パターンドメディアの検査方法および検査装置
【課題】
従来技術では、BPMをR/Wするドライブが開示されているが、例えば、製造したBPMの良品・不良品の判定や品質のランク付けをする検査装置は開示されていない。BPMの検査装置では、大きな製造ばらつきがあるBPMの磁性ドットに対してもデータのR/Wを行う必要があるが、この位相調整方法によっては、大きな製造ばらつきのあるBPMの磁性ドットに対するデータのR/Wはできない。
【解決手段】
被検査対象物であるパターンドメディアの再生信号を読み取る読み取り工程と、前記読み取り工程において読み取られた該パターンドメディアの再生信号から信号間隔値を算出する算出工程と、を備えるタイミング検出工程と、前記算出工程において算出された該信号間隔値を用いて該パターンドメディアの品質を判定する判定工程と、を備えるパターンドメディアの検査方法である。
従来技術では、BPMをR/Wするドライブが開示されているが、例えば、製造したBPMの良品・不良品の判定や品質のランク付けをする検査装置は開示されていない。BPMの検査装置では、大きな製造ばらつきがあるBPMの磁性ドットに対してもデータのR/Wを行う必要があるが、この位相調整方法によっては、大きな製造ばらつきのあるBPMの磁性ドットに対するデータのR/Wはできない。
【解決手段】
被検査対象物であるパターンドメディアの再生信号を読み取る読み取り工程と、前記読み取り工程において読み取られた該パターンドメディアの再生信号から信号間隔値を算出する算出工程と、を備えるタイミング検出工程と、前記算出工程において算出された該信号間隔値を用いて該パターンドメディアの品質を判定する判定工程と、を備えるパターンドメディアの検査方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンドメディアの検査方法および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられているハードディスク記録媒体は、円盤状のガラスや金属の上に磁性粒子の膜を形成する構造となっており、一定程度数の磁性粒子がまとまって記録単位(1ビット)を記録している。しかし、記録密度を高めるに従い記録されたデータは安定状態に保てなくなるという課題があり、物性的な限界に直面している。
【0003】
これに対して、磁気記憶媒体の構造の一種で、磁性粒子(磁性ドット)が人工的に規則正しく並べられた記録媒体であるパターンドメディア(Patterned Media)は、論理的に磁性粒子(磁性ドット)1つにつき1ビットの記録が可能となるため、従来の記憶媒体よりも大容量化して物性的限界の問題を突破することが可能であると考えられている。
【0004】
本技術分野の背景技術として、特開2009-295220号公報(特許文献1)がある。この公報には、「データを書き込み又は再生する複数の磁性ドット31をダウントラック方向に所定間隔で磁気的に分断配置すると共に、複数の磁性ドット31をクロストラック方向に磁気的に分断配置する複数のトラックを同心円状に配置するBPM3Aの表面の複数のトラック内の任意のトラックに位相調整用トラック32Aを配置した位相調整装置であって、位相調整用トラック32Aは、位相検出データの書き込み及び再生を可能にするダウントラック方向に配置した位相検出ドット41を有し、複数の位相検出ドット41のそれぞれを1番目の位相検出ドットとしてリードライトした場合に、最もエラーレートが低くなる位相検出ドットを1番目の位相検出ドットに決定することで書き込みタイミングに対する位相ズレを解消する位相調整装置」が開示されている。(要約、段落[0071][0079]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-295220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1には、パターンドメディアの一種であるビットパターンドメディア(Bit Patterned Media:以下、単にBPMと記す)の磁性ドットにデータを書き込むタイミングの同期手段が記載されている。
【0007】
BPMの磁性ドットは、自己組織化現象により所定間隔に配列させて作成されるが、製造ばらつきがあると磁性ドットの配置間隔は一定にはならない。また、特許文献1に開示された技術のように、位相調整用トラックを設けた場合には、位相調整用トラックの磁性ドット自体も配置がばらつく。しかし、特許文献1の同期手段は一定周期のタイミングで同期をとることが前提となっており、磁性ドット1つ1つの配置間隔や寸法、磁化特性にばらつきがあると磁性ドット1つ1つに対して、精度よくデータをリード/ライト(Read/Write:以下、単にR/Wと記す)することができないという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、製造ばらつきがあっても磁性ドット1つ1つに対して、精度よくデータをR/Wできるパターンドメディアの検査方法および検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、「被検査対象物であるパターンドメディアの再生信号を読み取る読み取り工程と、前記読み取り工程において読み取られた該パターンドメディアの再生信号から信号間隔値を算出する算出工程と、を備えるタイミング検出工程と、前記算出工程において算出された該信号間隔値を用いて該パターンドメディアの品質を判定する判定工程と、を備えるパターンドメディアの検査方法。」である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、磁性ドットの配置間隔のばらつきに関係なくデータをR/Wできるパターンドメディアの検査方法および検査装置を提供することができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1におけるパターンドメディア検査装置の構成図の例である。
【図2(a)】BPMの表面の領域を示す図である。
【図2(b)】磁性ドットが同心円状に形成されていることを示す図である。
【図2(c)】BPMの断面図を示す図である。
【図3】本発明の実施例1におけるパターンドメディア検査方法のフロー図である。
【図4】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部の構成図の例である。
【図5】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における検出ゲート信号と同期ゲート信号のタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部を具体的に示した回路構成の例である。
【図7】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期手段の動作を説明するフローチャートの説明図である。
【図8】磁性ドット配置間隔ばらつきを検査する方法を示す図である。
【図9】磁性ドット大きさばらつきを検査する方法を示す図である。
【図10】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部の変形例を示す図である。
【図11】「0」または「1」のデータが書き込まれた磁性ドットの正と負の両方のピークを検出する別の例を示す図である。
【図12】再生信号の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施例2における磁気ディスク装置の構成の例である。
【図14】本発明の実施例2における磁気ディスク装置の動作を説明する図である。
【図15】R/W位相マージン検査方法の例である。
【図16】R/W位相マージン検査結果の例である。
【図17】R/W位相マージンの検査方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まずはじめに、本発明に係るパターンドメディア検査装置の被検査対象物であるパターンドメディアの一例(BPM)について説明する。
【0014】
図2(a)は、BPMの表面の領域を示す図である。
BPM100は、同心円に分割された複数のトラック208で構成され、各トラック208は、円周方向に分割された複数のセクタ207から構成される。
図2(a)の下部は、同心円状に配置されたトラックN−1、N、N+1における各セクタ207の領域の種類を示す。セクタ207は、それぞれサーボ領域201とデータ領域202とを有し、サーボ領域201は、プリアンブル203、シンクマーク204、トラック・セクタ番号205、サーボデータ206とを備えて構成される。
【0015】
BPM100の表面には図2(b)に示すように磁性ドット209が同心円状に形成されている。磁性ドット209は、自己組織化現象により所定間隔で磁性体をドットとして形成したものであり、図2(b)の四角で囲んだ部分の断面図は図2(c)のようになる。
【0016】
以下、本発明に係るパターンドメディア検査装置の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1におけるパターンドメディア検査装置の構成図の例である。
パターンドメディア検査装置は、磁気ヘッド101、スピンドル102、ステージ103、アンプ104、119、データR/W部105、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112、特性測定部114、サーボ駆動部116、磁化部123、テスタ制御部118、PC120とを有して構成される。
【0018】
磁化部123は、テスタ制御部118からの磁化信号122を受けて、BPM100の表面の磁性ドットを一方向に磁化する。
スピンドル102は、被検査対象物であるBPM100を載置し、検査時はBPM100を回転制御する。
ステージ103は、磁気ヘッド101を搭載し、サーボ駆動部116からの制御信号により磁気ヘッド101を移動させる。
磁気ヘッド101は、ステージ103に載置され、データR/W部105からのデータ信号や磁性ドット同期信号106に応じてBPM100に対して読み書きを実行する。
アンプ119は、磁気ヘッド101にて読み取った再生信号や読み取りデータなどのデータ信号を増幅し、データR/W部105、特性測定部114、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112に送る。
アンプ104は、データR/W部105からのデータ信号を増幅して磁気ヘッド101に送る。
サーボ復調部112は、磁気ヘッド101にて読み取り、アンプ119にて増幅された再生信号からサーボ領域201を検出し、検出されたサーボ領域201のシンクマーク204からシンク信号109を、トラック・セクタ番号205およびサーボデータ206から復調結果113を、それぞれ出力する。ここで、シンク信号とはサーボ領域の開始タイミングを図るための信号であり、磁性ドット同期部108に送られる。また、復調結果113とは再生信号がBPM上のどのトラック・セクタを再生したものであるかを示す情報とサーボ領域情報であり、テスタ制御部118に送られる。
データR/W部105は、サーボ復調部112から出力されたシンク信号109を用いて再生信号や読み取りデータなどからデータ内容(R/Wデータ107)を復調し、これをテスタ制御部118へ出力する。また、磁性ドット同期部108からの磁性ドット同期信号106のタイミングでBPM100にデータ信号を書き込み、BPM100からのデータを読み込む。
