説明

パウチ装着具

【課題】
接着剤を使用することなく確実にパウチに装着することができ、またパウチを吊り下げるフック等を容易に利用することができてパウチの使い勝手を向上させることができるスリーブ状の装着具を提供する
【解決手段】
パウチ2の上端部より下方のパウチ胴部3の前面8に注出口5を備えた液体通路部をパウチ胴部3から分岐させて設けた形態のパウチ2に装着するパウチ装着具1aであって、パウチ装着具1aは折り曲げ可能な板状材料で構成されていてパウチ胴部3の一部分を囲繞することができる枠体11を有し、枠体11はパウチ胴部3の前面8に沿って位置し得る前面枠板体12と、パウチ胴部3の背面に沿って位置し得る背面枠板体13と、パウチ胴部3の前面8と液体通路部との間に位置し得る中間枠板体14とを折り目を境にして連続して有し、かつ前面枠板体12と背面枠板体13とを締結する締結用帯体17を有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパウチ装着具、特にディスペンサーパウチにスリーブ状に装着する装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルムをヒートシールして構成した図17、図18に示すようなパウチに流動性の内容物を充填することは従来から行われている。このパウチは硬質の容器の内容物が消費によって空になったときに、内容物の詰め替え用として使用することもあるが、最近は硬質容器の使用を避けて、パウチ自体を内容物の注出のための容器、すなわちディスペンサーパウチとして使用することが考えられている。
【0003】
しかるに、パウチは剛性が小さいので一定形状を保つことが難しく、商品の流通過程における取り扱いに面倒があるし、また、販売過程において商品説明や広告を表示するディスプレー効果を持たせることが難しいし、さらに消費過程においては内容液を繰り返し注出するのに適した姿勢にパウチを保つのが難しい場合もある。そこで板紙やプラスチック板等を折り曲げて構成されたスリーブと称する筒状の装着具をパウチの外側から装着することが行われた。
【0004】
このスリーブの剛性によってパウチの保形性を向上させ、また、商品の説明や美感を与えるなどのディスプレー効果を持たせることができる。しかしながら、このスリーブを用いる場合でも、単にパウチの外面に被せるタイプのスリーブを、ただ装着するだけでは持ち上げた際に外れてしまう恐れがあり、そのためにスリーブとパウチとを接着する必要が生じ、商品の生産行程が一つ増えてしまうことと、別途接着剤が必要にもなる。しかも、スリーブを外した時にパウチ表面に接着剤が残っており、見た目にも悪い。
【0005】
またディスペンサーパウチを使用する場合にはパウチの下部を上にし、注出口を下にして逆さにした状態で壁などから吊り下げて使用するため設置場所に吊り下げ具等が必要になるが、全ての家庭に吊り下げ具等があるわけではなく、吊り下げ具を別に準備しなければならず、これがディスペンサーパウチの使い勝手を悪くしている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−114298号公報
【特許文献2】特開2002−55610号公報
【特許文献3】特開2003−285869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ディスプレーとして使用することができる装着具を容器に取り付ける従来技術の例としては、上記の特許文献に記載されたものがあるが、このうち、特許文献1に記載された技術は、パウチ容器に自立性を与えるスリーブ状の板紙製の組立枠を取り付けたものであるが、この技術はパウチ容器を正立状態に保つための機能を専ら組立枠に持たせるので、組立枠がパウチ容器を内包する必要があり、組立枠がパウチ容器よりも大型となって、きわめて嵩張るものになる。
【0008】
特許文献2に記載された技術はボトルに取り付けて商品情報や広告を表示するための表示具であって、ボトルのネック部の段差を利用して、表示具をボトルに取り付けるので、ネック部の段差のない容器には取り付けられないし、ネック部を表示具の取り付け孔に無理押しして押し込むことになるので、表示具の取り付け孔の縁部が損傷してしまう。特許文献3は商品情報や広告を表示する板状体をパウチ自体の一部としてパウチ自体に取り外しができないように固定したものである。このため板状体の存在がパウチの形状、構造の選択などの点でデザイン上の制約となることがある。
【0009】
