説明

パラレル・シリアル変換回路

【目的】一定バイト幅の入力データから可変バイト幅の出力データを得るパラレル・シリアル変換回路の小型化を図る。
【構成】フレーム長カウンタ10がフレーム信号FSのパルス間隔を計測し出力すべきデータ幅を識別しそれに応じた制御信号CSを出力する。前段のパラレル・シリアル変換器40は6バイト幅の入力データ信号IDを第1の出力バイト幅(2バイト)のデータ信号MD1,MD2に変換する。後段のパラレル・シリアル変換器50はデータ信号MD1を第2の出力バイト幅(1バイト)のデータ信号NDに変換する。データセレクタ60は制御信号CSに応じてデータ信号MD2,NDのいずれかを選択し出力データ信号OD2,OD1として出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はパラレル・シリアル変換回路に関し、特にATM(非同期転送モード)交換のセルデータのバイト単位のデータ幅縮小変換処理を行う回路に関する。
【0002】
【従来の技術】ATM交換のセルデータ処理装置内においては通常、53バイトのATMセルは1バイトのダミーデータを付加されて54バイトとなり、9×6バイトのブロック状に編成され、さらに必要に応じ54×1バイト(ダミーデータ削除時は53×1バイト)のブロックあるいは27×2バイトのブロックに変換及びそれから逆変換されフレームパルスに同期して処理される。基本となるクロック信号の周期をTとすると、フレームパルスの周期は1バイト単位のときは53T、2バイト単位のときは27Tである。このようにデータの処理バイト単位を大きな値から小さな値へ縮小変換する場合、パラレル・シリアル変換回路を用いている。
【0003】従来のパラレル・シリアル変換回路は、図2R>2に示すように、固定のバイト変換比率を有する1段のパラレル・シリアル変換器70で構成されており、もし出力データ幅を可変させて出力するならば、その可変幅ごとに回路を構成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この従来のパラレル・シリアル変換回路では、一定の入力データ幅で入力されるデータを出力データ幅を可変させて出力するとき、その出力データ幅に応じてデータ幅の縮小比率を可変することができないため、入力データ幅を目的の出力データ幅に直接変換する回路を出力データ幅ごとに構成する必要があり、装置が大型化するとともに経費が高くなるという問題点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のパラレル・シリアル変換回路は、一定バイト幅の入力データをパラレル・シリアル変換し可変バイト幅の出力データを得るパラレル・シリアル変換回路において、前記出力データの出力すべきバイト幅に応じて入力されるフレーム信号の周期を基本クロックで計測し前記出力すべきバイト幅が第1のバイト幅及びこれより小さな第2のバイト幅のいずれであるかを識別し識別結果を示す制御信号を出力するフレーム長カウンタと、前記入力データをパラレル・シリアル変換し前記第1のバイト幅のデータとして出力する第1のパラレル・シリアル変換器と、前記第1のパラレル・シリアル変換器の出力データをパラレル・シリアル変換し前記第2のバイト幅のデータとして出力する第2のパラレル・シリアル変換器と、前記フレーム長カウンタからの前記制御信号に応じて前記第1のパラレル・シリアル変換器及び前記第2のパラレル・シリアル変換器のいずれかの出力を選択し前記可変バイト幅の出力データとして出力するデータセレクタとを備えている。
【0006】また、前記第1のパラレル・シリアル変換器の出力データを前記第2のパラレル・シリアル変換器の入力として同期して出力させるための分周クロックを前記基本クロックの分周により発生させるクロック分周器と、前記フレーム長カウンタからの制御信号に応じて前記基本クロック及び前記分周クロックのいずれかを選択し前記第1のパラレル・シリアル変換器に供給するクロックセレクタとを含むことができる。
【0007】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明する。
【0008】図1は本発明の一実施例のブロック構成図であり、入力データ幅が6バイト(48ビット)一定で出力データ幅が1バイト(8ビット)及び2バイト(16ビット)の可変の場合を示す。なお、データ出力の周期は“T”一定である。すなわち、出力データ幅が1バイトのときのデータ入力速度は6バイト/6T、出力データ幅が2バイトのときのデータ入力速度は6バイト/3Tとなる。
【0009】本実施例のパラレル・シリアル変換回路は、可変する出力データ幅に応じて入力されるフレーム信号FSのフレームパルス間隔を周期Tの基本のクロック信号C1で計測して出力データ幅を判定し判定結果を示す制御信号CSを出力するフレーム長カウンタ10と、クロック信号C1を2分周した周期2Tの分周クロック信号C2を生成するクロック分周器20と、入力クロック信号C1及び分周クロック信号C2のいずれかを制御信号CSに応じて選択するクロックセレクタ30と、6バイト単位の入力データ信号ID(ID1:周期6T、ID2:周期3T)をクロックセレクタ30からのクロック信号に従ってパラレル・シリアル変換し2バイト単位のデータ信号MD(MD1:周期2T、MD2:周期T)として出力する第1のパラレル・シリアル変換器40と、2バイト単位のデータ信号MD1を入力クロック信号C1に従ってパラレル・シリアル変換し1バイト単位のデータ信号ND(周期T)として出力する第2のパラレル・シリアル変換器50と、データ信号MD2及びデータ信号NDのいずれかを制御信号CSに応じて選択し2バイト単位の出力データ信号OD2(周期T)あるいは1バイト単位の出力データ信号OD1(周期T)として出力するデータセレクタ60とを備えている。なお、クロック分周器20はパラレル・シリアル変換器50に含めて構成することができる。