テスタ制御部118は、サーボ復調部112から送られた復調結果113から磁気ヘッド101のBPM100上の位置を検出し、磁気ヘッド101を検査目標のトラックまで移動するのに必要な移動量を求め、移動信号117をサーボ駆動部116へ出力する。
サーボ駆動部116は、テスタ制御部118からの移動信号117を受け付けると、ステージ103を制御し磁気ヘッド101を検査目標のトラックへ移動させる。
磁性ドット同期部108は、サーボ駆動部116により磁気ヘッド101が検査目標の位置に移動すると、シンク信号109、データ領域期間110、モード信号111などの制御信号を元に、再生信号の波形間隔値(信号間隔値)を検出し、メモリに保存する。また、この信号間隔値に基づいて磁性ドット同期信号106を算出し、これを特性測定部114とデータR/W部105に送る。ここで、データ領域期間110はBPMごとに予め決まっており、その情報はテスタ制御118から送られる。また、モード信号111もテスタ制御部118から送られる。磁性ドット同期部108から特性測定部114に磁性ドット同期信号106を送る際には、これと合わせて信号間隔値を送っても良い。
特性測定部114は、磁性ドット同期部108からの信号間隔値を用いてBPMの特性を測定する。また、データR/W部105からの読み込み結果107を用いてBPMの特性を測定する。そして、測定の結果得られた特性測定結果115をテスタ制御部118に送る。
PC120は、テスタ制御部118からの判定結果121を受信し、ユーザに教示する。
【0019】
次に、本発明に係るパターンドメディアの検査方法を説明する。
【0020】
図3は、本発明の実施例1におけるパターンドメディア検査方法のフロー図である。
Step300では、磁気ヘッド101をBPM100の表面の検査目標のトラックに移動させる磁気ヘッド101のトラック位置決め制御を実施する。開始位置のトラックは、BPM100ごとに予め定められており、テスタ制御部118より送信された移動信号117に基づき、サーボ駆動部116がステージ103を制御し磁気ヘッド101を検査目標のトラックへ移動させる。
Step301では、被検査対象物のBPM100の表面を一方向に磁化する。テスタ制御部118から送信された磁化信号122に基づき磁化部123がBPM100の表面に磁場をかけるように磁気ヘッド101に指示する。これにより、磁気ヘッド101がBPM100に磁場をかけ、検査目標のトラックを形成する磁性ドットを一方向に磁化させる。
Step302では、モード信号111を「検出」状態に設定する。モード信号111には「検出」状態と「同期」状態とがあり、「検出」状態とはBPM100から再生信号を読み取り信号間隔値を算出する状態、「同期」状態とは信号間隔値に基づくタイミングでBPM100にR/W処理を施し、読み取りデータを検出する状態である。ここでは、テスタ制御部118から「検出」状態のモード信号111をデータR/W部105と磁性ドット同期部108に送信することで、「検出」状態となる。
Step303では、BPM100から再生信号を読み取る。ここで再生信号とは、回転移動するBPM100の表面を磁気ヘッド101が読み取ることで得られる信号であり、磁性体で構成される磁性ドットに発生する磁界強度値に相当する信号である。「検出」状態のモード信号111を受信したデータR/W部105により指示された磁気ヘッド101が、BPM100の表面の再生信号を読み取り、読み取ったデータをデータR/W部105、特性測定部114、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112に送る。Step301にてBPM100の表面は一方向に磁化されているため、BPM100の表面は磁性ドット領域からの信号(1)と磁性ドットが形成されていない領域からの信号(0)とが交互に検出されることになる。このとき、磁性ドットの配列位置が等間隔でない場合には、図8の下段に示すように再生信号の波形周期にも偏差が発生し、周期は等間隔でなくなる。
Step304では、サーボ復調部112が再生信号に基づきサーボ領域201を検出する。サーボ領域201のシンクマーク204からシンク信号109を、トラック・セクタ番号205およびサーボデータ206から復調結果113をそれぞれ検出し、サーボ領域の開始タイミングを図るための信号であるシンク信号109を磁性ドット同期部108に送り、サーボ領域情報等の復調結果113をテスタ制御部118にそれぞれ送る。
Step305では、磁性ドット同期部108にて信号間隔値803を算出する。Step304でサーボ復調部112から送られたシンク信号109とStep303で読み取った再生信号とに基づき、再生信号の信号間隔値803を算出し、メモリに保存する。ここで信号間隔値803とは、例えば再生信号の強度がピーク値をとる時間の間隔や、再生信号の強度が所定の閾値を超えるタイミングの間隔など、再生信号波形の周期に関連して算出される値である。再生信号を読み取る際は磁気ヘッド101を概略同一速度で移動させるため、信号間隔値803はBPM100の磁性ドット間の距離に応じて変化する。磁性ドット間の距離が遠ければ信号間隔値803は大きくなり、磁性ドット間の距離が近ければ信号間隔値803は小さくなる。
Step306では、磁気ヘッド101の位置を移動させる。テスタ制御部118は、Step304でサーボ復調部112から送られた復調結果113に基づいて現時点での磁気ヘッド101のBPM100上の位置を検出し、磁気ヘッド101を検査目標のトラックまで移動するのに必要な移動量を求め、移動信号117をサーボ駆動部116へ出力する。
Step307では、モード信号111を「同期」状態に設定する。テスタ制御部118から「同期」状態のモード信号111をデータR/W部105と磁性ドット同期部108に送信することで、「同期」状態となる。
Step308では、磁性ドット同期信号106を生成する。磁性ドット同期部108では、Step305で算出した再生信号の波形間隔値(信号間隔値)に基づいて磁性ドット同期信号106を算出し、これを特性測定部114とデータR/W部105とに送る。
Step309では、磁性ドット同期信号106に基づくタイミングで磁気ヘッド101がBPM100にデータ信号を書き込み、BPM100からのデータを読み込む。読み取った読み取りデータは、データR/W部105、特性測定部114、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112に送られる。磁性ドット同期信号106に基づくタイミングで磁気ヘッド101にR/Wを行うことで、磁性ドットの配置ずれを考慮したタイミングでR/W処理することができるため、位置偏差を持つ磁性ドットに対しても構造の中心でデータをR/Wすることができる。
Step310では、データR/W部105にてBPM100からの読み取りデータを復調し、読み取りデータ(R/Wデータ)107をテスタ制御部118と特性測定部114とに送る。
Step311では、磁性ドット同期信号106とStep310で復調した読み取りデータ107とを用いて、BPM100の特性を測定する。
上述の通り、磁性ドット同期信号106は、再生信号の信号間隔値に基づいて算出されたものであり、再生信号の信号間隔値は磁性ドット間の距離に依存する値であるため、磁性ドット同期信号106を評価することで、磁性ドットの配置に偏差があるかどうかを判定することができる。磁性ドット配置が所定以上の偏差をもつ場合には、ユーザがドライブでR/W処理する際に不具合が発生する不良のBPMとなるため、被検査対象物のBPM100の再生信号の信号間隔値が、予め定めた磁性ドットの位置ずれの閾値(信号間隔の閾値)内にあるかどうかを判定することで、BPM100がユーザの求める品質を満たす否かの判定(良否判定)を行うことができる。尚、磁性ドットの位置ずれは、磁性ドット同期信号106だけでなく信号間隔値803によって判定することもできる。
また、再生信号の強度(再生信号波形の振幅値)は、磁性体である磁性ドットの大きさに依存するため、再生信号の強度を評価することで、磁性ドットの大きさに偏差があるかどうかを判定することができる。つまり、再生信号の大きさは磁性ドットによる磁界の大きさに基づき決まるため、図9の磁性ドット801cのように、磁性ドット位置の偏差がなくても他の磁性ドットと比較して磁性ドット径が小さい場合には、得られる再生信号強度は小さくなる。よって、磁性ドットの大きさが所定以上の偏差をもつ場合には、ユーザがドライブでR/W処理する際に不具合が発生する可能性が高いため、被検査対象物のBPM100の再生信号強度が予め定めた磁性ドットの大きさずれの閾値(信号強度の閾値)内にあるかどうかを判定することで、BPM100がユーザの求める品質を満たす否かの判定(良否判定)を行うことができる。
また、Step310で復調した読み取りデータとデータR/W部105で書き込んだデータ信号とを比較することで、BPM100の磁性ドットが適正にR/W可能かどうかを判定することができる。
Step312では、Step311にて測定されたBPM100の特性の判定結果を出力する。特性測定部114にて特性を測定し、判定結果115をテスタ制御部118に送信する。送信された判定結果121はPC120に送られ、ユーザがGUI上で確認することができる。
【0021】
ここで、Step300とStep301とは必ずしもこの順でなくても良く、逆であっても良い。
また、Step306の磁気ヘッド101位置の移動は、「検出」状態に設定した後に実行しても良い。
【0022】
本発明に係る実施例1によっては、信号間隔値を求めることで、製造ばらつきによりBPMの表面に形成した磁性ドット1つ1つの配置間隔や寸法、磁化特性にばらつきがある場合に、そのばらつきがメディアの品質上許容範囲内であるかどうかのメディアテストを行うことができる。また、磁性ドットのばらつきに応じてR/W検査のタイミングを調整することで、メディアのR/W処理が適正に実施できるかどうかのメディアテストを行うことができる。また、予め適正であると分かっているメディアを用いて同様のテストを行った場合には、R/W処理を行う磁気ヘッドが適正に読み書きを実施できるかどうかの磁気ヘッドテストを行うこともできる。
【0023】
次に、信号間隔値を算出する磁性ドット同期部108について詳細に説明する。
【0024】
図4は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部108の構成図の例である。
磁性ドット同期部は、フィルタ401、タイムデジタル変換器402、タイミング記録部403、同期信号発生器404、クロック同期部406、R/W制御部408とを有する。
【0025】
以下、磁性ドット同期部108の動作について説明する。
テスタ制御部118からR/W制御部408に対して「検出」モードのモード信号111が入力されると、R/W制御部408は既知のシンク信号109とデータ領域期間110とを元に、タイムデジタル変換器402に検出ゲート信号409を出力する。また、テスタ制御部118からR/W制御部408に対して「同期」モードのモード信号111が入力されると、R/W制御部408はシンク信号109とデータ領域期間110を元に、タイムデジタル変換器402に同期ゲート信号410を出力する。
タイムデジタル変換器402に検出ゲート信号409が出力されると、フィルタ401で磁気ヘッド101により読み取られた再生信号400のノイズを除去し、タイムデジタル変換器402で検出に適した信号波形に等価した再生信号400の信号間隔値803を検出し、検出された信号間隔値803をタイミング記録部403へ出力し、タイミング記録部403の内部のメモリにて信号間隔値803を保存する。
