説明

パス設定方法およびパス設定装置

【課題】WSON非対応通信装置とWSON対応通信装置が混在するネットワークにおいて、WSON非対応通信装置に、WSON用情報要素を扱うための機能を追加することなく、光パスを設定することを課題とする。
【解決手段】本発明のネットワーク1では、WSON非対応通信装置2AからWSON非対応通信装置2Bまでのパスを設定する際、WSON非対応通信装置2Aはシグナリングメッセージ(波長情報なし)を発信し、WSON対応通信装置3Aがそのシグナリングメッセージに波長情報(WSON用情報要素)を付す。WSON3000内では、シグナリングメッセージ(波長情報あり)が転送される。そして、WSON対応通信装置3Bは、シグナリングメッセージ(波長情報あり)から波長情報を除去して、シグナリングメッセージ(波長情報なし)をWSON非対応通信装置2Bに送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WSON(Wavelength Switched Optical Network)対応通信装置とWSON非対応通信装置とが混在するネットワークにおいて、WSON非対応通信装置に、WSON用情報要素(WSON技術の導入に伴って必要となる情報要素。波長情報など)を扱うための機能を追加することなく、パス(光パス)を設定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速大容量伝送を可能とするWSONが注目されている。しかし、通信装置に関するWSON対応化はまだ充分に進んでいない。例えば、ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)装置や光クロスコネクト装置(OXC(optical cross-connect))などでは少しずつWSON対応の装置が登場しているが、市販のIP(Internet Protocol)ルータではWSON対応がほとんど進んでいない。
【0003】
なお、WSON対応とは、例えば、dynamic wavelength TLV(Type/Length/Value)(非特許文献1参照)やlambda label(非特許文献2参照)を、GMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)ルーティングプロトコル(例えば、OSPF(Open Shortest Path First)−TE(Traffic Engineering))で広告したり、GMPLSシグナリングプロトコル(例えば、RSVP(Resource reSerVation Protocol)−TE(Traffic Engineering))で伝達したりすることである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】G. Bernstein, et al., “General Network Element Constraint Encoding for GMPLS Controlled Networks”, draft-ietf-ccamp-general-constraint-encode-04.txt, June 2011.
【非特許文献2】T. Otani, et al., “Generalized Labels for Lambda-Switch-Capable Label Switching Routers”, IETF, RFC6205, March 2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存のIPルータなどのWSON非対応通信装置では、GMPLSプロトコルにWSON拡張機能が追加されると、WSONに接続して光パスを設定することができなくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、WSON非対応通信装置とWSON対応通信装置が混在するネットワークにおいて、WSON非対応通信装置に、WSON用情報要素を扱うための機能を追加することなく、光パスを設定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明は、複数のWSON非対応通信装置の配置領域である非WSONドメインと、複数のWSON対応通信装置の配置領域であるWSONドメインとから構成されるネットワークにおけるパス設定方法であって、前記非WSONドメイン内の前記WSON非対応通信装置である始点GMPLSノードから、前記WSONドメインを経由して前記非WSONドメイン内の前記WSON非対応通信装置である終点GMPLSノードまで、パスを設定する際に、前記始点GMPLSノードは、シグナリングメッセージを発信し、当該