説明

パッドホルダー

【課題】吸収性パッドがパッドホルダーの適正な位置に配されているか否かを、パッドホルダーを着用した状態で容易に判断できるパッドホルダーを提供すること。
【解決手段】本発明のパッドホルダー1は、ウエスト開口部2及び一対のレッグ開口部3を有するパンツ型で、その股部領域b2の肌対向面上に吸収性パッド4を配して着用可能なものであり、幅方向中央領域Tは、幅方向サイド領域Sよりも、全光線透過率の高い部分を含んでいる。パッドホルダー1は、幅方向中央領域Tにおいて、股部領域b2及び股部領域d2を合わせた領域の少なくとも50%以上の領域が、全光線透過率50%以上の高光透過率部7を有し、幅方向サイド領域Sの少なくとも75%以上の領域が、全光線透過率40%以下の低光透過率部8を有している。パッドホルダー1には、着脱可能に固定する固定手段により高光透過率部7上に吸収性パッド4が固定されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性パッドを配して着用するパッドホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院、老人ホーム、在宅介護等において、パッドホルダーの股部領域の肌対向面上に吸収性パッドを取り付けた状態で、介護者が要介護者にパッドホルダーを着用させ、要介護者が排泄した場合は、吸収性パッドのみを新品に交換し、パッドホルダーを再利用することが行われている。使い捨ておむつ等を使用する場合に比して、ゴミの量やコストの削減を図ることができるため、吸収性パッド及びパッドホルダーはセットで利用されている。
【0003】
しかしながら、要介護者に着用させた状態で、吸収性パッドがパッドホルダーの適正な位置に配されているか否かを、介護者が判断することが出来ず、不便であった。また、吸収性パッドがパッドホルダーの適正な位置に配されているか否かをパッドホルダーを捲って何度も確認すると、要介護者の尊厳を傷つけてしまう。
【0004】
例えば、特許文献1には、固定用パンティブリーフに、目の粗い編地で形成された窓を設け、パッドホルダーの適正な位置に吸収性物品が配されていることを、介護者が確認できる固定用パンティブリーフが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平8−509400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の固定用パンティブリーフの窓は、非常に小さいため、吸収性パッドが適正な位置に配されているか否かについて、未だ判断し難い。また、特許文献1に記載の固定用パンティブリーフの窓は、目の粗い編地で形成されていると記載されているのみで、どれほどの透過率を有する部材で形成されているかについては具体的に何ら記載されていない。
【0007】
したがって、本発明の課題は、吸収性パッドがパッドホルダーの適正な位置に配されているか否かを、パッドホルダーを着用した状態で容易に判断できるパッドホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有するパンツ型で、その股部領域の肌対向面上に吸収性パッドを配して着用可能なパッドホルダーであって、幅方向中央領域は、その全光線透過率が、幅方向サイド領域の全光線透過率よりも高い部分を含み、前記幅方向中央領域において、前記股部領域の少なくとも50%以上の領域が、前記全光線透過率50%以上の高光透過率部であり、該高光透過率部は、前記股部領域の下端から前記ウエスト開口部の開口縁に向かって延在しており、前記幅方向サイド領域の少なくとも75%以上の領域が、前記全光線透過率40%以下の低光透過率部であり、前記吸収性パッドの少なくとも一部を着脱可能に固定する固定手段を備え、該固定手段によって、前記吸収性パッドが前記高光透過率部上に固定されうるパッドホルダーを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパッドホルダーによれば、着用した状態で、吸収性パッドがパッドホルダーの適正な位置に配されているか否かを容易に判断できる。そのため、介護者にとって、有効であり、また、要介護者にとって、尊厳が傷つけられ難い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施形態であるパッドホルダーを前身頃と後身頃の肌対向面同士を面接させて平面状とした状態(自然状態)を、前身頃側から見た状態を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示すパッドホルダーの使用状態(着用状態)を前身頃側から見た図である。
