説明

パケット・リング・ネットワークにおける障害箇所特定方法及び該方法を実行するシステム

【課題】パケット・リング・ネットワークの障害箇所を簡易に特定する方法を提供する。
【解決手段】リングを構成するN個のノード装置のドロップ・インタフェースのそれぞれに、リング内を時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第1の送信ポイントと、リング内を反時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第2の送信ポイントと、時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第1の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行う第1の受信確認ポイントと、反時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第2の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行う第2の受信確認ポイントを設け、第1及び第2の受信確認ポイントが検出する疎通状態に基づき障害箇所を判定する。ここで、Nは3以上の自然数であり、kはN/2を除く、2以上でN−1以下の自然数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット・リング・ネットワークにおいて障害箇所を効率よく特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
イーサネット(登録商標)の保守運用管理機能については、非特許文献1、2及び3で規定されており、RPR(Resilient Packet Ring)といった、リング構成のネットワークのためのブリッジ装置やパケット処理装置が既に市販されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ITU−T Y.1731、“OAM functions and Mechanisms for Ethernet Based Networks”
【非特許文献2】IEEE802.1ag、“Connectivity Fault Management”
【非特許文献3】IEEE802.1Qaw、“Management of data−driven and data−dependent connectivity faults”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、パケット・リング・ネットワークの概略的な構成を示す図であり、符号0から5は、それぞれ、リング構成のためのプロトコルを実装したブリッジ装置又はパケット処理装置(以後、単に、ノード装置と呼ぶ)を表しており、ノード装置間の矢印は、伝送路を表している。
【0005】
図2は、各ノード装置の概略的な構成図であり、各ノード装置は、2つのライン・インタフェース11、12と、ドロップ・インタフェース13とを備えている。各ライン・インタフェース11、12は、それぞれ、リング構成において隣接するノード装置のライン・インタフェースと伝送路により接続される。また、ドロップ・インタフェース13は、リングに入力するパケットと、リングから取り出して出力するパケットのためのインタフェースである。
【0006】
保守運用管理機能の1つである接続性検査機能とは、ネットワーク内のあるポイントから、接続性検査メッセージ(CCM)を周期的に送信し、他のポイントにおいて、このCCMの受信を確認することにより行われている。通常、このポイントは、各インタフェースにおいて、各方向に設定可能である。
【0007】
接続性検査は、設定したCCMの送信ポイントと、そのCCMの受信ポイントとの間(以後、接続性検査区間と呼ぶ。)の疎通が確保されているか否かを検出するものであり、接続性検査区間内の障害箇所を特定するものではない。しかしながら、複数の接続性検査区間を設定し、各接続性検査区間の疎通状況により障害箇所が判定できれば便利である。
【0008】
したがって、本発明は、接続性検査機能を利用して、パケット・リング・ネットワークの障害箇所を特定する方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるパケット・リング・ネットワークにおいて障害箇所を特定する方法は、
リングを構成するN個のノード装置のドロップ・インタフェースのそれぞれに、リング内を時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第1の送信ポイントと、リング内を反時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第2の送信ポイントを設け、各ノード装置のドロップ・インタフェースに、時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第1の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行う第1の受信確認ポイントと、反時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第2の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行う第2の受信確認ポイントを設け、第1及び第2の受信確認ポイントが検出する疎通状態に基づき、障害箇所を判定し、Nは3以上の自然数であり、kはN/2を除く、2以上でN−1以下の自然数であることを特徴とする。
【0010】
本発明の方法における他の実施形態によれば、
