説明

パイプコンベヤ設備

【課題】長距離の搬送ラインや曲がりくねった搬送ラインに適したパイプコンベヤ設備を提供する。
【解決手段】第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30を入口In側から出口Out側に直列に接続して、往路に第1〜第3送り搬送ライン11,21,31を設けるとともに、復路に第1〜第3戻り搬送ライン13,23,33を設け、第1,第2接続部C1,C2で、上位に配置した排出口12o,24o,22o,34oと、下位に配置した投入口22i,14i,32i,24iとを重力式移載シュートで接続した移載部17,18,27,28を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状の搬送パイプ内に、無端状の駆動索に設けられた送り部材を循環移動させて、たとえばフラフ燃料や汚泥、廃アルミ缶、切粉などの被搬送物を長距離搬送するパイプコンベヤ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送用パイプ内に配置されたリンクチェーンに搬送用ブレードを設けたパイプコンベヤが開示され、また特許文献2には、メインコンベヤに複数の枝コンベヤを接続したものが開示されている。
【特許文献1】特開平7−277452号公報
【特許文献2】実開平6−76223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のパイプコンベヤを使用して、長距離搬送する場合や、工場内の曲がりくねった搬送ラインに沿って搬送する場合には、送り部材とパイプとの摺動抵抗が大きくなるため、大きい駆動力を必要とし、搬送が困難になるという問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決して、長距離の搬送ラインや曲がりくねった搬送ラインに適したパイプコンベヤ設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、無端状の搬送パイプ内に無端状の駆動索を循環移動自在に配置するとともに、当該駆動索に送り被搬送物および戻り被搬送物を搬送可能な送り部材を一定間隔ごとに設けた複数のパイプコンベヤを、入口側から出口側に直列に接続し、入口端のパイプコンベヤの入口側転向部側に送り投入口および戻り排出口をそれぞれ形成するとともに、出口端のパイプコンベヤの出口側転向部側に送り排出口および戻り投入口とをそれぞれ形成し、パイプコンベヤの接続部に、入口側のパイプコンベヤから出口側のパイプコンベヤに送り被搬送物を移載する送り移載部と、出口側のパイプコンベヤから入口側のパイプコンベヤに戻り被搬送物を移載する戻り移載部とを設け、送り被搬送物を、入口端のパイプコンベヤの前記送り投入口から前記送り移載部を介して出口端のパイプコンベヤの前記送り排出口に往路に沿って搬送する送り搬送ラインと、戻り被搬送物を、出口端のパイプコンベヤの前記戻り投入口から前記戻り移載部を介して入口端のパイプコンベヤの前記戻り排出口に復路に沿って搬送する戻り搬送ラインを設けたものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、送り移載部は、入口側のパイプコンベヤの上位に形成された送り排出口と、出口側のパイプコンベヤの下位に形成された送り投入口とを、重力式の送り移載シュートに接続して構成され、送り移載部は、出口側のパイプコンベヤの上位に形成された戻り排出口と、入口側のパイプコンベヤの下位に形成された戻り投入口とを重力式の戻り移載シュートにより接続して構成されたものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、入口端のパイプコンベヤの入口側転向部で、送り投入口が戻り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる入口側重複ライン部と、出口端のパイプコンベヤの出口側転向部で、戻り投入口が送り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる出口側重複ライン部の少なくとも一方を設け、前記入口側重複ライン部および/または前記出口側重複ライン部の送り投入口、送り排出口、戻り投入口および戻り排出口にそれぞれ設けられた開閉装置を制御して、送り被搬送物と戻り被搬送物とを選択的に供給、排出するコンベヤ給排出制御装置を設けたものである。