シグナリングメッセージが、転送されて、前記パス上の最初の前記WSON対応通信装置である始点側WSONボーダーノードに到着したとき、当該始点側WSONボーダーノードは、当該シグナリングメッセージに前記WSONドメイン内での前記シグナリングメッセージの送受信に必要なWSON用情報要素を付加し、前記WSON対応通信装置同士は、当該WSON用情報要素の付加されたシグナリングメッセージの送受信を行い、当該WSON用情報要素の付加されたシグナリングメッセージが、前記パス上の最後の前記WSON対応通信装置である終点側WSONボーダーノードに到着したとき、前記終点側WSONボーダーノードは、当該WSON用情報要素の付加されたシグナリングメッセージから前記WSON用情報要素を除去し、当該WSON用情報要素の除去されたシグナリングメッセージを前記パス上の次の前記WSON非対応通信装置に送信することを特徴とする。
【0008】
このように、転送するシグナリングメッセージに対してWSON用情報要素を適宜、付加、除去することで、WSON非対応通信装置とWSON対応通信装置が混在するネットワークにおいて、WSON非対応通信装置に、WSON用情報要素を扱うための機能を追加することなく、光パスを設定することができる。
【0009】
また、本発明は、複数のWSON非対応通信装置の配置領域である非WSONドメインと、複数のWSON対応通信装置の配置領域であるWSONドメインとから構成されるネットワークにおけるパス設定方法であって、前記非WSONドメイン内の前記WSON非対応通信装置である始点GMPLSノードから、前記WSONドメインを経由して前記非WSONドメイン内の前記WSON非対応通信装置である終点GMPLSノードまで、パスを設定する際に、前記始点GMPLSノードは、シグナリングメッセージを発信し、当該シグナリングメッセージが、転送されて、前記パス上の最初の前記WSON対応通信装置である始点側WSONボーダーノードに到着したとき、当該始点側WSONボーダーノードは、当該シグナリングメッセージに前記WSONドメイン内での前記シグナリングメッセージの送受信に必要なWSON用情報要素を付加し、当該WSON用情報要素の付加されたシグナリングメッセージが、転送されて、前記終点GMPLSノードに到着したとき、前記終点GMPLSノードは、受け取った当該シグナリングメッセージにおける前記WSON用情報要素を無視することを特徴とする。
【0010】
このようにすることで、非WSONドメインへシグナリングメッセージを送るWSON対応通信装置は、WSON用情報要素を除去する必要がないので、処理負担が軽く済む。
【0011】
また、本発明は、前記始点GMPLSノードが、前記非WSONドメイン内および前記WSONドメイン内のトポロジ情報を予め把握しており、前記シグナリングメッセージを発信する際に、前記把握しているトポロジ情報を基にして前記非WSONドメイン内および前記WSONドメイン内の前記パスに対応する経路の少なくとも一部を計算し、当該計算した経路の情報を前記シグナリングメッセージに付加してから発信することを特徴とする。
【0012】
このように、WSON技術の導入と関係なく、始点GMPLSノードがトポロジ情報を基にしてパスの経路を計算してシグナリングプロトコルに該情報を載せて送信する、という従来通りのメカニズムをそのまま使用することが可能となるので、WSONドメイン/非WSONドメインをまたがるパスの設定を行うことができる。
【0013】
また、本発明は、前記始点GMPLSノードが、前記計算した経路の情報を前記シグナリングメッセージに付加する際に、設定する前記パスの終点の情報をシグナリングメッセージに付加することを特徴とする。
【0014】
このようにすることで、始点側WSONボーダーノードが、設定するパスの終点の情報に基づいてWSONドメイン内の経路とその経路上で使用可能な波長を同時に探すことができ、使用可能な波長を簡単に見つけることが可能となる。
【0015】
また、本発明は、前記始点GMPLSノードが、前記計算した経路の情報を前記シグナリングメッセージに付加する際に、設定する前記パスにおいて経由する前記WSONドメインにおける境界ノードである前記始点側WSONボーダーノードと前記終点側WSONボーダーノードの情報を前記シグナリングメッセージに付加することを特徴とする。
【0016】
このようにすることで、途中のノードがパス上のWSONドメインにおける境界ノードを計算する処理負荷をなくすことが可能となる。
【0017】
また、本発明は、前記始点GMPLSノードが、前記計算した経路の情報を前記シグナリングメッセージに付加する際に、設定する前記パスが最短となる経路上に位置するノードの情報を前記シグナリングメッセージに付加することを特徴とする。
【0018】
