説明

パターン設定装置、パターン設定方法及びプログラム

【課題】文字列中で使用頻度の高い文字を視認性よく印字するためのパターン設定装置等を提供することである。
【解決手段】補助記憶部13は、マトリクス上のドットの配置により文字のパターンを表すパターンデータを記憶する。CPU11は、打刻されるべき文字を指定する指定データを外部より取得し、この指定データに対応するパターンデータを、補助記憶部13が記憶しているパターンデータより選択して、選択されたパターンデータを、このパターンデータが表すパターンの打刻を行う打刻ユニット20へと出力する。文字のうち所定のものは拡大パターンによる打刻を可能とする対象に指定されており、該当する各々の文字に対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が拡大文字パターンを表すものであって、拡大文字パターンにおけるドットは、マトリクスの最下行及び最上行のそれぞれに少なくとも1個ずつ配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン設定装置に関し、特に、ドットの集合からなるパターンを印字のために設定するパターン設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工業製品の生産工程などでは、例えば文字を工業製品に直接描画或いは刻印して、製品の管理やトレーサビリィティを実現するダイレクトマーキング技術が注目されている。
【0003】
工業製品に直接形成された文字は、例えばラベルなどのように製造工程で剥離する心配がなく、汚染による劣化や経年劣化なども比較的少ない。このため、高温下や、薬品などにさらされる劣悪な環境下にある製造工程などでは、ダイレクトマーキング技術は必要不可欠な技術になりつつある。
【0004】
このダイレクトマーキング技術は、YAGレーザやCOレーザなどで、対象物に非接触でマーキングを行う方法と、例えばピンなどで対象物の表面を打刻してマーキングを行う方法とがある。
【0005】
対象物の表面を打刻してマーキングする方法は、金属部品などによく用いられるマーキング方法であり、例えば特許文献1に記載された打刻装置によって実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−276607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された装置に代表される打刻装置により文字を打刻する場合、文字のパターンは、マトリクス上のドットの配置により表されることになる。また、文字を打刻する場合は、文字に下線を付したパターンを打刻する場合もある。
その際、例えば打刻する文字が英数字であれば、打刻された文字により形成される文字列の外観上のバランスを考慮し、また、下線が付されることがあり得ることも考慮して、大文字や数字については、図15に示すように、小文字より中心を上寄りとし、マトリクスの最下行にドットを配置しないようにしてパターンが設定されていた。
しかし、図15のようなパターンを用いると、大文字や数字の大きさが制約を受けるため、これらの文字の視認性が不十分である。使用頻度の高い大文字や数字がこのような制約を受ければ、文字列全体の視認性も不十分なものとなる。
【0008】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、文字列中で使用頻度の高い文字を視認性よく印字するためのパターン設定装置及びパターン設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本願の第1の発明に係るパターン設定装置は、
マトリクス上のドットの配置によりキャラクタのパターンを表すパターンデータを、当該キャラクタと対応付けて記憶するパターン記憶手段と、
印字されるべきキャラクタを指定する指定データを外部より取得し、当該指定データに対応付けられたパターンデータを、前記パターン記憶手段が記憶しているパターンデータより選択して、選択されたパターンデータを、当該パターンデータが表すパターンの印字を行う外部の印字装置へと出力するパターン選択手段と、より構成され、
前記キャラクタのうち所定のものは拡大対象キャラクタに指定されており、各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が拡大パターンを表すものであって、拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行及び最上行のそれぞれに少なくとも1個ずつ配置されている、
ことを特徴とする。
【0010】
このようなパターン設定装置によれば、拡大対象キャラクタについては拡大パターンに従ったキャラクタの印字が行われる。このため、拡大対象キャラクタの視認性が十分に確保される。
【0011】
各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が非拡大パターンを表すものであって、非拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行以外の行にのみ配置されていてもよい。
この場合、前記パターン選択手段は、
取得した指定データが拡大対象キャラクタを指定しているか否かを判別し、拡大対象キャラクタを指定していると判別したときは、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定するデータを含んでいるか否かを判別し、
前記取得した指定データが拡大対象キャラクタを指定しており、且つ、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定していないと判別したときは、当該拡大対象キャラクタの拡大パターンを表すパターンデータを選択し、下線を付すことを指定していると判別したときは、当該拡大対象キャラクタの非拡大パターンを表すパターンデータを選択し、
