説明

パイプの吸音構造

【課題】 所定の吸音性能を維持しつつ、パイプの外周面上に巻着される吸音シートを薄く、かつ軽くすることができるパイプの吸音構造を提供する。
【解決手段】 パイプの吸音構造10は、内部に流体が流通するパイプ11の外周面上に、吸音シート12を巻着して構成されており、該吸音シート12は、クレープ紙21と、該クレープ紙21の少なくとも片面に積層された不織布製の多孔質シート22と、の積層体からなるものであり、該クレープ紙21が優れた吸音性能を発揮することで、流体の流通時にパイプ11の内部で生じた騒音を吸音するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば家屋の排水パイプや自動車の排気パイプ等のような内部に流体が流通するパイプにおいて、該流体の流通時に発生する騒音を吸音可能としたパイプの吸音構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から上記のようなパイプについては流体の流通時に発生する騒音が問題視されており、該騒音を低減するべく種々の試みが為されている。
例えば特許文献1の配管防音材は、チップ状の発泡体を接着剤により接着してシート状などに成型した吸音層を有しており、該配管防音材で配管の外側を被覆している。特許文献2の機能管体では、天然セルロース繊維を基材とするシート材から構成された機能材で管体の外周面を被覆している。特許文献3の防音・遮音材は、低比重の防音繊維体と高比重の遮音繊維体とを積重ね、これら両繊維体を合わせ面方向に分散する多数の可撓性の繊維によって結合してなり、該防音・遮音材を配管に筒状に巻き付け可能としている。特許文献4の配管防音構造は、配管部材の外周を囲着する配管防音部材が、85重量%以上の無機質人造繊維の不織布からなる吸音材の表面及び裏面の一方又は双方に遮音層が設けられた2層以上の防音材層を備えている。特許文献5の防音排水管は、管体の外周面を防音部材で被覆したものであり、該防音部材としてグラスウール又はグラスファイバーシート製の吸音層と、該吸音層の外側に被覆されてなる遮音層とからなるものが使用されている。特許文献6の防音性合成樹脂管部材は、合成樹脂管又は継手の外面に防音材が、吸音層を内面にして、少なくとも1重に設けられており、該吸音層には不織布又は連続気泡フォームが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−101385号公報
【特許文献2】特開2006−234118号公報
【特許文献3】特開2007−270976号公報
【特許文献4】特開2007−146964号公報
【特許文献5】特開2009−264577号公報
【特許文献6】特開2010−25337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが上記従来構成においては、発泡体や、繊維からなるシートあるいはマット等の吸音材を使用して騒音に対処しているが、このような吸音材で十分な吸音性能を発揮させるには、該吸音材に厚みがあって重いものを使用しなければならない。このため、該吸音材を巻着した外径が過剰に大きくなることでパイプを収めるためのスペースが問題となったり、パイプに加わる重量負荷が大きくなったりするという問題が生じていた。さらに上記従来構成では、厚みのある吸音材が可撓性を阻害するため、可撓パイプには適用しづらいという問題もあった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、所定の吸音性能を維持しつつ、パイプの外周面上に巻着される吸音シートを薄く、かつ軽くすることができるパイプの吸音構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のパイプの吸音構造の発明は、内部に流体が流通するパイプ11の外周面上に、クレープ紙21と、該クレープ紙21の少なくとも片面に積層された不織布製の多孔質シート22と、の積層体からなる吸音シート12を巻着して構成されていることを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパイプの吸音構造の発明において、上記クレープ紙21は、クレープ率が10〜50%、通気抵抗が0.06〜7.00kPa・s/mの範囲に設定されており、上記吸音シート12は、通気抵抗が0.2〜10.0kPa・s/mの範囲に設定されていることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のパイプの吸音構造の発明において、上記クレープ紙21は、叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲の多孔質パルプ繊維を90質量%以上含むことを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパイプの吸音構造の発明において、上記吸音シート12には難燃剤を含ませてあることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
