説明

パラキシレンを生成するための高エネルギー効率のプロセス

【課題】循環損失の少ない所望のキシレン異性体収率を高め、供給ストリーム処理の循環速度を改善するプロセスの提供。
【解決手段】炭素数が9(C9)以上の炭化水素を実質的な量分含有する供給ストリームから、1つ以上の高純度キシレン異性体を生成および回収するためのプロセス。この供給ストリームは処理されて重質芳香族化合物が脱エチル化され、分画され、そしてC8芳香族異性体の回収および異性化から成る循環プロセスへと通過し、低エネルギーコストで高純度キシレン異性体を回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素の接触転化に関するものであり、より具体的には、芳香族化合物の異性化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キシレン異性体は、化学合成における広範且つ多様な用途で利用される重要な中間体である。パラキシレンは、合成織物繊維及び樹脂の製造に用いられるテレフタル酸のための供給原料である。メタキシレンは、可塑剤、アゾ染料、木材用防腐剤の製造に用いられる。オルトキシレンは、無水フタル酸生成のための供給原料である。
【0003】
通常、接触改質又はその他のソースから得られるキシレン異性体の比率は、化学中間体として必要とされる比率を満たさず、さらに分離又は転化の困難なエチルベンゼンを含んでいる。特にパラキシレンは急速に需要の高まる主要な化学中間体であるが、C8芳香族化合物ストリームの僅か20〜25%にしか達しない。パラキシレン回収のための吸着等のキシレン異性体回収と、所望の異性体の追加量を生成する異性化とを組み合わせることによって、上記需要に対しての異性体の比率を調節することが可能となる。異性化によって、所望のキシレン異性体の不足した、キシレン異性体の非平衡混合物は、平衡濃度へと接近した混合物へ転化される。
【0004】
パラキシレンの回収及び芳香族化合物の異性化から成る上述のプロセス・ループにおける1つの問題点は、この結合プロセスに供給される供給ストリーム中に炭素数が9以上の芳香族化合物(C9+芳香族化合物)が存在していることである。通常、異性化プロセス又は分離プロセスにおいて相当量のC9+芳香族化合物が存在することは、処理性能あるいは触媒/吸着剤の寿命の観点から見て、許容可能なことではなく、また望ましいことでもない。通常、供給ストリームは、このC9+芳香族化合物の除去のため、プロセス・ループに送達される前に分画される。しかし、そのためにはC8芳香族化合物部分全体を塔頂部へと上昇させねばならず、またC8芳香族化合物とC9+芳香族化合物とを分離することも必要となり、その工程には費用がかかる。この結果として必要とされるエネルギー及び投資コストを節減できれば大きな利点となる。
【0005】
キシレンの異性化のため、種々の触媒及びプロセスが開発されてきた。これらのプロセスは、通常、キシレン異性体に伴うエチルベンゼンの処理方法によって区別される。エチルベンゼンは、容易にはキシレンへと異性化されず、また、精密蒸留又は吸着によってキシレンから分離する方法もコストが非常に高い。またキシレン及びエチルベンゼンの混合物を異性化し、パラキシレンを回収し、そして生成されたC8芳香族ラフィネートをリサイクルする方法は、このリサイクル流中のエチルベンゼン濃度を高めてしまう傾向がある。広く用いられている方法として、エチルベンゼンを脱アルキル化して主にベンゼンを形成し、同時にキシレンを平衡状態に近い混合物へと異性化する方法がある。もう1つの方法として、エチルベンゼンを、水素化−脱水素化作用を有する固体酸触媒の存在下、ナフテンへの転化及びこのナフテンからの再転化を通じて反応させ、キシレン混合物を形成する方法がある。本技術分野においては、これらの方法を組み合わせた幾通りかの方法が存在する。
【0006】
過去四半世紀にわたって、キシレンの異性化のための、1つ又は複数のモレキュラーシーブ触媒を利用したいくつかのプロセスが開示されてきた。例えば、米国特許第3,856,872号(Morrison)明細書には、ZSM-5、ZSM-12又はZSM-21ゼオライトから成る触媒を用いた、キシレンの異性化及びエチルベンゼンの転化が教示されている。米国特許第3,948,758号(Bonacciら)明細書には、芳香族に富んだ改質物ストリームを、水素化分解し、分画してベンゼン、トルエン及びC9+芳香族化合物を分離し、C8芳香族化合物から所望の異性体を分離し、そしてこの所望の異性体の不足した炭化水素を異性化することによって処理する方法が開示されている。米国特許第4,899,011号(Chuら)明細書には、それぞれ強力な水素化金属を伴う2つのゼオライトを用いてC8芳香族化合物を異性化する方法が教示されている。米国特許第5,977,420号(Abichandaniら)明細書には、C8+供給物をエチルベンゼン転化処理にかけ、続いて分画してC9+を除去し、そしてこの塔頂ストリームを、ベンゼン/トルエンカラム、パラキシレン回収、及び異性化と続き、この異性化物がベンゼン/トルエンカラムへと再循環するループ内で処理する処理方式が開示されている。