パワーステアリング装置及びパワーステアリング装置の組立方法
【課題】
車載レイアウト性を向上することができるパワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】
操舵軸2を収容するハウジング4を、操舵軸2の回転状態を検出するためのセンサコイル31を収容する第1ハウジング部(センサハウジング5)と、第1ハウジング部の軸方向一方側の開口部を閉塞する第2ハウジング部(ギヤハウジング6)と、から構成し、センサコイル31と電気的に接続されるセンサ基板33を、第1ハウジング部の上記開口部側に配置した。
車載レイアウト性を向上することができるパワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】
操舵軸2を収容するハウジング4を、操舵軸2の回転状態を検出するためのセンサコイル31を収容する第1ハウジング部(センサハウジング5)と、第1ハウジング部の軸方向一方側の開口部を閉塞する第2ハウジング部(ギヤハウジング6)と、から構成し、センサコイル31と電気的に接続されるセンサ基板33を、第1ハウジング部の上記開口部側に配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の転舵輪に操舵アシスト力を付与するパワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジングを樹脂材料で形成したパワーステアリング装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−298246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の装置では、各部品の具体的な配置や組付方法について十分に考慮されておらず、ハウジングを樹脂化することのメリットの1つである車載レイアウト性向上の効果を十分に発揮できていなかった。本発明の目的とするところは、車載レイアウト性を向上することができるパワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のパワーステアリング装置は、好ましくは、操舵軸を収容するハウジングを、操舵軸の回転状態を検出するためのセンサコイルを収容する第1ハウジング部と、第1ハウジング部の軸方向一方側の開口部を閉塞する第2ハウジング部と、から構成し、センサコイルと電気的に接続されるセンサ基板を、第1ハウジング部の上記開口部側に配置した。
【発明の効果】
【0006】
よって、パワーステアリング装置の径方向(操舵軸に対して垂直方向)の寸法の小型化を図り、車載レイアウト性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のパワーステアリング装置を操舵軸方向で切った部分断面図である。
【図2】実施例1のセンサハウジング側のユニットを操舵軸方向から見た正面図である。
【図3】実施例1のセンサハウジングを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図4】実施例1のセンサハウジングにコイルボビンを設置・固定したものを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図5】実施例1のセンサハウジングにコイルボビンとセンサ基板を設置・固定したものを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図6】実施例2のセンサハウジングを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図7】実施例2のセンサハウジングにセンサ基板を設置・固定したものを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図8】実施例2のセンサハウジングにコイルボビンとセンサ基板を設置・固定したものを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図9】実施例3のセンサハウジング側のユニットを操舵軸方向から見た正面図である。
【図10】比較例1のパワーステアリング装置を操舵軸方向で切った部分断面図である。
【図11】比較例2のセンサハウジング側のユニットを操舵軸方向から見た正面図である。
【図12】比較例3のパワーステアリング装置を操舵軸方向で切った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のパワーステアリング装置を実現する形態を、図面に基づき説明する。
【0009】
[実施例1]
実施例1のパワーステアリング装置(以下、装置1という。)が設けられる車両のステアリング装置(操舵機構)は、ステアリングホイール(操舵輪)及びこれに接続されたステアリングシャフト(操舵軸2)を備えた操作機構と、操舵軸2に接続されたギヤ機構と、ギヤ機構からの動力を転舵輪(例えば左右前輪)に伝達するリンク機構とを有する。ギヤ機構は、ピニオンとこれに噛合うラックを有する所謂ラック&ピニオン機構であり、ピニオン軸とラック軸を有する。ラック軸の軸方向両端には、リンク機構を介して転舵輪が連結される。運転者がステアリングホイールを操舵すると、操舵軸2を介してピニオン軸が回転駆動され、ギヤ機構によりラック軸が軸方向に移動し、転舵輪を操舵する。
【0010】
図1は、装置1の部分断面図であり、装置1におけるトルクセンサ3の近傍を、操舵軸2の中心軸Oを通る平面で切った断面を示す。説明のため、中心軸O上にz軸を設け、ステアリングホイールの側を正方向とする。図2は、操舵軸2及びギヤハウジング6を取り外した状態の装置1をz軸負方向側から見た正面図である。説明のため、z軸に直交する平面内であって図1の左右方向に延び、中心軸Oを通るx軸を設け、中心軸Oを挟んでコネクタ8と反対の側をx軸正方向とする。z軸及びx軸に直交し、中心軸Oを通るy軸を設け、中心軸Oを挟んで図2の上側をy軸正方向とする。図2で、センサ基板33の裏側(z軸正方向側)にあるコイルボビン30を破線で示す。図3〜図5は、ハウジング4を構成するセンサハウジング5側のユニットが完成するまでの各状態を示す。図3は、センサハウジング5にボールベアリング7bやシール部材7a等が設置された状態を示す。図4は、更にコイルボビン30が設置された状態を示す。図5は、更にセンサ基板33が設置された状態を示す。図3〜図5において、(a)はユニットを図1と同様に切った断面を示し、(b)はユニットをz軸負方向側から見た正面図である。
【0011】
装置1は、電動機がギヤを直接駆動して操舵アシスト力を発生する所謂電動直結式の電動パワーステアリング装置であり、操舵軸2と、トルクセンサ3と、電動機とを有する。図1に示すように、装置1の各部品はハウジング4に収容される。ハウジング4は、第1ハウジング部としてのセンサハウジング5、第2ハウジング部としてのギヤハウジング6、モータハウジング、及びECUハウジングから構成される。センサハウジング5には、操舵状態を検出するセンサであるトルクセンサ3が収容される。ギヤハウジング6には、上記ギヤ機構が収容される。モータハウジングには、転舵輪に操舵補助力を付与するアクチュエータである電動機が収容される。ECUハウジングには、トルクセンサ3の出力信号に基づき電動機を駆動制御する制御手段であるモータコントロールユニット(以下、ECUという)が収容される。センサハウジング5とギヤハウジング6は、互いに組み合わされることにより1つのユニットを構成する。モータハウジングも、ギヤハウジング6と一体に組付けられる。更に、ECUハウジングをモータハウジングと一体に形成し、所謂機電一体型のユニットとしてもよい。
【0012】
操舵軸2は、入力軸21と出力軸22から構成されると共に、ハウジング4に回転自在に収容される。入力軸21は、センサハウジング5に収容され、ステアリングホイールからの回転力が伝達される。入力軸21は筒状であり、その内周のz軸正方向側に、トーションバー20のz軸正方向端部が固定される。入力軸21のz軸負方向端部は、出力軸22のz軸正方向端部に設けられた凹部220に回転自在に収容される。トーションバー20のz軸負方向端部は、出力軸22の凹部220内の底部に設けられた嵌合孔221に固定される。出力軸22は、トーションバー20を介して入力軸21と接続されており、ギヤハウジング6(ギヤ収容部6a)に収容され、入力軸21からの回転力が伝達される。出力軸22上にはピニオンが設けられ、ピニオン軸を構成する。出力軸22は、ギヤ機構を介して転舵輪に上記回転力を伝達する。トルクセンサ3は、操舵軸2の回転状態(回転量)を検出し、ECUに出力する。具体的には、トルクセンサ3は、入力軸21と出力軸22との間の相対回転量(すなわちトーションバー20の捻れ量)を、運転者の操舵操作により操舵軸2に生じる操舵トルクとして検出する。電動機は、車両に搭載される電源(バッテリ)から供給される電力により駆動される電動式のモータであり、例えば3相ブラシレDCスモータを用いることができる。電動機は、減速ギヤ機構(例えばウォームギヤ)を介して出力軸22(ピニオン軸)の回転に対して補助動力を与え、転舵輪に操舵補助力を付与する。電動機には、その出力軸の回転角ないし回転位置を検出するレゾルバ等の回転角センサが設けられている。ECUは、電動機並びにトルクセンサ3及び上記回転角センサ等の各センサに接続される電子制御ユニットであり、トルクセンサ3(センサコイル31)から出力される検出信号(操舵トルク)に基づき電動機を駆動制御するモータ制御装置である。運転者によりステアリングホイールが操舵されると、入力軸21を介して出力軸22に入力される操舵トルクがトルクセンサ3により検出される。検出された操舵トルク信号はECUに出力される。ECUは、入力される操舵トルク等の情報に基づき目標の操舵アシスト力を演算し、この目標操舵アシスト力及び入力されるモータ回転位置等の信号に基づき電動機に駆動信号を出力し、電動機の作動を制御する。ECUが電動機に流れる電流を制御することにより、出力軸22(ピニオン軸)の回転に対して適切な補助動力が与えられ、運転者の操舵力がアシストされる。
【0013】
トルクセンサ3は所謂磁歪式であり、コイルボビン30と、センサコイル31と、磁路抵抗可変部材32と、センサ基板33とを備え、ECUに接続される。コイルボビン30は、樹脂材料で形成された絶縁性のコイル保持部材であり、センサハウジング5(コイル収容部52)に収容・設置される。コイルボビン30は、センサコイル31を保持する円筒状のコイル保持部30aと、コイル保持部30aの軸方向一方側(z軸負方向側の開口部)から径方向外側(操舵軸2に対し直角方向で中心軸Oから離れる側)に突出するように設けられたフランジ部30bとから構成される。図2に示すように、フランジ部30bは、x軸正方向側で第1フランジ部301を有し、x軸負方向側で第2、第3フランジ部302,303を有する。z軸負方向側から見て、第1フランジ部301は中心軸Oと略同じy軸方向位置でx正方向側に向かって延びる略矩形状に設けられている。第2、第3フランジ部302,303は、y軸正負両方向側にそれぞれ設けられ、径方向外側に向かうにつれてコイルボビン30の軸周り方向(周方向)の寸法が短くなる略台形状に設けられている。第2、第3フランジ部302,303のx軸負方向側の辺はy軸と略平行に延びる1つの辺として連続している。第1〜第3フランジ部301〜303の外周側には、孔304がそれぞれ1つずつ、コイルボビン30の軸方向(z軸方向)に貫通形成されている。各フランジ部301〜303における軸方向貫通孔304及びその周囲はそれぞれ第1被係止部を構成する。
【0014】
コイル保持部30aの軸方向一方側(z軸負方向側の開口部)には、第1、第2端子設置部305,306が設けられている。第1端子設置部305は第1フランジ部301と第2フランジ部302の間に設けられている。第2端子設置部306は第1フランジ部301と第3フランジ部303の間に設けられている。第1、第2端子設置部305,306は、コイル保持部30aの外周から径方向外側に突出する。各端子設置部305,306には、複数(2個)のコイル端子34が設置される。コイル端子34は、各端子設置部305,306からz軸負方向に延び、フランジ部30bよりもz軸負方向側に突出する。また、コイル端子34は、コイル保持部30a内で端子設置部305,306からz軸正方向側に延び、センサコイル31に接続される。
【0015】
センサコイル31は、コイルボビン30に保持される2つのコイルユニット311,312を有しており、通電により磁束を発生する。センサコイル31(コイルボビン30)は、センサハウジング5内においてコイル収容部52に収容・設置され、入力軸21の外周を包囲するように配置される。入力軸21は磁性材料から形成されており、センサコイル31が発生する磁束により磁界を形成する。磁路抵抗可変部材32は、インナリング321とアウタリング322を有する。インナリング321及びアウタリング322は、それぞれz軸方向に延びる窓(中空部分)を複数有する円筒部材であり、アルミ等の導電性かつ非磁性の材料により形成される。インナリング321は、入力軸21の外周に固定・保持され、入力軸21と一体に回転する。アウタリング322は、出力軸22のz軸正方向端部に固定・保持され、出力軸22と一体に回転する。アウタリング322は、入力軸21とセンサコイル31(コイルボビン30)との間に配置される。アウタリング322の外周面はセンサコイル31の内周面に対向し、アウタリング322の内周面はインナリング321の外周面に対向する。入力軸21と出力軸22との間の相対回転量の変化に伴い、インナリング321とアウタリング322の窓の重なり領域が変化することで、センサコイル31の発生する磁界の磁路抵抗が変化する。
【0016】