このようにすることで、限られた網リソース(ネットワークの資源)を効率的に利用することが可能となる。
【0019】
また、本発明は、前記シグナリングメッセージが、転送されて、前記始点側WSONボーダーノードに到着したとき、前記始点側WSONボーダーノードが、前記WSONドメイン内の経路を計算して、前記WSONドメイン内でのパス設定に必要な網資源が確保できる経路を見つけることを特徴とする。
【0020】
このようにすることで、始点GMPLSノードが指定した経路上に使用可能な波長がなかった場合でも、始点側WSONボーダーノードがWSONドメイン内で使用可能な別の経路を見つけることが可能となる。
【0021】
また、本発明は、前記始点側WSONボーダーノードが、前記WSONドメイン内の経路を計算して、前記WSONドメイン内でのパス設定に必要な網資源が確保できる経路を見つけるとき、前記始点GMPLSノードが前記パスに対応する経路の少なくとも一部を指定していた場合には、当該指定された経路を経由することを優先して、前記WSONドメイン内で利用可能な波長と経路を同時に計算することを特徴とする。
【0022】
このように、始点GMPLSノードによって指定された経路を優先して、WSONドメイン内で利用可能な波長と経路を同時に計算することで、当該指定を反映することができる。
【0023】
また、本発明は、前記ネットワークにおいて、少なくとも前記WSON非対応通信装置および前記WSON対応通信装置のいずれかに接続され、接続された前記WSON非対応通信装置および/または前記WSON対応通信装置に代わって、前記したいずれかのパス設定方法における処理の少なくとも一部を実行することを特徴とするパス設定装置である。
【0024】
このように、WSON非対応通信装置、WSON対応通信装置に代わってパス設定装置がパス設定方法における処理の少なくとも一部を実行することで、WSON非対応通信装置、WSON対応通信装置の処理負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、WSON非対応通信装置とWSON対応通信装置が混在するネットワークにおいて、WSON非対応通信装置に、WSON用情報要素を扱うための機能を追加することなく、光パスを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態のネットワークの全体構成図である。
【図2】(a)はWSON非対応通信装置のブロック構成図であり、(b)はWSON対応通信装置のブロック構成図である。
【図3】ネットワークにおける各装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】専用計算装置を追加したネットワークの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する。)について、図面を参照(言及図以外の図も適宜参照)しながら説明する。まず、パス設定方法を実行する装置が動作するネットワークの構成について、図1を用いて説明する。ネットワーク1は、非WSON2000(非WSONドメイン)とWSON3000(WSONドメイン)から構成される。
【0028】
非WSON2000は、複数のWSON非対応通信装置2(2A、2B、2C、2D)を含んで構成される。WSON非対応通信装置2は、例えば、GMPLSノードとしてのIPルータ、ROADM装置、光クロスコネクト装置などである。
【0029】
WSON3000は、複数のWSON対応通信装置3(3A、3B、3C、3D)を含んで構成される。WSON対応通信装置3は、例えば、WSON技術に対応したIPルータ、ROADM装置、光クロスコネクト装置などである。
【0030】
なお、各WSON非対応通信装置2、各WSON対応通信装置3の接続関係が図1に示されているが、例えば、WSON非対応通信装置2AとWSON対応通信装置3Aの間にWSON非対応通信装置2(不図示)が1つ以上あってもよいなど、図示しない他の通信装置(WSON非対応通信装置2とWSON対応通信装置3の総称。以下同様)が存在していてもよい。
【0031】
次に、WSON非対応通信装置2およびWSON対応通信装置3の構成と機能について、図2を用いて説明する。
図2(a)に示すように、WSON非対応通信装置2は、外部通信部21、経路制御部22、プロトコル部23、データ転送部24、記憶部25、入出力インターフェース26、データ入力インターフェース27、および、データ出力インターフェース28を備えて構成され、それらがCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、各種インターフェース等によって実現される。
【0032】