判定する障害箇所は、ノード装置のドロップ・インタフェースの出力方向障害、ノード装置のドロップ・インタフェースの入力方向障害、ノード装置間の時計周り方向伝送路と該伝送路に接続するライン・インタフェースの時計周り方向障害、ノード装置間の反時計周り方向伝送路と該伝送路に接続するライン・インタフェースの反時計周り方向障害、ノード装置のライン・インタフェース間の転送部分の時計回り方向障害、ノード装置のライン・インタフェース間の接続部分の反時計回り方向障害のいずれかであることも好ましい。
【0011】
本発明によるシステムは、
パケットの転送を行い、2つのライン・インタフェースと、1つのドロップ・インタフェースを有するN個のノード装置を有し、各ノード装置のライン・インタフェースを、他のノード装置のライン・インタフェースと接続してリング構成としたシステムであって、各ノード装置のドロップ・インタフェースには、リング内を時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第1の送信ポイントと、リング内を反時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第2の送信ポイントと、リング内を時計回り方向に転送される接続検査メッセージの受信確認を行う第1の受信確認ポイントと、リング内を反時計回り方向に転送される接続検査メッセージの受信確認を行う第2の受信確認ポイントとが設けられており、各ノード装置の第1の受信確認ポイントは、時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第1の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行うことで、時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第1の送信ポイントとの疎通確認を行い、各ノード装置の第2の受信確認ポイントは、反時計回り方向において、kだけ上流にあるノード装置の第2の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行うことで、反時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第2の送信ポイントとの疎通確認を行い、Nは3以上の自然数であり、kはN/2を除く、2以上でN−1以下の自然数であることを特徴とする。
【0012】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
各ノード装置から、第1及び第2の受信確認ポイントが検出する疎通状態についての情報を収集して、障害箇所を判定する管理装置をさらに備えていることも好ましい。また、kはN−1であることも好ましい。
【発明の効果】
【0013】
受信確認ポイントが接続断を検出した場合、障害箇所を簡易に絞り込むことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】パケット・リング・ネットワークの概略的な構成を示す図である。
【図2】各ノード装置の概略的な構成図である。
【図3】障害箇所を示す図である。
【図4】設定する接続性検査区間を示す図である。
【図5】図3に示す障害箇所に対して接続断を検出する接続性検査区間を示す図である。
【図6】他の実施形態において設定する接続性検査区間を示す図である。
【図7】他の実施形態において、図3に示す障害箇所に対して接続断を検出する接続性検査区間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明において、あるノード装置から時計周り方向においてkだけ上流のノード装置とは、時計周り方向において、あるノード装置からkだけ前の装置を意味し、時計周り方向においてkだけ下流のノード装置とは、時計周り方向において、あるノード装置からkだけ後の装置を意味する。具体的には、図1の構成において、ノード装置3から時計周り方向において1つ上流のノード装置とはノード装置2であり、ノード装置3から時計周り方向において2つ上流のノード装置とはノード装置1であり、ノード装置3から時計周り方向において1つ下流のノード装置とはノード装置4であり、ノード装置3から時計周り方向において2つ下流のノード装置とはノード装置5である。
【0016】
同様に、あるノード装置から反時計周り方向においてkだけ上流のノード装置とは、反時計周り方向において、あるノード装置からkだけ前の装置を意味し、反時計周り方向においてkだけ下流のノード装置とは、反時計周り方向において、あるノード装置からkだけ後の装置を意味する。具体的には、図1の構成において、ノード装置3から反時計周り方向において1つ上流のノード装置とはノード装置4であり、ノード装置3から反時計周り方向において1つ下流のノード装置とはノード装置2である。なお、リング構成であるから、例えば、ノード装置3から時計周り方向において2つ上流の装置と、ノード装置3から時計周り方向において4つ下流の装置と、ノード装置3から反時計周り方向において2つ下流の装置と、ノード装置3から反時計周り方向において4つ上流の装置は、総て同じノード装置1を示すことになる。
【0017】
本発明において、各ノード装置のドロップ・インタフェースは、それぞれ、4つの接続性検査区間の検査に関連することになる。なお、4つの接続性検査のうち2つについてはCCMを送信する側となり、残りの2つについてはCCMの受信を確認する側となる。つまり、2つのCCM送信ポイントと、2つのCCM受信確認ポイントが、それぞれ、各ノード装置のドロップ・インタフェースに設定される。よって、本発明においては、ライン・インタフェースにCCM送信ポイント及びCCM受信確認ポイントを設ける必要はない。
【0018】
2つのCCM送信ポイントは、共に、リング・ネットワーク側にCCMを送信するが、一方のCCM送信ポイントからのCCMはリング・ネットワークを時計周り方向に転送され、他方のCCM送信ポイントからのCCMはリング・ネットワークを反時計周り方向に転送される様に、各CCM送信ポイントを設定する。
