説明

パルプモールド成形体製造用ジグ

【課題】突出の有る形状(例えばL字型やT字型など)の弾性体を使用しても成形不良や弾性体の破損が少ないパルプモールド成形体製造用ジグを提供する。
【解決手段】伸縮自在な袋状の弾性体の内部に流体を給排出してパルプモールド成形体の脱水又は乾燥を行うために用いられるパルプモールド成形体製造用ジグであって、外表面に前記弾性体が配置される管部2を有し、かつ、前記管部には長手方向に溝部6が形成されており、その側面に前記弾性体の内部に流体を給排出する複数の流通孔4を有しているパルプモールド成形体製造用ジグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプモールド成形を行う際に使用されるパルプモールド成形体製造用ジグに関し、詳しくは、伸縮自在な袋状の弾性体の内部に流体を給排出してパルプモールド成形体の脱水又は乾燥を行うために用いられるパルプモールド成形体製造用ジグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抄紙型の抄紙面にパルプ繊維を蓄積させて湿潤状態の繊維積層体(以下、抄紙体という)を形成した後、この抄紙体の内側から前記抄紙面へ向けて押圧して脱水・乾燥し、所定形状の成形体を得るパルプモールド成形体の製造方法が知られている(例えば、特許文献1〜4を参照)。ここで、抄紙体を内側から押圧する手段として、伸縮自在な袋状の弾性体を装着したジグが用いられる。ジグは、側面に複数の穴が設けられた管状部分を有しており、当該管状部分に伸縮自在な袋状の弾性体をかぶせた状態で使用される。前記の弾性体を装着したジグを抄紙体の開口部から抄紙体内に挿入し、ジグ内に空気などの所定の流体を流すことで、前記の複数の穴を介して弾性体内に流体が供給されて弾性体が膨張する。膨張した弾性体により抄紙体が内側から押圧されて脱水・乾燥される。この弾性体を装着したジグは、脱水乾燥後に、前記流体を吸引排出して弾性体をジグに密着させた状態としてから抄紙体から抜き出される。
【0003】
しかし、開口部が小さい成形体を製造する場合には、弾性体を装着したジグを抄紙体に挿入・抜出する際に抄紙体内面に弾性体が接触して、成形不良が起きたり、弾性体が破損したりしやすい等の問題があった。特に、突出の有る特殊な形状の成形体(例えば、L字型やT字型の湯道管、エルボー管など)を製造する際には、突出の有る形状(例えばL字型やT字型など)の弾性体を使用するため、前記問題が多く発生している。
【0004】
【特許文献1】特許第78600号公報
【特許文献2】特開2000−239999号公報
【特許文献3】特開2000−303400号公報
【特許文献4】特開2002−266299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、突出の有る形状(例えばL字型やT字型など)の弾性体を使用しても成形不良や弾性体の破損が少ないパルプモールド成形体製造用ジグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、伸縮自在な袋状の弾性体の内部に流体を給排出してパルプモールド成形体の脱水又は乾燥を行うために用いられるパルプモールド成形体製造用ジグであって、外表面に前記弾性体が配置される管部を有し、かつ、前記管部には長手方向に溝部が形成されており、その側面に前記弾性体の内部に流体を給排出する複数の流通孔を有していることを特徴とするパルプモールド成形体製造用ジグを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のパルプモールド成形体製造用ジグは、溝部を設けることでジグ表面積を増加させ、吸引時に弾性体をジグに密着させることができ、弾性体をかぶせた状態のジグの太さを細くすることができる。これにより、抄紙体に挿入・抜出する際の抄紙体内面と弾性体との接触を更に防止することができる。また、突出部の有る形状(例えばL字型やT字型など)の弾性体の当該突出部に対応する部分に切り欠き部が設けられており、前記突出部が前記切り欠き部内に収容されるため、開口部が小さい成形体を製造する場合であっても、抄紙体に挿入・抜出する際の抄紙体内面と弾性体との接触を防止することができ、成形不良や弾性体の破損を抑制することができる。