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、入口端のパイプコンベヤの入口側転向部で、送り投入口が戻り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる入口側重複ライン部と、出口端のパイプコンベヤの出口側転向部で、戻り投入口が送り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる出口側重複ライン部とを具備し、送り被搬送物を送り投入口から投入した搬送開始時から送り搬送ラインの搬送所要時間を計測するとともに、戻り被搬送物を戻り投入口から投入した搬送開始時から戻り搬送ラインの搬送所要時間を計測するタイマーを有し、当該タイマーの計測時間に基づいて送り排出口および戻り排出口を開閉し、前記送り投入口から送り被搬送物を投入するとともに前記送り排出口から送り被搬送物を排出し、前記戻り投入口から戻り被搬送物を投入するととも前記戻り排出口から戻り被搬送物を排出するコンベヤ給排出制御装置を設けたものである。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、入口端のパイプコンベヤの入口側転向部で、送り投入口が戻り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる入口側重複ライン部と、出口端のパイプコンベヤの出口側転向部で、戻り投入口が送り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる出口側重複ライン部と、各パイプコンベヤの送り部材に設けられて被搬送物を識別可能な識別子と、入口端および出口端のパイプコンベヤの送り投入口、送り排出口、戻り投入口および戻り排出口の送り方向の上手側にそれぞれ設けられて前記識別子を検出する被搬送物検出器とを具備し、前記被搬送物検出器の検出信号に基づいて開閉装置を駆動し、前記送り投入口、前記送り排出口、前記戻り投入口および前記戻り排出口をそれぞれ選択的に開閉して、前記送り投入口から送り被搬送物を投入するとともに前記送り排出口から送り被搬送物を排出し、前記戻り投入口から戻り被搬送物を投入するととも前記戻り排出口から戻り被搬送物を排出するコンベヤ給排出制御装置を設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、直列に接続された複数のパイプコンベヤの送り搬送ラインにより、送り被搬送物を入口側から出口側に長い搬送距離を安定して確実に搬送することができると同時に、戻り搬送ラインにより、戻り被搬送物を出口側から入口側に搬送することができ、搬送ラインの往路と復路とを有効利用して2種類の被搬送物を相対方向に同時に搬送することができる。また複数のパイプコンベヤを直列に接続するので、長距離の搬送や曲がりくねった搬送ラインであっても、駆動索を介して十分な駆動力を送り部材に伝達することができ、被搬送物を容易に長距離搬送することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、送り移載部および戻り移載部で、送り排出口および戻り排出口をそれぞれ上位に配置するとともに、送り投入口および戻り投入口をそれぞれ下位に配置して、送り排出口および送り投入口とを重力式の移載シュートにより接続するとともに、戻り排出口と戻り投入口とを重力式の移載シュートにより接続することにより、簡単な構造で、駆動部もなく、確実に送り被搬送物および戻り被搬送物を次のパイプコンベヤに移載することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、コンベヤ給排出制御装置により各開閉装置をそれぞれ制御して、入口側のパイプコンベヤの送り投入口および戻り排出口を開閉するとともに、出口側のパイプコンベヤの送り排出口および戻り投入口を開閉することにより、入口側重複ライン部および/または出口側重複ライン部から搬送される送り被搬送物または戻り被搬送物を選択的に供給、排出することができる。したがって、送り投入口と戻り排出口の配置、送り排出口と戻り投入口の配置をそれぞれ任意に設定することができて設計の自由度が拡大され、使い勝手を大幅に向上させることができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、タイマーにより送り搬送ラインおよび戻り搬送ラインの所要時間をカウントして送り排出口および戻り排出口を開閉することにより、送り投入口から投入された送り被搬送物を送り排出口から精度良く排出するとともに、戻り投入口から投入された戻り被搬送物を戻り排出口から精度良く排出することができる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、被搬送物検出器によりパイプコンベヤの送り部材に設けられた識別子を検出し、送り投入口、送り排出口、戻り投入口および戻り排出口をそれぞれの開閉装置により選択的に開閉することができ、入口側重複ライン部および出口側重複ライン部に搬送される送り被搬送物または戻り被搬送物をそれぞれ精度良く投入および排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1を、図1〜図3を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、このパイプコンベヤ設備は、送り被搬送物Aを入口In側から出口Out側に搬送するとともに、戻り被搬送物Bを出口Out側から入口In側に搬送するもので、直列に接続された複数基、たとえば3基の第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30を直列に接続して構成されている。