【0019】
また、各ノード装置に設定される2つのCCM受信確認ポイントの一方のCCM受信確認ポイントは、時計周り方向で1つ下流側にあるノード装置に設定したCCM送信ポイントから、時計周り方向にリング内を転送されてきたCCMの受信確認を行い、他方のCCM受信確認ポイントは、反時計周り方向で1つ下流側にあるノード装置に設定したCCM送信ポイントから、反時計周り方向にリング内を転送されてきたCCMの受信確認を行う。
【0020】
図4は、図1に示すリング・ネットワークに対して設定する各接続性検査区間を示す図であり、白色の三角がCCM送信ポイントを、黒色の三角がCCM受信確認ポイントを示している。なお、その位置は、上述した様に、共に、ドロップ・インタフェースである。
【0021】
図5は、図4に示す接続性検査区間を設定した場合において、図3のA〜Fで示す箇所にて障害が発生した場合に接続断を検出する接続性検査区間を示している。なお方向は、CCMがリング内で転送される方向である。各CCM受信確認ポイントは、時計周り方向のCCMの受信確認を行うものと、反時計周り方向のCCMの受信確認を行うものに分類され、方向は、接続断を検出したCCM受信確認ポイントから特定可能である。
【0022】
図5に示す様に、ノード装置2のAにて障害が発生した場合、ノード装置2の時計回り及び反時計回り方向に対応する2つのCCM受信確認ポイントの両方で接続断が検出される。また、ノード装置2のBにて障害が発生した場合、両隣のノード装置1及び3のCCM受信確認ポイントにて、それぞれ、異なる方向の接続断が検出される。つまり、同一ノード装置の2つのCCM受信確認ポイントにて共に接続断が検出された場合、それは、当該ノード装置のドロップ・インタフェースにおける出力方向障害と判断でき、あるノード装置の両隣にあるノード装置のCCM受信確認ポイントにて、それぞれ、異なる方向の接続断が検出された場合、それは、当該あるノード装置のドロップ・インタフェースにおける入力方向障害と判断できる。
【0023】
また、障害箇所がC、つまり、ノード装置2からノード装置3に至る伝送路にて障害が発生した場合、ノード装置2を除く総てのノード装置の時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断が検出される。同様に、障害箇所がD、つまり、ノード装置3からノード装置2に至る伝送路にて障害が発生した場合、ノード装置3を除く総てのノード装置の反時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断が検出される。つまり、あるノード装置以外の総てのノード装置の同一方向に対応するCCM受信確認ポイントにて接続断が検出された場合、接続断を検出していないノード装置から、検出した方向において、1つ下流側にあるノード装置に至る伝送路及びこの伝送路に接続するライン・インタフェースの障害と判定できる。
【0024】
続いて、ライン・インタフェース間の転送部分、つまり、図3のE、Fにて障害が発生した場合について説明する。障害箇所がEである場合、ノード装置1及び2を除く総てのノード装置の時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断が検出される。同様に、障害箇所がFである場合、ノード装置2及び3を除く総てのノード装置の反時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断が検出される。つまり、連続する2つのノード装置以外の総てのノード装置の同一方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断が検出された場合、検出していない2つのノード装置のうちの、検出した方向において、1つ下流側となるノード装置におけるライン・インタフェース間の転送部分の障害と判定できる。なお、方向は、接続断を検出した方向に一致する。
【0025】
図6は、本発明の他の実施形態における接続性検査区間を示す図である。本実施形態において、時計周り方向のCCMを確認するCCM受信確認ポイントは、時計回り方向において2つ上流にあるノード装置にあるCCM送信ポイントからのCCMを確認し、反時計周り方向のCCMを確認するCCM受信確認ポイントは、反時計回り方向において2つ上流にあるノード装置にあるCCM送信ポイントからのCCMを確認する。
【0026】
図7は、図6に示す接続性検査区間を設定した場合において、図3に示す障害箇所で障害が発生したときに接続断を検出する接続性検査区間を示している。図7に示す様に、ノード装置2のAにて障害が発生した場合、ノード装置2の時計回り及び反時計回りに対応する2つのCCM受信確認ポイントの両方で接続断が検出される。また、ノード装置2のBにて障害が発生した場合、ノード装置4の時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントと、ノード装置0の反時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断が検出される。つまり、同一ノード装置の2つのCCM受信確認ポイントにて共に接続断が検出された場合、それは、当該ノード装置のドロップ・インタフェースにおける出力方向障害と判断できる。
【0027】
また、時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントと、反時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントでそれぞれ接続断が検出された場合、それぞれ、接続断を検出したノード装置から、検出した方向において、接続長だけ上流側にあるノード装置が同一であるか否かを判定し、同一である場合には、このノード装置のドロップ・インタフェースにおける入力方向障害と判断できる。なお、ここで接続性検査区間の接続長とは、接続性検査区間に含まれるノード装置から1だけ引いた値とする。つまり、本実施形態において、接続長は2であり、時計周り方向において、ノード装置4の2つ上流にあるノード装置と、反時計周り方向において、ノード装置0の2つ上流にあるノード装置は、共にノード装置2であり、よって、ノード装置2のドロップ・インタフェースにおける入力方向障害と判断できる。
