パッド材及びその製造方法
【課題】 通気性を有する支持シートの上に水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体を付与したパッド材において、通気性や放熱性を高め、誤って口や鼻を塞ぐように貼付された場合においても呼吸が行えるようにすると共に、長い時間にわたって十分な保冷効果が得られるようにする。
【解決手段】 通気性を有する支持シート11の上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体12が付与されたパッド材A1,A2において、支持シート11の適当な位置に、ゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14を設けた。
【解決手段】 通気性を有する支持シート11の上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体12が付与されたパッド材A1,A2において、支持シート11の適当な位置に、ゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性を有する支持シートの上に水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材及びその製造方法に係り、特にパッド材における通気性や放熱性を高め、誤ってパッド材を口や鼻を塞ぐように貼付された場合においても呼吸が行えるようにすると共に、長い時間にわたって十分な保冷効果が得られるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、保冷等の目的で、通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材が用いられるようになった。
【0003】
ここで、このようなパッド材としては、一般に図1及び図2に示すように、不織布や織布等からなる通気性を有する支持シート11の片面全面に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体12を付与し、このゲル状粘着体12の上に剥離シート13を貼付させて、ゲル状粘着体12から水分が勝手に蒸発したり、ゲル状粘着体12が勝手に他のパッド材等に付着するのを防止するようにしたものが用いられている。
【0004】
そして、このパッド材を使用するにあたっては、上記のゲル状粘着体12から剥離シート13を取り外し、このゲル状粘着体12によりパッド材を額等の適切な貼付部位に貼付させるようにしている。
【0005】
しかし、万が一このようなパッド材を幼児等が誤って口や鼻を塞ぐように貼付した場合、ゲル状粘着体12が口や鼻の周囲に密着して呼吸できなくなるおそれがあった。また、このようなパッド材を人体に長く貼付し続けると、熱がうまく外部に放散されず、次第にこのパッド材が暖かくなって保冷効果が低下し、長時間にわたって十分な保冷効果が得られないという問題があった。
【0006】
また、従来のパッド材においては、上記のようにゲル状粘着体12の上に貼付させた剥離シート13を簡単に取り外せるようにするため、図3に示すように、上記の支持シート11の周辺部において、支持シート11に付与されたゲル状粘着体12を除去することも行われている。
【0007】
しかし、上記のようにゲル状粘着体12を支持シート11に付与した場合、このゲル状粘着体12の一部が支持シート11に浸透した状態になり、このためゲル状粘着体12を支持シート11から完全に除去することができず、ゲル状粘着体12を除去した支持シート11の周辺部においてもゲル状粘着体12が依然として膜12aの状態で存在していた。
【0008】
そして、このように支持シート11に付与されたゲル状粘着体12を除去した場合においても、この部分においてはゲル状粘着体12の膜12aが存在するため、パッド材における適当な部分のゲル状粘着体12を除去しても、支持シート11を通して通気性を確保することができず、上記のように誤って口や鼻を塞ぐように貼付した場合、依然として呼吸できなくなるおそれがあり、また熱を十分に外部に放散することも困難で、依然として長時間にわたって十分な保冷効果が得られないという問題が存在した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体を付与するようにしたパッド材における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、パッド材における通気性や放熱性を高め、誤って口や鼻を塞ぐように貼付された場合においても呼吸が行えるようにすると共に、長い時間にわたって十分な保冷効果が得られるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材において、上記の支持シートの適当な位置に、上記のゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにしたのである。
【0011】
ここで、この発明におけるパッド材において、支持シートの適当な位置に、上記のゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるにあたっては、例えば、支持シートの上に、ゲル状粘着体を所要間隔を介した複数のライン状に設けるようにしたり、また支持シートの上に、ゲル状粘着体を散点状に分散させて設けるようにすることができる。
【0012】
また、この発明における上記のようなパッド材を製造するにあたっては、例えば、通気性を有する支持シートの上に、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにして、ゲル状粘着体を直接付与して製造することができる。また、転写シートの上に、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにしてゲル状粘着体を付与し、このように転写シートに付与されたゲル状粘着体を、通気性を有する支持シートの上に転写させて製造することができる。また、上記のゲル化するゲル状粘着体を収容させる開口された収容部が分離して複数設けられた収容体を用い、この収容体の各収容部に上記のゲル状粘着体を収容させた後、各収容部を閉塞するようにして通気性を有する支持シートを上記の収容体上に配置させて製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明においては、上記のように通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材において、上記の支持シートの適当な位置に上記のゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにしたため、この非付与部及び非付与部における支持シートを通して通気性や放熱性が確保されるようになる。