[作用]
本発明によれば、クレープ紙21は、表面に縮緬状の皺が形成された紙材であり、薄く軽いものでありながら、該吸音シート12の通気抵抗を吸音に好適な値とし、さらに積層された多孔質シート22との間に該皺によって空隙を形成することで、優れた吸音性能を発揮する。従って吸音シート12は、クレープ紙21が主となって騒音に対する吸音性能を発揮することで、発泡体や繊維からなるシートあるいはマット等の吸音材のみで吸音性能を発揮させる従来構成のものと比較して遜色の無い吸音性能を発揮しつつも、従来構成のものよりも薄く、軽いシートとすることが出来る。さらに不織布製の多孔質シート22は、クレープ紙21の吸音性能を補うように吸音性能を発揮しつつ、該クレープ紙21を補強することで、該クレープ紙21の破れ等を抑制している。
【0010】
上記クレープ紙21は、該クレープ紙21が優れた吸音性能を発揮するという観点から、クレープ率が10〜50%、通気抵抗が0.06〜7.00kPa・s/mの範囲に設定されていることが望ましい。上記吸音シート12は、優れた吸音性能を発揮させることが出来るという観点から、通気抵抗が0.2〜10.0kPa・s/mの範囲に設定されていることが望ましい。
【0011】
上記クレープ紙21には、表面に開口する細孔を多数有する多孔質パルプ繊維を使用することが望ましい。該多孔質パルプ繊維は、繊維自体が通気性および空気保持性を有しており、更に繊維表面にケバ(毛羽)を多数有する。このような通気性、空気保持性を有する多孔質パルプ繊維を90質量%以上含む繊維からなるクレープ紙21は、繊維相互間に形成される空間によっても通気性、空気保持性が付されるので、吸音性能が極めて高い吸音材料となる。またパルプ繊維をビーターやディスクリファイナーを使用して機械的に叩いたり磨砕したりすることを叩解というが、パルプ繊維を叩解すると、叩解過程で摩擦作用によって繊維表面が毛羽立ち、ささくれが発生し、更に繊維表面の微細な空気溝(孔)が拡大して繊維は多孔質になる。但し叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350ml(CSF)を下回ると多孔質パルプ繊維の叩解が過度に進んで繊維が細分化されてしまい、このようなパルプ繊維を原料として使用するとクレープ紙21の密度が高くなり吸音特性が低下する。一方叩解度が650ml(CSF)を超えると繊維の毛羽立ちや、ささくれ、あるいは同心円状の緩みが不充分となり、パルプ繊維の多孔質化が不充分となり通気性、空気保持性が低下して吸音特性が悪くなる。
【0012】
[効果]
本発明によれば、所定の吸音性能を維持しつつ、パイプの外周面上に巻着される吸音シートを薄く、かつ軽くすることができるパイプの吸音構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態のパイプの吸音構造を示す断面図。
【図2】通気抵抗Rの測定方法を説明する説明図。
【図3】別形態のパイプの吸音構造を示す断面図。
【図4】別形態のパイプの吸音構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、パイプの吸音構造10は、内部に流体が流通するパイプ11の外周面上に、吸音シート12を巻着して構成されている。また該吸音シート12は、該パイプ11の端部で結束バンド13によって緊結されることにより、該パイプ11に対して位置ずれしないように固定されている。
該吸音シート12は、多孔質パルプ繊維からなるクレープ紙21と、該クレープ紙21の片面に積層された多孔質シート22と、からなる積層体によって構成されている。
本実施形態の吸音シート12は、該クレープ紙21をパイプ11側に、該多孔質シート22を外面側にして、パイプ11に巻着されている。そして、パイプ11の内部を流体が流通するときに発生する騒音を吸音し、外部へ漏らさないように機能している。
なお、該吸音シート12は、該多孔質シート22をパイプ11側に、該クレープ紙21を外面側にして、該パイプ11に巻着されてもよい。
以下に吸音シート12の各材料について詳説する。
【0015】
〔クレープ紙〕
クレープ紙21に使用される多孔質パルプ繊維は、非木材系植物繊維および/または木材系植物繊維からなり、通常針葉樹や広葉樹のチップを原料とし、叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲の多孔質パルプ繊維である。