前記取得した指定データが、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定していると判別したとき、選択した当該キャラクタのパターンデータが示すパターンとマトリクスの最下行に下線を表すためのドットを配置したパターンとを合成した結果に相当する下線入りパターンを表すパターンデータを生成し、生成したパターンデータを、選択したパターンデータに代えて前記外部の印字装置へと出力するものであってもよい。
【0012】
各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が非拡大パターンを表すものであって、非拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行以外の行にのみ配置されている場合、前記パターン選択手段は、
過去に取得した指定データが指定している拡大対象キャラクタにつき拡大パターン又は非拡大パターンのいずれを選択したかを示す選択履歴データを生成して記憶する手段を備え、
新たに取得した指定データが拡大対象キャラクタを指定しているか否かを判別し、拡大対象キャラクタを指定していると判別したときは、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定するデータを含んでいか否かを判別し、下線を付すことを指定していないと判別したときは、過去に取得した指定データにつき拡大パターン又は非拡大パターンのいずれが選択されていたかを、前記選択履歴データに基づいて判別し、
前記取得した指定データが拡大対象キャラクタを指定しており、且つ、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定しておらず、且つ、過去に取得した指定データにつき拡大パターンが選択されていたと判別したときは、当該拡大対象キャラクタの拡大パターンを表すパターンデータを選択し、その他のときは、当該拡大対象キャラクタの非拡大パターンを表すパターンデータを選択し、
前記取得した指定データが、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定していると判別したとき、選択した当該キャラクタのパターンデータが示すパターンとマトリクスの最下行に下線を表すためのドットを配置したパターンとを合成した結果に相当する下線入りパターンを表すパターンデータを生成し、生成したパターンデータを、選択したパターンデータに代えて前記外部の印字装置へと出力するものであってもよい。
【0013】
このような構成によれば、下線が、キャラクタのなす文字列の全体に及ばない場合、下線がない部分の拡大対象キャラクタも非拡大パターンにより印字される。このため、下線部が部分的に含まれている文字列については、拡大対象キャラクタの視認性よりも文字列全体の外観上のバランスが優先された態様で文字列の形成が行われる。
【0014】
また、本願の第2の発明に係るパターン設定方法は、
マトリクス上のドットの配置によりキャラクタのパターンを表すパターンデータを、当該キャラクタと対応付けて記憶するパターン記憶ステップと、
印字されるべきキャラクタを指定する指定データを外部より取得し、当該指定データに対応付けられたパターンデータを、前記パターン記憶ステップで記憶しているパターンデータより選択して、選択されたパターンデータを、当該パターンデータが表すパターンの印字を行う外部の印字装置へと出力するパターン選択ステップと、より構成され、
前記キャラクタのうち所定のものは拡大対象キャラクタに指定されており、各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が拡大パターンを表すものであって、拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行及び最上行のそれぞれに少なくとも1個ずつ配置されている、
ことを特徴とする。
【0015】
このようなパターン設定方法によっても、拡大対象キャラクタについては拡大パターンに従ったキャラクタの印字が行われる。このため、拡大対象キャラクタの視認性が十分に確保される。
【0016】
また、本願の第3の発明に係るプログラムは、
コンピュータを、
マトリクス上のドットの配置によりキャラクタのパターンを表すパターンデータを、当該キャラクタと対応付けて記憶するパターン記憶手段と、
印字されるべきキャラクタを指定する指定データを外部より取得し、当該指定データに対応付けられたパターンデータを、前記パターン記憶手段が記憶しているパターンデータより選択して、選択されたパターンデータを、当該パターンデータが表すパターンの印字を行う外部の印字装置へと出力するパターン選択手段と、より構成され、
前記キャラクタのうち所定のものは拡大対象キャラクタに指定されており、各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が拡大パターンを表すものであって、拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行及び最上行のそれぞれに少なくとも1個ずつ配置されている、
ことを特徴とするパターン設定装置として機能させるためのものである。
【0017】
このようなプログラムを実行するコンピュータによっても、拡大対象キャラクタについては拡大パターンに従ったキャラクタの印字が行われる。このため、拡大対象キャラクタの視認性が十分に確保される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、文字列中で使用頻度の高い文字を視認性よく印字するためのパターン設定装置、パターン設定方法及びプログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る打刻装置のブロック図である。
【図2】打刻ユニットの斜視図である。
【図3】ヘッドを+Y側から見た図である。
【図4】ヘッドの内部構造を示す図である。
【図5】打刻ピンの配置を説明するための図(その1)である。
【図6】打刻ピンの配置を説明するための図(その2)である。
【図7】打刻ピンの配置を説明するための図(その3)である。
【図8】打刻ユニットのブロック図である。
【図9】図9(A)は、パルス信号を示す図である。また、図9(B)は、打刻ピンの変位と時間との関係を表す曲線を示す図である。