センサ基板33は、その中心(ギヤハウジング6に収容・設置されるセンサ基板33の中心は操舵軸2の中心軸Oと略一致するため、便宜上、これを中心Oと表記する。)に貫通孔330を有する円板状の基板である。センサ基板33は、センサコイル31と電気的に接続されると共に、センサコイル31に励磁信号を出力する電子部品が搭載される。センサコイル31は、励磁信号が印加されることにより入力軸21と出力軸22の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力する。センサ基板33には、センサコイル31のインピーダンス変化に基づき操舵トルクを演算する回路が設けられている。図2に示すように、貫通孔330はセンサ基板33をz軸方向に貫通する略円形の孔であり、その直径は、操舵軸2(アウタリング322)の直径よりも若干大きく設けられている。センサ基板33の直径は、コイルボビン30のフランジ部30bの最大径よりも若干大きく設けられている。センサ基板33は、中心Oを挟んでx軸正方向側でコイル端子接続部を有し、x軸負方向側でコネクタ端子接続部を有している。コイル端子接続部は、センサ基板33の内周側にy軸正負両方向側の2箇所で設けられる。それぞれのコイル端子接続部は複数(2個)の孔331を有している。コネクタ端子接続部は、x軸を跨いでy軸と略平行に並ぶ複数(6個)の孔332を有している。また、センサ基板33には、孔333が複数(2個)設けられている。孔333は、センサ基板33の外周側であってy軸正負両方向側にそれぞれ1つずつ、僅かにx軸負方向側に設けられている。これらの孔331〜333は、センサ基板33の広がる方向に対して略直角方向(z軸方向)に貫通形成されている。センサ基板33における軸方向貫通孔333及びその周囲はそれぞれ第2被係止部を構成する。
【0017】
センサハウジング5は、樹脂材料で形成されており、操舵軸2(入力軸21)とトルクセンサ(センサコイル31)を収容する。図3(a)に示すように、センサハウジング5は、その軸方向両端(z軸方向両側)が開口する略円筒状の本体部5aと、本体部5aの軸方向一方側(z軸負方向側)から径方向外側に突出するフランジ部5bとから構成される。本体部5aの内周側(内部)には、ダストシール保持部50と、第1軸受保持部51と、コイル収容部52とが設けられている。ダストシール保持部50は、本体部5aのz軸正方向側の開口部に設けられる。ダストシール保持部50には防塵用のダストシール7aが設置され、これにより上記開口部が閉塞される。ダストシール7aは、例えばダストリップ付きのオイルシールであり、ダストシール保持部50にz軸正方向側から圧入され固定される。第1軸受保持部51は、本体部5aのz軸正方向側であってダストシール保持部50のz軸負方向側に設けられる。第1軸受保持部51には、ボールベアリング7bが設置・保持される。ボールベアリング7bは、入力軸21を回転自在に支持する軸受であり、センサハウジング5と一体に第1軸受保持部51にインサート成形される。コイル収容部52は、本体部5aのz軸負方向側の開口部に連続して、本体部5aの軸方向略半分の範囲に設けられている。コイル収容部52は、本体部5aのz軸正方向側の内周面よりも若干大径の略円筒状に設けられ、z軸正方向側の内周面に対して段差を形成する。フランジ部5bには、センサハウジング5の軸周り方向(周方向)で略等間隔に複数(3個)、ボルト孔形成部58が設けられている。ボルト孔形成部58は、径方向外側に突出するように設けられ、ボルト孔がz軸方向に貫通形成される。
【0018】
本体部5aの外周側には、トルクセンサ3を外部の電子機器と接続するためのコネクタ8がセンサハウジング5と一体に型形成され、径方向外側に突出する。コネクタ8に接続する複数(6個)のコネクタ端子80は、センサハウジング5と一体にインサート成形されている。本体部5aのz軸負方向側の開口部には、コネクタ端子設置部53が設けられている。コネクタ端子設置部53は、コイル収容部52の周方向における(x軸負方向側)一部分に、フランジ部5bのz軸負方向端面よりもz軸正方向側に若干落ち窪むように設けられた凹部である。コネクタ端子80は、コネクタ8から径方向内側に向かい、コイル収容部52のz軸正方向端付近で折れ曲がって、z軸負方向側に本体部5a内を延び、コネクタ端子設置部53からz軸負方向側に突出する。突出するコネクタ端子80の先端は、本体部5a(凸部56)よりもz軸負方向側に位置する。複数(6個)のコネクタ端子80は、コネクタ端子設置部53において、y軸と略平行な直線上に並び、x軸を挟んで略対称に配置される。
【0019】
本体部5aのz軸負方向側の開口部には、本体部5aと一体に、第1係止部としての第1突起部54が設けられている。第1突起部54は、ボス部540と挿入部541から構成される。図3(a)(b)に示すように、ボス部540は、コイル収容部52を取り囲んで、z軸に対し略直角(垂直)方向に広がる円環状に(コネクタ端子設置部53を除く範囲に)、フランジ部5bのz軸負方向端面よりもz軸負方向に若干突出する凸状に設けられている。挿入部541は、ボス部540のz軸負方向端面からz軸負方向側に突出する突起(ピン)状に延設され、その先端は、センサハウジング5のz軸負方向側端部(フランジ部5bのz軸負方向端面)よりも第z軸負方向側に位置する。挿入部541は、コイル収容部52の周方向に複数(3個)設けられており、中心軸Oを挟んでx軸正方向側(中心軸Oと略同じy軸方向位置)に1つ、x軸負方向側(中心軸Oを挟んでy軸正負両方向側)に2つ設けられている。ボス部540は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも大径に形成され、挿入部541は、軸方向貫通孔304の内径よりも小径に形成される。ボス部540と挿入部541との間には段部(段差部)542が形成される。センサハウジング5には、ボス部540の外周側に、ボス部540を取り囲むように円筒状の凸部56が設けられている。凸部56は、フランジ部5bのz軸負方向端面からz軸負方向に突出するように延設されている。凸部56のz軸負方向端はボス部540のz軸負方向端面よりもz軸負方向側かつ挿入部541のz軸負方向端よりもz軸正方向側に位置するように設けられている。凸部56の内周側には、ボス部540と凸部56に囲まれて、コイルボビン30のフランジ部30bが収容・設置される凹部57が形成されている。凹部57の深さ、すなわちボス部540のz軸負方向端面から凸部56のz軸負方向端までのz軸方向距離は、フランジ部30bの厚さ(z軸方向寸法)以下に設けられている。
【0020】
本体部5aのz軸負方向側の開口部には、本体部5aと一体に、第2係止部としての第2突起部55が設けられている。第2突起部55は、第1突起部54の挿入部541よりも若干外周側であって、中心軸Oより僅かにx軸負方向側に、中心軸Oを挟んでy軸正負両側にそれぞれ1つずつ設けられている。第2突起部55は、ボス部550と挿入部551から構成される。ボス部550は、第1突起部54のボス部540のz軸負方向端面からz軸負方向に突出するように設けられている。挿入部551は、ボス部550のz軸負方向側端部からz軸負方向に突出するように延設されている。ボス部550は、センサ基板33の貫通孔330の内径よりも大径に形成され、挿入部551は、貫通孔330の内径よりも小径に形成される。ボス部550と挿入部551との間には段部552が形成される。ボス部550の高さ、すなわちボス部540のz軸負方向端面から段部552までのz軸方向距離は、コイルボビン30のフランジ部30b及び第1、第2端子設置部305,306の厚さ(z軸方向寸法)よりも大きく設けられている。第2突起部55(挿入部551)の先端は、第1突起部54(挿入部541)の先端よりもz軸負方向側に位置する。
【0021】
ギヤハウジング6は、アルミ系金属材料から作られており、ラック軸を収容する細長い筒状のラックチューブと、操舵軸2(出力軸22)及びラック&ピニオン・ギヤを収容するギヤボックスとしてのギヤ収容部6aとを一体に有している。なお、ギヤハウジング6を樹脂材料で形成することとしてもよい。図1に示すように、ギヤ収容部6aは中空筒状であり、その内周側(内部)には、第2軸受保持部61と、リテーナ保持部62と、基板収容部63とが設けられている。第2軸受保持部61は、ギヤ収容部6aのz軸正方向側に略円筒状に設けられる。第2軸受保持部61には、出力軸22のz軸正方向端を回転自在に支持する軸受としてのボールベアリング7cが設置・保持される。第2軸受保持部61の内周にボールベアリング7cの外輪が嵌合して設置される。リテーナ保持部62は、第2軸受保持部61のz軸正方向側に隣接して、第2軸受保持部61を取り囲むように略円筒状に設けられる。リテーナ保持部62の内周には円環状のリテーナ7dが嵌合して設置される。ボールベアリング7cの外輪は、リテーナ7dのz軸負方向端面と第2軸受保持部61の底面(z軸正方向端面)との間に挟まれるように保持される。基板収容部63は、リテーナ保持部62のz軸正方向側に隣接し、ギヤ収容部6aのz軸正方向側の開口部に連続して、リテーナ保持部62を取り囲むように略円筒状に設けられる。基板収容部63は、リテーナ保持部62の内周面に対して段差を有する若干大径の略円筒状に設けられており、ギヤ収容部6aのz軸正方向側に開口する。基板収容部63の内周面の直径は、センサハウジング5の凸部56の外周面の直径よりも僅かに大きく設けられている。基板収容部63の内部には、トルクセンサ3のセンサ基板33が収容され、センサ基板33は基板収容部63内で操舵軸2に対して略直角方向に広がるように設置・保持される。ギヤハウジング6には、基板収容部63の外周側に、周方向略等間隔に複数箇所(3カ所)、径方向外側に突出するボルト孔形成部64が設けられている。ボルト孔形成部64には、ボルト孔がz軸方向に貫通形成されている。ボルト孔形成部64は、ギヤ収容部6aの軸方向一方側(z軸正方向側)に設けられた(ギヤハウジング6の)フランジ部である。
【0022】
装置1の組立方法は、ボビン挿入工程と、第1カシメ工程と、基板配置工程と、第2カシメ工程とを有し、この順番で組立が行われる。ボビン挿入工程では、図3に示すように、ボールベアリング7bやコネクタ8(コネクタ端子80)がインサート成形され、シール部材7a等が設置された状態のセンサハウジング5が用意され、このセンサハウジング5のコイル収容部52に、コイルボビン30がz軸負方向側から挿入・設置される。
【0023】
第1カシメ工程では、図4に示すように、コイルボビン30をセンサハウジング5に固定する。すなわち、センサハウジング5のz軸負方向側の開口部から露出する第1突起部54は、コイルボビン30を固定する第1カシメ部543を形成する。よって、まず、コイルボビン30をセンサハウジング5の第1突起部54に対して配置する。z軸方向から見て、コイルボビン30の第1〜第3フランジ部301〜303における各軸方向貫通孔304は、第1突起部54における各挿入部541と略一致するように配置され、各挿入部541は、各軸方向貫通孔304にz軸正方側からz軸負方向側に向かってそれぞれ挿入される。ボス部540と挿入部541との間に形成された段部542(ボス部540のz軸負方向端面)がコイルボビン30のフランジ部30b(のz軸正方向端面)に当接した状態(フランジ部30bがセンサハウジング5の凹部57に設置された状態)で、樹脂材料で形成された挿入部541は、軸方向貫通孔304を貫通し、フランジ部30bのz軸負方向側に突出する。次に、センサハウジング5(挿入部541)は樹脂材料で形成されている。よって、溶融状態でのカシメを施すことにより第1カシメ部(膨大部)543が形成され、第1カシメ部543によりコイルボビン30がセンサハウジング5に固定される。このように、第1カシメ部543は、センサハウジング5に設けられている。具体的には、挿入部541の上記突出した部分を溶融し、その径方向寸法が軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように変形させることにより、第1カシメ部543が形成される。言換えると、第1カシメ部543は、溶融状態で第1係止部(膨大部)が形成され、第1係止部(膨大部)が第1被係止部(軸方向貫通孔304の周囲)と係止することにより、コイルボビン30をセンサハウジング5に固定する。更に言換えると、第1被係止部(軸方向貫通孔304の内周及び周囲)を第1カシメ部(第1突起部54)と接触させた状態で、第1カシメ部(第1突起部54の挿入部541)を溶融後変形させることにより、コイルボビン30がセンサハウジング5に固定される。ここで、フランジ部30bが設置される凹部57の深さは、フランジ部30bの厚さ以下に設けられている。よって、第1カシメ部543は、センサハウジング5のz軸負方向側端部(凸部56のz軸負方向端)よりもz軸負方向側に位置する。
【0024】
基板配置工程では、図5に示すように、センサ基板33を配置する。すなわち、センサハウジング5のz軸負方向側の開口部から第1突起部54よりもz軸負方向側に露出する第2突起部55(図4(a)参照)は、センサ基板33を固定する第2カシメ部553を形成する。よって、まず、センサ基板33を第2突起部55に対して配置する。z軸方向から見て、センサ基板33における各軸方向貫通孔333は、第2突起部55における各挿入部551と略一致するように配置され、各挿入部551は、各軸方向貫通孔333にそれぞれ挿入される。第2突起部55のボス部550と挿入部551との間に形成された段部552(ボス部550のz軸負方向端面)がセンサ基板33(のz軸正方向端面)に当接した状態で、挿入部551は、軸方向貫通孔333を貫通し、センサ基板33のz軸負方向側に突出する。ここで、ボス部550の高さは、コイルボビン30の(第1、第2端子設置部305,306を含む)フランジ部30bの厚さ以上に設けられている。よって、センサ基板33は、(第1、第2端子設置部305,306を含む)フランジ部30bよりもz軸負方向側に配置される。また、センサ基板33は、z軸方向から見て、コイルボビン30に設置された各コイル端子34がセンサ基板33におけるコイル端子接続部の各孔331と略一致し、センサハウジング5の各コネクタ端子80がセンサ基板33におけるコネクタ端子接続部の各孔332と略一致するように配置される。各コイル端子34は、コイルボビン30からz軸方向に延びて各孔331にそれぞれ挿入され、センサ基板33のz軸負方向側に突出する。各コネクタ端子80は、センサハウジング5からz軸方向に延びて各孔332にそれぞれ挿入され、センサ基板33のz軸負方向側に突出する。
【0025】
