bに接続されているため、複数の帯状電極12が接続される配線が共有化され、それにより、帯状電極12〜14に接続された配線の数が減少し、帯状電極12〜14に接続された配線を形成しやすくすることができる。これにより、固定領域2に配置された複数の帯状電極12には、1つの接続端子17を介して電位を印加することにより同一の電位が印加されることになる。なお、配線の形成には、一般的にエッチングや導電性インキを用いたスクリーン印刷が利用されるが、スクリーン印刷においては、インキが厚く盛られてしまうため、細かい配線を形成することが困難である。そのため、スクリーン印刷によって配線を形成する場合、上述したように、帯状電極12〜14に接続された配線の数が減少することにより、配線を形成しやすくすることの効果が得られやすくなる。
【0031】
このように、透明電極32がGND電位とされ、帯状電極12〜14がプラス電位あるいはマイナス電位とされると、隔壁21で囲まれた領域に収容された隔壁内液体22が誘電性物質からなり、帯電性粒子23がマイナス電位に帯電しているものであることから、図4(a)に示すように、帯電性粒子23が隔壁内液体22内をクーロン力で移動し、マイナス電位とされた帯状電極12,14が形成された領域においては帯電性粒子23が透明電極32側に引き寄せられていき、また、プラス電位とされた帯状電極13,14が形成された領域においては帯電性粒子23が帯状電極13,14側に引き寄せられていく。
【0032】
そして、隔壁内液体22が染料または顔料で着色されており、帯電性粒子23が高屈折率の光散乱成分を含むため、帯状電極13,14側に帯電性粒子23が引き寄せられた領域が着色された状態となり、また、透明電極32側に帯電性粒子23が引き寄せられた領域が白色となる。
【0033】
すると、固定領域2においては、帯状電極12,13の幅が、図1に示したバーコード1のバー4,5の幅と同一のものとなっているため、上述したように帯状電極12が配置された領域が白色となり、また、帯状電極13が配置された領域が着色された状態となることにより、透明導電膜基板30を配線電極基板10とは反対側から見た場合、図4(b)に示すように、図1に示したバーコード1の固定領域2が表現され、固定領域2においてスタートコード及びストップコード、並びに、識別情報の区切りが認識されることになる。
【0034】
また、可変領域3においては、帯状電極14の幅が、図1に示したバーコード1の可変領域3にて表示されるバー4,5の最小幅となっているため、可変領域3にて黒色で表示されるバー5の幅が帯状電極14の幅と同一である場合は、1つの帯状電極14がプラス電位とされるとともにその帯状電極14に隣接する帯状電極14がマイナス電位とされ、また、可変領域3にて黒色で表示されるバー5の幅が帯状電極14の幅の2倍である場合は、隣接する2つの帯状電極14がプラス電位とされるとともにその2つの帯状電極14の両側に隣接する帯状電極14がマイナス電位とされ、また、可変領域3にて黒色で表示されるバー5の幅が帯状電極14の幅の3倍である場合は、隣接する3つの帯状電極14がプラス電位とされるとともにその3つの帯状電極14の両側に隣接する帯状電極14がマイナス電位とされるというように、可変領域3にて黒色で表示されるバー5の幅に応じて帯状電極14がプラス電位あるいはマイナス電位とされる。同様に、可変領域3にて白色で表示されるバー4の幅が帯状電極14の幅と同一である場合は、1つの帯状電極14がマイナス電位とされるとともにその帯状電極14に隣接する帯状電極14がプラス電位とされ、また、可変領域3にて白色で表示されるバー4の幅が帯状電極14の幅の2倍である場合は、隣接する2つの帯状電極14がマイナス電位とされるとともにその2つの帯状電極14の両側に隣接する帯状電極14がプラス電位とされ、また、可変領域3にて白色で表示されるバー4の幅が帯状電極14の幅の3倍である場合は、隣接する3つの帯状電極14がマイナス電位とされるとともにその3つの帯状電極14の両側に隣接する帯状電極14がプラス電位とされるというように、可変領域3にて白色で表示されるバー4の幅に応じて帯状電極14がプラス電位あるいはマイナス電位とされる。これにより、透明導電膜基板30を配線電極基板10とは反対側から見た場合、図4(b)に示すように、図1に示したバーコード1の可変領域3が表現され、可変領域3において識別情報が認識されることになる。なおこの際、可変領域3におけるバー4,5の幅に応じて同一の電位とされる複数の帯状電極14は、微小間隔で並んで配置されているので、隣接する複数の帯状電極14を同一の電位とした場合、微小間隔は認識されず、隣接する2つの帯状電極14が同一電位とされた場合は、帯状電極14の2倍の太さのバー4,5が認識され、隣接する3つの帯状電極14が同一電位とされた場合は、帯状電極14の3倍の太さのバー4,5が認識されることになる。
【0035】
なお、本形態においては、固定領域2における帯状電極13のうち、バーコード1の両側となる帯状電極13、すなわち、スタートコード及びストップコードを表現するための帯状電極13が、配線16a,16bによって互いに接続された状態で接続端子17に接続されており、可変領域3にて識別情報を表現した領域を区切るための帯状電極13が配線16cを介して接続端子17に個別に接続されているが、スタートコード及びストップコードを表現するための帯状電極13においても、接続端子17に個別に接続することも考えられる。
