説明

パターヘッド

【課題】ボールを打つ際に、ヘッドの移動方向を認識し易いとともに、正確に構え易いパターヘッドを提供する。
【解決手段】ヘッドの上面11のバック部13からブレード部14の後端部に至る範囲に、複数の二等辺直角三角形が重なりなく連続して組み合わされた模様であり、且つ該模様の中にフェース面12に対し平行で、等間隔の複数本の第1直線15a、15b、15c、…が視認できるものである指標を付して形成する。指標は、前記範囲のトゥ部17とヒール部16の間の部位18が、左右方向の中央部に向かうに従って暗くなるような配色にすることもでき、また、その逆とすることもできる。さらに、ブレード部14の前端部に、フェース面12との隙間を大きくあけることなくフェース面12に対し平行な第2直線19を形成することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドの上面に、フェース面に対して平行な直線、またはフェース面に対して平行な直線が視認される模様である指標を付しているパターヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パターヘッドとして、ヘッドの上面にフェース面に対して平行な直線、もしくはT字形、十字形または円形等である指標を付したものが多数提案されている(特許文献1、2)。特許文献1には、ヘッドの上部のクラウン部に、フェース面に対して平行な第1直線領域とフェース面に対して垂直な第2直線領域とからなるT字形の目線確認部を設けたパターヘッドが開示されている。このようにフェース面に対して平行な直線が付されたものによると、ボールを打つ際に直線により目標方向に向けてフェース面を正確にセットすることが容易になる。
【0003】
一方、フェース面に対して垂直な直線については、目線が垂直な直線の真上にある場合には、フェース面を正確にセットするのに有効であるが、目線が真上からずれると、ボールを打つ方向にこの垂直な直線を合わせ難くなる。特許文献2には、ヘッドの上面にフェース面に対して垂直な方向に並べて2つの円形を付したものが提案されている。この円形を付したものは、目線が真上にない場合でも、直線のみを付したものに比してボールを打つ方向に向けてフェース面をセットすることが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3113651号公報
【特許文献2】特開2003−339926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているものでは、フェース面に対して隙間をあけて平行な直線が付されており、ボールと平行な直線との間には距離があるので、実際にはボールがフェース面に正確に当たらないことがある。また、特許文献2に開示されているものでは、2つの円形が視覚的に強すぎて、フェース面をボールに対してセットする意識を損なってしまうことがあり、その結果、正確にボールを目標方向に転がせないことがある。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、ボールを打つ際に、フェース面をボールに対して正確にセットすることが容易であり、また目標方向、すなわちヘッドの移動方向を認識し易いとともに、正確に構え易いパターヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係るパターヘッドは、ヘッドの上面の少なくともバック部からブレード部の後端部に至る範囲の一部に、複数の幾何図形が重なりなく連続して組み合わされた模様であり、且つ該模様の中にフェース面に対し平行で、等間隔の複数本の第1直線が視認できるものである指標を付していることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明に係るパターヘッドは、ヘッドの上面のブレード部の前端部に、フェース面との隙間を大きくあけることなく前記フェース面に対し平行な第2直線を付していることを特徴とする
【0009】
請求項3に記載するパターヘッドは、請求項1記載のパターヘッドにおいて、前記指標は、トゥ部とヒール部の間の部位が、前記トゥ部−前記ヒール部の方向の中央に向かうに従って暗くまたは明るくなるように配色されているものであることを特徴とする。
【0010】
請求項1または3に記載のパターヘッドは、前記模様としては、前記幾何図形の全部が平面視により略同一形状であり、異なる2色のものが交互に配列されているものにすることができる。
【0011】
例えば、前記幾何図形の全部が三角形であり、明るい色および暗い色のものが交互に配列されているものを挙げることができる。
【0012】