【図3】図3は、図1に示すパッドホルダーの高光透過率部7を伸張させた状態を示す正面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態であるパッドホルダーの使用状態(着用状態)を前身頃側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のパッドホルダーの好ましい実施形態について、図1〜図4に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態のパッドホルダー1は、図1〜図2に示すように、ウエスト開口部2及び一対のレッグ開口部3,3を有するパンツ型で、その股部領域b2の肌対向面上に吸収性パッド4を配して着用可能なものであり、幅方向(以下「X方向」という。X方向:パッドホルダー1の長手方向に延びる中心線CLに垂直な方向をいう。)中央領域Tは、その全光線透過率が、幅方向サイド領域Sの全光線透過率よりも高い部分を含んでいる。
パッドホルダー1は、図1に示すように、中心線CLに対して左右対称に形成されている。
尚、図1は自然状態でのパッドホルダー1を示し、図2は着用状態でのパッドホルダー1を示す。
【0013】
パッドホルダー1について、詳述すると、パッドホルダー1は、図1に示すように、所謂ボクサーパンツ型(トランクス型)であり、筒状の胴回り部5及び一対の筒状の脚回り部6,6を有している。パッドホルダー1は、図2に示すように、着用時にレッグ開口部3が股下よりも下方に位置する。パッドホルダー1は、図1に示すように、筒状の胴回り部5の長手方向(以下「Y方向」という。Y方向:パッドホルダー1の長手方向に延びる中心線CLに平行な方向をいう。)上端には、着用者のウエスト部分が挿通されて密着されるウエスト開口部2が開口している。また、パッドホルダー1は、一対の筒状の脚回り部6,6それぞれの長手方向(Y方向)下端には、着用者の各太腿付近が挿通されて密着されるレッグ開口部3が開口している。
【0014】
パッドホルダー1は、長手方向(Y方向)において、上述の通り、胴回り部5及び脚回り部6を有している。パッドホルダー1の胴回り部5は、図1に示すように、ウエスト開口部2の周縁部を含むウエスト領域Aと、着用時に着用者の腹側に配される腹部領域Bと、着用時に着用者の背側に配される背部領域Dとから形成されている。パッドホルダー1の腹部領域Bは、図1に示すように、ウエスト領域Aの下端と腹部領域Bの下端51(股下の最下端)との間の領域であり、その間の距離を二等分する直線SLより上方に位置する胴部領域b1と、直線SLより下方に位置する股部領域b2から形成されている。パッドホルダー1の背部領域Dについても、腹部領域Bと同様に、胴部領域d1と、股部領域d2とから形成されている。パッドホルダー1は、図1に示すように、レッグ開口部3の周縁部を含む脚回り部6からなる太腿領域Cを有している。
【0015】
図1に示すように、ウエスト領域Aの上端から下端までの距離(ウエスト領域Aの範囲)L2は、50mmである。ウエスト領域Aの上端から太腿領域Cの下端までの距離L1は、270mm〜450mmであることが好ましく、ウエスト領域Aの下端から太腿領域Cの上端までの距離(腹部領域B,背部領域Dの範囲)L3は、210mm〜330mmであることが好ましく、太腿領域Cの上端(股部領域b2の下端51)から太腿領域Cの下端までの距離(太腿領域Cの範囲)L4は、10mm〜130mmであることが好ましい。
【0016】