【0017】
第1パイプコンベヤ10と第2パイプコンベヤ20の第1接続部C1は、第1パイプコンベヤ10の第1出口側転向部10R側と第2パイプコンベヤ20の第2入口側転向部20F側とが所定距離重なり合って接続されている。また第2パイプコンベヤ20と第3パイプコンベヤ30の第2接続部C2は、第2パイプコンベヤ20の出口側転向部20R側と第3パイプコンベヤ30の入口側転向部30F側とが所定距離重なり合って接続されている。
【0018】
第1パイプコンベヤ10は、第1入口側転向部10Fの送り方向下手側に2つの第1送り投入口12iが送り方向に所定間隔をあけて形成され、また第1接続部C1で第1出口側転向部10Rの送り方向上手側に第1送り排出口12oが形成され、第1送り投入口12iから第1送り排出口12oに至る第1送り搬送ライン11が往路に沿って設けられている。また第1接続部C1で第1出口側転向部10Rの送り方向下手側に第1戻り投入口14iが形成され、また第1入口側転向部10Fの送り方向上手側に第1戻り排出口14oが形成され、第1戻り投入口14iから第1戻り排出口14oに至る第1戻り搬送ライン13が復路に沿って設けられている。
【0019】
第2パイプコンベヤ20は、第1接続部C1で第2入口側転向部20Fの送り方向下手側に、第1送り排出口12oから送り被搬送物Aが供給される第2送り投入口22iが形成されるとともに、第2接続部C2で第2出口側転向部20Rの送り方向下手側に第2送り排出口22oが形成され、第2送り投入口22iから第2送り排出口22oに至る第2送り搬送ライン21が往路に沿って設けられている。また第2接続部C2で第2出口側転向部20Rの第2送り排出口22oより送り方向下手側に第2戻り投入口24iが形成されるとともに、第1接続部C1で第2入口側転向部20Fの送り方向下手側に、第1戻り投入口14iに戻り被搬送物Bを供給する第2戻り排出口24oが形成され、第2戻り投入口24iから第2戻り排出口24oに至る第2戻り搬送ライン23が復路に沿って設けられている。
【0020】
第3パイプコンベヤ30は、第2接続部C2で第3入口側転向部30Fの送り方向下手側に、第2送り排出口22oから送り被搬送物Aが供給される第3送り投入口32iが形成されるとともに、第3出口側転向部30Rの送り方向下手側に第3送り排出口32oが形成され、第3送り投入口32iから第3送り排出口32oに至る第3送り搬送ライン31が往路に沿って設けられている。また第3出口側転向部30Rで第3送り排出口32oより送り方向下手側に第3戻り投入口34iが形成されるとともに、第2接続部C2で第3入口側転向部30Fの送り方向上手側に、第2戻り投入口24iに戻り被搬送物Bを供給する第3戻り排出口34oが形成され、第3戻り投入口34iから第3戻り排出口34oに至る第3戻り搬送ライン33が復路に沿って設けられている。
【0021】
図2,図3に示すように、第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30は、無端状で円筒形の搬送パイプ1内に無端状の駆動索(駆動チェーン)2が循環移動自在に配置されるとともに、この駆動索2に被搬送物A,Bをそれぞれ搬送可能な円形板状の送り部材(ブレード)3が一定間隔ごとに取り付けられ、さらに第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30の出口側転向部10R,20R,30Rに、各駆動索2をそれぞれ送り方向に駆動するコンベヤ駆動装置4A〜4Cが設けられている。これらコンベヤ駆動装置4A〜4Cは、それぞれ駆動索2が巻回された駆動輪体(チェーンスプロケット)4aと、駆動輪体4aを巻き掛け伝動機構4bを介して回転駆動する回転駆動装置(電動モータ)4cとで構成されている。
【0022】
第1接続部C1は、図2に示すように、第1パイプコンベヤ10の第1出口側転向部10Rのループを含む部分と第2パイプコンベヤ20の第2入口側転向部20Fのループを含む部分とが互いに鎖状に嵌め合わされて所定距離だけ重なり合った状態で接続されている。この第1接続部C1において、第1パイプコンベヤ10は、入口In側の水平部10bと、第1出口側転向部10Rほど上位となる傾斜部10aとを有し、水平部10bは第2パイプコンベヤ20より下位となり、傾斜部10aは第2パイプコンベヤ20に交差して第2パイプコンベヤ20より上位となって第1出口側転向部10Rに至っている。
