説明

パターンドメディアのクロック抽出方法、パターンドメディアのクロック抽出回路及びパターンドメディア

【課題】パターンドメディアの磁性ドットにクロック信号のタイミングを正確に合わせることである。
【解決手段】パターンドメディア11には、磁気信号が記録される磁性ドット15が所定間隔毎に配置されている磁性部16と、磁気信号が記録されない非磁性部17が形成されている。磁気ヘッドで磁気信号が記録されていない非磁性部17の位置を検出し、クロック信号を非磁性部17の検出信号に同期させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンドメディアを用いたクロック抽出方法、パターンドメディアのクロック抽出回路及びパターンドメディアに関する。
【背景技術】
【0002】
データのビットに対応する磁性ドットパターンを有するパターンドメディアは、磁性連続膜で構成されるハードディスクに比べて記録密度を高めることができるという特徴を持っている。
【0003】
パターンドメディアは、磁性ドットを所定間隔毎に形成する必要があるが、その磁性ドットがメディア基板の表面と同一平面となるように磁性ドットの表面を平坦化する必要がある。そのため、従来は、メディアの製造工程の最後に化学機械研磨と呼ばれる研磨工程を設けメディアの表面を平坦化していた。
【0004】
特許文献1には、パターンドメディアの製造工程で、上記の化学機械研磨の工程を省略する方法について記載されている。その製造方法は以下の通りである。
(a)ガラス基板とレジスト膜の間に磁性体ビットを取り囲むマトリックスの役割をするマトリックス薄膜を介在させる。マトリックス薄膜の厚さは磁性体ビットが必要とする厚さに合わせておく。
(b)ビットパターンに従って電子線露光を行い、現像処理を行うことでパターンドマスクを形成する。
(c)反応性イオンエッチングによりビット配列パターンをマトリックス薄膜に転写する。基板の表面が露出するまでエッチングを行う。
(d)真空蒸着等により磁性体薄膜を形成する。その厚さはマトリックス薄膜に刻み込んだトレンチ配列の深さと厳密に合わせることが望ましい。
(e)有機溶剤を用いてパターンドマスクを溶解除去すると平坦な表面を有する磁性体ビット配列が形成される。
(f)表面を保護するために表面潤滑層で被覆する。
【0005】
磁気ディス装置においては、データの書き込み及び読み出しはクロック信号に同期して行われる。パターンドメディアではデータが記録される磁性ドットの位置が決められているので、クロック信号を磁性ドットの位置に合わせる必要がある。
【0006】
しかしながら、従来、パターンドメディアを用いた磁気ディスク装置において、クロック信号を磁性ドットの位置に正確に合わせる方法は実現されていなかった。
【特許文献1】特開2001−110050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、パターンドメディアの磁性ドットの位置にクロック信号のタイミングを正確に合わせることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、パターンドメディアに対するデータの書き込みまたは読み出しタイミングを決めるクロック信号を抽出するクロック抽出方法であって、磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、前記磁気信号が記録されない非磁性部を有するパターンドメディアに記録された前記磁気信号を磁気検出手段により検出し、前記磁気検出手段により検出される前記磁気信号の振幅の絶対値が連続して一定値未満となる区間を前記非磁性部として特定し、特定した前記非磁性部の開始または終了タイミング、あるいは前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットの前記磁気信号の検出タイミングに前記クロック信号を同期させる。
【0009】
この発明によれば、パターンドメディアの非磁性部を検出し、その非磁性部の開始または終了タイミング、あるいは非磁性部に続く磁性部の磁気信号の検出タイミングにクロック信号を同期させることができる。これにより磁性部の磁性ドットにクロック信号のタイミングを合わせることができる。
【0010】
上記のクロック抽出方法において、前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットから検出される前記磁気信号の振幅がピーク値となるタイミングを抽出し、前記振幅がピーク値となる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる。
【0011】
このように構成することで、非磁性部に続く磁性部の磁性ドットの磁気信号のピーク値が検出されるタイミングにクロック信号を同期させることができる。これにより磁性部の磁性ドットにクロック信号のタイミングを合わせることができる。
【0012】
上記のクロック抽出方法において、前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットから検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを抽出し、前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる。
【0013】
このように構成することで、磁気信号がピーク値となるタイミングにクロック信号を同期させることができるので、磁性ドットにクロック信号のタイミングを合わせることができる。
【0014】
上記のクロック抽出方法において、前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットから検出される前記磁気信号を微分回路で微分し、微分回路の出力である微分信号の値がゼロとなるタイミングをゼロクロス検出回路で検出し、前記ゼロクロス検出回路で検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる。
【0015】