外部通信部21は、自身のWSON非対応通信装置2と隣接する通信装置から受け取った情報を、自身のWSON非対応通信装置2内の適切な機能(経路制御部22など)に渡したり、運用者からの入力を受け付ける役割を果たしたりする。
【0033】
経路制御部22は、自身のWSON非対応通信装置2への設定内容や受け取ったシグナリングプロトコルの情報に基づき、設定すべきパスの経路や波長を計算する。例えば、パスの始点となるWSON非対応通信装置2の場合、経路制御部22は、運用者の設定に従ってパスの経路を計算する。
【0034】
プロトコル部23は、適切なプロトコルを用いてネットワーク1中の他の通信装置と情報交換を行う際に、適切なプロトコルメッセージの送受信を行う。プロトコルの例としては、OSPF−TE、RSVP−TEなどがある。また、交換される情報例としては、ネットワークトポロジ情報や設定しようとするパスに関する情報などがある。また、プロトコル部23は、必要に応じて、シグナリングプロトコルやルーティングプロトコルなどで受け取ったメッセージに含まれるWSON用情報要素を無視する。なお、本明細書および特許請求の範囲において「無視する」とは、「その情報を使用せずに、他の処理を進める」という意味であり、その際、エラーメッセージの表示や外部出力は、行っても行わなくてもいずれでもよい。
【0035】
データ転送部24は、経路制御部22からの指示に従って、データ入力インターフェース27から入力したデータを、適切なデータ出力インターフェース28から出力させる。
【0036】
記憶部25は、データベース251を備える。データベース251は、自身のWSON非対応通信装置2がデータのルーティングやスイッチングを行うために必要なネットワーク情報を保持する。情報例としては、ネットワーク1のトポロジ情報などがある。
【0037】
入出力インターフェース26は、運用者などのユーザがWSON非対応通信装置2へ設定を入力する際や、何らかのプロトコルを用いて隣接する通信装置と情報の送受信を行う場合などに使用されるインターフェースである。
【0038】
データ入力インターフェース27は、自身のWSON非対応通信装置2を通過するデータの入力を受付けるインターフェースである。
データ出力インターフェース28は、データ入力インターフェース27で受付けたデータを出力するインターフェースである。
【0039】
次に、図2(b)を参照して、WSON対応通信装置3の構成と機能について説明する。WSON対応通信装置3における各構成は、図2(a)に示すWSON非対応通信装置2における各構成と同じであるので、説明を省略する(各符号の最上位桁の数字が「2」から「3」に変わっている)。ただし、一部の構成の機能が異なるので、それについて説明する。
【0040】
なお、以下において、非WSON2000内のWSON非対応通信装置2Aを始点とし、WSON3000を経由して非WSON2000内のWSON非対応通信装置2Bを終点とするパス(光パス)を設定する場合を例にとって説明する。その際、WSON対応通信装置3Aが始点側WSONボーダーノードとなり、WSON対応通信装置3Bが終点側WSONボーダーノードとなる。
【0041】
WSON対応通信装置3が始点側WSONボーダーノードの場合、経路制御部32は、受け取ったシグナリングプロトコルに付加されているパス情報を基に、波長や、必要に応じて経路を計算する。
プロトコル部33は、必要に応じてWSON用情報要素(波長情報等)の追加や除去を行う。
【0042】
次に、ネットワーク1においてパスを設定する処理の例について、図3を用いて説明する。なお、前記したように、WSON非対応通信装置2AからWSON非対応通信装置2Bまでパスを設定する場合を例にとって説明する。
【0043】
まず、前提として、WSON非対応通信装置2やWSON対応通信装置3は、ルーティング情報を、OSPF−TEなどのルーティングプロトコルを用いて広告する。このとき、WSON非対応通信装置2は、WSON用情報要素(波長情報等)を広告しない。一方、WSON対応通信装置3は、WSON用情報要素(波長情報等)を広告する場合もある。広告はマルチキャストされるため、WSON非対応通信装置2は、WSON用情報要素(波長情報等)を含んだ広告を受け取るかもしれないが、その場合は、WSON用情報要素(波長情報等)を無視すればよい。
【0044】
WSON非対応通信装置2Aにおいて、プロトコル部23は、広告によるパス設定要求があったか否かを判断し(ステップS1)、パス設定要求がない場合(No)、ステップS1に戻り、パス設定要求があった場合(Yes)、経路制御部22は、収集したルーティング情報を基にパスの経路を明示的または大まかに計算する(ステップS2)。計算にはCSPF(constraint shortest path fast)アルゴリズムなどを利用できる。