上記叩解は通常コニカルリファイナー、ディスクリファイナー等によって行われる。パルプ繊維の叩解度が650ml(CSF)を超えている場合には、パルプ繊維のケバや同心円状の緩みが不充分となり、パルプ繊維表面に開口する多数の細孔による多孔質化が不充分となり空隙率が低下してクレープ紙21の吸音性能に悪影響が及ぼされるおそれがある。一方350ml(CSF)を下回るとパルプ繊維がフィブリル化し細分化されてしまい、微細繊維が増加するので、かかるパルプ繊維からなるパルプ繊維シート、即ちクレープ紙の密度が高くなって吸音特性に悪影響が及ぼされるおそれがある。
上記クレープ紙21にあっては、上記多孔質パルプ繊維と通常繊維(非多孔質パルプ繊維)とを混合した混合繊維を使用してもよい。なお、この場合の混合比率は多孔質パルプ繊維が90質量%以上含まれるべきであり、望ましくは95質量%以上、更に望ましくは100質量%含まれるべきである。混合比率が90質量%に満たない場合、クレープ紙21の吸音特性に悪影響が及ぼされるおそれがある。
【0016】
(通常繊維)
上記通常繊維(非多孔質パルプ繊維)としては、例えばポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の有機合成繊維、とうもろこしやサトウキビ等の植物から抽出された澱粉からなる生分解繊維(ポリ乳酸繊維)、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、あるいはこれらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維の1種または2種以上の繊維が使用される。望ましい繊維としては、PETボトル等のポリエステル製品廃棄物から再生した再生ポリエステル繊維がある。
【0017】
(クレープ加工)
上記多孔質パルプ繊維、あるいは上記多孔質パルプ繊維と上記通常繊維との混合繊維は、例えば抄造法、ニードルパンチング法等を適用することによってシート化され、パルプ繊維シートとされる。そして該パルプ繊維シートにクレープ加工を施すことによって、吸音性能に優れかつ成形性の良いクレープ紙21が得られる。
該クレープ紙21には、クレープ加工のみを施すことで表面に縮緬状の皺が形成されたクレープ加工紙と、クレープ加工とさらにエンボス加工を施すことで表面に縮緬状の皺と多数の凹凸が形成されたクレープエンボス加工紙とがあり、何れを使用してもよい。
【0018】
上記クレープ加工には、湿紙の状態でプレスロールやドクターブレードを用いて縦方向に圧縮して皺付けを行なうウェットクレープと、シートをヤンキードライヤーやカレンダーで乾燥した後ドクターブレード等を用いて縦方向に圧縮して皺付けを行なうドライクレープがある。そしてクレープ紙21には、下記式で計算されるクレープ率が10〜50%、望ましくは20〜50%のものを使用することが望ましい。
クレープ率(%)=(A/B)×100
A:紙抄造工程における抄紙速度
B:紙の巻き取り速度
即ちクレープ率とはペーパーウェブがクレーピングで縦方向(抄造方向)に圧縮される割合である。
該クレープ率が10%未満の場合には、クレープ紙21の吸音性能の向上が顕著でなくなり、かつ延伸性が不充分となって曲げなどの変化に追従しにくくなり、一方該クレープ率が50%を越えると、やはり成形時に皺が発生し易くなる。
【0019】
上記エンボス加工は、表面に多数の凹凸を設けたロール(エンボスロール)やプレート(エンボスプレート)をクレープ加工紙に押圧し、該クレープ加工紙の表面に多数の突起を形成する加工方法である。クレープエンボス加工紙における凹凸による突起の高さは0.02〜2.00mmであることが望ましく、かつ突起数は20〜200個/cmであることが望ましい。該突起高さが0.02mm未満の場合には、該クレープ紙21の吸音性能が悪くなり、かつ延伸性が不充分となって成形時に皺が発生し易くなり、一方該突起高さが2.00mmを超えても成形時に皺が発生し易くなる。また突起数が20個/cm未満の場合には、該クレープ紙21の吸音性能が悪くなり、また延伸性が不充分となって成形時に皺が発生し易くなり、一方突起数が200個/cmを超えても、該クレープ紙21の吸音性能が悪くなる。
【0020】
クレープ紙21の通気抵抗は、該クレープ紙21に吸音性能を発揮させつつ、上記吸音シート12の通気抵抗を後述する範囲内に設定するという観点から、0.06〜7.00kPa・s/mの範囲とすることが望ましい。通気抵抗が0.06kPa・s/mに満たない場合にはクレープ紙21の密度が低くなり過ぎ、該クレープ紙21の強度や剛性が低下し、吸音性能が不充分になる。また通気抵抗が7.00kPa・s/mを越える場合にはクレープ紙21の密度が高くなり、吸音特性が不充分になり、剛性が大きくなりすぎて柔軟性が減少し、成形性も悪くなる。