第2カシメ工程では、図5に示すように、センサ基板33をセンサハウジング5に固定する。すなわち、センサハウジング5(挿入部551)は樹脂材料で形成されている。よって、溶融状態でのカシメを施すことにより第2カシメ部(膨大部)553が形成され、第2カシメ部553によりセンサ基板33がセンサハウジング5に固定される。このように、第2カシメ部553は、センサハウジング5に設けられている。具体的には、挿入部551の上記突出した部分を溶融し、その径方向寸法が軸方向貫通孔333の内径よりも大きくなるように変形させることにより、第2カシメ部553が形成される。言換えると、第2カシメ部553は、溶融状態で第2係止部(膨大部)が形成され、第2係止部(膨大部)が第2被係止部(軸方向貫通孔333の周囲)と係止することにより、センサ基板33をセンサハウジング5に固定する。更に言換えると、第2被係止部(軸方向貫通孔333の内周及び周囲)を第2カシメ部(第2突起部55)と接触させた状態で、第2カシメ部(第2突起部55の挿入部551)を溶融後変形させることにより、センサ基板33がセンサハウジング5に固定される。ここで、図4(a)に示すように、センサ基板33は、センサハウジング5のz軸負方向側端部(凸部56のz軸負方向端)よりもz軸負方向側に位置するように、第2カシメ部553により固定される。また、センサハウジング5とセンサ基板33とを接続ないし係止する各構成は、コイルボビン30のフランジ部30bや各端子設置部305,306と干渉しないように配置されている。すなわち、図2に示すように、z軸方向から見て、第2カシメ部553(第2突起部55)は、第2フランジ部302と第1端子設置部305の間、又は第3フランジ部303と第2端子設置部306の間に形成される楔形のスペース内に配置される。また、z軸方向から見て、各コネクタ端子80(センサ基板33のコネクタ端子接続部の各孔332)は、第2、第3フランジ部302,303のx軸負方向側の辺よりも径方向外側に形成される三日月形のスペース内に配置される。
【0026】
第1、第2カシメ工程においては、カシメ工法に赤外線熱カシメを適用してもよいし、超音波カシメを適用してもよく、特に限定しない。赤外線熱かしめの場合、カシメ時の振動が発生せず、熱影響も小さいため、センサコイル31やセンサ基板33への悪影響を抑制することができる。超音波カシメの場合、カシメ装置が比較的小型であることから、このカシメ装置を挿入するためのスペースの確保が容易であり、結果として装置1の小型が可能となる。
【0027】
上記組立後、半田付け工程とユニット化工程が行われる。半田付け工程では、第2カシメ工程の後、コイル端子34及びコネクタ端子80をセンサ基板33に半田付けする。コイル端子34及びコネクタ端子80は、例えば、センサ基板33のz軸負方向側の面を半田液面に浸すフロー半田付けにより半田付けされることで、センサ基板33に固定されると共に、センサ基板33と電気的に接続される。なお、センサ基板33に搭載される電子部品は、例えばリフロー半田付けにより半田付けされることで、センサ基板33に固定されると共に、センサ基板33と電気的に接続される。
【0028】
ユニット化工程では、軸受7cやリテーナ7d、(磁路抵抗可変部材32を含む)操舵軸2等が設置された状態のギヤハウジング6が用意され、このギヤハウジング6がz軸負方向側からセンサハウジング5と組み合わされることにより、センサハウジング5のz軸負方向側の開口部が閉塞される。図1に示すように、操舵軸2は、センサ基板33の貫通孔330及びコイルボビン30の内周側をz軸正方向側から貫通する。ギヤハウジング6の基板収容部63のz軸正方向端の内周は、センサハウジング5の凸部56の外周に嵌合する。ギヤハウジング6のボルト孔形成部64は、センサハウジング5のボルト孔形成部58に接合する。ボルト孔形成部64のz軸正方向端面の内周(基板収容部63のz軸正方向端の内周)にはシール部材7eが設置される。両ボルト孔形成部58,64のボルト孔にはボルト7fが挿通され、両ハウジング5,6がボルト締結される。この状態で、基板収容部63は、センサハウジング5(コイル収容部52)のz軸負方向側の開口部に対向し、これに連通する。センサ基板33の貫通孔330には、出力軸22のz軸正方向端が設置され、センサ基板33の中心Oは操舵軸2の中心軸Oと略一致する。コイルボビン30のフランジ部30b及びセンサ基板33は、共にz軸に対して直角方向(径方向)に広がるようにハウジング4内に設置されると共に、z軸方向で層状に並んで(z軸方向から見てオーバーラップするように)配置される。言換えると、両者30b,33の一方は他方よりもz軸方向(操舵軸2が延びる方向)でz軸負方向側(ギヤハウジング6側)に配置される。本実施例1では、センサ基板33のほうが、フランジ部30bよりもz軸負方向側に配置される。フランジ部30b及びセンサ基板33のうちz軸正方向側(センサハウジング5側)に配置されたもの(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)は、z軸方向から見て(操舵軸2に対して直角方向において)、z軸負方向側(ギヤハウジング6側)に配置されたもの(センサ基板33)とオーバーラップするように配置される。図2の破線で示すように、z軸方向から見て、第1カシメ部543はセンサ基板33に重なっており、本実施例1ではセンサ基板33の範囲内(センサ基板33の外周縁と貫通孔330との間)に収まるように配置される。
【0029】
[実施例1の作用]
次に、装置1の作用を説明する。図1に示すように、センサコイル31(コイルボビン30)の軸に対してセンサ基板33が略垂直方向に広がり、かつセンサ基板33内にセンサコイル31の軸が位置するように、両者33,31が配列されている。このように、センサコイル31の軸上にセンサ基板33が位置するように、言換えるとセンサコイル31とセンサ基板33とが軸方向に並んで配置されているため、操舵軸2に対する略垂直方向(径方向)の広がり(径方向スペースの使用)が抑制される。よって、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。したがって、装置1の車載レイアウト性を向上することができる。具体的には、コイルボビン30は略円筒状に形成され、センサ基板33は略円環状に形成され、両者の軸は略一致するように軸O上に配置されている。また、操舵軸2は両者の軸と同じ軸O上に設置される。よって、操舵軸2に対するセンサ基板33の径方向の広がりを可及的に抑制し、上記効果を向上することができる。なお、コイルボビン30のフランジ部30bを設けなくても上記効果を得ることができるが、本実施例1ではフランジ部30bを設け、このフランジ部30bとセンサ基板33は共にz軸方向に対して直角方向に広がり、かつz軸方向に並ぶように配置される。よって、コイルボビン30にフランジ部30bを設けた場合において、上記効果を得ることができる。
【0030】
また、センサ基板33がコイルボビン30の軸方向端部(フランジ部30b)に対向して配置されるため、センサコイル31とセンサ基板33との接続構造を簡略化することができる。本実施例1では、センサ基板33は、z軸方向から見て、コイルボビン30の第1、第2端子設置部305,306(コイル端子34)とオーバーラップするように設けられている。よって、コイル端子34をセンサ基板33へハーネス等を介さず直接に接続することができる。例えば、基板配置工程でセンサ基板33をハウジング4側に取り付ける際、各端子設置部305,306からz軸負方向に延びるコイル端子34をそのままセンサ基板33(コイル端子接続部の各孔331)に接続するだけでよい。又は、センサ基板33の設置後にコイル端子34を取付けることとしてもよく、この場合、センサ基板33がハウジング4側に設置された状態で、z軸負方向側から直線状のコイル端子34をセンサ基板33(各孔331)及び端子設置部305,306に挿通・固定するだけでよい。これにより、センサコイル31とセンサ基板33の接続性を向上し、装置1の構造の簡素化と共に製造の効率化を図ることができる。同様に、本実施例1では、センサ基板33がコネクタ端子80に対向して配置されるため、コネクタ8とセンサ基板33との接続構造を簡略化することができる。具体的には、センサ基板33は、z軸方向から見て、センサハウジング5のコネクタ端子設置部53(コネクタ端子80)とオーバーラップするように設けられている。よって、上記コイル端子34と同様、コネクタ端子80をセンサ基板33へハーネス等を介さず直接に接続することができるため、装置1の構造の簡素化と共に製造の効率化を図ることができる。
【0031】
また、センサ基板33は、ギヤハウジング6(ギヤ収容部6a)の開口部に設けられた基板収容部63内に配置されるため、ギヤハウジング6の上記開口部がセンサハウジング5に組付けられて閉塞される際、同時に、基板収容部63が閉塞されてハウジング4の外部から遮断される。よって、基板収容部63の気密性(シール性)を担保するための蓋部材やシール部材を別途設けることが不要となる。したがって、装置1の部品点数を削減することができると共に製造の効率化を図ることができる。なお、本実施例1では基板収容部63をギヤハウジング6(ギヤ収容部6a)に設けたが、センサハウジング5の側に設けることとしてもよい。
【0032】
本実施例1ではフランジ部30bを設けたことで、コイルボビン30をハウジング4(センサハウジング5)に対してより確実に固定することができる。また、フランジ部30bによりコイルボビン30をハウジング4に対して位置決めすることで、同じハウジング4に設置される操舵軸2に対するセンサコイル31の位置の精度を向上し、トルクセンサ3の検出精度を向上できる。また、フランジ部30bは第1〜第3フランジ部301〜303を有し、コイルボビン30は第1〜第3フランジ部301〜303にそれぞれ設けられた第1被係止部(軸方向貫通孔304)によって周方向3箇所で固定されるため、ハウジング4に対するコイルボビン30(センサコイル31)の径方向位置の精度を向上し、トルクセンサ3の検出精度を向上できる。
【0033】
また、本実施例1では、フランジ部30bがセンサハウジング5に固定されるため、図10に示す比較例1のようにフランジ部30bがギヤハウジング6に固定される場合に比べ、センサハウジング5に対してコイルボビン30(センサコイル31)をより精度よく位置決めすることができる。すなわち、図10は、比較例1の装置1を、図1と同様に中心軸Oを通る平面で切った断面を示す。比較例1では、ギヤハウジング6が樹脂材料により形成され、第1係止部としての第1突起部54と、第2係止部としての第2突起部55が、ギヤハウジング6と一体に設けられている。第1突起部54及び第2突起部55は、基板収容部63のz軸負方向側の底部からz軸正方向側に突出するように設けられ、それぞれボス部540,550と挿入部541,551を有する。第1突起部54は、センサ基板33(貫通孔330)の内周側を貫通するように配置され、コイルボビン30を固定する第1カシメ部543を形成する。第2突起部55は、センサ基板33を固定する第2カシメ部553を形成する。第1突起部54は第2突起部55よりも高く設けられ、第1カシメ部543は第2カシメ部553よりもz軸正方向側に形成される。他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と対応する構成には同じ符号を付して説明を省略する。この比較例1のように、コイルボビン30のフランジ部30bをギヤハウジング6に固定することとしてもよい。これに対し、本実施例1では、フランジ部30bをセンサハウジング5に固定することとしたため、センサハウジング5に対してコイルボビン30(センサコイル31)をより精度よく位置決めすることができ、トルクセンサ3の検出精度をより向上できる。
【0034】
センサ基板33は、センサハウジング5に設置されたコネクタ端子80がセンサ基板33に半田付けされることによりセンサハウジング5に固定支持される。また、センサ基板33は、コイルボビン30に設置されたコイル端子34がセンサ基板33に半田付けされることによりコイルボビン30に固定支持される。よって、必ずしも第2係止部(第2カシメ部553)によりセンサ基板33をセンサハウジング5に固定しなくても、センサ基板33をハウジング4の側に固定することが可能である。本実施例1では、センサ基板33に第2被係止部(孔333)を設け、第2係止部(第2カシメ部553)によりセンサ基板33をセンサハウジング5に固定することとしたため、仮に、上記半田付けによる固定の強度が不足しても、より確実に、センサ基板33をハウジング4の側に固定することができる(フェイルセーフ機能)。本実施例1では、第2係止部(第2カシメ部553)を2箇所設け、中心軸Oを挟んで径方向で対向してこれら第2係止部(第2カシメ部553)を配置したため、第2係止部(第2カシメ部553)の数を最小限としつつ、固定強度を向上することができる。また、第2係止部(第2カシメ部553)を、周方向でコネクタ端子80(とセンサ基板33との半田付け部位)とコイル端子34(とセンサ基板33との半田付け部位)との間に配置したため、センサ基板33を周方向でより均等にハウジング4の側に固定支持することができる。なお、センサ基板33は、コイルボビン30のようにセンサハウジング5(操舵軸2)に対する厳密な位置決めが必要とされないため、例えば操舵軸2に対し垂直方向に広がる平面に対して若干傾いて固定されてもよい。
【0035】
センサ基板33は、センサ基板33が固定されるハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)の軸方向端部(凸部56のz軸負方向端)よりもハウジング4の他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(凸部56のz軸負方向端よりもz軸負方向側)に配置される。よって、比較例1のように上記一方のユニット(ギヤハウジング6)の軸方向端部(z軸正方向端部)よりも上記他方のユニット(センサハウジング5)の側にセンサ基板33が配置されない場合と異なり、センサ基板33に搭載される電子部品と上記一方のユニット(センサハウジング5)との干渉を抑制することができる。また、基板配置工程や半田付け工程、及び半田付け状態の検査工程において、センサ基板33が固定されるハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)がセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、上記工程における作業効率を向上することができる。具体的には、センサ基板33(の各孔331,332)にコネクタ端子80やコイル端子34を挿入する際、例えば端子80,34を整列させるための治具としてクシ歯を用いても、上記一方のユニット(センサハウジング5)が邪魔にならない。また、センサ基板33への端子80,34の半田付けの際、上記一方のユニット(センサハウジング5)が邪魔にならないため、例えばフロー半田付けを用いることが容易となる。更に、半田付けの状態を目視で確認することが容易となる。
【0036】
