説明

パネルの機械加工のためのプロセスおよび装置

本発明はパネル2を機械加工するための方法に関する。前記方法においては、パネル2のいわゆる機械加工面2Tの加工領域50に少なくとも1つの機械加工具11が配置され、また、機械加工面2<SB>T</SB>の反対側にあるパネル2のいわゆる保持面2<SB>M</SB>上に位置し且つパネル2に対して加工領域50の反対側に位置する支持領域52に少なくとも1つの保持部材13が配置されるとともに、機械加工具の移動中に、支持領域52と加工領域50との対向状態を維持するように、パネルの表面に対して接線方向に向かう少なくとも1つの成分を与える動きにしたがって、動作する機械加工具11および保持部材13が協調的な態様でパネル上を移動され、それにより、機械加工面の少なくとも一部が機械加工される。また、本発明は、前記方法を実施するための装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、予め成形されたブランクまたはパネル、例えば、航空機のキャビンや機体を製造するために使用されるパネルの機械加工のために使用される装置およびプロセスの技術分野に関する。
【0002】
前記分野において、本発明者らは、予め成形されたパネルを電気腐食により展開不可能な形状まで機械加工するプロセスを熟知している。そのような機械加工は、処理されない領域をマスキングし、その後、電解溶液槽中に浸漬することを含む。したがって、このプロセスによれば、ほぼ展開不可能な形状を成すパネルの局部的な機械加工を効果的に行うことができるが、それにもかかわらず、このプロセスは2つの主要な欠点を有する。
【0003】
先ず初めに、電気腐食による機械加工は、最初に、機械加工プロセスの終わりでマスキング要素を除去することによりパネルを洗浄する必要があり、その後、濯いだ後に、洗浄溶液および使用された様々な電解槽を再利用する限りにおいて、処理されるべき重大な放出源を構成する。
【0004】
電気腐食による機械加工の他の欠点は、このプロセスを用いると、異なる深さ領域を伴う機械加工プロセスを1つの作業で行うことができないという点である。
【0005】
前記欠点を考慮して、特に、電気腐食による機械加工において使用される設備からの汚染放出物を処理するコストを考慮して、凹状または凸状あるいは実際に複雑な形状のパネルから材料を除去することにより機械加工を行うことに関して提案が出された。
【0006】
このため、米国特許第5 163 793号は、スイベルに装着された把持装置がその上端に設けられた複数の液圧ジャッキから成るある種のマットレスを含む機械加工設備を形成することを提案した。また、把持装置は、ジャッキから成るマットレスの上端に、水平に並進移動でき且つ機械加工ヘッドを担持する玄関(ポーチコ)を含む。
【0007】
したがって、各ジャッキが高さの個々の調整が可能である限りにおいては、歪んだあるいは複雑な形状を成すパネルの固定を行うことができる。
【0008】
しかしながら、そのような装置によれば、実際に、展開不可能な歪んだあるいは複雑な形状を有するパネルから材料を除去することにより機械加工を行うことができたが、そのような装置を使用しても、特に、機械加工されるパネルの十分に強固な固定を保証することができないことから、高精度な機械加工を行うことはできなかった。
【0009】
したがって、先の設計のプロセスおよび装置よりも良好な作業精度を与えつつ、様々な機械加工作業を行うことができ、特に材料を除去することによって機械加工を行うことができ、汚染放出を大きく低減することができる新規な機械加工プロセスおよびこの機械加工プロセスを実施するための装置の必要性が生じてきている。
【0010】
これらの目的を達成するため、本発明は、パネルのための機械加工プロセスであって、
− パネルの機械加工面と呼ばれる面の加工領域に少なくとも1つの機械加工具を位置決めするステップと、
− 機械加工面の反対側であって、パネルに対して加工領域と反対側にあるパネルの保持面として知られる面に位置された支持領域に少なくとも1つの保持部材を位置決めするステップと、
− 動作中の機械加工具および保持部材の、パネルの表面に対して接線方向に向かう少なくとも1つの成分を有する動きをもって、パネルの高さの位置で協調動作することにより、支持領域と加工領域との対向状態を保って、機械加工面の少なくとも一部を機械加工するステップと、
を含むプロセスに関する。
【0011】
動作中の機械加工具と保持部材との協調動作により、機械加工具の加工領域よりも大きい広い領域にわたってパネルの機械加工を極めて高精度に連続的に行うことができ、有益である。
【0012】
本発明において、保持部材は、様々な方法で、パネルの保持面にある支持領域に作用することができる。したがって、本発明において、保持部材は、例えば水等の加圧流体の流れ、あるいは実際には圧縮空気の流れを支持領域へと方向付けることにより、加工領域における機械加工具の力をバランスさせることができる。また、そのような加圧流体を使用すると、機械加工されたパネルを冷却することもできる。
【0013】
本発明の1つの特徴において、機械加工具と保持部材との協調動作は、自動化プロセスを使用して自動的に行われる。
【0014】
本発明の機械加工プロセスに独自のものではない好ましい実施の形態において、保持部材は、協調ガイド動作中にパネルと接触して配置される。好ましい態様において、この場合、保持部材は、支持領域の表面に対して垂直な方向で支持力をパネルに対して加える。また、保持部材は、断続的なあるいは半断続的な作用を、保持面に対して有することが好ましい。この断続的な特徴は、特にこの場合に限らないが直接的接触の場合に、非常に自由度の大きい作用を複雑な表面に対して与える。
【0015】
本発明の他の特徴においては、機械加工具によるパネルのドラッグ現象を回避するため、少なくとも1つの対抗支持部材を加工領域に対して適用することができる。
【0016】
本発明において、機械加工具は、様々なタイプの機械加工を行うように設計することができる。したがって、機械加工具は、例えば、材料または粒子の射出により機械加工を行うように設計することができ、それにより、例えば「ピーン成形(peen−forming)」として知られる技術によりあるいは粒子の射出または発射による「成形」により、機械加工されるパネルの表面状態を改質することができ、あるいは、パネルに対する拘束(押え付け)または応力を変更することができる。