【0023】
そして、この第1接続部C1において、出口Out側に設けられた第1送り移載部17は、第1パイプコンベヤ10の傾斜部10aと第1出口側転向部10Rの間で上位に形成された第1送り排出口12oと、第2パイプコンベヤ20で下位に形成された第2送り投入口22iとが、重力式の第1送り移載シュート15により接続されて構成されている。これにより、第1パイプコンベヤ10の第1送り搬送ライン11に沿って搬送された送り被搬送物Aが、第1送り排出口12oから排出され第1送り移載シュート15から第2送り投入口22iを介して第2パイプコンベヤ20の第2送り搬送ライン21に移載される。
【0024】
さらに第1接続部C1において、入口In側に設けられた第2戻り移載部18は、第2パイプコンベヤ20で上位に形成された第2戻り排出口24oと、第1パイプコンベヤ10の水平部10bで下位に形成された第1戻り投入口14iとが、重力式の第2戻り移載シュート16により接続されて構成されている。これにより、第2パイプコンベヤ20の第2戻り搬送ライン23に沿って搬送された戻り被搬送物Bが、第2戻り排出口24oから排出され第1戻り移載シュート16から第1戻り投入口14iを介して第1パイプコンベヤ10の第1戻り搬送ライン13に移載される。
【0025】
第2接続部C2は、図3に示すように、第2パイプコンベヤ20の第2出口側転向部20Rのループを含む部分と第3パイプコンベヤ30の第3入口側転向部30Fのループを含む部分とが互いに鎖状に嵌め合わされて所定距離だけ重り合った状態で接続されている。この第2接続部C2において、第2パイプコンベヤ20は、入口In側の水平部20bと、第2出口側転向部20Rほど上位となる傾斜部20aとを有し、水平部20bは第3パイプコンベヤ30より下位となり、傾斜部20aは第3パイプコンベヤ30に交差して第3パイプコンベヤ30より上位となって第2出口側転向部20Rに至っている。
【0026】
そして、この第2接続部C2において、出口Out側に設けられた第2送り移載部27は、第2パイプコンベヤ20の傾斜部20aで第2出口側転向部20Rから送り方向下手側で上位に形成された第2送り排出口22oと、第3パイプコンベヤ30で下位に形成された第3送り投入口32iとが、重力式の第2送り移載シュート25により接続されて構成されている。これにより、第2パイプコンベヤ20の第2送り搬送ライン21に沿って搬送された送り被搬送物Aが、第2送り排出口22oから排出され、第2送り移載シュート25から第3送り投入口32iを介して第3パイプコンベヤ30の第3送り搬送ライン31に移載される。
【0027】
さらに第2接続部C2において、入口In側に設けられた第2戻り移載部28は、第3パイプコンベヤ30で上位に形成された第3戻り排出口34oと、第2パイプコンベヤ20の水平部20bで下位に形成された第2戻り投入口24iとが、重力式の第2戻り移載シュート26により接続されている。これにより、第3パイプコンベヤ30の第3戻り搬送ライン33に沿って搬送された戻り被搬送物Bが、第3戻り排出口34oから排出され、第2戻り移載シュート26から第2戻り投入口24iを介して第2パイプコンベヤ20の第2戻り搬送ライン23に移載される。
【0028】
上記構成の第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30において、コンベヤ駆動装置4A〜4Cがそれぞれ駆動されて各駆動索2が矢印方向に循環移動され、送り被搬送物Aが入口In側から出口Out側に搬送され、また戻り被搬送物Bが出口Out側から入口In側に搬送される。
【0029】
すなわち、入口in側において、送り被搬送物Aが第1送り投入口12iから第1パイプコンベヤ10に供給され、第1送り搬送ライン11に沿って第1送り排出口12oに搬送される。そして第1送り排出口12oから排出された送り被搬送物Aが、第1送り移載部17の第1送り移載シュート15を介して第2送り投入口22iから第2パイプコンベヤ20に移載される。そして、第2送り搬送ライン21に沿って第2送り排出口22oに搬送されて排出された送り被搬送物Aが、第2送り移載部27の第2送り移載シュート25から第3送り投入口32iを介して第3パイプコンベヤ30に移載される。さらに送り被搬送物Aが第3送り搬送ライン31に沿って第3送り排出口32oに搬送されて排出される。
【0030】
