説明

パフォーマンスボード・ユニットの落下防止機構

【課題】第1ロック機構が誤動作してもPFBユニットユニットが外れないような第2ロック機構を設ける。
【解決手段】テストヘッド上に補強プレートを介してパフォーマンスボードを搭載し、前記テストヘッドを回転させてプローバに対向するように構成し、駆動ブロックの移動に関連して前記パフォーマンスボードを前記テストヘッドにロックするための第1ロック機構を有するパフォーマンスボードの落下防止機構において、前記補強プレートに形成された溝と、前記駆動ブロックの移動を一方向のみの回動運動に変換する回動手段と、該回動手段に固定されたフックと、を設け、前記駆動ブロックを移動させて前記回動手段を回動させ、該回動手段に固定されたフックを前記補強プレートに形成された溝に入れることにより第2ロック機構を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体テストヘッドにおけるパフォーマンスボード・ユニットの落下防止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テストヘッドは、被試験対象(以下DUT)にデジタル信号やアナログ信号を与え、DUTからのデジタル信号やアナログ信号により、DUTの良否の判定を行い、試験を行うものである。
図4は半導体テスタにおけるテストヘッド31とプローバ32の構成を示す正面図である。
図4に示すように、パフォーマンスボード・ユニット(以下PBFユニット)1はテストヘッド31が(1)の状態において、テストヘッド31に搭載される。
【0003】
プローバ32が、テストヘッド31にPBFユニット1が取り付けられテストヘッド31にロックされたと認識すると、指令を出して、テストヘッド31を(1)→(2)→(3)の状態に回転させて、半導体テスタの動作が開始される。
【0004】
図5はこのような装置に用いられるPBFユニット1の斜視図である。図5において、PBFユニット1は電気配線が施された基板1aと補強プレート10で構成され、基板1aは補強プレート10に複数の固定ねじ26により固定されている。ロック機構13(2箇所)はシリンダ(図示省略)により矢印B,C方向に駆動される。
【0005】
B方向はシリンダの行き方向でPBF1がロックされる(ロック機構は省略)。C方向はシリンダの戻り方向でPBFユニット1のロックが解除される。11はPBF1の搬送用把手、12は保守などの分解作業時に解除される連結部材、20はPBFユニット1や駆動ブロック2が搭載されるベース部材である。なお、補助プレート10を含むPBFユニット1以外はテストヘッド31(図4参照)に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−233901号公報
【特許文献2】特開2008−134171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の構成において、図示しないシリンダが誤動作(例えばプログラムのバグ等)すると、駆動ブロック2も誤動作してPFBユニット1のロックが解除され落下するという事故につながる。特にプローバ(図4参照)32との接続時には、テストヘッド31を旋回させて逆さまの状態で接続されるため、旋回中などでシリンダが誤動作すると、PFBユニットユニット1の落下により人が怪我をすることが想定される。
【0008】
従って本発明の目的はシリンダが誤動作してもPFBユニットが外れないようなロック機構を新たに設け、そのロック機構の解除はシリンダの動作に関わりなく人が意識的に操作する機構とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、請求項1に記載の落下防止機構の発明においては、
テストヘッド上に補強プレートを介してパフォーマンスボード・ユニットを搭載し、前記テストヘッドを回転させてプローバに対向するように構成し、駆動ブロックの移動に関連して前記パフォーマンスボード・ユニットを前記テストヘッドにロックするための第1ロック機構を有するパフォーマンスボード・ユニットの落下防止機構において、前記補強プレートに形成された溝と、前記駆動ブロックの移動を一方向のみの回動運動に変換する回動手段と、該回動手段に固定されたフックと、を設け、前記駆動ブロックを移動させて前記回動手段を回動させ、該回動手段に固定されたフックを前記補強プレートに形成された溝に入れることにより第2ロック機構を構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2においては、請求項1に記載の落下防止機構において、前記第2ロック機構の解除に際してはオペレータが前記回動手段を回動させて前記フックのロック解除をおこなうことを特徴とする。
【0011】
請求項3においては、請求項1または2に記載の落下防止機構において、前記フックは所定の力を有して回動させる為の摩擦手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1記載の発明によれば、駆動ブロックの移動による回動運動は一方向のみなので、第1ロック機構が誤動作してロック機構が機能しなくなっても、第2ロック機構のフックは外れないのでロック状態を維持することができ落下事故を防ぐことが出来る。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、第2ロックの解除はオペレータが意識的につまみを回さなければならないため、第1ロック機構の誤動作によるロックが機能しなくてもパフォーマンスボードの落下事故を防ぐことが出来る。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、回動手段の自重及び振動などによってフックが補強プレートの溝から外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のパフォーマンスボード・ユニット(PFBユニット)の落下防止機構の実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】ロックユニットの詳細を示す一部断面構成図である。
【図3】ロック解除時(シリンダ戻り)の状態を示す説明図である。
【図4】一般的な半導体テスタにおけるテストヘッドとプローバの構成を示す正面図である。
【図5】従来のパフォーマンスボード・ユニット(PFBユニット)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明のPFBユニットの落下防止機構の実施形態の一例を示す斜視図、図2はロックユニットの詳細を示す一部断面構成図である。