【0017】
本発明の機械加工プロセスの好ましい実施の形態において、機械加工具は、材料を剥ぎ取ることにより、あるいは除去することにより機械加工を行うように設計されており、それ自体に軸Δを中心とする回転動作が与えられる。そのような機械加工具は、例えば、一般に高速機械加工すなわち「HSM」と称されるものに対して設計することができる。
【0018】
本発明の1つの特徴において、保持部材は支持領域に対して方向Δ’に力を加え、機械加工の間および機械加工具と保持部材との協調動作中に軸Δ,Δ’がほぼ一致する。
【0019】
本発明の更なる他の特徴においては、少なくとも保持部材の位置で機械加工振動の減衰が行われるようになっている。
【0020】
本発明において、動作中の機械加工具と保持部材との相対的な動きは、様々な方法によって、例えば機械加工具の動きに関連付けられたパネルの動きと保持部材の動きとを組み合わせて使用することにより達成することができる。
【0021】
好ましい実施の形態において、保持部材および機械加工具は、それぞれ少なくとも5段階の自由度をもって移動される。そのような設計においては、機械加工のプロセス全体を通じて、固定位置をパネルに対して割り当てることができる。
【0022】
本発明の好ましいが、必ずしもそれを必要とはしない特徴において、保持部材および機械加工具はそれぞれ、軸X,Y,Zおよび軸X’,Y’,Z’のそれぞれに沿う3段階の自由度の並進動作および軸R,Rおよび軸R’,R’をそれぞれ中心とする2段階の自由度の回転動作をもって移動され、そこでR,R’が軸Y,Y’のそれぞれに対して平行であり、R,R’がX,Z面およびX’,Z’面のそれぞれに対して平行である。
【0023】
本発明の更に他の特徴において、機械加工されるパネルは、略垂直方向に配置される。本発明のこの配置によれば、機械加工プロセス中にパネルから剥ぎ取られ、あるいは除去される粒子を重力により除去することができ、あるいは、機械加工プロセス中にこの同じパネル上に対して射出される任意の粒子の修復を容易に行うことができる。
【0024】
同様に、本発明の他の特徴において、プロセスは、機械加工前に保持面の実際の幾何学的形状の決定を行うとともに、協調された機械加工動作中に所定の厚さに対応する距離で保持部材および機械加工具を配置することにより、予め決められた機械加工深さまでパネルの機械加工を行う。
【0025】
本発明においては、様々な方法でパネルの保持の組織化を考えることができる。したがって、保持部材がパネルの機械加工に寄与することも考えることができ、このため、保持部材が機械加工具を含むことも考えることができる。
【0026】
しかしながら、本発明の機械加工プロセスの好ましい実施の形態において、保持部材は、パネルの保持面を機械加工することなく当該保持面の保持を行う。
【0027】
また、本発明は、本発明の機械加工プロセスを実施できる装置にも関係している。したがって、本発明は、少なくとも1つのパネルを機械加工するための装置において、
− 機械加工面および保持面として知られるパネルの2つの対向する面に対して同時にアクセスできるように形成された、パネルを支持するための手段と、
− 少なくとも1つの機械加工具を移動させるための手段と、
− 少なくとも保持部材を移動させるための手段と、
− 機械加工具および保持部材の移動手段を制御するためのユニットであって、パネルに対する機械加工作業中に、
− パネルの機械加工面の加工領域に機械加工具を位置決めし、
− 加工領域と反対側にある保持面上に位置した接触領域に保持部材を位置決めし、
− 動作中の機械加工具および保持部材の、パネルの表面に対して接線方向に向かう少なくとも1つの成分を有する動きをもって、パネルでの動きを協調させることにより、動作中に支持領域と加工領域との対向状態を保って、パネルの機械加工面の少なくとも一部を機械加工する、
ように移動手段を制御するようになっているユニットと、
を含む装置に関するものである。
【0028】
本発明の1つの特徴において、機械加工具および保持部材の移動手段はそれぞれ、機械加工具および保持部材に少なくとも5段階の自由度を与えるように少なくとも5つの動作軸を有する。
【0029】
本発明の意味において、機械加工されるパネルに対して機械加工具および保持部材を移動させることができる能力は、様々な方法によって、例えば6段階の自由度を持つ2つの自動アームにより与えることができる。この場合、3段階の自由度が回転であり、3段階の自由度が並進であり、また、一方のアームがその先端で機械加工具を担持し、他方のアームが保持部材を担持する。
【0030】
また、いわゆる平行自動構造により、機械加工具および保持部材の移動を行うことを考えることもできる。
【0031】
非常に簡単な自動化および制御を行う好ましい実施の形態において、機械加工具および保持部材の移動手段はそれぞれ、軸X,Y,Zおよび軸X’,Y’,Z’のそれぞれに沿う3段階の自由度の並進動作および軸R,Rおよび軸R’,R’をそれぞれ中心とする2段階の自由度の回転動作を含んでおり、R,R’が軸Y,Y’のそれぞれに対して平行であり、R,R’が軸X,Zおよび軸X’,Z’により画成される面のそれぞれに対して平行である。
【0032】
本発明の機械加工装置の好ましい実施の形態において、機械加工具の移動手段は、
− 少なくとも1つのガイドトラックに沿って軸X上を並進移動でき、筐体によって支持されるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられたビームと、
− ガイドトラックに沿って軸Xに対して略垂直な軸Z上を並進移動でき、ビームにより担持されるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられた台座と、
− 軸X,Zによって画成される平面に対して略垂直軸なY上を並進状態で伸縮し、台座によって担持されるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられたアームと、