このように構成することで、微分回路で磁気信号を微分し、微分信号がゼロとなるタイミングを検出して磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出することができる。そして、磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングにクロック信号を同期させることで、磁性ドットの位置にクロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングを同期させることができる。
【0016】
本発明の他のパターンドメディアのクロック抽出方法は、パターンドメディアに対するデータの書き込みまたは読み出しタイミングを決めるクロック信号を抽出するクロック抽出方法であって、磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、磁気信号が記録されない領域と、前記磁気信号が記録される少なくとも1つの基準ドットを有する非磁性部が形成されたパターンドメディアに記録された磁気信号を磁気検出手段により検出し、前記磁気検出手段により前記非磁性部の前記基準ドットの前記磁性信号を検出し、前記基準ドットの前記磁性信号の検出タイミングに前記クロック信号を同期させるパターンドメディアのクロック抽出方法。
【0017】
このように構成することで、非磁性部の基準ドットの磁気信号の検出タイミングにクロック信号を同期させることができる。このとき、例えば、基準ドットから磁性部の磁性ドットまでの距離を、隣接する磁性ドットの中心距離の整数倍に設定しておくことで、磁性部の磁性ドットにクロック信号のタイミングを合わせることができる。
【0018】
本発明のパターンドメディアは、トラックに、磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、前記磁気信号が記録されない非磁性部を形成した。
このように構成することで、パターンドメディアの非磁性部を検出し、その非磁性部の検出タイミングにクロック信号を同期させることができるこれにより、磁性部の磁性ドットにクロック信号のタイミングを正確に合わせることができる。
【0019】
上記のパターンドメディアにおいて、前記非磁性部に、前記クロック信号の同期を取るために磁気信号が記録される少なくとも1つの基準ドットを設けた。
このように構成することで、非磁性部の基準ドットを検出し、その基準ドットの検出タイミングにクロック信号を同期させることができる。このとき、例えば、基準ドットと磁性部の磁性ドットの距離を、隣接する磁性ドットの中心距離の整数倍に設定しておくことで、磁性部の磁性ドットの位置にクロック信号のタイミングを合わせることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、パターンドメディアの磁性ドットにクロック信号のタイミングを正確に合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施のパターンドメディア11の構造を示す図である。
図1は、パターンドメディア11と、その部分拡大図11a、11bを示している。パターンドメディア11は、同心円状に複数のトラック12が形成され、各トラック12には、パターンドメディア11の書き込み及び読み出し位置の制御に用いられるデータが記録されるサーボ領域13とデータ領域14が一定間隔毎に配置されている。
【0022】
データ領域14には、磁気信号が記録される磁性ドット15が所定間隔毎に配置されている磁性部16と、磁性ドット15が存在しない(磁気信号が記録されない)非磁性部17が形成されている。なお、パターンドメディア11の製造方法は従来の製造方法を用いることができる。
【0023】
パターンドメディア11は、磁性ドット15が所定間隔毎に多数形成された磁性部16と、磁性ドット15が存在しない非磁性部17がトラック方向に交互に配置されている。非磁性部17を設けているのは、磁気センサでパターンドメディア11に記録された磁気信号を検出することで磁性信号が記録されていない非磁性部17の位置を検出し、クロック信号をその非磁性部17の検出タイミングに同期させることで、磁性部16の磁性ドットの位置にクロック信号のタイミングを合わせるためである。
【0024】
図2は、第1の実施の形態のクロック抽出回路21のブロック図である。クロック抽出回路21は、ゼロレベル検出回路22と、フィルタ23と、PLL回24とからなる。クロック抽出回路21は磁気ディスク装置に内蔵されており、磁気ディスク装置の他の回路構成は、一般的なハードディスク装置の回路構成と同じである。
【0025】
磁気ディスク装置はデータの書き込みまたは読み出しを行うための磁気ヘッド(磁気検出手段に対応する)を有する。磁気ヘッドは、パターンドメディア11に記録されている磁気信号を検出して電気信号に変換する。
【0026】
ゼロレベル検出回路22は、磁気ヘッドの出力信号(これを再生波形と呼ぶ)の振幅が、「0」を中心にしてプラス方向とマイナス方向の所定範囲内にあるか否かを検出し、再生波形の振幅が正の所定値以下で、かつ負の所定値以上の期間、ゼロレベル検出信号としてハイレベルの信号を出力し、それ以外のときローレベルの信号を出力する。
【0027】
フィルタ(信号抽出回路に対応する)23は、ゼロレベル検出信号の中でパルス幅が一定値以上の信号を抽出する回路であり、パルス幅が一定値未満の信号は除去される。フィルタ23は、例えば、積分回路やパルス幅を計測して一定幅未満のときその信号をカットするデジタル回路等で構成することができる。
【0028】
PLL(Phase Locked Loop)回路24は、データの書き込み及び読み出しタイミングを決めるクロック信号を生成する回路であり、電圧制御発振器、分周回路、位相比較器等で構成され、電圧制御発振器で生成される発振信号を基準信号に同期させる位相制御を行う。
【0029】
ゼロレベル検出回路22は、磁気ヘッドから出力される再生波形のゼロレベルを検出し、磁性ドット15が存在しない非磁性部17と、磁性部16の磁性ドット15の間の磁化されていない部分でハイレベルとなるゼロレベル検出信号を出力する。従って、ゼロレベル検出回路22からは、図2に示すように幅の広いパルスと、幅の狭いパルスがフィルタ23に出力される。
