説明

パルス電解層

【課題】電極対を浸す導電性重水または軽水電解液を含む電解槽が提供された低エネルギー核反応パワージェネレータを提供する。
【解決手段】電極対のアノード13は白金から形成され、電極対のカソード12はパラジウムから形成される。電圧パルスパケットの列が電極間に印加され、各々はパルスのクラスタを含む。各パルスの振幅および持続期間、パルスの間隔の持続期間、列の連続するパケットの間隔の持続期間は、各波動が異なる周波数によって変調されるスーパールーピング波動に従った所定のパターンである。電圧パルスの各パケットは、電極間を流れる電解液の電流のサージを発生させ、重水または軽水を分解し、酸素が白金電極で発生し、デュートリウムイオンは、パラジウム電極に向かって移動する。パルスパケットの列により生成されるイオンの連続するサージは、パラジウム電極を攻撃して、高イオン充填をもたらし、結果、融合および熱が発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2001年5月30日に出願された、同時係属中の、同一出願人による米国仮特許出願第60/294,537号の特権を主張する。
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、一般的には、核融合の生成のための電解層の利用に関し、より詳細には、電解層のアノード電極とカソード電極との間に、融合につながる所定のパターンで、電気パルスが印加される電解層を含む低エネルギー核反応パワージェネレータに関する。
【背景技術】
【0002】
(従来技術の状態)
エネルギーが尽きることのない非汚染ソースを提供する核融合に対する探求は、核物理学の現象を開拓することを追求する。例えば、デュートリウム(重水素)の2つの原子核が融合する際に、融合生成物質の結合された質量が、元の粒子の微小な質量よりも、わずかな量だけ少ないことは、公知である。この微小な質量の融合生成物質への変換は、信じられない量のエネルギーを放出する。古典的なEinstein式に表現されるように、エネルギーは、光速の2乗をかけあわせた質量に等しい。従って、わずかな質量は、膨大な量のエネルギーを産出する。
【0003】
原子物理学者のEdward Tellerは、原子爆弾が構築されなくてはならなかった1942年に、核融合の根底原理である提案を進めた。Tellerは、デュートリウム核は、原子分裂反応によって生成される華氏何百万度の温度を有する激しい炎に放り込まれた場合、衝突する核はこの環境において融合し、それにより、信じられない量のエネルギーを解放するという理論を立てた。水素爆弾によって、Teller理論は、現実となった。
【0004】
重陽子は、正に帯電した粒子であり、従って、互いに反発する。重陽子が互いに近づけば近づくほど、反発は強くなり、この反発に打ち勝つために取られるエネルギーは大きくなる。反発力が最大値に達すると、Coulombバリアとして公知であるものを生成する。このバリアが貫通され、重陽子が互いに10兆分の1センチメートルを隔てるようされる場合、強い核力が取って代わり、粒子は融合する。これは、正に帯電した陽子を含む核が離れて飛行することを妨げる核力と同一である。融合はまた、三重水素核によって発生するが、三重水素が水素の安定同位元素(heavy isotope)であるために、その核は、1つ陽子と2つの中性子を有し、これに対して、デュートリウム核は、1つの陽子と単一の中性子を有する。
【0005】
熱核反応融合は、融合を達成するのに十分な期間、十分に高密度、かつ、十分に高温で結合される際に、発生する。太陽の中心は、この激しい炎の中心が膨大な重力の支配下にあり、かつ、約華氏1000万度の温度にあるために、熱核反応融合につながる条件を提供する。地球上では、重力がずっと小さいので、従って、デュートリウム−三重水素(D−T)融合反応を生成するためには、ずっと高温で、すなわち、1000万のオーダーの華氏温度が取られる。
【0006】
水素爆弾のTellerの発明に従って、重水素核を制御された条件下で融合させ、それにより、核を制限しかつ加熱するために費やされた以上のエネルギーを解放するように適応されるデバイスを考案するために、過去40年間に10億ドルが費やされた。膨大な大きさの1つのこのようなデバイスは、Tokomakとして公知である。Tokomakのトロイダル内側では、強力な磁界が、高温のプラズマを制限しかつ圧迫し、デュートリウムおよび三重水素イオンを融合させる。
【0007】
