説明

パチンコ機

【課題】モータで回転体を回転させたりすることなく、遊技球の流下方向を振り分けることができる振分装置を備えたパチンコ機を提供する。
【解決手段】2個の遊技球P、Qを左側通路36a又は右側通路36bへ振り分ける振分装置30において、進入してきた遊技球に押圧されて回転体37が回転することにより、振分部材35が右側通路36bへ遊技球を進入させない通常姿勢から、右側通路36bを開放する傾倒姿勢へと姿勢をかえるとともに、重り42により振分部材35が自動的に傾倒姿勢から通常姿勢へと復帰するように構成した。したがって、従来の振分装置と比較してモータ等の駆動装置を必要とすることなく、遊技球を左側通路36a又は右側通路36bへ振り分けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域へ遊技球を打ち込んで遊技するパチンコ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機としては、遊技領域へ打ち込まれて流下する遊技球の流下方向を第1方向と第2方向とで振り分けたり、該振り分けに伴い入賞する入賞口を異ならせたりする振分装置を備えてなるものがある。そのような振分装置としては、略正面視円形の回転体に、遊技球を受け入れる凹部を複数設けたり、遊技球の流下方向を変化させる凸部を設けたりするとともに、該回転体を一定の周期でモータ等により回転させ、遊技球が受け入れられた凹部の違いや凸部に衝突するか否かで遊技球の流下方向を振り分けるといったものが一般的となっている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−264203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような振分装置では、回転体を回転させるためのモータを設置しなければならず、部品点数が増えてコスト高を招いたり、振分装置の大型化やモータの設置スペースが必要になることにより設計自由度が低下するといった問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、モータで回転体を回転させたりすることなく、遊技球の流下方向を振り分けることができる振分装置を備えたパチンコ機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、遊技盤の前面に形成された遊技領域を流下する遊技球が進入可能な進入口と、前記進入口よりも下方に設けられ、前記進入口を介して進入してきた遊技球を排出する2つの排出口と、前記進入口と前記排出口とをつなぐ二股の通路を有する振分通路と、前記振分通路に設置され、前記振分通路へと進入してきた遊技球を振り分けて、何れかの前記排出口へつながる前記通路へ遊技球を進めさせる振分部材とを備えた振分装置が設置されてなるパチンコ機であって、前記振分部材に、前記通路の少なくとも一部を塞ぐ塞止部を設けるとともに、前記振分部材を、前記塞止部が前記排出口のうち一方の排出口へつながる第1通路の少なくとも一部を塞いでおり、前記第1通路へ遊技球が進むことを阻止する第1姿勢と、前記塞止部が他方の排出口へつながる第2通路の少なくとも一部を塞いでおり、前記第1通路へ遊技球が進むことを許容し且つ前記第2通路へ遊技球が進むことを阻止する第2姿勢とに変更可能とし、更に前記振分部材を前記第1姿勢に付勢する付勢手段を設けており、前記振分部材は、前記振分通路へ進入してきた遊技球により押圧されると、前記第1姿勢から前記第2姿勢へと姿勢を変更し、当該遊技球については姿勢を変更する過程において前記第2通路へ進めさせる一方、前記付勢部材の付勢力によって前記第2姿勢から前記第1姿勢へと復帰するまでの間に前記振分通路へ進入してきた遊技球については、前記第1通路へ進めさせることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記排出口が左右方向で2つあり、前記振分部材が、前記振分通路に進入してきた遊技球を、左側の排出口へつながる左側通路と右側の排出口へつながる右側通路とに振り分ける振分装置が設置され、前記左側通路と前記右側通路との何れか一方が前記第1通路となり、何れか他方が前記第2通路となるパチンコ機であって、前記振分部材は、前後方向を軸として左右へ回転する回転体の前面に、ガイド片と前記塞止部としての