【0030】
フィルタ23は、パルス幅が所定値以上のパルスはそのまま出力し、パルス幅が所定値未満のパルスをカットする働きをする。これにより、非磁性部17の位置に対応するゼロレベル検出信号のみを抽出することができる。そして、PLL回路24が、フィルタ23から出力される非磁性部検出信号にクロック信号を同期させる。
【0031】
図3は、ゼロレベル検出回路22の一例を示す図である。ゼロレベル検出回路22は、正負の基準電圧+V0、−V0を生成する基準電圧発生回路31と、再生波形と正の基準電圧+V0を比較するコンパレータ32と、再生波形と負の基準電圧−V0を比較するコンパレータ33と、コンパレータ32とコンパレータ33の出力の論理積を取るANDゲート34とからなる。基準電圧+V0、−V0は、ゼロレベルの検出範囲を決める電圧である。
【0032】
コンパレータ32の非反転入力端子には正の基準電圧+V0が入力し、反転入力端子には再生波形が入力している。従って、コンパレータ32は、再生波形の振幅値が正の基準電圧+V0以上のときローレベルの信号を出力し、再生波形が正の基準電圧+V0未満のときハイレベルの信号を出力する。
【0033】
コンパレータ33の非反転入力端子には再生波形が入力し、反転入力端子には負の基準電圧−V0が入力している。従って、コンパレータ33は、再生波形が負の基準電圧−V0以上のときハイレベルの信号を出力し、再生波形が負の基準電圧−V0より小さいときローレベルの信号を出力する。
【0034】
ANDゲート34は、コンパレータ32の出力がハイレベルで、かつコンパレータ33の出力がハイレベルのときハイレベルの信号を出力し、コンパレータ32とコンパレータ33の出力の一方または双方がローレベルのときローレベルの信号を出力する。ANDゲート34は、再生波形が負の基準電圧−V0から正の基準電圧+V0の範囲にあるとき、ハイレベルの信号を出力する。言い換えると、ANDゲート34は、再生波形の絶対値が一定値未満のときハイレベルの信号を出力する。
【0035】
次に、図4は、フィルタ23の回路図である。フィルタ23は、抵抗R1とキャパシタC1からなる積分回路41と、基準電圧+V1を生成する基準電圧発生回路42と、コンパレータ43とからなる。
【0036】
積分回路41は、ゼロクロス検出回路22の出力信号であるゼロクロス検出信号を積分した信号を出力する。コンパレータ43の非反転入力端子には、積分回路41の出力信号が入力し、反転入力端子には基準電圧+V1が入力している。従って、コンパレータ43は、ゼロレベル検出信号を積分した電圧が基準電圧+V1以上のときハイレベルの信号を出力し、積分した電圧が基準電圧+V1未満のときローレベルの信号を出力する。
【0037】
積分回路41の出力電圧、つまりキャパシタC1の電圧は、抵抗R1とキャパシタC1の時定数で決まる傾きで上昇するので、ゼロレベル検出信号がローレベルの状態では、コンパレータの出力はローレベルとなり、ゼロレベル検出信号がハイレベルに変化してからキャパシタC1の電圧が基準電圧V1以上となった時点で、コンパレータ43の出力がハイレベルに変化する。
【0038】
従って、磁性部16で検出される幅の狭いゼロレベル検出信号で充電された場合には、キャパシタC1の充電電圧が基準電圧+V1未満となり、非磁性部16で検出される幅の広いゼロレベル検出信号で充電された場合には、キャパシタC1の充電電圧が基準電圧+V1以上となるように積分回路41の時定数を設定することで、磁性部16で検出されるゼロレベル検出信号を除去し、非磁性部17で検出されるゼロレベル検出信号のみを抽出することができる。非磁性部17のゼロレベル検出信号を非磁性部検出信号と呼ぶ。
【0039】
図5は、一般的なPLL回路の回路図である。PLL回路24は、電圧制御オシレータ51と、分周回路52と、分周回路52の出力信号とフィルタ23の出力信号の位相差を検出する位相コンパレータ53とからなる。
【0040】
分周回路52は、電圧制御オシレータ51の発振信号を分周する。位相コンパレータ53は、分周回路52で分周された信号と、フィルタ24から出力される非磁性部検出信号を基準信号として両者の位相差を検出し、位相の進みまたは遅れに応じた正または負の制御電圧を電圧制御オシレータ51に出力する。電圧制御オシレータ51は、制御電圧に応じた周波数の信号を発振する。上記の動作が繰り返されて電圧制御オシレータ51から、非磁性部検出信号に同期したクロック信号が出力される。このクロック信号の立ち上がりのタイミングは磁性部17の磁性ドット15の位置と一致する。
【0041】
ここで、図6を参照して第1の実施の形態のクロック抽出方法を説明する。図6は、パターンドメディア11の磁性ドット15の配置を示す磁性ドットパターンと、再生波形と、非磁性部検出信号と、クロック信号を示す図である。
【0042】
図6の磁性ドットパターンの水平方向の矢印はパターンドメディア11のトラック方向を示し、垂直方向の矢印はクロストラック方向を示す。
図6に示す再生波形は、パターンドメディア11の各磁性ドット15が、初期状態において、正負の極性に交互に磁化されている場合の信号波形を示している。磁性部16の再生波形は、ある磁性ドット15の中心位置で再生波形の振幅が正のピーク値となり、その隣の磁性ドット15の中心位置で振幅が負のピーク値になっている。非磁性部17は磁性ドット15が存在しないことから、その再生波形の振幅はほぼゼロとなる。
【0043】
従って、磁気ヘッドをパターンドメディア11のトラック方向に走査して磁気信号を検出した場合の再生信号波形は、図6に示すように、磁性部16では正負に変化する交流波形となり、非磁性部17では振幅値が0になる。
【0044】
ゼロレベル検出回路22で上記の再生波形のゼロレベルを検出すると、磁性部16の再生信号の振幅値が0±V0(基準電圧)の範囲でゼロレベルが検出され、非磁性部17の開始位置から終了位置までの区間でゼロレベルが検出される。そして、フィルタ23において、パルス幅が狭い磁性部16のゼロレベル検出信号がカットされ、非磁性部17のゼロレベル検出信号のみが抽出される。この非磁性部17のゼロレベル検出信号が非磁性部検出信号である。非磁性部検出信号は、図6に示すように非磁性部17の開始位置でハイレベルに変化し、非磁性部17の終了位置でローレベルに変化する信号となる。PLL回路24は、非磁性部検出信号の立ち下がりにクロック信号を同期させる。
