説明

パケット・ベースの処理システム

無線通信システムにおける例えば基地局あるいは端末のような、さまざまな用途に適したパケット・ベースの処理システムが記載される。パケット・ベースの処理システムは、複数の処理モジュールおよび少なくとも1つの伝送モジュールを含みうる。処理モジュールは、共通のパケット・インタフェースを介して互いにパケットを送信し、非同期で動作することができる。伝送モジュールは、処理モジュールによって送信されたパケットを転送し、処理モジュールに関して非同期で動作しうる。おのおのの処理モジュールは、ネットワーク・インタフェース、少なくとも1つのバッファ、パケット・パーサ、パケット・ビルダ、および少なくとも1つの処理ユニットを含みうる。おのおのの処理モジュールは、少なくとも1つのサービスをサポートすることができる。おのおののパケットは、ヘッダとペイロードとを含むことができる。ヘッダは、パケットを送信するソース・サービスのためのソース・サービス・アドレスと、パケットを受信する受信者サービスのための宛先サービス・アドレスとを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本願は、2007年8月23日に出願され"METHOD AND APPARATUS FOR PACKET BASED MODEM DESIGN"と題された米国仮出願60/957,509号に対する優先権を主張する。この仮出願は、本願の譲受人に譲渡され、本明細書において参照によって明確に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、データ処理に関し、さらに詳しくは、無線通信およびその他のアプリケーションに適切な処理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信システムは、例えば音声、ビデオ、パケット・データ、メッセージング、ブロードキャスト等のようなさまざまな通信サービスを提供するために広く開発された。これらのシステムは、利用可能なシステム・リソースを共有することにより、複数のユーザをサポートすることができる多元接続システムでありうる。そのような多元接続システムの例は、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、直交FDMA(OFDMA)システム、およびシングル・キャリアFDMA(SC−FDMA)システムを含む。
【0004】
無線通信システムでは、基地局は1または複数の端末へデータおよびシグナリングを送信し、端末からデータおよびシグナリングを受信する。おのおのの端末と同様に基地局も、データやシグナリングの送信および受信のために、さまざまなタイプの処理を実行する。おのおののエンティティによる処理は、計算上大容量のメモリを使い、さまざまな理由により変更されうる。この処理を効率的な方法で実行し、かつ、より容易に設計および試験される処理システムが、強く望まれる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、無線通信システムにおける例えば基地局や端末のためのさまざまなアプリケーションに使用されうるパケット・ベースの処理システムが記載される。パケット・ベースの処理システムは、特定用途向け集積回路(ASIC)を含むさまざまな手法で実装されうる。パケット・ベースの処理システムは、スケーラビリティ、柔軟性、設計および試験の容易さ等を含むさまざまな利点を備える。
【0006】
1つの設計では、パケット・ベースの処理システムは、複数の処理モジュールおよび少なくとも1つの伝送モジュールを含みうる。処理モジュールは、処理モジュールによって送信された全てのパケットについて共通のパケット・フォーマットを使用する共通のパケット・インタフェースを経由して互いにパケットを送信する。パケットはまた、メッセージ、データ・ユニット、データ・ブロック等とも称されうる。処理モジュールは、非同期で動作する。そして、おのおのの処理モジュールは、その処理モジュールのために選択された少なくとも1つのクロックに基づいて動作しうる。伝送モジュールは、処理モジュールによって送信されたパケットを転送し、処理モジュールに関して非同期で動作しうる。
【0007】
1つの設計では、処理モジュールはネットワーク・インタフェース、少なくとも1つのバッファ、少なくとも1つの処理ユニット、パケット・パーサ、およびパケット・ビルダを含みうる。ネットワーク・インタフェースは、処理モジュールのためのパケットの受信および送信を行うことができる。パケット・パーサは、ネットワーク・インタフェースからパケットを受信し、受信したパケットからの入力データをバッファへ提供し、受信したパケットからの入力制御情報を処理ユニットに提供しうる。処理ユニットは、この入力データを処理し、バッファへ出力データを提供しうる。パケット・ビルダは、バッファから出力データを受信し、処理ユニットから出力制御情報を受信し、出力データを用いて、および、出力制御情報にしたがって、パケットを構築する。
【0008】
1つの設計では、処理モジュールは、少なくとも1つのサービスをサポートし、処理モジュールによってサポートされるすべてのサービスについて、パケットについて動作しうる。おのおののパケットは、ヘッダとペイロードとを含みうる。おのおののパケットのヘッダは、(i)パケットを送信するソース・サービスのためのソース・サービス・アドレスと、(ii)パケットを受信する受信者サービスのための宛先サービス・アドレスとを含みうる。おのおののサービスは、少なくとも1つのサービス・ポートをサポートしうる。おのおののパケットのヘッダはさらに、(i)ソース・サービスにおけるサービス・ポートのためのソース・サービス・ポートと、(ii)受信者サービスにおけるサービス・ポートのための宛先サービス・ポートとを含みうる。
【0009】
本開示のさまざまな態様および特徴が、以下にさらに詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、無線通信システムを示す。
【図2】図2は、基地局と端末のブロック図を示す。
【図3】図3は、バス・ベースの処理システムを示す。
【図4A】図4Aは、パケット・ベースの処理システムの設計を示す。
【図4B】図4Bは、パケット・ベースの処理システムの別の設計を示す。
【図5】図5は、基地局または端末用のパケット・ベースの処理システムを示す。
【図6】図6は、処理モジュールのブロック図を示す。
【図7】図7は、2つのサービス間の通信を示す。
【図8】図8は、共通のパケット・インタフェース用のパケット・フォーマットを示す。
【図9】図9は、パケット・ベースの処理システムにおける動作の処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
パケット・ベースの処理システムは、例えば無線通信、ネットワーキング、コンピューティング等のようなさまざまなアプリケーションのために使用されうる。一般に、パケット・ベースの処理システムは、処理が複数の処理モジュールにわたって分散される任意のアプリケーションのために使用されうる。おのおのの処理モジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、あるいはこれらの組み合わせによって実現されうる。明瞭さのために、パケット・ベースの処理システムのある態様が、無線通信について以下に記載される。