高温融合は、2つの重い形式の(two heavy form of)水素から極めて高温で原子を剥ぎ取ることによって、Coulombバリアに打ち勝ち、イオンまたはプラズマ雲を生成する。膨大な磁石は磁界を生成し、いくつかの核が互いに崩壊して融合するために十分な時間、プラズマを一緒にして維持する。この熱核融合反応は、三重水素およびヘリウム核、ならびに、中性子およびガンマ線のシャワーを生成する。
【0008】
超巨(super−giant)レーザ融合ジェネレータでは、レーザービームは、デュートリウム−三重水素燃料ペレットを爆発させ、その外側の層をペレットから外側に向かって蒸発させかつ分散させた。その結果の反力は、燃料を崩壊させて、融合を達成させる。しかし、エネルギーを生成する熱核融合リアクタを開発する際に費やされた何10億ドルの投資にもかかわらず、そのようなジェネレータは、現在、現実のものではなく、それが達成されるかどうかも、予想し得ない。核を融合するための、他の技術的より簡単で、かつ、より安価な技術が望まれる。
【0009】
過去10年間かそこらにおいて、電力生成のために核を融合する可能性のある技術として、電気化学技術が研究されてきた。研究は、典型的には、電解液が、デュートリウムが通常の水素の代わりをする水である重水である電解槽を利用する。重水は、そこに溶解される塩、すなわち、重水素化リチウムによって導電性が提供される。この溶解液に沈められるのは、同様のまたは別の金属(例えば、白金ワイヤ)コイルによって囲まれた金属(例えば、パラジウム)の小片(strip)で構成されたアノード−カソード電極対である。
【0010】
d−c電圧がこれらの電極間に印加される場合、重水内の結果として生じる電流は、重水をその構成元素に分解する。結果として、酸素は、プラチナ電極で気体として放出される一方、デュートリウムイオンは、パラジウム電極に向かって移動する。パラジウム金属に高密度のこれらのイオンを構築することは、低エネルギー核反応を開始させると考えられる。このような低エネルギー反応によって放出されたエネルギーは、電極の原子格子によって捉えられ、熱として現れ得る。
【0011】
1989年に、Martin FleischmannおよびStanley Ponsは、電気化学電解槽における過剰の熱生成を観測するとすぐ、彼らが発見したデュートリムイオンの室温融合の証拠を主張した。今や一般的に理解されていることは、彼らの観測は、デュートリウム−デュートリウム融合の観測ではなく、いくつかの他の現象であったことである。E.Storms、G.H.Mileyらによるさらなる電気化学研究は、関連する現象は、固体電極の変則的な核プロセスであることを示す。過剰の熱生成は、水素核自体の融合ではなく、水素または同位体水素核と固体電極材料の核との融合に由来し得る。生成された過剰の熱量は、電極に印加された電圧の性質、および、その結果電解液を介して流れる電流が定常か、または、パルスかどうかに依存すると見られる。
【0012】
任意の場合において、今日、電気化学電解槽は、商業上発展可能な電力ソースであり得る程には十分な過剰の熱を生成しない。電気化学電解槽設計および操作方法におけるさらなる改良が、望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
(要旨)
本発明の主目的は、導電性重水または軽水電解液に浸された電極の対を有する電解槽を含む低エネルギー核反応パワージェネレータを提供することである。本発明の電極に対して、所定のパターンの電気パルスが印加される。
【0014】
電解液を介してパルス電流が流される従来の電解槽と本発明とを区別する本発明の重要な特徴は、本発明に従った電解槽において、非常に融合につながりやすいパルスパターンでパルスが生じることである。より詳細には、本発明の目的は、電力の形式で電解槽に印加されるよりもずっと多くの熱の形式のエネルギーを提供する低エネルギー核反応パワージェネレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
簡単に述べると、これらの目的は、アノードおよびカソードがプラチナ、パラジウム、チタン、ニッケルまたは任意の他の適切な金属から形成される金属性電極対を浸す導電性電解液を含む電解槽が提供される、低エネルギー核反応パワージェネレータにおいて、達成される。電解液は、軽水、重水、および液体金属等の任意の適切な流体であり得、または、半導体等の適切な固体の材料であってもよい。これらの電極間に印加されるのは、電圧パルスパケットの列であり、各々は、パルスのクラスタを含む。
【0016】
