説明

パルプモールドのためのベースプレート

本出願は、剛体(50)および真空が適用されるように剛体に配された手段(51、52’、52’’)を含むベースプレートを開示している。真空手段は、剛体(50)内に真空チャンバー(51)を形成する中心に凹部が位置付けられる形態で開放空間(51)を含み、および真空手段は、真空チャンバー(51)を真空源(52)に接続させるように配される剛体部分(50)の主面に延張する接続チャネル部分(52’、52’’)を含む。ベースプレートおよびパルプモールドを含むアセンブリ、並びに、ベースプレートとアセンブリを製造する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
成型されたパルプのパッケージングは、種々様々な分野において使用され、生物分解性である環境上フレンドリーなパッケージングソリューソン(packaging solution)を提供する。
【背景技術】
【0002】
成型されたパルプからの製品は、パッケージング保護を必要とする、例えば携帯電話、コンピューター機器、DVDプレーヤーのような消費財の他に、他の電子消費財および他の製品のための保護パッケージングとしてしばしば使用される。更に、成型されたパルプ対象は、ハンバーガーシェル(hamburger shells)、液状内容物用カップ、ディナープレートなどとして食品産業において使用され得る。その上、成型されたパルプ対象は、軽量のサンドイッチパネルの構造的コアまたは他の軽量の耐力構造を作り上げるために使用され得る。これらの製品の形状は、しばしば複雑であり、多くの場合、市場に存在する予想される期間は短い。更に、生産シリーズは比較的小規模であり得、なぜなら、パルプモールドの低い生産コストは、モールドを製造することに関して、速く、コスト効率も良いなどの利点があるからである。
【0003】
従来のパルプ成型ライン、例えばUS 6210 531自体(se)において、例えば、真空によって成型用ダイに供給されるスラリーを含むファイバーがある。成型用ダイの成型面上に適用されるワイヤーメッシュによって、ファイバーが包含され、一般に、モールドの底で真空源を加えることによって、いくらかの水が成型用ダイを通って吸い出される。その後、成型用ダイは、相補的な雌部の方へそっとプレスされ、プレスの最後に、成型用ダイにおける真空は、空気の柔らかなひと吹きに取って代わり得、同時に、真空は補足的な逆形状に適用され、それによって、相補的な雌部への成型されたパルプ対象の移動を強める。次の工程において、成型されたパルプ対象は、成型されたパルプ対象を乾燥用オーブンへ移動させるコンベヤーベルトに移動される。
【0004】
上記に記載されるプロセスにおいて使用される従来のパルプモールドは、成型面用のワイヤーメッシュによって覆われた主本体を使用することによって、一般に構築される。ワイヤーメッシュは、ファイバーがモールドを通って吸い出されるのを防ぐが、水を通過させる。主本体は、水通路のためのいくつかのドリル穴を含むアルミニウムブロックを連結することによって、伝統的に構築され、それにより好ましい形状を達成する。ワイヤーメッシュは、一般に、溶接によって主本体に加えられる。しかしながら、これは、複雑であり、時間がかかり、コストが高い。更に、ワイヤーメッシュに加えて溶接箇所からのグリッドは、結果として生じる製品の表面構造において、しばしば明白であり、これは、最終製品における望ましくない粗さを与える。更に、ワイヤーメッシュを適用する方法は、成型用ダイに対する形状の複雑性に制限を設定し、これが、形状中の特定の構成を形成することを不可能にしている。
【0005】
US2003/0051845およびUS2005/0230863は、上記の原理に従う配置を示す。
【0006】
WO2006057610は、別の種類のパルプ成型ラインを記載し、そこで、製品は、成形工具上で形成され、続いて、多くのプレス工程において熱および真空吸引力の下でプレスされる。製品は、その後、電子レンジで乾燥され、後の処理プロセスに備える。このようなパルプ成型ラインに適したモールドは、WO2006057609に示された。成型面は、モールドの底に配された熱プレートを介して、200℃およびそれ以上まで加熱され得る。熱プレートは、熱プレートの反対側面で、モールドを真空ボックスにつなぐ、多くのドリル穴を含む。しかしながら、熱プレート中のドリル穴は、コストが高く、望まれない材料の浪費につながりかねない。別の課題は、熱プレートを介して、成型面を加熱するために、多くのエネルギーが必要であるということである。