【0012】
図1は、多くの基地局およびその他のネットワーク・エンティティを含みうる無線通信システム100を示す。それは単純化のために、図1では1つの基地局110のみが示される。基地局110は、端末と通信する固定局であることができ、ノードB、イボルブド・ノードB(eNB)、アクセス・ポイント等とも称されうる。基地局110は、ダウンリンク122aおよびアップリンク124aによって端末120aと通信し、ダウンリンク122bおよびアップリンク124bによって端末120bと通信しうる。端末は据置式または移動式であり、移動局、ユーザ機器(UE)、アクセス端末、加入者ユニット、局等とも称されうる。端末は、セルラ電話、携帯情報端末(PDA)、無線通信デバイス、ハンドヘルド・デバイス、無線モデム、ラップトップ・コンピュータ等でありうる。
【0013】
図2は、図1における端末120aおよび端末120bでありうる端末120と、基地局110との設計のブロック図を示す。この設計では、基地局110は、T個のアンテナ234a乃至234tが備えられており、端末120は、R個のアンテナ252a乃至252rが備えられている。ここで、一般に、T≧1およびR≧1である。
【0014】
基地局110では、送信プロセッサ220が、1または複数の端末のためのデータをデータ・ソース212から受け取り、おのおのの端末のためのデータを、その端末のために選択された1または複数の変調および符合化スキームに基づいて処理し、全ての端末に対してデータ・シンボルを提供する。また、送信プロセッサ220は、シグナリングを処理し、シグナリング・シンボルを提供する。送信(TX)複数入力複数出力(MIMO)プロセッサ230は、データ・シンボル、シグナリング・シンボル、およびパイロット・シンボルを多重化する。TX MIMOプロセッサ230は、これら多重化されたシンボルについて空間処理(例えば、事前符号化)を行ない、適用可能であれば、T個の出力シンボル・ストリームを、T個の変調器(MOD)232a乃至232tへ提供する。おのおのの変調器232は、出力サンプル・ストリームを取得するために、(例えばCDMA、OFDM等のために)それぞれの出力シンボル・ストリームを処理しうる。おのおのの変調器232はさらに、ダウンリンク信号を取得するために、出力サンプル・ストリームを処理(例えば、アナログ変換、増幅、フィルタ、およびアップコンバート)する。変調器232a乃至232tからのT個のダウンリンク信号は、T個のアンテナ234a乃至234tを経由してそれぞれ送信されうる。
【0015】
端末120では、基地局110からのダウンリンク信号をアンテナ252a乃至252rが受信する。そして、受信した信号を、復調器(DEMOD)254a乃至254rへそれぞれ提供する。おのおのの復調器254は、受信サンプルを取得するために、受信した信号のそれぞれを調整(例えば、フィルタ、増幅、ダウンコンバート、およびデジタル化)する。おのおのの復調器254はさらに、受信シンボルを取得するために、(例えば、CDMA、OFDM等のために)受信サンプルを処理する。MIMO検出器256は、R個すべての復調器254a乃至254rから受信シンボルを取得する。そして、適用可能であれば、これら受信シンボルについてMIMO検出を実行し、検出されたシンボルを提供する。受信プロセッサ258は、これら検出されたシンボルを処理(例えば、復調、デインタリーブ、および復号)し、端末120のために復号されたデータを、データ・シンク260へ提供する。
【0016】
アップリンクでは、端末120において、データ・ソース262からのデータと、コントローラ/プロセッサ280からのシグナリングとが、送信プロセッサ264によって処理され、適用可能であれば、TX MIMOプロセッサ266によって事前符合化され、変調器254a乃至254rによって調整され、基地局110へと送信される。基地局110では、端末120からのアップリンク信号がアンテナ234によって受信され、復調器232によって調整される。そして、適用可能であれば、MIMO検出器236によって処理される。さらに、端末120によって送信されたデータおよびシグナリングを取得するために、受信プロセッサ238によって処理される。
【0017】
コントローラ/プロセッサ240、280は、基地局110および端末120における動作を指示することができる。メモリ242およびメモリ282は、基地局110および端末120のためのデータとプログラム・コードとをそれぞれ格納しうる。スケジューラ244は、ダウンリンク送信および/またはアップリンク送信のために端末をスケジュールし、スケジュールされた端末のためにリソースの割当を提供しうる。
【0018】
図2は、1つの設計にしたがった基地局110および端末120におけるさまざまな機能ブロックを示す。基地局110および端末120は、図2には示されていない別の機能ブロックおよび/または異なる機能ブロックを含みうる。
【0019】
一般に、基地局および端末はおのおの、任意の数の処理モジュールを含みうる。処理モジュールはまた、処理エンジン、処理ブロック、処理ノード等と称されうる。おのおのの処理モジュールは、例えば、探索、変調、復調、符号化、復号等のような指定された機能のセットを実行しうる。おのおのの処理モジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、あるいはそれらの組み合わせで実現されうる。例えば、処理モジュールは、1または複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、縮小命令型コンピュータ(RISC)プロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ASIC、プロセッサ、コントローラ、回路基板(例えばベースバンド・ボード、RFボード等)を含みうる。別の例として、処理モジュールは、1または複数の汎用プロセッサ、RISCプロセッサ等によって実行されるソフトウェアおよび/またはファームウェアで実現されうる。
【0020】
図3は、バス・ベースの処理システム300の設計を示す。図3で示される設計では、処理システム300は、所望の機能を実行するように設計された6つの処理モジュール310a乃至310fを含んでいる。おのおのの処理モジュール310は、1または複数の相互接続を介して、1または複数の別の処理モジュール310と通信しうる。例えば、処理モジュール310fは、5つのカスタム相互接続を介して、他の5つの処理モジュール310a乃至310eと通信しうる。おのおのの相互接続は、ポイント・トゥ・ポイント・バスあるいはポイント・トゥ・マルチポイント・バスでありうる。
【0021】