さらに、前記三角形としては、二等辺直角三角形であり、前記明るい色が白色であるとともに、前記白色であるものの直角の頂点を前側に、前記頂点に対向する辺を後側にし、前記辺が前記フェース面に対し平行な第1直線を構成するように配列されているものを挙げることができる。
【0013】
なお、請求項1および3〜6のいずれかに1項に記載のパターヘッドにおいて、請求項2記載のパターヘッドの特徴を兼ね備えているものにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ヘッドの上面に付する指標を、その中にフェース面に対して平行で、等間隔の複数本の第1直線が視認できる模様とし、複数本の第1直線によってボールを打つ際に、目標方向に向けてフェース面を正確に構え易くなる。この指標を、左右方向の中央部位が、中央に向かうに従って暗くまたは明るくなるように配色した模様とすれば、フェース面に対して垂直な領域を視認可能にできるので、目標方向を認識し易くなり、一層正確に構えることが容易となり、このような配色に心理的な緊張の発生を抑える性質があるので、落ち着いて構えることもできる。また、ヘッドの上面の前端部に、フェース面との隙間を大きくあけることなくフェース面に対して平行な第2直線を付すことにより、フェース面をボールに対して正確にセットすることが容易となる。
【0015】
ヘッドの上面に付する指標を、例えば、複数の明るい白色と暗い色の二等辺直角三角形が交互に連続して組み合わされて、白色である二等辺直角三角形の直角の頂点が前側に、頂点に対向する辺が後側でフェース面に対し平行な第1直線を構成するように配列される模様とした場合、この模様が視覚的に強すぎないながら、ヘッドの移動方向を強くイメージさせるので、より一層正確に構えて打つことできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るパターヘッドの平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るパターヘッドの上面に付している指標の模様の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るパターヘッド10の平面図であり、図2は、パターヘッド10の上面11に付している指標の模様の一部拡大図である。
【0019】
パターヘッド10は、上面11、フェース面12、バック部13、ブレード部14、ヒール部16およびトゥ部17を有しており、ブレード部14のヒール部16寄りの部分には、シャフト20の下端部が装着されている。このパターヘッド10は、シャフト20の下端部をブレード部14のヒール部16寄りに直接装着するものであるが、シャフト20の下端部を装着するために筒状のホーゼル部が設けられたものであってもよい。なお、ブレード部14は、図1に示すようにシャフト20の装着部の後方位置を通過するフェース面12に対して平行な線より前側の幅を有する部分である。
【0020】
このパターヘッド10の上面11のバック部13からブレード部14の後端部に至る範囲には、図1に示すように、平面視により略同一形状である白色および黒色の三角形が交互に連続して配列された模様である指標が付されている。この指標の模様は、白色および黒色の三角形が二等辺直角三角形であり、白色であるものの直角の頂点を前側(フェース面12の方向)に、直角の頂点に対向する辺を後側にし、一方、黒色であるものの直角の頂点を後側に、直角の頂点に対向する辺を前側にして、それぞれの直角の頂点に対向する辺が、フェース面12に対し平行で、等間隔の9本の第1直線15a、15b、15c、…(図2参照)を構成するように配列されている。
【0021】
この指標は、上面11に直接印刷する方法、模様が印刷されたフィルム、シール等を貼着する方法等により形成されるが、これらに限定されるものではないとともに、上面11の地色が黒である場合、白色である二等辺直角三角形だけを印刷などすることにより形成してもよい。また、配色については、異なる2色であればよいが、白色および黒色のように、一方を明るい色とし、他方を暗い色とするのがより望ましい。
【0022】
配列された各二等辺直角三角形は、直角の頂点に対向する辺の長さを約7mmにしているが、このサイズに限定されるものではない。上面11は、トゥ部17およびヒール部16の間の部位18を低くした波状曲面に形成されているので、上面11を平面視した場合に各二等辺直角三角形は完全に同一形状である必要はなく、略同一と認められる形状であればよい。
【0023】
また、この指標は、図1において仮想線21a、21bにより示すトゥ部17およびヒール部16の間の部位18が、トゥ部17−ヒール部16の方向(パターヘッド10の左右方向)の中央に向かうに従って暗くなるように配色されている。この部位18が、フェース面12に対して垂直な領域として視認されるようにされており、中央に向かうに従って暗くなるのとは逆に明るくなるように配色してもよい。なお、この部位18の左右方向の長さ(仮想線21aおよび仮想線21bの間の長さ)は、後述するブレード部14の前端部に形成されているフェース面12に対して平行な第2直線19の長さより長く形成されているが、この長さに限定されるものではない。
