説明

パッドタイプ吸収性物品

【課題】肌あたりが良く、痒みやかぶれ等の要因になり難い等の綿繊維の利点を有しつつも、表面のべたつき又は過度の湿潤感、湿気感を十分に防止できるサイドフラップ部を備えた吸収性物品を提供する。
【解決手段】上記課題は、サイドフラップ部F1,F2の肌面側表面が、40重量%以上の綿繊維を含むサイド不織布層6により形成されており、且つこのサイド不織布層6は、少なくとも肌面側に多数の凹凸が形成されるとともに、この凹凸の凸部6p及び凹部6cのうち、少なくとも凸部6pの頂部に撥水剤6rが塗布され且つ凹部6cの底部に撥水剤が塗布されていない、吸収性物品により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生理用ナプキンのような、体液吸収部を有する本体部とその周囲に設けられたフラップ部とを有するパッドタイプ吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のパッドタイプ吸収性物品のサイドフラップ部は、例えば生理用ナプキンにおいて良く見られるようにショーツの外面に折り返すタイプ(以下、折返しフラップ部ともいう)のものと、長時間用生理用ナプキンに良く見られるようにショーツの外側に折り返されず、肌面と接するように且つ前記本体部の周囲への体液の漏れを受けるように延出されて使用されるもの(以下、カバーフラップ部ともいう)とがある。これらのサイドフラップ部は概念的かつ機能的に明確に区別される。すなわち前者は、物品をショーツに固定することをその主要機能とするものであり、後者は本体部から漏れた体液がショーツ等の被服に移るのを防止することを主要機能とするものである。
従来、これらのサイドフラップ部の表面材は、疏水性の高い合成繊維により形成されていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−290277号公報
【特許文献2】特開2003−284741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、折返しフラップ部は装着者の太股内側に、またカバーフラップ部は臀部表面に接するものであるため、これらのサイドフラップ部の表面が合成繊維により形成されていると、痒みやかぶれをもたらす、ムレ易く湿潤による不快感をもたらす、サイドフラップ部に漏れ出た排泄物が流れて衣服に付着する、といった問題をもたらすことがあった。
【0005】
この問題を解決する方法として、サイドフラップ部の表面材に、柔軟で肌当たりが良く、吸湿性に優れる脱脂綿繊維を混合することも考えられたが、単に脱脂綿繊維を混合するとサイドフラップ部表面の親水性が高くなるため、サイドフラップ部表面に排泄物が漏れ出た場合に、表面がべたつく又は過度の湿潤感をもたらすことが問題点であった。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、肌あたりが良く、痒みやかぶれ等の要因になり難い等の綿繊維の利点を有しつつも、表面のべたつき又は過度の湿潤感、湿気感を十分に防止できるサイドフラップ部を備えた吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
吸収体を内蔵する本体部と、本体部の幅方向両側に延出するサイドフラップ部とを有する、吸収性物品であって、
前記サイドフラップ部の肌面側表面が、40重量%以上の綿繊維を含むサイド不織布層により形成されており、且つ
このサイド不織布層は、少なくとも肌面側に多数の凹凸が形成されるとともに、この凹凸の凸部及び凹部のうち、少なくとも凸部の頂部に撥水剤が塗布され且つ凹部の底部に撥水剤が塗布されていない、
ことを特徴とする吸収性物品。
【0008】
(作用効果)
このように、サイドフラップ部の表面材として綿繊維高配合のサイド不織布層を採用したことにより、サイドフラップ部の肌あたりが良く、痒みやかぶれ等の要因になり難い等の綿繊維の数々の利点がもたらされる。しかも、単に綿繊維を混合するのではなく、サイド不織布層に凹凸が設けられるとともに、凸部の頂部に撥水剤が塗布され、凹部の底部には撥水剤が塗布されていないため、サイドフラップ部に漏出した排泄液や汗等の湿気は、撥水性の差によって凹部内への導入が促進されるとともに、装着者の肌に当接し難い底部に保持されて逆戻りし難くなり、主に装着者の肌に当接する凸部の頂部には保持され難い。よって、サイドフラップ部に接する肌にはべたつき感や、過度の湿潤感、湿気感がもたらされ難くなる。また、排泄液がサイドフラップ部表面に漏出して表面を伝って流れようとしても、サイドフラップ部表面の凹凸が移動障壁となって流れが止まり、凹部内に取り込まれ易くなるため、サイドフラップ部に漏れ出た排泄物が流れて衣服に付着するといった事態も発生し難くなる。