図3に示す設計では、処理モジュール310は、密に接続され、カスタム・インタフェースを介して互いに通信しうる。カスタム・インタフェースは、おのおのの処理モジュールの入力要件および出力要件に基づいて、具体的に設計されうる。カスタム・インタフェースは、ソース・クロックおよび宛先クロックについて、前もって注意深く計画される必要があるある仮定をしうる。処理モジュールによって取り扱われるべきデータは、(図3には示されていない)中央共有メモリに格納されうる。これは、密に接続された処理モジュールのパフォーマンスを向上するが、処理システムの他の部分における各処理モジュールの依存度を高めうる。さらにまた、他の処理モジュールから受信したデータ間のタイミング関係およびアービトレーションが重要となりうる。したがって、1つの処理モジュールにおける小さな変更は、他の処理モジュールに対する変更を必要とする。バス・ベースのアーキテクチャの他の欠点は、一般にスケーラブルではないということである。さらには、1つの処理モジュールに対する変更により、システムの他の部分に対する変更も必要になるので、(例えば、要求の変化、処理モジュールのパフォーマンス不足、アップグレード等によって、)バス・ベースの処理システムを適用することは困難でありうる。
【0022】
図4Aは、パケット・ベースの処理システム400の設計を示す。それは、図3におけるバス・ベースの処理システム300に対するある利点を提供することができる。図4Aに示される設計では、処理システム400は、伝送モジュール420に接続された3つの処理モジュール410a、410b、および410cを含んでいる。おのおのの処理モジュール410は、指定された機能のセットを実行することができる。伝送モジュール420は、処理モジュール410のためのルータとして動作しうる。伝送モジュール420は、処理モジュール410からパケットを受信し、そのパケットを、適切な受信者の処理モジュールへ転送することができる。
【0023】
図4Bは、パケット・ベースの処理システム402の設計を示す。図4Bで示される設計では、処理システム402は、複数の処理モジュール410a乃至410zと、複数の伝送モジュール420a乃至420nとを含む。おのおのの処理モジュール410は、指定された機能のセットを実行することができる。おのおのの伝送モジュール420は、1または複数の処理モジュール410、および1または複数のその他の伝送モジュール420に接続されうる。おのおのの伝送モジュール420は、ルータとして動作し、その伝送モジュールに接続された処理モジュールおよび伝送モジュールからパケットを受信し、それらパケットを、受信者の処理モジュールおよび伝送モジュールへ転送する。
【0024】
図4Aおよび図4Bは、2つのパケット・ベースの処理システムの2つの設計例を示す。一般に、パケット・ベースの処理システムは、任意の数の処理モジュールと、任意の数の伝送モジュールとを含みうる。これらは、任意の方式で相互接続されうる。処理モジュールは、パケット・ベースの処理システムのための所望の機能を実行しうる。パケット・ベースの処理システムを含む処理モジュールの数およびタイプは、システムの処理要件に依存しうる。伝送モジュールは、このシステムのための伝送メカニズムを形成し、異なる処理モジュール間でパケットをルーティングする。
【0025】
パケット・ベースの処理システムは、通信/伝送から、処理/計算を分離しうる。処理に特有の問題は、通信の問題とは別々に取り扱われる。パケット・ベースの処理システムは、おのおの個別の処理モジュールが同期して動作するが、異なる処理モジュールは互いに非同期であるglobally asynchronous/locally synchronous(GALS)アーキテクチャを利用することができる。処理モジュールは、粗に接続されており、所望の機能を達成するために、独立したクロックで動作する。
【0026】
おのおのの処理モジュールは、1または複数のアップストリーム処理モジュールから(例えば、タスク記述、サイドバンド情報、および/またはデータのための)パケットを受信し、受信したパケットについてのタスクを処理し、その結果(例えば、タスク記述、サイドバンド情報、および/またはデータ)を、パケットによって、1または複数のダウンストリーム処理モジュールへ提供する処理モジュールは、伝送メカニズムは信頼性が低く、情報の複製あるいは頻繁な喪失を取り扱うものと仮定する。
【0027】
伝送メカニズムは、処理モジュール間に通信リンクを提供しうる。伝送メカニズムは、ソース処理モジュールからパケットを受信し、これらパケットを、宛先処理モジュールへ転送しうる。すべての処理モジュールについて共通のパケット・インタフェースが使用され、これら処理モジュール間でのパケットの伝送を簡素化する。柔軟性を高めるために、伝送メカニズムは、処理モジュールに関し非同期であることができる。伝送メカニズムは、処理モジュール間で交換されたパケットのすべてを伝送するために十分な帯域幅をもって設計されうる。伝送メカニズムは、ソース処理モジュールから、宛先処理モジュールへとパケットを順に配信することができる。伝送メカニズムが十分大きな帯域幅を持つ限り、パケット・ベースの処理システムは、スケーラブルかつフレキシブルでありうる。伝送メカニズムの帯域幅はスケーラブルで、かつ、スイッチおよびリンクのバス帯域を増加することにより調節されうる。
【0028】
パケット・ベースの処理システムは、トランザクション向けでありうる。処理モジュールは、実行されるタスクに関する情報に関連付けられたトランザクション、タスクのためのデータ、トランザクション結果とともにダウンストリーム処理モジュールへ転送されるべきあらゆるサイドバンド情報を受信しうる。トランザクションは、例えば、コンフィギュレーション、動作、デバック等のような異なるタイプからなりうる。おのおののトランザクションは、ソースの処理モジュールまたはダウンストリームの処理モジュールに対して、1または複数のトランザクションを引き起こす。例えばリセット、アクノレッジ、フロー制御、システム・タイマ等のような制御パケットが使用されうる。
【0029】
図5は、パケット・ベースの処理システム500の設計のブロック図を示す。それは、図2の基地局110または端末120のために使用されうる。この設計では、処理システム500は、モデム処理モジュール510a、符号化/復号処理モジュール510b、アプリケーション処理510モジュールc、および伝送モジュール520を含んでいる。
【0030】
処理モジュール510aは、データ送信のための変調、およびデータ受信のための復調を実行しうる。変調/復調(モデム)処理は、例えばCDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、SC−FDMA等のように、サポートされているラジオ技術に依存しうる。処理モジュール510bは、チャネル符号化および復号(例えば、ターボ符号化および復号)、インタリーブ、デインタリーブ等を実行しうる。処理モジュール510cは、例えばオーディオ/ビデオ符号化および復号等のような高次レイヤ・アプリケーションのための処理を実行する。処理モジュール510cは、処理システム500が端末120のために使用される場合に存在し、処理システム500が基地局110のために使用される場合には省略されうる。おのおのの処理モジュール510は、処理モジュールの内部または外部にありうる関連するメモリ512を有しうる。おのおのの処理モジュール510のメモリ512は、他の処理モジュールから受信した入力データ、他の処理モジュールへ送信される出力データ、および、処理モジュールによって取り扱われる中間データを格納することができる。伝送モジュール520は、処理モジュール510a乃至510cに接続され、処理モジュールのためのパケットをルーティングすることができる。
【0031】