【0014】
このため、このパッド材を誤って口や鼻を塞ぐように貼付した場合においても、上記の非付与部及び非付与部が設けられた支持シートを通して呼吸が行えるようになると共に、上記のゲル状粘着体における水分が非付与部及び非付与部が設けられた支持シートを通して蒸発し、熱が効率よく放熱されようになり、長い時間にわたって十分な保冷効果が得られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態に係るパッド材及びその製造方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係るパッド材及びその製造方法は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0016】
(実施形態1)
この実施形態に係るパッド材A1においては、図4(A),(B)に示すように、不織布や織布等からなる通気性を有する平面長方形状の支持シート11の片面に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体12を、所要間隔を介するようにして複数のライン状に付与し、ライン状に付与されたゲル状粘着体12間にゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14を設けるようにした。
【0017】
なお、この実施形態1のパッド材A1においては、平面長方形状の支持シート11を用いるようにしたが、特に、その平面形状は限定されず、このパッド材A1を貼付する部位に対応した形状等に合わせて適宜変更することができ、また支持シート11に付与するライン状になったゲル状粘着体12の本数や幅、非付与部14の幅等も適宜変更できるものである。
【0018】
また、この実施形態1のパッド材A1における通気性や放熱性をさらに向上させるために、図5に示すように、ゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14において、上記の支持シート11を貫通する通気穴15を設けることも可能である。
【0019】
次に、上記のようなパッド材A1を製造する方法の例を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
ここで、図6(A),(B)に示す方法においては、連続した支持シート11を移動させながら、供給装置20に設けられた各供給ノズル21を通して、この支持シート11の上に上記のゲル状粘着体12を連続して供給し、この支持シート11の上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体12をライン状に付与する。そして、このようにゲル状粘着体12がライン状に付与された支持シート11を所定の大きさに切断して、上記のようなパッド材A1を製造するようにしている。
【0021】
また、図7(A),(B)に示す方法においては、上記のゲル状粘着体12に対する付着力が低い連続した転写シート30を移動させながら、上記の場合と同様にして、この転写シート30の上に供給装置20に設けられた各供給ノズル21を通してゲル状粘着体12を連続して供給し、この転写シート30の上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体12をライン状に付与する。そして、このようにゲル状粘着体12がライン状に付与された転写シート30の上に、上記の支持シート11を押し付けて、この支持シート11に転写シート30の上に供給された上記のゲル状粘着体12を転写させ、この支持シート11の上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体12をライン状に付与する。その後は、上記の場合と同様に、この支持シート11を上記のように所定の大きさに切断して、上記のようなパッド材A1を製造するようにしている。
【0022】
また、図8(A),(B)に示す方法においては、上記のゲル状粘着体12を収容させる溝状凹部からなる収容部41が所要間隔を介して複数本設けられた収容体40を用い、この収容体40の各収容部41に上記のゲル状粘着体12を収容させる。そして、このようにゲル状粘着体12が収容させた各収容部41を閉塞するようにして、支持シート11を上記の収容体40の上に配置させるようにする。このようにした場合、収容体40上に配置させた上記の支持シート11を収容体40から取り外すと、溝状凹部からなる各収容部41に収容されたゲル状粘着体12が支持シート11に付着されて、上記のようなパッド材A1が得られるようになる。
【0023】
(実施形態2)
この実施形態に係るパッド材A2においては、図9に示すように、不織布や織布等からなる通気性を有する平面長方形状になった支持シート11の片面に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体12を散点状に分散させて付与し、このように散点状に分散されて付与されたゲル状粘着体12間にゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14を設けるようにした。
【0024】
なお、この実施形態2のパッド材A2においても、上記の実施形態1のパッド材A1の場合と同様に、その平面形状は特に限定されず、このパッド材A2を貼付する部位に対応した形状等に合わせて適宜変更することができる。また、この実施形態2のパッド材A2においては、支持シート11に散点状に分散させて付与するゲル状粘着体12の形状を円形状にしたが、このゲル状粘着体12の形状や大きさや個数、また非付与部14となるゲル状粘着体12間の間隔等も適宜変更できるものである。また、図示していないが、上記の実施形態1のパッド材A1の場合と同様に、ゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14において、支持シート11を貫通する通気穴15を設けることも可能である。