この発明は上記の如き事情に鑑みてなされたものであって、接着剤を使用することなく確実にパウチに装着することができ、またパウチを吊り下げるフック等を容易に利用することができてパウチの使い勝手を向上させることができるスリーブ状の装着具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的に対応して、この発明のパウチ装着具は、パウチの上端部より下方のパウチ胴部の前面に注出口を備えた液体通路部を前記パウチ胴部から分岐させて設けた形態のパウチに装着するパウチ装着具であって、前記パウチ装着具は折り曲げ可能な板状材料で構成されていて前記パウチ胴部の一部分を囲繞することができる枠体を有し、前記枠体は前記パウチ胴部の前面に沿って位置し得る前面枠板体と、前記パウチ胴部の背面に沿って位置し得る背面枠板体と、前記パウチ胴部の前記前面と前記液体通路部との間に位置し得る中間枠板体とを折り目を境にして連続して有し、かつ前記前面枠板体と前記背面枠板体とを締結する締結用帯体を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明の装着具はパウチ胴に対して注出口に到る流体通路部が折り返されている分岐パウチなどのディスペンサーパウチ独自の形状を活かして、折り返し部に装着具の中間枠板体を差し込み、これを前面枠板体及び背面枠板体で押えることにより、中間枠板体の抜け出しを防ぎ、接着剤を使用することなく、確実に装着具をパウチに装着することができる。
【0012】
また、この装着具には吊り下げ具が組み込まれているので、別に吊り下げ具を準備する必要がなく、省資源対策に有効であり、かつディスペンサーパウチの使い勝手を向上させることができ、新規顧客がディスペンサーパウチを購入するに当たっての問題点を解消することができる。
【0013】
また、装着具に開孔または切り込みを設け、ここからパウチの注出口を外に出すことにより、ディスペンサーパウチの特徴である注出口を顧客が見ることができ、その特徴が強調され、使用方法を消費者に伝えやすくなる。
【0014】
また、この装着具はパウチ全体を包含するものではないので、小型であり、パウチの外観も表現できる。しかも軟質のパウチに装着することができ、ネック部の段差のないパウチにも確実に取り付けることができ、その取り付けに当たってはパウチと装着具との間に強い摩擦を必要とすることがないので、装着具やパウチを損傷させることない。しかも、装着具はパウチとは別体のものであるので、パウチのデザイン上の選択に制約を与えることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の詳細を一実施形態について説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1から図6において1aはパウチ装着具である。パウチ装着具1aはパウチ2に装着するものであり、パウチ2の例は、パウチの上端部より下方のパウチ胴部の前面に注出口を備えた流体通路部を設けた形態のパウチであり、特に好適にはパウチの上端部より下方のパウチ胴部の前面に注出口を備えた分岐部を設けた形態の分岐型パウチである。分岐型パウチはパウチの上端部において充填口10と注出口5が分岐しているのが特徴の1つである。したがってそのパウチ2は図17、図18に示すように、パウチ胴部3の下端部に底部4を有し、かつ上端部に注出口5を有し、パウチ胴部3から注出口5に達するまでの分岐部6の液体通路7を、注出口5がパウチ胴部3の前面8に沿う状態に折り曲げた姿勢を採ることができるパウチである。このようなパウチの一例は特開2000−68217号及び特開2002−179097号に示されている。パウチ装着具1は枠体11を有する。枠体11は全体が板紙等の折り曲げ可能な板材料によって構成されていて、前面枠板体12、背面枠板体13及び中間枠板体14を折り目線15、16を境にして上下に隣接させて備えている。
【0016】
前面枠板体12の両側に折り目線18を介して帯状の締結用帯体17が延出している。両側に延出している両締結用帯体17を除けば、枠体11は略正方形に近い矩形をなし、前面枠板体12、背面枠板体13及び中間枠板体14はそれぞれ横長の矩形をなしている。
【0017】
背面枠板体13の左右両端の近傍には切り込み21が形成されている。この切り込み21は締結用帯体17の先端部分が差し込み可能である。また背面枠板体13の左右両側部には逃げ部22が設けられている。この逃げ部22は折り曲げられた状態の締結用帯体17を通過させて、折り曲げられた状態の締結用帯体17の厚みが大きく背面枠板体13の外側に出るのを避けるものである。同様に中間枠板体14の左右両側にも逃げ部23が形成されている。