図5は、3の処理モジュール510a、510b、510cを含む、パケット・ベースの処理システム500を備えた設計例を示す。処理システム500は、別の機能を実行する異なる処理モジュールおよび/または追加の処理モジュールを含みうる。例えば、処理システム500は、高速フーリエ変換(FFT)および逆FFT(IFFT)、変調および復調、スクランブルおよびデスクランブル、インタリーブおよびデインタリーブ、チャネル符号化および復号、空間処理(例えば、事前符号化およびビームフォーミング)、MIMO検出、パイロット生成、電力制御、チャネル推定、時間トラッキング・ループ、周波数トラッキング・ループ、フェーズ回転、自動利得制御(AGC)等のための処理モジュールを含みうる。処理システム500はさらに、追加の伝送モジュールを含みうる。
【0032】
図6は、処理モジュール510xの設計のブロック図を示す。これは、図5における処理モジュールのうちの何れか1つのために使用されうる。処理モジュール510x内では、ネットワーク・インタフェース610が、リンク612を経由して、(図6では図示していない)関連する伝送モジュールとパケットを交換(例えば、送信および受信)する。ネットワーク・インタフェース610は、処理モジュール510xに割り当てられた1または複数のアドレスまたは識別子(ID)を受信しうる。ネットワーク・インタフェース610は、割り当てられたアドレスに基づいて、処理モジュール510xへ向けられた入力パケットを識別し、この入力パケットを、パケット・パーサ620へ渡す。ネットワーク・インタフェース610はまた、誤って受信されたパケットを検出し、これらパケットを破棄する。
【0033】
パケット・パーサ620は、ネットワーク・インタフェース610からの入力パケットを分析し、入力パケットからの入力データを、受信データ・パケット622へ提供し、入力パケットからの入力制御情報を処理ユニット630へ提供する。入力データは、データ・パケットで送信されうる。そして、入力制御情報は、制御パケットで送信されうる。この場合、パケット・パーサ620は、入力パケットを、データ・パケットおよび制御パケットへ分析する。制御パケットは、処理モジュール510xにおいて中間的な動作(例えば、リセットまたはフロー制御)を引き起こすか、あるいは、実行されるべき他のタスクを引き起こす。パケット・パーサ620はまた、処理ユニット630との通信を必要としないあるパケットに応答することができる。
【0034】
処理ユニット630がデータを受信する準備ができるまで、バッファ622は入力データを格納することができる。要求されると、バッファ622は、入力データを、受信された順に提供する。バッファ622はまた、処理ユニット630と、処理システムの残りとの間のクロック・レート変換のために使用されうる。バッファ622は、ファースト・イン・ファースト・アウト(FIFO)バッファまたはその他いくつかのタイプのバッファで実現されうる。
【0035】
処理ユニット630は、例えば入力制御情報によって示されるように、バッファ622からの入力データを処理することができる。処理ユニット630は、送信データ・バッファ632へ出力データを提供し、パケット・ビルダ640へ出力制御情報を提供することができる。データが送信される準備ができるまで、バッファ632は、処理ユニット630からの出力データを格納することができる。バッファ632はまた、処理ユニット630と、処理システムの残りとの間のクロック・レート変換のためにも使用されうる。バッファ632は、FIFOバッファあるいはその他いくつかのタイプのバッファで実現されうる。
【0036】
パケット・ビルダ640は、バッファ632からの出力データを用いて、および、処理ユニット630からの出力制御情報によって示されるように、出力パケットを生成する。ネットワーク・インタフェース610は、パケット・ビルダ640からの出力パケットを受信し、これらパケットを、リンク612を経由して、関連する伝送モジュールへ送信する。バッファ622およびバッファ632は、図5のメモリ512の一部であり、処理モジュール510xによって実行されている機能によって決定される適切なサイズを有する。
【0037】
処理モジュール510xは、パケット・ベースの処理システムにおけるおのおのの処理モジュールのために使用されうる。異なる処理モジュールが、異なるパケットを送信することができる。しかしながら、すべての処理モジュールによって、共通のパケット・インタフェースが使用されうる。さらに、処理モジュールは、伝送メカニズムの特定の動作から分離され、伝送メカニズムに対する変更によって影響されない。
【0038】
パケット・ベースの処理システムは、1または複数の処理モジュールを含み、おのおのの処理モジュールは、1または複数のサービスをサポートすることができる。サービスは、1または複数の論理機能をサポートする論理モジュールでありうる。そして、サポートされているすべての論理機能のためのパケットを送信および受信することができる。パケット・ベースの処理システムは、相互接続されたサービスのセットをサポートするものとして理解されうる。
【0039】
スタンダード・パケット・プロトコル(SPP)が定義され、パケット・ベースの処理システムのための伝送独立プロトコルとして使用されうる。SPPは、スケーラブルで、高帯域幅で、低レイテンシなパケット・ベースの処理システムのためのデータ交換をサポートしうる。SPPは、非同期かつスケーラブルなインタフェースを用いたサービス・トゥ・サービス通信をサポートする。これによって、サービスは、(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアのような)特定の実装に依存せず、伝送メカニズムにも依存せずに、互いに相互動作できるようになる。SPPは、パケットを他のサービスへ送信するための、サービスのための手順を提供する。SPPは、トランザクション向けであり、配信および複製の保護を保証するものではない。パケットの高い信頼性の配信を要求するサービスは、これを、アプリケーション・レイヤにおいて、適切な手順を用いて達成することができる。そして、その手順のための適切な情報を搬送するためにパケットを拡張することができる。
【0040】
図7は、2つの処理モジュール内に存在する2つのサービスA、B間の通信の設計を示す。サービスは、1または複数のサービス・エンド・ポイント(SEP)を有しうる。1つの設計では、おのおののサービス・エンド・ポイントは、サービス・アドレスおよびサービス・ポートによって識別されうる。サービス・アドレスは、パケット・ベースの処理システムを介してパケットをルーティングするために使用され、サービスのための物理アドレスとして考慮されうる。サービス・ポートは、異なる論理機能のため、パケットを異なるストリームに分離するサービスによって使用される。所与のサービスのすべてのサービス・エンド・ポイントは、同じサービス・アドレスであるが異なるサービス・ポートを有しうる。伝送メカニズムは、それらのサービス・アドレスに基づいてパケットをルーティングし、サービス・ポートを無視することができる。一般に、SEPアドレスは、任意の数の部分を含み、おのおのの部分は、適切なビット幅を有しうる。
【0041】