また、切り欠き部に突起部を設けることで、弾性体の突出部を前記切り欠き部内に収納する際のガイドとして作用し、弾性体の破損を更に抑制することができる。
本発明の方法によれば、開口部が小さい成形体を製造する場合であっても、成形不良の発生を抑制してパルプモールド成形体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい一実施態様について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図の説明において同一の要素には同一の符号を付す。
図1は、本発明のパルプモールド成形体製造用ジグの好ましい一実施態様(第1実施態様)の斜視図であり、L字型の弾性体に適用されるジグの例である。
本発明のパルプモールド成形体製造用ジグ10は、流体供給手段(図示せず)に固定するための本体固定手段1と、外表面に袋状弾性体が配置される管部2と、袋状弾性体を固定するための弾性体固定手段3とを備えている。管部2は本体固定手段1に接合されて一体化している。なお、ジグの大きさは、抄紙体内に挿入可能であれば特に制限はなく、目的の成形体の大きさに応じて任意に決定される。
【0009】
本体固定手段1は、ジグ本体10を流体供給手段に固定するものである。固定は、溶接やネジ止めなど任意の方法により行うことができる。なお、図1では、本体固定手段1を上側に(流体供給手段の下部にジグ10が配置されるように)示しているが、ジグ10が抄紙体の開口部に対してほぼ垂直に挿入・抜出されるようにジグ10及び抄紙体が配置されていればよく、ジグ10の向きは特に制限されない。
本体固定手段1の略中央部には貫通孔が設けられており、流体が管部2内に流通するように本体固定手段1と管部2とが接合される。
【0010】
管部2は、内部が中空となっており流体の流通路となっている。使用時には、管部2の外表面に、突出部を有する伸縮自在な袋状弾性体が配置され、管部2内を流通する流体は、袋状弾性体を膨張・縮小させるために用いられる。管部2の側面には複数の流通孔4が設けられている。流通孔4を通じて、管部2の外表面に配置される袋状弾性体の内部に流体が給排出される。流通孔4の大きさ、形状及び個数は、弾性体の肉厚や形状に応じて適宜決定され特に制限はない。
【0011】
また、管部2には切り欠き部5が設けられており、吸引時に弾性体の突出部が切り欠き部5内に収容される。切り欠き部5は、弾性体の突起収納する効果を有する。位置は、使用される袋状弾性体の突出部に対応する部分であり、弾性体の形状に応じて適宜決定される。例えば、図1に示すように、L字型の弾性体(先端部に突出部を有する弾性体)が使用される場合には、管部2の先端に切り欠き部5が設けられる。T字型(ト字型)の弾性体(中央部付近に突出部を有する弾性体)が使用される場合には、管部2の中央部付近の弾性体の突出部に対応する部分に切り欠き部5が設けられる。
切り欠き部5の大きさは弾性体の形状に応じて適宜決定され特に制限はないが、切り欠き部5の縦幅Lは、弾性体の突出部の縦幅に対して105〜110%程度の長さが好ましく、切り欠き部5の深さDは、管部2の直径の40〜60%程度の深さが好ましい。なお、切り欠き部5の厚みは1〜2mmが好ましい。
【0012】
弾性体固定手段3は、袋状弾性体を固定するためのものである。管部2の外表面に配置された袋状弾性体について、弾性体の開口部を管部2の根元部分で本体固定手段1と弾性体固定手段3とにより挟み込み、弾性体内に流体を供給しても弾性体が外れないように固定する。固定は、例えば本体固定手段1と弾性体固定手段3とをネジ止めすることにより行うことができる。
【0013】
管部2の側面には、管部2の軸中心から放射状に配置される長手方向の溝部6が形成されていることが好ましい。溝部6を設けることで、管部2の表面積を増加させ、吸引時に弾性体をジグ10に密着させることができ、弾性体をかぶせた状態のジグ10の太さを細くすることができる。これにより、抄紙体に挿入・抜出する際の抄紙体内面と弾性体との接触を防止することができる。また、前記流通孔4は、吸引時に弾性体をジグ10に十分に密着させる観点から、溝部6内に一定間隔で複数配置されていることが好ましい。