【0007】
WO2006057609/10で提示されるような工具設計と関連する別の種類の課題は、パルプモールドの設計およびそれらの製品も、高コスト及び/又は望まれない副作用を包含する幾つかの工程/特徴を示すことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、生産するのに比較的コスト効率の良い高品質のパルプモールドを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、時間効率的な方法で生産され得るパルプモールドを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、成型面を加熱するために比較的低いエネルギー量でパルプモールドを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、少ない量の残りの材料で生産され得るパルプモールドを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる態様は、以下から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的及び/又は課題の少なくとも1つは、独立クレームによって定義されるような、パルプモールド及び/又は方法によって解決される。
【0014】
本発明のおかげで、パルプモールドおよび工具も達成され、部分的に当該新規なパルプモールドのおかげで、さらによりコスト効率の良い方法で生産され得る。また、当該新規なパルプモールドは、その意図される用途中により少ないエネルギーを必要とし、および改善された方法で、高品質のパルプ製品を生産し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明による成型された繊維製品の製造プロセスの概略図を示す。
【図2】図2は、形成とプレス工具の斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明による形成工具のベースプレートの前部の斜視図を示す。
【図4】図4は、前記ベースプレートの後ろからの図を示す。
【図5】図5は、本発明による雄パルプモールドの上からの斜視図を示す。
【図6】図6は、本発明による1つの雄パルプモールドを視点に入れた部分的な分解図である。
【図6A】図6Aは、本発明による単一のベースプレートの典型的な実施形態を示す。
【図7】図7は、本発明による雌パルプモールドの分解図を示す。
【図8】図8は、本発明によるパルプモールドおよびベースプレートの横断面図を提示する。
【図9】図9は、本発明による加熱装置の典型的な実施形態を示す。
【図10】図10は、図9に示されるような発熱体の横断面の第1の実施形態を示す。
【図11】図11は、前記発熱体のさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
パルプモールドに関連する上部または下部などの、方向を示す用語を使用するときの、以下の本文において、パルプモールドの成型面は上部として、およびベースプレートは底部として見られる。
【0017】
図1は、繊維製品を生産するための製造プロセスの概略図であり、成型されたパルプ対象を形成するための形成セクション(1)、成型されたパルプ対象を乾燥させるための乾燥セクション(2)、および乾燥した成型されたパルプ対象を、ラミネーション、パルプ対象の端部を仕上げる、パルプ対象をパックするなどの処理後の工程にさらすための処理後セクション(3)を示す。形成セクション(1)は、複数の回転可能なホルダー(4)を含み、その各々は2つの対向して位置付けられた工具キャリア(5)を有する。ホルダー(4)は、工具キャリア(5)上に取り付けられた、雌(20)または雄(10)のパルプモールドを交互に有し、例えば、もし第1ホルダーが雄モールドを有すると、第2ホルダーは雌モールドを有し、第3ホルダーは雄モールドを有するなどである。工具キャリア(5)は、ホルダー(4)に関連して、押し出され得る且つ引き込まれ得、それによって、対向するモールドが操作中に互いに対となることを可能にする。工具キャリア(5)を押し、引くための手段は、例えば、伸縮油圧式アーム(6)を含む。