タイムデジタル変換器402に同期ゲート信号410が出力されると、タイミング記録部403はメモリに保存した信号間隔値803を同期信号発生器404へ出力し、同期信号発生器404はタイミング記録部403から入力された信号間隔値803のパルス信号を磁性ドット同期信号106として、特性測定部114とデータR/W部105に出力する。
クロック同期部406は、タイムデジタル変換器402、タイミング記録部403、同期信号発生器404の動作クロック407を出力する。このクロック同期部406は、再生信号400からプリアンブル203と動作クロック407を同期させる。これにより、BPM100を回転させているスピンドル102の回転変動によるR/Wタイミングの変化を補償することができる。
【0026】
図5は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における検出ゲート信号と同期ゲート信号のタイミングチャートの例である。
R/W制御部408は、サーボ領域201に含まれるシンクマークの検出信号であるシンク信号412から遅延値600の間だけ遅延し、検出期間601の間だけイネーブルする信号を生成する。遅延値600と検出期間601は、テスタ制御部から入力されたデータ領域期間110で与える。ここで、同期ゲート信号410は、検出ゲート信号409により算出された信号間隔値に基づいて出力されるため、各セクタにおいてシンク信号412に対して概略同一の遅延値600と検出期間601を維持した信号を出力することができる。
【0027】
図6は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部を具体的に示した回路構成の例であり、図4をさらに詳細に記載したものである。
タイムデジタル変換器402は、ピーク検出器500とレジスタ501と遅延器502とカウンタA503とを有し、タイミング記録部403は、メモリ504とメモリ制御部505とを有し、同期信号発生器404は、比較器506とカウンタB507とを有する。図6の磁性ドット同期部の動作について、図7を用いて説明する。
【0028】
図7は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期手段の動作を説明するフローチャートの説明図である。
R/W制御部408から検出ゲート信号409がイネーブルすると、カウンタA503とメモリ504のメモリアドレスをリセットする。カウンタA503は、クロック同期部406からの動作クロック407のタイミングでカウントアップし、ピーク検出器500は、再生信号400のピークを検出して検出信号をレジスタ501と遅延器502に出力する。レジスタ501は、検出信号が入力されるとカウンタA503の値を保持する。遅延器502は、検出信号を動作クロック407の1クロック分だけ遅延させてカウンタA503とメモリ制御部505とに出力する。
メモリ制御部505は、1クロック遅延した検出信号が入力されるとレジスタ501で保持したカウンタA503の値をメモリ504に保存し、メモリアドレスをカウントアップする。カウンタA503は1クロック遅延した検出信号が入力されたタイミングでカウンタ値を0にリセットし、再びカウントアップを開始する。検出ゲート信号409がイネーブルしている期間中、上記動作を繰り返す。
【0029】
一方、R/W制御部408から同期ゲート信号410がイネーブルすると、カウンタB507とメモリ504のメモリアドレスをリセットする。メモリ504は、メモリアドレスのデータを比較器506へ出力する。カウンタB507は、動作クロック407のタイミングでカウントアップし、カウント値を比較器506へ出力する。比較器506は、メモリ出力値とカウンタBの出力値を比較し、値が等しくなったタイミングで1つのパルス信号を磁性ドット同期信号106として特性測定部114とデータR/W部105に出力する。また、比較器506の出力はカウンタB507とメモリ制御部505にも入力され、比較器506の出力タイミングで、カウンタB507はカウント値を0にリセットして再びカウントアップを開始し、メモリ制御部505は、メモリアドレスをカウントアップする。同期ゲート信号410がイネーブルしている期間中、上記動作を繰り返す。
【0030】
ここまでは、被検査対象物のBPM100の表面に磁場をかけて一方向に磁化した後に再生信号を取得し、信号間隔値803を算出する方法(図1の磁化部123、図3のStep301)を説明したが、一方向に磁化することなく再生信号を取得することもできる。以下では、BPM100の表面の磁性ドットに「0」「1」の2種類のデータが書き込まれた状態で再生信号を取得する方法を説明する。
【0031】
図12は、磁気ヘッドによる再生信号の一例を示す。
図12は、被検査対象であるBPMの磁性ドット801に「0」または「1」のデータが書き込まれている場合の磁気ヘッド再生信号の例である。磁性ドット801の磁化の向き1100が上向きの状態をデータ「1」、下向きの状態をデータ「0」としている。「0」または「1」のデータが書き込まれている磁性ドット801を磁気ヘッド101で再生したときの信号は、データ「1」を再生したときには正の振幅を、データ「0」を再生したときには負の振幅をそれぞれ示す。このため、「0」または「1」のデータが書き込まれた磁性ドットの再生信号400を取得する場合には、例えば図6に示したような正のピーク値を検出するピーク検出器500を用いると、「0」のデータが書き込まれた磁性ドットを見逃してしまう。つまり、このような場合にも信号間隔値803を検出するためには、正と負の両方のピークを検出する必要がある。
【0032】
図10は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部の変形例を示す図である。
図10に開示された磁性ドット同期部によっては、再生信号の正のピークと負のピークから「0」または「1」のデータが書き込まれている磁性ドットの場合に、正と負の両方のピークを検出することができる。
正ピーク検出器500aで正のピークを、負ピーク検出器500bで負のピークをそれぞれ検出し、正ピーク検出器500aと負ピーク検出器500bとの出力を加算した信号がイネーブルするタイミングでカウンタA503のカウント値をレジスタ501で保持し、タイミング記録部403へ出力する。これにより、正と負のどちらのピークが入力されても、信号間隔値を得ることができる。
【0033】
図11は、「0」または「1」のデータが書き込まれた磁性ドットの正と負の両方のピークを検出する別の例を示す図である。図11は、磁性ドット同期部108の前段に全波整流器1500を設け、正と負の両方のピークを持つ再生信号を全波整流器1500を通して正のピークのみをもつ再生信号に整流することによって、「0」のデータが書き込まれた磁性ドットについても、漏れなく信号間隔値803を検出することができる。
【0034】
以上より、磁性ドットに「0」または「1」のデータが書き込まれている状態でも磁性ドットのピーク値を検出し、磁性ドットの構造の中心を検出することができる。
【0035】
次に、図8を用いて磁性ドット配置間隔ばらつきを検査する方法を説明する。
【0036】
図8は、磁性ドット配列位置と再生信号との関係を示す図である。
図8の上部は、BPM100の表面において同心円状に3つのトラックの磁性ドット801が配置されている様子を示す。1番上と1番下の列のトラックにおける磁性ドット801は、各々が概略等間隔に配置されているが、中央の列のトラックにおける磁性ドット801は、左から3番目の磁性ドット801aが本来あるべき位置よりも右にずれて配置されており、右から2番目の磁性ドット801bは左にずれて配置されている。図8の下部は、この中央のトラックにおける再生信号400の波形を示している。このとき再生信号400は、磁性ドット801の配置位置に応じて波長が変化し、右寄りに配置された磁性ドット801aは再生信号のピーク値が遅延しているため周期が長くなり、左寄りに配置された磁性ドット801bは再生信号のピーク値が早まっているため周期が短くなる。信号間隔値803(T1・・・T5)は、再生信号のピーク値をとる時間の間隔であるため、偏差を持つ磁性ドット801aと801bによる影響で、各々の信号間隔値T1・・・T5が変動する。
【0037】
つまり、磁性ドット同期部108で検出してメモリに保存した信号間隔値803から異常に大きな値と小さな値を検出することで、配置間隔がずれた磁性ドット801aや801bを検出することができる。異常値を識別する指標には、BPMの製造仕様を元にして求めた磁性ドット配置間隔ばらつきの許容値や、信号のBER(Bit Error Rate)から求めた値を用いても良いし、ユーザがメディアに求める品質に応じた値を別個に指定しても良い。
【0038】
次に、図9を用いて磁性ドット大きさばらつきを検査する方法を説明する。
【0039】
図9は、磁性ドット大きさと再生信号との関係を示す図である。
図9の上部は、図8と同様にBPM100の表面において同心円状に3つのトラックの磁性ドット801が配置されている様子を示す。1番上と1番下のトラックにおける磁性ドット801は、各々が概略同じ大きさであるが、中央のトラックにおける磁性ドット801のうち右から2番目の磁性ドット801cは、他の磁性ドット801よりも小さい径となっている。図9の下部は、この中央のトラックにおける再生信号400の波形を示している。このとき再生信号は、磁性ドット801の径に応じて振幅値が変化し、小さい径の磁性ドット801cに対応する再生信号の強度(ピーク値)が小さくなっている。
【0040】
つまり、再生信号400のピーク値の大小を比較し、異常に大きな値と小さな値を検出することで、径の大きさが異なる磁性ドットを検出することができる。異常値を識別する指標には、BPMの製造仕様を元にして求めた磁性ドット大きさばらつきの許容値や、信号のBER(Bit Error Rate)から求めた値を用いても良いし、ユーザがメディアに求める品質に応じた値を別個に指定しても良い。
また、メモリに保存した信号間隔値803や再生信号400のピーク値の分散や標準偏差などの統計処理の結果から製造ばらつきによる磁性ドットのばらつきをテストすることもできる。本統計処理で扱うデータ範囲は、セクタ毎、トラック毎、BPM全面など任意に決定することができる。
【0041】
次に、信号を正常にR/Wできるタイミング範囲の広さであるR/W位相マージンを検査する方法について説明する。
【0042】
図17は、R/W位相マージンの検査方法を説明するフローチャートである。
先ず、磁性ドット同期部108を検出モードで動作させ、磁性ドットの再生信号のピーク検出から波形間隔値803を取得し(Step1600)、その後、磁性ドット同期部108を同期モードで動作させて磁性ドット同期信号106をデータR/W部105と特性測定部114に出力する(Step1601)。次に、書込み位相の初期値POを遅延値600に設定する(Step1602)。書込み位相の初期値POは、下式から決定する。
【0043】
(数1)P0=遅延値−Tmax/2
ここでTmaxは、検出した波形間隔値の最大値である。この設定した書込み位相の初期値POで生成した磁性ドット同期信号106のタイミングでデータを磁性ドットに書込み(Step1603)、特性測定部114を用いて、再生信号の振幅値を磁性ドット同期信号106のタイミングで取得して保存する(Step1604)。そして、シフト量Sだけシフトした書込み位相の値を遅延値600に設定する(Step1605)。書込み位相のシフト量Sを下式に示す。