【図10】打刻ユニットの配置を説明するための図である。
【図11】マトリクスを示す図である。
【図12】文字パターンを示す図である。
【図13】(a)及び(b)は、下線部が混在する文字列の文字パターンを示す図である。
【図14】打刻装置の動作を説明するための図である。
【図15】従来の文字パターンの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る打刻装置10の概略的な構成を示すブロック図である。この打刻装置10は、外部装置や外部システムから出力された文字を、対象物に打刻する装置である。
【0021】
図1に示されるように、打刻装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、主記憶部12、補助記憶部13、入力部14、検出部15、インターフェイス16、及び打刻ユニット20を備えている。
【0022】
前記主記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等を含んで構成されている。この主記憶部12は、CPU11の作業領域として用いられる。
【0023】
前記補助記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリを含んで構成されている。この補助記憶部13は、CPU11が実行するプログラム、及びプログラムの実行に必要な各種パラメータなどを記憶している。また、CPU11による処理結果などを含む情報を逐次記憶する。
【0024】
前記入力部14は、電源スイッチや打刻装置10に対する指令を入力するための操作パネルなどを含んで構成されている。ユーザの指示は、この入力部14を介して入力され、システムバス10aを経由してCPU11に通知される。
【0025】
前記打刻ユニット20は、対象物の表面に複数のドットから構成される文字などのパターンを形成する。図2は、打刻ユニット20の斜視図である。図2に示されるように、打刻ユニット20は、ベース部材21、ベース部材21に対してY軸に沿って移動可能に設けられたY移動体23、Y移動体23に対してX軸に沿って移動可能に設けられたX移動体24、X移動体24にホルダ25を介して取り付けられたヘッド30、及び打刻ユニット20の制御を行うドライバ26を備えている。
【0026】
前記ベース部材21は、長手方向をX軸方向としXY平面に平行な板状の第1部分21aと、長手方向をX軸方向としXZ面に平行な板状の第2部分21bの2部分からなる断面L字状の部材である。また、このベース部材21に形成された第1部分21aの+Y側端部には、長手方向をX軸方向とする支持プレート22が固定されている。
【0027】
前記支持プレート22の−Y側の面と、ベース部材21に形成された第2部分21bの+Y側の面とはほぼ平行になっている。そして、支持プレート22とベース部材21の第2部分21bの間には、一端部が支持プレート22に固定され、他端部が第2部分21bに固定された、長手方向をY軸方向とする円柱状のYガイド52A,52Bがそれぞれ架設されている。
【0028】
前記Y移動体23は、X軸方向を長手方向とする板状の移動部23aと、移動部23aの+X側端部及び−X側端部から−Z方向へ延びる一対の支持部23bとからなる部材である。また、Y移動体23の移動部23aの中央部には、Y軸方向に貫通する円形開口23cが形成され、この円形開口23cの+X側及び−X側には円形開口23dがそれぞれ形成されている。そして、Y移動体23の一対の支持部23bの間には、両端部が一対の支持部23bにそれぞれ固定された、長手方向をX軸方向とする円柱状のXガイド51A,51Bがそれぞれ架設されている。
【0029】
上述のように構成されたY移動体23は、移動部23aの円形開口23dにそれぞれ挿入された1組のYガイド52A,52Bによって、ベース部材21に対してY軸方向に移動可能に支持されている。
【0030】
また、Y移動体23の移動部23aに形成された円形開口23cには、ベース部材21の第2部分21b、及び支持プレート22に、+Y側端部及び−Y側端部が回転可能に支持された送りネジ60Yが螺合されている。Y移動体23は、送りネジ60YがYモータ50Yによって回転されることで、Y軸方向に移動される。
【0031】
前記X移動体24は、Z軸方向を長手方向とする直方体状の部材である。このX移動体24の中央部にはX軸方向に貫通する円形開口24aが形成され、この円形開口24aの+Z側及び−Z側には円形開口24bがそれぞれ形成されている。
【0032】
上述のように構成されたX移動体24は、円形開口24bにそれぞれ挿入されたXガイド51A,51Bによって、Y移動体23に対してX軸方向に移動可能に支持されている。
【0033】
また、X移動体24に形成された円形開口24aには、両端部がY移動体23に形成された支持部23bによって回転可能に支持された送りネジ60Xが螺合されている。X移動体24は、送りネジ60XがXモータ50Xによって回転されることで、X軸方向に移動される。
【0034】
前記ヘッド30は、X移動体24の+Y側の面に固定されたU字状のホルダ25によって支持されている。図3は、ヘッド30を+Y側から見た図である。図3に示されるように、ヘッド30は、長さが相互に等しい9本の打刻ピン33と、9本の打刻ピン33それぞれを駆動する9つのアクチュエータ40が収容されたケーシング31と、打刻ピン33それぞれを保持する保持部材32とを有している。
【0035】
以下、本発明の実施形態に係る打刻ユニット20のヘッド30を図面を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る打刻ユニット20のヘッド30の断面図であり、ケーシング31の中心を通りXZ平面に平行する断面である。なお、図4ではケーシング31のレバーホルダ天板31bと、ケーシング31と保持部材32とを固定する固定ばね31cと、は省略している。打刻ピン33の−Z側端部は下方に向かって細くなる円錐状、或いは球状に整形されている。また+Z側端部には、他の部分よりも経が大きい大径部33aが形成されている。そして、−Z側端部が保持部材32から突き出た状態で、Z軸に沿って移動可能に保持されている。