− 伸縮アームの一端に取り付けられるように設計され、軸Yと平行な軸Rを中心にアームに対して回転動作できるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられたヘッド支持体と、
− ヘッド支持体に対して嵌め付けられるように設計され、軸Yと垂直な軸Rを中心にヘッド支持体に対して回転動作できるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられた工具支持ヘッドと、
を含む。
【0033】
保持部材のための移動手段としては、
− 少なくとも1つのガイドトラックに沿って軸X’上を並進移動でき、筐体によって支持されるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられたビームと、
− ガイドトラックに沿って軸X’に対して略垂直な軸Z’上を並進移動でき、ビームにより担持されるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられた台座と、
− 軸X’,Z’によって画成される平面に対して略垂直軸なY’上を並進状態で伸縮し、台座によって支持されるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられたアームと、
− 伸縮アームの一端に取り付けられるように設計され、軸Y’と平行な軸R’を中心にアームに対して回転動作できるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられたヘッド支持体と、
− ヘッド支持体に対して嵌め付けられるように設計され、軸Y’と垂直な軸R’を中心にヘッド支持体に対して回転動作できるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられた保持部材担持ヘッドと、
を含む。
【0034】
この場合、支持手段は、機械加工具の移動手段と保持部材の移動手段との間に介挿されるように筐体に対して取り付けられる。
【0035】
本発明の他の特徴においては、あらゆる制御上の問題を解決するために、
− 工具支持ヘッドの支持体は、伸縮アームの端部に設けられている揺動体に取り付けられており、揺動体は軸Rを中心に回転動作でき、支持体は、軸Rと垂直な軸Rを中心に揺動体に対して回転動作でき、
− 工具支持ヘッドの支持体は、伸縮アームの端部に設けられている揺動体に取り付けられており、揺動体は軸R’を中心に回転動作でき、支持体は、軸R’と垂直な軸R’を中心に揺動体に対して回転動作できる。
【0036】
好ましい態様においては、軸X,ZおよびX’,Z’が略平行な垂直面を画成し、これにより、機械加工プロセスにおいて、パネルが略垂直な方向性を有するようになる。
【0037】
本発明において、工具支持ヘッドは、様々なタイプの工具、例えば粒子を射出するための工具または材料を除去、あるいは剥ぎ取るための工具を受けるように設計することができる。したがって、好ましい形態において、工具支持ヘッドは、軸Rに対して略垂直な軸Δを中心に機械加工具を回転させるための手段を含む。
【0038】
本発明の他の特徴においては、機械加工具によるドラッグとして知られるパネルの引き込み現象を回避するため、移動手段は、パネルの機械加工面上に少なくとも1つの対抗支持部材を含む。
【0039】
本発明の更に別の特徴においては、高精度の機械加工を行うため、装置は、機械加工振動を減衰するための手段をも含む。
【0040】
好ましい態様においては、機械加工の振動の発生点にできる限り近い位置で機械加工振動を吸収するため、減衰手段が保持部材の移動手段に嵌め付けられている。この場合、そのような減衰手段は、保持部材の移動手段のヘッドを支持する、例えば液圧式または油圧−空気圧式ダンパから成るシステムにより設計することができる。
【0041】
本発明において、保持部材は、他にも様々な方法により達成することができる。したがって、保持部材は、パネルの保持面を押圧して協調動作中にパネル上をスライドするようになっている摩擦係数が低い材料により形成される例えば、圧力が加えられ、あるいはスライドの形態を成す流体を射出するためのノズルから構成されていてもよい。好ましい態様において、保持部材は、保持面に対して断続的にあるいは半断続的に作用する。この場合、この作用は、その作用点で保持面に対して略垂直であることが好ましい。
【0042】
好ましい特徴的な実施において、保持部材は、機械加工プロセス中にパネルの保持面上で回転するように設計されている少なくとも1つの支持球を含む。1つの特に有利な実施方法において、支持球は、弾性変形可能な材料によって形成されており、機械加工振動を減衰する。
【0043】
本発明において、パネルの支持手段は、任意の適切な態様で与えることができる。
【0044】
好ましい実施の形態においては、パネルの支持手段が取り外し可能であり、これにより、機械加工装置の作業を、例えば他の作業と同時に行うことができる。実際に、支持手段によるパネルの設置中、装置は、例えば他の支持手段により支持される他のパネルを機械加工することができ、したがって交互に機械加工を行うことができる。
【0045】
好ましい実施の態様において、支持手段は、機械加工されるパネルを固定するための手段が設けられた取り外し可能なフレームを含む。
【0046】
したがって、装置の使用を最適化できるように、そのような取り外し可能なフレームをある一定の数だけ使用することを考えることもができる。同様に、様々なタイプのフレームを使用して、本発明の装置により機械加工されるべき様々な形状のパネルに適合させることも考え得る。
【0047】
好ましい実施の形態において、フレームは、フレーム寸法を機械加工されるパネルの寸法に調整することができる少なくとも1つの移動可能な横材を含む。
【0048】
本発明の様々な他の特徴は、本発明のプロセスを実行するための機械加工装置の好ましいが限定的ではない実施形態を示す図面を参照して与えられる以下の説明から明らかになる。
【0049】
図1に示され且つ全体として参照符号1より表わされる本発明の機械加工装置は、例えば凸状または凹状、あるいは、局所的に凸状で局所的に凹状などといった一般的に複雑で展開不可能な形状を有しがちなパネル2の機械加工を行うことができる。
【0050】