なお、フランジ部30bとセンサ基板33がハウジング4の同じユニットに固定されなくてもよい。本実施例1では、フランジ部30bとセンサ基板33が共に一方のユニット(センサハウジング5)に固定され、フランジ部30bのほうが上記一方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸正方向側)に配置され、センサ基板33のほうが他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置される。よって、比較例1のように、フランジ部30bとセンサ基板33が共に一方のユニット(ギヤハウジング6)に固定され、センサ基板33のほうが上記一方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸正方向側)に配置され、フランジ部30bのほうが他方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸負方向側)に配置される場合と異なり、半田付け工程や、半田付け状態の検査工程において、フランジ部30bがセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、上記工程における作業効率を向上することができる。具体的には、センサ基板33に端子(コネクタ端子80やコイル端子34)や電子部品を半田付けする際、フランジ部30bや第1係止部(第1カシメ部543)が邪魔にならないため、作業を容易化できる(例えばフロー半田付けを用いることが容易となる)。また、センサ基板33の半田付けの状態を検査する際、フランジ部30b等が干渉することが抑制され、目視で確認することが容易となるため、検査の作業効率が向上する。
【0037】
本実施例1では、フランジ部30bとセンサ基板33は共にセンサハウジング5の側に固定される。よって、ボビン挿入工程と、第1カシメ工程と、基板配置工程と、第2カシメ工程の全ての作業を、センサハウジング5の軸方向一方側(z軸負方向側)から行うことができる。例えば、センサハウジング5のz軸負方向側の開口部が鉛直方向上側を向くようにセンサハウジング5を設置しておけば、このセンサハウジング5にコイルボビン30を挿入・設置する、第1カシメ部543を形成してコイルボビン30を固定する、センサ基板33を設置する、第2カシメ部553を形成してセンサ基板33を固定する、という作業の全てを鉛直方向上側から一連の流れとして行うことができ、この間、センサハウジング5の上下方向の向きを変える必要はない。このようにセンサハウジング5の軸方向一方側から組み付けを行うことができるため、装置1の生産性を向上することができる。
【0038】
また、フランジ部30bとセンサ基板33が共にセンサハウジング5の側に固定されると共に、フランジ部30bのほうがセンサハウジング5の側(z軸正方向側)に配置され、センサ基板33のほうがギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置されるため、半田付け工程や、半田付け状態の検査工程において、センサコイル31のコイル保持部30aがセンサ基板33と干渉することが抑制される。よって、上記工程における作業効率を向上することができる。
【0039】
センサハウジング5の材料として、樹脂以外の材料、例えばアルミ合金等の金属材料を用いることとしてもよい。本実施例1では、センサハウジング5は樹脂材料で形成されるため、装置1の構造を簡略化して小型化を図ることができる等の効果を得ることができる。すなわち、従来も、センサハウジングが樹脂材料によって形成されるパワーステアリング装置が知られている。しかし、従来の装置では、センサハウジングを樹脂化した場合に課題となるはずの、センサコイルやセンサ基板の具体的な配置や組付け方法については十分に考慮されておらず、樹脂化のメリットを十分に発揮できていない。例えば、特開2009−298246号公報に開示される装置では、センサ基板は、センサハウジングの径方向側面に設けられた基板収容室内に配置されている。よって、基板収容室を設けるスペース分だけ装置の径方向寸法が増大し、(樹脂化のメリットの1つである)車載レイアウト性を向上できない。また、基板収容部内を外部からシールするための蓋部材やシール部材が別途必要となり、(樹脂化のメリットの1つである)部品点数を削減することもできない。これに対し、本実施例1では、上記のように、センサ基板33とセンサコイル31(コイルボビン30)は、径方向ではなく軸方向(操舵軸2が延びる方向)に並んで(z軸方向から見てオーバーラップするように)配置されており、ハウジング4の径方向側面(例えばセンサコイル31の径方向外側)にセンサ基板33の収容室が別途設けられない。よって、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができ、車載レイアウト性を向上することができる。また、センサ基板33は、ハウジング4を構成する一方のユニット(センサハウジング5)の開口部(に設けられた基板収容部63)に収容される。よって、ハウジング4を構成する他方のユニット(ギヤハウジング6)により上記開口部が閉塞されるだけで、センサ基板33がハウジング4内に気密に収容される。したがって、基板収容部63を外部からシールするための蓋部材やシール部材が別途不要となり、装置1の部品点数を削減することができる。
【0040】
更に、コネクタ8は、樹脂材料によりセンサハウジング5と一体成形される。また、コネクタ端子80や第1軸受(ボールベアリング7b)は、センサハウジング5にインサート成形される。よって、部品点数や組付工数を削減することができる。
【0041】
センサ基板33とコイルボビン30の軸は略一致するように配置される。また、センサ基板33の内周縁(センサ基板33において中心Oからの距離が最も近い点が中心Oの周りで描く円、すなわち内接円。本実施例1では貫通孔330の内周)は、コイルボビン30のフランジ部30bを固定する第1係止部(第1カシメ部543)よりも径方向内側(操舵軸2に対し直角方向で中心軸Oに向かう側)に位置する。よって、センサ基板33の内周縁が第1係止部(第1カシメ部543)よりも径方向外側に設けられる場合に比べ、センサ基板33が径方向内側に広がるため、センサ基板33において電子部品を搭載可能なスペースを拡大することができる。言換えると、必要な電子部品を搭載可能としつつ、センサ基板33の径方向外側への寸法増大を抑制して、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。
【0042】
フランジ部30bを固定する第1係止部(第1カシメ部543)は、センサ基板33の外周縁(センサ基板33において中心Oからの距離が最も遠い点が中心Oの周りで描く円、すなわちセンサ基板33の外接円)よりも径方向内側に位置するように設けられている。よって、コイルボビン30に(径方向外側に広がる)フランジ部30bを設けた場合でも、第1係止部(第1カシメ部543)がセンサ基板33の径方向外側(センサ基板33の外接円の外側)にはみ出すことを抑制することで、装置1の径方向寸法のより一層の小型化を図ることができる。
【0043】
フランジ部30b及びセンサ基板33はz軸方向から見てオーバーラップするように配置される。よって、両者をオーバーラップさせない場合に比べ、上記オーバーラップの分だけ装置1の径方向外側への寸法増大を抑制することができる。例えば、上記オーバーラップの分だけ、センサ基板33がフランジ部30bに対して径方向外側へはみ出すことを抑制して、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。
【0044】
また、フランジ部30b及びセンサ基板33の一方(センサ基板33)は他方(フランジ部30b)よりも上側(センサ基板33及びフランジ部30bが固定されるユニットから離れる側)、すなわちギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置され、両カシメ部(第1、第2カシメ部543,553)のうち上記他方(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)は、径方向において(z軸方向から見て)上記一方(センサ基板33)とオーバーラップするように配置される。よって、このオーバーラップの分だけ、上記他方(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)が上記一方(センサ基板33)に対して径方向に突出することが抑制されるため、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。なお、上記他方(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)は、径方向で(z軸方向から見て)上記一方(センサ基板33)と部分的にオーバーラップすることとしてもよい。
【0045】
本実施例1では、センサ基板33が上記一方側に配置される。言換えると、センサ基板33はフランジ部30bよりも上側、すなわちギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置され、フランジ部30bを固定する第1係止部(第1カシメ部543)は、径方向で(z軸方向から見て)センサ基板33とオーバーラップするように配置される。よって、このオーバーラップの分だけセンサ基板33に電子部品を搭載可能なスペースを拡大することができるため、センサ基板33の径方向外側への寸法増大を抑制して、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。以下、比較例2を用いて説明する。図11は、比較例2のセンサハウジング5側の完成ユニットをz軸負方向側から見た正面図である。比較例2では、本実施例1とは異なり、センサ基板33の外周側に切欠部335が設けられている。切欠部335は、z軸方向から見て、第1係止部(第1カシメ部543)とオーバーラップする位置に設けられている。この比較例2においては、センサ基板33がフランジ部30bよりも上側(センサ基板33及びフランジ部30bが固定されるユニットから離れる側)に設置されているときでも、切欠部335を介してフランジ部30bに第1カシメ部543を形成可能である。言換えると、一方のユニットにコイルボビン30を設置し、かつセンサ基板33を設置した後に、センサ基板33の干渉を抑制しつつ第1カシメ部543を形成し、コイルボビン30を上記一方のユニットに固定することが可能である。しかし、この比較例2の構成では、センサ基板33において電子部品を搭載可能なスペースが上記切欠部335の分だけ縮小することになる。これに対し、本実施例1では、上記切欠部335をなくし、z軸方向から見てセンサ基板33が第1係止部(第1カシメ部543)とオーバーラップするように設けた。これにより、センサ基板33の外接円の半径はそのままで、センサ基板33において電子部品を搭載可能なスペースを、上記オーバーラップ部分(図11の切欠部335の面積)だけ拡大することができる。言換えると、必要とされる電子部品を搭載可能としつつセンサ基板33を小型化することが可能であり、これにより装置1の径方向寸法のより一層の小型化を図ることができる。
【0046】
フランジ部30bを固定する第1係止部(第1カシメ部543)とセンサ基板33を固定する第2係止部(第2カシメ部553)は、周方向で互いにズレて(径方向で重ならないように)配置されている。具体的には、両係止部(第1、第2カシメ部543,553)は、周方向で見たとき互いに重なるように配置されている。よって、両係止部(第1、第2カシメ部543,553)同士の干渉を抑制しつつ、両係止部(第1、第2カシメ部543,553)の一方が径方向外側に大きく突出して配置されることを抑制できるため、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。また、センサ基板33を固定する第2係止部(第2カシメ部553)は、コイルボビン30の第1、第2端子設置部305,306(コイル端子34)に対して周方向でズレて配置されている。また、センサ基板33をセンサハウジング5に接続するコネクタ端子80は、第1係止部(第1カシメ部543)に対して周方向でズレて配置されている。よって、上記と同様に、装置1の径方向寸法のより一層の小型化を図ることができる。本実施例1では、第2係止部(第2カシメ部553)及びコネクタ端子80は、コイルボビン30と干渉しない範囲で可能な限り径方向内側、具体的には、フランジ部30bの外周縁を結ぶ円周(外接円)と略重なる径方向位置又は上記円周内に配置されている。よって、センサ基板33の大きさをフランジ部30bの外接円と略同じ程度にまで小型化することができる。
【0047】
図12は、比較例3の装置1を、図1と同様に中心軸Oを通る平面で切った断面を示す。比較例3の装置1は、比較例1の装置1と同様の構成において、フランジ部30bやセンサ基板33をハウジング4に固定するための係止部として、ボルト7gないしネジを用いたものである。なお、ギヤハウジング6の材料は樹脂でも金属でもよい。この比較例3のように、ボルトやネジを用いてフランジ部30b等をハウジング4に固定することとしてもよい。これに対し、本実施例1の装置1では、樹脂材料から形成された係止部材(第1、第2突起部54,55)を変形してフランジ部30b等を固定することとしたため、係止部材をハウジング4(センサハウジング5)と一体に形成することで部品点数を削減できると共に、装置1の構造を簡略化することができる。なお、本実施例1では、樹脂材料から形成された係止部材(第1、第2突起部54,55)を塑性変形することにより膨大部(第1、第2カシメ部543,553)を形成し、フランジ部30b等をカシメ固定することとしたが、樹脂製の係止部材(例えばスナップフィット)の弾性変形によりフランジ部30b等をハウジング4に固定することとしてもよい。
【0048】
本実施例1では、フランジ部30b及びセンサ基板33において、係止部材(第1、第2突起部54,55)が係止する被係止部を構成するために、(フランジ部30b等をz軸方向に貫通する)孔304,333を設けた。これら軸方向貫通孔304,333に係止部材(第1、第2突起部54,55)が挿入されることで、センサハウジング5に対するフランジ部30b等の係止(固定)が行われる。よって、被係止部を構成するために軸方向貫通孔304,333を設けず、例えばフランジ部30bの外周縁やセンサ基板33の内外周縁にセンサハウジング5の側の係止部材が係止するようにした場合に比べ、フランジ部30bやセンサ基板33の径方向寸法の増大を抑制することができる。
【0049】