【0018】
前面枠板体12と中間枠板体14との隣接部には中央に切り込み24が設けられ、その両側に前記の折り目線16が形成されている。切り込み24は前面枠板体12の下端中央に突出している舌片25の輪郭を区画するように形成されていて、これにより前面枠板体12の舌片25と中間枠板体14は分離している。舌片25が前面枠板体12から突出している分だけ、中間枠板体14の上端中央は凹入しており、この凹入部26は前面枠板体12から折り目線16によって中間枠板体14を折り曲げたときに舌片25が凹入部26から離れるために凹入部26は開孔27を形成する。この開孔27には後述するように、パウチ2の注出口5及び分岐部6が挿通する。なお、舌片25を設けずに、注出口5及び分岐部6が挿通できる程度の切り込みを折り目線16とほぼ平行に、設けるようにしてもよい。
【0019】
このように構成されたパウチ装着具1aは次の操作によってパウチ2に装着される。枠体11を用意して中間枠板体14を折り目線16で前面枠板体12の裏側に折り曲げる。この折り曲げによって舌片25が前面枠板体12の延長方向に突出し、中間枠板体14の中央下端(前面枠板体12との境界部)に開孔27が開口する。この中間枠板体14をパウチ2の前面8と分岐部6の間に差し込むようにし、注出口5が中間枠板体14の開孔27を挿通して前面枠板体12の外部に現れ、パウチ2の前面8に沿う。次に背面枠板体13を折り目線15でパウチ胴部3の裏面9側に折り曲げ、パウチ胴部3を中間枠板体14との間に挟む。ついで締結用帯体17を折り目線18から折り曲げて背面枠板体13の裏に廻し、締結用帯体17の先端を切り込み24に差し込む。これによって前面枠板体12と背面枠板体13が締結されて装着が完了する。消費者は購入後にパウチ装着具1aをはずし、パウチ2の吊り下げ紐35を用いて注出口5を下にして吊り下げることができ、パウチ2の分岐部6を手指で押せば、必要量若しくは定量の内容液を開封後の注出口5から注出することができる。なお、図示しないが、装着具1aが装着された状態のパウチを店頭等で吊り下げて陳列できるように、背面枠板体13及び前面枠板体12を貫通する孔36を上端部に設けるようにすることも可能である。
【0020】
次に第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態に係るパウチ装着具1bは、図7から図11に示すように、第1の実施形態と異なって、舌片25が中間枠板体14とは切り込み24によって分離されている一方で前面枠板体12とはミシン目28で切り離し可能に連結されている。舌片25には後述するフック33が輪郭を線状の切り込み32によって区画されて備えている。
【0021】
このように構成された第2の実施形態に係るパウチ装着具1bをパウチ2に装着するための操作としては、中間枠板体14を折り目線16で前面枠板体2の裏面に折り曲げ、これをパウチ2のパウチ胴部3と分岐部6(図6参照)との間に差し込み、パウチ2の注出口5を中間枠板体14に形成された開孔27(図6参照)から外に出し、ついで背面枠板体13を折り目線15で折り曲げてパウチ2の裏面9に重ね、最後に締結用帯体17の先端を切り込み21に差し込んで前面枠板体12と背面枠板体13を締結して、装着が完了する点は第一の実施形態と同じである。異なる点は次の通りである。消費者が図8で示す状態で店頭に展示されているパウチ2をパウチ装着具1ごと購入して、自宅でパウチ2を壁面から逆に吊り下げて使用する場合に、パウチ2からパウチ装着具1を取り外す場合に、ミシン目28を切断すると吊り下げ具31が切り出される。そこで両面粘着テープ等を利用して吊り下げ具31を壁面に貼り付け、かつ切り込み32で区画されている吊り下げ具31上のフック33を引き起こせば、このフック33にパウチ2の吊り下げ紐35を掛けて、パウチ2を逆さに吊り下げることができる。この状態でパウチ2の分岐部6を手指で押せば必要量若しくは定量の内容液を注出口5から注出することができる。
【0022】
図12から図15に示すものは、この発明の第3の実施形態に係るパウチ装着具を示すものである。この第3の実施形態に係るパウチ装着具1cは、吊り下げ具31cを枠体11とは別体に構成して枠体11に嵌め込んだものである。すなわち、パウチ装着具1cの前面枠板体12に予め嵌め込み用の孔34を形成しておく。一方、吊り下げ具31cは例えばプラスチック等を原料として、図13に示すように予め形成しておき、これを前面枠板体12の孔34に嵌め込んで図12に示すパウチ装着具1cを完成させる。この吊り下げ具31cは消費者がパウチ2を壁面に吊して使用しようとするときに、前面枠板体12から外して、壁面に固定し、吊り下げ具31cに予め設けられているフック33cにパウチ2の吊り下げ紐35を掛けて、パウチ2を逆さに吊り下げることができる。