【0044】
(数2)S=Tmax/N
ここで、Nは、書き込み位相の分解能である。書込み位相をシフト量Sずつシフトしていき、書込み位相の値が終了シフト量Sendになるまで磁性ドットへのデータ書込みと再生信号の振幅値取得を繰り返し実施する(Step1606)。終了シフト量Sendを下式に示す。
【0045】
(数3)Send=遅延値+Tmax/2
図15は、R/W位相マージン検査方法の例である。
書込み位相903をシフトしながらデータの書込みと再生信号の検出を繰り返す。例えば、書込み位相903cの場合、全ての磁性ドットに対して中心でデータを書込むことができるため再生信号の振幅は全ての磁性ドットで最大値を示す。書込み位相903をずれしていくと書込みタイミングが磁性ドットの中心からはずれていくため再生信号の振幅は小さくなる。書込み位相803aや803dでは、データを磁性ドット上で書込むことができず再生信号の振幅は最小となる。
【0046】
図16は、R/W位相マージン検査結果の例である。
本検査結果は、横軸に書込み位相のシフト量S、縦軸に振幅値をとっており、磁性ドットの中心となるシフト量Sで振幅値が最大となり、書込み位相が磁性ドット中心から離れるにしたがい振幅値が低下する特性が得られる。ここにデータを復調するために必要な振幅値のしきい値1000を設け、しきい値1000以上の振幅が得られる書込み位相の範囲をR/W位相マージン1001とする。このしきい値1000は、信号のBER(Bit Error Rate)から求めた値でも良いし、別に指定した値で良い。このR/W位相マージン1001の広さからデータR/Wのエラー率をテストすることができる。
以上の検査より、R/W位相マージンの広さからBPMの良品・不良品の検査およびランク付けが可能となる。
【0047】
このように、製造過程で磁性ドットの配置間隔や磁性ドット径が大きくばらつき正常に信号をR/WできないBPMを検出し、BPMがユーザの求める品質を満たす否かの判定(良・不良判定)をすることが可能になる。
【0048】
また、特許文献1に開示された技術では、同期をとるための磁性ドットを配置した位相調整用トラックを新規に設けており、この位相調整用トラック領域の大きさだけ、ユーザがR/Wできるデータ量が減少するという課題があるが、本実施例によれば、ユーザがR/Wできるデータ量を減少させることなく磁性ドットの位置ばらつきに対応したR/Wを行うことができる。
【0049】
さらに、特許文献1には、BPMをR/Wするドライブが開示されているが、例えば、製造したBPMがユーザの求める品質を満たすか否か(良品・不良品)の判定や品質のランク付けをする検査装置は開示されていない。BPMの普及にはBPMの検査装置が必須であり、BPMの検査装置では、大きな製造ばらつきがあるBPMの磁性ドットに対してもデータのR/Wを行う必要がある。しかし、特許文献1に開示された位相調整方法によっては、大きな製造ばらつきのあるBPMの磁性ドットに対するデータのR/Wはできない。これに対して、本実施例によれば、BPMがユーザの求める品質を満たすか否か(良品・不良品)の判定や品質のランク付けをする検査装置により、ユーザの求める品質を満たさないBPMを判別し、所定の品質を満たすBPMのみを販売することができる。
【実施例2】
【0050】
本実施例では、実施例1と同様の磁性ドット同期部108を搭載した磁気ディスク装置の例を説明する。
【0051】
図13は、本発明の実施例2における磁気ディスク装置の構成の例である。
磁気ディスク装置1201は、磁気ヘッド101、スピンドル102、ボイスコイルモータ1200、アンプ104、119、データR/W部105、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112、サーボ駆動部116、磁化部123とを有する。磁気ディスク装置1201の動作については、図14を用いて説明する。
【0052】
図14は、本発明の実施例3の磁気ディスク装置におけるR/W動作を説明するフローチャートである。
Step1300では、磁気ヘッド101をデータR/W対象のトラックに位置決め制御する。位置決め制御の詳細は図3のStep300と同様なため省略する。
Step1301では、磁性ドット同期部108を「検出」モードで動作させ、信号間隔値を1トラック分検出して、メモリに保存する。信号間隔値の検出方法に関しては、図3のStep302〜305と同様である。
信号間隔値の保存が1トラック分終了したら(Step1302)、Step1303において磁性ドット同期信号を生成し、終了していない場合はStep1301に戻り波形間隔値の算出と保存を行う。
Step1304では、磁性ドット同期部108を「同期」モードで動作させ、磁性ドット同期信号106をデータR/W部105へ出力する。このとき、データR/W部は、磁性ドット同期信号106のタイミングでデータのR/Wを実施する。
磁性ドット同期信号106のタイミングでデータのR/Wを実施することで、BPM上の磁性ドットの配置位置や大きさにずれがある場合にも、磁性ドットのずれを考慮してデータのR/Wを行うことができる。
【0053】
ここで、分解能を8bit、メディア直径を70mm、磁性ドット周期を20nmとして、1トラック分の信号間隔値を保存するメモリの必要容量を下式から概算すると12MB程度となり、磁気ディスク装置に十分搭載可能な容量となる。
(数4)メモリ容量=分解能×(メディア直径×π)/磁性ドット周期
なお、上記説明では、1トラック分の信号間隔値をメモリに保存する方法を用いて本実施例を説明したが、複数トラック分や複数セクタ分の信号間隔値を保存しても良い。
【0054】
上記より、磁性ドットの配置間隔、寸法、磁化特性のバラツキにより磁性ドット1つ1つで書き込みタイミングが異なるBPMへのデータR/Wを実現できるため、磁性ドットにばらつきがあるBPMであっても磁気ディスク装置へ搭載することが可能となる。
【0055】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0056】
100 BPM、101 磁気ヘッド、102 スピンドル、105 データR/W部、106 磁性ドット同期信号、108 磁性ドット同期部、109 シンク信号、110 データ領域期間、111 モード信号、112 サーボ復調部、114 特性測定部、116 サーボ駆動部、201 サーボ領域、202 データ領域、203 プリアンブル、204 シンクマーク、400 再生信号、402 タイムデジタル変換器、403 タイミング記録部、404 同期信号発生器、406 クロック同期部、500 ピーク検出器、503 カウンタA、504 メモリ、507 カウンタB、801 磁性ドット、803 信号間隔値
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンドメディアの検査方法および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられているハードディスク記録媒体は、円盤状のガラスや金属の上に磁性粒子の膜を形成する構造となっており、一定程度数の磁性粒子がまとまって記録単位(1ビット)を記録している。しかし、記録密度を高めるに従い記録されたデータは安定状態に保てなくなるという課題があり、物性的な限界に直面している。
【0003】
これに対して、磁気記憶媒体の構造の一種で、磁性粒子(磁性ドット)が人工的に規則正しく並べられた記録媒体であるパターンドメディア(Patterned Media)は、論理的に磁性粒子(磁性ドット)1つにつき1ビットの記録が可能となるため、従来の記憶媒体よりも大容量化して物性的限界の問題を突破することが可能であると考えられている。
【0004】
本技術分野の背景技術として、特開2009-295220号公報(特許文献1)がある。この公報には、「データを書き込み又は再生する複数の磁性ドット31をダウントラック方向に所定間隔で磁気的に分断配置すると共に、複数の磁性ドット31をクロストラック方向に磁気的に分断配置する複数のトラックを同心円状に配置するBPM3Aの表面の複数のトラック内の任意のトラックに位相調整用トラック32Aを配置した位相調整装置であって、位相調整用トラック32Aは、位相検出データの書き込み及び再生を可能にするダウントラック方向に配置した位相検出ドット41を有し、複数の位相検出ドット41のそれぞれを1番目の位相検出ドットとしてリードライトした場合に、最もエラーレートが低くなる位相検出ドットを1番目の位相検出ドットに決定することで書き込みタイミングに対する位相ズレを解消する位相調整装置」が開示されている。(要約、段落[0071][0079]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-295220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1には、パターンドメディアの一種であるビットパターンドメディア(Bit Patterned Media:以下、単にBPMと記す)の磁性ドットにデータを書き込むタイミングの同期手段が記載されている。
【0007】
BPMの磁性ドットは、自己組織化現象により所定間隔に配列させて作成されるが、製造ばらつきがあると磁性ドットの配置間隔は一定にはならない。また、特許文献1に開示された技術のように、位相調整用トラックを設けた場合には、位相調整用トラックの磁性ドット自体も配置がばらつく。しかし、特許文献1の同期手段は一定周期のタイミングで同期をとることが前提となっており、磁性ドット1つ1つの配置間隔や寸法、磁化特性にばらつきがあると磁性ドット1つ1つに対して、精度よくデータをリード/ライト(Read/Write:以下、単にR/Wと記す)することができないという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、製造ばらつきがあっても磁性ドット1つ1つに対して、精度よくデータをR/Wできるパターンドメディアの検査方法および検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、「被検査対象物であるパターンドメディアの再生信号を読み取る読み取り工程と、前記読み取り工程において読み取られた該パターンドメディアの再生信号から信号間隔値を算出する算出工程と、を備えるタイミング検出工程と、前記算出工程において算出された該信号間隔値を用いて該パターンドメディアの品質を判定する判定工程と、を備えるパターンドメディアの検査方法。」である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、磁性ドットの配置間隔のばらつきに関係なくデータをR/Wできるパターンドメディアの検査方法および検査装置を提供することができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1におけるパターンドメディア検査装置の構成図の例である。
【図2(a)】BPMの表面の領域を示す図である。
【図2(b)】磁性ドットが同心円状に形成されていることを示す図である。
【図2(c)】BPMの断面図を示す図である。
【図3】本発明の実施例1におけるパターンドメディア検査方法のフロー図である。
【図4】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部の構成図の例である。