【0018】
操作中に、第1ホルダー(7)のパルプモールド(10)は、タンク(9)に保存されるストックに浸され、パルプモールド上で繊維対象を形成する。繊維対象は、続いて、最終ホルダー(8)によって乾燥セクション(2)に渡されるまで、ホルダー(4)の対向する対のパルプモールド(10)、(20)の間で脱水される。WO 2006057609/10により詳細に記載されるように、対向する対のパルプモールド(10)、(20)の間の脱水は、工具キャリア(5)を、それらの雌モールド、それぞれの雄モールドによって互いに押すことによって実行され、それらは、引用によって本明細書に導入される。脱水操作は、好ましくは、吸引および熱の下で行なわれる。第1ホルダー(7)および最終ホルダー(8)が、操作中に前および後ろに90度回転する一方で、中間のホルダーは、それぞれ、繊維対象が第1ホルダー(7)のパルプモールドから第2パルプモールドまでなど、最終ホルダー(8)まで渡され得るように、180度回転する。対向する対のパルプモールド(10)および(20)の間の繊維対象の引き渡しは、送達パルプモールド(10)、(20)を通って吸引を解放することによって行われ得、随意に柔らかなひと吹きを与え得る一方で、吸引は、受信パルプモールド(20)、(10)を介して適用される。
【0019】
対向するパルプモールド(10)、(20)の対向面は、その成型面に関して相補的な形状を有するが、モールドの他の特性は、モールドの位置秩序によって異なり得、例えば、第1ホルダー(7)のモールドは、第2ホルダー(4)の対向するモールドよりも、その成型面のより粗い構造を有し得、以下のホルダーの続くモールド(20)、(10)は、ますます細かい表面構造を有し得る。さらに、吸引手段及び/又は加熱手段はまた、ホルダー間で変更し得、例えば、第1ホルダー(7)のパルプモールドは、吸引手段を有し得るが、加熱手段を欠きかねない。
【0020】
図2は、その支持構造および関連するサブ機器(sub equipment)において位置付けられたホルダー(4)を示し、例えば、ホルダーをその軸のまわりで回転させるための手段、および工具キャリア(5)を外側へおよび内側へ押す且つ引く手段のように、より詳細には記載されない。ホルダー(4)上に、2つの工具キャリア(5)が配され、これらは、本発明による1つの実施形態のいくつかの特徴を提示する。ここに示される工具キャリア(5)は、6つのカラムを有し、各カラムは3つのパルプモールドを保持し、これは第1カラムでの雄パルプモールド(10)によってここに例証されるが、残りのカラムは、雌(20)または雄(10)のパルプモールドが上に取り付けられ得る、チャンバー(51)を有するベースプレート(50)によってのみ示される。2つのキャリヤ(5)はまた、以下を含む;ベースプレート(50)の背面に隣接する、断熱材(58)の層、およびベースプレート(50)に関連する対向する側面上の、キャリアプレート(59)。工具キャリア(5)の一側端に沿って、工具キャリア(5)の全長に略沿って拡張する真空管(52)が配される。真空管(52)から、工具プレート(50)の各列に連結される多くの分岐管(52’)が配され、真空チャンバー(51)のそれぞれ1つにおいて真空を提供し、これらは、より詳細に以下に記載される。従って、真空管(52)は、工具キャリア(5)に固定するように付けられ、工具キャリア(5)の所望される運動を可能にするために、真空ポンプへの柔軟な接続(図示せず)を必要とする。
【0021】