これらの図において、本実施例においては、駆動ブロック2の先端付近にプッシャーブロック4が設けられ、このプッシャーブロック4の移動により動作するロックユニット3が設けられる。
【0017】
図2はロックユニット3の詳細を示す平面図(a)、一部断面正面図(b)、一部断面側面図(c)である。これらの図において、矩形の板材からなるベース板21はベース部材20に固定ねじ25により固定されている。
【0018】
ベース板21上には一端(頂部)にねじ穴が、他端に鍔22aが形成された断面凸状のシャフト7が配置されており、シャフト7は鍔22aをベース板に接して直立して固定されている。シャフト7にはシャフトの径よりもわずかに大きな内径を有するスペーサ24および回転体9が挿入されている。回転体9の一端(図では上方)には深さがシャフト7の頂部に達する座繰りが形成されており、この座繰りの底部にウエーブワッシャ8が配置されている。
【0019】
シャフト7の頂部のねじ穴には中程に鍔22bを有する押しねじ15がねじ込まれ、鍔22bにより座繰りの底部に配置されたウエーブワッシャ8を押圧している。
回転体9の下部の側面にはねじ穴が形成されており、そのねじ穴に所定の長さを有するストッパピン23がねじ込まれている。このストッパピン23は回転体9と一体で回転する。
【0020】
回転体9の上面には長方形に形成されたフック6が配置されている。このフック6の一端は回転体の外径に沿うように半円状に形成され他端は回転体9から突出した状態とされている。フック6の上には凸部14aが形成されたつまみ14が配置され、つまみ14とフック6は重ねた状態で固定ねじ17により回転体9の頂部に固定されている。
【0021】
上述の構成によりフック6はウエーブワッシャ8の反発力とスペーサ24の摩擦によりつまみ14をオペレータ(図示省略)が所定の力で回すことにより回動可能とされている(ウエーブワッシャ8は回転体9やつまみ14等の自重及び振動などによる回動防止機構として機能する)。
べース板21上に所定の間隔で直立して配置された第1,第2ストッパ18,19はフック6の矢印A(図2a参照)方向への回動を所定の範囲に規制する。
【0022】
回転体9には回転軸に直交して長方形のブロック5が固定ねじ16により固定されており、このブロック5は駆動ブロック2の先端に設けたブッシャーブロック4と略同じ高さの位置に配置されており、ブロック5がプッシャーブロック4に押圧されて矢印B方向に移動すると回転体9が回動する。
補強プレート10の側面にはフック6が回動したときに回転体9から突出したフック6の先端部が侵入可能な溝10aが形成されている。
【0023】
上述の構成において、ロックユニット3はロック解除時は図3に示すように矢印C方向(シリンダ戻り)に移動した状態となっている。即ち、駆動ブロック2はロック解除の位置にあり、つまみ14は2点鎖線で示す位置にあって、ブロック5とプッシャーブロック4は当接していない。また、ストッパピン23は第2ストッパ19に当接している。
【0024】
次にロック指令が出されたら駆動ブロック2が矢印B方向(シリンダ行き)に移動してプッシャーブロック4がブロック5に当接してブロック5を押圧する。その結果、つまみ14が回動し同時にストッパピン23及びフック6も矢印A方向に回動してストッパピン23が第1ストッパ18に当接し、補強プレート10の溝10aにフック6が侵入する(この状態でフック6がPFBユニット1をロックしている)。
【0025】
シリンダー(図示省略)の戻り動作によりPFBユニット1のロックが外れるが、ロックユニット3の回転体9はウェーブワッシャー8の圧力により保持されているのでフック6はPFBユニット1をロックしている状態のままである。
【0026】
従って、シリンダーが誤動作しても同じ状態を保持しPFBユニット1をロックしている状態のままなのでPFBユニット1が落下することはない。フック6の解除はオペレータがつまみ14を第2ストッパ19に当接するまで矢印A方向に回すことによって行う。
【0027】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。例えば、プッシャーブロック、駆動ブロック、つまみ、ベース板などは図示の形状に限ることなく任意に形成可能であり、それぞれの機能を有するものであればよい。
従って本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形を含むものである。
【符号の説明】
【0028】
1 パフォーマンスボード(PFB)ユニット
1a 基板
2 駆動ブロック
3 ロックユニット
4 プッシャーブロック
5 ブロック
6 フック
7 シャフト
8 ウエーブワッシャ
9 回転体
10 補強プレート
10a 補強プレートの溝
11 搬送用把手
12 連結部材
13 ロック機構
14 つまみ
14a 凸部
15 押しねじ
16 固定ねじ
17 固定ねじ
18 第1ストッパ
19 第2ストッパ
20 べース部材
21 べース板
22 鍔
23 ストッパピン
24 スペーサ
25 固定ねじ
26 固定ねじ
31 テストヘッド
32 プローバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストヘッド上に補強プレートを介してパフォーマンスボード・ユニットを搭載し、前記テストヘッドを回転させてプローバに対向するように構成し、駆動ブロックの移動に関連して前記パフォーマンスボード・ユニットを前記テストヘッドにロックするための第1ロック機構を有するパフォーマンスボード・ユニットの落下防止機構において、前記補強プレートに形成された溝と、前記駆動ブロックの移動を一方向のみの回動運動に変換する回動手段と、該回動手段に固定されたフックと、を設け、前記駆動ブロックを移動させて前記回動手段を回動させ、該回動手段に固定されたフックを前記補強プレートに形成された溝に入れることにより第2ロック機構を構成したことを特徴とする落下防止機構。
【請求項2】
前記第2ロック機構の解除に際してはオペレータが前記回動手段を回動させて前記フックのロック解除をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の落下防止機構。
【請求項3】
前記フックは所定の力を有して回動させる為の摩擦手段を備えたことを特徴とする請求請求項1または2に記載の落下防止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−276471(P2010−276471A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129230(P2009−129230)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】