【0045】
例えば、クロック信号の1周期を、再生波形のピーク値から次のピーク値までの時間(隣接する磁性ドット15の中心間距離に応じた時間)と等しくなるように設定しておけば、非磁性部検出信号の立ち上がり(または立ち下がり)にクロック信号の立ち下がり同期させることで、クロック信号の立ち上がり(または立ち下がり)のタイミングを再生波形のピーク値と一致させることができる。再生波形のピーク値は、磁性ドット15の中心位置と同じであるので、クロック信号の立ち上がりのタイミングを磁性ドット15の中心位置と一致させることができる。なお、パターンドメディア11を一定の回転数で回転させた場合、内周部と外周部では回転速度が異なるので、パターンドメディア11の半径方向で複数のゾーンに分け、ゾーン毎にクロック信号の周波数を変化させている。
【0046】
上述した第1の実施の形態は、パターンドメディア11の各トラックに磁性ドット15が所定間隔毎に配置された磁性部16と、磁性ドット15が存在しない(磁性信号が記録されない)非磁性部17を形成し、非磁性部17の位置を検出して非磁性部17の開始位置(または終了位置)にクロック信号の立ち下がり(または立ち上がり)を同期させている。これにより、クロック信号の立ち上がり(または立ち下がり)のタイミングを磁性ドット15の中心位置に合わせることができる。
【0047】
また、非磁性部17のゼロレベルの信号を検出しているので、次の磁性部の正または負のピーク値となる再生波形との信号のレベル差を一定値(振幅の1/2)以上確保することができる。これにより非磁性部17の開始位置及び終了位置を正確に検出することができ、磁性ドット15の位置にクロック信号のタイミングを正確に合わせることができる。
【0048】
次に、図7は、第2の実施の形態のクロック抽出回路61のブロック図である。以下の説明で、図2の回路と同じブロックには同じ符号を付けてそれらの説明は省略する。
クロック抽出回路61は、再生波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出回路22と、フィルタ23と、再生波形を微分する微分回路62と、微分信号のゼロクロスを検出するゼロクロス検出回路63と、PLL回路24とからなる。微分回路62とゼロクロス検出回路63は、再生波形の傾きを検出する傾き検出回路に対応する。
【0049】
図8は、微分回路62の回路図である。微分回路62は、再生波形が入力されるキャパシタC2と、そのキャパシタC2の他端と接続され、他端が接地された抵抗R2と、キャパシタC2と抵抗R2の接続点に入力が接続された増幅回路64とからなる。
【0050】
微分回路62に入力する再生波形がローレベルからハイレベルに変化すると、キャパシタC2と抵抗R2の接続点の電圧は正の所定の電圧レベルとなり、その後、キャパシタC2と抵抗R2の時定数で決まる傾きで減少する。同様に、再生波形がハイレベルからローレベルに変化するときに、キャパシタC2と抵抗R2の接続点の電圧は負の所定の電圧レベルとなり、その後、キャパシタC2と抵抗R2の時定数で決まる傾きで接地電位まで上昇する。
【0051】
図9は、ゼロクロス検出回路63の回路図である。ゼロクロス回路63は、再生波形の傾きを示す微分信号の振幅がゼロになる点、つまり再生波形の傾きがゼロなる点を検出する回路である。
【0052】
ゼロクロス検出回路63は、微分回路62から出力される微分信号が入力するコンパレータ71、72と、単安定マルチバイブレータ73、74と、ORゲート75と、RSフリップフロップ76と単安定マルチバイブレータ77とからなる。
【0053】
コンパレータ71の非反転入力端子には微分信号が入力し、反転入力端子は接地されている。従って、コンパレータ71は、微分信号が接地電位以上のときハイレベルの信号を出力し、微分信号が接地電位未満になるとローレベルの信号を出力する。
【0054】
単安定マルチバイブレータ73は、コンパレータ71の出力信号の立ち上がり、つまり正の微分信号の立ち上がりをトリガとして一定幅のパルスを出力する。
コンパレータ72の反転入力端子には微分信号が入力し、非反転入力端子は接地されている。従って、コンパレータ72は、微分信号が接地電位以上のときローレベルの信号を出力し、微分信号が接地電位未満のときハイレベルの信号を出力する。
【0055】
単安定マルチバイブレータ74は、コンパレータ72の出力信号の立ち上がり、つまり再生波形の負の微分信号の立ち上がりをトリガにして一定幅のパルスを出力する。
ORゲート75には、単安定マルチバイブレータ73の出力と、単安定マルチバイブレータ74の出力が入力し、それらの信号の論理和をRSフリップフロップ76のセット端子Sに出力する。
【0056】
RSフリップフロップ76のリセット端子Rには非磁性部検出信号が入力しており、非磁性部検出信号がハイレベルの期間、RSフリップフロップ76はリセット状態となる。RSフリップフロップ76のQ出力信号は単安定マルチバイブレータ77にトリガ信号として供給される。
【0057】
従って、再生波形の微分信号が正から負に変化するゼロクロス点、または微分信号が負から正に変化するゼロクロス点に同期したタイミングで一定のパルス幅の信号が、単安定マルチバイブレータ73、74からRSフリップフロップ76のセット端子に出力される。RSフリップフロップ76は、非磁性部検出信号がハイレベルの間リセット状態となっているので、非磁性部検出信号がハイレベルからローレベルに変化した後、最初に微分信号の振幅がゼロとなるタイミングでセット状態となる。つまり、非磁性部17が検出された後、最初に再生波形の傾きがゼロとなるタイミングでRSフリップフロップ76の出力信号がハイレベルに変化する。そして、そのハイレベルの信号をトリガとして一定幅のパルスが単安定マルチバイブレータ77から出力される。この単安定マルチバイブレータ77から出力される一定幅のパルスは、再生波形の正または負のピーク値に同期した信号であり、この信号を磁性ドット検出信号と呼ぶ。
【0058】