また、被係止部を軸方向貫通孔304により構成してフランジ部30b等をカシメ固定したため、より確実かつ精度よくフランジ部30b等をハウジング4(センサハウジング5)に固定することができる。例えば、第1カシメ部543についてみると、フランジ部30bの軸方向貫通孔304を貫通した係止部材(第1突起部54の挿入部541)における軸方向貫通孔304から突出した部分は、軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように溶融され、第1カシメ部543を形成する。よって、フランジ部30bをより確実にハウジング4(センサハウジング5)に(z軸方向で)固定することができる。また、係止部材(第1突起部54)は、溶融して第1カシメ部543を形成する際、フランジ部30bの軸方向貫通孔304を貫通した状態となっている。よって、第1カシメ部543の形成時に、フランジ部30bとハウジング4(センサハウジング5)との相対位置ずれが抑制されるため、コイルボビン30(センサコイル31)の(径方向)位置精度を向上することができる。第2カシメ部553についても同様である。
【0050】
係止部材(第1突起部54)においては、その根元側のハウジング4(センサハウジング5)と先端側の挿入部541との間に、ボス部540が設けられている。よって、ボス部540が設けられない場合よりも、溶融される挿入部541の先端とハウジング4(センサハウジング5)との距離が大きくなり、挿入部541の溶融時における熱の影響がハウジング4(センサハウジング5)の側に及ぶことを抑制することができる。したがって、熱によるハウジング4(センサハウジング5)の変形を抑制し、ハウジング4(センサハウジング5)における各部品の組付け精度やハウジング4のシール性等を向上することができる。第2カシメ部553についても同様である。
【0051】
係止部材(第1突起部54)においては、ボス部540と挿入部541との間に段部542が設けられており、フランジ部30bが段部542(を構成するボス部540のz軸負方向端面)に当接した状態で、第1カシメ部543が形成される。よって、第1カシメ部543の形成作業時(挿入部541の溶融・変形時)及びこの形成作業後に、フランジ部30bがハウジング4(センサハウジング5)に対してz軸方向に位置決めされるため、コイルボビン30(センサコイル31)とハウジング4(センサハウジング5)の(z軸方向)相対位置ずれを抑制することができる。したがって、トルクセンサ3の検出精度を向上したり、センサ特性のバラツキを抑制したりすることが可能である。第2カシメ部553についても同様である。
【0052】
第1カシメ部543は、フランジ部30bが固定されるハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)の軸方向端部(凸部56のz軸負方向端)よりも他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に位置するように設けられる。よって、第1カシメ部543の形成作業において上記一方のユニット(センサハウジング5)が邪魔にならず、上記一方のユニット(センサハウジング5)が第1カシメ部543と干渉することが抑制されるため、カシメ作業の効率を向上することができる。また、第1カシメ部543をフランジ部30bに押し付けてフランジ部30bを第1カシメ部543とボス部540との間に挟みこむことが容易となる。よって、フランジ部30bとボス部540との間のガタを抑制して、コイルボビン30(センサコイル31)と上記一方のユニット(センサハウジング5)との(z軸方向)相対位置ずれを抑制することが容易となる。
【0053】
第2カシメ部553についてみると、センサ基板33は、センサ基板33が固定されるハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)の軸方向端部(凸部56のz軸負方向端)よりも他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に位置するように、第2カシメ部553により固定される。よって、第2カシメ部553のカシメ作業の際、上記一方のユニット(センサハウジング5)がセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、作業効率を向上することができる。また、本実施例1の装置1の組立方法では、第1カシメ工程後に基板配置工程を行う。よって、第1カシメ工程においてセンサ基板33が干渉する(邪魔になる)ことが抑制されるため、組立作業を容易化し、装置1の生産性を向上できる。
【0054】
[実施例1の効果]
以下、実施例1の装置1及びその組立方法が奏する作用効果を列挙する。
(A1)装置1は、内部に形成されたコイル収容部52と軸方向一方側(z軸負方向側)に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部(センサハウジング5)と、第1ハウジング部と組み合わされることにより第1ハウジング部の上記開口部を閉塞する第2ハウジング部(ギヤハウジング6)と、から構成されるハウジング4と、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸21と、トーションバー20を介して入力軸21と接続されると共に転舵輪に上記回転力を伝達する出力軸22と、から構成されると共に、ハウジング4に回転自在に収容される操舵軸2と、
コイル収容部52に収容され、操舵軸2の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより入力軸21と出力軸22の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイル31と、
センサコイル31を保持するコイル保持部30aと、コイル保持部30aから径方向外側に突出するように設けられたフランジ部30bと、から構成され、コイル収容部52に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビン30と、
コイルボビン30のフランジ部30bに設けられた第1被係止部(軸方向貫通孔304及びその周囲)と、
ハウジング4内に収容され、センサコイル31と電気的に接続され、センサコイル31に印加される上記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板33と、
センサ基板33に設けられた第2被係止部(軸方向貫通孔333及びその周囲)と、
第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で第1被係止部と係止する第1係止部(膨大部)が形成されることによりコイルボビン30を第1ハウジング部に固定する第1カシメ部543と、
第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で第2被係止部と係止する第2係止部が形成されることによりセンサ基板33を第1ハウジング部に固定する第2カシメ部553と、
センサコイル31の出力信号に基づき駆動制御され、転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、を備え、
コイルボビン30のフランジ部30bおよびセンサ基板33の一方(センサ基板33)は他方(フランジ部30b)よりも操舵軸2の方向(z軸方向)で第2ハウジング部側(z軸負方向側)に配置され、第1カシメ部543および第2カシメ部553のうち上記他方(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)は、操舵軸2に対して垂直な方向において(z軸方向から見て)上記一方(センサ基板33)とオーバーラップするように配置される。
よって、コイルボビン30のフランジ部30bとセンサ基板33とを軸方向に直列配置とすることで、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。したがって、装置1の車載レイアウト性を向上することができる。また、上記他方(フランジ部30b)側のカシメ部(第1カシメ部543)が上記一方側の部材(センサ基板33)とオーバーラップするように配置されるため、装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0055】
(A2)上記(A1)において、センサ基板33は、コイルボビン30のフランジ部30bよりも操舵軸2の方向(z軸方向)で第2ハウジング部(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置される。
よって、電子部品が多く半田付けされるセンサ基板33を第2ハウジング部の側に配置することにより、センサ基板33の半田付け状態を検査する際、フランジ部30bが干渉することが抑制されるため、検査の作業効率を向上することができる。また、センサ基板33においてフランジ部30bの第1カシメ部543とオーバーラップする部分にも電子部品を搭載することが可能となるため、装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0056】
(A3)上記(A2)において、第1被係止部は、コイルボビン30のフランジ部30bに形成された軸方向貫通孔304(及びその周囲)であって、
第1カシメ部543は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304に第1ハウジング部(センサハウジング5)側から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側に向かって(z軸負方向に)挿入され、コイルボビン30の軸方向貫通孔304から第2ハウジング部側(z軸負方向側)に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法がコイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される。
よって、第1カシメ部543の軸方向貫通孔304から突出した部分が軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように溶融、形成されることにより、コイルボビン30のフランジ部30bをより確実に固定することができる。また、溶融、形成時には、第1カシメ部543はコイルボビン30の軸方向貫通孔304に貫通した状態となっているため、溶融、形成時におけるフランジ部30bと第1カシメ部543との相対位置ずれを抑制することができる。
【0057】
(A4)上記(A3)において、第1カシメ部543は、第1ハウジング部(センサハウジング5)から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に突出して形成されたボス部540と、ボス部540の第2ハウジング部側の端部から延設されコイルボビン30の軸方向貫通孔304に挿入される挿入部541とから構成される。
よって、第1ハウジング部と挿入部541との間にボス部540を設けることにより、溶融される挿入部541の先端と第1ハウジング部との距離が大きくなるため、挿入部541の溶融時における熱の影響が第1ハウジング部側に及ぶのを抑制することができる。
【0058】
(A5)上記(A4)において、ボス部540は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも大径に形成され、
挿入部541は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも小径に形成され、
第1カシメ部543は、挿入部541がコイルボビン30の軸方向貫通孔304に挿入され、ボス部540と挿入部541との間に形成された段部542がコイルボビン30のフランジ部30bに当接した状態で挿入部541の上記突出した部分が溶融および変形されることにより形成される。
よって、コイルボビン30のフランジ部30bが段部542に当接した状態で第1カシメ部543を形成することにより、溶融、変形時および第1カシメ部543の形成作業後におけるフランジ部30bと第1カシメ部543との相対位置ずれを抑制することができる。
【0059】
(A6)上記(A4)において、センサ基板33は、第1ハウジング部(センサハウジング5)の第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側の端部(凸部56のz軸負方向端)よりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に位置するように第2カシメ部553により固定される。
よって、第1ハウジング部がセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、第2カシメ部553のカシメ作業、センサ基板33上に搭載される電子部品の半田付け、半田付け状態の検査のうち少なくとも1つの工程における作業効率を向上することができる。
【0060】
(A7)上記(A6)において、第1カシメ部543は、第1ハウジング部(センサハウジング5)の第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側の端部(凸部56のz軸負方向端)よりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に位置するように設けられる。
よって、第1ハウジング部が第1カシメ部543と干渉することが抑制されるため、第1カシメ部543のカシメ作業における作業効率を向上することができる。
【0061】
(A8)上記(A2)において、第2被係止部は、センサ基板33に形成された軸方向貫通孔333(及びその周囲)であって、
第2カシメ部553は、センサ基板33の軸方向貫通孔333に第1ハウジング部(センサハウジング5)側から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に向かって挿入され、センサ基板33の軸方向貫通孔333から第2ハウジング部側に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法がセンサ基板33の軸方向貫通孔333の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される。
よって、第2カシメ部553の軸方向貫通孔333から突出した部分が軸方向貫通孔333の内径よりも大きくなるように溶融、形成されることにより、センサ基板33をより確実に固定することができる。また、溶融、形成時には、第2カシメ部553はセンサ基板33の軸方向貫通孔333に貫通した状態となっているため、溶融、形成時におけるセンサ基板33と第2カシメ部553との相対位置ずれを抑制することができる。
