説明

パターンド磁気ビットデータ記録媒体およびその製造方法

【課題】改良されたパターンド磁気ビットデータ記録媒体およびその製造方法が開示される。
【解決手段】一実施形態において、改良されたパターンド磁気ビットデータ記録媒体は、実質的に強磁性を示すアクティブ領域と、実質的に常磁性を示す非アクティブ領域とを備えてよく、非アクティブ領域は、少なくとも2つのグレインと、少なくとも2つのグレインの間に配される結晶粒界とを有してよく、少なくとも2つのグレインのそれぞれは、強磁性物質を含み、少なくとも2つのグレインは、反強磁性的に結合されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録媒体(data storage media)に関する。特に、パターンド磁気ビットデータ記録媒体(patterned magnetic bit data storage media)およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の磁気ディスクデータ記録媒体は、パターンド磁気ビットデータ記録媒体であると予想されている。現在の記録媒体において、データの格納に用いられる磁区(magnetic domain)は、記録ヘッド(recording head)によって形成される。図1に示すように、従来のデータ記録媒体100は、ディスク形状であり、ベース102と、記録層104と、保護層106とを備える。従来知られているように、媒体100は、両面(dual sided)であってよい。しかし、説明の簡素および明確にする目的で、媒体100の上面のみを図示する。記録層104は、データビットを格納する(store)ための複数のアクティブ領域104aと、アクティブ領域104aのそれぞれを分離する(isolate)非アクティブ領域104bとを有してよい。
【0003】
従来のデータ記録媒体100において、アクティブ領域104aは、記録ヘッド110が媒体上を進むときに、記録ヘッド110によって形成されてよい。記録ヘッド110は、また、データを記録することができる。記録ヘッド110は、透磁性の(permeable)コア112と、駆動コイル114とを備えてよい。データ記録工程の間、記録ヘッド110は、データビットが記録されるべきアクティブ領域104aを選択する。同時に、記録ヘッド110は、アクティブ領域104a中の多数のグレイン(または結晶粒)に磁場を印加して、粒子の磁気モーメントの向きを特定の方向(orientation)に合わせる。磁気モーメントを特定の向きに方向づけることにより、記録ヘッド110はデータビットを記録する。データビットを読み出す目的で、記録ヘッド110の近傍に読込みヘッド(図示していない。)が配されてよい。記録ヘッド110は、個々のデータビットの残留磁気に起因する外部磁場を検出することができる。
【0004】
パターンド磁気ビット記録媒体において、アクティブ領域は、記録ヘッドによって形成されない。加えて、アクティブ領域は、データの書込み工程において形成されない。その代わり、アクティブ領域は、媒体の製造中に形成される。図2は、従来のパターンド磁気ビットデータ記録媒体200を示す。パターンド磁気ビットデータ記録媒体200は、ベース202を備えてよい。ベース202は、特に、サポート202aと、軟磁性下地層(magnetically soft underlayer)202bと、セパレータ202cとを有してよい。ベース202の上に、データ記録層204が配されてよい。データ記録層204の上に、保護層206が配されてよい。
【0005】
記録層204において、データビットを格納することができる複数のアクティブ領域204aが配されてよい。加えて、アクティブ領域204aを分離する複数の非アクティブ領域204bが配されてよい。領域204aのそれぞれは、特定の向きに方向づけられた磁気モーメントによって表される単一のデータビットを格納してよい。領域204aのそれぞれに含まれる物質は、磁場を示す強磁性物質(ferromagnetic material)であってよい。一方、非アクティブ領域204bに含まれる物質は、小さな外部磁場(low external magnetic field)を示す残留磁気(remanence)を有する、透磁性の小さな物質であってよい。このようにして、アクティブ領域204aは、外部磁場によって明確に規定されている。
【0006】
データビットは、記録ヘッド210によって、それぞれのアクティブ領域204aに記録されてよい。記録ヘッド210は、透磁性のコア212と、駆動コイル214とを備えてよい。データビットを記録する目的で、記録ヘッド210は、アクティブ領域204a上で磁場を印加し、それぞれのアクティブ領域204aにおける磁気モーメント205を特定の向きに方向づける。データビットを読み出す目的で、別個の記録ヘッド(separate recording head)(図示していない。)が、磁気モーメント205の方向を検出してよい。上述のパターンド磁気ビットデータ記録媒体は、図1に示した従来のデータ記録媒体100によって達成できる性能を超えて、はるかに多くのデータを保持すると予想されている。
【0007】
図3a〜図3fは、従来のパターンド磁気ビットデータ記録媒体200を製造する方法を示す。上述のとおり、データビットを格納することができるアクティブ領域204aは、データ記録工程に先立って形成される。媒体200は、特に、ベース202と、データ記録層204とを備える。データ記録層204を構成する物質には、強磁性体物が含まれてよい。
【0008】