【0045】
次に、WSON非対応通信装置2Aにおいて、プロトコル部23は、RSVP−TEなどのシグナリングプロトコルに経路情報などを付加して、パス上の隣接ノード(WSON非対応通信装置2AとWSON対応通信装置3Aの間のWSON非対応通信装置2(不図示))にシグナリングメッセージ(波長情報なし)を送信する(ステップS3)。当該不図示のWSON非対応通信装置2は、シグナリングメッセージ(波長情報なし)を転送する。
【0046】
始点側WSONボーダーノードであるWSON対応通信装置3Aは、転送されてきたシグナリングメッセージ(波長情報なし)を受け取ると、WSON3000内で使用する波長を計算する(ステップS4)。なお、WSON非対応通信装置2AがWSON3000内での経路を指定していた場合には、その経路上で使用可能な波長を計算し、そのような指定がなかった場合や指定された経路上に使用可能な波長がなかった場合には、経路と使用可能な波長の両方を計算する。つまり、WSON対応通信装置3Aは、WSON3000内でのパス設定に必要な網資源(波長、経路)が確保できる経路を見つける。計算にはRWA(routing and wavelength assignment)アルゴリズムなどを利用できる。
【0047】
WSON対応通信装置3Aは、計算した波長情報と、必要に応じて経路情報を、シグナリングメッセージに付加して、パス上の隣接ノード(WSON対応通信装置3AとWSON対応通信装置3Bの間のWSON対応通信装置3(不図示))にシグナリングメッセージ(波長情報あり)を送信する(ステップS5)。当該不図示のWSON対応通信装置3は、シグナリングメッセージ(波長情報あり)を転送する。
【0048】
終点側WSONボーダーノードであるWSON対応通信装置3Bは、転送されてきたシグナリングメッセージ(波長情報あり)を受け取ると、そのシグナリングメッセージ(波長情報あり)から波長情報を除去して(ステップS6)、WSON3000の外のノード(WSON対応通信装置3BとWSON非対応通信装置2Bの間のWSON非対応通信装置2(不図示))にシグナリングメッセージ(波長情報なし)を送信する(ステップS7)。当該不図示のWSON対応通信装置3は、シグナリングメッセージ(波長情報あり)を転送する。
【0049】
そして、パスの終点ノードであるWSON非対応通信装置2Bは、転送されてきたシグナリングメッセージ(波長情報なし)を受け取ると、リプライのシグナリングメッセージ(波長情報なし)を逆方向に送信する(ステップS8)。そのシグナリングメッセージ(波長情報なし)は、ステップS3〜S7と同様の処理によって、各通信装置間で転送され、WSON非対応通信装置2Aに到着する。
【0050】
シグナリングメッセージ(波長情報なし)を受け取ったWSON非対応通信装置2Aは、パス設定処理を行い(ステップS9)、処理を終了する。
【0051】
このようにして、転送するシグナリングメッセージに対してWSON用情報要素(波長情報等)を適宜、付加、除去することで、WSON非対応通信装置2とWSON対応通信装置3が混在するネットワーク1において、WSON非対応通信装置2に、WSON用情報要素(波長情報等)を扱うための機能を追加することなく、光パスを設定することができる。つまり、WSON技術をコア網に容易に導入することができる。
【0052】
また、WSON技術の導入と関係なく、始点GMPLSノードであるWSON非対応通信装置2Aがトポロジ情報を基にしてパスの経路を計算してシグナリングプロトコルに該情報を載せて送信する、という従来通りのメカニズムをそのまま使用することが可能となるので、非WSON2000とWSON3000をまたがる光パスの設定を行うことができる。
【0053】
また、始点側WSONボーダーノードであるWSON対応通信装置3Aは、設定するパスの終点の情報に基づいてWSON3000内の経路とその経路上で使用可能な波長を同時に探すことができ、使用可能な波長を簡単に見つけることが可能となる。
【0054】
また、始点GMPLSノードであるWSON非対応通信装置2Aが、設定するパスにおいて経由するWSON3000における境界ノードであるWSON対応通信装置3AとWSON対応通信装置3Bとの情報をシグナリングメッセージに付加することで、途中のノードがパス上のWSON3000における境界ノードを計算する処理負荷をなくすことが可能となる。
【0055】
また、始点GMPLSノードであるWSON非対応通信装置2Aが、設定するパスが最短となる経路上に位置するノードの情報をシグナリングメッセージに付加するようにすれば、限られた網リソース(ネットワーク1の資源)を効率的に利用することが可能となる。
【0056】