米国特許第6,222,086号(Sharmaら)明細書には、キシレン及びエチルベンゼンの混合物を異性化するための、2つのゼオライト系触媒を用いた方法であって、第2の触媒の白金族金属の含有量が第1の触媒の白金族金属の含有量の30%未満であることを特徴とする方法が教示されている。米国特許第6,448,459号(Magne-Drischら)明細書には、エチルベンゼン濃度の高い第1部分の回収及び異性化、このエチルベンゼン濃度の高い部分から生成された第2部分からの、吸着によるパラキシレンの回収、そしてこのパラキシレン吸着ステップにて生成されたラフィネート及び脱離剤の異性化から成る、プロセスの組み合わせが開示されている。米国特許第6,660,896号(Buchananら)明細書には、水素の存在下で第1及び第2触媒を利用して、エチルベンゼン及びキシレン異性体の混合物を含有する供給物を異性化し、平衡状態よりもパラキシレンの含有量が高い生成物を生成するプロセスが教示されている。これらの引例は本発明の個々の構成要素を教示してはいるが、これらの技術のいずれも、本発明のプロセスの決定的に重要な意味を持つ特徴を提供する、これら構成要素の組み合わせを示唆してはいない。
【0007】
いずれの技術も、相当量のC9+芳香族化合物を含有するC8+供給原料からパラキシレンを得るための、本発明によるプロセス及び触媒の効率的な組み合わせについて示唆してはいない。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0008】
本発明の主な目的は、C8芳香族炭化水素の異性化のための特定の反応に適合した触媒及びシステムの組み合わせを利用し、循環損失の少ない所望のキシレン異性体の収率を高め、実質的濃度のC9+芳香族化合物を含有する供給ストリームを処理する際の循環速度を高めることができる新規なプロセスを提供することである。
【0009】
本発明は、C9+芳香族化合物を転化し、続いて分画して軽質及び重質端を除去し、パラキシレン回収から成るシステムのための中間ストリームを生成する気相領域と、パラ−減少キシレン(para-depleted xylenes)の異性化のための領域との組み合わせから成るプロセスによって、少ないエネルギーコストでパラキシレンを生成することができるという発見に基づいている。
【0010】
本発明の広範な実施の形態の1つは、アルキル芳香族炭化水素から成り、メチルエチルベンゼンを0.5重量%以上含む炭素数が9以上の炭化水素を1.0重量%以上含む供給ストリームから、1つ又は複数の高純度キシレン異性体を生成及び回収するためのプロセスである。このプロセスは、この供給ストリームを、水素の存在下で重質芳香族化合物転化触媒と接触させて、この供給ストリームよりもエチル芳香族炭化水素の含有量が少ない脱エチル化芳香族ストリームを得るステップと;この脱エチル化芳香族ストリームを分画し、炭素数が8の芳香族化合物から成る中間ストリームから、炭素数が7以下の炭化水素から成る軽質生成物及び炭素数が9以上の炭化水素から成る重質生成物を分離するステップと;この中間ストリームの少なくとも一部を、異性化ストリームと共に異性体回収プロセスにかけ、少なくとも1つの高純度キシレン異性体を回収し、また未回収C8芳香族異性体から成るC8芳香族ラフィネートストリームを生成するステップと;そして、このC8芳香族ラフィネートストリームの少なくとも一部を、異性化領域で異性化触媒と接触させ、少なくとも1つのキシレン異性体を、このC8芳香族ラフィネートストリーム中の濃度よりも高い濃度で含む異性化ストリームを得るステップによって構成される。
【0011】
本発明のより具体的な実施の形態の1つは、アルキル芳香族炭化水素から成り、メチルエチルベンゼンを0.5重量%以上含む炭素数が9以上の炭化水素を1.0重量%以上含む供給ストリームから、1つ又は複数の高純度キシレン異性体を生成及び回収するためのプロセスである。このプロセスは、この供給ストリームを、水素の存在下で重質芳香族化合物転化触媒と接触させて、この供給ストリームよりもメチルエチルベンゼンの含有量が少ない脱エチル化芳香族ストリームを得るステップと;この脱エチル化芳香族ストリームを分画し、炭素数が8の芳香族化合物から成る中間ストリームから、炭素数が7以下の炭化水素から成る軽質生成物及び炭素数が9以上の炭化水素から成る重質生成物を分離するステップと;この中間ストリームの少なくとも一部を、異性化ストリームと共に異性体回収プロセスにかけ、少なくとも1つの高純度キシレン異性体を回収し、また未回収C8芳香族異性体から成るC8芳香族ラフィネートストリームを生成するステップと;そして、このC8芳香族ラフィネートストリームの少なくとも一部を、異性化領域で、少なくとも1つのキシレン異性体を、このC8芳香族ラフィネートストリーム中の濃度よりも高い濃度で含む異性化ストリームを得るための最小限の水素の存在下の異性化条件下で異性化触媒と接触させるステップによって構成される。
【0012】