【0009】
<請求項2記載の発明>
前記凹凸における凹部として、
前後方向に沿って連続する波線状の凹部が、幅方向に間隔を空けて複数列形成されているか、又は
多数の凹部が前後方向に所定の間隔で列なって形成された凹部の列が、幅方向に間隔を空けて且つ隣接列の凹部の前後方向位置がズレるように複数列形成されている、
請求項1記載の吸収性物品。
【0010】
(作用効果)
前後方向に沿う連続線状の凹部を幅方向に間隔を空けて複数設けることにより、幅方向への排泄液の移動を幾重にも阻止することができる。ただし、単にそれだけであると、排泄液が凹部を伝って前後方向に走り、前後漏れの原因となるおそれがある。これに対して、上述のような波線状の連続凹部は、凹部の方向が周期的に変化するため排泄液が凹部に沿って流れ難い。また、複数の凹部列を凹部の前後方向位置をずらして設けた場合は、凹部が前後方向には不連続であるため、排泄液が凹部に沿って走ったとしてもその凹部の端部で止まり易い。しかも、隣接列の凹部の前後方向位置がズレているため、サイドフラップ部に漏出した排泄液が幅方向へ走っても、いずれかの列の凹部に突き当たり移動は阻止される。
【0011】
<請求項3記載の発明>
前記フラップ部に占める前記凹凸の凹部の面積の割合が10〜50%であり、前記凹凸における凹部の深さが1.0mm以上である、請求項1記載の吸収性物品。
【0012】
(作用効果)
上述の本発明の効果を十分に発揮させるためには、フラップ部の凹部はこのような十分な面積率及び十分な深さを有しているのが好ましい。
【0013】
<請求項4記載の発明>
前記凹凸は、前記フラップ部の肌側表面をなすサイド不織布層にエンボス加工若しくは波加工を施すことにより形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【0014】
(作用効果)
本発明の凹凸はこのような加工方法により形成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり本発明によれば、肌あたりが良く、痒みやかぶれ等の要因になり難い等の綿繊維の利点を有しつつも、表面のべたつき又は過度の湿潤感、湿気感を十分に防止できるフラップ部となる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る生理用ナプキンの展開状態における平面(吸収側面)図である。
【図2】本発明に係る生理用ナプキンの展開状態における底面(裏面若しくは外装面)図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】他の形態を示す断面図である。
【図5】別の形態を示す断面図である。
【図6】凹凸の各種パターンを示す生理用ナプキンの展開状態における平面(吸収側面)図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に示す生理用ナプキンへの応用例を参照しながら本発明の実施の形態について詳説する。なお、本発明はフラップ部を有するパッドタイプ吸収性物品であればパッドタイプのおむつ等にも適用できるものであるが、当業者であればその適用については容易に理解できることであるので説明は省略する。
図1は、本発明に係る生理用ナプキン1の展開状態での吸収側面を示しており、図2はその反対面すなわち外装面を示しており、図3は図1のIII−III断面を示している。この生理用ナプキン1は、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性トップシート3とを有する。これら両シート2,3間には、綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収コア4と、この吸収コア4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収コア4を包むクレープ紙5とを含む吸収体ABが、ナプキンの幅方向中央部に前端部から後端部まで介在されている。この吸収機能を発揮する製品中央部分が本体部を構成する。
【0018】
不透液性裏面シート2としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートがある。
【0019】