この機械加工プロセスを行うために装置1は筐体3を含んでおり、この筐体3は、図示の実施形態では、略垂直な、ある種の屋根付き玄関(ポーチコ)のような形態を成しているとともに、窓4を画成しており、窓4の内側には機械加工されるパネルが位置され、そこでパネルは支持手段5により保持される。図示の実施形態において、支持手段5は取り外し可能なフレームの形態を成しており、このフレームは、任意の適切な方法で設けることができる固定手段6により、筐体3の窓4内で固定することができる。
【0051】
また、本発明の本質的な特徴において、機械加工装置1は、少なくとも1つの工具、図示の実施形態では、唯一1つの機械加工具11だけのための移動手段10と、少なくとも1つの部材、図示の実施形態では、唯一1つの保持部材13だけのための移動手段12とを含む。特に図2に示すように、移動手段10,11は、筐体3の両側にそれぞれ取り付けられており、これにより、パネル2は、機械加工具11と保持部材13との間に介挿される。
【0052】
図示の実施形態において、工具のための移動手段10は、少なくとも1つのガイドトラック、本実施形態では2つのガイドトラック21に沿って軸X上を並進移動できるビーム20を含んでおり、このビーム20は筐体3によって支持されている。この場合、ガイドトラック21の軸Xは、ほぼ水平な方向性を有する。
【0053】
工作機械の設計および構造におけるスペシャリストである専門技術者にそれ自体が周知であるよく態様で、ビーム20は、モータ手段(図示せず)に関連付けられる(結合される)とともに、制御ユニット22により制御される。制御ユニット22の様々な機能については後述するが、制御ユニット22が機械加工装置1の動作を自動化できるように設計されていることは言うまでもない。
【0054】
また、工具11のための移動手段10は、ガイドトラック24に沿って軸Z上を並進移動でき且つビーム20により担持される台座(chariot)23も含む。図示の実施形態において、軸Zは、略鉛直で且つ軸Xに対して垂直な方向性を有しており、これにより、軸Xと軸Zとで同様に垂直な平面を画成している。また、台座23は、これをトラック24に沿って移動させるために設けられるモータ手段(図示せず)に関連付けられ(結合され)ており、制御ユニット22により制御される。
【0055】
また、移動手段10は、軸Y上を並進状態で伸縮し且つ台座23によって担持されるアーム25も含む。図示の実施形態において、並進軸Yは、互いに交差する台座23の並進軸X,Yによって画成される平面に対して略垂直である。また、伸縮アームは、制御ユニット22により制御されるモータ手段(図示せず)に関連付けられ(結合され)ている。
【0056】
図示の実施形態において、伸縮アーム25には、筐体3へと向けられたその端部にヘッド支持体26が設けられており、このヘッド支持体26は、軸Yと平行な回転軸、本実施形態ではこの軸Yと一致する回転軸Rを中心にアーム25に対して回転動作することができるとともに、他の可動装置20,23,25と同様に移動手段10を構成しており、制御ユニット22により制御されるモータ手段(図示せず)に関連付けられ(結合され)ている。
【0057】
最後に、移動手段10は、工具支持ヘッド27を含んでおり、この工具支持ヘッド27は、ヘッド支持体26に対して嵌め付けられて、軸Rと略垂直な回転軸Rを中心にヘッド支持体26に対して回転動作されるように設計されている。無論、軸Rを中心とするヘッド27の回転動作は、制御ユニット22により制御されるモータ手段(図示せず)に関連付けられている。
【0058】
したがって、前述した設計は、工具支持ヘッド27に取り付けられた工具11に対して5段階の自由度、すなわち、軸X,Y,Z上での並進における3段階の自由度と、軸R,Rを中心とする回転における2段階の自由度とを与える。
【0059】
最後に、図示の実施形態において、工具支持ヘッド27には、軸Δに沿って機械加工しつつ、工具11を回転駆動するために使用されるモータ手段(図示せず)が設けられている。軸Δは、図2に示す実施形態では、この図が待機位置または休止位置に対応している限り、軸Yとほぼ一致している。無論、ヘッド27の様々な自由度を考慮して、軸Δは、軸Rと略垂直な状態を依然として保ちつつ、異なる方向性を有することができる。また、ヘッド27に設けられた工具11を回転させるためのモータ手段も、制御ユニット22により制御される。
【0060】
本発明においては、様々な方法で機械加工具11を形成することができ、また、図示の実施形態では、特に図3に示すように、工具11は、工具支持ヘッド27に設けられたモータ手段により、軸Δを中心に回転駆動されるフライス盤の形態を成している。
【0061】
保持部材13の移動手段12は、工具11の移動手段10の構造とほぼ同様の構造を有する。
【0062】
したがって、保持具13の移動手段12は、
− 少なくとも1つのガイドトラック、本実施形態では2つのガイドトラック31に沿って、水平な軸X’上を並進移動できるとともに、制御ユニットにより制御されるモータ手段(図示せず)に関連付けられたビーム30と、
− ガイドトラック34に沿って、軸X’に対して略垂直な軸Z’上を並進移動でき且つビーム30により担持されるとともに、制御ユニット2により制御されるモータ手段(図示せず)に関連付けられた台座33と、
− 軸X’,Z’によって画成される平面に対して略垂直な軸Y’上を並進状態で伸縮し且つ台座33によって支持されるとともに、制御ユニット22により制御されるモータ手段(図示せず)に関連付けられたアーム35と、
− 伸縮アーム35の一端に取り付けられて、軸Yと平行な軸Rを中心にアーム35に対して回転動作できるように設計されるとともに、制御ユニット22により制御されるモータ手段(図示せず)に関連付けられたヘッド支持体36と、
− ヘッド支持体36に対して嵌め付けられて、軸R’と垂直な軸Rを中心にヘッド支持体36に対して回転動作できるように設計されるとともに、制御ユニット22により制御されるモータ手段(図示せず)に関連付けられた保持部材担持ヘッド37と、
を含む。
【0063】