【0025】
また、上記のようなパッド材A2を製造するにあたっても、上記の実施形態1のパッド材A1の場合と同じような方法で製造することができる。
【0026】
ここで、図10(A),(B)に示す方法においては、連続した支持シート11を移動させながら、この支持シート11の上に、供給装置20に設けられた各供給ノズル21を通して上記のゲル状粘着体12を断続的に供給し、この支持シート11の上にゲル状粘着体12を散点状に分散させて付与する。そして、このようにゲル状粘着体12が散点状に分散されて付与された支持シート11を所定の大きさに切断して、上記のようなパッド材A2を製造するようにしている。
【0027】
また、図11(A),(B)に示す方法においては、ゲル状粘着体12に対する付着力が低い連続した転写シート30を移動させながら、この転写シート30の上に供給装置20に設けられた各供給ノズル21を通してゲル状粘着体12を断続的に供給し、この転写シート30の上にゲル状粘着体12を散点状に分散させて付与する。そして、このようにゲル状粘着体12が散点状に分散させて付与された転写シート30の上に上記の支持シート11を押し付けて、この支持シート11に転写シート30の上に供給された上記のゲル状粘着体12を転写させ、この支持シート11の上にゲル状粘着体12を散点状に分散させて付与する。その後は、この支持シート11を上記のように所定の大きさに切断して、上記のようなパッド材A2を製造するようにしている。
【0028】
また、図12(A),(B)に示す方法においては、上記のゲル状粘着体12を収容させる円形凹部からなる収容部41が適当な間隔を介して複数設けられた収容体40を用い、この収容体40の各収容部41に上記のゲル状粘着体12を収容させるようにする。そして、このようにゲル状粘着体12が収容させた各収容部41を閉塞するようにして、支持シート11を上記の収容体40の上に配置させるようにする。このようにした場合、収容体40上に配置させた上記の支持シート11を収容体40から取り外すと、円形凹部からなる各収容部41に収容されたゲル状粘着体12が支持シート11に付着されて、上記のようなパッド材A2が得られるようになる。
【0029】
ここで、上記の実施形態1,2における各パット材A1,A2において、上記のゲル状粘着体12に用いる水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸の塩類、ポリアクリル酸の部分中和物、ポリグルタミン酸、ポリグルタミン酸の塩類、ポリグルタミン酸の部分中和物、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸の塩類、カルボキシビニルポリマー、グラフト澱粉、アガロース、ペクチン、タマリンドガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、キサンタンガムからなる群から選択される1つ又は2つ以上の混合物を挙げることができるが、特に、これらに限定されるものではない。なお、1種の水溶性高分子を用いるよりも、数種の水溶性高分子を混合して用いる方が、保水・粘着力等の点から好ましく、例えば、ポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムとから選択される少なくとも1種と、ポリビニルアルコールやカルボキシビニルポリマーとの混合物や、カラギーナンとローカストビーンガムとタマリンドガムとカルボキシビニルポリマーとを含む混合物等を用いることが好ましい。
【0030】
また、このようなゲル状粘着体12にアロマオイルや薬理活性物質を含有させ、このパッド材A1からこれらの物質が身体の貼付部位に徐々に伝わって、保冷・保湿効果と共にこれらの物質による効果も得られるようにすることもできる。
【0031】
ここで、上記のアロマオイルとしては、一般にアロマテラピーに用いられる精油成分(精油類)をそのまま用いることができる。この精油成分としては、例えばワンダー・セラー著「アロマテラピーのための84の精油成分」、フレグランスジャーナル社に記載されているものが挙げられる。具体的には、アニス、アンジェリカ、安息香、イモーテル、カモミール、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、グアヤックウッド、グレープフルーツ、サイブレス、シダーウッド、スターアニス、セージ、ゼラニウム、セロリ、タイム、タラゴン、テレピン、乳香、バイオレット、パイン、パセリ、フェンネル、ブラックペッパ、ボダイジュ花、レモン、レモングラス、ローズマリー、ローレル、シモツケギク、シモツケソウ、ヤグルマギク、アーモンド、アルニカ、ウイキョウ、エニシダ、クレソン、ゲンチアナ、ショウノウ、スモモ、セイヨウナシ、タイソウ、タンポポ、チモ、チョレイ、トウガシ、ノイバラ、ハッカ、トネリコ、ブクリョウ、メリッサ、モモ、ヤドリギ、ユーカリ、ヨクイニン、ラベンダ、レンギョウ等からの抽出物を挙げることができるが、別段これらに限定されない。また、その他の油成分としては、流動パラフィン、シリコーンオイル、ココナッツオイル、マカデミアオイル、スクラワン、オリーブオイル、オレンジオイル、ホホバオイル等を挙げることができる。
【0032】
また、薬理活性物質としては、上記のアロマオイルと重なってもよく、例えばメントール、カンフル、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナック、オオバクエキス、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒアルロン酸、アルブチン、酢酸トコフェロール、アラントイン、ビタミンC類、水溶性アズレン、アクリノール等が挙げられる。
【0033】
また、上記のもの以外に、ビタミンA,B,C,E等のビタミン類、セレニウム,亜鉛等のミネラル類、リンゴ,オレンジ,レモン,キウイ等の果実エキスや果汁等を適宜含有させることもできる。
【0034】