図3では、斜視図において、およびより詳細に、図2に示される工具プレート(50)の1つが示される。工具プレート(50)は、剛体(50)の形態であり、モールド(10)(20)、例えば3つのモールド、を取り付けるための多くの穴部(54)とともに配される。各モールド(10)/(20)に関して、各モールド(10)/(20)のために真空チャンバーを形成する、中心に位置付けされた凹部51が配される。モールドの取り付け領域に沿って安全に取り付け、密封するための、周囲の支持表面(55)の必要性があるという事実を考えれば、真空チャンバー(51)の拡張は、一般に、可能な限り大きい。また、各真空チャンバー(51)に関して、各真空チャンバー(51)を真空管(52)とつなげるチャネル(52’)に通じる真空出口(52”)がある。チャネル(52’)は、少なくとも部分的に、プレート(50)の範囲内で延長し、すなわちプレート(50)の主プレートが延長する面と平行な面に拡張する。その上、電気をつなげるための通路(53)があり、好ましくはまた、モールド(10)/(20)のそれぞれ1つのためのセンサーがある。工具プレート(50)は、ほとんどあらゆる種類の材料で生産され得るが、好ましくは、すべてのニーズを満たすための良い能力を有する、ある種の軽量材料、例えばアルミニウムから作られる。
【0022】
図4において、工具プレート(50)の背面(57)が示される。ここで、接続する真空チャネル(52’)は、プレート(50)の後部のチャネルの形態で明白に提示される。また、小さなチャネル(53’)は、通路(53)に入ることを意図した、電気接触に対する電線(図示せず)(および可能なセンサー(複数可)(48)、図8を参照)のために提供される。
【0023】
図5において、図3および4に関連して記載されるような、工具プレート(50)と嵌合するように意図した、一連の3つの雄モールド(10)が示される。各モールド(10)は、真空を通過させる多孔性である成型面(13)とともに配される。さらに、成型表面領域(13)を囲む支持部(16)があり、該支持部は、不透過性領域(16)を提示する。工具プレート(50)とモールド(10)/(20)の間の嵌合は、図8に関連して、より詳細に記載される。
【0024】
図6および7において、本発明の1つの実施形態によると、それぞれ、雄パルプモールド(10)および雌モールド(20)の分解図が示される。当業者にとって明白であるように、同じ独創的な特徴は、もちろん、雄および雌のモールド両方に適用可能である。モールド(10)/(20)は、インテグラルボディ(integral body)(11)(図8を参照)を形成し、ここで、加熱コイル(40)および密封バリア(47)は、モールド(10)/(20)の焼結に関して構築される。密封バリア(47)において、通過するように意図した、要素(電熱線及び/又はセンサー本体)の断面として、対応する大きさおよび形態の形成された穴部(47’)、(47”)がある。さらに、加熱手段(40)および可能であればセンサーも接続するためのインターフェースユニット(41)がある。図6Aは、単に1つのモールド(10)/(20)を運ぶように意図した、パルププレート(50)の斜視図を示す。この図の主な目的は、実際には、本発明の範囲内に多くの様々な修正があること、例えば、単に各ベースプレート(50)上に1つのモールドを有することなどを提示することである。また、この図は、真空チャンバー(51)に真空を提供するための異なる解決法を提示する。それは、適切な接続チャネル(52)(図示せず)を介して真空チャンバー(51)に通じるドリル穴(52’)(例えば、共通の真空管(52)に通じる分岐管(52’))によって達成される。さらに、モールド(10)/(20)をベースプレート(50)上に取り付けるのを促進するように意図した、位置決めピン(56)があることが示される。その上、ベースプレート(50)は、通路を通る形態で真空チャンバー(51)を有し、その後、ベースプレート(50)の後部で断熱層に関してバッキングプレートを使用するために、形成され得、信頼できる密封と支持を提供する。
【0025】
図8は、本発明による、工具プレート(50)に付けられている雌パルプモールド(20)を通る横断面図を提示し、ここで、剛体(50)は、後部壁(570)が統合部分を形成するように、真空チャンバー(51)を中に統合させる工具プレートのために使用される。続いて、本発明の詳細は、図6〜11の混合物に関連して記載される。パルプモールド(10)は、内側の不透過性表面(12)および外側の不透過性の成型面(13)を備える多孔質体(11)を含む。多孔質体(11)は、好ましくは、金属粉からの緩い焼結体である。特に、銅ベースの粉末、好ましくは、青銅粉は、非常に良い結果を提供すると示された。多孔質体(11)は、多孔質体(11)の全体にわたる同様の大きさの金属粒子であり得るか、または異なる大きさ及び/又は内容物の粉末によって層にされ得ることで、異なるニーズを満たし、たいていは、外側の成型面でより細かい粉末を有している。(焼結に関して、それは、上の国際公開公報文献(WO-document referenced)に引用される。)