【0062】
(B1)装置1の組立方法であって、
装置1は、
内部に形成されたコイル収容部52と軸方向一方側(z軸負方向側)に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部(センサハウジング5)と、第1ハウジング部と組み合わされることにより第1ハウジング部の上記開口部を閉塞する第2ハウジング部(ギヤハウジング6)と、から構成されるハウジング4と、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸21と、トーションバー20を介して入力軸21と接続されると共に転舵輪に上記回転力を伝達する出力軸22と、から構成されると共に、ハウジング4に回転自在に収容される操舵軸2と、
コイル収容部52に収容され、操舵軸2の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより入力軸21と出力軸22の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイル31と、
センサコイル31を保持するコイル保持部30aと、コイル保持部30aから径方向外側に突出するように設けられたフランジ部30bと、から構成され、コイル収容部52に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビン30と、
ハウジング4に設けられ、樹脂材料で形成された第1カシメ部543および第2カシメ部553と、
コイルボビン30のフランジ部30bに設けられた第1被係止部(軸方向貫通孔304及びその周囲)と、
ハウジング4内に収容され、センサコイル31と電気的に接続され、センサコイル31に印加される上記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板33と、
センサ基板33に設けられた第2被係止部(軸方向貫通孔333及びその周囲)と、
センサコイル31の出力信号に基づき駆動制御され、転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、を備え、
コイルボビン30をコイル収容部52に挿入するボビン挿入工程と、
第1被係止部を第1カシメ部543と接触させた状態で第1カシメ部543を溶融後変形させることによりコイルボビン30を第1ハウジング部に固定する第1カシメ工程と、
第1カシメ工程の後に行われ、第2被係止部が第2カシメ部553と接触するようにセンサ基板33をフランジ部30bよりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に配置する基板配置工程と、
第2被係止部を第2カシメ部553と接触させた状態で第2カシメ部553を溶融後変形させることによりセンサ基板33を第1ハウジング部に固定する第2カシメ工程と、を有する。
よって、コイルボビン30のフランジ部30bとセンサ基板33とを軸方向に直列配置とすることで、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。また、第1カシメ工程後にセンサ基板33を配置することにより、第1カシメ工程においてセンサ基板33が干渉することを抑制し、作業効率を向上することができる。
【0063】
(B2)上記(B1)において、第1カシメ部543は、操舵軸2に対して垂直な方向において(z軸方向から見て)センサ基板33とオーバーラップするように配置される。
よって、センサ基板33においてコイルボビン30のカシメ部543とオーバーラップする部分にも電子部品を搭載することが可能となるため、装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0064】
(B3)上記(B1)において、センサ基板33に搭載される電子部品は、フロー半田により半田付けされる。
よって、センサ基板33がコイルボビン30のフランジ部30bより第2ハウジング部側(z軸負方向側)に配置されるため、フロー半田時においてコイルボビン30のフランジ部30bが干渉することを抑制し、作業効率を向上することができる。
【0065】
[実施例2]
実施例2の装置1では、コイルボビン30のフランジ部30bのほうが、センサ基板33よりもギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置される。図5は、実施例2のセンサハウジング5の軸方向断面を示す。図6〜図8は、ハウジング4を構成するセンサハウジング5側のユニットが完成するまでの各状態を示す。図6は、センサハウジング5にボールベアリング7bやシール部材7a等が設置された状態を示す。図7は、更にセンサ基板33が設置された状態を示す。図8は、更にコイルボビン30が設置された状態を示す。図6〜図8において、(a)はユニットを図1と同様に切った断面を示し、(b)はユニットをz軸負方向側から見た正面図である。
【0066】
図7(b)に示すように、センサ基板33の内周側には、貫通孔330と連続して、3箇所に切欠部334が設けられている。切欠部334は、z軸方向から見て、コイルボビン30の第1突起部54に対応する位置に設けられている。図6、図7に示すように、第1突起部54は、第2突起部55よりも(z軸負方向側に)高く設けられており、センサ基板33の切欠部334をそれぞれz軸方向に貫通するように配置され、フランジ部30bの(第1被係止部としての)軸方向貫通孔304にそれぞれ挿通する。図8に示すように、フランジ部30bはセンサ基板33よりもギヤハウジング6の側(z軸負方向)に配置され、第1カシメ部543は第2カシメ部553よりもz軸負方向側に形成される。図8(b)に示すように、コイル端子34は、端子設置部305,306からz軸正方向側かつ径方向外側に突出し、センサ基板33に接続される。装置1の組立方法は、基板配置工程(図6→図7)と、第2カシメ工程(図7)と、ボビン挿入工程(図7→図8)と、第1カシメ工程(図8)とを有し、この順番で組立が行われる。他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と対応する構成に同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
次に、本実施例2の作用を説明する。フランジ部30bとセンサ基板33が共にハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)に固定され、センサ基板33のほうが上記一方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸正方向側)に配置され、フランジ部30bのほうが他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置される。よって、第1カシメ部543のカシメ作業の際、センサ基板33が干渉する(邪魔になる)ことが抑制されるため、上記作業の効率化を図ることができる。第1カシメ部543は、フランジ部30bが固定される一方のユニット(センサハウジング5)の軸方向端部(凸部56のz軸負方向端)よりも他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に位置するように設けられる。よって、第1カシメ部543のカシメ作業の効率を向上することができる。
【0068】
センサ基板33の内周側に切欠部334が設けられ、この切欠部334を第1突起部54がz軸方向に貫通してフランジ部30bの軸方向貫通孔304に挿通する。よって、コイルボビン30の位置決めをより安定化することができる。すなわち、第1突起部54が貫通する切欠部334をセンサ基板33の外周側に設けることとしてもよいが、この場合、フランジ部30bの径方向寸法が増大するおそれがある。これに対し、本実施例2では、センサ基板33の内周側に切欠部334を設けたため、フランジ部30bの径方向寸法の増大を抑制することが可能である。これにより、コイルボビン30を小型化できると共に、コイルボビン30をより安定的にハウジング4(センサハウジング5)に対して位置決めすることができる。その他、実施例1と対応する各構成により、実施例1と同様の作用を得る。
【0069】
[実施例2の効果]
以下、実施例2の装置1が奏する作用効果を列挙する。
(C1)上記(A1)において、コイルボビン30のフランジ部30bは、センサ基板33よりも操舵軸2の方向(z軸方向)で第2ハウジング部(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置される。
よって、第1カシメ部543のカシメ作業の際、センサ基板33が干渉することが抑制され、カシメ作業の効率化を図ることができる。
【0070】
(C2)上記(C1)において、第1被係止部は、コイルボビン30のフランジ部30bに形成された軸方向貫通孔304(及びその周囲)であって、
第1カシメ部543は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304に第1ハウジング部(センサハウジング5)側から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に向かって挿入され、コイルボビン30の軸方向貫通孔304から第2ハウジング部側に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法がコイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される。
よって、第1カシメ部543の軸方向貫通孔304から突出した部分が軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように溶融、形成されることにより、コイルボビン30のフランジ部30bをより確実に固定することができる。また、溶融、形成時には、第1カシメ部543はコイルボビン30の軸方向貫通孔304に貫通した状態となっているため、溶融、形成時におけるフランジ部30bと第1カシメ部543との相対位置ずれを抑制することができる。
【0071】
(C3)上記(C1)において、第1カシメ部543は、第1ハウジング部(センサハウジング5)から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に突出して形成されたボス部540と、ボス部540の第2ハウジング部側の端部から延設されセンサ基板33の軸方向貫通孔333に挿入される挿入部541とから構成される。
よって、第1ハウジング部と挿入部541との間にボス部540を設けることにより、溶融される挿入部541の先端と第1ハウジング部との距離が大きくなり、挿入部541の溶融時における熱の影響が第1ハウジング部側に及ぶのを抑制することができる。
【0072】
(C4)上記(C3)において、第1カシメ部543は、第1ハウジング部(センサハウジング5)の第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側の端部(凸部56のz軸負方向端)よりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に位置するように設けられる。
よって、第1ハウジング部が第1カシメ部543と干渉することが抑制されるため、第1カシメ部543のカシメ作業における作業効率を向上することができる。
【0073】
(C5)上記(C4)において、センサ基板33は、第1ハウジング部(センサハウジング5)の第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側の端部(凸部56のz軸負方向端)よりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に位置するように第2カシメ部553により固定される。
よって、第1ハウジング部がセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、第2カシメ部553のカシメ作業、センサ基板33上に搭載される電子部品の半田付け、半田付け状態の検査のうち少なくとも1つの工程における作業効率を向上することができる。
【0074】
(C6)上記(C1)において、第2被係止部は、センサ基板33に形成された軸方向貫通孔333(及びその周囲)であって、
第2カシメ部553は、センサ基板33の軸方向貫通孔333に第1ハウジング部(センサハウジング5)側から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に向かって挿入され、センサ基板33の軸方向貫通孔333から第2ハウジング部側に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法がセンサ基板33の軸方向貫通孔333の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される。よって、上記(A8)と同様の作用効果を奏する。
【0075】
[実施例3]
実施例3の装置1では、センサ基板33の貫通孔330に大径部35が設けられ、コイルボビン30のフランジ部30b及び第1、第2端子設置部305,306が貫通孔330を挿通可能に設けられている。図9は、センサハウジング5側の完成ユニットをz軸負方向側から見た正面図である。図9に示すように、z軸方向から見て、第1〜第3フランジ部301〜303は、コイル保持部30aから径方向外側に向かって延びる略矩形状に設けられ、コイルボビン30の軸周り(周方向)に互いに離間して配置されている。
【0076】
センサ基板33に設けられた貫通孔330は、コイルボビン30(コイル保持部30a、第1〜第3フランジ部301〜303、及び第1、第2端子設置部305,306)が挿通可能に形成されたボビン貫通孔である。貫通孔330は、大径部35と小径部36から構成される。大径部35は、センサ基板33の周方向に3箇所設けられており、第1〜第3大径部351〜353を有している。第1〜第3大径部351〜353は、それぞれ第1〜第3フランジ部301〜303がz軸方向に挿通可能に形成されている。具体的には、センサ基板33の中心Oから第1〜第3大径部351〜353までの径方向距離(半径)は、コイルボビン30の軸から第1〜第3フランジ部301〜303までの径方向距離よりも大きく設けられている。センサ基板33の中心Oの周りにおける第1〜第3大径部351〜353の幅(周方向距離)は、それぞれ、コイルボビン30の軸の周りにおける第1〜第3フランジ部301〜303の幅(周方向距離)よりも大きく設けられている。