溝部6の大きさ、深さ、形状及び本数は、弾性体の肉厚や形状に応じて適宜決定され特に制限はないが、管部2の外表面積に弾性体の内表面積の60〜100%の表面積を持たせるように決定されることが好ましく、70%以上の表面積を持たせるように決定されることがより好ましい。溝部6の配置間隔は10〜40mmであることが好ましい。
【0014】
また、図2に本発明のパルプモールド成形体製造用ジグの別の好ましい一実施態様(第2実施態様)の斜視図を示す。
図2に示す実施態様では、切り欠き部5の周上において、管部2の軸対象の位置に少なくとも一対の突起部7が形成されている。このように、少なくとも一対の突起部7を設けることで、弾性体の突出部を切り欠き部5内に収納する際のガイドとして作用し、弾性体の破損を更に抑制することができる。
突起部7の大きさ及び形状は、弾性体の形状に応じて適宜決定され特に制限はないが、突起部7の縦幅としては弾性体の突出部の縦幅に対して20〜50%の長さが好ましく、突起部7の高さとしては弾性体の突出部の長さの10〜50%の高さが好ましい。突起部7の形状は、エッジが無い形状であることが好ましい。なお、突起部7の厚みは1〜2mmが好ましい。
この実施態様のジグにおける他の構成や作用、効果は、第1実施態様のジグと同様である。
【0015】
次に、パルプモールド成形体の製造方法について説明する。
パルプモールド成形の一般的な方法については、特許第78600号公報、特開2000−239999号公報、特開2000−303400号公報、特開2002−266299号公報などの記載を参照することができる。その概要は以下のとおりである。まず、抄紙型の抄紙面にパルプ繊維を蓄積させて湿潤状態の抄紙体(パルプ繊維積層体)を形成する。次いで、袋状弾性体を装着したジグを抄紙体の開口部から抄紙体内に挿入した後、ジグを通じて袋状弾性体内に空気などの流体を供給し弾性体を膨出させて抄紙体の内側から前記抄紙面へ向けて押圧して抄紙体の脱水・乾燥を行う。最後に、袋状弾性体内から流体を吸引排出して弾性体をジグに密着させた状態でジグを抄紙体の開口部から抜き出し、抄紙型を取り外すことで、所定形状の成形体を得ることができる。
【0016】
本発明のジグに用いられる袋状弾性体の形状は、一端が閉じたパイプ状であり、任意の箇所に突出部を有している。例えば、先端部に突出部を有するL字型のものや、中央部付近に突出部を有するT字型(ト字型)のものを好ましく用いることができる。袋状弾性体の開口部付近には、弾性体固定手段3によってジグに固定できるように、弾性体の長さ方向に対して垂直な扁平部分を有することが好ましい。
弾性体としては、伸縮してその体積が変化しうる材質のものであれば特に制限なく用いることができるが、耐久性・耐熱性の観点から、天然ゴム、又はポリウレタン、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、もしくはエラストマー等の合成ゴム等の弾性材料で構成されたものが好ましい。弾性体の寸法(長さ)は、成形するパルプモールド成形体と同じ寸法ないし2mm程度外側にオフセットした寸法であることが好ましい。
【0017】
袋状弾性体に供給排出される流体としては特に限定されないが、具体例としては例えば、空気、熱風、蒸気、過熱蒸気、油などが挙げられる。操作性等の点から、空気、熱風または過熱蒸気を用いることが特に好ましい。
袋状弾性体内に流体を供給する際の圧力は、脱水乾燥に供される成形体に応じて適宜設定することができるが、成形体の成形加工性や、弾性体を拡張させる際の操作、簡易な設備で脱水が行える等の点から、0.01〜0.05MPaであることが好ましい。
【0018】
以下に、本発明のパルプモールド成形体製造用ジグを用いたパルプモールド成形体の製造方法の好ましい一実施態様について説明する。
【0019】
まず初めに、準備として、本発明のジグ10に、突出部を有する伸縮自在な袋状の弾性体を装着する。弾性体をジグ10の管部2にかぶせて、弾性体の突出部がジグ10の切り欠き部5に対応する位置となるように位置合わせを行う。弾性体の開口部を管部2の根元部分で本体固定手段1と弾性体固定手段3とにより挟み込み、弾性体内に流体を供給しても弾性体が外れないように固定する。弾性体を装着したジグ10は、本体固定手段1により流体供給手段に固定される。