【0036】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明のバーコード表示媒体の第2の実施の形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。なお、図5に示す配線電極基板110においても、図1に示したバーコード1を表示するためのバーコード表示媒体に用いられるものである。
【0037】
本形態における配線電極基板は図5に示すように、第1の実施の形態にて示したものに対して、固定領域2にて黒色のバー5を表示するための全ての帯状電極13が互いに接続されている点のみが異なるものである。
【0038】
図1に示したバーコード1においては、固定領域2の一部が可変領域3に挟まれた状態となっている。そのため、このようなバーコード1を表示するためには、固定領域2において白色を表示するための帯状電極12を第1の実施の形態にて示したように配線15aによって互いに接続した状態で1つの配線15bに接続することができるものの、固定領域2において黒色を表示するための帯状電極13においては、その間に可変領域3が配置されていることにより1つの配線に接続することができない。
【0039】
本形態におけるベース基板11には、導通ホールとなるスルーホール19が形成されている。このスルーホール19は、ベース基材11の表面にて帯状電極13のうち可変領域3に挟まれていない領域に配置された帯状電極13どうしをそれぞれ接続する第1の配線16a,16b上と、可変領域3に挟まれた領域に配置された帯状電極14から延びた第1の配線16c上とに4つ形成され、ベース基材11の裏面に形成された第2の配線16dにてこれら4つのスルーホール19が互いに接続されている。
【0040】
これにより、固定領域2にて黒色を表示するための帯状電極13が、ベース基材11の表面に形成された配線16a〜16cと、ベース基材11の裏面に形成され、スルーホール19を介して配線16a〜16cに接続された配線16dとによって互いに接続され、図1に示したように固定領域2の一部が可変領域3に挟まれた状態となっているバーコード1においても、固定領域2において白色を表示するための帯状電極12を配線15aによって互いに接続した状態で1つの配線15bに接続しながらも、固定領域2において黒色を表示するための帯状電極13においても1つの配線に接続することができる。それにより、黒色を表示するための帯状電極13が可変領域3に挟まれた場合であっても、帯状電極12〜14に接続された配線の数が減少し、帯状電極12〜14に接続された配線を形成しやすくすることができる。
【0041】
上記のように構成された配線電極基板110は、第1の実施の形態に示したものと同様に、情報表示層20及び透明導電膜基板30が積層され、帯状電極12〜14がプラス電位またはマイナス電位とされることにより、図1に示したバーコード1を表示することになる。
【0042】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明のバーコード表示媒体の第3の実施の形態に用いられる配線電極基板の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。なお、図6に示す配線電極基板210においても、図1に示したバーコード1を表示するためのバーコード表示媒体に用いられるものである。
【0043】
本形態における配線電極基板は図6に示すように、第1の実施の形態にて示したものに対して、固定領域2にて黒色のバー5を表示するための帯状電極13が配置されていない点のみが異なるものである。すなわち、本形態における配線電極基板210は、図1に示したバーコード1の固定領域2にて黒色のバー5に対応する帯状電極13が配置されていない。
【0044】
図7は、図6に示した配線電極基板210を用いたバーコード表示媒体の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0045】
本形態におけるバーコード表示媒体は図7に示すように、図6に示した配線電極基板210上に、第1の実施の形態に示したものと同様に、情報表示層20及び透明導電膜基板30が積層されているが、透明導電膜基板30においては、第1の実施の形態にて帯状電極13が配置されていた領域に対向する領域、すなわち、図6に示した配線電極基板210において帯状電極13が配置されなくなった領域に対向する領域に、図1に示したバー5による黒色のマスク印刷34が施されている。これにより、本形態におけるバーコード表示媒体は、図1に示したバーコード1の固定領域2におけるバー5の表示領域が、バー5の色の着色されていることになる。
【0046】