一方、出口Out側において、戻り被搬送物Bが第3戻り投入口34iから第3パイプコンベヤ30に供給されて第3戻り搬送ライン33に沿って第3戻り排出口34oに搬送される。そして第3戻り排出口34oから排出された戻り被搬送物Bが、第2戻り移載部28の第2戻り移載シュート26を介して第2戻り投入口24iから第2パイプコンベヤ20に移載される。そして第2戻り搬送ライン23に沿って第2戻り排出口24oに搬送され、第2戻り排出口24oから排出された戻り被搬送物Bが、第1戻り移載部18の第1戻り移載シュート16から第1戻り投入口14iを介して第1パイプコンベヤ10に移載される。さらに戻り被搬送物Bが第1戻り搬送ライン13に沿って第1戻り排出口14oまで搬送されて排出される。
【0031】
上記実施の形態によれば、直列に接続された第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30の第1〜第3送り搬送ライン11,21,31により、送り被搬送物Aを入口In側から出口Out側に搬送することができると同時に、第3〜第1戻り搬送ライン33,23,13により、戻り被搬送物Bを出口Out側から入口In側に搬送することができ、往路の第1〜第3送り搬送ライン11,21,31と復路の第1〜第3戻り搬送ライン13,23,33とを利用して、異なる被搬送物A,Bをそれぞれ搬送することができてパイプコンベヤの往路と復路とを有効利用することができる。また第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30を直列に接続するので、長距離の搬送や曲がりくねった搬送ラインであっても、駆動索2を介して十分な駆動力を送り部材3に伝達することができ、被搬送物A,Bを長距離搬送することができる。
【0032】
また第1接続部C1および第2接続部C2で、各移載部17,18,27,28において、上位の各排出口12o,22o,24o,34oと下位の各投入口22i,32i,14i,24iとを重力式の移載シュート15,16,25,26によりそれぞれ接続したので、簡単な構造で、確実に被搬送物A,Bを第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30間で移載することができ、各移載部17,18,27,28に移載するための駆動装置も不要となる。
【0033】
[実施の形態2]
実施の形態2を図4〜図6を参照して説明する。
実施の形態1では、第1接続部C1および第2接続部C2において、第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30を互いに鎖状に嵌め合わされて所定距離だけ重なり合った状態で接続したが、実施の形態2では、第1,第2パイプコンベヤ10,20を接続する第1接続部C3と、第2,第3パイプコンベヤ20,30を接続する第2接続部C4とにおいて、入口In側(または出口Out側)のパイプコンベヤの転向部でループを含む空間内に、出口Out側(入口In側)のパイプコンベヤの転向部のループを挿入して重なり合わせることにより接続したものである。
【0034】
これら第1接続部C3および第2接続部C4以外は同一に構成されるため、実施の形態1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
上記実施の形態2によれば、実施の形態1と同一の作用効果を奏することができる。
【0035】
[実施の形態2の変形例]
図7は実施の形態2の変形例で、第1接続部C5において、第1送り排出口12oと第2送り投入口22iの配置と、第2戻り排出口24oと第1戻り投入口14iの配置とを変更し、第2パイプコンベヤ20の第2送り搬送ライン21と第2戻り搬送ライン23とを入れ替え、さらに第2接続部C6において、第2送り排出口22oと第3送り投入口32iの配置と、第3戻り排出口34oと第2戻り投入口24iの配置とを変更したもので、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。上記実施の形態2の変形例によれば、実施の形態2と同様の作用効果を奏することができる。
【0036】
[実施の形態3]
実施の形態1,2において、入口In側では送り方向上手側に第1戻り排出口14oを配置し、送り方向下手側に第1送り投入口12iを配置している。また出口Out側では、送り方向上手側に第3送り排出口32oを配置し、送り方向下手側に第3戻り投入口34iを配置している。しかしながら、この種のパイプコンベヤ設備において、工場や敷地内の設備の配置により、投入口と排出口とを任意に変更する必要が生じる場合がある。
【0037】
この実施の形態3は、図8に示すように、入口I側nと出口Out側において、第1,第3送り投入口12i,32iの配置に対して、第1,第3戻り排出口14o,34oをそれぞれ送り方向下手側に配置したものである。なお、実施の形態1,2と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