【0020】
抄紙型の抄紙面にパルプ繊維を蓄積させて湿潤状態の抄紙体(パルプ繊維積層体)を形成した後、前記の袋状弾性体を装着したジグを抄紙体の開口部から抄紙体内に挿入する。この状態で、流体供給手段からジグ10を介して弾性体内に流体を供給する。流体供給手段から供給された流体は、本体固定手段1に設けられた貫通孔を通って管部2内に供給され、管部2の側面に設けられた複数の流通孔4から弾性体内に供給される。流体が供給された弾性体は膨出し、抄紙体を内面から押圧する。このようにして抄紙体の脱水・乾燥が行われる。
【0021】
脱水・乾燥工程の終了後、弾性体内の流体を吸引排出するとともに、弾性体を縮小させてジグ10に密着させる。このとき、吸引により、弾性体の突出部はジグ10の切り欠き部5に収容され、弾性体が密着したジグの外観は突出した部分のない状態となる。なお、図1に示すようにジグ10が管部2に溝部6を有する場合、管部2の表面積が増加することにより弾性体のダブつきがなくなり、吸引時に弾性体をジグ10により十分に密着させることができる。また、図2に示すように管部2の軸対象の位置に突起部7が形成されている場合、弾性体の突出部がジグ10の切り欠き部5内に収納される際にガイドとして作用し、弾性体の破損を更に抑制することができる。
最後に、弾性体をジグ10に密着させた状態でジグ10を抄紙体の開口部から抜き出し、抄紙型を取り外すことで、所定形状の成形体を得ることができる。
【0022】
本発明は、前記各実施態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、変更することができる。例えば、切り欠き部5や突起部7の配置箇所は弾性体の突出部の位置に応じて適宜設定することができる。
【0023】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
実施例1
図1に示した形態の本発明のジグ10(直径30mmのL字型弾性体用)及び切り欠き部5を有しないこと以外は本発明のジグ10と同様の形態の比較例のジグを用いて、下記測定条件において弾性体の突出部の最大直径寸法を10回測定し、平均最大直径寸法の比較を行った。なお、平均最大直径寸法は小さいほど好ましい。
まず、直径30mmのL字型弾性体をジグ10にそれぞれ取り付け、本体固定手段1に設けられた貫通孔に吸引装置の吸引口をテープで固定した。このときエア漏れが無いことを確認した。吸引装置で吸引を開始し、弾性体の突出部の突出方向の長さを測定した。なお、このときの吸引力は0.02MPaであった。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
表1の結果から明らかなように、切り欠き部を有する本発明のジグは、切り欠き部のない比較例のジグに比べて、弾性体の突出部の寸法が小さくなることがわかった。このことから、本発明のジグは、吸引時に弾性体の突出部が切り欠き部に収容されるため、開口部が小さい成形体を製造する場合にも成形不良や弾性体の破損が少ないことがわかる。
【0027】
実施例2
図1に示した形態の本発明のジグ10(直径30mmのL字型弾性体用)及び溝部6を有しないこと以外は本発明のジグ10と同様の形態のジグを用いて、下記測定条件において弾性体の直線形状部の最大直径寸法を10回測定し、平均最大直径寸法の比較を行った。なお、平均最大直径寸法は小さいほど好ましい。
まず、直径30mmのL字型弾性体をジグ10にそれぞれ取り付け、本体固定手段1に設けられた貫通孔に掃除機の吸引口をテープで固定した。このときエア漏れが無いことを確認した。掃除機で吸引を開始し、弾性体の直線形状部の外径を測定した。なお、このときの吸引力は0.02MPaであった。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
表2の結果から明らかなように、溝部を有する本発明のジグは、溝部のないジグに比べて、弾性体の直線形状部の寸法が小さくなることがわかった。このことから、溝部を有する本発明のジグは、溝部6が設けられたことで管部2の表面積が大きくなり、吸引時に弾性体のダブつきがなくなって弾性体が十分に密着するため、開口部が小さい成形体を製造する場合にも成形不良や弾性体の破損が少ないことがわかる。