塞止片とを前面視V字状となるように配設してなり、前記第1姿勢が、前記進入口を介して前記振分通路へ進入してきた遊技球が前記ガイド片と前記塞止片とのV字間に落下するような姿勢で、且つ、前記塞止片が前記第1通路の少なくとも一部を塞ぐ姿勢であり、前記第2姿勢が、遊技球により前記ガイド片が押圧されて前記回転体が所定方向へ回転することにより、前記ガイド片が前記第2通路内へ傾倒し、前記塞止片が、前記第1通路を開放するとともに前記第2通路の少なくとも一部を塞ぐ姿勢であり、更に、前記回転体が前記第1姿勢を超えて前記所定方向とは逆方向へ回転することを規制する規制手段を設けたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記進入口の上方に、前記遊技球よりも口径が大きな筒状部の底面に底孔を開設してなる球受け部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、振分通路内へ進入してきた遊技球を第1通路又は第2通路に振り分ける振分部材に、第1通路へ遊技球を進めさせない第1姿勢へと付勢する付勢手段を設けており、遊技球による押圧によって第1通路へ遊技球を進めさせる第2姿勢となった後、付勢手段の付勢力によって自動的に第1姿勢へと復帰するように構成した。したがって、従来の振分装置と比較してモータ等の駆動装置を必要とせず、部品点数の削減に伴う低コスト化、及び振分装置の小型化やモータの設置スペースが必要ないことによる設計自由度の向上等といった効果がある。
また、振分装置では、振分部材が第2姿勢から第1姿勢へと復帰するまでの間に2個以上の遊技球が連続して進入口へ進入しない限り、遊技球が第1通路へ進む事態は起こらない。したがって、このことを利用した従来にない斬新な遊技を提供することができる。
さらに、請求項3に係る発明では、進入口の上方に、遊技球よりも口径が大きな筒状部の底面に底孔を開設してなる球受け部を設けているため、1個目の遊技球が球受け部内で滞留している間に、2個目の遊技球が球受け部まで到達し、2個の遊技球が連続して進入口へ進入するという事態を期待することができ、遊技球が第1通路へ進む可能性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】パチンコ機を前面側から示した説明図である。
【図2】遊技盤を前面側から示した説明図である。
【図3】パチンコ機を後面側から示した説明図である。
【図4】振分装置の外観を示した斜視説明図である。
【図5】振分装置を前方から示した説明図である。
【図6】図5中のA−A線断面を示した説明図である。
【図7】振分装置の第2誘導部材を示した説明図であり、(a)は第2誘導部材の斜視説明図、(b)は第2誘導部材を上方から示した説明図、(c)は第2誘導部材の断面を示した説明図である。
【図8】振分装置の振分部材が通常姿勢にある状態を示した説明図である。
【図9】振分部材が傾倒姿勢にある状態を示した説明図である。
【図10】振分装置を分解して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
(パチンコ機の全体的な説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。また、図2は、遊技盤2を前面側から示した説明図である。さらに、図3は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を嵌め込み設置してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
【0011】
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16に左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の略中央には、「0」〜「9」の数字や絵柄等からなる図柄を表示するための図柄表示部6が設けられている。さらに、図柄表示部6を囲むように種々の電動役物を備えたセンター部材26が遊技盤2に設置されており、該センター部材26の左方には、後述する振分装置30と、遊技球が通過可能な2つのゲート部材19、20とが設けられている。加えて、遊技領域16には、一対の爪片を開閉動作可能に備えたチューリップ式電動役物17、開閉可能な扉部材を有する大入賞装置18や多数の遊技釘等が設置されている。