パッドホルダー1は、図1に示すように、幅方向(X方向)において、一対の幅方向サイド領域S,Sと、幅方向サイド領域S,Sの間に位置する幅方向中央領域Tとから形成されている。一対の幅方向サイド領域S,S及び幅方向中央領域Tそれぞれは、図1に示すように、胴回り部5における二等分直線SLでの幅を、三等分した領域である。
【0017】
図1に示すように、前述の二等分直線SLでの幅W1は、280mm〜400mmであることが好ましく、ウエスト開口部2の開口縁21での幅W2は、180mm〜300mmであることが好ましい。このように幅W1は幅W2よりも大きいことが好ましく、その差(W1−W2)が、70〜130mmであることが装着性およびフィット性の観点から好ましい。レッグ開口部3の開口縁31での幅W3は、140mm〜200mmであることが好ましい。
図1に示す股間幅W4は40〜120mmであることが好ましく、60〜100mmであることが好ましい。当該範囲の場合、製品股間部が着用者の股下に密着しやすくなることによって肌から吸収性パッド4が浮き上がってしまうことが抑制され、吸収性パッド4および吸収性パッド4上のインジケーター処理部41の視認性が良好となる。好ましい股間幅W4の形成方法としては、丸編機により製造された伸縮性に富む筒状の編地を形成し、股間部を形成する部分を裁断、縫製する等の方法が挙げられる。
【0018】
パッドホルダー1は、図1に示すように、幅方向中央領域は、その全光線透過率が、幅方向サイド領域の全光線透過率よりも高い部分を含むようになっている。全光線透過率は、JIS K7150(測定法A)に準処して測定される〔測定装置:(株)村上色彩技術研究所製 HR−100〕。パッドホルダー1は、図1に示すように、腹部領域B及び背部領域Dを合わせた領域の幅方向中央領域Tにおいて、股部領域b2及び股部領域d2を合わせた領域の少なくとも50%以上の領域が、全光線透過率50%以上の高光透過率部7を有している。パッドホルダー1は、図1に示すように、腹部領域B及び背部領域Dを合わせた領域における幅方向サイド領域Sの少なくとも75%以上の領域が、全光線透過率40%以下の低光透過率部8を有している。本実施形態のパッドホルダー1においては、腹部領域B及び背部領域Dそれぞれの幅方向中央領域Tにおいて、股部領域b2,d2の少なくとも50%以上の領域が、全光線透過率50%以上の高光透過率部7を有しており、腹部領域B及び背部領域Dそれぞれの幅方向サイド領域Sの少なくとも75%以上の領域が、全光線透過率40%以下の低光透過率部8を有している。
【0019】
パッドホルダー1は、視認性の観点から、腹部領域B及び背部領域Dを合わせた領域の幅方向中央領域Tにおける高光透過率部7が、股部領域b2及び股部領域d2を合わせた領域の75%以上の領域であることが好ましく、90%以上の領域であることが更に好ましい。また、パッドホルダー1は、肌の隠蔽性の観点から、腹部領域B及び背部領域Dを合わせた領域の低光透過率部8が、幅方向サイド領域Sの80%以上の領域であることが好ましく、90%以上の領域であることが更に好ましい。
【0020】
パッドホルダー1は、図1に示すように、腹部領域Bの高光透過率部7が、股部領域b2の下端51(股下の最下端)からウエスト開口部2の開口縁21に向かって延在しており、背部領域Dにおいても腹部領域Bと同様に、背部領域Dの高光透過率部7が、股部領域d2の下端51(股下の最下端)からウエスト開口部2の開口縁21に向かって延在している。本実施形態のパッドホルダー1においては、腹部領域Bの高光透過率部7が、股部領域b2の下端51(股下の最下端)からウエスト開口部2の開口縁21に向かってその幅が広がるように形成されており、背部領域Dにおいても腹部領域Bと同様に、背部領域Dの高光透過率部7が、股部領域d2の下端51(股下の最下端)からウエスト開口部2の開口縁21に向かってその幅が広がるように形成されている。
【0021】