本発明のさらに具体的な実施の形態の1つは、接触改質物から、1つ又は複数の高純度キシレン異性体を生成及び回収するためのプロセスである。このプロセスは、この接触改質物を分画し、軽質改質物、及びメチルエチルベンゼンを0.5重量%以上含む炭素数が9以上の炭化水素を1.0重量%以上含む重質改質物供給ストリームを得るステップと;この供給ストリームを、水素の存在下で重質芳香族化合物転化触媒と接触させることによって、この供給ストリームよりもエチル芳香族炭化水素の含有量が少ない脱エチル化芳香族ストリームを得るステップと;この脱エチル化芳香族ストリームを分画し、炭素数が8の芳香族化合物から成る中間ストリームから、炭素数が7以下の炭化水素から成る軽質生成物及び炭素数が9以上の炭化水素から成る重質生成物を分離するステップと;この軽質改質物ストリームを芳香族化合物抽出及び分画ステップにて処理し、非芳香族系ラフィネートから、ベンゼン、トルエン及びトルエン−塔底ストリームを分離するステップと;この炭素数が9以上の炭化水素から成る重質生成物及びトルエンの少なくとも一部を、トランスアルキル化領域で、トランスアルキル化条件下でトランスアルキル化触媒と接触させることによって、トランスアルキル化生成物を得るステップと;このトランスアルキル化生成物を分画し、炭素数が7以下のストリーム、炭素数が8の芳香族化合物から成る中間ストリーム及び炭素数が9以上のストリームに分別するステップと;この中間ストリームの少なくとも一部を、異性化ストリームと共に、異性体回収プロセスで処理し、少なくとも1つの高純度キシレン異性体を回収し、そして未回収C8芳香族異性体から成るC8芳香族ラフィネートストリームを生成するステップと;そして、このC8芳香族ラフィネートストリームの少なくとも一部を、液相中の異性化領域で、実質的に水素が存在しない異性化条件下で異性化触媒と接触させることによって、少なくとも1つのキシレン異性体を、このC8芳香族ラフィネートストリーム中の濃度よりも高い濃度で含む異性化ストリームを得るステップによって構成される。
【0013】
これらの又はその他の目的及び実施の形態は、以下の本発明の詳細な説明を参照することによって明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
芳香族化合物の異性化ステップに供給される非平衡アルキル芳香族供給ストリームは、C6H(6-n)Rnの一般式で表される異性化可能なアルキル芳香族炭化水素によって構成されている。ここでnは1〜5の整数であり、RはCH3、C2H5、C3H7又はC4H9であり、異性化して、異性化生成物中に価値のあるアルキル芳香族異性体を少なくとももう一つ得るために適した任意の組み合わせである。この供給ストリームは、少なくとも1つのエチル基を含む1つ以上のエチル芳香族炭化水素によって構成されている。つまり、少なくとも1つのアルキル芳香族炭化水素の、少なくとも1つのRは、C2H5である。一般的にいって、この供給ストリームに適した成分は、例えば、エチルベンゼン、メタキシレン、オルトキシレン、パラキシレン、エチルトルエン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、プロピルベンゼン、メチルプロピルベンゼン、エチルプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、及びそれらの混合物などである。本発明は、炭素数が9以上の炭化水素を、1.0重量%以上、好ましくは少なくとも5重量%、実質的に含有する供給ストリームによって特徴付けられる。また本発明は、メチルエチルベンゼンを0.5重量%以上、好ましくは少なくとも2重量%含有する供給ストリームによる特性によっても特徴付けられる。
【0015】
キシレン及びエチルベンゼンから成る非平衡C8芳香族供給ストリームは、通常、ほぼ1〜50重量%のエチルベンゼン、ほぼ0〜35重量%のオルトキシレン、ほぼ20〜95重量%のメタキシレン、及びほぼ0〜30重量%のパラキシレンを含有している、『非平衡』とは、少なくとも1つのC8芳香族異性体が、異性化条件下の平衡濃度とは実質的に異なる濃度で存在しているということを意味する。
【0016】
このアルキル芳香族供給ストリームは、例えば石油の精製、炭化水素の熱分解又は接触分解、石炭のコークス化、又は石油化学変換などの多様な供給源の内のいずれかから供給されるものであってもよい。本発明で用いられる供給ストリームは、種々の石油精製ストリームから生じる適切な画分において、例えば個々の成分として、又は接触分解又は接触改質された炭化水素を選択的に分画、蒸留することによって得られる特定の沸騰範囲画分として見出すことができる。異性化可能な芳香族炭化水素を濃縮する必要はない。すなわち、本発明のプロセスにおいては、接触改質油などのアルキル芳香族含有ストリームを異性化し、その後に芳香族化合物の抽出を伴うか否かに関わらず、特定のキシレン異性体、特にパラキシレンを生成することができる。本発明のプロセスに供給されるC8芳香族化合物には、最大で30重量%までの、非芳香族炭化水素、つまりナフテン及びパラフィンが含まれていてもよい。異性化可能な炭化水素は、実質的に芳香族化合物で構成されるが、下流側の回収プロセスからは確実に純粋な生成物が得られるよう設定されるのが好ましい。
【0017】
周知の技術に基づく、パラキシレン生成のためのC8芳香族化合物の処理工程は、図1に示される順序で進行する。供給ストリーム1は、炭素数が8以上の芳香族化合物で構成されており、リサイクルストリーム11と共に分留塔10で処理され、ストリーム12の炭素数が9以上の芳香族化合物が除去される。この炭素数が9以上の芳香族化合物は、分留によって供給ストリームから除去しない場合、下流側の分離ステップ20及び異性化ステップ30に有害な影響を及ぼし得る。
