説明

バーナ

【課題】保炎性を向上できるバーナを提供すること。
【解決手段】鉛直方向下方を中心として第1噴霧角度θ1の範囲に液体の燃料を噴霧する第1燃焼ノズル13と、第1燃焼ノズル13を囲むように配置され、下方に向けて空気を噴射する複数のエアノズル16と、複数のエアノズル16の外方に配置され、複数のエアノズル16よりも下方に延びる燃焼筒17と、を備えるバーナ1であって、第1燃焼ノズル13は、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料の一部が燃焼筒17の下端部の近傍における内周面に到達する位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯油や重油等の液体燃料を噴霧して燃焼させるバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重油や軽油等の液体の燃料を燃焼室の内部で燃焼させて水を加熱し、蒸気又は温水を生成するボイラ装置においては、このボイラ装置の上部に配置され、燃料を下方に噴霧する燃焼ノズルと、この燃焼ノズルの周囲に配置され下方に向かって空気を噴射する複数のエアノズルと、を備えるバーナが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
このようなバーナでは、複数のエアノズルから噴射された空気と、燃焼ノズルから噴霧された燃料とが、燃焼ノズル及び複数のエアノズルの下方の空間において混合されて燃焼される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−16781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、以上のバーナでは、燃料は、燃焼室の内部の空間における空気と燃料とが混合される位置において燃焼される。そのため、空気の噴射量又は燃料の噴霧量によって、燃料が燃焼される位置は大きく変化してしまう。燃焼室の内部の空間において燃料が燃焼される位置が大きく変化してしまうと、燃料の燃焼に伴って発生する火炎の位置にばたつきが生じ、燃料の燃焼の安定性が低下してしまう。
【0005】
従って、本発明は、燃料の燃焼に伴って発生する火炎の位置を安定的に保持できる、つまり、保炎性を向上できるバーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、鉛直方向下方を中心として第1噴霧角度の範囲に液体の燃料を噴霧する第1燃焼ノズルと、前記第1燃焼ノズルを囲むように配置され、下方に向けて空気を噴射する複数のエアノズルと、前記複数のエアノズルの外方に配置され、該複数のエアノズルよりも下方に延びる燃焼筒と、を備えるバーナであって、前記第1燃焼ノズルは、該第1燃焼ノズルから噴霧された燃料の一部が前記燃焼筒の下端部の近傍における内周面に到達する位置に配置されるバーナに関する。
【0007】
また、前記第1燃焼ノズルは、前記燃焼筒の内周面の一部の領域に到達する位置に配置されることが好ましい。
【0008】
また、バーナは、前記第1燃焼ノズルに近接して配置され、鉛直方向下方を中心として第2噴霧角度の範囲に液体の燃料を噴霧する第2燃焼ノズルを更に備え、前記第2燃焼ノズルは、該第2燃焼ノズルから噴霧された液体燃料が前記燃焼筒に到達しない位置に配置されることが好ましい。
【0009】
また、前記燃焼筒は、円筒形状に構成され、前記第1燃焼ノズルは、前記燃焼筒の中心軸から偏心した位置に配置され、前記第2燃焼ノズルは、前記燃焼筒の中心軸上に配置されることが好ましい。

【0010】
また、バーナは、前記第1燃焼ノズルから噴霧された燃料を燃焼させる第1燃焼状態と、前記第1燃焼ノズル及び前記第2燃焼ノズルから噴霧された燃料を燃焼させる第2燃焼状態と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、前記第1燃焼ノズルは、前記燃焼筒の下端部の周方向において、該燃焼筒の中心軸の位置を中心として80°〜180°の範囲に到達する位置に配置されることが好ましい。
【0012】
また、前記第1燃焼ノズルは、該第1燃焼ノズルから噴霧された燃料が前記燃焼筒の下端部から40mm以下の範囲に到達する位置に配置されることが好ましい。
【0013】
また、前記第1噴霧角度は、前記第2噴霧角度よりも大きいことが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上述のバーナを具備するボイラ装置に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のバーナによれば、燃焼室の内部の空間における保炎性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るバーナを備えるボイラ装置を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すボイラ装置におけるバーナを拡大して示す縦断面図である。