すなわち、入口In側において、第1送り投入口12iを送り方向上手側に配置するとともに、第2戻り排出口14oを送り方向下手側に配置し、第1送り投入口12iと第1戻り排出口14oの間に、送り被搬送物Aおよび戻り被搬送物Bを同時に搬送する入口側重複ライン部41が形成されている。また出口Out側において、第3戻り投入口34iを送り方向上手側に配置するとともに、第3送り排出口12oを送り方向下手側に配置し、第3戻り投入口34iと第3送り排出口32oの間に、送り被搬送物Aおよび戻り被搬送物Bを同時に搬送する出口側重複ライン部51が形成されている。
【0039】
そして、図9に示すように、第1送り投入口12iに送り投入用の開閉装置42iが設けられるとともに、第1戻り排出口14oに戻り排出用の開閉装置42oが設けられている。また、第3送り排出口32oに送り排出用の開閉装置52oが設けられるとともに、第3戻り投入口34iに戻り投入用の開閉装置52iが設けられている。これら開閉装置42i,42o,52i,52oは、スライド式やダンパ式などの公知の開閉装置が使用される。
【0040】
そして第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30では、送り部材3間の搬送空間を、送り被搬送物A用と戻り被搬送物B用とが交互に分けて使用する。すなわち、第1送り投入口12iでは、送り投入用の開閉装置42iにより1つ置きに設けられた送り被搬送物A用の搬送空間ごとに開放されて送り被搬送物Aが供給され、第3送り排出口32oでは、送り投入用の開閉装置52oにより送り被搬送物A用の搬送空間が開放されて送り被搬送物Aが排出される。また第3戻り投入口34iでは、戻り投入用の開閉装置52iにより送り被搬送物A用の搬送空間の間の搬送空間ごとに開放されて戻り被搬送物Bが投入され、第1送り排出口12oでは、送り排出用の開閉装置42oにより戻り被搬送物B用の搬送空間が開放されて戻り被搬送物Bが排出される。
【0041】
各開閉装置42i,42o,52i,52oを開閉制御部43i,43o,53i,53oを介して制御するコンベヤ供給排出制御装置61は、給排出用の制御部61aと、第1〜第3送り搬送ライン11,21,31および第3〜第1戻り搬送ライン33,23,13の送りおよび戻り搬送所要時間をそれぞれ計測するタイマー61bとを具備している。そして、開閉制御部43iにより送り投入用の開閉装置42iを駆動して第1送り投入口12iを開放すると、タイマー61bにより、送り被搬送物Aを第1パイプコンベヤ10に投入する投入開始時から送り搬送所要時間をカウントし、送り搬送所要時間の経過後に開閉制御部53oにより送り排出用の開閉装置38oを駆動して第3送り排出口32oを開放し、第3送り排出口32oから送り被搬送物Aを排出するように構成されている。また開閉制御部53iにより戻り投入用の開閉装置52iを駆動して第3戻り投入口34iを開放すると、タイマー61bにより、戻り被搬送物Bの投入開始時から戻り搬送所要時間をカウントし、戻り搬送所要時間の経過後に開閉制御部43iにより戻り排出用の開閉装置42oを駆動して第1戻り投入口14iを開放し、戻り被搬送物Bを排出するように構成されている。
【0042】
なお、この入口側重複ライン部41と出口側重複ライン部51では、送り被搬送物Aと戻り被搬送物Bとを、交互に搬送空間に収容して送るように構成したが、送り被搬送物Aの搬送空間と戻り被搬送物Bの搬送空間の間に、被搬送物を収容しない空の搬送空間を設けることで、送り被搬送物Aと戻り被搬送物Bの混合を防止することもできる。
【0043】
上記実施の形態3によれば、コンベヤ給排出制御装置61により、送り投入用の開閉装置42iによる第1送り投入口12iの開放開始時間に基づいて、送り搬送所要時間をカウントし、送り排出用の開閉装置52oにより第3送り排出口32oの開閉制御するとともに、戻り投入用の開閉装置52iによる第3戻り投入口34iの開放開始時間に基づいて、戻り搬送所要時間をカウントし、戻り投入用の開閉装置52iにより第1戻り投入口14iを開閉制御することにより、入口側および出口側重複ライン部41,42を含む第1〜第3送りおよび戻り搬送ライン11,21,31,13,23,33に沿って二種類の被搬送物A,Bをスムーズに搬送することができる。したがって、入口In側における第1送り投入口12iおよび第1戻り排出口14oの配置と、出口Out側における第3送り排出口32oおよび第3戻り投入口34iの配置の自由度をそれぞれ向上することができる。
【0044】
[実施の形態3の変形例]
コンベヤ給排出制御装置61の変形形態を図10を参照して説明する。