クレープ紙21の目付量は、通常品が5〜100g/m程度であることに対し、望ましくは10〜50g/mである。この範囲で該クレープ紙21の通気抵抗0.06〜7.00kPa・s/mが実現される。そして該目付量が5g/mに満たない場合にはクレープ紙21の強度が低下して成形時にクレープ紙21の破れが生じ易くなり、一方、目付量が100g/mを越えると質量が増大して吸音シート12の軽量性が失われ、かつ成形性が低下し皺が生じ易くなる。
【0021】
〔多孔質シート〕
多孔質シート22を構成する不織布に用いられる有機合成繊維としては、例えば上記通常繊維として用いられる有機合成繊維と同様の有機合成繊維が例示される。
また、上記有機合成繊維としては、融点が180℃以下である低融点熱可塑性樹脂繊維を使用してもよい。該低融点熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維等がある。これらの低融点熱可塑性樹脂繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。また、これらの低融点熱可塑性樹脂繊維を芯とし、融点が200℃以上の高融点繊維を鞘とした、あるいは融点が200℃以上の高融点繊維を芯とし、低融点熱可塑性樹脂繊維を鞘とした芯鞘構成の複合繊維等が使用される。
上記不織布は、上記有機合成繊維のウェブをニードルパンチングによって絡合せしめる方法やスパンボンド法、あるいは上記低融点熱可塑性樹脂繊維を含む上記有機合成繊維のウェブまたはニードルパンチによる絡合物を加熱して上記低融点熱可塑性樹脂繊維を溶融することによって繊維相互を結着するサーマルボンド法、あるいは上記有機合成繊維のウェブのシートまたはマットに合成樹脂バインダーを含浸あるいは混合せしめて結着するケミカルボンド法、あるいは上記有機合成繊維のウェブのシートまたはマットをニードルパンチングによって絡合した上で該低融点熱可塑性繊維を加熱軟化せしめて結着する方法、あるいは糸で縫い込むステッチボンド法、あるいは高圧水流で絡ませるスパンレース法等によって製造される。
なお、該吸音シート12の軽量性や吸音性能の観点から、多孔質シート22に用いられる不織布の目付量は10〜200g/mであることが望ましい。
【0022】
〔吸音シート〕
上記クレープ紙21と上記多孔質シート22とは、通気性接着剤層によって接着されることで、積層体からなる吸音シート12とされる。上記通気性接着剤層は、例えばホットメルト接着剤粉末を撒布したり、くもの巣状ホットメルト接着剤層を介在させたり、溶液状あるいは水性エマルジョンをスプレー塗装、シルク印刷、オフセット印刷等によって点状あるいは線状に塗布する方法等によって形成される。ホットメルト接着剤粉末を撒布する場合は、吸音性能を良好なものとするという観点から、ホットメルト接着剤粉末の篩分け法による粒度が80〜500μm、軟化温度が80〜180℃の範囲、撒布量は2〜40g/mの範囲とすることが望ましい。
【0023】
上記吸音シート12は、吸音性能を良好なものとするという観点から、通気抵抗を0.2〜10.0kPa・s/mとすることが望ましい。
ここで、上記の通気抵抗(Pa・s/m)とは、通気性材料の通気の程度を表す尺度である。この通気抵抗の測定は定常流差圧測定方式により行われる。図2に示すように、シリンダー状の通気路W内に試験片Tを配置し、一定の通気量V(図中矢印の向き)の状態で図中矢印の始点側の通気路W内の圧力P1と、図中矢印の終点P2の圧力差を測定し、次式より通気抵抗Rを求めることが出来る。
R=ΔP/V
ここで、ΔP(=P1−P2):圧力差(Pa)、V:単位面積当りの通気量(m/m・s)である。
通気抵抗は、例えば、通気性試験機(製品名:KES−F8−AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)によって測定することが出来る。
【0024】
(合成樹脂)
上記クレープ紙21や多孔質シート22のそれぞれ、あるいはクレープ紙21及び多孔質シート22を積層した上記吸音シート12には、通気抵抗を調節するため、あるいは剛性や成形性を付与するため、合成樹脂等を塗布および/または含浸および/または混合させてもよい。合成樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂が例示される。
【0025】