本実施形態のパッドホルダー1においては、図1に示すように、腹部領域Bの高光透過率部7が、股部領域b2から胴部領域b1に跨るとともに、ウエスト開口部2を含むウエスト領域Aにはかからない位置に配されている。背部領域Dにおいても腹部領域Bと同様に、パッドホルダー1においては、背部領域Dの高光透過率部7が、股部領域d2から胴部領域d1に跨るとともに、ウエスト開口部2を含むウエスト領域Aにはかからない位置に配されている。即ち、本実施形態のパッドホルダー1においては、図1に示すように、腹部領域B及び背部領域Dの何れにおいても、高光透過率部7の長手方向(Y方向)上端71が、二等分直線SLとウエスト領域Aの下端との間の位置に配されている。
【0022】
本実施形態のパッドホルダー1においては、図1に示すように、腹部領域Bの高光透過率部7に、幅方向(X方向)に延びる帯模様72を有している。背部領域Dにおいても腹部領域Bと同様である。本実施形態のパッドホルダー1においては、図1に示すように、腹部領域B及び背部領域Dのそれぞれにおいて、帯模様72が、パッドホルダー1の長手方向(Y方向)に対して間欠的に複数本配されており、パッドホルダー1の股下側(股部領域b2,d2の下端51側)からウエスト開口部2の開口縁21に向かうにしたがって幅方向(X方向)の長さが長くなっている。腹部領域B及び背部領域Dのそれぞれにおいて、帯模様72は、長手方向(Y方向)に間欠的に2本〜5本配されていることが好ましく、本実施形態のパッドホルダー1においては、図1に示すように、三本ずつ配されている。図1に示す各帯模様72は、その幅が、3〜25mmであることが好ましく、5〜15mmであることが更に好ましい。当該帯模様72は高光透過率部7の他の部分よりも光透過率が低い場合、高い場合のいずれでも良い。また、帯模様72が低光透過率部8以下の光透過率であっても良いが、その場合には、帯模様72部分は高光透過率部7の面積から除外される。
【0023】
パッドホルダー1は、図2に示すように、その股部領域b2,d2の肌対向面上に吸収性パッド4を配して着用可能となる。パッドホルダー1は、図1,図2に示すように、吸収性パッド4の少なくとも一部を着脱可能に固定する固定手段73を備え、固定手段73によって、吸収性パッド4が高光透過率部7上に固定される。吸収性パッド4は、一般な吸収性パッドであり、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート及びこれら両シート間に挟持固定された吸収性コアを備えている。吸収性パッド4は、裏面シート側の面に、パッドホルダー1に固定するための固定手段(固定手段73に対応する手段)を有するものでも有しないものであっても良い。また、吸収性パッド4は、図2に示すように、吸収性コア及び裏面シートの間に、吸収性パッド4の長手方向に延在する、排尿の有無を視覚的に認識させるインジケーター処理部41を有している。吸収性パッド4の構成は、一般的な吸収性パッドと同様である。吸収性パッド4の固定の観点から、吸収性パッド4は、裏面シート側の面に、パッドホルダー1に固定するための固定手段を有していることが好ましく、固定手段としては装着簡便性、ズレ防止性の観点からメカニカルファスナー(オス材)が好ましい。メカニカルファスナー(オス材)はインジケーター処理部41の視認性を阻害しないように、吸収性パッド4の前後端近傍に配されていることが好ましい。
【0024】
パッドホルダー1は、図2に示すように、吸収性パッド4が適切な位置に配されているか否かを、介護者が、高光透過率部7を通してパッドホルダー1の外表面(非肌対向面側)から認識できるように形成されている。また、パッドホルダー1は、図2に示すように、要介護者が排尿した場合には、吸収性パッド4のインジケーター処理部41が高光透過率部7を通してパッドホルダー1の外表面(非肌対向面側)から、介護者によって、認識できるように形成されている。
【0025】
本実施形態のパッドホルダー1の形成材料について説明する。
パッドホルダー1において、ウエスト開口部2の周縁部を除く胴回り部5、及び一対のレッグ開口部の周縁部を除く一対の筒状の脚回り部6,6それぞれの形成材料としては、伸縮性シートが用いられる。伸縮性シートとしては、編地、伸縮性不織布等が用いられ、編地を用いることが好ましい。特に、糸自体が伸縮性を有すると共に、伸縮性の発現し易い編み方で形成された編地を用いることが好ましい。本実施形態のパッドホルダー1においては、胴回り部5は、丸編機により製造された伸縮性に富む筒状の編地から形成されており、一対の筒状の脚回り部6,6は、丸編機により製造された、胴回り部5とは別体の伸縮性に富む筒状の編地から形成されている。即ち、パッドホルダー1の胴回り部5は、前身頃と後身頃とをつなぎ合わせる継ぎ目が無いように形成されている。