本発明において、保持部材13は任意の適切な方法で実施することができ、図示の実施形態では、保持部材13は、支持ヘッド37と反対側の一端40に、以下で明らかになるようにパネル2に対してほぼ断続的な圧力を及ぼすようになっている球41を有する。好ましい態様において、球41は、例えば合成高分子材料やプラスチック材料等の弾性変形可能な材料によって形成されている。球の弾性変形特性は、その後、機械加工振動を低減するために有利に使用される。無論、例えばスチールや他の適切な金属合金のような金属等の他の材料によって球を形成することもできる。図示の実施形態において、球41は、テーパ形状体42のほぼ端部において、支持ヘッド37の回転軸Rと略垂直な軸Δ上に位置されている。この場合、球41は、以下で明らかとなるようにパネル2上で回転可能にテーパ形状体42に取り付けられている。また、好ましい態様において、保持部材13は、ヘッド支持体37に対して取り外し可能に取り付けられており、それにより、保持部材13を迅速に取り替えあるいは工具に取って代えることができる。このため、好ましい態様においては、ヘッド支持体27と同様に、ヘッド37には、軸Δ’を中心に工具を回転させるための手段が設けられている。この場合、これらの駆動手段は制御ユニット22により制御される。
【0064】
このようにして構成される機械加工装置は、以下の方法で組み付けられる。最初に、パネル2が窓4に取り付けられる。このため、図示の実施形態では、筐体3が側方窓50を有しており、この側方窓50により、可動フレーム5から成る支持手段は、図2に示すように工具11と保持部材13との間にプレート2を位置させるように係合される。その後、この状態で、フレーム5が筐体3に対してロックされ、それにより、パネル2全体が筐体3に対して固定される。
【0065】
この配置が完了すると、本発明の本質的な特徴において、制御ユニット22は、工具11の移動手段10および保持部材13の移動手段12の動作を制御し、それにより、作動時、図3に示すように、加工領域と呼ばれる領域50にあるパネル2の機械加工面と呼ばれる面2と接触する状態に工具11を位置決めする。ほぼ同様な態様で、制御ユニット22は、移動手段12の動作を制御することにより、保持部材13を、特に球41を、保持領域52で、パネル2の保持面として知られる面2と接触する状態に位置決めする。前記保持領域52は、機械加工面2と反対側の保持面2上に位置しており、また、パネル2に対して加工領域50と反対側に位置している。
【0066】
この位置決めが完了すると、ユニット22は、動作中の機械加工具11とパネル2に接触する保持部材13との協調動作を制御することにより、パネル2の機械加工面2を少なくとも部分的に機械加工する。
【0067】
本発明の本質的な特徴において、制御ユニットは、工具11と保持部材13との協調動作を行って、この接合動作中における接触領域52と加工領域50との対向状態を保つ。この動作中、球41はパネル2の保持面2上で回転する。このことは、パネルに対する工具11の動きおよび保持部材13の動きを、機械加工領域の面に対して接線方向に向かう面内の成分と、機械加工領域の面に対して垂直な面内の成分とに分けることができることを意味している。この場合、少なくとも接線成分はゼロではない。したがって、協調動作は、パネルの表面に対して接線方向に向かう少なくとも1つの成分を有しており、少なくとも機械加工プロセスのある一定の段階においては、特にカットの深さの調整中における工具の場合のように、パネルの表面に対して垂直な成分も有する。
【0068】
好ましい態様において、ユニット22は、パネル2の機械加工段階中の全てにわたって、これらの動作を制御することにより、第1に、保持部材13の支持軸Δ’と支持領域52の表面との垂直関係を保つとともに、第2に、軸Δ’と工具11の回転軸Δとの接合(同軸)関係を保ち、それにより、機械加工および協調動作の全期間中にわたって、軸Δと軸Δ’が一致する。
【0069】
このように、保持部材と機械加工具11との関連付けにより、パネル2を変形させることなく、パネル2に対して高精度に機械加工を行うことができる。保持部材13と機械加工具11との関連付けに加えて、制御ユニット22に設けられる数値制御手段の精密な能力により、パネル2に求められる強度に応じて、異なる深さのパスをもって機械加工を行うことができ、あるいは、異なる点で異なる機械加工を行うことができる。この非常に高レベルな精度は、特に、機械加工力と、パネル2の両側で工具11および保持部材13により加えられる保持力とのバランスによって可能となる。
【0070】
好ましいが、必ずしも厳密にそうである必要はない実施形態においては、完全な精度を得ることを視野に入れて、パネル2を機械加工する前にパネル2の保持面2の特に正確な地図を作製できるように、レーザ遠隔測定手段等の遠隔測定手段55を設けることが考えられる。したがって、この遠隔測定により、完全な基準(参照)を得ることができるとともに、機械加工後にパネル2の全ての点でパネル2の深さを高精度で知ることができる。実際には、残りの深さは、その後、機械加工中に、工具11の端部と保持部材、特に球41との間の距離によって決定される。これは、この距離が機械加工後においてパネル2の残りの深さに対応しているためである。
【0071】
本発明の他の特徴においては、パネルの加工面2の座標を正確に測定することが可能な遠隔測定手段56を設けることを考えることができる。したがって、遠隔測定手段55と遠隔測定手段56とを組み合わせて使用すれば、機械加工の前後でパネル2の幾何学的形状に関する全ての情報を有することができる。
【0072】
パネル2の機械加工が完了すると、フレーム5のロックが解除されて取り外され、他のフレームを取り付けることができる。
【0073】
したがって、このように構成された本発明によれば、同時加工が可能となり、また、異なるフレームの使用により、異なるタイプのパネル2の機械加工を行うことができる。
【0074】
なお、図示の実施形態において、フレーム5には、並進移動でき且つフレーム5の有効寸法を調整できる横材57が取り付けられており、これにより、1つのタイプのフレームを用いて異なる寸法のパネルに対応することができる。
【0075】
本発明においては、加工領域50に、図5に示すように、少なくとも1つの対抗支持部材58を含めることもできる。この実施形態において、対抗支持部材58は、パネル2の加工面2と連続的に接触する3つの伸縮自在な平衡フィンガ59を含む。フィンガ59は、三角形状を成して配置されることが好ましいが、任意の他の形状も考えられる。
