説明

パワーショベル用アタッチメント

【課題】サトウキビ等の作物を束ねる機構と切断する機構とを一体化したパワーショベル用アタッチメントの提供を目的とする。
【解決手段】パワーショベルのアーム先端部に取り付けるアタッチメントであって、
上部にグラップルと、下部にカッター付のグラップルからなるグラップルカッターとを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーショベルのアーム先端に装着されるアタッチメントに関し、特にサトウキビ等の作物の収穫に適したカッター付のアタッチメントに係る。
【背景技術】
【0002】
パワーショベル(油圧ショベル)はアームの先端とフロントリンクの先端との2ヶ所で連結ピンを介して使用する各種アタッチメントが提案されている。
代表的なアタッチメントは土砂の掘削等に用いられるバケット、建築資材等の搬送や建物の解体等に用いられるグラップル等が例として挙げられる。
これに対して本発明は、サトウキビ等の背丈が高くなる作物を収穫するのに好適なカッター付のグラップルアタッチメントに関する。
サトウキビ等の作物を切って束ねる装置として、特許文献1及び2が公知であるが、いずれも作物を束ねて掴むグラップル機構と、作物を根元側で切断するカッター機構が別々設けられているものであり構造が複雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】フランス 特許公開 2,225,084号公報
【特許文献2】ドイツ 特許 4002950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、サトウキビ等の作物を束ねる機構と切断する機構とを一体化したパワーショベル用アタッチメントの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るパワーショベル用アタッチメントは、パワーショベルのアーム先端部に取り付けるアタッチメントであって、上部にグラップルと、下部にカッター付のグラップルからなるグラップルカッターとを備えたことを特徴とする。
サトウキビ等の背丈が高くなる作物は大きいもので約4mにもなる。
このような作物を根元側で切断及び束ねた状態でトラック等に搬送するには上下の2ヶ所にて掴むのが安定してよい。
そこで本発明は、上部のグラップルの下側に所定の間隔を設けてカッター付のグラップルからなるグラップルカッターを設けた点に特徴がある。
ここでカッター付のグラップルとは作物の掴み機構と切断機構とを兼ね備えた装置をいう。
例えば、前記グラップルとグラップルカッターとは、それぞれの開閉する一対の略弓形状の掴み爪を対向して有し、グラップルの掴み爪とグラップルカッターの掴み爪とが単独又は同期して開閉制御されているものが例として挙げられる。
【0006】
前記グラップルカッターは、開閉する左右一対の略弓形状の掴み爪を対向して有し、少なくとも一方の掴み爪の内側に可動刃を有し、前記左右一対の掴み爪の基端側を枢着した枢着板側に固定刃を有するのが好ましい。
この場合に、前記グラップルカッターの左右の掴み爪間の基端側奥部に被掴み材を固定刃側に誘導するガイド部材を掴み爪の枢着部をおおうように有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るグラップルカッターは、左右の掴み爪でサトウキビ等の作物を寄せ集めるように、この左右の略弓形状の掴み爪にて作物を中央奥部側に引き寄せると同時に掴み爪の内側に設けた可動刃と、左右の掴み爪の基端側を枢着した枢着板側に設けた固定刃により切断されるが、この切断された作物はそのまま左右の掴み爪にてグラップルされる。
これにより背丈の高いサトウキビであっても、上部のグラップルと下部のグラップルカッターの2ヶ所で束ねた状態で把持するので、サトウキビを安定してトラック等に積荷搬送できる。
また、左右の掴み爪間の基端側奥部にサトウキビ等を固定刃側に誘導するガイド部材を枢着部をおおうように取り付けると、サトウキビが枢着部にかみ込むのを防止し、中央に寄せ集められる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るアタッチメントの斜視図を示す。
【図2】上部のグラップルが閉じた状態を示す。
【図3】上部のグラップル及び下部のグラップルカッターが閉じた状態を示す。
【図4】左右の掴み爪が開いた状態の正面図を示す。
【図5】グラップルの開閉動作を示す。
【図6】グラップルカッターの開閉動作を示す。
【図7】パワーショベルに本発明に係るアタッチメントを装着した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るパワーショベル用アタッチメント10を以下、図面に基づいて説明する。
図1に外観斜視図を示す。
アタッチメント10は、図7に示すようにパワーショベル1のアーム2の先端とフロントリンク3の先端とにピンを介して取り付けるための取付板11,12を有する。
取付板11,12は、アーム2の先端とピン連結する取付孔11a,12aとフロントリンク3の先端とピン連結する取付孔11b,12bを有する。
この上下方向の取付板11,12に対して、その上部の左右方向に平行に配した枢支板21,22を連結し、この上下の枢支板21,22に対して左右方向に開閉する内側が凹部状になった略弓形状の掴み爪23,24を枢着したグラップル20を有する。
また、取付板11,12の下部側に左右方向の平行な枢支板31,32を配設し、この枢支板31,32に左右方向に開閉する掴み爪33,34を有し、片方の掴み爪34の弓形状の内側に設けた可動刃41を有し、枢支板32に固定刃を取り付けたグラップルカッター30を有する。
【0010】
グラップル10は、図1,図2及び図5に示すように左右の掴み爪23,24が左右方向に開閉し、図5(b)に示すように左右の弓形状の掴み爪23,24の内側にサトウキビを束ねる。