【0026】
パルプモールド(10)は、加熱手段(40)を、好ましくは、一般に電気ストーブに使用される抵抗加熱コイル(40)の形態で含む。加熱コイルは、電気抵抗によって加熱される内部コア(402)(図10を参照)を有する。中間層(401)は、内部コア(402)を囲む。好ましくは、中間層(401)は非電導性であるが、多孔質体(11)に熱を伝送するための良い熱導体である。しかしながら、図11に示されるように、中間層は、上部(404)および下部(403)を含み得、ここで、上部(404)は、断熱材を形成する下部(403)よりはるかに良い熱導体である材料中にあり、その結果、熱は、成型面(13)の方に向けられる。好ましくは金属材料の外側層(400)は、中間層(401)を囲む。外側層(400)は、多孔質体に焼結され、多孔質体(11)に対する良い伝熱を提供する多孔質体(11)の粒子に対して焼結ネックを形成する。
【0027】
パルプモールド(10)/(20)が使用の間に加熱されるために、粉末粒子の加熱係数と外側層(400)の材料が類似していることが望ましい。多孔質体中で青銅粉を使用するとき、銅または銅ベースの合金が外側層(400)のための良い材料であることが示された。銅および青銅はまた、鋼発熱体(40)に関する鋼粉よりもかなり低い温度で焼結され得るが、このような組み合わせもまた可能であり得る。抵抗加熱コイル(40)の断面は、図10および1に示されるように、環状であり得るが、断面図は、おそらく長方形であるか、または他の種類の横断面形状を有し得る。
【0028】
図6および7は、好ましくは、モールド(10)/(20)に配される密封ストライプ(47)であり、好ましくは、(外側の成型面(13)を含む)透過性領域と真空に対して透過性であるモールドを有さないことが所望される領域(16)の間の密封を提供するために銅で作られる。従って、好ましい実施形態において、発熱体(40)および密封ストライプ(47)の両方は、焼結によるパルプモールド(10)/(20)の生産に関係してベーシックモールド(図示せず)へと位置付けされる。多孔質体中で青銅粉を使用するとき、銅または銅ベースの合金が、密封ストライプ(47)のための良い材料であることが示された。しかしながら、他の合金は(「も」)また、密封ストライプ(47)のための材料として使用され得る。
【0029】
図8に示される断面から明白であるように、加熱手段(40)および密封ストライプ(47)も、モールド(20)の多孔質体(11)へ統合される/組み込まれる。さらに、前記密封ストライプ(47)が、前記外側領域(16)と前記多孔質体(11)の中央部分(11A)の間に配されることが示される。図8に提示される新しい特徴は、モールドの限定された周囲の機械加工された後部表面(14)の使用である。この後部表面(14)は、焼結の後に機械加工される内側の成型面(12)のただ一つの部分である。従って、十分な領域だけが、工具プレート(50)の支持表面(55)上の適切な嵌合を可能にするために機械加工される。
【0030】
この配置のおかげで、多くの利点が得られる。第1に、それは、モールド(20)の全体の背面がそれを水平にするために機械加工される場合の従来の方法と比較して、焼結に関して使用される材料の小さな断片だけが浪費されるということを意味する。さらに、それは、機械加工が表面(12)で気孔を少なくとも部分的に遮断することによって、その表面に悪影響を与えるという事実のために、モールドの内部表面(12)のより良い透過性を可能にする。
【0031】
また、密封ストライプ(47)の使用は、相当な利点を提供する。効率的な方法のストライプ(47)は、モールド(20)の外側表面(16)を密封し、さもなければ、該外側表面は、高価及び/又は完全には信頼できないかのいずれかであると示される、幾つかの他の方法で密封されなければならない。さらに、密封ストライプ(47)を、外端(55B)よりも支持表面(55)の内端(55A)に近く位置決めすることが原因で、モールド(20)を工具プレート(50)につなげる穴部(54)またはスクリューも、効率的な方法で密封され、それによって、穴部(54)のためのモールド(20)の周囲に隣接する、比較的広い領域を提供することが示唆される。