パターンド媒体200を作製する目的で、パターニング工程が実施される。この工程において、データ記録層204上にレジスト208の層が堆積される(図3a)。次に、既知のリソグラフィー工程を用いてレジスト層208がパターニングされ、データ記録層204の一部が露出させられる(図3b)。既知のリソグラフィー工程としては、フォト・リソグラフィー工程、ナノインプリント・リソグラフィー工程および直接書き込み電子ビーム・リソグラフィー工程を例示することができる。
【0009】
パターニング工程が実施された後、例えば、イオンミリング工程を用いてデータ記録層204がエッチングされる。この工程において、磁気データ記録層204の露出した部分がエッチングされ、反応性イオン222によって除去される(図3c)。得られた媒体200は、離間して配され、間隙によってお互いに分離された強磁性物質のカラム(または柱状構造)204aを有する。カラム204aは、最終的にアクティブ領域204aを形成してよい。次に、透磁性が小さく、残留磁気を有する非磁性物質(non-magnetic material with low permeability and remanence)によって間隙が充填され、非アクティブ領域204bが形成される(図3d)。その後、媒体200が平坦化され(図3e)、保護コーティング206が堆積される(図3f)。得られた構造体は、非磁性の非アクティブ領域204bによって分離されたアクティブ領域204aを有してよい。
【0010】
データ記録産業に関わる人の中には、上述の方法は非効率的であると考え、より効率的な方法を提案した人がいる。提案された方法のうちの1つは、イオン注入工程を組み込む。図4a、図4b、図4c、図4dおよび図4eは、イオン注入工程を組み込んで、パターンド磁気ビットデータ記録媒体200を形成する方法を示す。
【0011】
このプロセスによれば、データ記録層304(図4a)の上にレジスト層208が堆積される。データ記録層304に含まれる物質は、強磁性物質であってよい。レジスト層208の堆積後、既知のリソグラフィー工程を用いてレジスト層208がパターニングされ、データ記録層304の一部が露出させられる(図4b)。パターニング工程の後、データ記録層304の露出した領域304bにイオン322が注入される。露出した領域304bに含まれる物質を除去する代わりに、イオン322が注入され、露出した領域304bが残存する。その後、注入されたイオン322は、注入領域304bに含まれる物質を、強磁性物質から、透磁性が小さく、理想的には残留磁気のない常磁性物質へと変質させてよい(図4c)。このようにして、非アクティブ領域304bが形成されてよい。一方、露出していない領域204aに含まれる物質は、イオン322が注入されていないので、強磁性のままであってよい。結果として、アクティブ領域204aと、実質的にアクティブ領域204aを分離する非アクティブ領域304bを備えるデータ記録層304を形成することができる。アクティブ領域204aおよび非アクティブ領域304bを形成した後、残存しているレジスト層208が除去され、記録層304上に保護層206が堆積される(図4e)。
【0012】
非アクティブ領域304を形成するための様々な取り組みがなされてよい。ある取り組みによれば、露出された領域304bに含まれる強磁性物質中に非磁性特性を有する希薄イオン(diluting ion)322を打ち込むことで、非アクティブ領域304bが形成される。この方法によれば、露出された領域304bに含まれる強磁性物質に、結果として得られた物質のキュリー温度が室温にまで低下して、室温では磁石ではなくなるように、十分な量の希薄イオン322が注入される。十分な希釈(dilution)を達成するためには、10%未満または10%以上の原子濃度の希薄イオン322が必要になる場合がある。30nmの厚さを有し、コバルト(Co)を用いたデータ記録層304を備えた媒体200の場合、10%の濃度は、約3×1016/cmのイオンドーズ量(ion dose)を意味する。ドーズ量(dose)は、記録層304の厚さに比例してよい。従って、記録層304の厚さが上記の場合よりも薄い場合には、ドーズ量が上記の場合より少なくてもよい。
【0013】
別の取り組みによれば、露出した領域304bに含まれる物質の結晶化度(crystallinity)または微細構造に影響を与えることで、磁性物質が変質させられてもよい。よく知られているように、イオン注入工程はエネルギー過程(energetic process)であり、多くの原子衝突を引き起こす可能性がある。イオン注入の間、露出した領域304bに含まれる物質(イオン注入されていない場合には、結晶質であり、外部磁場を示す。)は、アモルファスおよび/または無秩序(disordered)になる。結果として、上記の物質は、低い強磁性を示す。一方、露出した部分304bに隣接する露出していない部分204aは、その当初の磁気特性を保持することができる。
【0014】
シリコン構造をアモルファス化および/または無秩序化するのに必要なイオンドーズ量は、典型的には、1×1015イオン/cmまたはそれ以上である。金属構造の場合、これに要求されるドーズ量は、さらに大きくてもよい。特に、イオン注入が室温またはそれ以上の温度で実施される場合には、要求されるドーズ量が大きくなる可能性がある。この方法は、当初の強磁性層が多層構造である場合に特に効果的である。多層構造の磁気特性は、スタックに含まれる様々な薄層の相互作用に起因する。
【0015】
上述の提案方法は、有用ではあるものの、いくつかの欠点を有する。例えば、これらの方法においては、スループットが小さい。上述された各方法においては、約1×1016〜1×1017イオン/cmのイオンドーズ量が要求される。しかし、従来のイオン注入機のビーム電流(beam current)は、イオンの生成または基板の冷却に関するシステムの限界によって、制限される。したがって、このように大きなドーズ量は、スループットを制限して、製造コストを増加させる。加えて、上記のプロセスにおいて使用されるレジストは、そのようなドーズ量の大きなイオン注入に耐えることができない場合がある。