左右の掴み爪23,24は、上下2枚の弓形爪の基板側を連結パイプ23a,24aで連結し、先端側を先端連結板23b、24bで連結した枠形状になっている。
図4にグラップルの正面図、図5にグラップルの開閉動作を示すように、上下の枢支板21,22に対して掴み爪23,24の基端側を枢着軸21a,21bにて枢着し、連結パイプ23a、24aに接合した左右の連結板23e,24eをシリンダー機構にて連結してある。
シリンダー25の後端部を連結板23eと軸着部25bで軸着し、ピストンロッド25aの先端部を他方の連結板24eと軸着部25cにて軸着する。
連結パイプ24aに連結板24eと平行に連結した連結板24dと、一方の連結パイプ23aに取り付けた連結板23dとは同期リンク26の両端部で軸着26a,26bしてある。
本実施例では、左右の掴み爪23,24の枢着部21a,21bよりも後方側で左右の連結板23e,24e間をシリンダー機構にて連結し、左右の枢着部21a,21bを結んだ線に対して前後方向にクロスするように同期リンク26の先端部を軸着26a,26bしたので、シリンダー25のピストンロッド25aを後退させると図5(a)のように左右の掴み爪23,24が同期して左右方向に開き、図5(b)のようにピストンロッド25aが前進伸長すると同期して左右の掴み爪23,24が閉じるようになっている。
左右の掴み爪23,24は、爪側に設けたストッパー23c,24cと枢着板21,22に設けたストッパー21c,21d,22c,22dとが当接した状態で左右の掴み爪の閉方向の動きが規制される。
なお、図1、2にて、左側の掴み爪23と右側の掴み爪24はお互いに干渉しないように上下方向の幅に差を有する。また先端部同士も当たらないように、左右の動きに差を設けてある。
【0011】
グラップルカッター30は図1,図4に示すように、グラップル20の下部に所定の間隔を隔てて有する。
グラップルカッター30は上下の枢支板31,32に左右の掴み爪33,34を枢着してあり、この左右の掴み爪33,34の開閉機構はグラップル20と同じであることからグラップルに付与した符号20系統に対応してグラップルカッターに30系統の符号を付けたので詳細な説明は省略し、カッター機構について詳細に説明する。
左右の掴み爪33,34のうち一方の掴み爪34の弓形状の下段内側に可動刃41を取り付け、枢支板32の下側に固定刃42を取り付けることで図6に示すようなシリンダー35のピストンロッド35aが前進伸長すると、掴み爪34が閉じる際に固定刃42に可動刃41の刃先がかみ合うようになっている。
また、本実施例では枢支板31,32の左右に所定の幅寸法を有するように、左右の掴み爪33,34の基端側を枢着することでサトウキビ等の作物の取り込み幅が大きくなるように設計した。
この場合に、サトウキビ等の作物が枢着部に巻き込まないように枢着部の前方をおおうように左右方向のガイド部材50を設けた。
これにより、左右の掴み爪33,34がサトウキビを引き寄せ、固定刃42に向けて中央側に誘導するように束ねる。
この束ねる動作に合せてカッターによりサトウキビの根元側が切断される。
【0012】
本発明に係るアタッチメントにおいて、上部のグラップル20と下部のグラップルカッター30は、上下、同期して開閉するように制御することもグラップル20とグラップルカッター30とを個別にそれぞれ独立して開閉制御してもよい。
このように、上下2ヶ所で作物を束ねると同時に下側で切断するので、サトウキビ等を下側のグラップルカッターで切り取ったまま上下の2ヶ所で把持することができるので図7に示すように、背丈が高いサトウキビ4であってもサトウキビが倒れる方向のモーメントに対抗して安定した保持ができ、トラック等への積み込みが安定する。
また、取付板11,12と枢支板21,22,31,32との間に本出願人が先に出願した特開2009−249822号に開示する旋回軸を設け、この旋回軸回りに旋回台を介して旋回自在にしてもよい。
【符号の説明】
【0013】
10 アタッチメント
11 取付板
12 取付板
20 グラップル
21 枢支板
23 掴み爪
23d 連結板
24 掴み爪
24d 連結板
25 シリンダー
26 同期リンク
30 グラップルカッター
31 枢支板
33 掴み爪
34 掴み爪
41 可動刃
42 固定刃
50 ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーショベルのアーム先端部に取り付けるアタッチメントであって、
上部にグラップルと、下部にカッター付のグラップルからなるグラップルカッターとを備えたことを特徴とするパワーショベル用アタッチメント。
【請求項2】
前記グラップルとグラップルカッターとは、それぞれの開閉する一対の略弓形状の掴み爪を対向して有し、グラップルの掴み爪とグラップルカッターの掴み爪とが単独又は同期して開閉制御されていることを特徴とする請求項1記載のパワーショベル用アタッチメント。
【請求項3】
前記グラップルカッターは、開閉する左右一対の略弓形状の掴み爪を対向して有し、少なくとも一方の掴み爪の内側に可動刃を有し、
前記左右一対の掴み爪を基端側を枢着した枢着板側に固定刃を有することを特徴とする請求項1又は2記載のパワーショベル用アタッチメント。
【請求項4】
前記グラップルカッターの左右の掴み爪間の基端側奥部に被掴み材を固定刃側に誘導するガイド部材を掴み爪の枢着部をおおうように有することを特徴とする請求項3記載のパワーショベル用アタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−184584(P2012−184584A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48123(P2011−48123)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(591117402)株式会社室戸鉄工所 (16)
【Fターム(参考)】