透液性トップシート3としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。特に好ましいのは、多孔性プラスチックシートである。透液性トップシート3に対しては図示しない表面エンボスを付与することができる。
【0020】
不透液性裏面シート2と透液性トップシート3との間に介在される吸収コア4は、たとえばフラッフ状パルプと吸水ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収コアを構成するパルプ中に例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
【0021】
また、透液性トップシート3と吸収コア4(具体的にはクレープ紙5)との間に厚手の親水性不織布からなる図示しない吸収促進シートを配設することもできる。この吸収促進シートは、平坦な筒状に折り畳んで2層構造とする他、折り畳まずに単層構造としても良い。吸収促進シートは肌当接面の全体にわたり設けても、幅方向中央且つ前後方向中間部(特に股間部)にのみ設けてもよい。かかる吸収促進シートを設けることで、経血やおりもの等(以下、まとめて体液という。)が速やかに吸収されることができるようになるとともに、肌と接触する表面はドライタッチ性に優れたものとなる。
【0022】
なお、図示形態のように、吸収コア4を囲繞するクレープ紙5を設け、結果的に透液性トップシート3と吸収コア4との間にクレープ紙5が介在するようにすれば、吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。このようにクレープ紙5は、体液を速やかに拡散させる機能を有するので、これを設けるときには吸収促進シートを省略することもできる。
【0023】
肌当接面の両側部には、製品長手方向に延在する横漏れ防止バリヤー30,30が設けられている。図3に示す形態では、製品長手方向に延在するバリヤーシート31の幅方向一端部が吸収コア4の側部に固定され、他端部が自由端とされ、かつ自由端側部分に弾性伸縮部材は32,32が長手方向に沿って伸張下に固定されている。そしてこのバリヤーシート31の製品の長手方向前後端部は折り重ねられた状態で相互に接合され、中間部分では接合されていない。これにより、使用状態においては、図3に示すように、弾性伸縮部材32,32の収縮力によりバリヤーシート31,31の中間部分が起立し、経血の横漏れ防止バリヤー30,30として機能する。
【0024】
他方、透液性トップシート3は吸収体ABを若干スケールアップした形状を有し、吸収体ABの表面全体を覆うように配置されている。不透液性裏面シート2は製品の平面形状と同じ形状を有しており、その両側部は吸収体ABの両側縁よりも側方に延出されており、この延出部分の表面側全体を覆うようにサイド不織布層6,6が積層接合されている。この接合手法としては、ホットメルト接着剤による接着、超音波シール、熱融着、熱圧着、またはこれらの組み合わせを採用することができる。
【0025】
特に図示形態のように、製品周縁部、具体的には裏面シート2及びサイド不織布層6,6の積層部分の自由端縁と、透液性トップシート3および不透液性裏面シート2の前後端縁は、ヒートシールb1,b2により強固に接合するのが好ましい。この接合縁の幅は少なくとも2〜10mm程度確保するのが望ましい。
【0026】
本実施形態では、かかる不透液性裏面シート2とサイド不織布層6,6との積層部分のうち特に股間部およびヒップ部が吸収体ABの側方に大きく延出され、これら各延出部分によって折返しフラップ部F1およびヒップカバーフラップ部F2がそれぞれ形成されている。図2および図3に示すように、フラップ部F1,F2の裏面には裏面シート2上に粘着剤層20が形成されており、これによってショーツに対する止着がなされる。フラップ部F1,F2は製品提供段階では本体部裏面側若しくは表面側に折り畳み本体部の裏面又は表面に粘着固定しておくこともできるが、この場合カバーフラップ部F2は少なくとも使用状態では前述のとおり肌面と当接されるように戻される。
【0027】
透液性トップシート3として不織布を用いる場合、図4に示すように透液性トップシート3を本体部の側方に延出させて、この延出部分によりフラップ部F1,F2の肌側表面のサイド不織布層6,6を形成したり、横漏れ防止バリヤー30,30のバリヤーシート31,31として不織布を用いる場合、図5に示すようにバリヤーシート31,31を本体部の側方に延在させ、この延出部分によりフラップ部F1,F2の肌側表面のサイド不織布層6,6を形成したりしても良い。
【0028】