【図3】第1燃焼ノズル及び第2燃焼ノズルの拡大図である。
【図4】図2のA矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のバーナの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のバーナ1を具備するボイラ装置100を示す縦断面図である。
図1に示すように、本実施形態のバーナ1は、重油や軽油等の液体の燃料を燃焼させて水を加熱し、蒸気又は温水を生成するボイラ装置100の一部を構成する。
【0018】
ボイラ装置100は、図1に示すように、缶体20と、複数の水管30と、下部管寄せ40と、上部管寄せ50と、バーナ1と、を備える。また、缶体20の内部には、燃焼室22及び燃焼ガス通路23が形成される。
【0019】
缶体20は、円筒形状に構成され、ボイラ装置100の外形の主要部を構成する。缶体20は、高さ方向が鉛直方向に沿うように配置される。缶体20の周面の上部には、開口21が形成されている。
【0020】
複数の水管30は、缶体20の内部に上下方向に延びて配置される。複数の水管30は、図1に示すように、内側水管群31と、この内側水管群31の外側に配置される外側水管群32と、を構成する。内側水管群31は、複数の水管30が缶体20の中心軸Xと同軸となるように環状に配置されて構成される。本実施形態では、内側水管群31を構成する水管30は、図1に示すように、下部の径が細く構成されており、この下部を除く部分において、隣り合って配置される水管30同士が当接して配置される。
【0021】
外側水管群32は、複数の水管30が缶体20の中心軸Xと同軸となるように、環状に配置されて構成される。また、外側水管群32は、内側水管群31との間に所定の空間が形成されるように缶体20の内面の近傍に配置される。本実施形態では、外側水管群32を構成する水管30は、図1に示すように、上部の径が細く構成されており、この上部を除く部分において、隣り合って配置される水管30同士が当接して配置される。
【0022】
燃焼室22は、図1に示すように、缶体20の内部において、内側水管群31に囲まれた空間により構成される。この燃焼室22では、後述するバーナ1の第1燃焼ノズル13及び第2燃焼ノズル14から噴霧された燃料が燃焼される。
燃焼ガス通路23は、内側水管群31の外側と缶体20の内面との間の空間により構成される。この燃焼ガス通路23には、燃焼室22で燃料が燃焼されて発生した燃焼ガスが流通する。
【0023】
下部管寄せ40は、缶体20の内部における下部に配置される。この下部管寄せ40は、環状の容器により構成される。下部管寄せ40には、複数の水管30(内側水管群31及び外側水管群32)の下端部が連結される。
上部管寄せ50は、缶体20の内部における上部に配置される。この上部管寄せ50は、環状の容器により構成される。上部管寄せ50には、複数の水管30(内側水管群31及び外側水管群32)の上端部が連結される。
【0024】
バーナ1は、缶体20の上部、より具体的には、燃焼室22の上部に配置される。このバーナ1は、図1及び図2に示すように、内筒部11と、この内筒部11の外側に配置される外筒部12と、内筒部11の内部に配置される第1燃焼ノズル13、第2燃焼ノズル14と及び着火部15と、複数のエアノズル16と、燃焼筒17と、を備える。
【0025】
内筒部11は、円筒形状を有しており、缶体20の上部の中央部に配置される。内筒部11は、中心軸が缶体20の中心軸Xと一致するように配置される。この内筒部11の底面には、図3に示すように、燃焼室22と連通する開口111が形成されている。
外筒部12は、内筒部11の直径よりも大きな直径を有する円筒形状に形成される。この外筒部12は、中心軸が内筒部11の中心軸と一致するように配置される。外筒部12の内面と内筒部11の外面との間には、空間が形成されており、この空間には、外筒部12の上部に接続された空気供給装置(図示せず)から空気が供給される。外筒部12の底面には、図3に示すように、複数の開口121が形成されている。複数の開口121は、缶体20の中心軸Xを中心として環状に配置される。
【0026】
第1燃焼ノズル13は、図1〜図4に示すように、缶体20の中心軸Xに対して、若干偏心した位置に配置される。この第1燃焼ノズル13は、第1燃料供給管131と、第1ノズルチップ132と、を備える。
第1燃料供給管131は、内筒部11の内部に鉛直方向(上下方向)に延びて配置される。第1燃料供給管131の基端部(上端部)は、燃料供給装置(図示せず)に接続される。
第1ノズルチップ132は、第1燃料供給管131の先端部(下端部)に配置される。第1ノズルチップ132は、鉛直方向下方を中心として、第1噴霧角度θ1の範囲に液体の燃料を噴霧可能に構成される。第1噴霧角度θ1は、噴霧される燃焼の一部を好適に燃焼筒17に到達させる観点から、好ましくは65°〜85°である。
