説明

パチンコ機における打球供給皿の球抜き装置

【課題】構成部品が少なく組付作業が容易であり、かつ故障する虞れも少ないパチンコ機
における打球供給皿の球抜き装置を提供することを目的とする。
【解決手段】球抜孔13に整列通路12に対し直交する方向にスライドして前記球抜孔1
3を開閉する球抜き弁26を配設したパチンコ機における打球供給皿4において、前記球
抜き弁26は弾発手段により常時球抜孔13を閉塞するように付勢され、また該球抜き弁
26の上方に下端部に前記球抜き弁26と係合する二又状の係合対片33,33を設けた
レバー部材32と該レバー部材32の上面に接触状に位置する操作部材35とをそれぞれ
揺動自在に軸装して配設した構成よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機の前面に装着されパチンコ球を発射部に供給する打球供給皿にお
ける球抜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の打球供給皿における球抜装置であって、パチンコ球を一列に整列させて
導く整列通路の下流端に球抜穴を開設すると共に該球抜穴に前記整列通路に対し直交する
方向にスライドして前記球抜穴を開閉する球抜き弁を配設したものが例えば実公平7−3
1825号として開示されている。
【0003】
前記球抜装置は、図6に示されるように連杆100にて相互に連結されかつ支持板10
1に回動可能に軸支される等長の第1リンク片102a及び第2リンク片102bのそれ
ぞれ一端を球抜き弁103に枢着すると共に、第1リンク片102aをばね104にて弾
発して球抜き弁103を常に球抜穴105の閉塞位置に維持するようにし、一方、球抜装
置を覆うカバー部材106の前面部分にプッシュ体107を前後方向へ押圧自在に設ける
と共に該プッシュ体107に第1リンク片102a及び第2リンク片102bのそれぞれ
他端に当接する係合部108を形成して構成されている。そして、前記プッシュ体107
を押圧することにより第1リンク片102a及び第2リンク片102bをそれぞれ回動し
て球抜き弁103を球抜穴105が開放する位置に移動させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−31825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の球抜装置は第1・第2リンク片102a,102bが軸支される支
持板101,球抜き弁103が枢着される第1・第2リンク片102a,102b及び該
各第1・第2リンク片102a,102bを連結する連杆100といった多くの構成部品
を必要とすることから、構造が複雑化して組付作業が面倒であり、しかも前記各第1・第
2リンク片102a,102bはほぼ水平方向に作動するので広いスペースを要し勢いそ
の組付スペースを採るに苦慮するといった課題が有る。更に、2個の第1・第2リンク片
102a,102bを回動させて球抜き弁103を作動させるようにしているので、球抜
き弁103のスムーズな動作が期待しずらく故障の原因になり易いという課題が有る。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、構造が簡単であり、組付作業
も容易に行なえ安定して作動し故障も少ないパチンコ機における打球供給皿の球抜き装置
を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明に係るパチンコ機における打球供給皿の球抜き装置は
、パチンコ球を一列に整列させて導く整列通路を備えた皿部材と、該皿部材の前面を覆う
カバー部材とからなり、前記整列通路の下流端に球抜穴を開設すると共に該球抜穴には整
列通路に対し直交する方向にスライドして前記球抜穴を開閉する球抜き弁を配設したパチ
ンコ機における打球供給皿において、前記球抜き弁は圧縮コイルバネにより常時球抜穴を
閉塞するように付勢されており、その上面両側に一対の係合穴が設けられている。また、
前記球抜き弁の上方には、揺動自在に軸支されるレバー部材と下面が該レバー部材に接触
しかつ上下方向へ押圧自在に軸支される操作部材とを配設している。前記レバー部材は水