【0076】
対抗支持部材を構成するフィンガ59は、工具11によりパネルに生じるあらゆるドラッグ現象(drag phenomenon)を防止するために使用されるとともに、機械加工振動の減衰を行うこともできる。
【0077】
また、他の実施において、本発明の変形例は、工具支持ヘッド27で、回転軸Rに対して垂直な方向Δに沿って工具を並進させる移動手段を使用する。同様に、工具支持ヘッド37で、回転軸R’に対して垂直な方向Δ’に沿って保持部材を並進させる移動手段を使用する。無論、これらの並進移動手段は、制御ユニットにより制御されるモータ手段に関連付けられている。
【0078】
そのような構成は、パネルを求められている理論的なモデルに完全に従わせるように機械加工するのに特に適している。
【0079】
この場合、制御ユニットは、形成される理論的な3次元描写ファイルに基づいて装置の制御を行い、その後、このために、機械加工装置の様々な部分の動作を制御する。
【0080】
無論、本発明の機械加工装置は、パネルの実際の形状を検出できるようにする遠隔測定段階の後に制御ユニットが装置の動作を制御して実際の形状から求められる形状を作成する限りは、修正と見なすことができる機械加工方法との関連で制御することもできる。
【0081】
図3に示すように、パネルに対する3次元でのそのような機械加工作業は、アーム25,26の端部の動力学と工具26および保持部材の支持体の動力学とにより特に有利に働く。
【0082】
しかしながら、動作のある一定の組み合わせにおいて、制御ユニットは、機械加工領域および支持領域を得るための軸R,RおよびR’,R’を中心とする回転の計算において困難に遭遇する。
【0083】
計算におけるこれらの困難および関連する制御に対する解決策を与えるため、本発明は、実施の1つの形態において、特に、例えば図6に示すような形態において、ヘッド支持体26,36の軸R,R’を中心とする回転動作の排除を提案する。この変形例において、R,R’を中心とする回転動作は、略垂直であり、あるいは垂直面内に含まれる軸R,R’のそれぞれを中心とするヘッド支持体26,36の回転に取って代えることができる。この構成において、回転軸R,R’は、軸R,R’のそれぞれに対して垂直となるように配置される。無論、機械加工装置は、制御手段によって制御され且つ軸R,R’を中心とする回転に関連付けられるモータ手段を含む。
【0084】
図7は、図6に示す機械加工装置の変形実施形態を示している。この変形実施形態において、軸R,R’を中心とする回転動作は、軸R,RおよびR’,R’を中心とする回転動作と組み合わされる。
【0085】
このため、アーム25の端部は、軸Yと平行な水平軸Rを中心に回転動作できる揺動体(cradle)60を含む。この場合、ヘッド支持体26は、揺動体60上に取り付けられるとともに、軸Rと垂直な軸Rを中心に揺動体に対して回転動作でき、一方、工具支持ヘッド27は、軸Rおよび軸Rの両方に対して垂直な軸Rを中心に支持体26に対して回転動作できる。揺動体60が取り付けられるアーム35の端部と、ヘッド支持体26と、工具支持ヘッド27とを含むアセンブリは、ヘッドアセンブリと見なすことができるものを形成する。
【0086】
同様に、アーム35の端部は、水平軸R’を中心に回転動作できる揺動体61を含む。
【0087】
ヘッド支持体36は、揺動体61上に取り付けられるとともに、軸R’と垂直な軸R’を中心に前記揺動体に対して回転動作できる。最後に、保持部材担持ヘッド37は、軸R’および軸R’に対して垂直な軸R’を中心に支持体37に対して回転動作できる。
【0088】
この構成においては、一方で軸R,R,R間に、他方でR’,R’,R’間に冗長性(自由度)が存在する。この場合、制御ユニット22は、R,R’のそれぞれを中心とする回転に対するR,RおよびR’,R’のそれぞれを中心とする動作の組み合わせを優先して、機械加工装置の制御を行う。
【0089】
無論、図6および図7の実施の形態が、軸Δに沿う工具の並進動作および軸Δ’に沿う保持部材の並進動作を与えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の機械加工装置の好ましい実施の形態の概略斜視図である。
【図2】図1の面II-IIに沿う概略断面図である。
【図3】本発明のプロセスに従うパネルの機械加工中における機械加工具および保持部材における好ましい装着形態を示す正面図である。
【図4】本発明にしたがって機械加工されるパネルのための支持手段に独自のものではない好ましい実施の形態の拡大斜視図である。
【図5】本発明の機械加工装置の変形実施形態を示す図3と同様の図である。
【図6】本発明の機械加工装置の他の実施の形態の側方から見た正面図である。
【図7】機械加工装置の他の変形実施形態を示す図5と同様の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル(2)の機械加工のためのプロセスであって、
− パネル(2)の機械加工面(2)と呼ばれる面上の加工領域(50)に少なくとも1つの機械加工具(11)を位置決めするステップと、
− 機械加工面(2)の反対側であって、パネル(2)に対して加工領域(50)と反対側にあるパネル(2)の保持面として知られる面(2)上に位置された支持領域(52)に少なくとも1つの保持部材(13)を位置決めするステップと、
− 動作中の機械加工具(11)および保持部材(13)の、パネルの表面に対して接線方向に向かう少なくとも1つの成分を有する動きをもって、パネルでの動きを協調させることにより、動作中、支持領域(52)と加工領域(50)との対向状態を保って、機械加工面の少なくとも一部を機械加工するステップと、
を使用するプロセス。
【請求項2】
保持部材(13)が、協調動作中にパネル(2)と接触して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の機械加工プロセス。
【請求項3】
保持部材(13)が、支持領域(52)の表面に対して垂直な方向Δ’で支持力をパネルに対して加えることを特徴とする、請求項1または2に記載の機械加工プロセス。
【請求項4】