特徴的には、サイド不織布層6,6は、40重量%以上の綿繊維を含む不織布層からなるものとされる。また、図3に拡大して示すように、サイド不織布層6,6は、少なくとも肌面側に多数の凹凸が形成されるとともに、この凹凸の凸部6p及び凹部6cのうち、少なくとも凸部6pの頂部に撥水剤6r(網掛部分)が塗布され且つ凹部6cの底部に撥水剤が塗布されていない。
【0029】
このような構造では、サイド不織布層6,6に高配合された綿繊維によりサイドフラップ部F1,F2の肌あたりが良く、痒みやかぶれ等が発生し難くなる。しかも、サイドフラップ部F1,F2に漏出した排泄液や汗等の湿気は、撥水性の差によって凹部6c内への導入が促進されるとともに、装着者の肌に当接し難い底部6cに保持されて逆戻りし難くなり、主に装着者の肌に当接する凸部6pの頂部には保持され難い。よって、サイドフラップ部F1,F2に接する肌にはべたつき感や、過度の湿潤感、湿気感がもたらされ難くなる。また、排泄液がサイドフラップ部F1,F2表面に漏出して表面を伝って流れようとしても、サイドフラップ部F1,F2表面の凹凸6p,6cが移動障壁となって流れが止まり、凹部6c内に取り込まれ易くなるため、サイドフラップ部F1,F2に漏れ出た排泄物が流れて衣服に付着するといった事態も発生し難くなる。
【0030】
サイド不織布層6,6は、綿繊維単独で使用することもできるが、毛羽立ちが生じやすいため、合成繊維と混合して使用することが好ましい。合成繊維と混合して形成された不織布は、熱融着性を有し裏面シートと溶着しやすい、液透過性に優れる、コシのあるシートとなるため皺やよじれによる液漏れが起こりにくい、等の利点を有する。不織布を形成する繊維の混合割合は、綿繊維が40〜100重量%、合成繊維が60〜0重量%であり、より好適には、綿繊維を40〜60重量%、合成繊維を60〜40重量%とする。最適な条件として、綿繊維約50重量%、合成繊維約50重量%を混合して形成した不織布を好ましく使用できる。サイド不織布層6,6の厚みは0.1〜2.0mm、特に0.5〜1.2mm、繊維目付けは25〜60g/m2、特に30〜40g/m2であるのが好ましい。綿繊維としては、木綿の原綿、精練・漂白した綿繊維あるいは精練・漂白後、染色を施した綿繊維、精練・漂白した脱脂綿繊維、さらには糸もしくは布帛になったものを解繊した反毛等、あらゆる綿繊維を使用できるが、特に綿繊維の油分により繊維の状態でも若干撥水性を備えた未脱脂綿が好ましい。合成繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等、もしくはその複合繊維、共重合体、ブレンド体を使用することができる。使用される繊維の繊維長は、長繊維、短繊維、あるいはこれらを混合したもののうち、いずれを使用してもよい。繊度は、1.0〜3.0dtexが好ましい。
【0031】
凹凸のパターンは適宜設けることができる。図6は、凹凸パターンの例を挙げたものであり、図6(a)に示される例は図1に示される例と同様に、前後方向に沿って連続する直線状の凹部6cが、幅方向に間隔を空けて複数列形成されているものである。これに対して、図6(b)に示される例は凹部6cが波線状になっている点が相違するものである。一方、図6(c)及び(d)に示される例は、多数の凹部6cが前後方向に所定の間隔で列なって形成された凹部6cの列が、幅方向に間隔を空けて且つ隣接列の凹部6cの前後方向位置がズレるように複数列形成されているものであり、図6(c)に示される例は個々の凹部6cが点状をなしているのに対して、図6(d)に示される例は個々の凹部6cが前後方向に沿う直線状をなしている点で相違するものである。
【0032】
図6(a)に示されるパターンでは、排泄液が凹部6cを伝って前後方向に走り、前後漏れの原因となるおそれがあるのに対して、図6(b)に示される波線状の連続凹部6cは、凹部6cの方向が周期的に変化するため排泄液が凹部6cに沿って流れ難い利点がある。また、図6(c)及び(d)に示される例では、複数の凹部6cの列が凹部6cの前後方向位置をずらして設けられており、凹部6cが前後方向には不連続であるため、排泄液が凹部6cに沿って走ったとしてもその凹部6cの端部で止まり易い。しかも、隣接列の凹部6cの前後方向位置がズレているため、サイドフラップ部F1,F2に漏出した排泄液が幅方向へ走っても、いずれかの列の凹部に突き当たり移動は阻止される。
【0033】
凹凸の寸法等は適宜定めることができるが、上述の本発明の効果を十分に発揮させるためには、フラップ部の凹部6cは十分な面積率及び十分な深さを有しているのが好ましい。具体的には、サイドフラップ部F1,F2に占める凹部6cの面積の割合は10〜50%、特に15〜25%であるのが好ましく、前記凹凸における凹部の深さが1.0mm以上、特に1.5mm以上であるのが好ましい。