【図5】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における検出ゲート信号と同期ゲート信号のタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部を具体的に示した回路構成の例である。
【図7】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期手段の動作を説明するフローチャートの説明図である。
【図8】磁性ドット配置間隔ばらつきを検査する方法を示す図である。
【図9】磁性ドット大きさばらつきを検査する方法を示す図である。
【図10】本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部の変形例を示す図である。
【図11】「0」または「1」のデータが書き込まれた磁性ドットの正と負の両方のピークを検出する別の例を示す図である。
【図12】再生信号の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施例2における磁気ディスク装置の構成の例である。
【図14】本発明の実施例2における磁気ディスク装置の動作を説明する図である。
【図15】R/W位相マージン検査方法の例である。
【図16】R/W位相マージン検査結果の例である。
【図17】R/W位相マージンの検査方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まずはじめに、本発明に係るパターンドメディア検査装置の被検査対象物であるパターンドメディアの一例(BPM)について説明する。
【0014】
図2(a)は、BPMの表面の領域を示す図である。
BPM100は、同心円に分割された複数のトラック208で構成され、各トラック208は、円周方向に分割された複数のセクタ207から構成される。
図2(a)の下部は、同心円状に配置されたトラックN−1、N、N+1における各セクタ207の領域の種類を示す。セクタ207は、それぞれサーボ領域201とデータ領域202とを有し、サーボ領域201は、プリアンブル203、シンクマーク204、トラック・セクタ番号205、サーボデータ206とを備えて構成される。
【0015】
BPM100の表面には図2(b)に示すように磁性ドット209が同心円状に形成されている。磁性ドット209は、自己組織化現象により所定間隔で磁性体をドットとして形成したものであり、図2(b)の四角で囲んだ部分の断面図は図2(c)のようになる。
【0016】
以下、本発明に係るパターンドメディア検査装置の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1におけるパターンドメディア検査装置の構成図の例である。
パターンドメディア検査装置は、磁気ヘッド101、スピンドル102、ステージ103、アンプ104、119、データR/W部105、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112、特性測定部114、サーボ駆動部116、磁化部123、テスタ制御部118、PC120とを有して構成される。
【0018】
磁化部123は、テスタ制御部118からの磁化信号122を受けて、BPM100の表面の磁性ドットを一方向に磁化する。
スピンドル102は、被検査対象物であるBPM100を載置し、検査時はBPM100を回転制御する。
ステージ103は、磁気ヘッド101を搭載し、サーボ駆動部116からの制御信号により磁気ヘッド101を移動させる。
磁気ヘッド101は、ステージ103に載置され、データR/W部105からのデータ信号や磁性ドット同期信号106に応じてBPM100に対して読み書きを実行する。
アンプ119は、磁気ヘッド101にて読み取った再生信号や読み取りデータなどのデータ信号を増幅し、データR/W部105、特性測定部114、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112に送る。
アンプ104は、データR/W部105からのデータ信号を増幅して磁気ヘッド101に送る。
サーボ復調部112は、磁気ヘッド101にて読み取り、アンプ119にて増幅された再生信号からサーボ領域201を検出し、検出されたサーボ領域201のシンクマーク204からシンク信号109を、トラック・セクタ番号205およびサーボデータ206から復調結果113を、それぞれ出力する。ここで、シンク信号とはサーボ領域の開始タイミングを図るための信号であり、磁性ドット同期部108に送られる。また、復調結果113とは再生信号がBPM上のどのトラック・セクタを再生したものであるかを示す情報とサーボ領域情報であり、テスタ制御部118に送られる。
データR/W部105は、サーボ復調部112から出力されたシンク信号109を用いて再生信号や読み取りデータなどからデータ内容(R/Wデータ107)を復調し、これをテスタ制御部118へ出力する。また、磁性ドット同期部108からの磁性ドット同期信号106のタイミングでBPM100にデータ信号を書き込み、BPM100からのデータを読み込む。
テスタ制御部118は、サーボ復調部112から送られた復調結果113から磁気ヘッド101のBPM100上の位置を検出し、磁気ヘッド101を検査目標のトラックまで移動するのに必要な移動量を求め、移動信号117をサーボ駆動部116へ出力する。
サーボ駆動部116は、テスタ制御部118からの移動信号117を受け付けると、ステージ103を制御し磁気ヘッド101を検査目標のトラックへ移動させる。
磁性ドット同期部108は、サーボ駆動部116により磁気ヘッド101が検査目標の位置に移動すると、シンク信号109、データ領域期間110、モード信号111などの制御信号を元に、再生信号の波形間隔値(信号間隔値)を検出し、メモリに保存する。また、この信号間隔値に基づいて磁性ドット同期信号106を算出し、これを特性測定部114とデータR/W部105に送る。ここで、データ領域期間110はBPMごとに予め決まっており、その情報はテスタ制御118から送られる。また、モード信号111もテスタ制御部118から送られる。磁性ドット同期部108から特性測定部114に磁性ドット同期信号106を送る際には、これと合わせて信号間隔値を送っても良い。
特性測定部114は、磁性ドット同期部108からの信号間隔値を用いてBPMの特性を測定する。また、データR/W部105からの読み込み結果107を用いてBPMの特性を測定する。そして、測定の結果得られた特性測定結果115をテスタ制御部118に送る。
PC120は、テスタ制御部118からの判定結果121を受信し、ユーザに教示する。
【0019】
次に、本発明に係るパターンドメディアの検査方法を説明する。
【0020】
図3は、本発明の実施例1におけるパターンドメディア検査方法のフロー図である。
Step300では、磁気ヘッド101をBPM100の表面の検査目標のトラックに移動させる磁気ヘッド101のトラック位置決め制御を実施する。開始位置のトラックは、BPM100ごとに予め定められており、テスタ制御部118より送信された移動信号117に基づき、サーボ駆動部116がステージ103を制御し磁気ヘッド101を検査目標のトラックへ移動させる。
Step301では、被検査対象物のBPM100の表面を一方向に磁化する。テスタ制御部118から送信された磁化信号122に基づき磁化部123がBPM100の表面に磁場をかけるように磁気ヘッド101に指示する。これにより、磁気ヘッド101がBPM100に磁場をかけ、検査目標のトラックを形成する磁性ドットを一方向に磁化させる。
Step302では、モード信号111を「検出」状態に設定する。モード信号111には「検出」状態と「同期」状態とがあり、「検出」状態とはBPM100から再生信号を読み取り信号間隔値を算出する状態、「同期」状態とは信号間隔値に基づくタイミングでBPM100にR/W処理を施し、読み取りデータを検出する状態である。ここでは、テスタ制御部118から「検出」状態のモード信号111をデータR/W部105と磁性ドット同期部108に送信することで、「検出」状態となる。
Step303では、BPM100から再生信号を読み取る。ここで再生信号とは、回転移動するBPM100の表面を磁気ヘッド101が読み取ることで得られる信号であり、磁性体で構成される磁性ドットに発生する磁界強度値に相当する信号である。「検出」状態のモード信号111を受信したデータR/W部105により指示された磁気ヘッド101が、BPM100の表面の再生信号を読み取り、読み取ったデータをデータR/W部105、特性測定部114、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112に送る。Step301にてBPM100の表面は一方向に磁化されているため、BPM100の表面は磁性ドット領域からの信号(1)と磁性ドットが形成されていない領域からの信号(0)とが交互に検出されることになる。このとき、磁性ドットの配列位置が等間隔でない場合には、図8の下段に示すように再生信号の波形周期にも偏差が発生し、周期は等間隔でなくなる。
Step304では、サーボ復調部112が再生信号に基づきサーボ領域201を検出する。サーボ領域201のシンクマーク204からシンク信号109を、トラック・セクタ番号205およびサーボデータ206から復調結果113をそれぞれ検出し、サーボ領域の開始タイミングを図るための信号であるシンク信号109を磁性ドット同期部108に送り、サーボ領域情報等の復調結果113をテスタ制御部118にそれぞれ送る。
Step305では、磁性ドット同期部108にて信号間隔値803を算出する。Step304でサーボ復調部112から送られたシンク信号109とStep303で読み取った再生信号とに基づき、再生信号の信号間隔値803を算出し、メモリに保存する。ここで信号間隔値803とは、例えば再生信号の強度がピーク値をとる時間の間隔や、再生信号の強度が所定の閾値を超えるタイミングの間隔など、再生信号波形の周期に関連して算出される値である。再生信号を読み取る際は磁気ヘッド101を概略同一速度で移動させるため、信号間隔値803はBPM100の磁性ドット間の距離に応じて変化する。磁性ドット間の距離が遠ければ信号間隔値803は大きくなり、磁性ドット間の距離が近ければ信号間隔値803は小さくなる。
Step306では、磁気ヘッド101の位置を移動させる。テスタ制御部118は、Step304でサーボ復調部112から送られた復調結果113に基づいて現時点での磁気ヘッド101のBPM100上の位置を検出し、磁気ヘッド101を検査目標のトラックまで移動するのに必要な移動量を求め、移動信号117をサーボ駆動部116へ出力する。
Step307では、モード信号111を「同期」状態に設定する。テスタ制御部118から「同期」状態のモード信号111をデータR/W部105と磁性ドット同期部108に送信することで、「同期」状態となる。
Step308では、磁性ドット同期信号106を生成する。磁性ドット同期部108では、Step305で算出した再生信号の波形間隔値(信号間隔値)に基づいて磁性ドット同期信号106を算出し、これを特性測定部114とデータR/W部105とに送る。