【0036】
本実施形態に係る打刻ユニット20のヘッド30は、保持部材32と、打刻ピン33と、復帰ばね113と、打刻ピン駆動レバー114と、可動ヨーク116と、ヨークケース117と、ヨークプレート118と、駆動コイル43と、を備える。
【0037】
打刻ピン駆動レバー114、可動ヨーク116、駆動コイル43により、打刻ピン33を駆動するアクチュエータ40が構成される。
【0038】
ヨークケース117、ヨークプレート118は、9つのアクチュエータ40を収容するケーシング31を構成する。
【0039】
保持部材32はその内部に打刻ピン33および打刻ピンガイド板115〜115を収納しており、この比較的長尺となる打刻ピン33は、打刻ピンガイド板115〜115によって、保持部材32内において概ね一定の姿勢を維持する。打刻ピンガイド板115〜115は板体にガイドとなる穴を貫通させたものであり、このガイド穴に打刻ピンを通すことで打刻ピンの姿勢を維持している。
【0040】
復帰ばね113は、打刻ピン33を+Z方向に付勢するためのものであり、コイルスプリングからなり、それぞれに打刻ピン33が挿入される。
【0041】
打刻ピン駆動レバー114は、打刻ピン33それぞれを待機位置から−Z側(下方)に移動させるためのものである。打刻ピン駆動レバー114には、軟磁性体からなり、円柱形状を有している可動ヨーク116が例えばカシメ加工により一体に固定されている。
【0042】
打刻ピン33は復帰ばね113により、+Z方向に付勢されるが、打刻ピン33の大径部33aが打刻ピン駆動レバーと当接することで、それ以上の+Z方向への移動を規制されている。この位置が打刻ピン33の待機位置である。
【0043】
打刻ピン駆動レバー114は、レバーホルダ31a内において、打刻ピン駆動レバー114の打刻ピン33の大径部33aとの当接部(先端)と反対側の端部(後端)は図示しない保持機構によって保持されており、これによって打刻ピン駆動レバー114はZ軸方向に揺動することが可能である。なお、保持機構は、例えばレバーホルダ31aの天板であるレバーホルダ天板31bと、打刻ピン駆動レバー114の端部との間に板ばねを設ける等して構成される。
【0044】
ヨークケース117は、可動ヨーク116を引きつけて打刻ピン駆動レバー114を待機位置から−Z方向(下方)へ駆動するためのものであり、例えば、電磁軟鉄や珪素鋼等などの軟磁性体からなる。ヨークケース117は、保持部材32上に保持される。ヨークケース117には、可動ヨーク116が配される位置に対応して円柱形状のコアが設けられており、このコアを中心として駆動コイル43が設けられる。
【0045】
ヨークプレート118は、閉じた磁路を形成するためのものであり、例えば、電磁軟鉄や珪素鋼等などの軟磁性体からなる。
【0046】
駆動コイル43は、電流が供給されて、ヨークケース117とヨークプレート118とを磁化するためのものである。ヨークケース117とヨークプレート118とが磁化されると、可動ヨーク116が引き付けられるため、打刻ピン駆動レバー114先端は−Z方向へ揺動する。打刻ピン駆動レバー114先端が−Z方向に揺動するのに伴って、打刻ピン33も−Z方向に移動する。
【0047】
駆動コイル43への電流の供給が中断されると、打刻ピン33を+Z方向に付勢している復帰ばね113により、打刻ピン33および打刻ピン駆動レバー114は待機位置に復帰する。
【0048】
図5は、9本の打刻ピン33の配置を示す斜視図である。図5に示されるように、9本の打刻ピン33それぞれは、+Z側端がZ軸に平行な鉛直軸Lを中心とする円C1に沿って位置した状態で、保持部材32によって保持されている。また、打刻ピン33をそれぞれ駆動する打刻ピン駆動レバー114および駆動コイル43も鉛直軸Lからの距離が相互に等しくなるように配置されている。
【0049】
また、図6に示すように打刻ピン33は、打刻ピン33の中心軸と鉛直軸Lとの成す角度θが9つの打刻ピン33にわたって相互に等しくなるように配置される。なお、角度θは、作図の便宜上、図6では鉛直軸Lに平行な線lと打刻ピン33の中心軸とのなす角度θとして示している。本実施形態では図6に示されるように、打刻ピン33それぞれの下端は、鉛直軸L上に中心を有し半径が円C1よりも小さい円C2上に位置するように配置されている。
【0050】
図7は、打刻ピン33それぞれの下端(対象物に当接する端)の配置を示す図である。本実施形態では、図7を参照するとわかるように、打刻ピン33それぞれの下端は、XY面における円C2上に位置するとともに、Y軸方向に関して距離dずつ離間するように配置されている。この距離dは、解像度を200dpiとするパターンを構成するドットD2の径の2倍の距離に概ね相当し、解像度を300dpiとするパターンを構成するドットD3の径の3倍の距離に概ね相当する。以下、9本の打刻ピン33について、最も−Y側にある打刻ピン33を打刻ピン33と表示し、+Y方向に向かってそれぞれの打刻ピン33を打刻ピン33、33、…33とも表示する。
【0051】
図8は、打刻ユニット20のブロック図である。前記ドライバ26は、ベース部材21に形成された第2部分21bの+Y側に配置され、Xモータ50X、Yモータ50Y、及びヘッド30と電気的に接続されている。そして、図8を参照するとわかるように、CPU11の指示に基づいて、Xモータ50X及びYモータ50Yを駆動して、ヘッド30をX軸方向及びY軸方向へ移動する。また、ヘッド30の打刻ピン33〜33を駆動するアクチュエータ40〜40それぞれの駆動コイル43にパルス信号を供給する。
【0052】
図9(A)には、ドライバ26が、アクチュエータ40〜40それぞれの駆動コイル43に供給するパルス信号P2及びパルス信号P3が示されている。パルス信号P2は、対象物に解像度を200dpiとするパターンを構成するドットを打刻するための電圧信号の1例であり、パルス信号P3は、対象物に解像度を300dpiとするパターンを構成するドットを打刻するための電圧信号の1例である。また、パルス信号P2は、最大電圧がV2であり、パルス幅がTの矩形波である。一方、パルス信号P3は、最大電圧がV2よりも小さいV3であり、パルス幅がTの矩形波である。