ここで、図10を参照して第2の実施の形態のクロック抽出方法を説明する。図10は、パターンドメディア11の磁性ドット15の配置を示す磁性ドットパターンと、再生波形と、非磁性部検出信号と、磁性ドット検出信号と、クロック信号を示す図である。
【0059】
図10の磁性ドットパターンの水平方向の矢印は、パターンドメディア11のトラック方向を示し、垂直方向の矢印はクロストラック方向を示す。初期状態では、各磁性ドット15はトラック方向に正負の極性で交互に磁化されている。
【0060】
図10に示す再生波形は、磁性部16の各磁性ドット15が正負の極性に交互に磁化されている場合の信号波形を示しており、再生波形は正のピーク値と負のピーク値が交互に繰り返される交流の三角波となる。非磁性部17には磁性ドット15が存在しないことから再生波形の振幅はほぼゼロとなる。
【0061】
第1の実施の形態において説明したようにゼロレベル検出回路22により再生波形のゼロレベルが検出され、さらに、フィルタ23により、磁性部16で検出される幅の狭いパルスが除去され、非磁性部17で検出される幅の広いパルスのみが抽出される。この幅の広いパルスは、非磁性部17の開始位置でハイレベルとなり、非磁性部17の終了位置でローレベルとなる非磁性部検出信号である。
【0062】
図9のゼロクロス検出回路63は、非磁性部検出信号がハイレベルからローレベルに変化した後、磁性部16の最初の磁性ドット15の再生波形のピーク値に同期したタイミングにハイレベルに変化する磁性ドット検出信号を出力する。この磁性ドット検出信号は、ゼロクロス検出回路63の最終段に単安定マルチバイブレータ77が設けられていることから一定幅のパルス信号となる。
【0063】
図10に示すように、磁性ドット検出信号は、非磁性部検出信号がハイレベルからローレベルに変化した後、磁性部16の再生波形が最初にピーク値となるタイミングにハイレベルに変化する信号である。
【0064】
この磁性ドット検出信号をPLL回路24に基準信号として出力することで、PLL回路24で生成されるクロック信号の立ち上がりを、磁性ドット検出信号の立ち上がりに同期させることができる。磁性ドット検出信号の立ち上がりのタイミングは、磁性ドット15の再生波形の振幅のピーク値(振幅の絶対値の最大値)と一致する。従って、クロック信号の立ち上がりを磁性ドット15の中心位置と一致させることができる。
【0065】
上述した第2の実施の形態は、パターンドメディア11の各トラックに磁性ドット15が所定間隔毎に配置された磁性部16と、磁性ドット15が存在しない非磁性部17を設け、非磁性部17を検出し、その非磁性部17に続く磁性部16の最初の磁性ドット15の再生波形のピーク値を検出し、再生波形がピーク値となるタイミングにクロック信号を同期させることができる。これにより、パターンドメディア11の磁性ドット15のほぼ中心位置に同期するクロック信号を抽出することができる。また、非磁性部17に続く磁性部16の最初の磁性ドット15の再生波形を検出することで、非磁性部17のゼロレベルから磁性部16の正または負のピーク値まで振幅が変化する信号を検出対象とすることができるので、再生波形がピーク値となるタイミングをより正確に検出することができる。これによりクロック信号の抽出精度を高めることができる。
【0066】
次に、図11は、本発明の第3の実施の形態のパターンドメディア(ディスク)81の構造を示す図である。
この第3の実施の形態のパターンドメディア81は、図11に示すように、非磁性部17の中央に基準ドット82を形成したものである。
【0067】
パターンドメディア81のデータ領域14には、図1のパターンドメディア11と同様に磁性ドット15が所定間隔毎に配置された磁性部16と、中央に基準ドット82を有し、他の部分には磁性ドット15が配置されていない非磁性部17が形成されている。図11のパターンドメディア81と、図1のパターンドメディア11とで異なる点は、非磁性部17の中央に基準ドット82を有するか否かである。
【0068】
第3の実施の形態の磁気ディスク装置のクロック抽出回路の構成は、図7と同じであり、再生波形のゼロレベルを検出するゼロレベル検出回路22と、フィルタ23と、再生波形を微分する微分回路62と、ゼロクロス検出回路63と、PLL回路24とからなる。
【0069】
ここで、図12を参照して第3の実施の形態のクロック抽出方法について説明する。図12は、パターンドメディア81の磁性ドット15と基準ドット82の配置を示す磁性ドットパターンと、再生波形と、非磁性部検出信号と、基準ドット検出信号と、クロック信号を示す図である。
【0070】
図12の磁性ドットパターンの水平方向の矢印は、パターンドメディア11のトラック方向を示し、垂直方向の矢印はクロストラック方向を示す。初期状態では、各磁性ドット15はトラック方向に正負の極性で交互に磁化されている。
【0071】
磁性部16の再生波形は、図12に示すように、磁性ドット15の中心で正のピーク値または負のピーク値となる交流の三角波となる。
非磁性部17の再生波形は、図12に示すように、磁性ドット15が存在しない区間では振幅はほぼゼロとなり、中央の基準ドット82の中心で振幅がピーク値となる波形となる。
【0072】
ゼロレベル検出回路22は、磁性部16の隣接する磁性ドット15の間の磁気信号がゼロとなる区間と、非磁性部17の中央の基準ドット82以外の磁性ドット15が存在しない区間を検出し、磁性部16のゼロレベルの区間に対応する幅の狭いパルスと、非磁性部17のゼロレベルの区間に対応する幅の広いパルスをゼロレベル検出信号としてフィルタ23に出力する。
【0073】
フィルタ23は、幅の狭いパルスを除去し、非磁性部17で検出されるパルス幅が一定値以上のパルスを非磁性部検出信号として出力する。
第3の実施の形態では、非磁性部17の中央に1ドットの基準ドット82が形成され、その基準ドット82が正の極性に磁化されているので、フィルタ23から出力される非磁性部検出信号は、図12に示すように、非磁性部17の磁性ドット15の存在しない区間はハイレベルとなり、基準ドット82のある位置でローレベルに変化し、それに続く磁性ドット15の存在しない区間でハイレベルとなる。そして、非磁性部17の終了位置でローレベルに変化する。
【0074】