【0018】
分留塔はC8芳香族化合物ストリーム13を生成し、このC8芳香族化合物ストリーム13は分離ステップ20へと通過する。このストリームは、選択的吸着又は結晶化処理のいずれか、またはその両方によって処理され、選択的にパラキシレン異性体が回収される。純粋なパラキシレンは、ストリーム21の生成物として回収され、残りのC8芳香族化合物は異性化ユニット30へと通過する。オプションとして、ストリーム31を経由しての水素の存在下で、この異性化ユニットは、上述のようなエチルベンゼンの転化にも用いることのできる種々の触媒の1つ又は複数を利用して、平衡状態に近いキシレン異性体をストリーム32として生成する。この異性化生成物は、脱トルエンカラム40へと通過し、ここで炭素数が7以下の物質がストリーム41として除去され、そして分留塔10へとリサイクルされるリサイクルストリーム11が生成される。
【0019】
図2は本発明の1つの実施の形態を示している。この図は、2つの異なる異性化技術の特徴を利用し、プロセス中のリサイクルの容量を大幅に低減させると同時に、C9芳香族化合物からC8芳香族化合物を分離するサイズの大きい分留塔の実質的なサイズ及びエネルギー必要量を低減させることのできる構成を示している。
【0020】
この実施の形態においては、炭素数が8以上の芳香族化合物から成る供給ストリーム1が、パージストリーム101と共に、重質芳香族化合物転化領域100で処理される。この重質芳香族化合物転化領域は、供給物中のC9芳香族化合物の実質的な濃度に対して耐性を有する重質芳香族化合物転化触媒を含んでおり、同時にエチルベンゼン及びメチルエチルベンゼンを転化する。この供給ストリームは、ストリーム102として供給される水素の存在下で、200〜600℃以上の温度、好ましくは300〜500℃の範囲内の温度といった条件を含む適切な重質芳香族化合物転化条件下で、触媒と接触する。また圧力は、通常、絶対圧力で100 kPa〜5 MPa、好ましくは500 kPa〜3 MPaの範囲内の圧力である。この重質芳香族化合物転化領域は、中間ストリームに対して、0.5〜50 hr-1、好ましくは0.5〜20 hr-1の液空間速度を提供するのに十分な量の触媒を含んでいる。供給ストリームは、好ましくは0.5:1〜25:1の水素/炭化水素モル比で水素と混合される。また窒素、アルゴン及び軽質炭化水素などの他の不活性希釈剤が水素と共に存在していてもよい。この重質芳香族化合物転化領域は、単一の反応器、又はそれらの間に適切な手段を有する2つ以上の別々の反応器によって構成され、各反応器の入口において所望の異性化温度が維持される。反応物質は、上昇流、下降流、又は半径流方式のいずれかの方式で触媒床と接触する。この反応物質は、触媒と接触して異性化生成物を得る際に、液相、気液混合相、又は気相のいずれであってもよい。
【0021】
重質芳香族化合物転化触媒は、通常、ゼオライト系成分、金属成分及び無機酸化物によって構成される。“Atlas of Zeolite Structure Types”によれば、この重質芳香族化合物転化触媒中の成分として適したゼオライトは、ATO、BEA、EUO、FAU、FER、MCM-22、MEL、MFI、MOR、MTT、MTW、NU-87 OFF、Omega、UZM-5、UZM-8及びTONの内の1つ又は複数である。好ましいゼオライトは、MFI及びMORのいずれか1つ又は両方である。金属成分は、触媒中に0.01〜10重量%の割合で存在する、1つ以上の卑金属及び貴金属より構成される。この1つ以上の金属は、Re、Sn、Ge、Pb、Co、Ni、In、Ga、Zn、U、Dy、Tl、及び白金族金属から成る群より選択される。この内レニウムが好ましい。そして最後に、無機酸化物結合剤、好ましくはアルミナが、この触媒を構成する。触媒の形状は球状であるのが好ましい。またその他の適切な形状は押出成形物状である。
【0022】
重質芳香族化合物転化領域からの流出物は、ストリーム103として脱トルエン塔104へと通過し、ここでトルエン及び軽質成分が、炭素数が8以上の芳香族化合物から塔頂部へと実質的に分離され、ストリーム105として流出する。この炭素数が8以上の芳香族化合物はストリーム106として分留塔200へと通過し、ここで炭素数が9以上の芳香族化合物(ストリーム202)から炭素数が8の(C8)芳香族化合物がストリーム201として分離される。このプロセスにおけるパージストリーム101は図1のリサイクルストリーム11に比べ実質的に少なく、また最初の異性化/分別ループを通ずる物質の循環も図1の循環に比べて実質的に少ないため、分留塔104及び200は図1の制御スキームにおける対応する塔に比べ実質的に小さい。分留塔200は、個々のC8芳香族異性体の生成及び回収のためのこうした複合設備の資本及びエネルギーのコストの重要な部分を全体として代表するものであるため、このサイズの問題は、分留塔200に対して特に重要な意味を持つ。
【0023】