【0026】
パッドホルダー1においては、胴回り部5は、上述したように、全光線透過率50%以上の高光透過率部7、全光線透過率40%以下の低光透過率部8、高光透過率部7及び低光透過率部8以外の部位を有しており、丸編機等により、それぞれの編み方を異なるようにして形成されている。高光透過率部7は、低光透過率部8、及び高光透過率部7及び低光透過率部8以外の部位よりも低密度で編まれていることが好ましく、低光透過率部8は、高光透過率部7、及び高光透過率部7及び低光透過率部8以外の部位よりも高密度で編まれていることが好ましい。
【0027】
高光透過率部7の最大開口距離dは、図3に示すように、150%伸張時において、2〜10mmであることが好ましく、4〜8mmであることが更に好ましい。
低光透過率部8の最大開口距離は、150%伸張時において、1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることが更に好ましい。高光透過率部7及び低光透過率部8の上記最大開口距離は、次のように測定される。
【0028】
<最大開口距離dの測定方法>
測定対象のパッドホルダーから、高光透過率部7及び低光透過率部8それぞれを、長手方向(Y方向)に50mm、幅方向(X方向)に50mmの寸法の正方形形状に切り出し、これらの切り出された正方形形状を各測定サンプルとする。
測定サンプルを、長手方向(Y方向)に75mm、幅方向(X方向)に75mmの寸法の黒台紙上に、伸張させて貼り付ける(図3参照)。このように貼り付けることにより、測定サンプルは、150%に伸張させられている。黒台紙上に貼り付けられた測定サンプルの中心から長手方向(Y方向)に±15mm、幅方向(X方向)に±15mmの範囲内にある糸同士の間の最長距離(最大開口距離d)を目視にて3点測定し、それらの平均値により求める。
【0029】
高光透過率部7は、その最大伸長率が、長手方向(Y方向)及び幅方向(X方向)それぞれにおいて、50〜400%であることが好ましく、150〜350%であることが更に好ましい。また、低光透過率部8は、その最大伸長率が、長手方向(Y方向)及び幅方向(X方向)それぞれにおいて、50〜400%であることが好ましく、50〜200%であることが更に好ましい。最大伸長率とは、それ以上伸ばせない長さ(材破する直前の長さ)まで伸長したときの伸長率である。高光透過率部7及び低光透過率部8の最大伸長率は、次のように測定される。
【0030】
<最大伸長率の測定方法>
パッドホルダー1の高光透過率部7から、長手方向(Y方向)に100mm、幅方向(X方向)に50mmの寸法の長方形形状を切り出し、この切り出された長方形形状を長手方向(Y方向)最大伸長率測定用サンプルとする。
この測定サンプルを、その長手方向(パッドホルダー1の長手方向(Y方向)と同方向)が引っ張り方向となるように、引張試験機のチャックに取り付ける。チャック間距離は50mm(チャック部は測定用サンプルの前後25mmの部分)とする。測定サンプルを300mm/分で引っ張り、材破する直前の長さまで伸長させ、下記式(1)から長手方向(Y方向)の最大伸長率が求められる。
幅方向(X方向)の最大伸長率は、幅方向(X方向)の最大伸長率測定用サンプルを、高光透過率部7から、長手方向(Y方向)に50mm、幅方向(X方向)に100mmの寸法の長方形形状に切り出したサンプルを、その長手方向(パッドホルダー1の幅方向(X方向)と同方向)が引っ張り方向となるように取り付ける以外は、長手方向(Y方向)の最大伸長率と同様に測定する。低光透過率部8の最大伸長率についても、高光透過率部7の最大伸長率と同様に測定する。
最大伸長率(%)={(伸長後の長さ−伸長前の長さ)/伸長前の長さ}×100%・・・(1)
【0031】