第1〜第3パイプコンベヤ10,20,30の送り部材3に、それぞれ被搬送物AまたはBを識別するための識別子(図示せず)が設けられている。この識別子は、色別の標識やバーコード、標識タグあるいは送り部材3自体に形成された標識用凹凸部などである。そして開閉装置42i,42o,52i,52oを有する第1送り投入口12i、第1戻り排出口14o、第3送り排出口32oおよび第3戻り投入口34iの送り方向の上手側の所定位置に、送り部材3の識別子をそれぞれ検出可能な、たとえば色彩センサ、バーコードリーダ、近接センサなどからなる被搬送物検出器44i,44o,54i,54oがそれぞれ設けられている。
【0045】
したがって、各被搬送物検出器44i,44o,54i,54oにより送り部材3の識別子を介して送り部材3の前部または後部の搬送空間に収容される被搬送物AまたはBあるいはその有無を検出し、その検出信号に基づいてコンベヤ給排出制御装置62により各開閉制御部43i,43o,53i,53oを介してそれぞれの開閉装置42i,42o,52i,52oを駆動し第1送り投入口12i、第1戻り排出口14o、第3送り排出口32oおよび第3戻り投入口34iを開閉制御することができる。
【0046】
上記実施の形態3の変形例によれば、実施の形態3と同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記実施の形態3とその変形例では、入口側重複ライン部41と出口側重複ライン部51の両方を設けたが、どちらか一方であっても、同様に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るパイプコンベヤ設備の実施の形態1を示す概略平面図である。
【図2】パイプコンベヤ設備の第1接続部を示し、(a)は一部切り欠き平面図、(b)は(a)に示すA−A断面図である。
【図3】パイプコンベヤ設備の第2接続部を示し、(a)は一部切り欠き平面図、(b)は(a)に示すC−C断面図、(c)は(a)に示すD−D断面図である。
【図4】本発明に係るパイプコンベヤ設備の実施の形態2を示す概略平面図である。
【図5】パイプコンベヤ設備の第1接続部を示し、(a)は一部切り欠き平面図、(b)は(a)に示すE−E断面図、(c)は(a)に示すF−F断面図である。
【図6】パイプコンベヤ設備の第2接続部を示し、(a)は一部切り欠き平面図、(b)は(a)に示すG−G断面図、(c)は(a)に示すH−H断面図である。
【図7】本発明に係るパイプコンベヤ設備の実施の形態2の変形例を示す概略平面図である。
【図8】本発明に係るパイプコンベヤ設備の実施の形態3を示す概略平面図である。
【図9】パイプコンベヤ設備のコンベヤ給排出制御装置を示す構成図である。
【図10】パイプコンベヤ設備のコンベヤ給排出制御装置の変形例を示す制御構成図である。
【符号の説明】
【0048】
In 入口
Out 出口
C1,C3 第1接続部
C2,C4 第2接続部
1 搬送パイプ
2 駆動索
3 送り部材
4A〜4C コンベヤ駆動装置
10 第1パイプコンベヤ
10F 第1入口側転向部
10R 第1出口側転向部
11 第1送り搬送ライン
12i 第1送り投入口
12o 第1送り排出口
13 第1戻り搬送ライン
14i 第1戻り投入口
14o 第1戻り排出口
15 第1送り移載シュート
16 第1戻り移載シュート
17 第1送り移載部
18 第1戻り移載部
20 第2パイプコンベヤ
20F 第2入口側転向部
20R 第2出口側転向部
21 第2送り搬送ライン
22i 第2送り投入口
22o 第2送り排出口
23 第2戻り搬送ライン
24i 第2戻り投入口
24o 第2戻り排出口
25 第2送り移載シュート
26 第2戻り移載シュート
27 第2送り移載部
28 第2戻り移載部
30 第3パイプコンベヤ
30F 第3入口側転向部
30R 第3出口側転向部
31 第3送り搬送ライン
32i 第3送り投入口
32o 第3送り排出口
33 第3戻り搬送ライン
34i 第3戻り投入口
34o 第3戻り排出口
41 入口側重複ライン部
42i,42o 開閉装置
43i,43o 開閉制御部
44i,44o 被搬送物検出器
51 出口側重複ライン部
52i,52o 開閉装置
54i,54o 被搬送物検出器
61 コンベヤ給排出制御装置
61a 制御部
61b タイマー
62 コンベヤ給排出制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の搬送パイプ内に無端状の駆動索を循環移動自在に配置するとともに、当該駆動索に送り被搬送物および戻り被搬送物を搬送可能な送り部材を一定間隔ごとに設けた複数のパイプコンベヤを、入口側から出口側に直列に接続し、
入口端のパイプコンベヤの入口側転向部側に送り投入口および戻り排出口をそれぞれ形成するとともに、出口端のパイプコンベヤの出口側転向部側に送り排出口および戻り投入口とをそれぞれ形成し、