平片部と垂直片部とからなる側面逆L字状に形成され、垂直片部に前記球抜き弁の両係合
穴に嵌合する二又状の係合対片が設けられて構成される。
【0008】
そして常態では、圧縮コイルバネの作用により球抜穴が球抜き弁で閉塞されている。ま
た、操作部材はレバー部材の水平片部上面に支持されており、該操作部材を下方へ押し下
げることによりレバー部材が揺動し、球抜き弁が圧縮コイルバネの作用に抗してスライド
して球抜き孔を開放することとなる。この際、球抜き弁は、二又状の係合対片によって連
結されているので、そのスライド動作がスムーズに行なえ安定している。このように構成
部品が少ないことから、これら構成部品の組付作業が容易となり、故障が発生する虞れも
少ない。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明にあっては、球抜き弁は弾発手段により常時球抜き孔を閉
塞するように付勢されかつその上面両側に一対の係合穴が設けられ、また該球抜き弁の上
方に、揺動自在に軸支されかつ側面逆L字状に形成されると共に下端部に前記球抜き弁の
両係合穴に嵌合する二又状の係合対片を設けたレバー部材と、該レバー部材を揺動させる
ため下面が該カバー部材に接触しかつ上下方向へ押圧自在に軸支される操作部材とを配設
したものであるから、従来の球抜き装置に比べ構成部品が少なく構造が簡単となり、これ
により組立作業が容易に行なえ製造コストも低廉になし得る。また、レバー部材下部の二
又状の係合対片を球抜き弁に嵌合させるようにしたので、該球抜き弁がスムーズにスライ
ドして安定し故障が発生する虞れも少ない。更に、操作部材,レバー部材を球抜き弁の上
方に配設したので、全体に組付スペースが狭くて済み、その分カバー部材のデザインが自
由に行い得るという種々の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が適用されるパチンコ機の正面図。
【図2】打球供給皿の斜視図。
【図3】同分解斜視図。
【図4】同裏面図。
【図5】図4のXーX線断面図。
【図6】従来の球抜き装置の平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るパチンコ機における打球供給皿の球抜装置の最良の実施の形態を図
面に基づき説明する。図1は本発明が適用されるパチンコ機の正面図である。図において
、1はパチンコ機の前面枠、2は該前面枠1の前面に開閉自在に装着されるガラス扉枠、
3は該ガラス扉枠2の下方に位置する前面板であり、この前面板3の前面に打球供給皿4
が装着されている。5は該打球供給皿4からの余剰のパチンコ球を受け入れるため前面枠
1の前面下部に装着される下部球受皿である。
【0012】
前記打球供給皿4は、図2乃至図4に示されるように皿部材6と該皿部材6の前面外側
を覆うカバー部材7とから構成され、複数の間隔保持突起8,8…を介してビス9の締着
により一体化される。前記皿部材6はパチンコ球を貯留する皿部10と、該皿部10の前
側外周を囲う囲板部11を有する。また、前記皿部10は底部が一側方に緩やかに下り傾
斜し、その傾斜下部にパチンコ球が一列に整列されて導かれる整列通路12が形成され、
該整列通路12の下流端の底面に球抜穴13が開設されている。
【0013】
前記球抜穴13と対応位置して皿部材6の直立壁部6aに横長の挿通口14が開設され
、該直立壁部6aの前側に挿通口14を囲いかつ上面が開放されるガイド枠15が設けら
れている。16は該ガイド枠15の上方前側を囲う囲枠であり、両側に突出する突片17
,17の通孔18,18を介して前記直立壁部6aの前面側に突設される間隔保持突起8
,8の先端の螺子孔8aにそれぞれビス19,19を螺合することにより取着される。該
囲枠16の上面は開口20し、前側壁16aの下端部内側に前記ガイド枠15内に臨む支
持突起21が設けられている。また、前記囲枠16が前記直立壁部6aの前側に取着され
ることにより、該直立壁部6aの前面から前方へ突出する一対の上部支持片部22,22
と下部支持片部23,23との先端にそれぞれ上部軸受部24,24と下部軸受部25,
25とが設けられる。
【0014】
前記ガイド枠15内には整列通路12に対し直交する方向にスライドして前記球抜穴1