【0016】
レジスト208に直接書き込むまたはパターニングする目的で、電子ビームが用いられる場合がある。直接書込み工程は、はるかに高解像度の書き込みを可能にする。直接書込み工程はビット単位のプロセス(bit by bit process)であるので、高スループットが要求される製品には適していない。しかし、直接電子ビーム・パターニング工程(direct e-beam patterning process)を代替するナノインプリント・リソグラフィー工程は、レジストの実用的なステップ高さが、最大で約50nmに制限される。イオンビームにより引き起こされるスパッタリングは、レジストの厚さを大きく減少させる可能性があり、レジストの下に配された層を保護する能力が限定される場合がある。
【0017】
レジストに加えて、データ記録層に含まれる物質がスパッタされる可能性がある。要求されるイオンドーズ量が大きくなるにつれて、スパッタリングが問題となってくる。結果として得られた記録層が平坦でなく、高さの異なる段差(step)を有する可能性がある。読込み/書込みヘッドが、粗く、平坦でない表面によって損傷する可能性があるので、そのような非平面性は望ましくない。スパッタリングによる影響は、レジストまたはデータ記録層に関わらず、プロセスによって要求されるトータルのドーズ量に比例して発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、新たな方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
改良されたパターンド磁気ビットデータ記録媒体およびその製造方法が開示される。ある特定の実施態様において、改良されたパターンド磁気ビットデータ記録媒体は、実質的に強磁性を示すアクティブ領域と、実質的に常磁性を示す非アクティブ領域とを備えてよく、非アクティブ領域は、少なくとも2つのグレインと、少なくとも2つのグレインの間に配される結晶粒界とを有してよく、少なくとも2つのグレインのそれぞれは、強磁性物質を含んでよく、少なくとも2つのグレインは、反強磁性的に結合されてよい。
【0020】
上記の実施態様の他の態様(aspect)によれば、少なくとも2つのグレインの間の反強磁性的な結合は、結晶粒界に沿って配される物質によって生成されてよい。
【0021】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、結晶粒界に沿って配される物質は、酸素を含んでよい。
【0022】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、結晶粒界に沿って配される物質は、少なくとも2つのグレインの少なくとも1つに含まれる強磁性物質の酸化物を含む、
【0023】
上記の実施態様の他の態様によれば、結晶粒界に沿って配される物質は、C、Si、Ge、Sn、Pb、O、S、Se、TeおよびPoの少なくとも1つを含んでよい。
【0024】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、非アクティブ領域における少なくとも2つのグレインの磁気モーメントの方向は、平行ではなくてもよい。
【0025】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、非アクティブ領域における少なくとも2つのグレインの磁気モーメントの方向は、実質的に反平行であってよい。
【0026】
他の実施態様によれば、アクティブ領域および非アクティブ領域を有する磁気媒体を製造する技術が開示される。上記の製造方法は、非アクティブ領域に含まれる少なくとも2つの隣接するグレインの間に配される非アクティブ領域の結晶粒界に沿って、非強磁性物質を導入する段階と、結晶粒界に沿って配される非強磁性物質と、少なくとも2つの隣接するグレインの少なくとも1つに含まれる強磁性物質とを反応させる段階とを有してよく、少なくとも2つのグレインのそれぞれは、強磁性物質を含んでよい。
【0027】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、上記の技術は、少なくとも2つの隣接するグレインの磁気モーメントを平行でない向きに方向づける段階をさらに有してよい。
【0028】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、上記の技術は、少なくとも2つの隣接するグレインの磁気モーメントを反平行な向きに方向づける段階をさらに有してよい。
【0029】
上記の実施態様の他の態様によれば、非アクティブ領域の少なくとも2つの隣接するグレインは、反強磁性的に結合されてよい。
【0030】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、非強磁性物質を導入する段階は、酸素を含むイオンを、結晶粒界の近傍に注入する段階を含んでよい。
【0031】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、上記の技術は、非アクティブ領域を露出させる少なくとも1つの開口を有するマスクを、磁気媒体の上流に配置する段階をさらに有してよい。
【0032】
上記の実施態様の他の態様によれば、上記の技術は、非アクティブ領域を熱的に処理して、結晶粒界に沿って、酸素を実質的に均一に分布させる段階をさらに有してよい。
【0033】
上記の実施態様のさらなる態様によれば非強磁性物質を導入する段階は、拡散工程を用いて、非強磁性物質を導入する段階を含んでよい。
【0034】