塔頂ストリーム201はリサイクルストリーム401と合流し、C8芳香族化合物異性体回収ユニット300へと供給される。異性化生成物からの特定の異性体生成物の回収プロセスは、本発明にとって重要な意味を持つものではなく、本技術分野において周知の任意の効率的な回収スキームを利用することができる。通常、C8芳香族化合物は処理され、パラキシレン異性体が選択的に回収されるが、その他の異性体を代わりに、又はそれに加えて回収することもできる。パラキシレンは、通常、吸着及び結晶化のいずれか、又はそれら両方の組み合わせによって回収される。米国特許第3,201,491号明細書による、結晶性アルミノシリケートを利用した選択的吸着が好ましい。好ましい吸着回収プロセスの改良及び代替的方法については、例えば参照によって上記明細書に組み込まれる、米国特許第3,626,020号明細書、同第3,696,107号明細書、同第4,039,599号明細書、同第4,184,943号明細書、同第4,381,419号明細書及び同第4,402,832号明細書において開示されている。所望のC8芳香族異性体はストリーム301として回収され、一方不所望の異性体から成るC8芳香族ラフィネートはストリーム302として異性化ユニット400へと通過する。
【0024】
ユニット400では、供給原料中の、特にキシレンを対象とした異性化が行われ、ここで軽質及び重質生成物への最小限の転化によって、供給原料中のキシレンが平衡状態に近い混合物へと異性化される。C8芳香族ストリーム302、C8芳香族異性体の非平衡混合物が、適切な第2の異性化条件下で異性化触媒と接触する。この条件には、100〜500℃、好ましくは200〜400℃の範囲の温度といった条件が含まれる。圧力は絶対圧で500 kPa〜5 MPaの範囲の圧力である。この異性化ユニットは、供給ストリームに対して、0.5〜50 hr-1、好ましくは0.5〜20 hr-1の液空間速度を提供するのに十分な量の触媒を含んでいる。水素は供給物1モルに対して最大で15モルの量分存在する。好ましくは、この異性化は、最小限の水素の存在下、つまり供給物1モルに対して0.2モル未満の水素の存在下で行われる。より好ましくは、この異性化は、水素が実質的に存在せず、遊離水素が供給ストリームに加えられることのない液相中で行われる。この場合、この前のプロセスに由来する任意の溶存水素は、実質的に供給物1モルに対して0.05モル未満、多くの場合0.01未満、また通常の分析手段によって検知不可能な分量の場合もあり得る。異性化領域は、単一の反応器によって、又は各反応器の入口で所望の異性化温度が維持されるように適切な手段を介在せた、2つ以上の別々の反応器によって構成されている。反応物質は、上昇流、下降流、又は半径流方式で触媒床と接触する。
【0025】
異性化触媒は、10よりも大きい、好ましくは20よりも大きいSi:A12比と、5〜8Åの細孔径とを有する群から選択されるゼオライト系アルミノシリケートによって構成されるのが好ましい。適切なゼオライトの具体例として、MFI、MEL、EUO、FER、MFS、MTT、MTW、TON、MOR及びFAU型のゼオライトがある。特に好ましいMFI型ゼオライトは、結晶構造の成分としてのガリウムを有する、ガリウム−MFIである。好ましいGa-MFIは、500未満、好ましくは100未満のSi/Ga2モル比を有しており、また同時にアルミニウムの含有量も非常に少なく、Si/Al2モル比が500、好ましくは1000よりも大きい。触媒中のゼオライトの割合は、通常、1〜99重量%、好ましくは25〜75重量%の範囲内である。異性化触媒は、白金族金属、好ましくは白金を0.01〜2.0重量%含んでいるが、金属化合物を実質的に含まないのが好ましい。触媒の残りの構成要素として、無機酸化物結合剤、好ましくはアルミナがこの触媒に含まれる。触媒の形状は球状であるのが好ましい。またその他の適切な形状としては押出成形物状が好ましい。
【0026】
異性化ユニットから流出した異性化生成物は、異性体回収ユニット300へとリサイクルされるストリーム401と、小パージストリーム402とに分けられる。この小パージストリーム402は、低濃度のエチルベンゼンと、異性化ユニットで生成される軽質及び重質成分とがストリーム401に集積するのを防ぐため、これらの成分を転化、除去して、重質芳香族化合物転化領域100へと移送される。
【0027】
本発明のプロセスは、ナフサ、液化石油ガス、オレフィン−プラント副生成物及びその他の炭化水素供給原料から所望の芳香族生成物を生成、回収するためのプロセスを組み合わせて利用する、芳香族化合物のための複合プロセスとの関連で有効に利用される。こうした複合プロセスには、供給物処理、接触改質又はその他の芳香族化、芳香族化合物の回収のための抽出、水素化脱アルキル化、不均化及び/又はトランスアルキル化などがある。
【0028】
本発明のプロセスを含む、また含まないこうした複合プロセスの実施例を、図3及び4にそれぞれ示す。図3は、既存の技術による、従来型の芳香族化合物のための複合プロセスの関連部分を示している。この実施例は、“BTX”(ベンゼン−トルエン−キシレン)範囲の炭化水素を含むナフサの改質から生じる接触改質物の処理工程に基づいている。この接触改質物1はスプリッタ5で分画され、ベンゼン及びトルエンから成る軽質改質物がストリーム6として、またC8芳香族化合物から成る重質改質物がストリーム7として得られる。この軽質改質物は、芳香族化合物抽出ステップ50において処理され、非芳香族ラフィネートのストリーム52から芳香族化合物のストリーム51が分離される。この芳香族化合物ストリームは、ステップ53及び55で分画され、塔底ストリーム57からベンゼンのストリーム54及びトルエンのストリーム56が分離される。