また、始点側WSONボーダーノードであるWSON対応通信装置3AがWSON3000内の経路を計算してWSON3000内でのパス設定に必要な網資源が確保できる経路を見つけることで、始点GMPLSノードであるWSON非対応通信装置2Aが指定した経路上に使用可能な波長がなかった場合でも、使用可能な別の経路を見つけることが可能となる。
【0057】
また、始点GMPLSノードであるWSON非対応通信装置2Aがパスに対応する経路の少なくとも一部を指定していた場合に、WSON対応通信装置3Aは、当該指定された経路を経由することを優先してWSON3000ドメイン内で利用可能な波長と経路を同時に計算することで、当該指定を反映することができる。
【0058】
(変形例)
前記した実施形態では、WSON非対応通信装置2やWSON対応通信装置3が経路や波長の計算を行っていた。以下では、変形例として、経路や波長の計算を、ネットワーク1内に存在する専用計算装置に任せる場合について説明する。
【0059】
この場合、図4に示すように、WSON非対応通信装置2やWSON対応通信装置3と接続される専用計算装置4が設けられる。専用計算装置4は、WSON非対応通信装置2やWSON対応通信装置3に代わって、経路や波長の計算を行う。なお、計算のリクエストは、パスの始点ノード(WSON非対応通信装置2A)が行ってもよいし、始点側WSONボーダーノード(WSON対応通信装置3A)が行ってもよい。また、専用計算装置4は、計算のための情報を、OSPFなどのプロトコルで収集してもいいし、運用者によって手動で入力されたものから得てもよい。そして、この変形例では、前記した実施形態と同様のパス設定方法を実現することができる。
【0060】
これにより、WSON非対応通信装置2、WSON対応通信装置3に代わって専用計算装置4がパス設定方法における処理の少なくとも一部を実行することで、WSON非対応通信装置2、WSON対応通信装置3の処理負担を軽減することができる。
【0061】
以上で本実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
例えば、図3のステップS6でシグナリングメッセージ(波長情報あり)から波長情報を除去する代わりに、シグナリングメッセージ(波長情報あり)を受け取ったWSON非対応通信装置2Bが波長情報を無視するようにしてもよい。そうすれば、WSON対応通信装置3Bは、波長情報を除去する必要がないので、処理負担が軽く済む。
その他、各装置の構成や処理の具体的な内容について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1、1a ネットワーク
2、2A、2B、2C、2D WSON非対応通信装置
3、3A、3B、3C、3D WSON対応通信装置
4 専用計算装置
21、31 外部通信部
22、32 経路制御部
23、33 プロトコル部
24、34 データ転送部
25、35 記憶部
26、36 入出力インターフェース
27、37 データ入力インターフェース
28、38 データ出力インターフェース
251、351 データベース
2000 非WSON
3000 WSON


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のWSON(Wavelength Switched Optical Network)非対応通信装置の配置領域である非WSONドメインと、複数のWSON対応通信装置の配置領域であるWSONドメインとから構成されるネットワークにおけるパス設定方法であって、
前記非WSONドメイン内の前記WSON非対応通信装置である始点GMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)ノードから、前記WSONドメインを経由して前記非WSONドメイン内の前記WSON非対応通信装置である終点GMPLSノードまで、パスを設定する際に、
前記始点GMPLSノードは、シグナリングメッセージを発信し、
当該シグナリングメッセージが、転送されて、前記パス上の最初の前記WSON対応通信装置である始点側WSONボーダーノードに到着したとき、当該始点側WSONボーダーノードは、当該シグナリングメッセージに前記WSONドメイン内での前記シグナリングメッセージの送受信に必要なWSON用情報要素を付加し、前記WSON対応通信装置同士は、当該WSON用情報要素の付加されたシグナリングメッセージの送受信を行い、
当該WSON用情報要素の付加されたシグナリングメッセージが、前記パス上の最後の前記WSON対応通信装置である終点側WSONボーダーノードに到着したとき、前記終点側WSONボーダーノードは、当該WSON用情報要素の付加されたシグナリングメッセージから前記WSON用情報要素を除去し、当該WSON用情報要素の除去されたシグナリングメッセージを前記パス上の次の前記WSON非対応通信装置に送信する