パイプコンベヤの接続部に、入口側のパイプコンベヤから出口側のパイプコンベヤに送り被搬送物を移載する送り移載部と、出口側のパイプコンベヤから入口側のパイプコンベヤに戻り被搬送物を移載する戻り移載部とを設け、
送り被搬送物を、入口端のパイプコンベヤの前記送り投入口から前記送り移載部を介して出口端のパイプコンベヤの前記送り排出口に往路に沿って搬送する送り搬送ラインと、戻り被搬送物を、出口端のパイプコンベヤの前記戻り投入口から前記戻り移載部を介して入口端のパイプコンベヤの前記戻り排出口に復路に沿って搬送する戻り搬送ラインを設けた
ことを特徴とするパイプコンベヤ設備。
【請求項2】
送り移載部は、入口側のパイプコンベヤの上位に形成された送り排出口と、出口側のパイプコンベヤの下位に形成された送り投入口とを、重力式の送り移載シュートに接続して構成され、
送り移載部は、出口側のパイプコンベヤの上位に形成された戻り排出口と、入口側のパイプコンベヤの下位に形成された戻り投入口とを重力式の戻り移載シュートにより接続して構成された
ことを特徴とする請求項1記載のパイプコンベヤ設備。
【請求項3】
入口端のパイプコンベヤの入口側転向部で、送り投入口が戻り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる入口側重複ライン部と、出口端のパイプコンベヤの出口側転向部で、戻り投入口が送り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる出口側重複ライン部の少なくとも一方を設け、
前記入口側重複ライン部および/または前記出口側重複ライン部の送り投入口、送り排出口、戻り投入口および戻り排出口にそれぞれ設けられた開閉装置を制御して、送り被搬送物と戻り被搬送物とを選択的に供給、排出するコンベヤ給排出制御装置を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載のパイプコンベヤ設備。
【請求項4】
入口端のパイプコンベヤの入口側転向部で、送り投入口が戻り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる入口側重複ライン部と、
出口端のパイプコンベヤの出口側転向部で、戻り投入口が送り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる出口側重複ライン部とを具備し、
送り被搬送物を送り投入口から投入した搬送開始時から送り搬送ラインの搬送所要時間を計測するとともに、戻り被搬送物を戻り投入口から投入した搬送開始時から戻り搬送ラインの搬送所要時間を計測するタイマーを有し、当該タイマーの計測時間に基づいて送り排出口および戻り排出口を開閉し、前記送り投入口から送り被搬送物を投入するとともに前記送り排出口から送り被搬送物を排出し、前記戻り投入口から戻り被搬送物を投入するととも前記戻り排出口から戻り被搬送物を排出するコンベヤ給排出制御装置を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載のパイプコンベヤ設備。
【請求項5】
入口端のパイプコンベヤの入口側転向部で、送り投入口が戻り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる入口側重複ライン部と、
出口端のパイプコンベヤの出口側転向部で、戻り投入口が送り排出口より送り方向の上手側に形成されて、送り搬送ラインと戻り搬送ラインとが重なる出口側重複ライン部と、
各パイプコンベヤの送り部材に設けられて被搬送物を識別可能な識別子と、
入口端および出口端のパイプコンベヤの送り投入口、送り排出口、戻り投入口および戻り排出口の送り方向の上手側にそれぞれ設けられて前記識別子を検出する被搬送物検出器とを具備し、
前記被搬送物検出器の検出信号に基づいて開閉装置を駆動し、前記送り投入口、前記送り排出口、前記戻り投入口および前記戻り排出口をそれぞれ選択的に開閉して、前記送り投入口から送り被搬送物を投入するとともに前記送り排出口から送り被搬送物を排出し、前記戻り投入口から戻り被搬送物を投入するととも前記戻り排出口から戻り被搬送物を排出するコンベヤ給排出制御装置を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載のパイプコンベヤ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−78884(P2009−78884A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248295(P2007−248295)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】