【0034】
サイド不織布層6,6の凹凸は、適宜の製造方法により形成することができるが、エンボス加工若しくは波加工により形成するのが好ましい。また、撥水剤6rは、凹凸形成後の不織布基材に対して肌当接面側の凸部6pにのみロール転写等により塗布することによって、凸部6pの少なくとも頂部に撥水剤6rが塗布され且つ凹部6cの底部には撥水剤が塗布されないサイド不織布層6を得ることができる。
【0035】
撥水剤6rとしては、パラフィン系、シリコン系等の既知のもののうち、肌への刺激性の少ないものを適宜選択して使用することができるが、ステアリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸マグネシウム等の刺激性の少ない油脂を適宜選択して使用することがより好ましい。生理用ナプキンにおいてステアリン酸化合物を含む撥水剤を用いる場合、その塗布量は、繊維100重量部に対して、0.05〜0.15重量部とするのが好ましい(両面塗布の場合は両面の塗布量合計)。より好ましい塗布量は約0.08〜0.12重量部である。撥水剤塗布量は、0.05重量部未満であると撥水効果が不足することがあり、0.15重量部を超えると撥水性が高すぎ、かえって水分を透過しづらくなる。
【0036】
撥水剤6rの塗布量等はサイド不織布層6,6の厚みや目付等の条件に応じて適宜定めることができるが、肌当接面の吸水度(JIS L 1907 バイレック法)は、0mm〜5mm、好適には0mm〜2mmとなるようにする。また凹部6cの底部まで浸透しない程度とするのが好ましい。
【0037】
<その他>
本発明は、折返しフラップ部F1およびカバーフラップ部F2のいずれか一方を省略した形態にも適用できる。また、折返しフラップ部F1およびカバーフラップ部F2のいずれか一方のみ、本発明のサイド不織布層を採用することもできる。なお、カバーフラップ部の前後方向位置は適宜定めることができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、生理用ナプキン等の、体液吸収部を有する本体部とその周囲に設けられたフラップ部とを有するパッドタイプ吸収性物品に適用できるものである。
【符号の説明】
【0039】
1…生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…透液性トップシート、4…吸収コア、5…クレープ紙、6…サイド不織布層、F1…折返しフラップ部、F2…ヒップカバーフラップ部、6p…凸部、6c…凹部、6r…撥水剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体を内蔵する本体部と、本体部の幅方向両側に延出するサイドフラップ部とを有する、吸収性物品であって、
前記サイドフラップ部の肌面側表面が、40重量%以上の綿繊維を含むサイド不織布層により形成されており、且つ
このサイド不織布層は、少なくとも肌面側に多数の凹凸が形成されるとともに、この凹凸の凸部及び凹部のうち、少なくとも凸部の頂部に撥水剤が塗布され且つ凹部の底部に撥水剤が塗布されていない、
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記凹凸における凹部として、
前後方向に沿って連続する波線状の凹部が、幅方向に間隔を空けて複数列形成されているか、又は
多数の凹部が前後方向に所定の間隔で列なって形成された凹部の列が、幅方向に間隔を空けて且つ隣接列の凹部の前後方向位置がズレるように複数列形成されている、
請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記フラップ部に占める前記凹凸の凹部の面積の割合が10〜50%であり、前記凹凸における凹部の深さが1.0mm以上である、請求項1記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記凹凸は、前記フラップ部の肌側表面をなすサイド不織布層にエンボス加工若しくは波加工を施すことにより形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−279605(P2010−279605A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136224(P2009−136224)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】