パケットの各パルスの振幅および持続期間、パルスの間隔の持続期間、および、列の連続するパケットの間隔の持続期間は、各波動が異なる周波数の波動によって変調されるスーパールーピング波動に従った所定のパターンである。電圧パルスの各パケットは、電極間を流れる電解液の電流のサージを発生させ、電解液(例えば、重水または軽水)を分解し、例えば、パラジウム電極において酸素を発生させる一方で、水素(または同位体水素、例えば、デュートリウム)イオンは、例えば、パラジウム電極に向かって移動する。パルスパケットの列によって生成される連続的なイオンのサージが、金属性電極を攻撃して、高イオン充填をもたらす。高イオン充填は、好ましくは、融合を生じさせ、融合の結果として、熱の形式のエネルギーを生成する。熱の形式のエネルギーは、電極に印加される電圧パルスのエネルギーよりも大きい。
【0017】
尚、高イオン充填は、水素または他のイオンを金属の構造に導入することによって、金属性電極の抵抗率(すなわち、電流の流れを妨害する物質の能力の測定単位)を実質的に増加させ得る。この抵抗率は、好ましくは、金属性電極を介してパルス電流を流し、かつ、電流の経時変化を計測することによって、リアルタイムで、計測され得る。経時的に計測される電流は、抵抗率の変化、および、従って、経時の金属性電極のイオン充填のレベルを示す。従って、リアルタイムのイオン充填のインディケータは、金属性電極を介して電流を継続的に流し、かつ、電流を計測することによって実現され得る。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
金属の抵抗率を増加させる装置であって、該装置は、
A.内部にアノード−カソード対を浸す導電性電解水溶液を含む電解槽であって、該カソードは、金属から形成される、電解槽と、
B.該電極間に、それぞれがパルスのクラスタを含むパルス電圧パケットの列を印加して、対応するパルス電流を該電極間に流す手段であって、該水を分解することにより、酸素が該アノード電極に発生する一方で、水素イオンが該金属電極に向かって移動し、各パルスのパケットが、該パラジウムを攻撃するイオンのサージを生成し、連続するサージが、該金属上にイオンの高密度充填を生成する、手段と
を備える、装置。
(項目2)
前記パケットの各パルスの振幅および持続期間、これらのパルスの間隔の持続期間、および、前記列の連続するパケットの間隔の持続期間は、各波動が異なる周波数の波動によって変調されるスーパールーピング波動に従った所定のパターンである、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記パルスパケットの列は、前記パターンの電圧パルスを生成するようにプログラムされるコンピュータによって制御される電子モジュレータにより、出力が前記電極に印加される、d−cソースによって生成される、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記カソード電極は、金属の小片によって形成され、かつ、前記アノード電極は、前記金属の小片を取り囲む金属性ワイヤのコイルによって形成される、項目1に記載の装置。
(項目5)
各パケットは、少なくとも5つのパルスを有する、項目2に記載の装置。
(項目6)
各パケットは、約30秒の持続期間を有する、項目2に記載の装置。
(項目7)
前記連続するパケットの間隔は、約2秒から5秒の範囲にある、項目2に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、スーパールーピングウェーブ現象を概略的に示す。
【図2】図2は、本発明に従った低エネルギー核反応電解槽を概略的に示す。
【図3】図3は、電解槽の電極に印加された電気パルスのパターンを示す。
【図4】図4は、緩和(relaxation)期間の間にオフにスイッチされたパルスパケットによって、電解槽の電極に印加された電気パルスのパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の詳細な説明)
本発明および本発明の他の目的および特徴のよりよい理解のために、付属の図面に関連して読まれ得る以下の詳細な説明が参照され得る。
(発明の詳細な説明)
(スーパールーピング)