【0029】
重質改質物ストリーム7及び塔底ストリーム57はユニット60で分画され、炭素数が9以上の炭化水素62からC8芳香族化合物61が分離される。このC8芳香族化合物は異性体回収プロセス70において処理され、少なくとも1つの高純度キシレン異性体71が回収され、また未回収C8芳香族異性体から成るC8芳香族ラフィネートストリーム72が生成される。このC8芳香族ラフィネートストリーム72は、異性化領域80において、ストリーム81として供給される水素の存在下で処理され、続いて分別領域82において、C8芳香族ラフィネートストリーム中の濃度よりもキシレン異性体の濃度が高いストリーム71の濃度を有する異性化ストリームである異性化生成物84から、炭素数が7以下のストリーム83が分離される。この異性化生成物は、ストリーム7及び57と共にユニット60において分画され、C8芳香族化合物61から炭素数が9以上の炭化水素62が分離される。このC8芳香族化合物61は回収ユニット70へと移送される。なお、この回収ユニットへとリサイクルされる全リサイクルストリームは、分留塔60及び82を通じて処理される。
【0030】
炭素数が9以上の炭化水素62は、オプションとして又は部分的に分留塔63において処理され、炭素数が10以上の炭化水素65からC9芳香族化合物64が分離される。ストリーム62及び/又は64は、トランスアルキル化領域90において、ストリーム56及び83として供給されるトルエンと共に、ストリーム91として供給される水素の存在下で処理され、C8芳香族化合物の濃度が高められたトランスアルキル化生成物92が得られる。このトランスアルキル化生成物は、接触改質物から回収された芳香族化合物と共に分留塔53、55及び60において処理され、重質炭化水素からベンゼン、トルエン、及びC8芳香族化合物が分離される。
【0031】
図4は、図3の複合プロセスにおけるのと同じ供給原料及び目的の、本発明に基づいた芳香族化合物のための複合プロセスを示している。各複合プロセスの第1の部分は同一の概念に基づいて示されている。接触改質物1はスプリッタ5において分画され、ベンゼン及びトルエンから成る軽質改質物がストリーム6として、C8芳香族化合物から成る重質改質物がストリーム7として得られる。この軽質改質物は芳香族化合物抽出ステップ500において処理され、非芳香族ラフィネートのストリーム502から芳香族化合物のストリーム501が分離される。非芳香族化合物から高純度の芳香族化合物を分離するための任意の適切なプロセスを利用することができる。例として、スルホランを用いた液液抽出プロセスが、例えば米国特許第3,361,664号明細書において述べられている。芳香族化合物ストリームはステップ53及び55において分画され、塔底ストリーム57からベンゼンのストリーム54及びトルエンのストリーム56が分離される。
【0032】
この重質改質物はアルキル芳香族炭化水素によって構成され、またメチルエチルベンゼンを0.5重量%以上含む炭素数が9以上の炭化水素を1.0重量%以上含んでおり、そして重質芳香族化合物転化領域600への主要な供給ストリームである。この領域における特性、条件及び触媒については、図2との関連で上に述べたとおりである。この重質芳香族化合物は水素601の存在下で転化され、供給ストリーム中よりエチル芳香族炭化水素の含有量の少ない脱エチル化ストリーム602が得られる。この脱エチル化芳香族ストリームはユニット610において分画され、炭素数が8以上のストリーム612から炭素数が7以下の炭化水素から成る軽質生成物のストリーム611が分離され、そして分留塔620において、炭素数が9以上の炭化水素から成る重質生成物のストリーム622からC8芳香族化合物から成る中間ストリーム621が分離される。
【0033】
塔頂ストリーム621はリサイクルストリーム801と合流し、C8芳香族異性体回収ユニット700へ供給される。異性化生成物から特定の異性体生成物701を回収するために利用されるプロセスは本発明にとって決定的に重要な意味を持つものではなく、本技術分野において周知の任意の効率的な回収スキームを利用することができる。通常、C8芳香族化合物は処理されて、パラキシレン異性体が選択的に回収されるが、パラキシレン異性体の代わりにあるいはそれに加えてその他の異性体が回収されてもよい。パラキシレンは、通常、吸着及び結晶化のいずれかあるいはそれらの組み合わせによって回収される。図2の対応するユニットについて示されているような、選択的吸着が好ましい。不所望の異性体から成るC8芳香族ラフィネートは、ストリーム702として異性化ユニット800へと通過する。
【0034】