Step309では、磁性ドット同期信号106に基づくタイミングで磁気ヘッド101がBPM100にデータ信号を書き込み、BPM100からのデータを読み込む。読み取った読み取りデータは、データR/W部105、特性測定部114、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112に送られる。磁性ドット同期信号106に基づくタイミングで磁気ヘッド101にR/Wを行うことで、磁性ドットの配置ずれを考慮したタイミングでR/W処理することができるため、位置偏差を持つ磁性ドットに対しても構造の中心でデータをR/Wすることができる。
Step310では、データR/W部105にてBPM100からの読み取りデータを復調し、読み取りデータ(R/Wデータ)107をテスタ制御部118と特性測定部114とに送る。
Step311では、磁性ドット同期信号106とStep310で復調した読み取りデータ107とを用いて、BPM100の特性を測定する。
上述の通り、磁性ドット同期信号106は、再生信号の信号間隔値に基づいて算出されたものであり、再生信号の信号間隔値は磁性ドット間の距離に依存する値であるため、磁性ドット同期信号106を評価することで、磁性ドットの配置に偏差があるかどうかを判定することができる。磁性ドット配置が所定以上の偏差をもつ場合には、ユーザがドライブでR/W処理する際に不具合が発生する不良のBPMとなるため、被検査対象物のBPM100の再生信号の信号間隔値が、予め定めた磁性ドットの位置ずれの閾値(信号間隔の閾値)内にあるかどうかを判定することで、BPM100がユーザの求める品質を満たす否かの判定(良否判定)を行うことができる。尚、磁性ドットの位置ずれは、磁性ドット同期信号106だけでなく信号間隔値803によって判定することもできる。
また、再生信号の強度(再生信号波形の振幅値)は、磁性体である磁性ドットの大きさに依存するため、再生信号の強度を評価することで、磁性ドットの大きさに偏差があるかどうかを判定することができる。つまり、再生信号の大きさは磁性ドットによる磁界の大きさに基づき決まるため、図9の磁性ドット801cのように、磁性ドット位置の偏差がなくても他の磁性ドットと比較して磁性ドット径が小さい場合には、得られる再生信号強度は小さくなる。よって、磁性ドットの大きさが所定以上の偏差をもつ場合には、ユーザがドライブでR/W処理する際に不具合が発生する可能性が高いため、被検査対象物のBPM100の再生信号強度が予め定めた磁性ドットの大きさずれの閾値(信号強度の閾値)内にあるかどうかを判定することで、BPM100がユーザの求める品質を満たす否かの判定(良否判定)を行うことができる。
また、Step310で復調した読み取りデータとデータR/W部105で書き込んだデータ信号とを比較することで、BPM100の磁性ドットが適正にR/W可能かどうかを判定することができる。
Step312では、Step311にて測定されたBPM100の特性の判定結果を出力する。特性測定部114にて特性を測定し、判定結果115をテスタ制御部118に送信する。送信された判定結果121はPC120に送られ、ユーザがGUI上で確認することができる。
【0021】
ここで、Step300とStep301とは必ずしもこの順でなくても良く、逆であっても良い。
また、Step306の磁気ヘッド101位置の移動は、「検出」状態に設定した後に実行しても良い。
【0022】
本発明に係る実施例1によっては、信号間隔値を求めることで、製造ばらつきによりBPMの表面に形成した磁性ドット1つ1つの配置間隔や寸法、磁化特性にばらつきがある場合に、そのばらつきがメディアの品質上許容範囲内であるかどうかのメディアテストを行うことができる。また、磁性ドットのばらつきに応じてR/W検査のタイミングを調整することで、メディアのR/W処理が適正に実施できるかどうかのメディアテストを行うことができる。また、予め適正であると分かっているメディアを用いて同様のテストを行った場合には、R/W処理を行う磁気ヘッドが適正に読み書きを実施できるかどうかの磁気ヘッドテストを行うこともできる。
【0023】
次に、信号間隔値を算出する磁性ドット同期部108について詳細に説明する。
【0024】
図4は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部108の構成図の例である。
磁性ドット同期部は、フィルタ401、タイムデジタル変換器402、タイミング記録部403、同期信号発生器404、クロック同期部406、R/W制御部408とを有する。
【0025】
以下、磁性ドット同期部108の動作について説明する。
テスタ制御部118からR/W制御部408に対して「検出」モードのモード信号111が入力されると、R/W制御部408は既知のシンク信号109とデータ領域期間110とを元に、タイムデジタル変換器402に検出ゲート信号409を出力する。また、テスタ制御部118からR/W制御部408に対して「同期」モードのモード信号111が入力されると、R/W制御部408はシンク信号109とデータ領域期間110を元に、タイムデジタル変換器402に同期ゲート信号410を出力する。
タイムデジタル変換器402に検出ゲート信号409が出力されると、フィルタ401で磁気ヘッド101により読み取られた再生信号400のノイズを除去し、タイムデジタル変換器402で検出に適した信号波形に等価した再生信号400の信号間隔値803を検出し、検出された信号間隔値803をタイミング記録部403へ出力し、タイミング記録部403の内部のメモリにて信号間隔値803を保存する。
タイムデジタル変換器402に同期ゲート信号410が出力されると、タイミング記録部403はメモリに保存した信号間隔値803を同期信号発生器404へ出力し、同期信号発生器404はタイミング記録部403から入力された信号間隔値803のパルス信号を磁性ドット同期信号106として、特性測定部114とデータR/W部105に出力する。
クロック同期部406は、タイムデジタル変換器402、タイミング記録部403、同期信号発生器404の動作クロック407を出力する。このクロック同期部406は、再生信号400からプリアンブル203と動作クロック407を同期させる。これにより、BPM100を回転させているスピンドル102の回転変動によるR/Wタイミングの変化を補償することができる。
【0026】
図5は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における検出ゲート信号と同期ゲート信号のタイミングチャートの例である。
R/W制御部408は、サーボ領域201に含まれるシンクマークの検出信号であるシンク信号412から遅延値600の間だけ遅延し、検出期間601の間だけイネーブルする信号を生成する。遅延値600と検出期間601は、テスタ制御部から入力されたデータ領域期間110で与える。ここで、同期ゲート信号410は、検出ゲート信号409により算出された信号間隔値に基づいて出力されるため、各セクタにおいてシンク信号412に対して概略同一の遅延値600と検出期間601を維持した信号を出力することができる。
【0027】
図6は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部を具体的に示した回路構成の例であり、図4をさらに詳細に記載したものである。
タイムデジタル変換器402は、ピーク検出器500とレジスタ501と遅延器502とカウンタA503とを有し、タイミング記録部403は、メモリ504とメモリ制御部505とを有し、同期信号発生器404は、比較器506とカウンタB507とを有する。図6の磁性ドット同期部の動作について、図7を用いて説明する。
【0028】
図7は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期手段の動作を説明するフローチャートの説明図である。
R/W制御部408から検出ゲート信号409がイネーブルすると、カウンタA503とメモリ504のメモリアドレスをリセットする。カウンタA503は、クロック同期部406からの動作クロック407のタイミングでカウントアップし、ピーク検出器500は、再生信号400のピークを検出して検出信号をレジスタ501と遅延器502に出力する。レジスタ501は、検出信号が入力されるとカウンタA503の値を保持する。遅延器502は、検出信号を動作クロック407の1クロック分だけ遅延させてカウンタA503とメモリ制御部505とに出力する。
メモリ制御部505は、1クロック遅延した検出信号が入力されるとレジスタ501で保持したカウンタA503の値をメモリ504に保存し、メモリアドレスをカウントアップする。カウンタA503は1クロック遅延した検出信号が入力されたタイミングでカウンタ値を0にリセットし、再びカウントアップを開始する。検出ゲート信号409がイネーブルしている期間中、上記動作を繰り返す。
【0029】
一方、R/W制御部408から同期ゲート信号410がイネーブルすると、カウンタB507とメモリ504のメモリアドレスをリセットする。メモリ504は、メモリアドレスのデータを比較器506へ出力する。カウンタB507は、動作クロック407のタイミングでカウントアップし、カウント値を比較器506へ出力する。比較器506は、メモリ出力値とカウンタBの出力値を比較し、値が等しくなったタイミングで1つのパルス信号を磁性ドット同期信号106として特性測定部114とデータR/W部105に出力する。また、比較器506の出力はカウンタB507とメモリ制御部505にも入力され、比較器506の出力タイミングで、カウンタB507はカウント値を0にリセットして再びカウントアップを開始し、メモリ制御部505は、メモリアドレスをカウントアップする。同期ゲート信号410がイネーブルしている期間中、上記動作を繰り返す。
【0030】
ここまでは、被検査対象物のBPM100の表面に磁場をかけて一方向に磁化した後に再生信号を取得し、信号間隔値803を算出する方法(図1の磁化部123、図3のStep301)を説明したが、一方向に磁化することなく再生信号を取得することもできる。以下では、BPM100の表面の磁性ドットに「0」「1」の2種類のデータが書き込まれた状態で再生信号を取得する方法を説明する。
【0031】
図12は、磁気ヘッドによる再生信号の一例を示す。
図12は、被検査対象であるBPMの磁性ドット801に「0」または「1」のデータが書き込まれている場合の磁気ヘッド再生信号の例である。磁性ドット801の磁化の向き1100が上向きの状態をデータ「1」、下向きの状態をデータ「0」としている。「0」または「1」のデータが書き込まれている磁性ドット801を磁気ヘッド101で再生したときの信号は、データ「1」を再生したときには正の振幅を、データ「0」を再生したときには負の振幅をそれぞれ示す。このため、「0」または「1」のデータが書き込まれた磁性ドットの再生信号400を取得する場合には、例えば図6に示したような正のピーク値を検出するピーク検出器500を用いると、「0」のデータが書き込まれた磁性ドットを見逃してしまう。つまり、このような場合にも信号間隔値803を検出するためには、正と負の両方のピークを検出する必要がある。
【0032】
図10は、本発明の実施例1のパターンドメディア検査装置における磁性ドット同期部の変形例を示す図である。
図10に開示された磁性ドット同期部によっては、再生信号の正のピークと負のピークから「0」または「1」のデータが書き込まれている磁性ドットの場合に、正と負の両方のピークを検出することができる。
正ピーク検出器500aで正のピークを、負ピーク検出器500bで負のピークをそれぞれ検出し、正ピーク検出器500aと負ピーク検出器500bとの出力を加算した信号がイネーブルするタイミングでカウンタA503のカウント値をレジスタ501で保持し、タイミング記録部403へ出力する。これにより、正と負のどちらのピークが入力されても、信号間隔値を得ることができる。