少なくとも1つの対抗支持部材(58)を加工領域(50)に対して適用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の機械加工プロセス。
【請求項5】
機械加工具(11)が、材料を剥ぎ取ることによりあるいは除去することにより機械加工を行うように設計されており、それ自体に軸Δを中心とする回転動作が与えられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機械加工プロセス。
【請求項6】
保持部材(13)が、支持領域に対して方向Δ’で力を加え、機械加工プロセス中および機械加工具(11)と保持部材(13)との協調動作中に軸Δ,Δ’がほぼ一致することを特徴とする、請求項5に記載の機械加工プロセス。
【請求項7】
少なくとも保持部材(13)での機械加工の振動を減衰させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の機械加工プロセス。
【請求項8】
保持部材(13)および機械加工具(11)がそれぞれ少なくとも5段階の自由度をもって移動されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の機械加工プロセス。
【請求項9】
保持部材(13)および機械加工具(11)がそれぞれ、軸X,Y,Zおよび軸X’,Y’,Z’のそれぞれに沿う3段階の自由度の並進動作、ならびに軸R,Rおよび軸R’,R’をそれぞれ中心とする2段階の自由度の回転動作をもって移動され、R,R’が軸Y,Y’のそれぞれに対して平行であり、R,R’がX,Z面およびX’,Z’面のそれぞれに対して平行であることを特徴とする、請求項8に記載の機械加工プロセス。
【請求項10】
機械加工されるパネル(2)が略垂直方向で配置されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の機械加工プロセス。
【請求項11】
パネル(2)が、機械加工プロセス中にほぼ固定されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の機械加工プロセス。
【請求項12】
機械加工前に保持面(2)の実際の幾何学的形状の決定を行うとともに、協調された機械加工動作中に所定の厚さに対応する距離で保持部材(13)および機械加工具(11)を配置することにより、予め決められた機械加工深さまでパネルの機械加工を行うことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の機械加工プロセス。
【請求項13】
保持部材が、パネルの保持面(2)を機械加工することなく当該保持面(2)の固定を行うことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の機械加工プロセス。
【請求項14】
少なくとも1つのパネル(2)を機械加工するための装置であって、
− 機械加工面(2)および保持面(2)として知られるパネルの2つの対向する面に対して同時にアクセスできるように形成された、パネル(2)を支持するための手段(5)と、
− 少なくとも1つの機械加工具(11)を移動させるための手段(10)と、
− 少なくとも保持部材(13)を移動させるための手段(12)と、
− 機械加工具(11)および保持部材(13)の移動手段(10,12)を制御するためのユニット(22)であって、パネル(2)に対する機械加工段階中に、
− パネル(2)の機械加工面(2)の加工領域(50)に機械加工具(11)を位置決めし、
− 加工領域(50)と反対側にある保持面(2)上に位置された支持領域(52)に保持部材(13)を位置決めし、
− 動作中の機械加工具(11)および保持部材(13)の、パネル(2)の表面に対して接線方向に向かう少なくとも1つの成分を有する動きをもって、パネルでの動きを協調させることにより、動作中に支持領域(52)と加工領域(50)との対向状態を保って、パネル(2)の機械加工面(2)の少なくとも一部を機械加工する、
ように移動手段(10,12)を制御するように設計されているユニット(22)と、
を含む装置。
【請求項15】
機械加工具(11)および保持部材(13)の移動手段(10,12)がそれぞれ、機械加工具(11)および保持部材(13)に少なくとも5段階の自由度を与えるように少なくとも5つの動作軸を有することを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
機械加工具(11)および保持部材(13)の移動手段(10,12)がそれぞれ、軸X,Y,Zおよび軸X’,Y’,Z’のそれぞれに沿う3段階の自由度の並進動作および軸R,Rおよび軸R’,R’をそれぞれ中心とする2段階の自由度の回転動作を含んでおり、R,R’が軸Y,Y’のそれぞれに対して平行であり、R,R’が軸X,Zおよび軸X’,Z’により画成される面のそれぞれに対して平行であることを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
− 機械加工具(11)を移動させるための手段(10)が、
− 少なくとも1つのガイドトラック(21)に沿って軸X上を並進移動でき、筐体(3)によって支持されるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられたビーム(20)と、
− ガイドトラック(24)に沿って軸Xに対して略垂直な軸Z上を並進移動でき、ビーム(20)により支持されるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられた台座(23)と、
− 軸X,Zによって画成される平面に対して略垂直軸なY上を並進状態で伸縮し、台座(23)によって支持されるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられたアーム(25)と、
− 伸縮アーム(25)の一端に取り付けられるように設計され、軸Yと平行な軸(R)を中心にアームに対して回転動作できるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられたヘッド支持体(26)と、