【0077】
小径部36は、隣接する大径部35の間にそれぞれ設けられており、第1、第2大径部351,352の間の第1小径部361と、第2、第3大径部352,353の間の第2小径部362と、第3、第1大径部353,351の間の第3小径部363とを有している。第1〜第3小径部361〜363は、コイルボビン30の(第1、第2端子設置部305,306を含む)コイル保持部30aが挿通可能に形成されている。第1、第3小径部361,363は、センサ基板33の中心Oから径方向外側に向かって延びる略矩形状に設けられ、第2小径部362は、センサ基板33の中心Oの周りに延びる略円弧状に設けられている。第1〜第3小径部361〜363は、その縁が第1〜第3フランジ部301〜303の軸方向貫通孔304より径方向内側に配置されるように形成されている。第1、第3小径部361,363は、それぞれ第1、第2端子設置部305,306が挿通可能に形成され、第2小径部362はコイル保持部30aが挿通可能に形成されている。センサ基板33は、フランジ部30bよりもギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置される。なお、端子設置部305,306から延びるコイル端子34の形状を適宜変更し、鈎形状や、z軸方向に対して傾いた直線部を有する形状とすることで、組付け時にコイル端子34をセンサ基板33のコイル端子接続部に接続したり、組付け後にコイル端子34を半田付けしたりする作業を容易化できる。他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と対応する構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0078】
次に、本実施例3の作用を説明する。センサ基板33の貫通孔330には大径部35が設けられている。大径部35は、z軸方向から見て、第1係止部(第1カシメ部543)とオーバーラップする位置に設けられている。よって、比較例2と同様、コイルボビン30を一方のユニット(センサハウジング5)に設置し、かつセンサ基板33を設置した後に、センサ基板33の干渉を抑制しつつ第1カシメ部543を形成して、コイルボビン30を上記一方のユニット(センサハウジング5)に固定することが可能である。なお、実施例2と同様、センサ基板33のほうが上記一方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸正方向側)に配置され、フランジ部30bのほうが他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置されることとしてもよい。この場合、センサ基板33の貫通孔330はコイルボビン30が挿通可能に設けられているため、コイルボビン30をセンサ基板33より先に上記一方のユニット(センサハウジング5)に組付けることが可能である。すなわち、コイルボビン30を上記一方のユニット(センサハウジング5)に設置した後、貫通孔330にコイルボビン30のフランジ部30bや端子設置部305,306を挿通することで、センサ基板33をフランジ部30bよりも上記一方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸正方向側)に設置することが可能である。ここで、コイル端子34の形状については上記と同様のことが言える。その他、実施例1と対応する各構成により、実施例1と同様の作用を得る。
【0079】
[実施例3の効果]
以下、実施例3の装置1が奏する作用効果を列挙する。
(D1)内部に形成されたコイル収容部52と軸方向一方側(z軸負方向側)に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部(センサハウジング5)と、第1ハウジング部と組み合わされることにより第1ハウジング部の上記開口部を閉塞する第2ハウジング部(ギヤハウジング6)と、から構成されるハウジング4と、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸21と、トーションバー20を介して入力軸21と接続されると共に転舵輪に上記回転力を伝達する出力軸22と、から構成されると共に、ハウジング4に回転自在に収容される操舵軸2と、
コイル収容部52に収容され、操舵軸2の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより入力軸21と出力軸22の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイル31と、
センサコイル31を保持するコイル保持部30aと、コイル保持部30aから径方向外側に突出するように設けられたフランジ部30bと、から構成され、コイル収容部52に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビン30と、
コイルボビン30のフランジ部30bに設けられた第1被係止部(軸方向貫通孔304及びその周囲)と、
ハウジング4内に収容され、センサコイル31と電気的に接続され、センサコイル31に印加される上記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板33と、
センサ基板33に設けられた貫通孔であって、複数のフランジ部30bが挿通可能に形成された複数の大径部351〜353と、隣接する複数の大径部351〜353の間に設けられ外縁が第1被係止部より径方向内側に配置されるように形成された小径部361〜363と、から構成されると共に、コイルボビン30のコイル保持部30aおよび複数のフランジ部30bが挿通可能に形成されたボビン貫通孔330と、
センサ基板33に設けられた第2被係止部(軸方向貫通孔333及びその周囲)と、
第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で第1被係止部と係止する第1係止部が形成されることによりコイルボビン30を第1ハウジング部に固定する第1カシメ部543と、
第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で第2被係止部と係止する第2係止部が形成されることによりセンサ基板33を第1ハウジング部に固定する第2カシメ部553と、
センサコイル31の出力信号に基づき駆動制御され、転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、
を有する。
よって、センサ基板33に大径部351〜353を設けることにより、コイルボビン30のフランジ部30bとセンサ基板33とが干渉することが抑制されるため、第1カシメ部543のカシメ作業時におけるセンサ基板33の干渉を抑制して作業効率を向上することができる。または、センサ基板33をコイルボビン30のフランジ部30bよりも第1ハウジング部側(z軸正方向側)に配置する場合に、第1ハウジング部にコイルボビン30をセンサ基板33より先に組付けることが可能となる。
【0080】
(D2)上記(D1)において、センサ基板33は、コイルボビン30のフランジ部30bよりも操舵軸2の方向(z軸方向)で第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に配置される。
よって、電子部品が多く半田付けされるセンサ基板33を第2ハウジング部側に配置することにより、例えばセンサ基板33の半田付け状態を検査する際、コイルボビン30のフランジ部30bが干渉することが抑制され、検査の作業効率を向上することができる。
【0081】
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例1〜3に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1〜3に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、実施例1では、装置1のギヤ機構としてラック&ピニオン型を用いたが、これに限らず、例えばボール&ナット型であってもよい。また、実施例1では、ピニオンアシスト式のパワーステアリング装置に本発明を適用することとしたが、例えばラックアシスト式の装置に本発明を適用することとしてもよい。また、実施例1では、電動直結式の電動パワーステアリング装置としたが、オイルポンプを電動機で駆動して操舵補助力として油圧力を発生する所謂電動油圧式であってもよく、要は、センサコイル31の出力信号に基づき駆動制御され、転舵輪に操舵補助力を付与する電動機を備えたものであればよい。
【0082】
また、センサコイル31は、トルクセンサに限らず、例えば操舵角センサのものであってもよく、パワーステアリング装置1は、検出した操舵角を用いて操舵アシスト量を決定してもよい。要は、センサコイル31は、操舵軸2の回転量をインピーダンス値の変化として出力し、操舵軸2の回転状態を検出するものであればよい。
【符号の説明】
【0083】
1 パワーステアリング装置
2 操舵軸
20 トーションバー
21 入力軸
22 出力軸
30 コイルボビン
30a コイル保持部
30b フランジ部
304 軸方向貫通孔(第1被係止部)
31 センサコイル
33 センサ基板
333 軸方向貫通孔(第2被係止部)
4 ハウジング
5 センサハウジング(第1ハウジング部)
52 コイル収容部
543 第1カシメ部
553 第2カシメ部
6 ギヤハウジング(第2ハウジング部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の転舵輪に操舵アシスト力を付与するパワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジングを樹脂材料で形成したパワーステアリング装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−298246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の装置では、各部品の具体的な配置や組付方法について十分に考慮されておらず、ハウジングを樹脂化することのメリットの1つである車載レイアウト性向上の効果を十分に発揮できていなかった。本発明の目的とするところは、車載レイアウト性を向上することができるパワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のパワーステアリング装置は、好ましくは、操舵軸を収容するハウジングを、操舵軸の回転状態を検出するためのセンサコイルを収容する第1ハウジング部と、第1ハウジング部の軸方向一方側の開口部を閉塞する第2ハウジング部と、から構成し、センサコイルと電気的に接続されるセンサ基板を、第1ハウジング部の上記開口部側に配置した。
【発明の効果】
【0006】
よって、パワーステアリング装置の径方向(操舵軸に対して垂直方向)の寸法の小型化を図り、車載レイアウト性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のパワーステアリング装置を操舵軸方向で切った部分断面図である。
【図2】実施例1のセンサハウジング側のユニットを操舵軸方向から見た正面図である。
【図3】実施例1のセンサハウジングを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図4】実施例1のセンサハウジングにコイルボビンを設置・固定したものを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図5】実施例1のセンサハウジングにコイルボビンとセンサ基板を設置・固定したものを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図6】実施例2のセンサハウジングを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図7】実施例2のセンサハウジングにセンサ基板を設置・固定したものを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図8】実施例2のセンサハウジングにコイルボビンとセンサ基板を設置・固定したものを操舵軸方向で切った断面図(a)と操舵軸方向から見た正面図(b)である。
【図9】実施例3のセンサハウジング側のユニットを操舵軸方向から見た正面図である。
【図10】比較例1のパワーステアリング装置を操舵軸方向で切った部分断面図である。
【図11】比較例2のセンサハウジング側のユニットを操舵軸方向から見た正面図である。
【図12】比較例3のパワーステアリング装置を操舵軸方向で切った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のパワーステアリング装置を実現する形態を、図面に基づき説明する。
【0009】
[実施例1]
実施例1のパワーステアリング装置(以下、装置1という。)が設けられる車両のステアリング装置(操舵機構)は、ステアリングホイール(操舵輪)及びこれに接続されたステアリングシャフト(操舵軸2)を備えた操作機構と、操舵軸2に接続されたギヤ機構と、ギヤ機構からの動力を転舵輪(例えば左右前輪)に伝達するリンク機構とを有する。ギヤ機構は、ピニオンとこれに噛合うラックを有する所謂ラック&ピニオン機構であり、ピニオン軸とラック軸を有する。ラック軸の軸方向両端には、リンク機構を介して転舵輪が連結される。運転者がステアリングホイールを操舵すると、操舵軸2を介してピニオン軸が回転駆動され、ギヤ機構によりラック軸が軸方向に移動し、転舵輪を操舵する。
【0010】
図1は、装置1の部分断面図であり、装置1におけるトルクセンサ3の近傍を、操舵軸2の中心軸Oを通る平面で切った断面を示す。説明のため、中心軸O上にz軸を設け、ステアリングホイールの側を正方向とする。図2は、操舵軸2及びギヤハウジング6を取り外した状態の装置1をz軸負方向側から見た正面図である。説明のため、z軸に直交する平面内であって図1の左右方向に延び、中心軸Oを通るx軸を設け、中心軸Oを挟んでコネクタ8と反対の側をx軸正方向とする。z軸及びx軸に直交し、中心軸Oを通るy軸を設け、中心軸Oを挟んで図2の上側をy軸正方向とする。図2で、センサ基板33の裏側(z軸正方向側)にあるコイルボビン30を破線で示す。図3〜図5は、ハウジング4を構成するセンサハウジング5側のユニットが完成するまでの各状態を示す。図3は、センサハウジング5にボールベアリング7bやシール部材7a等が設置された状態を示す。図4は、更にコイルボビン30が設置された状態を示す。図5は、更にセンサ基板33が設置された状態を示す。図3〜図5において、(a)はユニットを図1と同様に切った断面を示し、(b)はユニットをz軸負方向側から見た正面図である。