他の実施態様によれば、アクティブ領域および非アクティブ領域を有する磁気媒体を製造する他の技術が開示される。上記の技術は、非アクティブ領域に含まれる少なくとも2つの隣接するグレインの間に配される非アクティブ領域の結晶粒界に沿って、非強磁性物質を導入する段階と、少なくとも2つのグレインの磁気モーメントが平行でない方向を向くように、少なくとも2つの隣接するグレインを反強磁性的に結合する段階とを有してよく、少なくとも2つの隣接するグレインは、強磁性物質を含んでよい。
【0035】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、少なくとも2つのグレインの磁気モーメントの方向は、実質的に反平行であってよい。
【0036】
上記の実施態様のさらなる態様によれば、非強磁性物質を導入する段階は、酸素を含むイオンを、結晶粒界に沿って注入する段階を含んでよい。
【0037】
上記の実施態様の他の態様によれば、非強磁性物質を導入する段階は、C、Si、Ge、Sn、Pb、O、S、Se、TeおよびPoの少なくとも1つを含む種を、結晶粒界に沿って導入する段階を含んでよい。
【0038】
上記の実施態様の他の態様によれば、上記の技術は、非アクティブ領域を露出させる少なくとも1つの開口を含むマスクを、磁気媒体の上流に配置する段階をさらに有してよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本開示は、添付の図面に示されるような例示的な実施形態を参照して、より詳細に説明される。本開示は、以下において、例示的な実施形態を参照して説明されるが、本開示はそれらに限定されないことが理解されるべきである。当業者であれば、本明細書に記載される本開示の範囲内であり、本開示が非常に有用である追加的な実施態様、改良、具体化、他の分野における使用などを理解することができるであろう。
【0040】
【図1】従来のデータ記録媒体100の一例を示す。
【図2】従来のパターンド磁気ビットデータ記録媒体200の一例を示す。
【図3a】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の一例を示す。
【図3b】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の一例を示す。
【図3c】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の一例を示す。
【図3d】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の一例を示す。
【図3e】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の一例を示す。
【図3f】図に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の一例を示す。
【図4a】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の他の例を示す。
【図4b】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の他の例を示す。
【図4c】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の他の例を示す。
【図4d】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の他の例を示す。
【図4e】図2に示すパターンド磁気記録媒体200を製造する従来の方法の他の例を示す。
【図5a】本開示の一実施形態に係るパターンド磁気記録媒体500の一例を示す。
【図5b】本開示の一実施形態に係るパターンド磁気記録媒体500の一例を示す。
【図5c】本開示の一実施形態に係るパターンド磁気記録媒体500の一例を示す。
【図5d】本開示の一実施形態に係るパターンド磁気記録媒体500の一例を示す。
【図6a】本開示の他の実施形態に係るパターンド磁気記録媒体500を製造する方法の一例を示す。
【図6b】本開示の他の実施形態に係るパターンド磁気記録媒体500を製造する方法の一例を示す。
【図6c】本開示の他の実施形態に係るパターンド磁気記録媒体500を製造する方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
上述の方法に関連する課題を解決する目的で、パターンド磁気ビットデータ記録媒体を製造する新規な方法が提供される。説明を明確にする目的で、本実施態様に係る方法は、記録層を備えるパターンド磁気ビットデータ記録媒体に、粒子を添加する(add)ことに着目する。本明細書において、粒子は、電荷を有した粒子であってもよく、電気的に中性な粒子であってもよい。粒子は、亜原子(sub-atomic)の粒子であってもよく、原子の粒子であってもよく、分子の粒子であってもよい。一方、パターンド磁気ビットデータ記録媒体は、外部の磁気(external magnetism)を示すことができる1以上の記録層を備えてよい。イオン注入システムを用いて、粒子が添加されてよい。しかしながら、当業者であれば、粒子または物質を基板に添加することができる他のシステムが用いられてもよいことを理解するであろう。例えば、これらに限定されるものではないが、プラズマドーピング(plasma assisted doping)(PLAD)システムもしくはプラズマイオン注入(plasma immersion ion implantation)(PIII)システムまたはその他の種類のドーピング・システムを含むドーピング・システムが、用いられてもよい。物質または粒子を添加することができるその他の種類の処理システムもまた、用いられてもよい。そのようなシステムとしては、加熱炉、化学気相堆積(CVD)システム、プラズマCVD(PECVD)システム、原子層堆積(ALD)システム、分子線エピタキシー(MBE)システムなどを例示することができる。