【0053】
一例として、図9(B)には、打刻ピン33の、待機位置Dからの変位と時間との関係を示す曲線S2及び曲線S3が示されている。曲線S2は、アクチュエータ40にパルス信号P2が供給されたときの打刻ピン33の変位と時間との関係を示す曲線である。また、曲線S3は、アクチュエータ40にパルス信号P3が供給されたときの打刻ピン33の変位と時間との関係を示す曲線である。
【0054】
曲線S2と曲線S3とを見るとわかるように、打刻ピン33はパルス信号がハイレベルとなる時刻t1から少し遅れて移動を開始する。移動を開始した打刻ピン33は、パルス信号がローレベルとなる時刻t2までの間に加速され、パルス信号がローレベルとなった後も移動を継続し、変位がDとなる対象物に当接する位置に達する。そして、しばらくその位置に留まった後に変位がDとなる待機位置まで戻る。
【0055】
本実施形態においてはパルス信号P2によって得られるドット径が、200dpiのパターンを形成するためのドット径であり、パルス信号P3によって得られるドット径が300dpiのパターンを形成するためのドット径となるように設定されている。
【0056】
ドライバ26は、CPU11からの指示により、最大電圧値及びパルス幅がそれぞれ異なるパルス信号P2、及びパルス信号P3を選択的にアクチュエータ40〜40それぞれに供給する。これにより、対象物に当接するときの打刻ピン33〜33の速度が解像度に見合った速度となり、対象物に、解像度が300dpiのパターンを構成するドットと、解像度200dpiのパターンを構成するドットとを選択的に打刻することができる。
【0057】
上述のように構成された打刻ユニット20は、図10を参照するとわかるように、ベース部材21の上面がほぼ水平となった状態で、例えばベルトコンベア120の上方にヘッド30が位置するように不図示の支持部材によって支持されている。また、本実施形態では、ベルトコンベア120に載置された対象物100の上面は、打刻ピン33の待機位置と打刻限界位置との間に位置した状態となっている。
【0058】
図1に戻り、前記検出部15は、打刻ユニット20の下方にある対象物100を検出しこの検出結果を含む情報を出力する。
【0059】
前記インターフェイス16は、シリアルインターフェイスまたはLAN(Local Area Network)インターフェイスなどの入力ポートと、入力ポートに入力された情報を一時蓄積するバッファなどを備えている。本実施形態では、パソコンなどの外部装置などがインターフェイス16に接続され、このインターフェイス16とシステムバス10aを介して、対象物100に形成する文字に関する情報がCPU11に通知される。
【0060】
対象物100に形成する文字に関する情報は、具体的には、例えば当該文字のキャラクタコード、当該文字が含まれるべき文字列が横書きであるとして当該文字が下線付きであるか否かを示すデータからなっている。
【0061】
前記CPU11は、補助記憶部13に記憶されたプログラムなどを読み出して、このプログラムに従って、打刻ユニット20などの各部を統括的に制御する。
【0062】
次に、上述のように構成された打刻装置10の動作について説明する。前提として、対象物100は、図10に示されるように、打刻ユニット20の下方に搬送され、CPU11によって検出部15を介して検出されているものとする。また、本実施形態では、一例として英文字「A」「B」「C」「p」「q」「r」を、図11に示すような9行9列のマトリクスM上に、打刻して形成するものとする。
【0063】
まず、CPU11は、外部装置などから文字に関する情報が供給されると、この管理情報から対象物100に形成するこの文字の文字パターンを設定する。文字パターンの設定は、例えば、補助記憶部13が予め文字パターンを表す文字パターンデータを、当該文字パターンが表す文字のキャラクタコードに対応付けて記憶し、CPU11がこれらの文字パターンデータのうちから、文字に関する情報に含まれるキャラクタコードに対応付けられているものを選択することにより行う。
【0064】
文字パターンデータは、例えば図12に示すような、上述のマトリクスM上のドットの配置により文字パターンを表すデータである(なお、図12及び図13においては、「●」がドットを示す)。
【0065】
所定の文字(以下、拡大対象文字と呼ぶ)のキャラクタコードには、図12に示すようにマトリクスMの最下行及び最上行に必ずドットが分布する形をとる文字パターン(以下、「拡大文字パターン」と呼ぶ)を表す拡大文字パターンデータと、図15に示すようにマトリクスMの最下行にはドットが分布しない文字パターン(以下、「通常文字パターン」と呼ぶ)を表す通常文字パターンデータとが対応付けられているものとする。なお、図12及び図13は、文字「A」「B」及び「C」が拡大対象文字であって文字「p」「q」及び「r」が拡大対象文字でない場合を例示している。
【0066】
拡大対象文字は、例えば、使用頻度が高く視認性を確保する必要性が高いか、といった観点から予め人為的に選別された文字であればよい。そして補助記憶部13は、当該所定の文字のキャラクタコード群を予め記憶するものとし、CPU11は、補助記憶部13にアクセスしてこのキャラクタコード群を参照することにより、対象物100に形成すべき文字が拡大対象文字であるか否かを判別すればよい。
【0067】
CPU11は、拡大対象文字の通常文字パターンとするか拡大文字パターンとするかの決定、及び文字パターンデータの選択を、例えば、以下(1)〜(4)として示す手順により決定する。
(1) 文字に関する情報を新たに取得し、この情報に含まれるキャラクタコードが拡大対象文字を示すものか否かを判別する。拡大対象文字を示すものでないと判別したときは、当該キャラクタコードに対応付けられている文字パターンデータを選択する。
(2) 拡大対象文字を示すと(1)で判別したときは、(1)で取得した情報が、下線を付すことを指定するものか否かを判別する。下線を付すことを指定していると判別したときは、(1)で取得した情報に含まれるキャラクタコードに対応付けられている通常文字パターンデータを選択する。