本発明は、より多量の過剰の熱の生成が、電解槽を介して流れる電流をパルシングすることによって達成されるという、Los Alamos National Laboratoryにおける発見を超えて、重要な利点を表わす。本発明において、電解槽の電極に印加されるのは、電解槽内にパルス電流を生成させる電圧パルスである。しかし、これらのパルスは、定常の振幅および持続時間ではなく、パルスの振幅と持続時間およびそれらの間隔とが、例えば、融合反応を促進するパラジウム電極においてデュートリウムイオンの高充填(dense packing)をもたらすように変調されるパターンである。
【0020】
これらのパルスパターンは、雑誌「Clycle」の1994年3月/4月号に掲載されたIrving I. Dardikの論文「The Great Low of the Uiverse」において前進した理論に陳述されるような、スーパールーピングアクティビティに従う。この論文は、本明細書中で参照として援用される。
【0021】
Dardikの論文に示されるように、自然界のものは、全て絶え間ない運動であちこち移動する原子を含むということは、一般的に、科学において受け入れられており、原子は、少しだけ離れた距離にある場合に互いに引き付けあい、互いに圧迫されると反発する。対照的に、Dardikの仮説によると、宇宙における全てのものは、波打つ波動を含み、このアクティビティは、「スーパールーピング」と呼ばれる。スーパールーピングは、運動する物質を生じさせ、かつ、運動する物質である。すなわち、その両方が、物質−空間−時間を規定するために同時に変化する。
【0022】
従って、事実上、波動の周波数および振幅における変化は、他方から独立であり、かつ、異なるものではなく、同時に存在し、かつ、同一のものであり、2つの異なる階層レベルを同時に表わす。全ての波動は、波動の中により小さい波動および変化する周波数を組み込むため、波動周波数の任意の増加は、同時に新しい波動パターンを生成し、一方は、他方無しでは存在し得ない。
【0023】
全ての波動は、必ずより小さな波動を組み込み、より大きな波動に含まれる。従って、各高振幅低周波数の長波は、多くのより高周波数低振幅の短波に変調される。スーパールーピングは、他方の内部で波打つ波動の進行中のプロセスである。
【0024】
図1は(Dardikの論文における図から適応した)は、スーパールーピング波動現象を概略的に示す。図1は、例えば、短波(minor wave)120および130によって変調された低周波数の長波(major wave)110を示す。短波120および130は、(長波110と比較して)進行的に(progressively)より高周波数を有する。より一層の高周波数の別の短波は、簡便のために示されないが、長波110を変調し得る。
【0025】
この波打つ波動の新しい原理は、波動周波数および波動強度(波動の2乗)が同時かつ連続的であることを説明する。2つの異なる種類のエネルギー、すなわち、周波数に比例する波によって運ばれるエネルギーと、強度に比例するエネルギーはまた、同時かつ連続的である。従って、エネルギーは、波打つ波動、または「波動/エネルギー」である。本発明に従った低エネルギー核反応パワージェネレータにおいて、電解槽の電極に印加されたパルスのパターンは、スーパールーピングアクティビティから誘導される。
(低エネルギー核反応パワージェネレータ)
ここで図2を参照すると、容器10を有する電解槽が提供される本発明に従った、低エネルギー核反応パワージェネレータの1つの好ましい実施形態が示される。容器10は、電解液11を含む。電解液11は、任意の適切な重水、軽水、融解した金属等の液体電解液である。図示の目的のために、例えば、電解液11は、そこに溶解した適切な塩によって導電性がもたらされた重水である。
【0026】
電解液に浸されるのは、カソード12およびアノード13によって形成されるアノード−カソード電極対である。カソード12およびアノード13は、パラジウム、プラチナ、チタン、ニッケル等の任意の適切な金属から作られ得る。図示の上で、カソード12は、例えば、パラジウムの小片(strip)であり、かつ、アノード13は、例えば、プラチナのコイルであり得る。アノードコイル13は、パラジウム金属の小片を囲むことにより、電極は、導電性電解液11によって橋絡され、電極間に印加された電圧により、電流をそれらの間に流す。
【0027】
電解槽の電極間に接続されるのは、低電圧バッテリであり、その結果、重水または軽水電解液を介して一様の電流が流れ、重水または軽水を分解させ、それにより、酸素ガスが、プラチナアノード電極で遊離し、一方で、水素イオンは、パラジウムカソード電極に向かって移動し、そこに蓄積する。
【0028】