上記熱可塑性樹脂としては、例えばアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム共重合(ASA)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合(ACS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂、エチレンビニルアルコール共重合(EVOH)樹脂、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリブタジエン(BDR)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合(ABS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、酢酸繊維素(セルロースアセテート:CA)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリオキシメチレン(=ポリアセタール)(POM)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、全芳香族ポリエステル(POB)等が例示される。このような熱可塑性樹脂は、クレープ紙21や不織布のそれぞれ、あるいはクレープ紙21と不織布を積層してなる積層繊維シートに含浸および/または塗布および/または混合されることにより、成形形状保持性および剛性を付与する。
上記熱可塑性樹脂は、2種以上混合使用されてもよく、また熱可塑性シートの熱可塑性樹脂を阻害しない程度で若干量の熱硬化性樹脂の1種または2種以上を混合使用してもよい。該熱可塑性樹脂は取り扱いが容易な点から水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパージョンの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
【0026】
上記熱硬化性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化性アクリル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル等が使用されるが、該合成樹脂を生成するウレタン樹脂プレポリマー、尿素樹脂プレポリマー(初期縮合体)、フェノール樹脂プレポリマー(初期縮合体)、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等のプレポリマー、オリゴマー、モノマー等の合成樹脂前駆体が使用されてもよい。該熱硬化性樹脂も取り扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパーションの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
上記熱硬化性樹脂あるいは合成樹脂前駆体は二種以上混合使用されてもよい。
上記合成樹脂、特に熱硬化性樹脂の添加は、上記クレープ紙21や上記多孔質シート22のそれぞれ、あるいはクレープ紙21と多孔質シート22を積層してなる上記吸音シート12、さらには後述する多孔質基材23の成形形状保持性と剛性を共に向上せしめる。
【0027】
また、特に本発明で使用される合成樹脂として望ましいのは、フェノール系樹脂である。該フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。
【0028】
上記クレープ紙21や上記多孔質シート22のそれぞれ、あるいはクレープ紙21と多孔質シート22を積層してなる上記吸音シート12に上記合成樹脂を塗布含浸するには、通常は上記合成樹脂の水性エマルジョンあるいは水性ディスパーションに上記クレープ紙21、上記多孔質シート22、あるいは上記吸音シート12を浸漬するか、あるいはナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等によって塗布する。
上記合成樹脂を含浸または塗布したクレープ紙21、多孔質シート22、あるいは吸音シート12中の樹脂量を調節するには、樹脂を含浸または塗布後、該クレープ紙21、該多孔質シート22、あるいは該吸音シート12を絞りロールやプレス盤を使用して絞る。この場合、該不織布からなる多孔質シート22、あるいは該不織布からなる多孔質シート22を含む吸音シート12は、その厚みを減少させるが、該不織布が低融点繊維からなるか、あるいは低融点繊維が含まれている場合には、上記合成樹脂含浸前に不織布を加熱して低融点繊維を溶融させ、繊維を該溶融物によって結着しておくことが望ましい。そうすると該不織布は強度および剛性が更に向上し、合成樹脂含浸の際の作業性が向上し、また絞り後の厚みの復元も顕著になる。
上記合成樹脂を含浸または塗布した後は、上記クレープ紙21、上記多孔質シート22、あるいは上記吸音シート12を常温または加熱して乾燥させる。