パッドホルダー1における高光透過率部7の帯模様72は、丸編機等により、高光透過率部7の編み方と異なるようにして形成されている。具体的には、図1に示す帯模様72は、高光透過率部7よりも密度が高くなるように形成されていてもよく、模様を異ならせて形成されていてもよい。また、帯模様72は、高光透過率部7を形成する部材とは異なる部材を貼り付けて形成されていてもよく、高光透過率部7と色の異なる部材から形成されていてもよい。尚、帯模様72を高光透過率部7の他の部位よりも伸縮性の抑えた伸縮抑制部とすることによって、吸収性パッド4のズレを効果的に防止できる観点から、帯模様72としては、高光透過率部7よりも密度が高くなるように形成することが好ましい。
【0032】
パッドホルダー1における固定手段73としては、メカニカルファスナー、粘着剤、アンチスリッピング材、ボタン、フック、ファスナー、磁石等の手段が挙げられる。
吸収性パッド4には固定手段73に対応した固定手段を有していることが好ましい。また、着用者の肌への負担低減(矩形状の吸収性パッド4の四つ角を直接肌に触れさせない)の観点から、パッドホルダー1の腹部領域B及び背部領域Dそれぞれの肌面側に、吸収性パッド4の長手方向の両端部をそれぞれ差し込む帯状の差し込みバンドを配置し、差し込みバンドの非肌面側に固定手段73を設けて吸収性パッド4を固定しても良い。差し込みバンドは伸縮性を有していることが吸収性パッド4の装着性、保持性の観点から好ましい。
【0033】
パッドホルダー1のウエスト開口部2の周縁部には、ウエスト部弾性部材が伸張状態で環状に配されており、これによりウエストギャザーが形成されている。ウエスト部弾性部材は、縫い付け、あるいは接着剤等を用いた貼り付け等により、ウエスト開口部2の周縁部に固定されている。ウエスト部弾性部材としては、例えば、ポリウレタン繊維で形成された伸縮性織布、合成ゴムシート、天然ゴムシート等が用いられる。
【0034】
パッドホルダー1のレッグ開口部3の周縁部には、レッグ部弾性部材が伸張状態で環状に配されており、これにより太腿ギャザーが形成されている。レッグ部弾性部材は、縫い付け、あるいは接着剤等を用いた貼り付け等により、レッグ開口部3の周縁部に固定されている。レッグ部弾性部材としては、上述したウエスト部弾性部材と同様のものを用いることができる。
【0035】
次に上述した本発明の実施形態のパッドホルダー1を使用した際の作用効果について説明する。
パッドホルダー1は、図1に示すように、幅方向中央領域Tには全光線透過率が、幅方向サイド領域Sの全光線透過率よりも高い部分を含んでおり、幅方向中央領域Tにおいて、股部領域b2及び股部領域d2を合わせた領域の少なくとも50%以上の領域が、全光線透過率50%以上の高光透過率部7を有している。幅方向中央領域Tは、胴回り部5を幅方向(X方向)に三等分した領域の一つであり、股部領域b2,d2は、胴回り部5を長手方向(Y方向)に二等分する直線SLより下方に位置する股部領域b2でる。このように、高光透過率部7は、範囲が広く、且つ全光線透過率が50%以上であるので、介護者が要介護者に着用させる前、即ち、吸収性パッド4をパッドホルダー1の内側に装着させる際に、パッドホルダー1の内側から覗くと、高光透過率部7を通して光が通過して見える。その為、吸収性パッド4をパッドホルダー1の適正な位置に配することができる。また、着用した状態で、吸収性パッド4がパッドホルダー1の適正な位置に配されているか否かを、介護者が容易に判断できるので、有効であり、パッドホルダー1を何度も捲って確認する必要が少なくなるので、要介護者の尊厳を傷つけ難い。
【0036】
また、パッドホルダー1は、図1に示すように、幅方向サイド領域Sの少なくとも75%以上の領域が、全光線透過率40%以下の低光透過率部8を有している。パッドホルダー1は、図2に示すように、着用時には、吸収性パッド4によって股間部が被覆され、幅方向サイド領域Sの低光透過率部8によって肌が露出し難いので、着用者の尊厳を傷つけ難い。
【0037】
また、パッドホルダー1は、図1に示すように、吸収性パッド4を固定する固定手段73を備えているので、着用初期や使用時に、吸収性パッド4が高光透過率部7から外れ難く、視認性に優れている。