【0010】次に動作を説明する。
【0011】フレーム長カウンタ10は、クロック信号C1(周期T)に基づいてフレーム信号FSのフレームパルス間隔をカウントし、フレームパルス間隔が27Tの場合は出力データ信号のデータ幅が2バイト(OD2)であると判定し制御信号CSを2バイトを示す値(例えば“1”)にして出力し、フレームパルス間隔が53Tの場合は出力データ信号のデータ幅が1バイト(OD1)であると判定し制御信号CSを1バイトを示す値(例えば“0”)にして出力する。
【0012】制御信号CSが“1”(出力データ幅2バイト)のときは、クロックセレクタ30は入力クロック信号C1を選択し、パラレル・シリアル変換器40は2バイト幅のデータ信号MD2を出力し、データセレクタ60がこのデータ信号MD2を選択して出力データ信号OD2として出力する。
【0013】制御信号CSが“0”(出力データ幅1バイト)のときは、クロックセレクタ30は分周クロック信号C2を選択し、パラレル・シリアル変換器40はデータ信号MD1を出力し、パラレル・シリアル変換器50はデータ信号MD1のデータ幅を半分の1バイトに縮小したデータ信号NDを出力し、データセレクタ60がこのデータ信号NDを選択して出力データ信号OD1として出力する。
【0014】すなわち、本パラレル・シリアル変換回路は、出力すべきATMセルデータ等の出力データ信号の2種類のデータ幅を識別するための制御信号を外部から供給せずに、出力データ信号の同期を合わせるために入力されたフレーム信号を利用して回路内部で自律的に指定された出力データ幅を認識して、パラレル・シリアル変換器の直列接続の組み合わせを変更することにより出力データ幅を可変とすることができる。このことにより、従来技術では6バイト(48ビット)から1バイト(8ビット)、及び6バイトから2バイト(16ビット)にそれぞれ変換する大容量の変換器を2つ使用する必要があるが、本発明によれば6バイトから2バイトに変換する変換器が1つの他に2バイトから1バイトに変換する小容量の変換器が1つあればよい。
【0015】
【発明の効果】本発明のパラレル・シリアル変換回路は、入力データを出力すべきバイト幅のうち大きな方のバイト幅の出力データに変換する第1のパラレル・シリアル変換器と、第1のパラレル・シリアル変換器により入力バイト幅より小さなバイト幅となったデータから他の出力すべきバイト幅の出力データに変換する小容量の第2のパラレル・シリアル変換器とを備え、同時に入力されるフレーム信号から出力すべきデータ幅を自律的に認識し直列接続された第1及び第2のいずれかのパラレル・シリアル変換器の出力を選択することにより可変バイト幅の出力データを得るので、回路を小型化でき装置の大型化及び経費の増大化が防止できる。また、出力すべきデータ幅を外部から指示するための制御回路を必要としないので装置構成が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック構成図である。
【図2】従来のパラレル・シリアル変換回路を示す図である。
【符号の説明】
10 フレーム長カウンタ
20 クロック分周器
30 クロックセレクタ
40,50 パラレル・シリアル変換器
60 データセレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一定バイト幅の入力データをパラレル・シリアル変換し可変バイト幅の出力データを得るパラレル・シリアル変換回路において、前記出力データの出力すべきバイト幅に応じて入力されるフレーム信号の周期を基本クロックで計測し前記出力すべきバイト幅が第1のバイト幅及びこれより小さな第2のバイト幅のいずれであるかを識別し識別結果を示す制御信号を出力するフレーム長カウンタと、前記入力データをパラレル・シリアル変換し前記第1のバイト幅のデータとして出力する第1のパラレル・シリアル変換器と、前記第1のパラレル・シリアル変換器の出力データをパラレル・シリアル変換し前記第2のバイト幅のデータとして出力する第2のパラレル・シリアル変換器と、前記フレーム長カウンタからの前記制御信号に応じて前記第1のパラレル・シリアル変換器及び前記第2のパラレル・シリアル変換器のいずれかの出力を選択し前記可変バイト幅の出力データとして出力するデータセレクタと、を備えることを特徴とするパラレル・シリアル変換回路。
【請求項2】 前記第1のパラレル・シリアル変換器の出力データを前記第2のパラレル・シリアル変換器の入力として同期して出力させるための分周クロックを前記基本クロックの分周により発生させるクロック分周器と、前記フレーム長カウンタからの制御信号に応じて前記基本クロック及び前記分周クロックのいずれかを選択し前記第1のパラレル・シリアル変換器に供給するクロックセレクタとを含むことを特徴とする請求項1記載のパラレル・シリアル変換回路。

【図1】
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【図2】
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