本発明のジェネレータにおいて、動作がプログラムコンピュータ16によって制御される電子モジュレータ15を介して、電解槽の電極12と13との間に出力が印加される、d−c電圧ソース14が提供される。ここで、モジュレータは、振幅と持続期間およびパルスの間隔の持続期間がプログラムによって決定される、電圧パルスを発生させる。従って、ソースが45VDC出力を提供する場合、プログラムに依存して、パルスの最大振幅は、45VDCになり、より小さい振幅を有するパルスの振幅は、多かれ少なかれ、45VDC以下である。
【0029】
コンピュータ16は、パルスパケットの列(train)を生成するように、電子モジュレータを起動するようにプログラムされる。各パケットは、図3に示されるパターンを前提とするパルスのクラスタによって形成される。従って、列の第1のパケット、すなわち、パケットIは、振幅が進行的に変化する5つのパルスP1からP5を含み、パルスPは、最も小さい振幅であり、かつ、パルスPは、最も大きい振幅である。パルスPからPの各持続期間は、進行的に変化し、それにより、Pは、最も短い持続期間になり、かつ、パルスPは、最も長い持続期間になる。パケットを形成するクラスタの連続的なパルスの間隔Aは、持続期間が進行的に変化する。従って、パルスPとPとの第1の間隔は、持続期間が最も短く、かつ、パルスPとPとの最後の間隔が、持続期間が最も長い。パケットは、5つのパルスを含むように示されるが、実際には、より少ない、または、より多い数のパルスを有し得る。パケットの持続期間は、実際には、約30秒であり得、連続的なパケットの間隔は、2秒から5秒の範囲であり得る。
【0030】
列(train)の第2のパケット、すなわち、パケットIIもまた、5つのパルスPからP10を含むが、これらの振幅および持続期間ならびにパルスの間隔は、パケットIのパルスクラスタにおけるものの逆である。従って、パルスP6が最も大きい振幅であり、かつ、P10の振幅が最も小さい振幅である。
【0031】
列の第3のパケット、すなわち、パケットIIIは、振幅および持続期間ならびにパルスの間隔がパケットIのそれらに対応する、5つのパルスP11からP15のクラスタから形成される。列の連続的なパケットの間隔は、パケットからパケットへ変化する持続期間Bを有する。
【0032】
連続的なパケットのパルスの変化する振幅は、長波W1の振幅の包絡線に適合する。パケットのパルスの変化する持続期間は、周波数が長波W1の周波数と異なる短波W2の振幅の包絡線に適合する。パケットのパルスの間隔の変化する持続期間は、異なる周波数のさらに別の短波W3の振幅包絡線に適合する。列の連続するパケットの間隔の変化する持続期間は、異なる周波数のさらに別の短波W4の振幅包絡線に従う。
【0033】
第2のモジュレータ20は、カソード12の抵抗率を計測するために実装される。好ましくは、第2のモジュレータ20は、AC電流を生成し得、カソード12を通ってAC電流を流す。
【0034】
このAC電流は、好ましくは、電子モジュレータ15によって生成されるパルスと異なる周波数である。このように、モジュレータ15によって生成されるパルスと第2のモジュレータ20によって生成される電流との間に、実質的な干渉は存在しない。
【0035】
図3に提案される構成において、モジュレータ20によって提供される電流は、カソード12の抵抗率を計測するために利用され得る。この計測は、カソードを横断する電位を計測する間、実質的に定常であり得る(すなわち、電流のピークおよび谷の振幅ならびに電流の周波数は、実質的に定常である)AC電流をカソード12を通って流すことによって達成され得る。電位の変化は、関係式
V(voltage)=I(current)*R(resistance)
に基づいて、抵抗率の変化に反映する。そして、公知の抵抗率の変化は、カソードのイオン充填のレベルを示すために利用され得る。上述されたように、イオン充填は、本発明に従って、電解槽の低エネルギー核反応を成功させるために必要な前兆であり得る。
【0036】
明確にするために、図3において、波動W1に波動W1に重ね合わされた短波W2、W3およびW4の部分のみが示されることが理解される。さらに明確にするために、互いに関連し、かつ、長波W1と関連する、スーパールーピング短波W2、W3およびW4の振幅ならびに周波数は、縮尺されて示されない。実際に、短波の最大振幅は、長波の瞬時の振幅に比例し得る。従って、短波W2およびW3(長波W1のおよそピークの振幅に位置する)は、短波W4(波動W1のおよそ谷底に位置する)の最大振幅よりもずっと大きい最大振幅を有する可能性が高い。長波のピークにある短波W2およびW3の最大振幅は、長波W1のピーク振幅に匹敵する。すなわち、短波は、図1に示されるような長波と同一の強度を有し得る。長波内のスーパールーピング短波ならびにそれらの周波数および振幅の分布の他の図示は、本明細書中で参照として援用されるDardikの論文「The Great Law of the Universe」に示される図によって提供される。