なお、各パット材A1,A2を上記の製造方法によって製造するにあたり、供給装置20に設けられた供給ノズル21を通してゲル状粘着体12を供給する場合に、ゲル状粘着体12が供給ノズル21に詰まるのを防止し、またゲル状粘着体12を収容体40に設けられた収容部41に供給する場合に、ゲル状粘着体12が収容部41にだけ適切に供給されるようにするため、供給ノズル21を通して供給する状態、また収容体40に設けられた収容部41に供給する状態では、架橋度が低くて粘性の少ないゲル状粘着体12を用い、その後、このゲル状粘着体12の架橋度を高めて粘性を高めるようにすることが好ましい。
【0035】
ここで、このように当初は架橋度が低くて粘性の少ないゲル状粘着体12を用い、その後、このゲル状粘着体12の架橋度を高めて粘性を高めるにあたっては、例えば、光照射,温度変化,pHの変化等によって架橋を促進する架橋促進剤等をゲル状粘着体12に予め配合させる等の方法を用いることができる。
【0036】
また、上記の各パット材A1,A2においては、ゲル状粘着体12の内部での液体の移動が容易に行われるようにするため、例えば、少なくとも表面が親水性を有する繊維群を内部に分散させるようにしても良い。この繊維群としては、例えば、パルプ、木綿糸、レーヨン、その他の各種親水性樹脂繊維のほか、表面が親水性処理された各種の疎水性樹脂繊維や、ガラス繊維・セラミックス繊維等が挙げられるが、これらに限定されない。また、上記繊維群は、ゲル状粘着体12の内部で三次元的に絡み合うように分散されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】支持シートの片面全面にゲル状粘着体を付与した従来のパッド材を示した概略斜視図である。
【図2】図1のパッド材において、ゲル状粘着体の上に剥離シートを貼付させた状態を示した概略側面図である。
【図3】図1のパッド材において、支持シートの周辺部におけるゲル状粘着体を除去した状態を示した概略平面図である。
【図4】この発明の実施形態1に係るパッド材を示し、支持シートの片面にゲル状粘着体が所要間隔を介するようにして複数のライン状に付与された状態を示した概略平面図である。
【図5】上記の実施形態1に係るパッド材の変更例を示し、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部における支持シートに通気穴を設けた状態を示した概略平面図である。
【図6】上記の実施形態1に係るパッド材を製造する第1の製造例を示し、同図(A),(B)は、支持シートの上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体をライン状に付与する状態を示した概略平面図及び概略正面図である。
【図7】上記の実施形態1に係るパッド材を製造する第2の製造例を示し、同図(A)は転写シートの上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体をライン状に付与する状態を示した概略平面図、同図(B)は転写シートの上に供給されたゲル状粘着体を支持シートに転写させる状態を示した概略正面図である。
【図8】上記の実施形態1に係るパッド材を製造する第3の製造例を示し、同図(A)は溝状凹部からなる収容部が所要間隔を介して複数本設けられた収容体の各収容部にゲル状粘着体を収容させた状態を示した概略平面図、同図(B)はゲル状粘着体が収容された各収容部を閉塞するようにして支持シートを収容体の上に配置させた状態を示した概略断面図である。
【図9】この発明の実施形態2に係るパッド材を示し、支持シートの片面にゲル状粘着体が散点状に分散されて付与された状態を示した概略平面図である。
【図10】上記の実施形態2に係るパッド材を製造する第1の製造例を示し、同図(A),(B)は支持シートの上にゲル状粘着体を散点状に分散させて付与する状態を示した概略平面図及び概略正面図である。
【図11】上記の実施形態2に係るパッド材を製造する第2の製造例を示し、同図(A)は転写シートの上にゲル状粘着体を散点状に分散させて付与する状態を示した概略平面図、同図(B)は転写シートの上に供給されたゲル状粘着体を支持シートに転写させる状態を示した概略正面図である。
【図12】上記の実施形態2に係るパッド材を製造する第3の製造例を示し、同図(A)は円形凹部からなる収容部が適当な間隔を介して複数設けられた収容体の各収容部にゲル状粘着体を収容させた状態を示した概略平面図、同図(B)はゲル状粘着体が収容させた各収容部を閉塞するようにして支持シートを収容体の上に配置させた状態を示した概略断面図である。
【符号の説明】
【0038】
A1,A2 パッド材
11 支持シート
12 ゲル状粘着体
14 非付与部
15 通気孔
20 供給装置
21 供給ノズル
30 転写シート
40 収容体
41 収容部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性を有する支持シートの上に水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材及びその製造方法に係り、特にパッド材における通気性や放熱性を高め、誤ってパッド材を口や鼻を塞ぐように貼付された場合においても呼吸が行えるようにすると共に、長い時間にわたって十分な保冷効果が得られるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、保冷等の目的で、通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材が用いられるようになった。
【0003】
ここで、このようなパッド材としては、一般に図1及び図2に示すように、不織布や織布等からなる通気性を有する支持シート11の片面全面に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体12を付与し、このゲル状粘着体12の上に剥離シート13を貼付させて、ゲル状粘着体12から水分が勝手に蒸発したり、ゲル状粘着体12が勝手に他のパッド材等に付着するのを防止するようにしたものが用いられている。
【0004】
そして、このパッド材を使用するにあたっては、上記のゲル状粘着体12から剥離シート13を取り外し、このゲル状粘着体12によりパッド材を額等の適切な貼付部位に貼付させるようにしている。
【0005】