パケット・ベースの処理システムにおけるサービスは、ユニークなユニキャスト・サービス・アドレスを割り当てられうる。複数のサービスは、マルチキャスト・サービス・アドレスを割り当てられ、そのマルチキャスト・サービス・アドレスへ送信されたパケットを受信することができる。また、すべてのサービスが、ブロードキャスト・サービス・アドレスへ送信されたパケットを受信することができる。マルチキャスト・サービス・アドレスおよびブロードキャスト・サービス・アドレスが、マルチキャストおよびブロードキャストのために確保されたサービス・アドレスの範囲から取得されうる。
【0042】
おのおののサービスは、そのサービスがパケットを交換できる他のサービスのSEPのアドレスを知っている(例えば、このアドレスを用いて設定されうる)。処理モジュールのためのネットワーク・インタフェースは、その処理モジュールによってサポートされているすべてのサービスを知っている。ネットワーク・インタフェースは、入力パケットを、処理モジュール内の適切なサービスへとルーティングし、出力パケットを、適切な受信者サービスへ送信する。
【0043】
図8は、パケット・ベースの処理システムにおいてサービス間で交換されるパケットのために使用されうるパケット・フォーマット800の設計を示す。この設計では、パケットは、ヘッダ情報を搬送するヘッダ810と、データを搬送するペイロード850とを含みうる。ヘッダ810内では、ペイロード・タイプ・フィールド822が、ペイロード850で送信されているペイロードのタイプを示すことができる。宛先アドレス・フィールド830は、(i)パケットの受信者サービスのサービス・アドレスを搬送する宛先サービス・アドレス・フィールド832と、(ii)パケットの受信者サービスのサービス・ポートを識別する宛先サービス・ポート・フィールド834とを含みうる。ソース・アドレス・フィールド840は、(i)パケットを送信するサービスのサービス・アドレスを搬送するソース・サービス・アドレス・フィールド842と、(ii)パケットが送信されるサービス・ポートを識別するソース・サービス・ポート・フィールド844とを含みうる。サービス品質(QoS)フィールド842は、ペイロード850内のデータの優先度を示すことができる。例えば、0は、最低優先度データを示し、7は、最高優先度データを示す。ペイロード長さフィールド844は、ペイロード850の長さを搬送する。
【0044】
図8は、パケット・ベースの処理システムのために使用されうるパケット・フォーマットの1つの設計を示す。異なるフィールドを持つその他のパケット・フォーマットも使用されうる。
【0045】
一般に、パケット・ベースの処理システムは、サービス間でパケットを伝送するために、任意の伝送メカニズムを使用することができる。伝送メカニズムは、例えばイーサネット(登録商標)、シリアル・ラピッドI/O、アドバンスト・イクステンシブル・インタフェース(AXI)等のような利用可能な伝送プロトコルを利用することができる。伝送メカニズムはまた、ASIC上にパケット・ベースの処理システムを実装するのにより適切な、専用の伝送プロトコルを利用することもできる。SPPが特定の伝送プロトコルと共に使用される場合、SPPパケット・ヘッダは、オーバヘッドを縮小するために、この特定の伝送プロトコルからのフィールドを再利用することができる。したがって、実際のパケットのフォーマットは、この特定の伝送プロトコルに依存しうる。伝送中に、パケットは、図8に示すパケット・フォーマット内に存在しないかもしれない。そして、伝送メカニズムの効率的な使用を可能にするために摂動が加えられうる。
【0046】
図9は、パケット・ベースの処理システムにおける動作のための処理900の設計を示す。パケットは、共通のパケット・フォーマットにしたがって、装置の複数の処理モジュールによって生成される(ブロック912)。装置は、ASIC、回路基板、電子デバイス、機器ラック等でありうる。装置は、基地局、端末、あるいは無線通信システムにおけるその他いくつかのエンティティ用のものである。共通のパケット・フォーマットは、ヘッダおよびペイロードを備え、ヘッダは、ソース・アドレスおよび宛先アドレスを含みうる。パケットは、共通のパケット・インタフェースを経由して、複数の処理モジュール間で送信される(ブロック914)。複数の処理モジュールによって送信されたパケットは、パケットのソース・アドレスおよび宛先アドレスに基づいて、少なくとも1つの伝送モジュールを経由して転送される(ブロック916)。おのおのの処理モジュールで受信されたパケットは、入力データおよび入力制御情報を取得するために分析される(ブロック918)。おのおのの処理モジュールによって送信されるパケットは、出力データを用いて、および、処理モジュールからの出力制御情報にしたがって構築される(ブロック920)。おのおのの処理モジュールの入力データおよび出力データは、例えば、入力データについて1つのFIFOバッファ、出力データについて別のFIFOバッファを用いてバッファされる(ブロック922)。
【0047】
おのおのの処理モジュールは、少なくとも1つのサービスをサポートすることができる。
【0048】
その後、おのおののパケットは、(i)パケットを送信するソース・サービスのためのソース・サービス・アドレスと、(ii)パケットを受信する受信者サービスのための宛先サービス・アドレスとを含む。おのおののサービスは、少なくとも1つのサービス・ポートをサポートする。おのおののパケットはさらに、(i)ソース・サービスにおけるサービス・ポートのためのソース・サービス・ポートと、(ii)受信者サービスにおけるサービス・ポートのための宛先サービス・ポートとを含む。
【0049】
複数の処理モジュールが、非同期で動作することができる。おのおのの処理モジュールは、その処理モジュールのために選択された少なくとも1つのクロックに基づいて動作する。少なくとも1つの伝送モジュールが、複数の処理モジュールに関して非同期で動作する。
【0050】
パケット・ベースの処理システムは、さまざまなアプリケーションのために使用されうる。例えば、パケット・ベースの処理システムは、基地局または端末のエミュレーションのために使用されうる。エミュレーションは、基地局または端末の機能を実現し、例えば、概念実証、物理レイヤおよび媒体アクセス制御(MAC)レイヤの設計およびパラメータの試験および調整、送信試験、システム容量試験、性能検証、確証等のようなさまざまな目的のために使用されうる。別の例として、パケット・ベースの処理システムは、例えばネットワーク・オン・チップ(NoC)あるいはシステム・オン・チップ(SoC)のようなASICのために使用されうる。すべてのアプリケーションについて、パケット・ベースの処理システムは、望ましいすべての機能を柔軟にサポートし、追加の機能および/または要件をサポートするようにスケーラブルであり、ハードウェアおよび新しい回路技術における最新技術を利用するようにアップグレード可能でありうる。
【0051】
パケット・ベースの処理システムは、次の利点のうちの1または複数を有しうる。
・パケット・ベースの処理システムは、アルゴリズム修正に対して容易に適応可能である。修正によって影響を受ける処理モジュールのみが変更または適応され、その他の処理モジュールは、そのままとされる。
・処理能力を高めるために、追加の処理モジュールが、伝送メカニズムに接続される。例えば、単一のDSPでは、十分な処理能力を提供することができない場合、第2のDSPがシステムに追加されうる。