ユニット800では、供給原料中の、特にキシレンを対象とした異性化が行われ、ここで軽質及び重質生成物への最小限の転化によって、供給原料中のキシレンが平衡状態に近い混合物へと異性化される。C8芳香族ストリーム702、C8芳香族異性体の非平衡混合物が、適切な異性化条件下で異性化触媒と接触する。このユニットでは少量の非C8副生成物のみが生成され、そして生成物の大部分は、ストリーム801として異性体回収ユニットへと直接リサイクルされる。この生成物の小パージ部分は、低濃度のエチルベンゼンと、異性化ユニットで生成される軽質及び重質成分とがストリーム801に集積するのを防ぐため、これらの成分を転化、除去して、ストリーム802として重質芳香族化合物転化領域600へと移送される。この異性化は、最小限の水素の存在下で、またあるいは水素が実質的に存在しない条件化で行われるのが好ましい。異性化の条件及び触媒については、図2のユニット400について上で述べたのと同様である。
【0035】
炭素数が9以上の炭化水素622が、オプションとして又は部分的に分留塔630において処理され、炭素数が10以上の炭化水素632からC9芳香族化合物631が分離される。ストリーム622及び/又は631は、トランスアルキル化領域900において、トルエンのストリーム521及び611と共にストリーム901として供給される水素の存在下で処理され、C8芳香族化合物の濃度が高められたトランスアルキル化生成物902が得られる。このトランスアルキル化生成物は、接触改質物から回収された芳香族化合物と共に分留塔510、520及びユニット600において処理され、重質炭化水素からベンゼン、トルエン、及びC8芳香族化合物が分離される。
【0036】
トランスアルキル化供給物は、上昇流、下降流、又は半径流方式のいずれかの方式でトランスアルキル化触媒と接触し、そしてこの反応物質は、液相、気液混合相、又は気相のいずれであってもよい。好ましい触媒は、ゼオライト成分、金属成分及び無機酸化物から構成される。“IUPAC Atlas of Zeolite Structure Types”によれば、適切なゼオライトは、ATO、BEA、EUO、FAU、FER、MCM-22、MEL、MFI、MOR、MTT、MTW、NU-87 OFF、Omega、UZM-5、UZM-8及びTONの内の1つ又は複数である。特に好ましいゼオライト系モレキュラーシーブ成分はモルデナイトである。触媒中のゼオライトの割合は、通常1〜99重量%、好ましくは25〜75重量%の範囲内である。金属成分は、触媒中に0.01〜10重量%の割合で存在する、1つ以上の卑金属及び貴金属より構成される。この1つ以上の金属は、Re、Sn、Ge、Pb、Co、Ni、In、Ga、Zn、U、Dy、Tl、及び白金族金属から成る群より選択される。この内レニウムが好ましい。そして最後に、無機酸化物結合剤、好ましくはアルミナが、この触媒を構成する。触媒の形状は押出成形物状であるのが好ましく、またその他に球状の形状も好ましい。
【0037】
なお、図4の組み合わせにおいては、ユニット700及び800を通じて直接リサイクルが行われ、分留塔610及び620の負荷が対応分量分軽減されるため、図3の対応する分留塔60及び82を通じたようなC8芳香族化合物の大規模なリサイクルを回避することができる。
【0038】
上述の説明及び以下の実施例は、本発明のある特定の実施の形態の例示のみを目的として示すものであって、特許請求の範囲に述べられる本発明の範囲に制限を加えるものと解釈されてはならない。本発明の精神から逸脱することなしに、当該技術分野において通常の知識を有する者が想定可能なその他の多くの変更及び修正を包含するものであることを理解すべきである。
【実施例1】
【0039】
C8芳香族化合物を80重量%、及びメチルエチルベンゼンを8.5重量%含むC9芳香族化合物を20重量%含む供給原料に対して、アルミニウム−リン酸結合MFI上に白金を含む触媒を用いて、400℃の温度、1.3 MPaの圧力そして水素/炭化水素比が4といった条件下で転化試験を行った。メチルエチルベンゼンの転化率は70%、またプロピルベンゼンは生成物中に検出されなかった。
【実施例2】
【0040】
メチルエチルベンゼンを17.3重量%含むC9及びC10芳香族化合物を66重量%含んだ供給原料に対して、アルミナ結合モルデナイト基体上にレニウムを含む触媒を用いて転化試験を行った。作業の条件は、平均温度が372℃、圧力が3.7 MPaそして水素/炭化水素モル比が3.8といった条件であった。C9及びC10芳香族化合物の全体的転化率は70.5重量%、そしてメチルエチルベンゼンの転化率は81.3重量%であった。また生成物中のプロピルベンゼンは0.01重量%未満であった。
【実施例3】
【0041】
図3の既存の技術に基づいたプロセスと図4の本発明に基づいたプロセスとを比較して、重質改質物からのパラキシレンの生成について技術的試験を行った。試験は、年間1,600,000メートルトンのパラキシレンの生産を基準として行った。(千)トン/年の主な収率、及びエネルギー必要量の比較は以下のとおりであった。

また資本に関連するコストは、推定で、資本全体において7%の節減、そして転化ユニットに付随する分別部分において30%以上の節減につながると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】既知の技術に基づいたC8芳香族化合物の処理工程を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の1つに基づいたC8芳香族化合物の処理工程を示す図である。
【図3】既知の技術の芳香族化合物の処理設備の該当部分を示す図である。