【0012】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、遊技球を発射装置10へ供給するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させるためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な押しボタン25が設けられている。
さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する一対のスピーカ14、14が設けられており、前扉4の側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを備えたランプ部材15、15が設けられている。
【0013】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、図柄表示部6に図柄を表示させるための液晶表示装置、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂「大当たり抽選」等)を実行するためのメイン制御装置(図示せず)、図柄表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置(図示せず)、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置(図示せず)、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置(図示せず)、及び表示制御装置や発光制御装置等の動作を統合的に制御するとともに、センター部材26に設けられた電動役物の作動を制御するサブ制御装置(図示せず)等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。
【0014】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者によってハンドル9が回動操作されると、発射装置10が作動して遊技球が遊技領域16内へ打ち込まれる。そして、遊技領域16内を流下する遊技球がチューリップ式電動役物17へ入賞すると、メイン制御装置にて「大当たり抽選」を行う。該「大当たり抽選」は、乱数から1つの数値を取得する態様で行われ、取得した数値に応じて「大当たり」であるか「外れ」であるかを決定する。該「大当たり抽選」の結果、「大当たり」である場合には、図柄表示部6において所定の変動時間だけ図柄を変動表示させた後、所定の「大当たり図柄」(たとえば、「7、7、7」等)を確定表示させる。さらに確定表示後、大入賞装置18の扉部材を所定回数にわたって断続的に開成させるといった所謂「大当たり状態」を生起させる。
【0015】
また、遊技領域16内を流下する遊技球が振分装置30に進入すると、該遊技球は振分装置30内で後述の如くして振り分けられ、左側の排出口31又は右側の排出口32(図5に示す)から排出される。そして、左側の排出口31から排出された遊技球は、その下方に設置されているゲート部材19を、右側の排出口32から排出された遊技球は、その下方に設置されているゲート部材20を夫々通過する。一方、メイン制御装置では、遊技球のゲート部材19、20の通過を検出すると、乱数から1つの数値を取得し、取得した数値に応じて「当たり」であるか「外れ」であるかを決定する「当たり抽選」を実行する。そして、「当たり抽選」の結果、「当たり」である場合には、チューリップ式電動役物17に備えられた一対の翼片を所定時間(たとえば2秒間)にわたって開動作させ、チューリップ式電動役物17へ遊技球が入賞しやすい状態とする。尚、上記「当たり抽選」において「当たり」となる確率は、ゲート部材19、20毎に設定されており、ゲート部材19を通過した場合には1/20の確率で「当たり」となる一方、ゲート部材20を通過した場合には1/4の確率で「当たり」となるように夫々設定されている。
【0016】
(振分装置の構造)
ここで、本発明の要部となる振分装置30について、まず振分装置30の構造を図4〜図10にもとづき詳細に説明する。