【0042】
(パターンド磁気ビットデータ記録媒体)
図5aは、本開示の一実施形態に係るパターンド磁気ビットデータ記録媒体500を示す。媒体500は、ディスク形態であってよい。加えて、媒体500は、両面(dual sided)であってよい。説明を明確かつ簡潔にする目的で、媒体500の一部が図示されている。
【0043】
媒体500の少なくとも一方の面には、ベース502と、データ記録層504と、保護コーティング506とが配される。データ記録層504は、データビットが格納され得る複数のアクティブ領域504aを有してよい。加えて、データ記録層504は、データビットが格納されない複数の非アクティブ領域504bを有してよい。図示されるように、非アクティブ領域504bは、アクティブ領域504aのそれぞれを実質的に分離してよい。アクティブ領域504aのそれぞれに含まれる物質は、強磁性を示す強磁性物質であってよい。
【0044】
図5bは、非アクティブ領域504bの細部の一例を示す。本実施形態において、本実施形態の非アクティブ領域504bは、図中、垂直に延伸する少なくとも2つのグレイン(または結晶粒)(grain)504b−1を有してよい。グレイン504b−1は、結晶粒界(grain boundary)504b−2によって分離される。図中、水平に延伸するグレイン、または、図中、垂直および水平に延伸するグレインを排除するものではないが、本実施形態においては、図中、垂直に延伸するグレイン504b−1が好ましい。
【0045】
本実施形態において、それぞれのグレイン504b−1に含まれる物質は、強磁性物質であってよい。そして、それぞれのグレイン504b−1における磁気モーメント505は、ある特定の向きに方向づけられ、グレイン504b−1のそれぞれは、単独で、強磁性を示してもよい。グレイン504b−1に含まれる物質としては、Coもしくはニッケル(Ni)、または、Coおよび/もしくはNiを含む合金を例示することができる。Co、Niまたはそれらを含む合金は好ましい物質ではあるが、当該記載は、強磁性を示すその他の物質の使用を排除するものではない。コバルト、ニッケルまたはそれらを含む合金は、それらの物質中の個々の原子の電子軌道が重なり合う(overlap)ことができるので、好ましい。結合電子状態(combined electron state)は、隣接原子における不対電子のスピン(unpaired electron spin )が平行である場合に、最小の量子化エネルギー状態(minimum quantized energy states)を有する。そのため、全ての原子は、当該原子の磁気モーメントを同一の方向に整列させようとする。通常、物質は、それ自身を磁区(domain)中へと配列し、その境界は、結晶粒界(crystal grain boundary)と一致してもよく、完全結晶粒(perfect crystal grain)を横断(cross through)してもよい。磁区の内部において、全ての磁気モーメントが整列している。磁場の存在下において、これらの磁区の磁化の方向(domain magnetization direction)は、全て整列している。強磁性物質は、読込みヘッドによって検出され得る外部磁場を発現させるであろう。
【0046】
グレイン504b−1のそれぞれに含まれる物質は強磁性物質であり、グレイン504b−1のそれぞれは単独で強磁性を示すけれども、グレイン504b−1は、集団では、低いレベルの強磁性を示すか、または、実質的に常磁性の性質を示す。これは、互いに隣接するグレイン504b−1の反強磁性結合に起因しうる一実施形態において、隣接するグレイン504b−1は反強磁性的に結合され、それらの磁気モーメントは、平行でない方向(non-parallel orientation)、場合によっては反平行となる方向(anti-parallel orientation)に方向づけられる。結果として、それらの磁気モーメント505がお互いにキャンセルされる場合がある。非アクティブ領域504bに含まれるグレイン504b−1は、全体として、減弱した強磁性のレベルを示す場合があり、実質的に常磁性の性質を示す場合すらある。
【0047】
図5cは、非アクティブ領域504bに含まれるいくつかのグレイン504b−1の詳細な平面図の一例を示す。図示したように、グレイン504b−1は、結晶粒界504b−2によって、お互いに分離されている。好ましくは、結晶粒界504b−2に沿って、非強磁性物質(non-ferromagnetic material)が配されてよい。当該物質は、1以上の常磁性物質、反強磁性物質または強磁性物質であってもよい。しかしながら、本実施形態においては、O(酸素)、グレイン504b−1に含まれる強磁性物質の酸化物、または、Oを含むその他の種(species)が好ましい。他の実施形態において、他の物質が配されてもよい。当該他の物質として、III−VII族の元素を含む種を例示することができる。他の物質の具体例として、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)またはポロニウム(Po)を含む種を例示することができる。
【0048】
図5dは、結晶粒界504b−2に隣接する物質の構造相図(structural diagram)および磁気モーメントの一例を示す。上述のとおり、結晶粒界504b−2に沿って配される物質は、O(酸素)、グレイン504b−1に含まれる物質の酸化物化合物(oxide compound)またはOを有するその他の種を含んでよい。グレイン504b−1に含まれる物質がCoである場合、結晶粒界504b−2に沿って配される物質の実施例は、コバルト一酸化物(cobalt monoxide)(CoO)、コバルト三二酸化物(cobalt sesquioxide)(Co)、三コバルト四酸化物(Co)またはコバルト酸化物のその他のバリエーションを含んでよい。説明を簡素化する目的で、1つの酸素原子と、2つのコバルト原子とが図示される。