【図4】本発明に基づいた芳香族化合物の処理設備の該当部分を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル芳香族炭化水素によって構成され、メチルエチルベンゼンを0.5重量%以上含む炭素数が9(C9)以上の炭化水素を1.0重量%以上含む供給ストリームから、1つ以上の高純度キシレン異性体を生成及び回収するためのプロセスにおいて、前記プロセスが、
(a)前記供給ストリームを、重質芳香族化合物転化条件下の重質芳香族化合物転化領域において、水素の存在下で重質芳香族化合物転化触媒と接触させ、前記供給ストリーム中よりもメチルエチルベンゼンの含有量が少ない脱エチル化芳香族ストリームを得るステップと、
(b)この脱エチル化芳香族ストリームを分画し、C8芳香族化合物から成る中間ストリームから炭素数が7(C7)以下の炭化水素から成る軽質生成物及び炭素数が9(C9)以上の炭化水素から成る重質生成物を分離するステップと、
(c)前記中間ストリームの少なくとも一部を、異性化ストリームと共に異性体回収プロセスにて処理して少なくとも1つの高純度キシレン異性体を回収し、未回収C8芳香族異性体から成るC8芳香族ラフィネートストリームを生成するステップと、そして
(d)前記C8芳香族ラフィネートストリームの少なくとも一部を、異性化条件下の異性化領域において異性化触媒と接触させ、前記C8芳香族ラフィネートストリーム中よりも高い濃度で少なくとも1つのキシレン異性体を含む異性化ストリームを得るステップと
で構成されるプロセス。
【請求項2】
異性化領域中の全C8芳香族ラフィネートストリームを処理するステップで構成される請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記重質芳香族化合物転化条件が、100〜600℃の温度、100 kPa〜5 MPaの圧力、及び0.5〜50 hr-1の液空間速度といった条件によって構成されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項4】
前記重質芳香族化合物転化触媒が、少なくとも1つの金属成分を0.01〜2重量%、少なくとも1つのモレキュラーシーブを10〜90重量%、及び無機酸化物結合剤を含んでおり、また前記異性化触媒が、少なくとも1つのゼオライト系アルミノシリケートを10〜99重量%及び無機酸化物結合剤を含んでおり、そして白金族金属を実質上含んでいないことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
前記ステップ(d)が、前記C8芳香族ラフィネートストリームの少なくとも一部を、異性化条件下の異性化領域で、最小限の水素の存在下で異性化触媒と接触させるステップによって構成されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項6】
前記ステップ(d)が、前記C8芳香族ラフィネートストリームの少なくとも一部を、異性化条件下の液相の異性化領域において、実質的に水素の存在しない条件下で異性化触媒と接触させるステップによって構成されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項7】
前記供給ストリームが、接触改質物を分画して、軽質改質物及び重質改質物供給ストリームを得るステップによって生成され、前記重質改質物供給ストリームが、アルキル芳香族炭化水素で構成され、メチルエチルベンゼンを0.5重量%以上含む炭素数が9(C9)以上の炭化水素を1.0重量%以上含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項8】
さらに、前記軽質改質物ストリームを、芳香族化合物抽出ステップ及び分別ステップにおいて処理し、非芳香族ラフィネートからベンゼン、トルエン及びトルエン−塔底ストリームを分離するステップと、
炭素数が9(C9)以上の炭化水素から成る重質生成物及びトルエンの少なくとも一部を、トランスアルキル化領域において、トランスアルキル化条件下でトランスアルキル化触媒と接触させ、トランスアルキル化生成物を得るステップと、そして
前記トランスアルキル化生成物を分画し、炭素数が7(C7)以下のストリーム、中間ストリーム及び炭素数が9(C9)以上のストリームを分離するステップと
で構成される請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
さらに、前記炭素数が9(C9)以上のストリームを分画し、トランスアルキル化領域への追加供給物としてのC9芳香族化合物ストリーム及び炭素数が10(C10)以上のストリームを得るステップで構成される請求項8記載のプロセス。
【請求項10】
さらに、前記C8芳香族ラフィネートストリームの一部を前記重質芳香族化合物転化領域において処理するステップによって構成される請求項8記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−1699(P2008−1699A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−162335(P2007−162335)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】