図4は、振分装置30の外観を示した斜視説明図である。図5は、振分装置30を前方から示した説明図であり、図6は、図5中のA−A線断面を示した説明図である。図7は、振分装置30の第2誘導部材47を示した説明図であり、(a)は第2誘導部材47の斜視説明図、(b)は第2誘導部材47を上方から示した説明図、(c)は第2誘導部材47の断面を示した説明図である。図8は、振分装置30の振分部材35が通常姿勢にある状態を示した説明図であり、図9は、振分部材35が傾倒姿勢にある状態を示した説明図である。図10は、振分装置30を分解して示した説明図である。
【0017】
振分装置30は、誘導路45を介して進入口34から本体ケース33内部へ進入した遊技球を振分部材35によって振り分け、左側の排出口31又は右側の排出口32の何れかから排出する装置であって、振分部材35が設置された振分部30aと、振分部30aの上方に設けられ、進入口34へと遊技球を導くための誘導路45を有する誘導部30bとに分けることができる。尚、本体ケース33の左右の排出口31、32には、遊技球の通過を検出するためのセンサ60が夫々設けられている。また、61は、進入口34の左右から上方へ延設され、後述する第1誘導部材46を支持する腕部である。さらに、62は、振分装置30の本体ケース33を遊技盤2に固定するための取付部であり、本体ケース33の後側のケース部材と一体的に設けられている。
【0018】
振分部30aは、本体ケース33内部に設けられた振分通路36と、振分通路36中に設置された振分部材35とからなる。振分通路36は、内部を遊技球が通過可能な通路であって、本体ケース33内部において二股となる逆V字状に設けられており、頂部は本体ケース33の上面に開設された進入口34に、頂部から左方へ下降傾斜する左側通路36aは本体ケース33の下面左側に開設された左側の排出口31に、頂部から右方へ下降傾斜する右側通路36bは本体ケース33の下面右側に開設された右側の排出口32に夫々連通している。一方、振分部材35は、前面視円形のブロック体である回転体37の前面に、回転体37の中心から径方向へ回転体37の周縁を超えて延設されたガイド片38と、回転体37の中心からガイド片38とは異なる径方向へ延設された塞止片39とを前面視V字状に配設してなり、回転体37の中心には前後方向へ延びる軸40が設けられている。また、回転体37には、自身の回転動作を所定の回転角度内で規制するための円弧状のスリット41が開設されているとともに、回転体37の周縁部には、遊技球1個の重さよりは軽い重り42が設置されている。尚、ガイド片38と塞止片39との連結部分は滑らかな凹状に形成されており、後述するように進入口34から落下してきた遊技球を受け止める受け止め部として機能する。
【0019】
そして、該振分部材35は、振分通路36内にガイド片38及び塞止片39が位置する状態で、前後方向を軸として回転体37を回転可能に本体ケース33へ軸支して設けられている。そして、回転体37の回転に伴い、ガイド片38が左側通路36aを塞ぐとともに塞止片39が右側通路36bを塞ぎ、ガイド片38と塞止片39との連結部分(V字間)、すなわち上記受け止め部が進入口34の下方に位置する通常姿勢(第1姿勢)と、ガイド片38が左側通路36aの底面に当接するまで傾倒し、塞止片39が右側通路36bを開放するとともに左側通路36aを塞ぐ傾倒姿勢(第2姿勢)とで姿勢を変更可能となっている。また、該軸支状態において、振分通路36の底面から後方へ突設された突起43がスリット41内に嵌入しており、突起43が回転体37の回転によりスリット41内を相対的に移動してスリット41の下方側の端部に到達することで、該位置を超えて回転体37が回転する事態、すなわち上記通常姿勢を超えてガイド片38や塞止片39が右側通路36b側へ傾倒する方向へ回転してしまう事態を防止している。さらに、重り42は、振分部材35が通常姿勢にある際にも回転体37の鉛直下端に到達しないような位置に設置されており、常に回転体37を通常姿勢側(前面側から見ると右回り方向)へ付勢するようになっている。
【0020】
一方、誘導部30bは、遊技球を進入口34へ導くための誘導路45を形成する第1誘導部材46と第2誘導部材47とから構成されており、誘導路45は、第1誘導部材46に設けられた第1誘導路45aと、該第1誘導路45aと一連であり、第2誘導部材47に設けられた第2誘導路45bとからなる。第1誘導部材46は、前方から後方へ下りながら延びる第1誘導路45aを有している。該第1誘導路45aの前端は、遊技領域16内において上方へ開口する流入口48とされ、遊技領域16内を流下する遊技球を、流入口48を介して誘導路45内へ流入可能としている。さらに、第1誘導路45aの後端は、下方へ開口しており、第2誘導部材47の第2誘導路45bと一連に接続されている。尚、流入口48の上方には、流入口48へ流入する遊技球を検出するためのセンサ60が設置されている。