【0023】
以上、本実施形態をスタンディングパウチについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、平袋やガゼットパウチなど他の形状のパウチについても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】パウチ装着具1aの枠体の正面図。
【図2】パウチ装着具1aの枠体の側面拡大説明図。
【図3】パウチ装着具1aをパウチに装着した状態の正面図。
【図4】パウチ装着具1aをパウチに装着した状態の背面図。
【図5】パウチ装着具の側面拡大説明図。
【図6】図3におけるVI−VI部断面拡大説明図。
【図7】パウチ装着具1bの枠体の正面図。
【図8】パウチ装着具1bをパウチに装着した状態の正面図。
【図9】パウチ装着具1bをパウチに装着した状態の背面図。
【図10】吊り下げ具の正面図。
【図11】パウチを吊り下げ具に吊り下げた状態を示す斜視説明図。
【図12】パウチ装着具1cの枠体の正面図。
【図13】吊り下げ具を示す図で(a)は正面図、(b)は縦断面図。
【図14】パウチ装着具1cをパウチに装着した状態の正面図。
【図15】パウチ装着具1cをパウチに装着した状態の背面図。
【図16】パウチを吊り下げ具に吊り下げた状態を示す斜視説明図。
【図17】分岐型パウチの斜視説明図。
【図18】分岐型パウチを吊り下げた状態を示す正面説明図。
【符号の説明】
【0025】
1 パウチ装着具
2 パウチ
3 パウチ胴部
4 底部
5 注出口
6 分岐部
7 液体通路
8 前面
9 後面
10 充填口
11 枠体
12 前面枠板体
13 背面枠板体
14 中間枠板体
15 折り目線
16 折り目線
17 締結用帯体
18 折り目線
21 切り込み
22 逃げ部
23 逃げ部
24 切り込み
25 舌片
26 凹入部
27 開孔
28 ミシン目
31 吊り下げ具
32 切り込み
33 フック
34 孔
35 吊り下げ紐
36 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチの上端部より下方のパウチ胴部の前面に注出口を備えた液体通路部を前記パウチ胴部から分岐させて設けた形態のパウチに装着するパウチ装着具であって、前記パウチ装着具は折り曲げ可能な板状材料で構成されていて前記パウチ胴部の一部分を囲繞することができる枠体を有し、前記枠体は前記パウチ胴部の前面に沿って位置し得る前面枠板体と、前記パウチ胴部の背面に沿って位置し得る背面枠板体と、前記パウチ胴部の前記前面と前記液体通路部との間に位置し得る中間枠板体とを折り目を境にして連続して有し、かつ前記前面枠板体と前記背面枠板体とを締結する締結用帯体を有することを特徴とするパウチ装着具
【請求項2】
前記締結用帯体は前記前面枠板体若しくは前記背面枠板体の側縁部から折れ目線を介して延出しており、前記背面枠板体若しくは前記前面枠板体には前記締結用帯体の先端を差込み可能な差込穴が形成されていることを特徴とする請求項1記載のパウチ装着具
【請求項3】
前記枠体には前記パウチの前記注出口を通すことができる開孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載のパウチ装着具
【請求項4】
吊下げ用の壁面に固着されて前記パウチを吊り下げることが可能なパウチ吊下げ具を前記枠体に分離可能に取り付けて備えていることを特徴とする請求項1記載のパウチ装着具
【請求項5】
前記パウチ吊下げ具は前記枠体に切り出し可能に接続して備えており、前記吊り下げ具は前記パウチと係合可能なフックを切り込みによって輪郭を区画して備えていることを特徴とする請求項1記載のパウチ装着具
【請求項6】
前記パウチ吊下げ具は前記枠体とは別体に構成されて、前記枠体に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のパウチ装着具
【請求項7】
前記パウチ吊下げ具の一部分が前記窓穴に嵌入していることを特徴とする請求項5または6記載のパウチ装着具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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