しかし、万が一このようなパッド材を幼児等が誤って口や鼻を塞ぐように貼付した場合、ゲル状粘着体12が口や鼻の周囲に密着して呼吸できなくなるおそれがあった。また、このようなパッド材を人体に長く貼付し続けると、熱がうまく外部に放散されず、次第にこのパッド材が暖かくなって保冷効果が低下し、長時間にわたって十分な保冷効果が得られないという問題があった。
【0006】
また、従来のパッド材においては、上記のようにゲル状粘着体12の上に貼付させた剥離シート13を簡単に取り外せるようにするため、図3に示すように、上記の支持シート11の周辺部において、支持シート11に付与されたゲル状粘着体12を除去することも行われている。
【0007】
しかし、上記のようにゲル状粘着体12を支持シート11に付与した場合、このゲル状粘着体12の一部が支持シート11に浸透した状態になり、このためゲル状粘着体12を支持シート11から完全に除去することができず、ゲル状粘着体12を除去した支持シート11の周辺部においてもゲル状粘着体12が依然として膜12aの状態で存在していた。
【0008】
そして、このように支持シート11に付与されたゲル状粘着体12を除去した場合においても、この部分においてはゲル状粘着体12の膜12aが存在するため、パッド材における適当な部分のゲル状粘着体12を除去しても、支持シート11を通して通気性を確保することができず、上記のように誤って口や鼻を塞ぐように貼付した場合、依然として呼吸できなくなるおそれがあり、また熱を十分に外部に放散することも困難で、依然として長時間にわたって十分な保冷効果が得られないという問題が存在した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体を付与するようにしたパッド材における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、パッド材における通気性や放熱性を高め、誤って口や鼻を塞ぐように貼付された場合においても呼吸が行えるようにすると共に、長い時間にわたって十分な保冷効果が得られるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材において、上記の支持シートの適当な位置に、上記のゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにしたのである。
【0011】
ここで、この発明におけるパッド材において、支持シートの適当な位置に、上記のゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるにあたっては、例えば、支持シートの上に、ゲル状粘着体を所要間隔を介した複数のライン状に設けるようにしたり、また支持シートの上に、ゲル状粘着体を散点状に分散させて設けるようにすることができる。
【0012】
また、この発明における上記のようなパッド材を製造するにあたっては、例えば、通気性を有する支持シートの上に、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにして、ゲル状粘着体を直接付与して製造することができる。また、転写シートの上に、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにしてゲル状粘着体を付与し、このように転写シートに付与されたゲル状粘着体を、通気性を有する支持シートの上に転写させて製造することができる。また、上記のゲル化するゲル状粘着体を収容させる開口された収容部が分離して複数設けられた収容体を用い、この収容体の各収容部に上記のゲル状粘着体を収容させた後、各収容部を閉塞するようにして通気性を有する支持シートを上記の収容体上に配置させて製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明においては、上記のように通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材において、上記の支持シートの適当な位置に上記のゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにしたため、この非付与部及び非付与部における支持シートを通して通気性や放熱性が確保されるようになる。
【0014】
このため、このパッド材を誤って口や鼻を塞ぐように貼付した場合においても、上記の非付与部及び非付与部が設けられた支持シートを通して呼吸が行えるようになると共に、上記のゲル状粘着体における水分が非付与部及び非付与部が設けられた支持シートを通して蒸発し、熱が効率よく放熱されようになり、長い時間にわたって十分な保冷効果が得られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態に係るパッド材及びその製造方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係るパッド材及びその製造方法は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0016】
(実施形態1)
この実施形態に係るパッド材A1においては、図4(A),(B)に示すように、不織布や織布等からなる通気性を有する平面長方形状の支持シート11の片面に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体12を、所要間隔を介するようにして複数のライン状に付与し、ライン状に付与されたゲル状粘着体12間にゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14を設けるようにした。
【0017】
なお、この実施形態1のパッド材A1においては、平面長方形状の支持シート11を用いるようにしたが、特に、その平面形状は限定されず、このパッド材A1を貼付する部位に対応した形状等に合わせて適宜変更することができ、また支持シート11に付与するライン状になったゲル状粘着体12の本数や幅、非付与部14の幅等も適宜変更できるものである。
【0018】
また、この実施形態1のパッド材A1における通気性や放熱性をさらに向上させるために、図5に示すように、ゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14において、上記の支持シート11を貫通する通気穴15を設けることも可能である。
【0019】