(3) 下線を付すことを指定していないと(2)で判別したときは、過去に情報を取得した拡大対象文字につき拡大文字パターン又は通常文字パターンのいずれを選択したかを判別する。この判別は、例えば、当該選択を行うたびに当該選択の結果を示す選択履歴データを生成して補助記憶部13に記憶させ、この選択履歴データに基づいて行うようにすればよい。なお、どの範囲の過去の選択結果を判別に用いるかは任意であり、例えば、対象物100にすでに形成した文字についての選択結果すべてを判別に用いてもよいし、形成しようとする文字と共通する行に属する文字についての選択結果のみを用いてもよい。
(4) 過去に情報を取得した拡大対象文字につき拡大文字パターンが選択されていたと判別したときは、(1)で取得した情報に含まれるキャラクタコードに対応付けられている拡大文字パターンデータを選択する。通常文字パターンが選択されていたと判別したときは、(1)で取得した情報に含まれるキャラクタコードに対応付けられている通常文字パターンデータを選択する。
【0068】
次に、CPU11が、打刻ユニット30を制御して、生成した文字を対象物100の上面に打刻する動作を説明する。図7に示すように、本実施形態においては、打刻ピン33〜33は、Y軸方向に関して距離dずつ離間するように配置されている。この距離dは1/100インチである。
【0069】
CPU11は、ヘッド30を移動させて、対象物100の上面の文字を打刻するべき位置にヘッド30を位置決めする。そして、この状態で打刻ピン331〜33のうちで、図11に示すマトリクスMの1列目において、文字を生成するのに必要なドットに相当する打刻ピンを駆動させてドットを打刻する。
【0070】
マトリクスMの1列目の打刻が完了すると、CPU11は、ヘッド30を−X方向に移動させ、マトリクスMの2列目に位置決めする。なお、この場合のマトリクスMの各列間の距離は1/100とする。そして、この状態で打刻ピン331〜33のうちで、図11に示すマトリクスMの2列目において、文字を生成するのに必要なドットに相当する打刻ピンを駆動させてドットを打刻する。
【0071】
以下、これを繰り返して、9列全てを打刻すると、1文字分の打刻が完了する。さらにX方向に文字を生成する必要がある場合には、上述した動作を繰り返して必要なだけ文字を生成する。このようにして、文字を生成すると、文字列が1行完成する。
【0072】
さらに、2行目の文字列を生成する場合には、CPU11は、ヘッド30をXY方向に移動させて、2行目の最初の文字を打刻する位置にヘッド30を位置決めして、上述した動作を繰り返すことで、2行目の文字を生成する。
【0073】
上述の動作の結果、文字を構成する全てのドットを打刻すると、CPU11は、対象物100に対する文字の生成を完了させ、処理を終了する。
【0074】
このようにして形成される1文字の解像度は100dpiである。従って、隣り合うドットの中心から中心の寸法は0.254mmである。従来の文字パターンは、図15に示すように、高さ方向は7ドットで文字が構成されているので、文字の高さ方向のドットの中心からドットの中止の寸法は1.524mmとなる。
【0075】
一方、本実施形態によれば所定の文字は拡大対象文字に指定されており、拡大パターンにおけるドットは、マトリクスMの最下行及び最上行のそれぞれに少なくとも1個ずつ配置されている。従って、拡大パターンによれば最大9×9ドットで文字が構成されるので文字高さは最大で2.032mmとなり、従来の文字パターンに比べて視認性が向上する。
【0076】
このように、ひとつの文字を生成する場合に、文字の高さ方向のドット数が、ヘッド30が有する打刻ピンの数を超えないような打刻方法をとるのは高速化のためである。本実施形態において、ひとつの文字を生成する場合に、X軸方向のみにヘッド30が移動するだけなので文字を生成する速度が高速化する。
【0077】
ただし、この場合、文字の高さ方向のサイズは、ヘッド30に配置されている打刻ピン間の最大の距離を越えることができない。このような場合に従来の文字パターンのようにヘッド30が有する打刻ピンの全てを使って文字を生成できない場合には、それだけ文字の高さ方向のサイズが小さくなるので視認性は悪くなる。
【0078】
これに対して、本実施形態ではヘッド30が有する打刻ピンの全てを使って文字を生成することで文字の高さ方向のサイズを最大に出来るので、従来よりも視認性を向上させることができる。
【0079】
本発明は、ヘッド30をXY方向に移動させながら文字を生成するような場合においても有効である。そのような実施例を次に説明する。
【0080】
300dpiで文字を生成する場合について図14を参照しつつ説明する。なお、図14においては、打刻ピン33〜33それぞれは、1〜9までの番号が割り当てられ、この番号を囲む丸で示されている。また、Y軸方向への移動距離は、1/300インチをDとして、このDを用いて示すものとする。
【0081】
CPU11は、ヘッド30を移動させて、図14に示されるように、マトリクスMの1行目、4行目、7行目の+X側に、打刻ピン33〜33を位置決めする。そして、この状態から、ヘッド30を−X方向へ移動させながら、打刻ピン33〜33をそれぞれ駆動して、マトリクスMの1行目、4行目、7行目に、文字を構成するドットを打刻していく。
【0082】
マトリクスMの1行目、4行目、7行目の打刻が完了すると、CPU11は、ヘッド30を距離10Dだけ+Y方向へ移動させ、マトリクスMの2行目、5行目、8行目の+X側に、打刻ピン33〜33を位置決めする。そして、この状態から、ヘッド30を−X方向へ移動させながら、打刻ピン33〜33をそれぞれ駆動して、マトリクスMの2行目、5行目、8行目に、文字を構成するドットを打刻していく。
【0083】
マトリクスMの2行目、5行目、8行目の打刻が完了すると、CPU11は、ヘッド30を距離10Dだけ+Y方向へ移動させ、マトリクスMの3行目、6行目、9行目の+X側に、打刻ピン33〜33を位置決めする。そして、この状態から、ヘッド30を−X方向へ移動させながら、打刻ピン33〜33をそれぞれ駆動して、マトリクスMの3行目、6行目、9行目に、文字を構成するドットを打刻していく。