【0021】
第2誘導部材47は、後方から前方へ下りながら延びる第2誘導路45bを有しており、該第2誘導路45bの後端は上方へ開口し、第1誘導路45aの後端と一連に接続されている。また、第2誘導路45bの前端には、椀状の球受け部49が設けられている。該球受け部49は、口径が17.0mmの筒状部49aと、筒状部49aの下方に一体的に連設され、徐々に口径が狭くなる絞り部49bとからなり、絞り部49bの最下端には直径11.5mmの底孔50が開設されている。そして、筒状部49aの側面に、幅12.0mmとされた第2誘導路45bが連結されている。このような構成を有する第2誘導部材47は、底孔50が進入口34の上方に近接するような姿勢で組み付けられ、誘導路45を通って球受け部49まで誘導されてきた遊技球を、底孔50から進入口34を介して本体ケース33内、すなわち振分通路36へ進入させるようになっている。尚、遊技球の直径は11.0mmである。
【0022】
(振分装置の作用)
次に、上記構成を有する振分装置30の作用について説明する。
流入口48を介して第1誘導部材46へ流入した遊技球は、第2誘導部材47へと誘導され、第2誘導路45bから球受け部49へ排出される。すると、遊技球は誘導路45を流下してきた勢いにより球受け部49の筒状部49a内でばたつき、僅かの間(たとえば0.5秒間)筒状部49a内に滞留した後、底孔50から進入口34を介して振分通路36へと落下して進入する。このとき、振分部材35は通常姿勢にあり、振分通路36へと進入してきた遊技球を受け止め部で一旦受け止めるものの、進入してきた遊技球にガイド片38が押圧されて通常姿勢から傾倒姿勢へと姿勢をかえ、当該姿勢の変更過程において遊技球を左側通路36aへと進ませる。そして、ガイド片38上を転動した遊技球がガイド片38の先端から離れると、重り42の付勢により振分部材35は通常姿勢へと復帰する。また、ガイド片38の先端から離れた遊技球は左側の排出口31から排出され、その下方に設置されたゲート部材19を通過する。尚、振分部材35は、通常姿勢で遊技球を受け止めた際、スリット41と突起43とにより回転体37の回転を通常姿勢から傾倒姿勢となる側へのみ許容していること、及び右側通路36bを塞ぐように立設された塞止片39により、遊技球が右側通路36bへ進入する事態を防止する。
【0023】
また、2個の遊技球P、Qが短時間で連続的に流入すると、1個目の遊技球Pが上述の如く筒状部49a内でばたついて滞留している間に、2個目の遊技球Qが球受け部49へと到達し、2個目の遊技球Qが1個目の遊技球Pを底孔50へ押し込むような格好となり、2個の遊技球P、Qが連続して振分通路36へ進入する。すると、振分部材35が1個目の遊技球Pにより通常姿勢から傾倒姿勢へと姿勢をかえ、塞止片39が右側通路36bを開放するとともに左側通路36aを塞ぐため、2個目の遊技球Qは、開放された右側通路36bへと進む。したがって、2個の遊技球P、Qが短時間で連続的に流入すると、1個目の遊技球Pは左側の排出口31から、2個目の遊技球Qは右側の排出口32から夫々排出され、下方に設置されたそれぞれのゲート部材19、20を通過する。尚、本実施形態では、3個の遊技球が連続して流入したとしても、3個目の遊技球は再び左側通路36aへ進入するように、ガイド片38の長さや筒状部49aの口径や上下長さ等が調整されている。すなわち、2個目の遊技球が1個目の遊技球を押し込むようにして振分通路36へ進入するため、3個目の遊技球が再び筒状部49a内でばたついている間に、1個目の遊技球がガイド片38の先端から離れ、3個目の遊技球が振分通路36へ進入する頃には振分部材35が通常姿勢へと復帰するようにガイド片38の長さ、筒状部49aの口径や上下長さ、底孔50の径等を設計している。
【0024】
(本実施形態のパチンコ機による効果)