【0030】
実施例3
図1に示した形態の本発明のジグ(突起部7なし)及び図2に示した形態の本発明のジグ(突起部7あり)(ともに直径25mmのL字型弾性体用)を用いて、下記条件においてパルプモールド成形体の生産を1日行い、弾性体の平均寿命を測定した。なお、弾性体の平均寿命は長いほど好ましい。
まず、直径25mmのL字型弾性体をジグ10にそれぞれ取り付けた状態で、本体固定手段1によりジグを流体供給手段に固定した。そして、パルプモールド成形体の生産をそれぞれ1日行い、1日間の弾性体の平均寿命(ショット数/本)を比較した。なお、このときの吸引力は0.05MPaであった。結果を表3に示す。
【0031】
【表3】

【0032】
表3の結果から明らかなように、突起部を有する図2に示した形態の本発明のジグは、突起部のない図1に示した形態の本発明のジグに比べて、弾性体の平均寿命が1.3倍に向上することがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明のパルプモールド成形体製造用ジグの好ましい一実施態様(第1実施態様)の斜視図である。
【図2】図2は、本発明のパルプモールド成形体製造用ジグの別の好ましい一実施態様(第2実施態様)の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
10 パルプモールド成形体製造用ジグ
1 本体固定手段
2 管部
3 弾性体固定手段
4 流通孔
5 切り欠き部
6 溝部
7 突起部
L 切り欠き部5の縦幅
D 切り欠き部5の深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在な袋状の弾性体の内部に流体を給排出してパルプモールド成形体の脱水又は乾燥を行うために用いられるパルプモールド成形体製造用ジグであって、
外表面に前記弾性体が配置される管部を有し、かつ、前記管部には長手方向に溝部が形成されており、その側面に前記弾性体の内部に流体を給排出する複数の流通孔を有していることを特徴とするパルプモールド成形体製造用ジグ。
【請求項2】
前記管部に切り欠き部が設けられている、請求項1記載のパルプモールド成形体製造用ジグ。
【請求項3】
前記切り欠き部は前記管部の先端に設けられている、請求項2記載のパルプモールド成形体製造用ジグ。
【請求項4】
前記管部の側面に、前記管部の長手方向に溝部が形成されており、かつ、溝部の凹部に前記流通孔が配置されている、請求項2又は3に記載のパルプモールド成形体製造用ジグ。
【請求項5】
前記切り欠き部の周上の軸対象の位置に少なくとも一対の突起部が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパルプモールド成形体製造用ジグ。
【請求項6】
前記弾性体を固定する弾性体固定手段を備えている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパルプモールド成形体製造用ジグ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のパルプモールド成形体製造用ジグを用いたパルプモールド成形体の製造方法であって、
(a)開口部を有する湿潤状態のパルプ繊維積層体内に、伸縮自在な袋状の弾性体を装着した前記ジグを該開口部から挿入する工程、
(b)前記ジグの管部内に流体を供給し、前記ジグの流通孔を介して前記弾性体内に前記流体を供給して該弾性体を膨出させて前記パルプ繊維積層体の内面を押圧し、該パルプ繊維積層体の脱水又は乾燥を行う工程、及び
(c)前記流体を吸引排出して、前記弾性体を前記ジグに密着させ、前記ジグを前記開口部から抜出する工程
を含むパルプモールド成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−144282(P2010−144282A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322440(P2008−322440)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】