【0028】
また、障害箇所がCである場合、時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断が検出されるが、検出するノード装置は、連続して配置されたものであり、その数は接続長に等しくなる。同様に、障害箇所がDである場合、反時計回り方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断が検出されるが、検出するノード装置は連続して配置されたものであり、その数は接続長に等しくなる。ここで、接続断を検出した連続するノード装置のうち、検出した方向において1つ上流のノード装置が、接続断を検出したノード装置ではない場合、このノード装置を、“接続断を検出した連続するノード装置の中で、検出した方向において最も上流のノード装置”と定義する。例えば、時計周り方向において、ノード装置5、0、1、2で接続断を検出している場合、ノード装置0、1、2の1つ上流のノード装置は、それぞれ、ノード装置5、0、1であり接続断を検出しているが、ノード装置5の1つ上流のノード装置は、接続断を検出していないノード装置4であり、よって、ノード装置5は、最も上流のノード装置である。
【0029】
障害箇所がCやDである場合、連続したノード装置で接続断を検出するが、このうち、検出した方向において最も上流のノード装置は、障害となった伝送路を受信するライン・インタフェースを有するノード装置を表している。つまり、障害箇所がCである場合、ノード装置3及び4で接続断を検出するが、時計回り方向で最も上流のノード装置3へ入力する時計周り方向の伝送路が障害と特定できる。同様に、障害箇所がDである場合、ノード装置1及び2で接続断を検出するが、反時計回り方向で最も上流のノード装置2へ入力する反時計周り方向の伝送路が障害と特定できる。
【0030】
また、ライン・インタフェース間の転送部分の障害の場合も、障害方向と同じ方向に対応するCCM受信確認ポイントにて接続断が検出されるが、その数は、接続長より1だけ少ないものとなる。また、障害となっているノード装置は、接続断を検出したノード装置の最も上流にあるノード装置から、検出した方向において1つ上流のノード装置となる。つまり、障害箇所がEである場合、ノード装置3で接続断を検出するが、時計回り方向でノード装置3の1つ上流にあるノード装置2のライン・インタフェース間の転送部分の障害と特定できる。同様に、障害箇所がFである場合、ノード装置1で接続断を検出するが、反時計回り方向でノード装置1の1つ上流にあるノード装置2のライン・インタフェース間の転送部分の障害と特定できる。
【0031】
上記2つの実施形態より明らかなように、本発明においては、リング・ネットワークを構成するN個のノード装置(Nは3以上の自然数)のドロップ・インタフェースに対して、リング・ネットワークの時計周り方向にCCMを送信するCCM送信ポイントと、リング・ネットワークの反時計周り方向にCCMを送信するCCM送信ポイントを、それぞれ設ける。また、各ノード装置のドロップ・インタフェースに対して、リング・ネットワークを時計周り方向に転送されたCCMの受信確認を行うCCM受信確認ポイントと、リング・ネットワークを反時計周り方向に転送されたCCMの受信確認を行うCCM受信確認ポイントとを、それぞれ設ける。
【0032】
ここで、各ノード装置の時計周り方向に転送されるCCMに対するCCM受信確認ポイントは、時計周り方向においてkだけ上流にあるノード装置のCCM送信ポイントが送信したCCMを監視し、各ノード装置の反時計周り方向に転送されるCCMに対するCCM受信確認ポイントは、反時計周り方向においてkだけ上流側にあるノード装置のCCM送信ポイントが送信したCCMを監視する。ここで、kは、2以上N−1以下の自然数であり、かつ、N/2を除く値である。なお、kは、上述した接続長に対応する。ここで、k=1が不可なのは、図3の障害箇所EやF等のライン・インタフェース間の接続部分の障害を検知できないからであり、k=N/2を除くのは、図3の障害箇所AとBの区別がつかなくなるからである。
【0033】
上記の設定において、あるノード装置の2つのCCM受信確認ポイントにて共に接続断を検出した場合には、そのノード装置のドロップ・インタフェースの出力方向障害と判定できる。また、あるノード装置の時計周り方向に対応するCCM受信確認ポイントと、他のノード装置の反時計周り方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断を検出した場合、接続断を検出したノード装置それぞれについて、検出方向においてkだけ上流にあるノード装置を特定し、このノード装置が両方向共に同じノード装置であれば、このノード装置のドロップ・インタフェースの入力方向障害と判定できる。なお、一致しない場合には、多重障害である。
【0034】
また、連続したk個のノード装置の同一方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断を検出しているのであれば、伝送路又はライン・インタフェース障害であり、その伝送路及びライン・インタフェースは、上述した様に、検出している方向と、接続断を検出しているノード装置の中で最も上流にあるノード装置から判定できる。
【0035】
さらに、連続したk−1個のノード装置の同一方向に対応するCCM受信確認ポイントで接続断を検出しているのであれば、あるノード装置のライン・インタフェース間を接続する部分の障害であり、障害となっているノード装置は、上述した様に、検出している方向と、接続断を検出しているノード装置の中で最も上流にあるノード装置から判定できる。