以上のようなパチンコ機1によれば、振分通路36内へ進入してきた遊技球を左側通路36a又は右側通路36bへ振り分ける振分装置30において、進入してきた遊技球に押圧されて回転体37が回転することにより、振分部材35が右側通路36bへ遊技球を進入させない通常姿勢から、右側通路36bを開放する傾倒姿勢へと姿勢をかえるとともに、振分部材35に取り付けた重り42により、振分部材35が自動的に傾倒姿勢から通常姿勢へと復帰するように構成している。したがって、従来の振分装置と比較してモータ等の駆動装置を必要とせず、部品点数の削減に伴う低コスト化、及び振分装置30の小型化やモータの設置スペースが必要ないことによる設計自由度の向上等といった効果がある。
【0025】
また、振分装置30では、2個の遊技球が連続して流入しない限り、右側通路36bへ遊技球を振り分ける、すなわち右側の排出口32から遊技球を排出させることがない。したがって、このことを利用した従来にない斬新な遊技(たとえば、上述したように振分装置30へ2個の遊技球が連続して流入し、右側の排出口32から遊技球が排出された場合には、左側の排出口31から排出された場合よりも遊技者にとって有利な状況となるような遊技)を提供することができる。
【0026】
さらに、振分部30aの上方に誘導部30bを設けており、誘導部30bの誘導路45の最下流に、遊技球の直径よりも口径の大きな筒状部49aを備えた球受け部49を設け、遊技球を振分部材35により振り分ける(より具体的には、遊技球を進入口34へ進入させる)前に、球受け部49で僅かの間だけ滞留させるように構成している。したがって、流入口48へ流入する時点で連続していなくても、1個目の遊技球Pが球受け部49で滞留している間に2個目の遊技球Qが球受け部49へと到達するような間隔であれば、2個目の遊技球Qを右側通路36bへ進ませることができ、極めて稀にしか右側通路36bへ進まないといった事態の発生を防止することができる。
【0027】
加えて、直径Xmmの遊技球に対して筒状部49aの口径を17.0mmとしているため、2個目の遊技球Qが到達した際に1個目の遊技球Pを押し込むように連続して振分通路36へ進入させることができ、2個の遊技球P、Qが連続して流入したにも拘わらず、進入口34から進入する際には連続できず、2個の遊技球P、Qともに左側通路36aへ進んでしまうといった事態を防止することができる。
【0028】
(本発明の変更例)
なお、本発明のパチンコ機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、パチンコ機全体の構成、振分装置の構造や振分装置の下方にどのような部材を設けるのか等について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0029】
たとえば、上記実施形態では、振分装置30の各排出口31、32の下方に夫々ゲート部材19、20を設けているが、ゲート部材の代わりに入賞装置を設けることも可能である。そして、該入賞装置への入賞に伴い「大当たり抽選」を行うようにし、左側の入賞装置へ入賞した(左側の排出口31から排出された)場合よりも、右側の入賞装置へ入賞した(右側の排出口32から排出された)場合の方が「大当たり」となる確率が高くなっているようなパチンコ機としても何ら問題はない。
また、振分装置30の遊技領域16内での設置位置についても適宜変更可能であって、センター部材26の下方に、チューリップ式電動役物17に代えて振分装置30及び2つの入賞装置を設けてもよい。
【0030】
さらに、上記振分装置30では、振分部30aの上方に誘導部30bを設けているが、誘導部30bを設けない、すなわち遊技領域16内を流下する遊技球を進入口34へ直接進入させるような構成とすることも可能である。
また、ガイド片38の長さを長くすることにより、連続して振分通路36へ進入してきた3個の遊技球のうちの後の2個を右側通路36bへ振り分けるように構成することも可能であるし、スリット41や重り42の位置を変更する等することで、回転体37の回転方向を変更し、通常は右側通路36bへ、連続して進入してきた場合にのみ後の遊技球を左側通路36aへ進めさせるようにしても何ら問題はない。
【0031】
さらにまた、上記実施形態では振分部材35を通常姿勢へ復帰させる付勢部材として重り42を採用しているが、重り42を取り付けるのではなく、軸39にコイルバネを嵌装し、振分部材35を通常姿勢側へ付勢するような構成を採用することも可能である。