【0049】
図示するように、O原子522は、結晶粒界504b−2に沿って配されてよい。O原子522の両側に、第1から第4のCo原子532a、532b、534aおよび534bが配されてよい。第1のCo原子532aおよび第2のCo原子532bが、O原子522の第1の側に配されてよく、第3のCo原子534aおよび第4のCo原子534bが、O原子522の第2の側(第1の側の反対側)に配されてよい。少なくとも第2のCo原子532bおよび第4のCo原子534bは、隣接するグレイン504b−1の内部に配されてよい。
【0050】
図示するように、第1のCo原子532aおよび第3のCo原子534aは、O原子522に隣接してよい。一方、第2のCo原子532bおよび第4のCo原子534bは、それぞれ、第1のCo原子532aおよび第3のCo原子534aに隣接してよい。結合時、O原子522と第1のCo原子532aと第3のCo原子534aとの間の結合は、第1のCo原子532aおよび第3のCo原子534aにおける不対スピン(unpaired spins)のエネルギー状態の間の相互作用を引き起こしうる。しかしながら、近隣の第1のCo原子532aおよび第3のCo原子534aの磁気モーメントの平行配列(parallel alignment)を引き起こす代わりに、結合により、平行でない磁気モーメント(例えば、反平行の(anti-parallel)磁気モーメント)が生成される場合がある。このように、第1のCo原子532aおよび第3のCo原子534aの間に反強磁性結合が生じる可能性があり、第1のCo原子532aおよび第3のCo原子534aは、平行でない(non-parallel)磁気モーメントを有する場合があり、反平行の(anti-parallel)磁気モーメントを有する場合すらある。これらの磁気モーメントはお互いにキャンセルしあい、酸化物化合物は、全体として、減弱した強磁性のレベルを示す場合があり、実質的に常磁性の性質を示す場合すらある。
【0051】
一方、第2のCo原子532bおよび第4のCo原子534bの磁気モーメントは、第2のCo原子532bおよび第4のCo原子534bのそれぞれに隣接する第1のCo原子532aおよび第3のCo原子534aと同じ方向に整列してよい。このような整列は、近接するCo原子532a、532b、534aおよび534bの電子軌道の重なり合いによって生じてよい。第1のCo原子532aおよび第2のCo原子532bの磁気モーメントは、平行な向きに方向づけられてよい。第3のCo原子534aおよび第4のCo原子534bの磁気モーメントは、平行な向きに方向づけられてよい。しかしながら、第1のCo原子532aおよび第2のCo原子532bの磁気モーメントと、第3のCo原子534aおよび第4のCo原子534bの磁気モーメントとは、平行でなくてよく、反平行であってもよい。その結果、第1のCo原子532aおよび第2のCo原子532bは、第3のCo原子534aおよび第4のCo原子534bと反強磁性的に結合されてよい。さらに、少なくとも第2のCo原子532bおよび第4のCo原子534bを含む隣接するグレイン504b−1は、お互いに反強磁性的に結合されてよい。隣接するグレイン504b−1は、全体として、減弱した強磁性のレベルを示す場合があり、実質的に常磁性の性質を示す場合すらある。
【0052】
(パターンド磁気媒体の製造方法)
図6aから図6cは、本開示の一実施形態に係るパターンド磁気媒体500の製造方法の一例を示す。本実施形態の製造方法は、データ記録層504の非アクティブ領域504b中に非強磁性物質を導入する段階を含む。図示するように、データ記録層504は、アクティブ領域504aを含んでもよい。本実施形態において、非強磁性物質は、OまたはOを有する種であってよい。しかしながら、他の物質が導入されてもよい。他の物質の具体例としては、C、Si、Ge、Sn、Pb、S、Se、TeおよびPoを含む種を例示することができる。
【0053】
酸素または酸素を有する種は、電荷を有するまたは電気的に中性な粒子522の形態で、媒体500の非アクティブ領域504b中に導入されてよい。本実施形態において、イオン注入工程が用いられてよく、Oを含み、電荷を有するイオン522が導入されてよい。しかしながら、本開示において、他のプロセスの使用を排除するものではない。他のプロセスとしては、拡散工程を例示することができる。拡散工程において、Oを含むフィルム、ペーストまたはガスが、非アクティブ504bの上方に配されてよい。その後、OまたはOを含む種が、非アクティブ領域504b中に拡散してよい。拡散工程を促進する目的で、熱またはエネルギー(例えば、レーザ)が加えられてよい。
【0054】
アクティブ領域504aではなく非アクティブ領域504b中に粒子522を選択的に導入すべく、1以上のマスク508が用いられてよい。本実施形態において、マスク508は、非アクティブ領域504bを露出する1以上の開口を含んでよい。マスクの形態は、ハードマスクであってもよく、シャドーマスクであってもよく、レジストマスクであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。マスクは、媒体500の上流(イオンの進行方向からみた上流側)に配されてもよく、粒子522は、上記の開口を介して媒体500中に導入されてよい。レジストマスクが用いられる場合、レジスト508の層が、媒体500の上に配されてよい。その後、電子ビーム直接書込み工程(electron beam direct write process)またはその他の既知のリソグラフィー工程を用いて、レジスト508がパターニングされ、記録層504の選択部分が露出させられる。レジストマスク508とともにハードマスクが用いられる場合、ハードマスク(図示していない。)の層が、媒体500の上に堆積されてよい。その後、レジスト508が、ハードマスク層の上に堆積されてよい。レジスト508がパターニングされ、レジスト508のパターンに従って、ハードマスクがパターニングされてよい。