【0027】
以上の第1燃焼ノズル13によれば、燃料供給装置から第1燃料供給管131に供給された液体の燃料は、第1ノズルチップ132から鉛直方向下方を中心として第1噴霧角度θ1の範囲に噴霧される。
【0028】
第2燃焼ノズル14は、第1燃焼ノズル13に近接して配置される。より具体的には、第2燃焼ノズル14は、缶体20の中心軸Xに一致する位置に配置される。この第2燃焼ノズル14は、第2燃料供給管141と、第2ノズルチップ142と、を備える。
第2燃料供給管141は、内筒部11の内部に鉛直方向(上下方向)に延びて配置される。第2燃料供給管141の基端部(上端部)は、燃料供給装置(図示せず)に接続される。
第2ノズルチップ142は、第2燃料供給管141の先端部(下端部)に配置される。第2ノズルチップ142は、鉛直方向下方を中心として、第2噴霧角度θ2の範囲に液体の燃料を噴霧可能に構成される。本実施形態では、第2噴霧角度θ2は、上述の第1噴霧角度θ1よりも小さく構成される。より具体的には、第2噴霧角度θ2は、噴霧される燃料を燃焼筒17に到達させない観点から、好ましくは55°〜65°である。
【0029】
以上の第2燃焼ノズル14によれば、燃料供給装置から第2燃料供給管141に供給された液体の燃料は、第2ノズルチップ142から鉛直方向下方を中心として第2噴霧角度θ2の範囲に噴霧される。第2燃焼ノズル14と第1燃焼ノズル13との距離W(図3参照)は、バーナ1をコンパクトに構成する観点から、好ましくは10mm〜30mmである。
【0030】
着火部15は、上下方向に延びて配置される。この着火部15の先端部(下端部)は、第1ノズルチップ132に近接して配置される。着火部15は、火花を発生させることで、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料に着火し、燃料の燃焼を開始させる。
【0031】
複数のエアノズル16は、第1燃焼ノズル13及び第2燃焼ノズル14を囲むように配置される。より具体的には、複数のエアノズル16は、外筒部12の底面における複数の開口が形成された位置に配置される。複数のエアノズル16は、空気供給装置(図示せず)から外筒部12の内面と内筒部11の外面との間の空間に供給された空気を、下方に向けて噴射する。
【0032】
燃焼筒17は、複数のエアノズル16から下方に向かって噴射された空気の流れを整流する。この燃焼筒17は、複数のエアノズル16の外方に配置され、これら複数のエアノズル16よりも下方に延びる。
燃焼筒17は、外筒部12の下部の外面に取り付けられる第1筒部171と、この第1筒部171の下部に連結される第2筒部172と、を備える。
第1筒部171は、外筒部12の外径と略等しい内径に構成された外筒連結部171aと、この外筒連結部171aの下方に設けられ拡径した拡径部171bと、この拡径部171bの下方に設けられ第2筒部172が連結される第2筒連結部171cと、を備える。
第2筒部172は、上面及び下面が開放された円筒形状に形成され、第2筒連結部171cの内面に連結される。
以上の燃焼筒17(第2筒部172)は、中心軸が缶体20の中心軸Xと一致する位置に配置される。
【0033】
以上説明したバーナ1では、第1燃焼ノズル13は、この第1燃焼ノズル13から第1噴霧角度θ1で燃料が噴霧された場合に、噴霧された燃料の一部が第2筒部172の下端部の近傍における内周面に到達する位置に配置される。また、第2燃焼ノズル14は、この第2燃焼ノズル14から第2噴霧角度θ2で燃料が噴霧された場合に、噴霧された燃料が第2筒部172の下端部の近傍における内周面に到達しない位置に配置される。
【0034】
本実施形態では、第1燃焼ノズル13は、燃焼筒17の中心軸(缶体20の中心軸X)から偏心した位置に配置されており、これにより、噴霧された燃料は第2筒部172の内周面の一部の領域に到達する。
より具体的には、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料は、図4に示すように、第2筒部172の下端部の周方向において、第2筒部172の中心軸の位置を中心として80°〜180°の範囲(図4における角度θ3の範囲)に到達する位置に配置されることが好ましい。また、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料は、図2に示すように、燃焼筒17(第2筒部172)の下端部から40mm以下の範囲(図2における符号hの範囲)に到達することが好ましい。
【0035】
第2筒部172の中心軸の位置を中心として180°を超える範囲に噴霧された燃料が到達した場合には、燃焼筒17に当たる燃料の量が多くなりすぎてしまい、バーナ1の燃料として揮発性の低い重油等を用いた場合に、燃料の燃焼に伴って多量のすすが発生してしまうおそれがある。