この場合、ゼロクロス検出回路63(図9参照)から出力される基準ドット検出信号は、非磁性部検出信号がハイレベルからローレベルに変化した後、非磁性部17の基準ドット82の再生波形の傾きがゼロとなるタイミングで、ローレベルからハイレベルに変化する一定幅のパルス信号である。基準ドット検出信号は、非磁性部検出信号の2個のパルスの間のタイミングに出力される。
【0075】
この基準ドット検出信号を基準信号としてPLL回路24に供給することで、PLL回路24で生成されるクロック信号の立ち上がりタイミングを、基準ドット検出信号の立ち上がりに同期させることができる。
【0076】
例えば、非磁性部17の基準ドット82の中心から磁性部16の磁性ドット15の中心までの距離を、隣接する磁性ドット15の中心間の距離の整数倍に設定しておけば、クロック信号の立ち上がりを基準ドット検出信号の立ち上がりに同期させることで、クロック信号の立ち上がりのタイミングを磁性部16の磁性ドット15の中心位置と一致させることができる。
【0077】
上述した第3の実施の形態は、パターンドメディア11の各トラックに磁性ドット15が所定間隔毎に配置された磁性部16と、磁気信号が記録されない非磁性部17を形成し、その非磁性部17に磁気信号が記録される少なくとも1つの基準ドット82を設け、非磁性部17の基準ドット82の再生波形のピーク値の検出タイミングにクロック信号を同期させたものである。これにより、パターンドメディア11の磁性部16の各磁性ドット15の中心位置にクロック信号の立ち上がりを同期させることができる。従って、このクロック信号に同期したタイミングでデータの書き込み及び読み出しを行うことで、パターンドメディア81の磁性ドット15の中心にデータの書き込み及び読み出しを行うことができる。
【0078】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、例えば、以下のように構成しても良い。
(1)実施の形態は、磁性部16と非磁性部17を等間隔に交互に配置したが、このような配置でなくとも良い。
(2)第3の実施の形態は、非磁性部17に1個の基準ドット82を配置したが、2個以上の基準ドット82を配置しても良い。
(3)非磁性部17を検出する回路は、実施の形態に述べたアナログのゼロレベル検出回路22、フィルタ23、ゼロクロス検出回路63等に限らず、再生波形をA/D変換してデジタル回路により処理しても良い。
(4)非磁性部17は磁性ドット15を設けない構造ばかりでなく、トラック全体に一定間隔毎に磁性ドット15を形成し、一部の領域に磁気信号を記録しないことで非磁性部17を形成しても良い。
【0079】
(付記1) パターンドメディアに対するデータの書き込みまたは読み出しタイミングを決めるクロック信号を抽出するクロック抽出方法であって、
磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、磁気信号が記録されない非磁性部を有するパターンドメディアに記録された前記磁気信号を磁気検出手段により検出し、
前記磁気検出手段により検出される前記磁気信号の振幅の絶対値が連続して一定値未満となる区間を前記非磁性部として特定し、特定した前記非磁性部の開始または終了タイミング、あるいは前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットの前記磁気信号の検出タイミングに前記クロック信号を同期させるパターンドメディアのクロック抽出方法。
(付記2) 前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットから検出される前記磁気信号の振幅がピーク値となるタイミングを検出し、前記振幅がピーク値となる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる付記1記載のパターンドメディアのクロック抽出方法。
(付記3) 前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットから検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出し、前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる付記1記載のパターンドメディアのクロック抽出方法。
(付記4) 前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットから検出される前記磁気信号を微分回路で微分し、前記微分回路の出力の微分信号の値がゼロとなるタイミングをゼロクロス検出回路で検出し、前記微分信号の値がゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる付記1記載のパターンドメディアのクロック抽出方法。
(付記5) パターンドメディアに対するデータの書き込みまたは読み出しタイミングを決めるクロック信号を抽出するクロック抽出方法であって、
磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、磁気信号が記録されない領域と、前記磁気信号が記録される少なくとも1つの基準ドットを有する非磁性部が形成されたパターンドメディアに記録された前記磁気信号を磁気検出手段で検出し、
前記磁気検出手段により前記非磁性部の前記基準ドットの前記磁気信号を検出し、前記基準ドットの前記磁気信号の検出タイミングに前記クロック信号を同期させるパターンドメディアのクロック抽出方法。
(付記6) 前記非磁性部の基準ドットから検出される前記磁気信号を微分回路で微分し、前記微分回路の出力の微分信号の値がゼロとなるタイミングをゼロクロス検出回路で検出し、前記微分信号の値がゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる付記5記載のパターンドメディアのクロック抽出方法。
(付記7) トラックに、磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、前記磁気信号が記録されない非磁性部が形成されたパターンドメディア。