次に、上記のようなパッド材A1を製造する方法の例を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
ここで、図6(A),(B)に示す方法においては、連続した支持シート11を移動させながら、供給装置20に設けられた各供給ノズル21を通して、この支持シート11の上に上記のゲル状粘着体12を連続して供給し、この支持シート11の上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体12をライン状に付与する。そして、このようにゲル状粘着体12がライン状に付与された支持シート11を所定の大きさに切断して、上記のようなパッド材A1を製造するようにしている。
【0021】
また、図7(A),(B)に示す方法においては、上記のゲル状粘着体12に対する付着力が低い連続した転写シート30を移動させながら、上記の場合と同様にして、この転写シート30の上に供給装置20に設けられた各供給ノズル21を通してゲル状粘着体12を連続して供給し、この転写シート30の上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体12をライン状に付与する。そして、このようにゲル状粘着体12がライン状に付与された転写シート30の上に、上記の支持シート11を押し付けて、この支持シート11に転写シート30の上に供給された上記のゲル状粘着体12を転写させ、この支持シート11の上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体12をライン状に付与する。その後は、上記の場合と同様に、この支持シート11を上記のように所定の大きさに切断して、上記のようなパッド材A1を製造するようにしている。
【0022】
また、図8(A),(B)に示す方法においては、上記のゲル状粘着体12を収容させる溝状凹部からなる収容部41が所要間隔を介して複数本設けられた収容体40を用い、この収容体40の各収容部41に上記のゲル状粘着体12を収容させる。そして、このようにゲル状粘着体12が収容させた各収容部41を閉塞するようにして、支持シート11を上記の収容体40の上に配置させるようにする。このようにした場合、収容体40上に配置させた上記の支持シート11を収容体40から取り外すと、溝状凹部からなる各収容部41に収容されたゲル状粘着体12が支持シート11に付着されて、上記のようなパッド材A1が得られるようになる。
【0023】
(実施形態2)
この実施形態に係るパッド材A2においては、図9に示すように、不織布や織布等からなる通気性を有する平面長方形状になった支持シート11の片面に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体12を散点状に分散させて付与し、このように散点状に分散されて付与されたゲル状粘着体12間にゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14を設けるようにした。
【0024】
なお、この実施形態2のパッド材A2においても、上記の実施形態1のパッド材A1の場合と同様に、その平面形状は特に限定されず、このパッド材A2を貼付する部位に対応した形状等に合わせて適宜変更することができる。また、この実施形態2のパッド材A2においては、支持シート11に散点状に分散させて付与するゲル状粘着体12の形状を円形状にしたが、このゲル状粘着体12の形状や大きさや個数、また非付与部14となるゲル状粘着体12間の間隔等も適宜変更できるものである。また、図示していないが、上記の実施形態1のパッド材A1の場合と同様に、ゲル状粘着体12が全く付与されていない非付与部14において、支持シート11を貫通する通気穴15を設けることも可能である。
【0025】
また、上記のようなパッド材A2を製造するにあたっても、上記の実施形態1のパッド材A1の場合と同じような方法で製造することができる。
【0026】
ここで、図10(A),(B)に示す方法においては、連続した支持シート11を移動させながら、この支持シート11の上に、供給装置20に設けられた各供給ノズル21を通して上記のゲル状粘着体12を断続的に供給し、この支持シート11の上にゲル状粘着体12を散点状に分散させて付与する。そして、このようにゲル状粘着体12が散点状に分散されて付与された支持シート11を所定の大きさに切断して、上記のようなパッド材A2を製造するようにしている。
【0027】
また、図11(A),(B)に示す方法においては、ゲル状粘着体12に対する付着力が低い連続した転写シート30を移動させながら、この転写シート30の上に供給装置20に設けられた各供給ノズル21を通してゲル状粘着体12を断続的に供給し、この転写シート30の上にゲル状粘着体12を散点状に分散させて付与する。そして、このようにゲル状粘着体12が散点状に分散させて付与された転写シート30の上に上記の支持シート11を押し付けて、この支持シート11に転写シート30の上に供給された上記のゲル状粘着体12を転写させ、この支持シート11の上にゲル状粘着体12を散点状に分散させて付与する。その後は、この支持シート11を上記のように所定の大きさに切断して、上記のようなパッド材A2を製造するようにしている。
【0028】
また、図12(A),(B)に示す方法においては、上記のゲル状粘着体12を収容させる円形凹部からなる収容部41が適当な間隔を介して複数設けられた収容体40を用い、この収容体40の各収容部41に上記のゲル状粘着体12を収容させるようにする。そして、このようにゲル状粘着体12が収容させた各収容部41を閉塞するようにして、支持シート11を上記の収容体40の上に配置させるようにする。このようにした場合、収容体40上に配置させた上記の支持シート11を収容体40から取り外すと、円形凹部からなる各収容部41に収容されたゲル状粘着体12が支持シート11に付着されて、上記のようなパッド材A2が得られるようになる。
【0029】