− ヘッド支持体(26)に対して嵌め付けられるように設計され、軸Yと垂直な軸(R)を中心にヘッド支持体(26)に対して回転動作できるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられた工具支持ヘッド(27)と、
を含み、
− 保持部材(13)のための移動手段(12)が、
− 少なくとも1つのガイドトラックに沿って軸X’上を並進移動でき、筐体(3)によって支持されるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられたビーム(30)と、
− ガイドトラック(31)に沿って軸X’に対して略垂直な軸Z’上を並進移動でき、ビーム(30)により担持されるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられた台座(33)と、
− 軸X’,Z’によって画成される平面に対して略垂直軸なY’上を並進状態で伸縮し、台座(33)によって担持されるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられたアーム(35)と、
− 伸縮アーム(35)の一端に取り付けられるように設計され、軸Y’と平行な軸(R’)を中心にアーム(35)に対して回転動作できるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられたヘッド支持体(36)と、
− ヘッド支持体(36)に対して嵌め付けられるように設計され、軸Y’と垂直な軸(R’)を中心にヘッド支持体(36)に対して回転動作できるとともに、制御ユニット(22)により制御されるモータ手段に関連付けられた保持部材担持ヘッド(37)と、
を含み、
− 支持手段(5)が、機械加工具(11)の移動手段(10)と保持部材(13)の移動手段(12)との間に介挿されるように筐体に対して取り付けられることを特徴とする、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
− 工具支持ヘッド(27)の支持体(26)が、伸縮アーム(25)の端部に設けられている揺動体(60)に取り付けられており、揺動体(60)が軸Rを中心に回転動作でき、支持体(26)が、軸Rと垂直な軸(R)を中心に揺動体(60)に対して回転動作でき、
− 工具支持ヘッド(37)の支持体(36)が、伸縮アーム(35)の端部に設けられている揺動体(61)に取り付けられており、揺動体(61)が軸R’を中心に回転動作でき、支持体(36)が、軸R’と垂直な軸R’を中心に揺動体(61)に対して回転動作できる、
ことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
軸X,ZおよびX’,Z’が略平行な垂直面を画成することを特徴とする、請求項16〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
工具支持ヘッド(27)が、軸Rに対して略垂直な軸を中心に機械加工具を回転させるための手段を含むことを特徴とする、請求項17〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
− 回転軸(R)と垂直な方向Δに沿って機械加工具(11)を並進移動させる移動手段と、
− 回転軸R’と垂直な方向Δ’に沿って保持部材(13)を並進移動させる移動手段と、
を含むことを特徴とする、請求項16〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
機械加工具(11)の移動手段(10)が、パネル(2)の機械加工面(2)上に少なくとも1つの対抗支持部材(55)を含むことを特徴とする、請求項14〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
機械加工振動のための減衰手段(41)を含むことを特徴とする、請求項14〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
減衰手段(41)が保持部材(13)の移動手段(12)に取り付けられている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
保持部材(13)が、機械加工プロセス中にパネル(2)の保持面(2)上で回転するように設計されている少なくとも1つの支持球(41)を含むことを特徴とする、請求項14〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
支持球(41)が、弾性変形可能な材料によって形成されており、機械加工振動を減衰することを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
パネル(2)の支持手段(5)が取り外し可能であり、パネルの機械加工中に支持手段(5)を固定するための手段(6)を含むことを特徴とする、請求項14〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
支持手段が、機械加工されるパネルを固定するための手段が設けられた取り外し可能なフレーム(5)を含むことを特徴とする、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
フレームが、フレーム寸法の調整を行うことができる少なくとも1つの移動可能な横材を含むことを特徴とする、請求項28に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−508952(P2007−508952A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536127(P2006−536127)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002709
【国際公開番号】WO2005/046931
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(506140446)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)
【Fターム(参考)】