【0032】
新しい特徴の原則を有する別の明白な利点は、真空チャンバー(51)に対する真空供給の配置が、真空チャンバーを工具プレートの剛体(50)中の統合された空間として形成することによって、また、接続チャネル(52’)(52”)を工具プレート(50)へ直接統合することによって、非常にコンパクト且つコスト効率の良い方法で達成され得ることである。図8および図2からも明白なように、これは非常にコンパクトな配置につながる。
【0033】
密封ストライプ(47)を含む部分的な断面領域である、図8Aで描かれるように、透過性であるように意図されない表面(16A)を含むモールドの部分(11B)は、その表面に隣接して、より細かい粉末粒子のより厚い層(F)を与えられ得、それによって、不透過性にさせる更なる安全性を提供し(即ち、不透過性が達成されるような微粒子の十分に厚い層(F))、一方で、ストライプ(47)の内部において、その層(F)は非常に薄く、細かく透過性のある表面(13)を達成する。明白なように、密封ストライプ(47)は、(47)の外側と内側上のそれぞれに、異なる種類の層を効率的に構築する助けとなり得る。その上、後者の種類の機能性が、不透過性であるあらかじめ組立てられたフレーム部分(図示せず)の使用によって達成され得、そのフレーム部分をベーシックモールド(図示せず)へ配置し、その後、モールド(20)の内側の透過性のある本体(11)を生産するために粉末を使用する。
【0034】
加熱手段(40)は、好ましくは、成型面に対する良い伝熱のために、外側の成型面(13)に接近して置かれる。どれだけ接近するかは、パルプモールド(10)の形状に依存する。好ましくは、発熱体はその少なくとも1つの反応部分を有するが、成型面の最も低い部分から20mm以内の距離を置かれ、好ましくは10mm以内に、さらにより好ましくは、5mm以内の距離を置かれる。
【0035】
図7において、加熱手段(40)は、多孔質体(11)の中央部分内の1つのレベルにおいて実質的に配されると示される一方で、図6において、加熱手段(40)は、中央部分内の2つのレベルにおいて実質的に配される。単純な形状において、発熱体を成型面(13)の輪郭に従わせることは可能であり得る。
【0036】
加熱コイル(40)の形態での加熱手段は、もちろん、多孔質体(11)へ加熱コイル(40)を焼結させる前に、異なる形状で巻かれ得る。例えば、加熱コイル(40)は、図9に示されるような環状の方法で、または図6および7に示されるような蛇行パターンで巻かれ得るが、もちろん、発熱体を巻く多数の方法がある。
【0037】
加熱手段(40)を多孔質体(11)に埋め込むことによって、既知の先行技術としてのモールドの下の熱プレートの使用と比較して、成型面(13)で同じ温度を達成するために、使用される必要があるエネルギーがさらにより少なくなる。さらに、熱プレートが排除され得るため、パルプモールドは、プレス工具(4)の回転中心により接近して位置付けられ得、これには幾つかの利点がある:1)ストライク距離は増加され得るか、またはそれぞれ対となるプレス工具(4)は、同じストライク距離を維持して、互いにより近接して置かれ得、2)プレス工具(4)を回転させるのに必要な運動量は、重量配分がそれらの回転中心により接近して移動されるために減少され、それによって、より速い回転及び/又はより低い力のニーズでの回転を可能にする。さらに、より少ないエネルギーが使用されるため、より少ない熱もまた、プレス工具(4)の機構に達する。それ故、断熱プレートをさらに減少させることに加えて、プレス工具の機構の不適当な加熱のリスクを負うことなく、起こり得る冷却要素を排除し、さらに良い重量配分さえ(evenは比較急betterの強調では)提供することが可能となり得る。
【0038】