3を開閉する球抜き弁26が配設される。該球抜き弁26は先端に前記挿通口14を介し
て球抜穴13を開閉する開閉弁部26aを備え、上面両側に一対の係合穴27,27が設
けられる。また、中央に前記支持突起21と対応位置する凹窪部28が形成され、その奥
端部に突片29が立設されている。30は一端を前記支持突起21に嵌装され他端を突片
29に圧接するようにして取り付けられる圧縮コイルバネであり、該圧縮コイルバネ30
により球抜き弁26は開閉弁部26aが常時球抜穴13を閉塞するように付勢されている

【0015】
また、前記球抜き弁26の上方に両側の支持軸31,31を前記下部軸受部25,25
に軸支されて自在に揺動するレバー部材32が配設される。該レバー部材32は水平片部
32aと垂直片部32bとからなる側面逆L字状に形成され、垂直片部32bに前記球抜
き弁26の両係合穴27,27に嵌合する二又状の係合対片33,33が設けられている

【0016】
更に、前記レバー部材32の上方には両側の支持軸34,34を前記上部軸受部24,
24に軸支され上下方向へ自在に押圧可能な操作部材35が配設される。該操作部材35
はその下側に垂下される作用板36がレバー部材32の水平片部32aの上面に接触し、
前記囲枠16の上面の開口20から上方に突出して位置している。
【0017】
本発明に係るパチンコ機の打球供給皿の球抜装置は上記構成からなり、次にその作用に
ついて説明する。まず、常態では圧縮コイルバネ30の弾発力により球抜き弁26が球抜
穴13を閉塞している。そこで、打球供給皿4の皿部10に貯留されているパチンコ球を
抜き取る場合には、図5鎖線に示されるように操作部材35を指で下方へ押圧すると、レ
バー部材32が図5時計方向に揺動して前記球抜き弁26が圧縮コイルバネ30の弾発力
に抗して整列通路12に対し直交する方向で、かつ前側へスライドして球抜穴13を開放
するものであり、これによって皿部10のパチンコ球は球抜穴13から球抜通路(図示せ
ず。)に落下し球抜きすることができる。因に、球抜通路に落下したパチンコ球は下部球
受皿5に貯留される。
【0018】
そして、操作部材35から指を離すと、圧縮コイルバネ30の復元力によって球抜き弁
26が後方向へスライドして開閉弁部26aにより球抜穴13を閉塞し、同時にレバー部
材32が図5実線位置に回動復帰する。また、操作部材35もレバー部材32の復帰と共
に元の位置に復帰する。
【符号の説明】
【0019】
4 打球供給皿
6 皿部材
7 カバー部材
12 整列通路
13 球抜穴
26 球抜き弁
27,27 係合穴
30 圧縮コイルバネ
32 レバー部材
33,33 係合対片
35 操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ球を一列に整列させて導く整列通路を備えた皿部材と、該皿部材の前面を覆う
カバー部材とからなり、前記整列通路の下流端に球抜穴を開設すると共に該球抜穴には整
列通路に対し直交する方向にスライドして前記球抜穴を開閉する球抜き弁を配設したパチ
ンコ機における打球供給皿において、
前記球抜き弁は弾発手段により常時球抜穴を閉塞するように付勢されかつその上面両側
に一対の係合穴が設けられており、また該球抜き弁の上方に、揺動自在に軸支されかつ側
面逆L字状に形成されると共に下端部に前記球抜き弁の両係合穴に嵌合する二又状の係合
対片を設けたレバー部材と、該レバー部材を揺動させるため下面が該レバー部材に接触し
かつ上下方向へ押圧自在に軸支される操作部材とを配設したことを特徴とするパチンコ機
における打球供給皿の球抜き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−232204(P2012−232204A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195541(P2012−195541)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2010−249174(P2010−249174)の分割
【原出願日】平成9年7月29日(1997.7.29)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】