【0084】
上述の動作の結果、マトリクスMのすべての行について、文字を構成するドットを打刻すると、CPU11は、対象物100に対する文字の生成が完了し、処理を終了する。
【0085】
CPU11による打刻ユニット20の制御は、例えば、選択した文字パターンデータを打刻ユニット20に供給して行う。ただし、形成すべき文字に下線を付すことが指定されていた場合は、この文字を表すものとして選択した文字パターンデータが示すパターンと、マトリクスMの最下行に下線を表すためのドットを配置したパターンとを合成した結果に相当する下線入りパターンを表すデータを生成し、生成したこのデータを、選択した文字パターンデータに代えて打刻ユニット20へと供給するものとする。
【0086】
以上説明したように、本実施形態では、拡大対象文字については、下線を付す場合でなく、且つ、過去に拡大対象文字を通常文字パターンで形成したのでない場合、拡大文字パターンに従った文字の形成を行う。このため、拡大対象文字の視認性が十分に確保される。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。例えば、CPU11は、拡大対象文字の形成は、過去に拡大文字パターンでの文字の形成が行われていたか否かを問わず、下線を付す場合でない限りは拡大文字パターンに従って行うように文字パターンデータの選択を行ってもよい。
【0088】
拡大対象文字について、下線を付す場合でなく、且つ、過去に拡大対象文字を通常文字パターンで形成したのでない場合のみ拡大文字パターンに従った文字の形成を行う実施の形態では、下線が文字列の全体に及ばない場合、例えば図13の(a)に示すように、下線がない部分の拡大対象文字も通常文字パターンにより形成される。このように文字を形成することにより、下線部が部分的に含まれている文字列については、拡大対象文字の視認性よりも文字列全体の外観上のバランスが優先された態様で文字列の形成が行われる。これに対し、過去に拡大文字パターンでの文字の形成が行われていたか否かを問わず、下線を付す場合でない限りは拡大文字パターンに従って行うように文字パターンデータの選択を行う実施の形態によれば、図13の(b)に示すように、下線がない部分の拡大対象文字は拡大文字パターンにより形成されることとなり、下線の付されない拡大対象文字の視認性の確保が優先される。
【0089】
例えば、上記実施形態では、解像度が100dpi及び300dpiのパターンを形成する場合について説明したが、これに限らず、対象物に当接するときの打刻ピン33の速度を制御することで、種々の解像度のパターンを構成するドットを打刻することができる。一般に、対象物に当接するときの打刻ピンの速度とドット径とは比例関係にある。この特性を利用して、打刻ピン33の速度を制御することで、種々の解像度のパターンを構成するドットを打刻することができる。
【0090】
また、本実施形態では、対象物100に対してヘッド30を移動させながら対象物100にパターンを形成したが、これに限らず、ヘッド30に対して、対象物100を移動させてもよい。
【0091】
また、本実施形態に係る打刻ユニット20では、ヘッド30を相互に直交するX軸方向及びY軸方向へ移動させる場合について説明したが、これに限らずヘッド30は、対象物100の打刻面に沿って移動可能な構成であればよい。
【0092】
また、打刻ユニット20は必ずしもダイレクトマーキングを行うものでなくてもよく、紙面に印刷を行うものであってもよい。
【0093】
また、本実施形態において、打刻ピン33のそれぞれは円状に配置されているが、これに限られず、扇状、直線状および千鳥状に配置されていてもよい。
【0094】
また、上記実施形態において打刻装置10の補助記憶部13に記憶されているプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する装置を構成することとしてもよい。
【0095】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしても良い。
【0096】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等しても良い。
【0097】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明のヘッド及び打刻装置は、対象物にドットを打刻して、ドットから構成されるパターンを形成するのに適している。
【符号の説明】
【0099】
10 打刻装置
11 CPU
12 主記憶部
13 補助記憶部
14 入力部
15 検出部
16 インターフェイス
20 打刻ユニット
21 ベース部材
21a 第1部分
21b 第2部分
22 支持プレート
23 Y移動体
23a 移動部
23b 支持部
23c,23d 円形開口
24 X移動体
24a,24b 円形開口
25 ホルダ
26 ドライバ
30 ヘッド
31 ケーシング
32 保持部材
33 打刻ピン
40 アクチュエータ
41 可動部材
42 可動子
43 駆動コイル
44 スプリング
45 ベース
50X Xモータ
50Y Yモータ
51A,51B Xガイド
52A,52B Yガイド
60X,60Y 送りネジ
100 対象物
120 ベルトコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス上のドットの配置によりキャラクタのパターンを表すパターンデータを、当該キャラクタと対応付けて記憶するパターン記憶手段と、
印字されるべきキャラクタを指定する指定データを外部より取得し、当該指定データに対応付けられたパターンデータを、前記パターン記憶手段が記憶しているパターンデータより選択して、選択されたパターンデータを、当該パターンデータが表すパターンの印字を行う外部の印字装置へと出力するパターン選択手段と、により構成され、
前記キャラクタのうち所定のものは拡大対象キャラクタに指定されており、各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が拡大パターンを表すものであって、拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行及び最上行のそれぞれに少なくとも1個ずつ配置されている、