【0055】
粒子522は、導入された場合に、結晶粒界504b−2に沿って均一に分布することが好ましい(図6b)。例えば、O原子522の単層(monolayer)が、結晶粒界504b−2に沿って配されることが好ましい。均一な分布を達成する目的で、ディスク500は、オプションで、後処理工程(例えば、後熱処理(post thermal treatment))を経てもよい。非アクティブ領域504bに含まれる物質が単結晶物質を含み、後処理により当該物質を多結晶物質に変換することができる場合には、オプションで後処理を実施することが好ましい。
【0056】
結晶粒界504b−2に沿って粒子522が均一に分布した後、粒子522は、グレイン504b−1に含まれる物質と反応してよい。本実施形態において、OまたはOを有する種は、結晶粒界504b−2の近くのCo原子と反応してよい。必要に応じて、Co原子と粒子522との反応は、上述の後処理によって促進されてよい。粒子522がCo原子と反応すると、隣接するグレイン504b−1の間に反強磁性結合が生じる(図6c)。結果として、隣接するグレイン504b−1における磁気モーメントは、平行でない向きまたは場合によっては実質的に反平行な向きに方向づけられてよい。それらの磁気モーメントはお互いにキャンセルされてよく減弱した強磁性のレベルまたは場合によっては実質的に常磁性の性質を示す非アクティブ領域504bが形成されてよい。一方、領域504aには粒子522が導入されないので、アクティブ領域504aに含まれる物質は、当初の強磁性(initial ferromagnetism)を保持してよい。上記のプロセスにより、分離された強磁性のアクティブ領域504aが、磁気媒体500上に形成されてよい。
【0057】
例えば、エッチングまたはレジスト剥離工程により、記録媒体500上に残っているレジストなどの残留物が除去されてよい。保護コーティング506は、記録層504上に堆積されてよい。本開示において、保護コーティング506は、粒子522の導入前または導入後に、堆積されてよい。
【0058】
(プロセスパラメータ)
本開示において、様々な種類の粒子522が、磁気媒体500の非アクティブ領域504b中に導入されてよい。上述のとおり、様々な種としては、C、Si、Ge、Sn、Pb、O、S、Se、TeおよびPoを含む種を例示することができる。しかしながら、酸素は、コバルトを用いた合金を含む多くの強磁性物質中に対して名目上溶解性(nominally soluble)であるので(例えば、600℃において、〜0.02原子%)、本実施形態においては酸素が好ましい。酸素は、導入された場合に、グレイン504b−1に含まれる強磁性物質と反応する前に、非アクティブ領域504b中の結晶粒界504b−2に沿ってすぐに均一に分布する。酸素の均一な分布を促進し、グレイン504b−1に含まれる強磁性物質との反応を妨げる目的で、好ましくは、酸素の導入段階と、反応段階とを分離してもよい。例えば、酸素の導入段階においては、記録層504の温度を、酸素522が強磁性物質と反応することができる温度以下に維持し、粒子522が結晶粒界に沿って均一に分布した後、磁気層504の温度を反応温度を越える温度に維持することで、上述の酸素の導入段階および反応段階を分離することができる。
【0059】
Oが好ましいけれども、他の種類の粒子が用いられてもよい。他の種類の粒子が結晶粒界504b−2に沿って均一に分布することができ、隣接するグレイン504b−1を反強磁性的に結合することができるのであれば、本開示において、他の物質の使用が妨げられることはない。上述のとおり、他の種類の粒子は、C、Si、Ge、Sn、Pb、S、Se、TeおよびPoを有する種を含んでよい。
【0060】
イオン注入システムを用いて粒子522を導入する場合、粒子またはイオンのドーズ量(dose)は、約1×1010〜5×1015イオン/cmの範囲に維持されてよい。しかしながら、その他の範囲のドーズ量が用いられてもよい。例えば、非アクティブ領域504bに含まれるグレインの大きさが直径10nm以下の場合、結晶粒界に酸素の単層を配するのに十分な酸素濃度は、約0.1%から2%の間である。結晶粒界において必要とされるOの面積濃度(area concentration)にもよるが、上記の濃度は、約1×1014から約3×1015/cmの範囲のイオンドーズ量に相当する。
【0061】
新規なパターンド磁気媒体およびその製造方法が開示される。従来の磁気媒体または従来の方法と比較して、本開示は、さらなる利点を提供する。本開示は、特定の目的の、特定の環境における、特定の態様を有する特定の実施形態に関連して本明細書に記載されているが、当業者であれば、本開示の有用性は当該特定の実施形態に限定されず、本開示はどのような目的で、どのような環境においても、有益に実施されうることを理解するであろう。本明細書に記載された発明の思想および範囲から外れることなく、形態および細部について様々に変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを格納する磁気媒体であって、
実質的に強磁性を示すアクティブ領域と、
実質的に常磁性を示す非アクティブ領域と、
を備え、
前記非アクティブ領域は、
少なくとも2つのグレインと、