ここで、上記の実施形態1,2における各パット材A1,A2において、上記のゲル状粘着体12に用いる水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸の塩類、ポリアクリル酸の部分中和物、ポリグルタミン酸、ポリグルタミン酸の塩類、ポリグルタミン酸の部分中和物、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸の塩類、カルボキシビニルポリマー、グラフト澱粉、アガロース、ペクチン、タマリンドガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、キサンタンガムからなる群から選択される1つ又は2つ以上の混合物を挙げることができるが、特に、これらに限定されるものではない。なお、1種の水溶性高分子を用いるよりも、数種の水溶性高分子を混合して用いる方が、保水・粘着力等の点から好ましく、例えば、ポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムとから選択される少なくとも1種と、ポリビニルアルコールやカルボキシビニルポリマーとの混合物や、カラギーナンとローカストビーンガムとタマリンドガムとカルボキシビニルポリマーとを含む混合物等を用いることが好ましい。
【0030】
また、このようなゲル状粘着体12にアロマオイルや薬理活性物質を含有させ、このパッド材A1からこれらの物質が身体の貼付部位に徐々に伝わって、保冷・保湿効果と共にこれらの物質による効果も得られるようにすることもできる。
【0031】
ここで、上記のアロマオイルとしては、一般にアロマテラピーに用いられる精油成分(精油類)をそのまま用いることができる。この精油成分としては、例えばワンダー・セラー著「アロマテラピーのための84の精油成分」、フレグランスジャーナル社に記載されているものが挙げられる。具体的には、アニス、アンジェリカ、安息香、イモーテル、カモミール、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、グアヤックウッド、グレープフルーツ、サイブレス、シダーウッド、スターアニス、セージ、ゼラニウム、セロリ、タイム、タラゴン、テレピン、乳香、バイオレット、パイン、パセリ、フェンネル、ブラックペッパ、ボダイジュ花、レモン、レモングラス、ローズマリー、ローレル、シモツケギク、シモツケソウ、ヤグルマギク、アーモンド、アルニカ、ウイキョウ、エニシダ、クレソン、ゲンチアナ、ショウノウ、スモモ、セイヨウナシ、タイソウ、タンポポ、チモ、チョレイ、トウガシ、ノイバラ、ハッカ、トネリコ、ブクリョウ、メリッサ、モモ、ヤドリギ、ユーカリ、ヨクイニン、ラベンダ、レンギョウ等からの抽出物を挙げることができるが、別段これらに限定されない。また、その他の油成分としては、流動パラフィン、シリコーンオイル、ココナッツオイル、マカデミアオイル、スクラワン、オリーブオイル、オレンジオイル、ホホバオイル等を挙げることができる。
【0032】
また、薬理活性物質としては、上記のアロマオイルと重なってもよく、例えばメントール、カンフル、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナック、オオバクエキス、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒアルロン酸、アルブチン、酢酸トコフェロール、アラントイン、ビタミンC類、水溶性アズレン、アクリノール等が挙げられる。
【0033】
また、上記のもの以外に、ビタミンA,B,C,E等のビタミン類、セレニウム,亜鉛等のミネラル類、リンゴ,オレンジ,レモン,キウイ等の果実エキスや果汁等を適宜含有させることもできる。
【0034】
なお、各パット材A1,A2を上記の製造方法によって製造するにあたり、供給装置20に設けられた供給ノズル21を通してゲル状粘着体12を供給する場合に、ゲル状粘着体12が供給ノズル21に詰まるのを防止し、またゲル状粘着体12を収容体40に設けられた収容部41に供給する場合に、ゲル状粘着体12が収容部41にだけ適切に供給されるようにするため、供給ノズル21を通して供給する状態、また収容体40に設けられた収容部41に供給する状態では、架橋度が低くて粘性の少ないゲル状粘着体12を用い、その後、このゲル状粘着体12の架橋度を高めて粘性を高めるようにすることが好ましい。
【0035】
ここで、このように当初は架橋度が低くて粘性の少ないゲル状粘着体12を用い、その後、このゲル状粘着体12の架橋度を高めて粘性を高めるにあたっては、例えば、光照射,温度変化,pHの変化等によって架橋を促進する架橋促進剤等をゲル状粘着体12に予め配合させる等の方法を用いることができる。
【0036】
また、上記の各パット材A1,A2においては、ゲル状粘着体12の内部での液体の移動が容易に行われるようにするため、例えば、少なくとも表面が親水性を有する繊維群を内部に分散させるようにしても良い。この繊維群としては、例えば、パルプ、木綿糸、レーヨン、その他の各種親水性樹脂繊維のほか、表面が親水性処理された各種の疎水性樹脂繊維や、ガラス繊維・セラミックス繊維等が挙げられるが、これらに限定されない。また、上記繊維群は、ゲル状粘着体12の内部で三次元的に絡み合うように分散されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】支持シートの片面全面にゲル状粘着体を付与した従来のパッド材を示した概略斜視図である。
【図2】図1のパッド材において、ゲル状粘着体の上に剥離シートを貼付させた状態を示した概略側面図である。
【図3】図1のパッド材において、支持シートの周辺部におけるゲル状粘着体を除去した状態を示した概略平面図である。
【図4】この発明の実施形態1に係るパッド材を示し、支持シートの片面にゲル状粘着体が所要間隔を介するようにして複数のライン状に付与された状態を示した概略平面図である。
【図5】上記の実施形態1に係るパッド材の変更例を示し、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部における支持シートに通気穴を設けた状態を示した概略平面図である。
【図6】上記の実施形態1に係るパッド材を製造する第1の製造例を示し、同図(A),(B)は、支持シートの上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体をライン状に付与する状態を示した概略平面図及び概略正面図である。
【図7】上記の実施形態1に係るパッド材を製造する第2の製造例を示し、同図(A)は転写シートの上に所要間隔を介するようにしてゲル状粘着体をライン状に付与する状態を示した概略平面図、同図(B)は転写シートの上に供給されたゲル状粘着体を支持シートに転写させる状態を示した概略正面図である。