【0033】
図11は、「0」または「1」のデータが書き込まれた磁性ドットの正と負の両方のピークを検出する別の例を示す図である。図11は、磁性ドット同期部108の前段に全波整流器1500を設け、正と負の両方のピークを持つ再生信号を全波整流器1500を通して正のピークのみをもつ再生信号に整流することによって、「0」のデータが書き込まれた磁性ドットについても、漏れなく信号間隔値803を検出することができる。
【0034】
以上より、磁性ドットに「0」または「1」のデータが書き込まれている状態でも磁性ドットのピーク値を検出し、磁性ドットの構造の中心を検出することができる。
【0035】
次に、図8を用いて磁性ドット配置間隔ばらつきを検査する方法を説明する。
【0036】
図8は、磁性ドット配列位置と再生信号との関係を示す図である。
図8の上部は、BPM100の表面において同心円状に3つのトラックの磁性ドット801が配置されている様子を示す。1番上と1番下の列のトラックにおける磁性ドット801は、各々が概略等間隔に配置されているが、中央の列のトラックにおける磁性ドット801は、左から3番目の磁性ドット801aが本来あるべき位置よりも右にずれて配置されており、右から2番目の磁性ドット801bは左にずれて配置されている。図8の下部は、この中央のトラックにおける再生信号400の波形を示している。このとき再生信号400は、磁性ドット801の配置位置に応じて波長が変化し、右寄りに配置された磁性ドット801aは再生信号のピーク値が遅延しているため周期が長くなり、左寄りに配置された磁性ドット801bは再生信号のピーク値が早まっているため周期が短くなる。信号間隔値803(T1・・・T5)は、再生信号のピーク値をとる時間の間隔であるため、偏差を持つ磁性ドット801aと801bによる影響で、各々の信号間隔値T1・・・T5が変動する。
【0037】
つまり、磁性ドット同期部108で検出してメモリに保存した信号間隔値803から異常に大きな値と小さな値を検出することで、配置間隔がずれた磁性ドット801aや801bを検出することができる。異常値を識別する指標には、BPMの製造仕様を元にして求めた磁性ドット配置間隔ばらつきの許容値や、信号のBER(Bit Error Rate)から求めた値を用いても良いし、ユーザがメディアに求める品質に応じた値を別個に指定しても良い。
【0038】
次に、図9を用いて磁性ドット大きさばらつきを検査する方法を説明する。
【0039】
図9は、磁性ドット大きさと再生信号との関係を示す図である。
図9の上部は、図8と同様にBPM100の表面において同心円状に3つのトラックの磁性ドット801が配置されている様子を示す。1番上と1番下のトラックにおける磁性ドット801は、各々が概略同じ大きさであるが、中央のトラックにおける磁性ドット801のうち右から2番目の磁性ドット801cは、他の磁性ドット801よりも小さい径となっている。図9の下部は、この中央のトラックにおける再生信号400の波形を示している。このとき再生信号は、磁性ドット801の径に応じて振幅値が変化し、小さい径の磁性ドット801cに対応する再生信号の強度(ピーク値)が小さくなっている。
【0040】
つまり、再生信号400のピーク値の大小を比較し、異常に大きな値と小さな値を検出することで、径の大きさが異なる磁性ドットを検出することができる。異常値を識別する指標には、BPMの製造仕様を元にして求めた磁性ドット大きさばらつきの許容値や、信号のBER(Bit Error Rate)から求めた値を用いても良いし、ユーザがメディアに求める品質に応じた値を別個に指定しても良い。
また、メモリに保存した信号間隔値803や再生信号400のピーク値の分散や標準偏差などの統計処理の結果から製造ばらつきによる磁性ドットのばらつきをテストすることもできる。本統計処理で扱うデータ範囲は、セクタ毎、トラック毎、BPM全面など任意に決定することができる。
【0041】
次に、信号を正常にR/Wできるタイミング範囲の広さであるR/W位相マージンを検査する方法について説明する。
【0042】
図17は、R/W位相マージンの検査方法を説明するフローチャートである。
先ず、磁性ドット同期部108を検出モードで動作させ、磁性ドットの再生信号のピーク検出から波形間隔値803を取得し(Step1600)、その後、磁性ドット同期部108を同期モードで動作させて磁性ドット同期信号106をデータR/W部105と特性測定部114に出力する(Step1601)。次に、書込み位相の初期値POを遅延値600に設定する(Step1602)。書込み位相の初期値POは、下式から決定する。
【0043】
(数1)P0=遅延値−Tmax/2
ここでTmaxは、検出した波形間隔値の最大値である。この設定した書込み位相の初期値POで生成した磁性ドット同期信号106のタイミングでデータを磁性ドットに書込み(Step1603)、特性測定部114を用いて、再生信号の振幅値を磁性ドット同期信号106のタイミングで取得して保存する(Step1604)。そして、シフト量Sだけシフトした書込み位相の値を遅延値600に設定する(Step1605)。書込み位相のシフト量Sを下式に示す。
【0044】
(数2)S=Tmax/N
ここで、Nは、書き込み位相の分解能である。書込み位相をシフト量Sずつシフトしていき、書込み位相の値が終了シフト量Sendになるまで磁性ドットへのデータ書込みと再生信号の振幅値取得を繰り返し実施する(Step1606)。終了シフト量Sendを下式に示す。
【0045】
(数3)Send=遅延値+Tmax/2
図15は、R/W位相マージン検査方法の例である。
書込み位相903をシフトしながらデータの書込みと再生信号の検出を繰り返す。例えば、書込み位相903cの場合、全ての磁性ドットに対して中心でデータを書込むことができるため再生信号の振幅は全ての磁性ドットで最大値を示す。書込み位相903をずれしていくと書込みタイミングが磁性ドットの中心からはずれていくため再生信号の振幅は小さくなる。書込み位相803aや803dでは、データを磁性ドット上で書込むことができず再生信号の振幅は最小となる。
【0046】
図16は、R/W位相マージン検査結果の例である。
本検査結果は、横軸に書込み位相のシフト量S、縦軸に振幅値をとっており、磁性ドットの中心となるシフト量Sで振幅値が最大となり、書込み位相が磁性ドット中心から離れるにしたがい振幅値が低下する特性が得られる。ここにデータを復調するために必要な振幅値のしきい値1000を設け、しきい値1000以上の振幅が得られる書込み位相の範囲をR/W位相マージン1001とする。このしきい値1000は、信号のBER(Bit Error Rate)から求めた値でも良いし、別に指定した値で良い。このR/W位相マージン1001の広さからデータR/Wのエラー率をテストすることができる。
以上の検査より、R/W位相マージンの広さからBPMの良品・不良品の検査およびランク付けが可能となる。
【0047】
このように、製造過程で磁性ドットの配置間隔や磁性ドット径が大きくばらつき正常に信号をR/WできないBPMを検出し、BPMがユーザの求める品質を満たす否かの判定(良・不良判定)をすることが可能になる。
【0048】
また、特許文献1に開示された技術では、同期をとるための磁性ドットを配置した位相調整用トラックを新規に設けており、この位相調整用トラック領域の大きさだけ、ユーザがR/Wできるデータ量が減少するという課題があるが、本実施例によれば、ユーザがR/Wできるデータ量を減少させることなく磁性ドットの位置ばらつきに対応したR/Wを行うことができる。
【0049】
さらに、特許文献1には、BPMをR/Wするドライブが開示されているが、例えば、製造したBPMがユーザの求める品質を満たすか否か(良品・不良品)の判定や品質のランク付けをする検査装置は開示されていない。BPMの普及にはBPMの検査装置が必須であり、BPMの検査装置では、大きな製造ばらつきがあるBPMの磁性ドットに対してもデータのR/Wを行う必要がある。しかし、特許文献1に開示された位相調整方法によっては、大きな製造ばらつきのあるBPMの磁性ドットに対するデータのR/Wはできない。これに対して、本実施例によれば、BPMがユーザの求める品質を満たすか否か(良品・不良品)の判定や品質のランク付けをする検査装置により、ユーザの求める品質を満たさないBPMを判別し、所定の品質を満たすBPMのみを販売することができる。
【実施例2】
【0050】
本実施例では、実施例1と同様の磁性ドット同期部108を搭載した磁気ディスク装置の例を説明する。
【0051】
図13は、本発明の実施例2における磁気ディスク装置の構成の例である。
磁気ディスク装置1201は、磁気ヘッド101、スピンドル102、ボイスコイルモータ1200、アンプ104、119、データR/W部105、磁性ドット同期部108、サーボ復調部112、サーボ駆動部116、磁化部123とを有する。磁気ディスク装置1201の動作については、図14を用いて説明する。
【0052】
図14は、本発明の実施例3の磁気ディスク装置におけるR/W動作を説明するフローチャートである。
Step1300では、磁気ヘッド101をデータR/W対象のトラックに位置決め制御する。位置決め制御の詳細は図3のStep300と同様なため省略する。
Step1301では、磁性ドット同期部108を「検出」モードで動作させ、信号間隔値を1トラック分検出して、メモリに保存する。信号間隔値の検出方法に関しては、図3のStep302〜305と同様である。
信号間隔値の保存が1トラック分終了したら(Step1302)、Step1303において磁性ドット同期信号を生成し、終了していない場合はStep1301に戻り波形間隔値の算出と保存を行う。
Step1304では、磁性ドット同期部108を「同期」モードで動作させ、磁性ドット同期信号106をデータR/W部105へ出力する。このとき、データR/W部は、磁性ドット同期信号106のタイミングでデータのR/Wを実施する。
磁性ドット同期信号106のタイミングでデータのR/Wを実施することで、BPM上の磁性ドットの配置位置や大きさにずれがある場合にも、磁性ドットのずれを考慮してデータのR/Wを行うことができる。
【0053】
ここで、分解能を8bit、メディア直径を70mm、磁性ドット周期を20nmとして、1トラック分の信号間隔値を保存するメモリの必要容量を下式から概算すると12MB程度となり、磁気ディスク装置に十分搭載可能な容量となる。
(数4)メモリ容量=分解能×(メディア直径×π)/磁性ドット周期
なお、上記説明では、1トラック分の信号間隔値をメモリに保存する方法を用いて本実施例を説明したが、複数トラック分や複数セクタ分の信号間隔値を保存しても良い。
【0054】
上記より、磁性ドットの配置間隔、寸法、磁化特性のバラツキにより磁性ドット1つ1つで書き込みタイミングが異なるBPMへのデータR/Wを実現できるため、磁性ドットにばらつきがあるBPMであっても磁気ディスク装置へ搭載することが可能となる。
【0055】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0056】