固定手段73により吸収性パッド4を確実に高光透過率部7に配置することが可能となるので、吸収性パッド4の装着状態を介護者がパッドホルダー1の外表面から常時容易に視認することができる。
【0038】
また、パッドホルダー1は、図2に示すように、要介護者の排尿の有無を視覚的に認識させるインジケーター処理部41を、高光透過率部7を通して、介護者がパッドホルダー1の外表面から視認することができるので、介護者にとって、有効であり、また、要介護者にとって、尊厳が傷つけられ難い。
固定手段73により吸収性パッド4を確実に高光透過率部7に配置することが出来るので、要介護者の排尿の有無を介護者がパッドホルダー1の外表面から常時容易に視認することができる。
【0039】
また、パッドホルダー1は、図2に示すように、高光透過率部7が、股部領域b2,d2の下端51(股下の最下端)からウエスト開口部2の開口縁21に向かってその幅が広がるように形成(逆三角形状に形成)されているので、吸収性パッド4の着用状態が外表面から容易に認識できる。その為、吸収性パッド4のズレによる漏れを事前に防止することができる。具体的には、一般的に、着用後の吸収性パッド4は、パッドホルダー1の股下を支点として左右にズレ易く、股下から遠く離れた吸収性パッド4の長手方向(Y方向)前後端部の方が、股下に位置する吸収性パッド4の部分に比べ、左右方向に大きくズレ易い。しかし、上述したように、高光透過率部7が逆三角形状に形成されているので、吸収性パッド4の長手方向(Y方向)前後端部のズレを容易に確認することができる。
【0040】
また、パッドホルダー1は、図2に示すように、高光透過率部7が、股部領域b2,d2から胴部領域b1,d1に跨るとともに、ウエスト開口部2を含むウエスト領域Aにはかからない位置に配されている。即ち、吸収性パッド4の配される部分は、高光透過率部7であり、吸収性パッド4の配されない部分は、大部分が、低光透過率部8であるので、外表面から見て、肌が露出し難く、着用者の尊厳を傷つけ難い。
【0041】
また、パッドホルダー1は、図2に示すように、幅方向(X方向)に延びる帯模様72を有しているので、吸収性パッド4の着用位置を一目で容易に認識することができ、着用ミスを防止することができる。また、パッドホルダー1は、図2に示すように、帯模様72が、パッドホルダー1の長手方向(Y方向)に対して間欠的に複数本配されているので、要介護者の排尿の有無を視覚的に認識させるインジケーター処理部41の変色の長さを容易に判断でき、要介護者のおおよその排尿量を簡便に把握することができる。
【0042】
本発明のパッドホルダーは、上述の実施形態のパッドホルダー1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0043】
例えば、上述の実施形態のパッドホルダー1においては、筒状の胴回り部5及び一対の筒状の脚回り部6,6を有するボクサーパンツ型(トランクス型)のパッドホルダーであるが、一対の筒状の脚回り部6,6を除いた筒状の胴回り部5のみから形成される所謂ハイレグ型のパンツであってもよい。
股下部の吸収性パッド4の保持性(左右ズレ防止)に優れ、インジケーター処理部41の視認性を高める観点から、ボクサーパンツ型(トランクス型)であることが好ましい。
【0044】
また、上述の実施形態のパッドホルダー1においては、図1に示すように、高光透過率部7が、腹部領域B及び背部領域Dの何れにおいても、股部領域b1,d2の下端51(股下の最下端)からウエスト開口部2の開口縁21に向かってその幅が広がるように形成されているが、図4に示すように、腹部領域B及び背部領域Dの何れも、その幅が広がるように形成されておらず、矩形状に形成されていてもよい。また、腹部領域B及び背部領域Dの何れか一方において、高光透過率部7の幅が広がるように形成されていてもよい。
【0045】
また、上述の実施形態のパッドホルダー1においては、図1に示すように、高光透過部7が、腹部領域B及び背部領域Dの何れにおいても、股部領域b1,d2から胴部領域b1,d1に跨るとともに、ウエスト開口部2を含むウエスト領域Aにはかからない位置に配されているが、腹部領域B及び背部領域Dの何れも、上記の位置に配されていなくてもよく、腹部領域B及び背部領域Dの何れか一方において、上記の位置に配されていてもよい。