【0024】
この実施形態のパターヘッド10では、複数の二等辺直角三角形が配列された模様の指標としているが、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、ひし形等の四角形、正六角形、正八角形等の多角形、半円形および半楕円形、並びに直線の線分を含む枠線により閉じた図形等の幾何図形を組み合わせた模様とすることができる。
【0025】
この実施形態のパターヘッド10を備えたパターによってボールを打つ場合、ボールを打ち出す方向線を仮想して、その方向線に対しパターヘッド10の第1直線15a、15b、15c、…が直角になるように構えるが、第1直線15a、15b、15c、…が複数本あることにより構え易くなっている。また、仮想した打ち出し方向線に対しトゥ部17およびヒール部16の間の部位18が平行になるように構えることもできるので、より構え易いものとなっている。この部位18の配色により心理的に緊張が強くならずに落ち着いて構えられることも期待できる。
【0026】
ブレード部14の前端部には、フェース面12との隙間を大きくあけることなく、フェース面12に対して平行な第2直線19が形成されている。この第2直線19は、形成した溝線を白色に着色して形成されているが、これに限定されるものではない。ゴルフボールの直径と略同じ長さで、約1mmの太さの第2直線19にされているが、適宜変更することができる。太さについては、ブレード部14の幅に対して太くし過ぎないことが望ましい。
【0027】
ボールの表面上のマーク等が仮想した打ち出し方向線に対し平行または直角になるようにボールを置く場合には、パターヘッド10の第2直線19がボールのマークに対し直角または平行になるようにセットすることで、ボールに対して正確に構えられ、結局は、打ち出し方向線に対して正確に構えることができる。
【符号の説明】
【0028】
10…パターヘッド
11…上面
12…フェース面
13…バック部
14…ブレード部
15a、15b、15c…第1直線
16…ヒール部
17…トゥ部
18…トゥ部およびヒール部の間の部位
19…第2直線
20…シャフト
21a、21b…仮想線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドの上面の少なくともバック部からブレード部の後端部に至る範囲の一部に、複数の幾何図形が重なりなく連続して組み合わされた模様であり、且つ該模様の中にフェース面に対し平行で、等間隔の複数本の第1直線が視認できるものである指標を付していることを特徴とするパターヘッド。
【請求項2】
ヘッドの上面のブレード部の前端部に、フェース面との隙間を大きくあけることなく前記フェース面に対し平行な第2直線を付していることを特徴とするパターヘッド。
【請求項3】
請求項1記載のパターヘッドにおいて、
前記指標は、前記領域のトゥ部とヒール部の間の部位が、前記トゥ部−前記ヒール部の方向の中央に向かうに従って暗くまたは明るくなるように配色されているものであることを特徴とするパターヘッド。
【請求項4】
請求項1または3に記載のパターヘッドにおいて、
前記模様は、前記幾何図形の全部が平面視により略同一形状であり、異なる2色のものが交互に配列されているものであることを特徴とするパターヘッド。
【請求項5】
請求項4記載のパターヘッドにおいて、
前記幾何図形が三角形であり、前記2色が明るい色および暗い色であることを特徴とするパターヘッド。
【請求項6】
請求項5記載のパターヘッドにおいて、
前記三角形が二等辺直角三角形であり、前記明るい色が白色であるとともに、前記白色であるものの直角の頂点を前側に、前記頂点に対向する辺を後側にし、前記辺が前記フェース面に対し平行な第1直線を構成するように配列されていることを特徴とするパターヘッド。
【請求項7】
請求項1および3〜6のいずれか1項に記載のパターヘッドの特徴と、請求項2記載のパターヘッドの特徴を兼ね備えていることを特徴とするパターヘッド。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−71081(P2012−71081A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233046(P2010−233046)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(393000847)キャスコ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】