100 BPM、101 磁気ヘッド、102 スピンドル、105 データR/W部、106 磁性ドット同期信号、108 磁性ドット同期部、109 シンク信号、110 データ領域期間、111 モード信号、112 サーボ復調部、114 特性測定部、116 サーボ駆動部、201 サーボ領域、202 データ領域、203 プリアンブル、204 シンクマーク、400 再生信号、402 タイムデジタル変換器、403 タイミング記録部、404 同期信号発生器、406 クロック同期部、500 ピーク検出器、503 カウンタA、504 メモリ、507 カウンタB、801 磁性ドット、803 信号間隔値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象物であるパターンドメディアの再生信号を読み取る読み取り工程と、
前記読み取り工程において読み取られた該パターンドメディアの再生信号から信号間隔値を算出する算出工程と、、
前記算出工程において算出された該信号間隔値を用いて該パターンドメディアの品質を判定する判定工程と、
を備えるパターンドメディアの検査方法。
【請求項2】
請求項1記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記判定工程では、前記算出工程において算出された該信号間隔値と予め定めた信号間隔の閾値とを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記判定工程では、前記読み取り工程にて読み取った該再生信号の強度と予め定めた信号強度の閾値とを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記判定工程は、前記算出工程において算出された該信号間隔値に基づくタイミングで該パターンドメディアにR/W処理を行い、該パターンドメディアからの読み取りデータを取得する検査工程を備え、
前記判定工程では、前記検査工程で取得した該読み取りデータを用いて該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項5】
請求項4記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記判定工程では、前記検査工程にて該パターンドメディアに書き込んだデータと該読み取りデータとを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記算出工程では、前記読み取り工程において読み取られた該再生信号の強度が予め定めた閾値を超えるタイミングに基づいて信号間隔値を決定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記算出工程では、前記読み取り工程において読み取られた該再生信号の強度がピーク値をとるタイミングに基づいて信号間隔値を決定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のパターンドメディアの検査方法であって、
さらに、該パターンドメディアの表面の磁性ドットを磁化する磁化工程を備えることを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項9】
被検査対象物であるパターンドメディアの再生信号を読み取る磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドにより読み取られた該パターンドメディアの再生信号から信号間隔値を算出する信号間隔値算出手段と、
前記信号間隔値算出手段により算出された該信号間隔値を用いて該パターンドメディアの品質を判定する判定手段と、
を備えるパターンドメディアの検査装置。
【請求項10】
請求項9記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記判定手段では、前記信号間隔値算出手段において算出された該信号間隔値と予め定めた信号間隔の閾値とを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記判定手段では、前記磁気ヘッドにて読み取った該再生信号の強度と予め定めた信号強度の閾値とを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかに記載のパターンドメディアの検査装置であって、
さらに、前記信号間隔値算出手段により出力された該信号間隔値に基づくタイミングで、該パターンドメディアにR/W処理を行い、該パターンドメディアからの読み取りデータを取得するR/W手段を備え、
前記判定手段では、前記R/W手段で取得した該読み取りデータを用いて該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項13】
請求項12記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記判定手段では、前記R/W手段にて該パターンドメディアに書き込んだデータと該読み取りデータとを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれかに記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記信号間隔値算出手段では、前記磁気ヘッドにより読み取られた該再生信号の強度が予め定めた閾値を超えるタイミングに基づいて信号間隔値を決定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項15】
請求項9乃13のいずれかに記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記信号間隔値算出手段では、前記磁気ヘッドにより読み取られた該再生信号の強度がピーク値をとるタイミングに基づいて信号間隔値を決定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項1】
被検査対象物であるパターンドメディアの再生信号を読み取る読み取り工程と、
前記読み取り工程において読み取られた該パターンドメディアの再生信号から信号間隔値を算出する算出工程と、、
前記算出工程において算出された該信号間隔値を用いて該パターンドメディアの品質を判定する判定工程と、
を備えるパターンドメディアの検査方法。
【請求項2】
請求項1記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記判定工程では、前記算出工程において算出された該信号間隔値と予め定めた信号間隔の閾値とを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記判定工程では、前記読み取り工程にて読み取った該再生信号の強度と予め定めた信号強度の閾値とを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記判定工程は、前記算出工程において算出された該信号間隔値に基づくタイミングで該パターンドメディアにR/W処理を行い、該パターンドメディアからの読み取りデータを取得する検査工程を備え、
前記判定工程では、前記検査工程で取得した該読み取りデータを用いて該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項5】
請求項4記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記判定工程では、前記検査工程にて該パターンドメディアに書き込んだデータと該読み取りデータとを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記算出工程では、前記読み取り工程において読み取られた該再生信号の強度が予め定めた閾値を超えるタイミングに基づいて信号間隔値を決定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載のパターンドメディアの検査方法であって、
前記算出工程では、前記読み取り工程において読み取られた該再生信号の強度がピーク値をとるタイミングに基づいて信号間隔値を決定することを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のパターンドメディアの検査方法であって、
さらに、該パターンドメディアの表面の磁性ドットを磁化する磁化工程を備えることを特徴とするパターンドメディアの検査方法。
【請求項9】
被検査対象物であるパターンドメディアの再生信号を読み取る磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドにより読み取られた該パターンドメディアの再生信号から信号間隔値を算出する信号間隔値算出手段と、
前記信号間隔値算出手段により算出された該信号間隔値を用いて該パターンドメディアの品質を判定する判定手段と、
を備えるパターンドメディアの検査装置。
【請求項10】
請求項9記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記判定手段では、前記信号間隔値算出手段において算出された該信号間隔値と予め定めた信号間隔の閾値とを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記判定手段では、前記磁気ヘッドにて読み取った該再生信号の強度と予め定めた信号強度の閾値とを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかに記載のパターンドメディアの検査装置であって、
さらに、前記信号間隔値算出手段により出力された該信号間隔値に基づくタイミングで、該パターンドメディアにR/W処理を行い、該パターンドメディアからの読み取りデータを取得するR/W手段を備え、
前記判定手段では、前記R/W手段で取得した該読み取りデータを用いて該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項13】
請求項12記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記判定手段では、前記R/W手段にて該パターンドメディアに書き込んだデータと該読み取りデータとを比較することにより、該パターンドメディアの品質を判定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれかに記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記信号間隔値算出手段では、前記磁気ヘッドにより読み取られた該再生信号の強度が予め定めた閾値を超えるタイミングに基づいて信号間隔値を決定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【請求項15】
請求項9乃13のいずれかに記載のパターンドメディアの検査装置であって、
前記信号間隔値算出手段では、前記磁気ヘッドにより読み取られた該再生信号の強度がピーク値をとるタイミングに基づいて信号間隔値を決定することを特徴とするパターンドメディアの検査装置。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−160221(P2012−160221A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17400(P2011−17400)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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