・新たな技術を利用するために、処理モジュールが、独立的にアップグレードされうる。ある処理モジュールが取り除かれ、新たな処理モジュールと交換されうる。これによって、システムの残りの部分を著しく変更する必要なく、高速かつコスト効果の高いアップグレードが可能となる。
・簡単なトラブルシューティング、修理、またはアップグレードのために、1または複数の処理モジュールをシステムから取り除くことができる。
・必要な性能を達成するために、処理モジュールを個別に設計することができる。おのおのの処理モジュールは、所望の機能および性能を達成するために、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを用いて実現されうる。システムの観点からは、おのおのの処理モジュールについての特別な実装は関係ない。これによって、アルゴリズムが試験され、動作しなくなると、(例えば、DSPからFPGAへ、その次にASICへと移動して)異なるハードウェア・プラットフォームを用いて機能が実現されるようになる。あるタイプのデバイスから、別のタイプのデバイスへと変わることは、パケットが処理モジュールとどのようにルーティングされているかを変更することのみを含む。
・処理モジュールは、個別の独立したクロックを有することができる。おのおのの処理モジュールは、所望の性能を得るために、適切なクロック・レートで動作する。要求されたクロック・レートで処理モジュールを動作させることによって、動作する処理モジュールのすべてまたはほとんどを単一の高速クロック上に有する従来設計に対して、節電が達成される。非同期動作により、システム内のトランジスタの切り換えが、異なるクロック・エッジで引き起こる。これは、システム内の電源ノイズを低減する。
・システムにわたってクロックを提供するために大きなクロック・ツリーは必要とされないので、システムのためにタイミングを断つことがより容易に達成される。
・すべての処理モジュールのために共通のパケット・インタフェースを使用することが可能である。共通のパケット・インタフェースは、設計努力を低減し、設計再使用を増やし、検証を単純化し、試験を単純化する。共通のパケット・インタフェースによってさらに、システム・レベルにおいてのみならず、すべての処理モジュールのためにも同じ試験環境を用いることが可能となる。また、共通のパケット・インタフェースによって、おのおのの処理モジュールにおける入力パケットおよび出力パケットの制御および観察が可能となる。共通のパケット・インタフェースによってさらに、おのおのの処理モジュールのための処理クロックから、伝送クロックを容易にデカップリングできるようになる。
・ASIC上に実装された場合、パケット・ベースの処理システムによって、少しのメタル・レイヤによって、ロジックに対する高速かつ容易な変更が可能となる。これによって、製品利用に対するコスト低減および時間短縮となる。
【0052】
当業者であれば、情報および信号が、種々異なる技術および技法のうちの何れかを用いて表されうることを理解するだろう。例えば、上記説明を通じて参照されるデータ、命令群、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光学場または光学微粒子、あるいはこれらの任意の組み合わせによって表されうる。
【0053】
当業者であればさらに、本明細書での開示に関連して記載されたさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズム・ステップが、電子工学ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせとして実現されることを理解するであろう。ハードウェアとソフトウェアとの相互置換性を明確に説明するために、さまざまな例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能の観点から一般的に記述された。それら機能がハードウェアとしてまたはソフトウェアとして実現されるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課せられている設計制約に依存する。当業者であれば、各特定のアプリケーションに応じて変化する方法で上述した機能を実現することができる。しかしながら、この適用判断は、本発明の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈されるべきではない。
【0054】
本明細書の開示に関連して記述されたさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGAあるいはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリート・ゲートあるいはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、または上述された機能を実現するために設計された上記何れかの組み合わせを用いて実現または実施されうる。汎用プロセッサとしてマイクロプロセッサを用いることが可能であるが、代わりに、従来技術によるプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいは状態機器を用いることも可能である。プロセッサは、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1または複数のマイクロプロセッサ、またはその他任意のこのような構成である計算デバイスの組み合わせとして実現することも可能である。
【0055】
本明細書の開示に関連して記述された方法やアルゴリズムの処理は、ハードウェアによって直接的に、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュールによって、または、これらの組み合わせによって具体化される。ソフトウェア・モジュールは、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM、あるいは当該技術分野で知られているその他の型式の記憶媒体に収納されうる。典型的な記憶媒体は、プロセッサがそこから情報を読み取り、またそこに情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。または、記憶媒体はプロセッサに統合されることができる。このプロセッサと記憶媒体とは、ASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することもできる。あるいはこのプロセッサと記憶媒体とは、ユーザ端末内のディスクリート部品として存在することができる。
【0056】