【図8】上記の実施形態1に係るパッド材を製造する第3の製造例を示し、同図(A)は溝状凹部からなる収容部が所要間隔を介して複数本設けられた収容体の各収容部にゲル状粘着体を収容させた状態を示した概略平面図、同図(B)はゲル状粘着体が収容された各収容部を閉塞するようにして支持シートを収容体の上に配置させた状態を示した概略断面図である。
【図9】この発明の実施形態2に係るパッド材を示し、支持シートの片面にゲル状粘着体が散点状に分散されて付与された状態を示した概略平面図である。
【図10】上記の実施形態2に係るパッド材を製造する第1の製造例を示し、同図(A),(B)は支持シートの上にゲル状粘着体を散点状に分散させて付与する状態を示した概略平面図及び概略正面図である。
【図11】上記の実施形態2に係るパッド材を製造する第2の製造例を示し、同図(A)は転写シートの上にゲル状粘着体を散点状に分散させて付与する状態を示した概略平面図、同図(B)は転写シートの上に供給されたゲル状粘着体を支持シートに転写させる状態を示した概略正面図である。
【図12】上記の実施形態2に係るパッド材を製造する第3の製造例を示し、同図(A)は円形凹部からなる収容部が適当な間隔を介して複数設けられた収容体の各収容部にゲル状粘着体を収容させた状態を示した概略平面図、同図(B)はゲル状粘着体が収容させた各収容部を閉塞するようにして支持シートを収容体の上に配置させた状態を示した概略断面図である。
【符号の説明】
【0038】
A1,A2 パッド材
11 支持シート
12 ゲル状粘着体
14 非付与部
15 通気孔
20 供給装置
21 供給ノズル
30 転写シート
40 収容体
41 収容部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材において、上記の支持シートの適当な位置に、上記のゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けたことを特徴とするパッド材。
【請求項2】
請求項1に記載したパッド材において、上記の支持シートの上に、上記のゲル状粘着体が所要間隔を介した複数のライン状に設けられてなることを特徴とするパッド材。
【請求項3】
請求項1に記載したパッド材において、上記の支持シートの上に、上記のゲル状粘着体が散点状に分散されて設けられてなることを特徴とするパッド材。
【請求項4】
通気性を有する支持シートの上に、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにして、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体を直接付与することを特徴とするパッド材の製造方法。
【請求項5】
転写シートの上に、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにして水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体を付与し、このように転写シートに付与されたゲル状粘着体を、通気性を有する支持シートの上に転写させることを特徴とするパッド材の製造方法。
【請求項6】
水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体を収容させる開口された収容部が分離して複数設けられた収容体を用い、この収容体の各収容部に上記のゲル状粘着体を収容させた後、各収容部を閉塞するようにして通気性を有する支持シートを上記の収容体上に配置させることを特徴とするパッド材の製造方法。
【請求項1】
通気性を有する支持シートの上に、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体が付与されてなるパッド材において、上記の支持シートの適当な位置に、上記のゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けたことを特徴とするパッド材。
【請求項2】
請求項1に記載したパッド材において、上記の支持シートの上に、上記のゲル状粘着体が所要間隔を介した複数のライン状に設けられてなることを特徴とするパッド材。
【請求項3】
請求項1に記載したパッド材において、上記の支持シートの上に、上記のゲル状粘着体が散点状に分散されて設けられてなることを特徴とするパッド材。
【請求項4】
通気性を有する支持シートの上に、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにして、水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体を直接付与することを特徴とするパッド材の製造方法。
【請求項5】
転写シートの上に、ゲル状粘着体が全く付与されていない非付与部を設けるようにして水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体を付与し、このように転写シートに付与されたゲル状粘着体を、通気性を有する支持シートの上に転写させることを特徴とするパッド材の製造方法。
【請求項6】
水溶性高分子及び水を含んでゲル化するゲル状粘着体を収容させる開口された収容部が分離して複数設けられた収容体を用い、この収容体の各収容部に上記のゲル状粘着体を収容させた後、各収容部を閉塞するようにして通気性を有する支持シートを上記の収容体上に配置させることを特徴とするパッド材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−51060(P2006−51060A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232896(P2004−232896)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(390011017)ダイヤ製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(390011017)ダイヤ製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]