新しい種類の発熱体のおかげで、大幅な節約(savings)が達成され得、特にそれは、新しい種類の加熱手段が、ストーブなどに関係して非常に安く生産される標準的設備の形態で使用され得るという事実によって達成され得る。また、加熱手段の埋め込みのおかげで、発熱体に関して焼結するおよび機械加工の任意の必要性を排除することによって、すべてが相当なコスト削減につながる。さらに、改善された透過性は、ほとんどの場合、多孔質体(11)を通るより広い排水チャネルを提供する必要性がもはやなくてもよいという利点を与える。しかしながら、例えば、WO2006/057609に記載されて、本明細書に引用によって組み込まれた、そのような排水チャネルは、パルプモールドを通って排水をさらに増加させるために使用され得(例えば、内部表面(12)から外側表面(13)へ向かって流れる排水チャネル)、好ましくは、外側表面(13)への方向において減少する直径を有する。減少した量の機械加工が、今日の技術と比較して、ほんの少しの時間しかとらないため、内部表面(12)の部分を単に機械加工する新しい原理はまた、生産能力の増加につながる。
【0039】
真空ボックスと工具の間のバッキングプレートの排除もまた、相当な節約につながり、それは、例えば、そのようなバッキングプレートが数多くのドリル穴などを必要とするからである。
【0040】
本発明は、上に記載されるものによって限定されないが、添付の請求項の範囲内で変更され得る。例えば、多くの様々な種類の加熱手段がモールド相自体の所望の加熱を達成するために使用され得ることは当業者にとって明白であり、すなわち、様々な加熱装置は、それ自体が、本発明に従って焼結体へ組み込まれ得ることが知られる。同じ方法で、様々なセンサーが焼結体へ統合され得ることが当業者にとって明白である。その上、上に記載される異なる特徴の多く、例えば、モールドの背面の粉砕がないこと、モールドの取り付け領域内で良い密封を達成する(ネジ穴を通る漏出を排除する)ための別々の配置などが、今後、分割の別々の出願のための主題となり得ることは明白である。さらに、加熱手段の外側層(400)からパルプモールド(10)、(20)の多孔質体(11)まで伝熱を促進するために、外側層(400)の表面は粗くされ得、及び/又は加熱手段(40)に隣接するより細かい金属粉粒子を有し、それによって、加熱手段(40)と多孔質体の間の焼結ネック形成を増強する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体部分(50)および真空をパルプモールドに適用するのを可能にするように配された前記剛体部分内にある手段(51、52’52’’)を含むパルプモールドベースプレートであって、前記パルプモールドベースプレートは、前記真空供給手段が前記剛体部分(50)内に真空チャンバー(51)を形成する、中心に凹部を配する形態での開放空間、および、少なくとも1つの接続チャネル部分(52’、52’’)を含み、該接続チャネル部分が前記真空チャンバー(51)を真空源(52)に接続するように配された剛体部分(50)の主面に真延長することを特徴とするパルプモールドベースプレート。
【請求項2】
前記ベースプレート(50)の後側(57)での前記真空チャンバー(51)が前記ベースプレート体のインテグラル層(570)によって密封されることを特徴とする、請求項1に記載のベースプレート。
【請求項3】
前記真空チャネル(52’、52’’)が少なくとも部分的に、前記剛体部分(50)の後側で後方開口チャネル(52’)として配されることを特徴とする、請求項1または2に記載のベースプレート。
【請求項4】
前記剛体部分(50)が複数の真空チャンバー(51)を含むことを特徴とする、請求項1乃至3に記載のベースプレート。
【請求項5】
前記複数の真空チャンバー(51)が共通の供給チャネル(52’)または前記チャネル(52’)の共通部分とともに配され、好ましくは、前記供給チャネル、またはチャネル部分(52’)が少なくとも1つの穿設された孔の形態であることを特徴とする、請求項4に記載のベースプレート。
【請求項6】
前記パルプモールド(10;20)によって特徴付けられた請求項1乃至5に記載のベースプレート及びパルプモールドのアセンブリであって、外側表面(13)および内側表面(12)を有する多孔質焼結体(11)を含み、そこで、前記内側表面(12)の限定された領域(11)が前記剛体部分(50)の支持表面と嵌合するような対となる支持表面を提供するよう機械加工されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