また、燃焼筒17の下端部から40mmよりも上部にまで噴霧された燃料が到達した場合には、上述と同様に、燃焼筒17に当たる燃料の量が多くなりすぎてしまい、燃料の燃焼に伴って多量のすすが発生してしまうおそれがある。特に、バーナ1の燃料として揮発性の低い重油等を用いた場合には、すすの発生をより低減させる観点から、噴霧された燃料を燃焼筒17(第2筒部172)の下端部から15mm以下の範囲に到達させることがより好ましい。
また、噴霧された燃料が燃焼筒17に到達する範囲が第2筒部172の中心軸の位置を中心として40°未満の場合には、保炎性を好適に確保しにくくなるおそれがある。
【0036】
また、本実施形態では、第2燃焼ノズル14は、燃焼筒17の中心軸(缶体20の中心軸X)上に配置されており、これにより、第2燃焼ノズル14から噴霧された燃料は、燃焼筒17に到達しない。
【0037】
以上のバーナ1は、第1燃焼ノズル13のみから燃料を噴霧させて燃料を燃焼させる第1燃焼状態としての低燃焼状態、及び第1燃焼ノズル13及び第2燃焼ノズル14の両方のノズルから燃料を噴霧させる第2燃焼状態としての高燃焼状態、並びに、燃料を燃焼させない停止状態の3つの燃焼状態(3位置)を切り替え可能に構成される。
【0038】
バーナ1において、低燃焼状態で燃料を燃焼させる場合、まず、第1燃焼ノズル13から第1噴霧角度θ1の範囲に燃料が噴霧されると共に、複数のエアノズル16から下方に向かって空気が噴射される。そして、着火部15により第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料が着火され、燃料は火炎を発生させながら燃焼する。ここで、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料の一部は、第2筒部172の内面に到達する。すると、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料が燃焼して発生する火炎の位置は、第2筒部172の内面における燃料が到達する位置を保炎源として安定化される。
【0039】
一方、バーナ1において、高燃焼状態で燃料を燃焼させる場合には、低燃焼状態において燃料が噴霧されている第1燃焼ノズル13からの燃料の噴霧は維持しつつ、更に第2燃焼ノズル14から第2噴霧角度θ2の範囲に燃料が噴霧される。これにより、バーナ1において燃焼される燃料の量が増加され、高燃焼状態が達成される。ここで、高燃焼状態においても第1燃焼ノズル13からの燃料の噴霧は維持されているため、第2筒部172の内面における燃料が到達する位置を保炎源とした火炎の安定化状態は維持される。また、第2燃焼ノズル14から噴霧される燃料は、燃焼筒17には到達しないため、燃焼筒17に当たる燃料の量が多くなりすぎることを防げる。
【0040】
次に、本実施形態のバーナ1を具備するボイラ装置100の動作につき説明する。
ボイラ装置100では、まず、上述のように、バーナ1により燃焼室22において燃料が燃焼される。燃焼室22において燃料が燃焼して発生した燃焼ガスは、燃焼室22を囲むように配置された複数の水管30(内側水管群31)の内部を流通する水を加熱する。次いで、燃焼ガスは、燃焼室22の下部に形成された隙間から燃焼ガス通路23を通り、更に複数の水管30(内側水管群31及び外側水管群32)の内部を流通する水を加熱する。そして、燃焼ガス通路23を通った燃焼ガスは、缶体20の上部に形成された開口21から、この開口21に連結された排気筒(図示せず)を通って外部に排出される。
【0041】
尚、複数の水管30の内部には、複数の水管30の下部に配置された下部管寄せ40から水が供給される。そして、複数の水管30の内部において加熱された水は、蒸気となり、上部管寄せ50から蒸気供給管(図示せず)に供給される。
【0042】
以上説明した本実施形態のバーナ1によれば、以下のような効果を奏する。
【0043】
(1)第1燃焼ノズル13を、この第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料の一部が第2筒部172の内面に到達する位置に配置した。これにより、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料が燃焼して発生する火炎の位置を、第2筒部172の内面における燃料が到達する位置を保炎源として安定化できる。よって、燃焼室22の内部の空間における保炎性を向上できる。
【0044】
(2)第1燃焼ノズル13を、第2筒部172の内周面の一部の領域に到達する位置に配置した。これにより、燃焼筒17に当たる燃料の量が多くなりすぎることを防げるので、バーナ1の燃料として揮発性の低い重油等を用いた場合であっても、燃料の燃焼に伴って多量のすすが発生することを防げる。
【0045】
(3)バーナ1を、第2燃焼ノズル14を含んで構成し、この第2燃焼ノズル14を、第2燃焼ノズル14から噴霧された燃料が燃焼筒17に到達しない位置に配置した。これにより、第1燃焼ノズル13及び第2燃焼ノズル14の両方から燃料を噴霧した場合において、第2燃焼ノズル14から噴霧された燃料が燃焼筒17に到達しないので、燃焼筒17に当たる燃料の量を適性化できる。よって、第1燃焼ノズル13及び第2燃焼ノズル14の両方から燃料を噴霧した場合における保炎性を向上できる。