ことを特徴とするパス設定方法。
【請求項2】
複数のWSON(Wavelength Switched Optical Network)非対応通信装置の配置領域である非WSONドメインと、複数のWSON対応通信装置の配置領域であるWSONドメインとから構成されるネットワークにおけるパス設定方法であって、
前記非WSONドメイン内の前記WSON非対応通信装置である始点GMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)ノードから、前記WSONドメインを経由して前記非WSONドメイン内の前記WSON非対応通信装置である終点GMPLSノードまで、パスを設定する際に、
前記始点GMPLSノードは、シグナリングメッセージを発信し、
当該シグナリングメッセージが、転送されて、前記パス上の最初の前記WSON対応通信装置である始点側WSONボーダーノードに到着したとき、当該始点側WSONボーダーノードは、当該シグナリングメッセージに前記WSONドメイン内での前記シグナリングメッセージの送受信に必要なWSON用情報要素を付加し、
当該WSON用情報要素の付加されたシグナリングメッセージが、転送されて、前記終点GMPLSノードに到着したとき、前記終点GMPLSノードは、受け取った当該シグナリングメッセージにおける前記WSON用情報要素を無視する
ことを特徴とするパス設定方法。
【請求項3】
前記始点GMPLSノードは、前記非WSONドメイン内および前記WSONドメイン内のトポロジ情報を予め把握しており、前記シグナリングメッセージを発信する際に、前記把握しているトポロジ情報を基にして前記非WSONドメイン内および前記WSONドメイン内の前記パスに対応する経路の少なくとも一部を計算し、当該計算した経路の情報を前記シグナリングメッセージに付加してから発信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパス設定方法。
【請求項4】
前記始点GMPLSノードは、前記計算した経路の情報を前記シグナリングメッセージに付加する際に、設定する前記パスの終点の情報をシグナリングメッセージに付加する
ことを特徴とする請求項3に記載のパス設定方法。
【請求項5】
前記始点GMPLSノードは、前記計算した経路の情報を前記シグナリングメッセージに付加する際に、設定する前記パスにおいて経由する前記WSONドメインにおける境界ノードである前記始点側WSONボーダーノードと前記終点側WSONボーダーノードの情報を前記シグナリングメッセージに付加する
ことを特徴とする請求項3に記載のパス設定方法。
【請求項6】
前記始点GMPLSノードは、前記計算した経路の情報を前記シグナリングメッセージに付加する際に、設定する前記パスが最短となる経路上に位置するノードの情報を前記シグナリングメッセージに付加する
ことを特徴とする請求項3に記載のパス設定方法。
【請求項7】
前記シグナリングメッセージが、転送されて、前記始点側WSONボーダーノードに到着したとき、
前記始点側WSONボーダーノードは、前記WSONドメイン内の経路を計算して、前記WSONドメイン内でのパス設定に必要な網資源が確保できる経路を見つける
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパス設定方法。
【請求項8】
前記始点側WSONボーダーノードは、前記WSONドメイン内の経路を計算して、前記WSONドメイン内でのパス設定に必要な網資源が確保できる経路を見つけるとき、
前記始点GMPLSノードが前記パスに対応する経路の少なくとも一部を指定していた場合には、当該指定された経路を経由することを優先して、前記WSONドメイン内で利用可能な波長と経路を同時に計算する
ことを特徴とする請求項7に記載のパス設定方法。
【請求項9】
前記ネットワークにおいて、少なくとも前記WSON非対応通信装置および前記WSON対応通信装置のいずれかに接続され、接続された前記WSON非対応通信装置および/または前記WSON対応通信装置に代わって、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のパス設定方法における処理の少なくとも一部を実行することを特徴とするパス設定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−244592(P2012−244592A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116088(P2011−116088)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】