前記パルプモールドの前記内側表面(12)の機械加工されていない部分が真空チャンバーへ、前記支持表面(55)の面より低いレベルにまで、突出することを特徴とする、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記機械加工された表面(14)が1つの及び同じ面に延長し、好ましくは、前記機械加工表面(14)モールドの外側端から内側部分へと延張することを特徴とする、請求項6又は7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
剛体部分(50)及び真空がパルプモールドへ適用されるように配された前記剛体部分内にある手段(51、52’、52’’)を提供する工程を含む、パルプモールドベースプレートを製造する方法であって、該方法は、前記真空供給手段が前記剛体部分(50)内に真空チャンバー(51)を形成する開放空間(51)を含むように配される工程によって特徴付けられ、および、剛体部分(50)の主面に延張する少なくとも1つの接合チャネル部分(52’、52’’)、’’)が前記真空チャンバー(51)と真空源(52)を接合するように配される工程によって特徴づけられ、好ましくは、前記ベースプレート体のインテグラル層(570)を用いて前記ベースプレート(50)の後側(57)で前記真空チャンバーを密封する工程によって特徴づけられてなる方法。
【請求項10】
前記剛体部分(50)の後側(57)で後方開口チャネルとして前記真空チャネル(52’、52’’)を少なくとも部分的に配する工程によって特徴付けられてなる、請求項9に記載のベースプレートを製造する方法。
【請求項11】
複数の真空チャンバー(51)を含むように前記剛体部分(50)を配する工程によって特徴付けられてなる、請求項9又は10に記載のベースプレートを製造する方法。
【請求項12】
請求項11に記載のベースプレートを製造する方法であって、該方法は、共通の供給チャネル(52’)または前記チャネル(52’)の共通部分とともに前記真空チャンバー(51)の複数を配し、好ましくは前記供給チャネル又はチャネル部分(52’)が、少なくとも1つの穿設された孔の形態であるように配する工程によって特徴付けられてなる方法。
【請求項13】
請求項1乃至12に記載のベースプレートのアセンブリを製造する方法であって、該方法は、外側表面(13)及び内側表面(12)を有する多孔質焼結体(11)を含むように前記パルプモールド(10;20)を配し、前記内側表面(12)の限定された部分を機械加工し、それにより、前記剛体部分(50)の支持表面(55)に嵌合する対となる支持表面(14)を供給する工程によって特徴付けられてなる方法。
【請求項14】
請求項13に記載のアセンブリを製造する方法であって、該方法は、パルプモールドの前記内側表面(12)の機械加工されていない部分を前記真空チャンバー(51)へ、前記支持表面の面より低いレベルまで、突出させる工程によって特徴付けられてなる方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のアセンブリを製造する方法であって、該方法は、前記機械加工された表面(14)を1つの及び同じ面に延長させ、好ましくは前記機械加工表面(14)がモールドの外側端から内側部分へと延長する工程によって特徴付けられてなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6a】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−510962(P2013−510962A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538793(P2012−538793)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051251
【国際公開番号】WO2011/059394
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512122425)パキト インターナショナル トレーディング カンパニー インク. (3)
【Fターム(参考)】