加えて、流入口48へ流入する遊技球をセンサ60で検出すると、振動検出センサをONとし、遊技機に対して衝撃を加える等の不正行為が行われていないかを検出するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1・・パチンコ機、2・・遊技盤、16・・遊技領域、19、20・・ゲート部材、30・・振分装置、30a・・振分部、30b・・誘導部、31、32・・排出口、33・・本体ケース、34・・進入口、35・・振分部材、36・・振分通路、36a・・左側通路(第2通路)、36b・・右側通路(第1通路)、37・・回転体、38・・ガイド片、39・・塞止片、40・・軸、41・・スリット(規制手段)、42・・重り(付勢部材)、43・・突起(規制手段)、45・・誘導路、46・・第1誘導部材、47・・第2誘導部材、48・・流入口、49・・球受け部、49a・・筒状部、49b・・絞り部、50・・底孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の前面に形成された遊技領域を流下する遊技球が進入可能な進入口と、前記進入口よりも下方に設けられ、前記進入口を介して進入してきた遊技球を排出する2つの排出口と、前記進入口と前記排出口とをつなぐ二股の通路を有する振分通路と、前記振分通路に設置され、前記振分通路へと進入してきた遊技球を振り分けて、何れかの前記排出口へつながる前記通路へ遊技球を進めさせる振分部材とを備えた振分装置が設置されてなるパチンコ機であって、
前記振分部材に、前記通路の少なくとも一部を塞ぐ塞止部を設けるとともに、
前記振分部材を、前記塞止部が前記排出口のうち一方の排出口へつながる第1通路の少なくとも一部を塞いでおり、前記第1通路へ遊技球が進むことを阻止する第1姿勢と、前記塞止部が他方の排出口へつながる第2通路の少なくとも一部を塞いでおり、前記第1通路へ遊技球が進むことを許容し且つ前記第2通路へ遊技球が進むことを阻止する第2姿勢とに変更可能とし、更に前記振分部材を前記第1姿勢に付勢する付勢手段を設けており、
前記振分部材は、前記振分通路へ進入してきた遊技球により押圧されると、前記第1姿勢から前記第2姿勢へと姿勢を変更し、当該遊技球については姿勢を変更する過程において前記第2通路へ進めさせる一方、前記付勢部材の付勢力によって前記第2姿勢から前記第1姿勢へと復帰するまでの間に前記振分通路へ進入してきた遊技球については、前記第1通路へ進めさせることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
前記排出口が左右方向で2つあり、前記振分部材が、前記振分通路に進入してきた遊技球を、左側の排出口へつながる左側通路と右側の排出口へつながる右側通路とに振り分ける振分装置が設置され、前記左側通路と前記右側通路との何れか一方が前記第1通路となり、何れか他方が前記第2通路となるパチンコ機であって、
前記振分部材は、前後方向を軸として左右へ回転する回転体の前面に、ガイド片と前記塞止部としての塞止片とを前面視V字状となるように配設してなり、
前記第1姿勢が、前記進入口を介して前記振分通路へ進入してきた遊技球が前記ガイド片と前記塞止片とのV字間に落下するような姿勢で、且つ、前記塞止片が前記第1通路の少なくとも一部を塞ぐ姿勢であり、
前記第2姿勢が、遊技球により前記ガイド片が押圧されて前記回転体が所定方向へ回転することにより、前記ガイド片が前記第2通路内へ傾倒し、前記塞止片が、前記第1通路を開放するとともに前記第2通路の少なくとも一部を塞ぐ姿勢であり、
更に、前記回転体が前記第1姿勢を超えて前記所定方向とは逆方向へ回転することを規制する規制手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
【請求項3】
前記進入口の上方に、前記遊技球よりも口径が大きな筒状部の底面に底孔を開設してなる球受け部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70703(P2013−70703A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209609(P2011−209609)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000241234)豊丸産業株式会社 (428)
【Fターム(参考)】