【0037】
図3の参照に続いて、列を構成する電圧パルスのパターンは、スーパールーピング波動W1からW4によって規定され、電解液に浸される電極間を流れる電流は、従ってパルスになる。
【0038】
従って、パラジウム電極に向かって移動するデュートリウムイオンの一様な流れではなく、デュートリウムイオンは、クラスタで移動して(それぞれがパルスのパケットによって生成される)、パラジウム電極を攻撃するデユートリウムイオンの高強度サージを生成する。パラジウム電極を繰り返し攻撃するデュートリウムイオンのサージは、パラジウムにおいてこれらのイオンの高充填を生じさせ、それらを融合して熱を生成する。
【0039】
高度に効果的なコンピュータパルスパターンプログラムは、最適の結果を提供し、その結果として、大量のパラジウム電極の融合熱をもたらす。これらは、最も効果的なパターンを発見するために、プログラムを修正することによって、実験的に決定され得る。最も効果的なパルスパターンの一例は、長波W1の下降局面に対応する緩和(relaxation)期間を組み込むことである。パルス列におけるパルスパケットは、下降局面に対応する緩和期間の間に完全にオフにされる。図4は、パルス(例えば、パケットP2、図3)が完全に緩和期間の間にオフに切り替えられた状態のパルスパターンを示す。
【0040】
各波動周期のピークのパルスを発生させるように、デジタル化されたスーパールーピング波動の形成から、プログラムが開発される。上述のDardikの論文は、スーパールーピング波動の様々な形式を示す。
【0041】
低エネルギー核反応パワージェネレータの好ましい実施形態が示されたが、本発明の意図から逸脱することなく、本明細書に多くの改変をなし得ることが理解されるべきである。従って、プラチナワイヤの変わりにシリコンを利用してもよい。電極対は、図2に示されるコイルによって囲まれる小片によってではなく、同心チューブによって形成され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解槽システムであって、
内部に導電性の水ベースの電解液が配置されている容器と、
該電解液に浸されたアノード電極と、
該電解液に浸されたカソード電極と、
該アノード電極と該カソード電極とに電気的に接続された電流変調電源であって、高周波数の2以上の短波によって変調された該電極を介する電流の各長波によって定義される所定のスーパーウェービングパターンで該電極に電流を印加する電流変調電源と
を含む、電解槽システム。
【請求項2】
前記所定のパターンは、該電解液と該電極とを介するスーパールーピング電流パルスパケットの列を生成する、請求項1に記載の電解槽システム。
【請求項3】
前記複数の短波の各々の振幅は、前記長波の瞬間振幅に比例する、請求項1に記載の電解槽システム。
【請求項4】
前記カソード電極は、パラジウムを含む、請求項3に記載の電解槽システム。
【請求項5】
前記アノード電極は、パラジウムを含む、請求項4に記載の電解槽システム。
【請求項6】
熱エネルギーを生成する装置であって、
導電性の水ベースの電解液を含む電解槽であって、該水ベースの電解液の内部には、アノード電極−カソード電極の対が浸されている電解槽と、
電源と、
該電解槽の該アノード電極−カソード電極の対と該電源とに接続された波形モジュレータであって、該電源は、パルスのクラスタから構成される各電流パルスパケットの列の形態で、高周波数の電流の2以上の短波によって変調された電流の各長波として定義されるスーパーウェービングパターンで該電極に電流を印加し、対応するパルス電流を該電極間に流し、該水を分解することにより、酸素が該アノード電極で放出される一方、水素イオンまたは重水素イオンが該カソード電極に向かって移動し、複数のパルスの各パケットは、該カソード電極を攻撃するイオンのサージを生成し、連続するサージが、入力エネルギーを超える熱エネルギーを生成する該カソードにおいて水素またはデュートリウムの高密度充填を生成する、波形モジュレータと
を含む、装置。
【請求項7】