【0029】
〔吸音シートの製造〕
上記吸音シート12は、上記クレープ紙21と上記多孔質シート22とを積層することによって製造される。なお図1中ではクレープ紙21の片面にのみ多孔質シート22を積層しているが、クレープ紙21の両面に多孔質シート22を積層してもよい。
【0030】
上記吸音シート12は、パイプ11に巻着しやすくするため、所定形状に成形されていてもよい。上記吸音シート12の構成要素であるクレープ紙21および/または多孔質シート22の不織布に熱可塑性樹脂が塗布および/または含浸および/または混合されているか、あるいは多孔質シート22の不織布が低融点繊維からなるか、あるいは低融点繊維を含む場合には、上記吸音シート12を上記熱可塑性樹脂あるいは低融点繊維の軟化温度以下でホットプレスを行なうか、あるいは上記軟化温度以上に加熱した上でコールドプレスを行なう。
【0031】
上記クレープ紙21および/または多孔質シート22の不織布に熱硬化性樹脂が塗布および/または含浸および/または混合されている場合には、上記クレープ紙21および/または多孔質シート22の不織布を上記熱硬化性樹脂の硬化温度あるいはそれ以上の温度でホットプレスを行なう。
上記吸音シート12は、パイプ11の外周面上に巻着されて使用される。該吸音シート12は、従来の不織布に主たる吸音性能を発揮させる吸音材よりも厚みを薄くしても高い吸音性能が得られるため、パイプの吸音構造10を軽量にすることが可能である。
【0032】
〔添加物〕
上記吸音シート12には、難燃剤および/または撥水剤を含ませることにより、難燃性および/または撥水性を付与することが望ましい。つまりパイプ11が、例えば家屋の排水パイプや自動車の排気パイプ等のように難燃性や撥水性を要求されるものである場合、難燃性や撥水性を要求されるパイプの吸音構造10に使用する吸音シートとして、難燃剤および/または撥水剤を含ませた吸音シート12は好適である。
該難燃剤および/または撥水剤を含ませる方法としては、上記した合成樹脂の塗布および/または含浸および/または混合に際して該合成樹脂に混合する方法と、難燃剤および/または撥水剤をスプレーコーティング、ロールコーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、ディッピング等の一般的な塗工含浸方法によって該合成樹脂とは別に含浸せしめる方法と、が挙げられる。
【0033】
(難燃剤)
上記難燃剤としては、メラム、メレム、メロンなど、メラミン以外のアミノ基を有する窒素含有環状化合物、メラム、メレム、メロン、メラミンなどのアミノ基を有する窒素含有環状化合物と、酸素酸、有機リン酸、ヒドロキシル基を有する窒素含有化合物との塩のほか、ポリリン酸アミド、環状尿素化合物、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、ポリメタリン酸メラミン、硫酸メラミン、ピロ硫酸メラム、有機スルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、及び、有機ホスフィン酸メラミン、ホウ酸メラミンなどのメラミン誘導体、該メラミン誘導体の他に燐系化合物、窒素系化合物、硫黄系化合物、水酸化アルミニウム、ホウ素系化合物、臭素系化合物、グアニジン系化合物、燐酸塩系化合物、燐酸エステル系化合物、アミノ系樹脂、環式ホスホン酸エステル等が挙げられる。これら上記難燃剤は、二種以上が併用されてもよい。
【0034】
(撥水剤)
上記撥水剤としては、例えばパラフィン、ワックス類、金属塩(酢酸アルミニウム等)、金属石鹸(アルミニウム石鹸等)、脂肪酸のジルコニウム塩、シリコン樹脂、フッ素系樹脂、フッ素化脂肪酸アミド、クロム錯塩(ステアリルクロミッククロリド等)、オクタデシルオキシメチルピリジニウムクロリド、ステアラミドメチルピリジニウムクロリド、オクタデシルエチレン尿素、アルキルケテンダイマー、ポリフルオロカーボン化合物等の溶液、エマルジョン、あるいはディスパージョンが使用される。上記撥水剤は二種以上併用されてもよい。
【0035】
(第三成分)
上記難燃剤、上記撥水剤の他に、以下のものを添加してもよい。
無機充填材として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、ガラス粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉など。
合成ゴム、天然ゴムまたはその誘導体として、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴムなど。
水溶性高分子や天然ガム類として、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミドなど。