1または複数の典型的な設計では、記載された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、あるいはそれらの任意の組み合わせで実現されうる。ソフトウェアで実現される場合、これら機能はコンピュータ読取可能媒体に格納されうるか、あるいは、コンピュータ読取可能媒体上の1または複数の命令群またはコードとして送信されうる。コンピュータ読取可能媒体は、コンピュータ記憶媒体と通信媒体との両方を含む。これらは、コンピュータ・プログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意の媒体を含む。記憶媒体は、汎用コンピュータまたは特別用途コンピュータによってアクセスされる利用可能な任意の媒体でありうる。限定ではない一例によって、そのようなコンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたはその他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶デバイス、あるいは、所望のプログラム・コード手段を命令群またはデータ構造の形式で搬送または格納するために使用され、しかも、汎用コンピュータや特別用途コンピュータ、あるいは汎用プロセッサまたは特別用途プロセッサによってアクセスされうるその他任意の媒体を備えうる。さらに、いかなる接続も、コンピュータ読取可能媒体と適切に称される。例えば、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、デジタル加入者線(DSL)、あるいは、例えば赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、あるいはその他の遠隔ソースからソフトウェアが送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、DSL、あるいは、例えば赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術が、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるdiskおよびdiscは、コンパクト・ディスク(CD)、レーザ・ディスク、光ディスク、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイ・ディスクを含む。通常、diskは、データを磁気的に再生し、discは、レーザを用いて光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ読取可能媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0057】
本開示の上記記載は、当業者をして、本開示の製造または利用を可能とするように提供される。これらの開示へのさまざまな変形例もまた、当業者には明らかであって、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他のバリエーションにも適用されうる。このように、本開示は、本明細書で示された例や設計に限定されるものではなく、本明細書で開示された原理および新規な特徴に一致した最も広い範囲に相当することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信のための装置であって、
共通のパケット・インタフェースを介して互いにパケットを送信するように動作可能な複数の処理モジュールと、
前記複数の処理モジュールに接続され、前記複数の処理モジュールによって送信されたパケットを転送するように動作可能な少なくとも1つの伝送モジュールと
を備える装置。
【請求項2】
おのおのの処理モジュールは、
前記処理モジュールのためにパケットを送信および受信するように動作可能なネットワーク・インタフェースと、
前記ネットワーク・インタフェースによって受信されたパケットからの入力データを格納し、前記ネットワーク・インタフェースによって送信されるべきパケットの出力データを格納するように動作可能な少なくとも1つのバッファと、
前記入力データを処理し、前記出力データを提供するように動作可能な少なくとも1つの処理ユニットと
を備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
おのおのの処理モジュールはさらに、前記ネットワーク・インタフェースからパケットを受信し、前記受信したパケットからの入力データを、前記少なくとも1つのバッファへ提供し、前記受信したパケットからの制御情報を、前記少なくとも1つの処理ユニットへ提供するように動作可能なパケット・パーサを備える請求項2に記載の装置。
【請求項4】
おのおのの処理モジュールはさらに、前記少なくとも1つのバッファから出力データを受信し、前記少なくとも1つの処理ユニットから制御情報を受信し、前記出力データを用いて、および前記制御情報にしたがってパケットを構築するように動作可能なバケット・ビルダを備える請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の処理モジュールは、非同期で動作する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
おのおのの処理モジュールは、前記処理モジュールのために選択された少なくとも1つのクロックに基づいて動作する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの伝送モジュールは、前記複数の処理モジュールに関して非同期で動作する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
おのおのの処理モジュールは、少なくとも1つのサービスをサポートし、前記少なくとも1つのサービスについてパケットに対して動作する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記共通のパケット・インタフェースは、前記複数の処理モジュールによって送信されたすべてのパケットのために、共通のパケット・フォーマットを利用する請求項1に記載の装置。
【請求項10】
おのおののパケットは、ヘッダとペイロードを備え、
前記ヘッダは、ソース・アドレスと宛先アドレスを備え、
前記少なくとも1つの伝送モジュールは、前記パケットのソース・アドレスおよび宛先アドレスに基づいて、前記複数の処理モジュールによって送信されたパケットを転送するように動作可能である請求項1に記載の装置。
【請求項11】
おのおのの処理モジュールは、少なくとも1つのサービスをサポートし、
おのおののパケットは、前記パケットを送信するソース・サービスのためのソース・サービス・アドレスと、前記パケットを受信する受信者サービスのための宛先サービス・アドレスとを備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
おのおののサービスは、少なくとも1つのサービス・ポートをサポートし、
おのおののパケットはさらに、前記ソース・サービスにおけるサービス・ポートのためのソース・サービス・ポートと、前記受信者サービスにおけるサービス・ポートのための宛先サービス・ポートとを備える請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の処理モジュールは、無線通信システムにおける基地局のための処理を実行するように動作可能である請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の処理モジュールは、無線通信システムにおける端末のための処理を実行するように動作可能である請求項1に記載の装置。
【請求項15】
特定用途向け集積回路(ASIC)であって、
共通のパケット・インタフェースを介して互いにパケットを送信するように動作可能な複数の処理モジュールと、