【0046】
(4)バーナ1を、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料を燃焼させる低燃焼状態と、第1燃焼ノズル13及び第2燃焼ノズル14から噴霧された燃料を燃焼させる高燃焼状態と、を切り替え可能に構成した。これにより、低燃焼状態及び高燃焼状態のいずれの燃焼状態においても、第1燃焼ノズル13から燃料が噴霧される。よって、低燃焼状態及び高燃焼状態のいずれの燃焼状態においても、燃料の一部が燃焼筒17に到達する状態を維持できるので、バーナ1の燃焼状態にかかわらず保炎性を向上できる。
【0047】
(5)第1燃焼ノズル13を、燃焼筒17の下端部の周方向において、燃焼筒17の中心軸の位置を中心として80°〜180°の範囲に到達する位置に配置した。これにより、燃焼筒17に到達する燃料の量を適性の範囲に保てるので、保炎性をより向上できる。
【0048】
(6)第1燃焼ノズル13を、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料が燃焼筒17の下端部から40mm以下の範囲に到達する位置に配置した。これにより、燃焼筒17に到達する燃料の量を適性の範囲に保てるので、保炎性をより向上できる。
【0049】
(7)第1噴霧角度θ1を、第2噴霧角度θ2よりも大きく構成した。これにより、第1燃焼ノズル13と第2燃焼ノズル14とを近接した位置に配置しつつ、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料の一部のみを燃焼筒17の内周面に到達させられる。よって、バーナ1をコンパクト化できる。
【0050】
以上、本発明のバーナ1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料の一部を、燃焼筒17の内周面の一部の領域にのみ到達させたが、これに限らない。即ち、燃料として、揮発性の高い灯油等を用いた場合には、第1燃焼ノズル13から噴霧された燃料の一部を、燃焼筒の内周面の全周に亘って到達させてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ノズル
13 第1燃焼ノズル
14 第2燃焼ノズル
16 エアノズル
17 燃焼筒
100 ボイラ装置
θ1 第1噴霧角度
θ2 第2噴霧角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向下方を中心として第1噴霧角度の範囲に液体の燃料を噴霧する第1燃焼ノズルと、
前記第1燃焼ノズルを囲むように配置され、下方に向けて空気を噴射する複数のエアノズルと、
前記複数のエアノズルの外方に配置され、該複数のエアノズルよりも下方に延びる燃焼筒と、を備えるバーナであって、
前記第1燃焼ノズルは、該第1燃焼ノズルから噴霧された燃料の一部が前記燃焼筒の下端部の近傍における内周面に到達する位置に配置されるバーナ。
【請求項2】
前記第1燃焼ノズルは、前記燃焼筒の内周面の一部の領域に到達する位置に配置される請求項1に記載のバーナ。
【請求項3】
前記第1燃焼ノズルに近接して配置され、鉛直方向下方を中心として第2噴霧角度の範囲に液体の燃料を噴霧する第2燃焼ノズルを更に備え、
前記第2燃焼ノズルは、該第2燃焼ノズルから噴霧された燃料が前記燃焼筒に到達しない位置に配置される請求項1又は2に記載のバーナ。
【請求項4】
前記燃焼筒は、円筒形状に構成され、
前記第1燃焼ノズルは、前記燃焼筒の中心軸から偏心した位置に配置され、
前記第2燃焼ノズルは、前記燃焼筒の中心軸上に配置される請求項3に記載のバーナ。
【請求項5】
前記第1燃焼ノズルから噴霧された燃料を燃焼させる第1燃焼状態と、
前記第1燃焼ノズル及び前記第2燃焼ノズルから噴霧された燃料を燃焼させる第2燃焼状態と、を備える請求項3又は4に記載のバーナ。
【請求項6】
前記第1燃焼ノズルは、前記燃焼筒の下端部の周方向において、該燃焼筒の中心軸の位置を中心として80°〜180°の範囲に到達する位置に配置される請求項1〜5のいずれかに記載のバーナ。
【請求項7】
前記第1燃焼ノズルは、該第1燃焼ノズルから噴霧された燃料が前記燃焼筒の下端部から40mm以下の範囲に到達する位置に配置される請求項1〜6のいずれかに記載のノズル。
【請求項8】
前記第1噴霧角度は、前記第2噴霧角度よりも大きい請求項3〜5のいずれかに記載のバーナ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のバーナを備えるボイラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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