充填材として、炭酸カルシウム、タルク、石膏、カーボンブラック、木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉など。
界面活性剤として、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類、あるいは脂肪酸アミド類など。
有機発泡剤として、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)など。
無機発泡剤として、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウムなど。
中空粒体として、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックスなど。
プラスチック発泡体や発泡粒として、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレンなど。
上記以外に、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、膨張黒鉛、防炎剤、撥油剤、防虫剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤など。
【0036】
〔吸音シートの変更例〕
図3及び図4に示すように、クレープ紙21の一面に多孔質シート22を積層したうえ、さらにクレープ紙21の他面に、繊維シートまたは繊維マットからなる多孔質基材23を積層して吸音シート12を構成してもよい。該吸音シート12は、図3に示すように、多孔質基材23をパイプ11側に、多孔質シート22を外面側にしてパイプ11に巻着してもよく、また図4に示すように、多孔質シート22をパイプ11側に、多孔質基材23を外面側にしてパイプ11に巻着してもよい。
【0037】
〔多孔質基材〕
多孔質基材23に使用される繊維は上記した通常繊維と同様な繊維が使用されるが、該繊維の全部または一部として、上記有機合成繊維で挙げたものと同様に、融点が180℃以下である低融点熱可塑性繊維を使用することもできる。
該低融点熱可塑性繊維としては、例えば融点180℃以下のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維等がある。これらの低融点熱可塑性繊維は、単独あるいは2種以上組み合わせて使用される。該低融点熱可塑性繊維の繊度は、0.1〜60dtexの範囲であることが好ましい。本発明に使用する望ましい低融点熱可塑性繊維としては、例えば上記通常繊維を芯部分とし、該低融点熱可塑性繊維の材料樹脂である融点100〜180℃の低融点熱可塑性樹脂を鞘とする芯鞘型複合繊維がある。該芯鞘型複合繊維を使用すると、得られる多孔質基材23の剛性や耐熱性が低下しない。
【0038】
該多孔質基材23は、上記繊維のウェブのマットをニードルパンチングによって絡合する方法やスパンボンド法、あるいは上記繊維のウェブのマットが上記低融点熱可塑性繊維からなるか、あるいは上記低融点熱可塑性繊維が混合されている場合には上記繊維のウェブのマットを加熱して該低融点熱可塑性繊維を軟化せしめることによって結着するサーマルボンド法か、あるいは上記繊維のウェブのマットに合成樹脂バインダーを含浸あるいは混合せしめて結着するケミカルボンド法か、あるいは上記繊維のウェブのマットをニードルパンチングによって絡合した上で該低融点熱可塑性繊維を加熱軟化せしめて結着するか、あるいは糸で縫い込むステッチボンド法や高圧水流で絡ませるスパンレース法、上記ニードルパンチングを施したマットに上記合成樹脂バインダーを含浸して結着する方法、更に上記繊維を編織する方法等によって製造される。
【0039】
該多孔質基材23の目付量、厚みは任意に設定可能であるが、良好な吸音性能を発揮させつつ、軽く、かつ薄くするという観点から、望ましくは、目付量が100〜2000g/m、更に望ましくは200〜1000g/mであり、厚みが3〜15mm、更に望ましくは5〜10mmである。目付量が100g/mに満たない場合は良好な吸音性能を発揮させることが難しくなり、目付量が2000g/mを超える場合は吸音シート12の軽量化が難しくなる。また厚みが3mmに満たない場合は良好な吸音性能を発揮させることが難しくなり、厚みが15mmを超える場合は吸音シート12を薄くすることが難しくなる。
また多孔質基材23の通気抵抗は、任意に設定可能であり、上記多孔質シート22が積層された上記クレープ紙21に該多孔質基材23を積層して吸音シート12とした際に、該吸音シート12の通気抵抗が0.2〜10.0kPa・s/mとなるように設定することが望ましい。