前記少なくとも2つのグレインの間に配される結晶粒界と、
を有し、
前記少なくとも2つのグレインのそれぞれは、強磁性物質を含み、
前記少なくとも2つのグレインは、反強磁性的に結合される、
磁気媒体。
【請求項2】
前記少なくとも2つのグレインの間の前記反強磁性的な前記結合は、前記結晶粒界に沿って配される物質によって生成される、
請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項3】
前記結晶粒界に沿って配される前記物質は、酸素を含む、
請求項2に記載の磁気媒体。
【請求項4】
前記結晶粒界に沿って配される前記物質は、前記少なくとも2つのグレインの少なくとも1つに含まれる前記強磁性物質の酸化物を含む、
請求項2に記載の磁気媒体。
【請求項5】
前記結晶粒界に沿って配される前記物質は、C、Si、Ge、Sn、Pb、O、S、Se、TeおよびPoの少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の磁気媒体。
【請求項6】
前記非アクティブ領域における前記少なくとも2つのグレインの磁気モーメントの方向は、平行ではない、
請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項7】
前記非アクティブ領域における前記少なくとも2つのグレインの磁気モーメントの方向は、実質的に反平行である、
請求項5に記載の磁気媒体。
【請求項8】
アクティブ領域および非アクティブ領域を有する磁気媒体を形成する方法であって、
前記非アクティブ領域に含まれる少なくとも2つの隣接するグレインの間に配される前記非アクティブ領域の結晶粒界に沿って、非強磁性物質を導入する段階と、
前記結晶粒界に沿って配される前記非強磁性物質と、前記少なくとも2つの隣接するグレインの少なくとも1つに含まれる強磁性物質とを反応させる段階と、
を有し、
前記少なくとも2つの隣接するグレインのそれぞれは、強磁性物質を含む、
方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの隣接するグレインの磁気モーメントを平行でない向きに方向づける段階をさらに有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの隣接するグレインの磁気モーメントを反平行な向きに方向づける段階をさらに有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記非アクティブ領域の前記少なくとも2つの隣接するグレインは、反強磁性的に結合される、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記非強磁性物質を導入する段階は、酸素を含むイオンを、前記結晶粒界の近傍に注入する段階を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記非アクティブ領域を露出させる少なくとも1つの開口を有するマスクを、前記磁気媒体の上流に配置する段階をさらに有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記非アクティブ領域を熱的に処理して、前記結晶粒界に沿って、酸素を実質的に均一に分布させる段階をさらに有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記非強磁性物質を導入する段階は、拡散工程を用いて、前記非強磁性物質を導入する段階を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項16】
アクティブ領域および非アクティブ領域を有する磁気媒体を形成する方法であって、
前記非アクティブ領域に含まれる少なくとも2つの隣接するグレインの間に配される前記非アクティブ領域の結晶粒界に沿って、非強磁性物質を導入する段階と、
前記少なくとも2つのグレインの磁気モーメントが平行でない方向を向くように、前記少なくとも2つの隣接するグレインを反強磁性的に結合する段階と、
を有し、
前記少なくとも2つの隣接するグレインは、強磁性物質を含む、
方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つのグレインの磁気モーメントの方向は、実質的に反平行である、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記非強磁性物質を導入する段階は、酸素を含むイオンを、前記結晶粒界に沿って注入する段階を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記非強磁性物質を導入する段階は、C、Si、Ge、Sn、Pb、O、S、Se、TeおよびPoの少なくとも1つを含む種を、前記結晶粒界に沿って導入する段階を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記非アクティブ領域を露出させる少なくとも1つの開口を含むマスクを、前記磁気媒体の上流に配置する段階をさらに有する、
請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【公表番号】特表2013−502024(P2013−502024A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524904(P2012−524904)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/045482
【国際公開番号】WO2011/020026
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】