上記のように構成されたバーコード表示媒体においては、帯状電極12がマイナス電位とされるとともに、帯状電極14が、表現したい識別情報に応じてプラス電位あるいはマイナス電位とされる。すると、第1の実施の形態にて示したものと同様に、情報表示層20の透明導電膜基板30側から見える色が制御され、帯状電極12に対向する領域は白色のバー4に見えるようになり、帯状電極14に対向する領域は、識別情報に応じたバー4,5の配置に見えるようになる。そして、固定領域2のバー5の表示領域においては、帯状電極が配置されていないことにより、情報表示層20の透明導電膜基板30側から見える色はベース基板11の色のまま変化しないものの、透明導電膜基板30のマスク印刷34による黒色が見え、それにより、図1に示したバーコード1が認識されることになる。
【0047】
このように本形態においては、図1に示したバーコード1の固定領域2にて黒色のバー5に対応する帯状電極13が配置されておらず、その代わりに、バー5による黒色のマスク印刷34が施されているので、固定領域2においてバー5を表示するための帯状電極及び配線が不要となり、帯状電極に接続された配線の数がさらに減少し、帯状電極に接続された配線が形成しやすくすることができる。
【0048】
なお、上述した3つの実施の形態におけるバー4,5の色は、互いに反転したものであってもよく、さらには、上述した白色及び黒色に限らず、バーコードリーダにて読み取り可能な2色であればよい。ただし、バーコードリーダによるバーコード1の読み取りは、光の反射等の関係で白色の読み取りに非常に正確さを要するので、上述した3つの実施の形態に示したもののように、固定領域2における白色を、印刷ではなく可変領域3と同一の表示手段である情報表示層20を用いた表示とすることにより、バーコード1を構成するバー4,5のうち白色となるバーの色が固定領域2と可変領域3とで統一され、それにより、バーコード1によって表現される情報を正確に認識することができるようになる。
【0049】
また、本発明のバーコード表示媒体にて表示されるバーコードは、図1に示したようなCODE128に限らず、JAN、ITF、CODE39、NW−7等、固定領域と可変領域とを有するものであれば適用することができる。
【0050】
また、本発明のバーコード表示媒体は、上述したように、隔壁内液体22に分散した帯電性粒子23が、表裏に生じた電位差によって移動して表示が切り替わる垂直型電気泳動方式のものに限らず、表裏の配置された電極間における相転移による2つの異なる分子配向を利用して表示を行うコレステリック液晶方式や、有機染料を電気的に可逆的に酸化/還元状態にすることにより発色させるエレクトロクロミック方式や、電子粉粒体を用いたものや、EL(Electro Luminescence)等、電圧印加によって表示が切り替わるものであれば適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 バーコード
2 固定領域
3 可変領域
4,5 バー
10,110,210 配線電極基板
11 ベース基板
12〜14 帯状電極
15a,15b,16a〜16c,16c,18 配線
17 接続端子
19 スルーホール
20 情報表示層
21 隔壁
22 隔壁内液体
23 帯電性粒子
24 シール層
30 透明導電膜基板
31 透明基板
32 透明電極
33,34 マスク印刷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色を具備する第1のバーと第2の色を具備する第2のバーとが交互に並んで表示されることによって識別情報が表現され、前記第1及び第2のバーの幅が前記識別情報によらずに固定な固定領域と、前記第1及び第2のバーの幅が前記識別情報に応じて可変となる可変領域とを有するバーコードを表示するバーコード表示媒体であって、
前記第1及び第2のバーの並び方向に並んで配置された複数の帯状電極と、
前記複数の帯状電極に電位を印加するための配線と、
前記複数の帯状電極に対向して配置され、前記複数の帯状電極に印加された電位に応じて前記第1の色または前記第2の色を表示する情報表示手段とを有し、
前記複数の帯状電極のうち、前記固定領域における前記第1のバーを表示するための複数の帯状電極が1つの配線に接続されているバーコード表示媒体。
【請求項2】
請求項1に記載のバーコード表示媒体において、
前記複数の帯状電極は、ベース基板の一方の面に形成され、
前記固定領域における前記第2のバーを表示するための帯状電極は、前記ベース基板の一方の面に形成された第1の配線と、前記ベース基板の他方の面に形成され、前記ベース基板に形成された導通ホールを介して前記第1の配線に接続された第2の配線とによって互いに接続されているバーコード表示媒体。
【請求項3】
請求項1に記載のバーコード表示媒体において、
前記情報表示手段の前記複数の帯状電極とは反対側に配置され、前記固定領域における前記第2のバーの表示領域が前記第2の色に着色されている透明基材を有するバーコード表示媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−14068(P2011−14068A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159636(P2009−159636)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】