【0046】
また、上述の実施形態のパッドホルダー1においては、図1に示すように、幅方向(X方向)に延びる帯模様72が、腹部領域B及び背部領域Dの何れにおいても、高光透過率部7に配されているが、腹部領域B及び背部領域Dの何れにも、配されていなくてもよく、腹部領域B及び背部領域Dの何れか一方において、配されていてもよい。
【0047】
また、上述の実施形態のパッドホルダー1においては、パッドホルダー1の胴回り部5が、前身頃と後身頃とをつなぎ合わせる継ぎ目の無いように形成されているが、縫合、融着、接着剤等による継ぎ目があってもよい。
【0048】
また、上述の実施形態のパッドホルダー1においては、図1に示すように、幅方向(X方向)に延びる帯模様72が設けられているが、パッドホルダー1の中心線CL上に吸収性パッド4の幅方向(X方向)中央部を配し易くするために、幅方向(X方向)に延びる帯模様72と共に、中心線CL上に、長手方向(Y方向)に延びる正中マークを設けてもよい。正中マークは、帯模様72と同様な方法で形成することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 パッドホルダー
2 ウエスト開口部
21 ウエスト開口部の開口縁
3 レッグ開口部
31 レッグ開口部の開口縁
4 吸収性パッド
41 インジケーター処理部
5 胴回り部
51 胴回り部の下端
6 脚回り部
7 高光透過率部
71 高光透過率部の上端
72 帯模様
73 固定手段
8 低光透過率部
A ウエスト領域
B 腹部領域
b1 腹部領域の胴部領域
b2 腹部領域の股部領域
C 太腿領域
D 背部領域
d1 背部領域の胴部領域
d2 背部領域の股部領域
S 幅方向サイド領域
T 幅方向中央領域
d 最大開口距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有するパンツ型で、その股部領域の肌対向面上に吸収性パッドを配して着用可能なパッドホルダーであって、
幅方向中央領域は、その全光線透過率が、幅方向サイド領域の全光線透過率よりも高い部分を含み、
前記幅方向中央領域において、前記股部領域の少なくとも50%以上の領域が、前記全光線透過率50%以上の高光透過率部であり、該高光透過率部は、前記股部領域の下端から前記ウエスト開口部の開口縁に向かって延在しており、
前記幅方向サイド領域の少なくとも75%以上の領域が、前記全光線透過率40%以下の低光透過率部であり、
前記吸収性パッドの少なくとも一部を着脱可能に固定する固定手段を備え、該固定手段によって、前記吸収性パッドが前記高光透過率部上に固定されうるパッドホルダー。
【請求項2】
前記高光透過率部は、前記股部領域の下端から前記ウエスト開口部の開口縁に向かってその幅が広がるように形成されている請求項1に記載のパッドホルダー。
【請求項3】
前記高光透過率部は、前記股部領域から胴部領域に跨るとともに、ウエスト開口部を含むウエスト領域にはかからない請求項1又は2に記載のパッドホルダー。
【請求項4】
前記高光透過率部に、幅方向に延びる帯模様を有し、該帯模様は、前記パッドホルダーの長手方向に対して間欠的に複数本配されており、前記パッドホルダー1の股下側から前記ウエスト開口部の開口縁に向かうにしたがって幅方向の長さが長くなっている請求項1〜3の何れかに記載のパッドホルダー。
【請求項5】
前記吸収性パッドが、排尿の有無を視覚的に認識させるインジケーター処理部を有しており、該インジケーター処理部が前記高光透過率部を通して前記パッドホルダーの外表面から認識できる請求項1〜4の何れかに記載のパッドホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−392(P2011−392A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147853(P2009−147853)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】