さらに該多孔質基材23には、上記クレープ紙21や上記多孔質シート22や上記吸音シート12のように、通気抵抗を調節するため、あるいは剛性や成形性を付与するため、上記したような合成樹脂等を塗布および/または含浸および/または混合させてもよい。また該合成樹脂には、上記した難燃剤および/または撥水剤を添加してもよい。
【0040】
〔その他の変更例〕
図1中で該吸音シート12は、結束バンド13を用いて該パイプ11の外周面上に固定されているが、固定方法は該結束バンド13に限らず、例えば接着剤や接合テープなどの接合材を用いた接合によって該パイプ11の外周面上に固定してもよい。但し、接合によって該吸音シート12を該パイプ11の外周面上に固定する場合、接合材によって吸音シート12の通気性が阻害されるおそれがあるため、接合箇所をパイプ11の外周面全体とするのではなく、パイプ11の端部や中間部の外周面などに限ることが望ましい。
図1中でパイプ11は直管状のものとしているが、これに限らず、パイプ11を曲管状のものとしてもよく、さらにパイプ11を蛇腹状の可撓管としてもよい。
パイプ11に吸音シート12が巻着された状態で、該吸音シート12の外周面上を、断熱材あるいは保温材で被覆してもよい。該断熱材あるいは保温材としては、例えばグラスウール、ロックウール、ガラスクロス、ガラステープ等のような無機多孔質材、独立気泡型又は連続気泡型の樹脂発泡体等のような有機多孔質材、アルミニウムなどの金属からなる薄膜や蒸着シート等が挙げられる。特にグラスウール、樹脂発泡体等のような多孔質材の中には吸音性能を有するものがあり、このような吸音性能を有する断熱材あるいは保温材で吸音シート12の外周面上を被覆する構成とした場合には、本発明のパイプの吸音構造における吸音性能の向上を図ることが出来る。また吸音性能を有する断熱材あるいは保温材を使用する場合、該断熱材あるいは保温材に本発明の吸音シート12を接着剤等を用いて積層してもよい。なおパイプ11の外周面上を断熱材あるいは保温材で被覆した状態で、該断熱材あるいは保温材の外周面上に該吸音シート12を巻着してもよい。
該吸音シート12の外周面上を遮音材で被覆してもよい。該遮音材としては、例えば合成樹脂、合成ゴム等からなるシート材に金属充填剤を配合したもの等が挙げられる。また上記のように断熱材あるいは保温材を使用する場合、吸音シート12の外周面上を遮音材で被覆した状態として、該遮音材の外周面上を断熱材あるいは保温材で覆ってもよく、あるいは吸音シート12の外周面上を断熱材あるいは保温材で被覆した状態として、該断熱材あるいは該保温材の外周面上を該遮音材で覆ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のパイプの吸音構造は軽量で吸音性能に優れるから、例えば集合住宅の排水パイプや自動車の排気パイプに適用するものとして特に有用であり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 パイプの吸音構造
11 パイプ
12 吸音シート
21 クレープ紙
22 多孔質シート
23 多孔質基材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体が流通するパイプの外周面上に、
クレープ紙と、
該クレープ紙の少なくとも片面に積層された不織布製の多孔質シートと、
の積層体からなる吸音シートを巻着して構成されている
ことを特徴とするパイプの吸音構造。
【請求項2】
上記クレープ紙は、クレープ率が10〜50%、通気抵抗が0.06〜7.00kPa・s/mの範囲に設定されており、
上記吸音シートは、通気抵抗が0.2〜10.0kPa・s/mの範囲に設定されている
請求項1に記載のパイプの吸音構造。
【請求項3】
上記クレープ紙は、叩解度がJIS P 8121−1995の4.カナディアン・スタンダード・フリーネスに規定されるカナダ標準型ろ水度で350〜650ml(CSF)の範囲の多孔質パルプ繊維を90質量%以上含む
請求項1又は請求項2に記載のパイプの吸音構造。
【請求項4】
上記吸音シートには難燃剤を含ませてある
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパイプの吸音構造。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−186115(P2011−186115A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50305(P2010−50305)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000243892)名古屋油化株式会社 (78)
【Fターム(参考)】