(付記8) 前記非磁性部に、前記クロック信号の同期を取るために前記磁気信号が記録される基準ドットを設けた付記7記載のパターンドメディア。
(付記9) 同一トラック上に前記磁性部と前記非磁性部を交互に形成した付記7または8記載のパターンドメディア。
(付記10) パターンドメディアに対するデータの書き込みまたは読み出しタイミングを決めるクロック信号を生成するクロック信号生成回路と、
磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、前記磁気信号が記録されない非磁性部を形成したパターンドメディアに記録された前記磁気信号を検出する磁気検出手段と、
前記磁気検出手段により検出される前記磁気信号の振幅の絶対値が一定値未満となるゼロレベルを検出するゼロレベル検出回路と、
前記ゼロレベル検出回路により検出される複数のゼロレベル検出信号の中でパルス幅が所定以上の信号を前記非磁性部の位置を示す非磁性部検出信号として抽出する信号抽出回路を有し、
前記クロック信号生成回路は、前記非磁性部検出信号に前記クロック信号を同期させる磁気ディスク装置。
(付記11) 前記非磁性部に前記磁気信号が記録される少なくとも1つの基準ドットを設け、
前記基準ドットの前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出する傾き検出回路を有し、
前記クロック信号生成回路は、前記基準ドットの前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる付記10記載のディスク装置。
(付記12) 前記非磁性部検出信号が検出された後、前記磁性部で検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出する傾き検出回路を有し、
前記クロック信号生成回路は、前記傾き検出回路で検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる付記10記載の磁気ディスク装置。
(付記13) 前記傾き検出回路は、前記磁気信号を微分する微分回路と、前記微分回路の出力の微分信号の値がゼロとなるタイミングを検出するゼロクロス検出回路とからなり、
前記クロック信号生成回路は、前記微分信号の値がゼロとなるタイミングに前記クロック信号を同期させる付記12記載の磁気ディスク装置。
(付記14) パターンドメディアに対するデータの書き込みまたは読み出しタイミングを決めるクロック信号を生成するクロック信号生成回路と、
磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、前記磁気信号が記録されない非磁性部を形成したパターンドメディアに記録された前記磁気信号を検出する磁気検出手段と、
前記磁気検出手段により検出される前記磁気信号の振幅の絶対値が一定値未満となるゼロレベルを検出するゼロレベル検出回路と、
前記ゼロレベル検出手段により検出される複数のゼロレベル検出信号の中でパルス幅が所定以上の信号を前記非磁性部の位置を示す非磁性部検出信号として抽出する信号抽出回路と、
前記非磁性部検出信号が検出された後、前記磁性部で検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出する傾き検出回路を有し、
前記クロック信号生成回路は、前記磁性部の前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる磁気ディスク装置。
(付記15) 前記傾き検出回路は、前記磁気信号を微分する微分回路と、前記微分回路の出力の微分信号の値がゼロとなるタイミングを検出するゼロクロス検出回路とからなり、
前記クロック信号生成回路は、前記微分信号の値がゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる付記14記載の磁気ディスク装置。
(付記16) 磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、前記磁気信号が記録されない非磁性部を形成したパターンドメディアに記録された前記磁気信号を検出する磁気検出手段と、
前記磁気検出手段により検出される前記磁気信号の振幅の絶対値が一定値未満となるゼロレベルを検出するゼロレベル検出回路と、
前記ゼロレベル検出回路により検出される複数のゼロレベル検出信号の中でパルス幅が所定以上の信号を前記非磁性部の検出位置を示す非磁性部検出信号として抽出する信号抽出回路と、
前記非磁性部検出信号または前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットの前記磁気信号の検出タイミングに前記クロック信号を同期させるクロック信号生成回路と、
を有することを特徴とするパターンドメディアのクロック抽出回路。
(付記17) 前記非磁性部に前記磁気信号が記録される少なくとも1つの基準ドットを設け、
前記基準ドットの前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出する傾き検出回路を有し、
前記クロック信号生成回路は、前記基準ドットの前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる付記16記載のパターンドメディアのクロック抽出回路。
(付記18) 前記非磁性部検出信号が検出された後、前記磁性部で検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出する傾き検出回路を有し、
前記クロック信号生成回路は、前記傾き検出回路で検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる付記16記載のパターンドメディアのクロック抽出回路。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1の実施の形態のパターンドメディアの構造を示す図である。
【図2】第1の実施の形態のクロック抽出回路のブロック図である。
【図3】ゼロレベル検出回路の回路図である。
【図4】フィルタの回路図である。