前記パケットの各パルスの振幅および持続期間、これらのパルスの間隔の持続期間、および、前記列の連続するパケットの間隔の持続期間は、高周波数の波動によって変調される低周波数の波動によって定義されるスーパールーピング波動に従った所定のパターンである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記カソード電極は、パラジウムを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
パルス電解槽装置であって、
内部に導電性の水ベースの電解液が配置されている容器と、
該電解液に浸されたアノード電極と、
該電解液に浸されたカソード電極と、
該アノード電極と該カソード電極とに電気的に接続された電流変調電源であって、高周波数の可変振幅の電流の複数の短波によって変調された該電極を介する電流の各長波によって定義される所定のスーパーウェービングパターンで該電極に印加される電力を変調する電流変調電源と
を含む、装置。
【請求項10】
前記複数の短波の各々の振幅は、前記長波の瞬間振幅に比例する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
電解槽において熱エネルギーを生成する方法であって、
流体電解液を含む導電性水素を含む電解槽と、該電解液に浸されたアノード電極と、該電解液に浸されたカソード電極とを提供するステップと、
該アノード電極と該カソード電極とに電流変調電源を接続するステップと、
可変振幅および高周波数の電流の複数の短波によって変調された該電極を介する電流の各長波によって定義される所定のスーパールーピングパターンで該電極に印加された電流を変調するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記複数の短波の各々の振幅は、前記長波の瞬間振幅に比例する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記変調するステップは、
パルスのクラスタから構成される各電流パルスパケットの列を該電極に印加し、対応するパルス電流を該電極間に流し、前記水ベースの電解液を分解することにより、酸素が該アノード電極で放出される一方、水素イオンまたは重水素イオンが該カソード電極に向かって移動し、複数のパルスの各パケットは、該カソード電極を攻撃するイオンのサージを生成し、連続するサージが、熱エネルギーを生成する該カソード電極において水素またはデュートリウムの高密度充填を生成すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
流体電解液を含む導電性水素を含む電解槽と、該電解液に浸されたアノード電極と、該電解液に浸されたカソード電極と、該アノード電極と該カソード電極とに接続された変調電流電源とを有するシステムにおける、熱エネルギーを生成する方法であって、
該電極を介する電流の各長波が可変振幅および高周波数の電流の複数の短波によって変調される所定のパターンで変調された、変調された電流を該電極に印加するステップ
を含む、方法。
【請求項15】
前記複数の短波の各々の振幅は、前記長波の瞬間振幅に比例する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記印加するステップは、
パルスのクラスタから構成される各電流パルスパケットの列を前記電極に印加し、対応するパルス電流を該電極間に流し、前記電解液を分解することにより、酸素が該アノード電極で放出される一方、水素イオンまたは重水素イオンが該カソード電極に向かって移動し、複数のパルスの各パケットは、該カソード電極を攻撃するイオンのサージを生成し、連続するサージが、該カソード電極において水素またはデュートリウムの高密度充填を生成し、これにより、熱エネルギーを生成すること
を含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−174379(P2010−174379A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86572(P2010−86572)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【分割の表示】特願2003−500323(P2003−500323)の分割
【原出願日】平成14年5月30日(2002.5.30)
【出願人】(503439950)エネルゲティックス テクノロジーズ, エル.エル.シー. (1)
【Fターム(参考)】