【0036】
なお、図6に示す設定において、ノード装置3の、図3のEに相当する箇所の障害と、ノード装置1の、図3のFに相当する箇所が同時に障害になると、ノード装置2のBにおける障害と誤判定することになる。この誤判定の可能性を避け、多重障害を多重障害であると判定させるためにはkの値は大きいことが望ましい。特に、k=N−1の場合には、図4及び図5を用いて説明した様に、最も良く発生する伝送路断については、伝送路断を検出していないCCM受信確認ポイントが障害区間を示しており、よって、k=N−1とすることが望ましい。
【0037】
以上の構成により、リング・ネットワークを構成する各ノード装置の2つの受信確認ポイントが検出する接続状態、つまり、接続状態又は断状態との情報を、図示しないネットワーク管理装置に取り込み、ネットワーク管理装置において、上述した方法により、障害箇所を素早く特定することができる。
【符号の説明】
【0038】
0、1、2、3、4、5 ノード装置
11、12 ライン・インタフェース
13 ドロップ・インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット・リング・ネットワークにおいて、障害箇所を特定する方法であって、
リングを構成するN個のノード装置のドロップ・インタフェースのそれぞれに、リング内を時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第1の送信ポイントと、リング内を反時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第2の送信ポイントを設け、
各ノード装置のドロップ・インタフェースに、時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第1の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行う第1の受信確認ポイントと、反時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第2の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行う第2の受信確認ポイントを設け、
第1及び第2の受信確認ポイントが検出する疎通状態に基づき、障害箇所を判定し、
Nは3以上の自然数であり、kはN/2を除く、2以上でN−1以下の自然数である方法。
【請求項2】
判定する障害箇所は、ノード装置のドロップ・インタフェースの出力方向障害、ノード装置のドロップ・インタフェースの入力方向障害、ノード装置間の時計周り方向伝送路と該伝送路に接続するライン・インタフェースの時計周り方向障害、ノード装置間の反時計周り方向伝送路と該伝送路に接続するライン・インタフェースの反時計周り方向障害、ノード装置のライン・インタフェース間の転送部分の時計回り方向障害、ノード装置のライン・インタフェース間の接続部分の反時計回り方向障害のいずれかである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パケットの転送を行い、2つのライン・インタフェースと、1つのドロップ・インタフェースを有するN個のノード装置を有し、
各ノード装置のライン・インタフェースを、他のノード装置のライン・インタフェースと接続してリング構成としたシステムであって、
各ノード装置のドロップ・インタフェースには、リング内を時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第1の送信ポイントと、リング内を反時計回り方向に転送される接続検査メッセージを周期的に送信する第2の送信ポイントと、リング内を時計回り方向に転送される接続検査メッセージの受信確認を行う第1の受信確認ポイントと、リング内を反時計回り方向に転送される接続検査メッセージの受信確認を行う第2の受信確認ポイントとが設けられており、
各ノード装置の第1の受信確認ポイントは、時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第1の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行うことで、時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第1の送信ポイントとの疎通確認を行い、
各ノード装置の第2の受信確認ポイントは、反時計回り方向において、kだけ上流にあるノード装置の第2の送信ポイントから送信された接続検査メッセージの受信確認を行うことで、反時計回り方向においてkだけ上流にあるノード装置の第2の送信ポイントとの疎通確認を行い、
Nは3以上の自然数であり、kはN/2を除く、2以上でN−1以下の自然数であるシステム。
【請求項4】
各ノード装置から、第1及び第2の受信確認ポイントが検出する疎通状態についての情報を収集して、障害箇所を判定する管理装置をさらに備えている請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
kはN−1である、請求項3又は4に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−66484(P2011−66484A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212930(P2009−212930)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年9月1日 社団法人電子情報通信学会発行の「EiC電子情報通信学会 2009年ソサイエティ大会講演論文集」(DVD−ROM)に発表
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】