前記複数の処理モジュールに接続され、前記複数の処理モジュールによって送信されたパケットを転送するように動作可能な少なくとも1つの伝送モジュールと
を備えるASIC。
【請求項16】
おのおのの処理モジュールは、
前記処理モジュールのためにパケットを受信および送信するように動作可能なネットワーク・インタフェースと、
前記ネットワーク・インタフェースによって受信されたパケットからの入力データを格納し、前記ネットワーク・インタフェースによって送信されるべきパケットの出力データを格納するように動作可能な少なくとも1つのバッファと、
前記入力データを処理し、前記出力データを提供するように動作可能な少なくとも1つの処理ユニットと
を備える請求項15に記載のASIC。
【請求項17】
おのおのの処理モジュールはさらに、
前記ネットワーク・インタフェースからパケットを受信し、前記受信したパケットからの入力データを、前記少なくとも1つのバッファへ提供し、前記受信したパケットからの入力制御情報を、前記少なくとも1つの処理ユニットへ提供するように動作可能なパケット・パーサと、
前記少なくとも1つのバッファから出力データを受信し、前記少なくとも1つの処理ユニットから出力制御情報を受信し、前記出力データを用いて、および、前記出力制御情報にしたがってパケットを構築するように動作可能なパケット・ビルダと
を備える請求項16に記載のASIC。
【請求項18】
おのおのの処理モジュールは、少なくとも1つのサービスをサポートし、
おのおののパケットは、前記パケットを送るソース・サービスのためのソース・サービス・アドレスと、前記パケットを受信する受信者サービスのための宛先サービス・アドレスとを備える請求項15に記載のASIC。
【請求項19】
無線通信のための方法であって、
共通のパケット・インタフェースを介して装置の複数の処理モジュール間でパケットを送信することと、
少なくとも1つの伝送モジュールを介して前記複数の処理モジュールによって送信されたパケットを転送することと
を備える方法。
【請求項20】
入力データおよび入力制御情報を取得するために、おのおのの処理モジュールにおいて受信されたパケットを分析することと、
おのおのの処理モジュールによって送信されるべきパケットを、前記処理モジュールからの出力データを用いて、および、前記処理モジュールからの出力制御情報にしたがって構築することと、
おのおのの処理モジュールのための前記入力データおよび前記出力データをバッファすることと
をさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ヘッダおよびペイロードを備える共通のパケット・フォーマットにしたがって前記パケットを生成することをさらに備え、前記ヘッダはソース・アドレスおよび宛先アドレスを備え、前記複数の処理モジュールによって送信されたパケットは、前記パケットのソース・アドレスおよび宛先アドレスに基づいて転送される請求項19に記載の方法。
【請求項22】
おのおのの処理モジュールは、少なくとも1つのサービスをサポートし、おのおののパケットは、前記パケットを送信するソース・サービスのためのソース・サービス・アドレスと、前記パケットを受信する受信者サービスのための宛先サービス・アドレスとを備える請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の処理モジュールを非同期で動作させることと、
前記複数の処理モジュールに関して、前記少なくとも1つの伝送モジュールを非同期で動作させることと
をさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項24】
無線通信のための装置であって、
共通のパケット・インタフェースを介して複数の処理モジュール間でパケットを送信する手段と、
前記少なくとも1つの伝送モジュールを介して、前記複数の処理モジュールによって送信されたパケットを転送する手段と
を備える装置。
【請求項25】
入力データおよび入力制御情報を取得するために、おのおのの処理モジュールにおいて受信されたパケットを分析する手段と、
おのおのの処理モジュールによって送信されるべきパケットを、前記処理モジュールからの出力データを用いて、および、前記処理モジュールからの出力制御情報にしたがって構築する手段と、
おのおのの処理モジュールのための前記入力データおよび前記出力データをバッファする手段と
をさらに備える請求項24に記載の装置。
【請求項26】
ヘッダとペイロードとを備える共通のパケット・フォーマットにしたがってパケットを生成する手段をさらに備え、前記ヘッダは、ソース・アドレスと宛先アドレスとを備え、前記複数の処理モジュールによって送信されたパケットは、前記パケットのソース・アドレスおよび宛先アドレスに基づいて転送される請求項24に記載の装置。
【請求項27】
おのおのの処理モジュールは、少なくとも1つのサービスをサポートし、おのおののパケットは、前記パケットを送信するソース・サービスのためのソース・サービス・アドレスと、前記パケットを受信する受信者サービスのための宛先サービス・アドレスとを備える請求項24に記載の装置。
【請求項28】
複数の処理モジュールを非同期で動作させる手段と、
前記複数の処理モジュールに関して、前記少なくとも1つの伝送モジュールを非同期で動作させる手段と
をさらに備える請求項24に記載の装置。
【請求項29】
少なくとも1つのコンピュータに対して、共通のパケット・インタフェースを介して、装置の複数の処理モジュール間でパケットを送信させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、少なくとも1つの伝送モジュールを介して、前記複数の処理モジュールによって送信されたパケットを転送させるためのコードと
を備えるコンピュータ読取可能媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品。
【請求項30】
前記コンピュータ読取可能媒体はさらに、
入力データおよび入力制御情報を取得するために、前記少なくとも1つのコンピュータに対して、おのおのの処理モジュールにおいて受信されたパケットを分析させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、処理モジュールによって送信されるべきパケットを、前記処理モジュールからの出力データを用いて、および、前記処理モジュールからの出力制御情報にしたがって構築させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、おのおのの処理モジュールのための前記入力データおよび前記出力データをバッファさせるためのコードと
を備える請求項29に記載のコンピュータ・プログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−537582(P2010−537582A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522081(P2010−522081)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/074091
【国際公開番号】WO2009/026554
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】