【図5】PLL回路の回路図である。
【図6】第1の実施の形態のクロック抽出方法の説明図である。
【図7】第2の実施の形態のクロック抽出回路のブロック図である。
【図8】微分回路の回路図である。
【図9】ゼロクロス検出回路の回路図である。
【図10】第2の実施の形態のクロック抽出方法の説明図である。
【図11】第3の実施の形態のパターンドメディアの構造を示す図である。
【図12】第3の実施の形態のクロック抽出方法の説明図である。
【符号の説明】
【0081】
11,81 パターンドメディア
15 磁性ドット
16 磁性部
17 非磁性部
21 クロック抽出回路
22 ゼロレベル検出回路
23 フィルタ
24 PLL回路
62 微分回路
63 ゼロクロス検出回路
82 基準ドット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンドメディアに対するデータの書き込みまたは読み出しタイミングを決めるクロック信号を抽出するクロック抽出方法であって、
磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、磁気信号が記録されない非磁性部とを有するパターンドメディアに記録された前記磁気信号を磁気検出手段により検出し、
前記磁気検出手段により検出される前記磁気信号の振幅の絶対値が連続して一定値未満となる区間を前記非磁性部として特定し、特定した前記非磁性部の開始または終了タイミング、あるいは前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットの前記磁気信号の検出タイミングに前記クロック信号を同期させるパターンドメディアのクロック抽出方法。
【請求項2】
前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットから検出される前記磁気信号の振幅がピーク値となるタイミングを検出し、前記振幅がピーク値となる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる請求項1記載のパターンドメディアのクロック抽出方法。
【請求項3】
前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットから検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出し、前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる請求項1記載のパターンドメディアのクロック抽出方法。
【請求項4】
前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットから検出される前記磁気信号を微分回路で微分し、前記微分回路の出力の微分信号の値がゼロとなるタイミングをゼロクロス検出回路で検出し、前記微分信号の値がゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる請求項1記載のパターンドメディアのクロック抽出方法。
【請求項5】
パターンドメディアに対するデータの書き込みまたは読み出しタイミングを決めるクロック信号を抽出するクロック抽出方法であって、
磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、磁気信号が記録されない領域と、前記磁気信号が記録される少なくとも1つの基準ドットを有する非磁性部が形成されたパターンドメディアに記録された磁気信号を磁気検出手段により検出し、
前記磁気検出手段により前記非磁性部の前記基準ドットの前記磁気信号を検出し、前記基準ドットの前記磁気信号の検出タイミングに前記クロック信号を同期させるパターンドメディアのクロック抽出方法。
【請求項6】
トラックに、磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、前記磁気信号が記録されない非磁性部が形成されたパターンドメディア。
【請求項7】
前記非磁性部に、前記クロック信号の同期を取るために前記磁気信号が記録される基準ドットが設けられた請求項6記載のパターンドメディア。
【請求項8】
磁気信号を記録する磁性ドットが所定間隔毎に配置された磁性部と、前記磁気信号が記録されない非磁性部を形成したパターンドメディアに記録された前記磁気信号を検出する磁気検出手段と、
前記磁気検出手段により検出される前記磁気信号の振幅の絶対値が一定値未満となるゼロレベルを検出するゼロレベル検出回路と、
前記ゼロレベル検出回路により検出される複数のゼロレベル検出信号の中でパルス幅が所定以上の信号を前記非磁性部の検出位置を示す非磁性部検出信号として抽出する信号抽出回路と、
前記非磁性部検出信号または前記非磁性部に続く前記磁性部の前記磁性ドットの前記磁気信号の検出タイミングにクロック信号を同期させるクロック信号生成回路と、
を有することを特徴とするパターンドメディアのクロック抽出回路。
【請求項9】
前記非磁性部に前記磁気信号が記録される少なくとも1つの基準ドットを設け、
前記基準ドットの前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出する傾き検出回路を有し、
前記クロック信号生成回路は、前記基準ドットの前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる請求項8記載のパターンドメディアのクロック抽出回路。
【請求項10】
前記非磁性部検出信号が検出された後、前記磁性部で検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなるタイミングを検出する傾き検出回路を有し、
前記クロック信号生成回路は、前記傾き検出回路で検出される前記磁気信号の傾きがゼロとなる前記タイミングに前記クロック信号を同期させる請求項8記載のパターンドメディアのクロック抽出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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