ことを特徴とするパターン設定装置。
【請求項2】
各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が非拡大パターンを表すものであって、非拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行以外の行にのみ配置されており、
前記パターン選択手段は、
取得した指定データが拡大対象キャラクタを指定しているか否かを判別し、拡大対象キャラクタを指定していると判別したときは、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定するデータを含んでいるか否かを判別し、
前記取得した指定データが拡大対象キャラクタを指定しており、且つ、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定していないと判別したときは、当該拡大対象キャラクタの拡大パターンを表すパターンデータを選択し、下線を付すことを指定していると判別したときは、当該拡大対象キャラクタの非拡大パターンを表すパターンデータを選択し、
前記取得した指定データが、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定していると判別したとき、選択した当該キャラクタのパターンデータが示すパターンとマトリクスの最下行に下線を表すためのドットを配置したパターンとを合成した結果に相当する下線入りパターンを表すパターンデータを生成し、生成したパターンデータを、選択したパターンデータに代えて前記外部の印字装置へと出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン設定装置。
【請求項3】
各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が非拡大パターンを表すものであって、非拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行以外の行にのみ配置されており、
前記パターン選択手段は、
過去に取得した指定データが指定している拡大対象キャラクタにつき拡大パターン又は非拡大パターンのいずれを選択したかを示す選択履歴データを生成して記憶する手段を備え、
新たに取得した指定データが拡大対象キャラクタを指定しているか否かを判別し、拡大対象キャラクタを指定していると判別したときは、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定するデータを含んでいか否かを判別し、下線を付すことを指定していないと判別したときは、過去に取得した指定データにつき拡大パターン又は非拡大パターンのいずれが選択されていたかを、前記選択履歴データに基づいて判別し、
前記取得した指定データが拡大対象キャラクタを指定しており、且つ、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定しておらず、且つ、過去に取得した指定データにつき拡大パターンが選択されていたと判別したときは、当該拡大対象キャラクタの拡大パターンを表すパターンデータを選択し、その他のときは、当該拡大対象キャラクタの非拡大パターンを表すパターンデータを選択し、
前記取得した指定データが、当該指定データが表すキャラクタに下線を付すことを指定していると判別したとき、選択した当該キャラクタのパターンデータが示すパターンとマトリクスの最下行に下線を表すためのドットを配置したパターンとを合成した結果に相当する下線入りパターンを表すパターンデータを生成し、生成したパターンデータを、選択したパターンデータに代えて前記外部の印字装置へと出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載のパターン設定装置。
【請求項4】
マトリクス上のドットの配置によりキャラクタのパターンを表すパターンデータを、当該キャラクタと対応付けて記憶するパターン記憶ステップと、
印字されるべきキャラクタを指定する指定データを外部より取得し、当該指定データに対応付けられたパターンデータを、前記パターン記憶ステップで記憶しているパターンデータより選択して、選択されたパターンデータを、当該パターンデータが表すパターンの印字を行う外部の印字装置へと出力するパターン選択ステップと、より構成され、
前記キャラクタのうち所定のものは拡大対象キャラクタに指定されており、各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が拡大パターンを表すものであって、拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行及び最上行のそれぞれに少なくとも1個ずつ配置されている、
ことを特徴とするパターン設定方法。
【請求項5】
コンピュータを、
マトリクス上のドットの配置によりキャラクタのパターンを表すパターンデータを、当該キャラクタと対応付けて記憶するパターン記憶手段と、
印字されるべきキャラクタを指定する指定データを外部より取得し、当該指定データに対応付けられたパターンデータを、前記パターン記憶手段が記憶しているパターンデータより選択して、選択されたパターンデータを、当該パターンデータが表すパターンの印字を行う外部の印字装置へと出力するパターン選択手段と、より構成され、
前記キャラクタのうち所定のものは拡大対象キャラクタに指定されており、各々の拡大対象キャラクタに対応付けて記憶されているパターンデータは、そのうち少なくとも1個が拡大パターンを表すものであって、拡大パターンにおけるドットは、前記マトリクスの最下行及び最上行のそれぞれに少なくとも1個ずつ配置されている、
ことを特徴とするパターン設定装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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