【0011】
装置1は、電動機がギヤを直接駆動して操舵アシスト力を発生する所謂電動直結式の電動パワーステアリング装置であり、操舵軸2と、トルクセンサ3と、電動機とを有する。図1に示すように、装置1の各部品はハウジング4に収容される。ハウジング4は、第1ハウジング部としてのセンサハウジング5、第2ハウジング部としてのギヤハウジング6、モータハウジング、及びECUハウジングから構成される。センサハウジング5には、操舵状態を検出するセンサであるトルクセンサ3が収容される。ギヤハウジング6には、上記ギヤ機構が収容される。モータハウジングには、転舵輪に操舵補助力を付与するアクチュエータである電動機が収容される。ECUハウジングには、トルクセンサ3の出力信号に基づき電動機を駆動制御する制御手段であるモータコントロールユニット(以下、ECUという)が収容される。センサハウジング5とギヤハウジング6は、互いに組み合わされることにより1つのユニットを構成する。モータハウジングも、ギヤハウジング6と一体に組付けられる。更に、ECUハウジングをモータハウジングと一体に形成し、所謂機電一体型のユニットとしてもよい。
【0012】
操舵軸2は、入力軸21と出力軸22から構成されると共に、ハウジング4に回転自在に収容される。入力軸21は、センサハウジング5に収容され、ステアリングホイールからの回転力が伝達される。入力軸21は筒状であり、その内周のz軸正方向側に、トーションバー20のz軸正方向端部が固定される。入力軸21のz軸負方向端部は、出力軸22のz軸正方向端部に設けられた凹部220に回転自在に収容される。トーションバー20のz軸負方向端部は、出力軸22の凹部220内の底部に設けられた嵌合孔221に固定される。出力軸22は、トーションバー20を介して入力軸21と接続されており、ギヤハウジング6(ギヤ収容部6a)に収容され、入力軸21からの回転力が伝達される。出力軸22上にはピニオンが設けられ、ピニオン軸を構成する。出力軸22は、ギヤ機構を介して転舵輪に上記回転力を伝達する。トルクセンサ3は、操舵軸2の回転状態(回転量)を検出し、ECUに出力する。具体的には、トルクセンサ3は、入力軸21と出力軸22との間の相対回転量(すなわちトーションバー20の捻れ量)を、運転者の操舵操作により操舵軸2に生じる操舵トルクとして検出する。電動機は、車両に搭載される電源(バッテリ)から供給される電力により駆動される電動式のモータであり、例えば3相ブラシレDCスモータを用いることができる。電動機は、減速ギヤ機構(例えばウォームギヤ)を介して出力軸22(ピニオン軸)の回転に対して補助動力を与え、転舵輪に操舵補助力を付与する。電動機には、その出力軸の回転角ないし回転位置を検出するレゾルバ等の回転角センサが設けられている。ECUは、電動機並びにトルクセンサ3及び上記回転角センサ等の各センサに接続される電子制御ユニットであり、トルクセンサ3(センサコイル31)から出力される検出信号(操舵トルク)に基づき電動機を駆動制御するモータ制御装置である。運転者によりステアリングホイールが操舵されると、入力軸21を介して出力軸22に入力される操舵トルクがトルクセンサ3により検出される。検出された操舵トルク信号はECUに出力される。ECUは、入力される操舵トルク等の情報に基づき目標の操舵アシスト力を演算し、この目標操舵アシスト力及び入力されるモータ回転位置等の信号に基づき電動機に駆動信号を出力し、電動機の作動を制御する。ECUが電動機に流れる電流を制御することにより、出力軸22(ピニオン軸)の回転に対して適切な補助動力が与えられ、運転者の操舵力がアシストされる。
【0013】
トルクセンサ3は所謂磁歪式であり、コイルボビン30と、センサコイル31と、磁路抵抗可変部材32と、センサ基板33とを備え、ECUに接続される。コイルボビン30は、樹脂材料で形成された絶縁性のコイル保持部材であり、センサハウジング5(コイル収容部52)に収容・設置される。コイルボビン30は、センサコイル31を保持する円筒状のコイル保持部30aと、コイル保持部30aの軸方向一方側(z軸負方向側の開口部)から径方向外側(操舵軸2に対し直角方向で中心軸Oから離れる側)に突出するように設けられたフランジ部30bとから構成される。図2に示すように、フランジ部30bは、x軸正方向側で第1フランジ部301を有し、x軸負方向側で第2、第3フランジ部302,303を有する。z軸負方向側から見て、第1フランジ部301は中心軸Oと略同じy軸方向位置でx正方向側に向かって延びる略矩形状に設けられている。第2、第3フランジ部302,303は、y軸正負両方向側にそれぞれ設けられ、径方向外側に向かうにつれてコイルボビン30の軸周り方向(周方向)の寸法が短くなる略台形状に設けられている。第2、第3フランジ部302,303のx軸負方向側の辺はy軸と略平行に延びる1つの辺として連続している。第1〜第3フランジ部301〜303の外周側には、孔304がそれぞれ1つずつ、コイルボビン30の軸方向(z軸方向)に貫通形成されている。各フランジ部301〜303における軸方向貫通孔304及びその周囲はそれぞれ第1被係止部を構成する。
【0014】
コイル保持部30aの軸方向一方側(z軸負方向側の開口部)には、第1、第2端子設置部305,306が設けられている。第1端子設置部305は第1フランジ部301と第2フランジ部302の間に設けられている。第2端子設置部306は第1フランジ部301と第3フランジ部303の間に設けられている。第1、第2端子設置部305,306は、コイル保持部30aの外周から径方向外側に突出する。各端子設置部305,306には、複数(2個)のコイル端子34が設置される。コイル端子34は、各端子設置部305,306からz軸負方向に延び、フランジ部30bよりもz軸負方向側に突出する。また、コイル端子34は、コイル保持部30a内で端子設置部305,306からz軸正方向側に延び、センサコイル31に接続される。
【0015】
センサコイル31は、コイルボビン30に保持される2つのコイルユニット311,312を有しており、通電により磁束を発生する。センサコイル31(コイルボビン30)は、センサハウジング5内においてコイル収容部52に収容・設置され、入力軸21の外周を包囲するように配置される。入力軸21は磁性材料から形成されており、センサコイル31が発生する磁束により磁界を形成する。磁路抵抗可変部材32は、インナリング321とアウタリング322を有する。インナリング321及びアウタリング322は、それぞれz軸方向に延びる窓(中空部分)を複数有する円筒部材であり、アルミ等の導電性かつ非磁性の材料により形成される。インナリング321は、入力軸21の外周に固定・保持され、入力軸21と一体に回転する。アウタリング322は、出力軸22のz軸正方向端部に固定・保持され、出力軸22と一体に回転する。アウタリング322は、入力軸21とセンサコイル31(コイルボビン30)との間に配置される。アウタリング322の外周面はセンサコイル31の内周面に対向し、アウタリング322の内周面はインナリング321の外周面に対向する。入力軸21と出力軸22との間の相対回転量の変化に伴い、インナリング321とアウタリング322の窓の重なり領域が変化することで、センサコイル31の発生する磁界の磁路抵抗が変化する。
【0016】
センサ基板33は、その中心(ギヤハウジング6に収容・設置されるセンサ基板33の中心は操舵軸2の中心軸Oと略一致するため、便宜上、これを中心Oと表記する。)に貫通孔330を有する円板状の基板である。センサ基板33は、センサコイル31と電気的に接続されると共に、センサコイル31に励磁信号を出力する電子部品が搭載される。センサコイル31は、励磁信号が印加されることにより入力軸21と出力軸22の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力する。センサ基板33には、センサコイル31のインピーダンス変化に基づき操舵トルクを演算する回路が設けられている。図2に示すように、貫通孔330はセンサ基板33をz軸方向に貫通する略円形の孔であり、その直径は、操舵軸2(アウタリング322)の直径よりも若干大きく設けられている。センサ基板33の直径は、コイルボビン30のフランジ部30bの最大径よりも若干大きく設けられている。センサ基板33は、中心Oを挟んでx軸正方向側でコイル端子接続部を有し、x軸負方向側でコネクタ端子接続部を有している。コイル端子接続部は、センサ基板33の内周側にy軸正負両方向側の2箇所で設けられる。それぞれのコイル端子接続部は複数(2個)の孔331を有している。コネクタ端子接続部は、x軸を跨いでy軸と略平行に並ぶ複数(6個)の孔332を有している。また、センサ基板33には、孔333が複数(2個)設けられている。孔333は、センサ基板33の外周側であってy軸正負両方向側にそれぞれ1つずつ、僅かにx軸負方向側に設けられている。これらの孔331〜333は、センサ基板33の広がる方向に対して略直角方向(z軸方向)に貫通形成されている。センサ基板33における軸方向貫通孔333及びその周囲はそれぞれ第2被係止部を構成する。
【0017】
センサハウジング5は、樹脂材料で形成されており、操舵軸2(入力軸21)とトルクセンサ(センサコイル31)を収容する。図3(a)に示すように、センサハウジング5は、その軸方向両端(z軸方向両側)が開口する略円筒状の本体部5aと、本体部5aの軸方向一方側(z軸負方向側)から径方向外側に突出するフランジ部5bとから構成される。本体部5aの内周側(内部)には、ダストシール保持部50と、第1軸受保持部51と、コイル収容部52とが設けられている。ダストシール保持部50は、本体部5aのz軸正方向側の開口部に設けられる。ダストシール保持部50には防塵用のダストシール7aが設置され、これにより上記開口部が閉塞される。ダストシール7aは、例えばダストリップ付きのオイルシールであり、ダストシール保持部50にz軸正方向側から圧入され固定される。第1軸受保持部51は、本体部5aのz軸正方向側であってダストシール保持部50のz軸負方向側に設けられる。第1軸受保持部51には、ボールベアリング7bが設置・保持される。ボールベアリング7bは、入力軸21を回転自在に支持する軸受であり、センサハウジング5と一体に第1軸受保持部51にインサート成形される。コイル収容部52は、本体部5aのz軸負方向側の開口部に連続して、本体部5aの軸方向略半分の範囲に設けられている。コイル収容部52は、本体部5aのz軸正方向側の内周面よりも若干大径の略円筒状に設けられ、z軸正方向側の内周面に対して段差を形成する。フランジ部5bには、センサハウジング5の軸周り方向(周方向)で略等間隔に複数(3個)、ボルト孔形成部58が設けられている。ボルト孔形成部58は、径方向外側に突出するように設けられ、ボルト孔がz軸方向に貫通形成される。
【0018】
本体部5aの外周側には、トルクセンサ3を外部の電子機器と接続するためのコネクタ8がセンサハウジング5と一体に型形成され、径方向外側に突出する。コネクタ8に接続する複数(6個)のコネクタ端子80は、センサハウジング5と一体にインサート成形されている。本体部5aのz軸負方向側の開口部には、コネクタ端子設置部53が設けられている。コネクタ端子設置部53は、コイル収容部52の周方向における(x軸負方向側)一部分に、フランジ部5bのz軸負方向端面よりもz軸正方向側に若干落ち窪むように設けられた凹部である。コネクタ端子80は、コネクタ8から径方向内側に向かい、コイル収容部52のz軸正方向端付近で折れ曲がって、z軸負方向側に本体部5a内を延び、コネクタ端子設置部53からz軸負方向側に突出する。突出するコネクタ端子80の先端は、本体部5a(凸部56)よりもz軸負方向側に位置する。複数(6個)のコネクタ端子80は、コネクタ端子設置部53において、y軸と略平行な直線上に並び、x軸を挟んで略対称に配置される。
【0019】
本体部5aのz軸負方向側の開口部には、本体部5aと一体に、第1係止部としての第1突起部54が設けられている。第1突起部54は、ボス部540と挿入部541から構成される。図3(a)(b)に示すように、ボス部540は、コイル収容部52を取り囲んで、z軸に対し略直角(垂直)方向に広がる円環状に(コネクタ端子設置部53を除く範囲に)、フランジ部5bのz軸負方向端面よりもz軸負方向に若干突出する凸状に設けられている。挿入部541は、ボス部540のz軸負方向端面からz軸負方向側に突出する突起(ピン)状に延設され、その先端は、センサハウジング5のz軸負方向側端部(フランジ部5bのz軸負方向端面)よりも第z軸負方向側に位置する。挿入部541は、コイル収容部52の周方向に複数(3個)設けられており、中心軸Oを挟んでx軸正方向側(中心軸Oと略同じy軸方向位置)に1つ、x軸負方向側(中心軸Oを挟んでy軸正負両方向側)に2つ設けられている。ボス部540は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも大径に形成され、挿入部541は、軸方向貫通孔304の内径よりも小径に形成される。ボス部540と挿入部541との間には段部(段差部)542が形成される。センサハウジング5には、ボス部540の外周側に、ボス部540を取り囲むように円筒状の凸部56が設けられている。凸部56は、フランジ部5bのz軸負方向端面からz軸負方向に突出するように延設されている。凸部56のz軸負方向端はボス部540のz軸負方向端面よりもz軸負方向側かつ挿入部541のz軸負方向端よりもz軸正方向側に位置するように設けられている。凸部56の内周側には、ボス部540と凸部56に囲まれて、コイルボビン30のフランジ部30bが収容・設置される凹部57が形成されている。凹部57の深さ、すなわちボス部540のz軸負方向端面から凸部56のz軸負方向端までのz軸方向距離は、フランジ部30bの厚さ(z軸方向寸法)以下に設けられている。
【0020】
本体部5aのz軸負方向側の開口部には、本体部5aと一体に、第2係止部としての第2突起部55が設けられている。第2突起部55は、第1突起部54の挿入部541よりも若干外周側であって、中心軸Oより僅かにx軸負方向側に、中心軸Oを挟んでy軸正負両側にそれぞれ1つずつ設けられている。第2突起部55は、ボス部550と挿入部551から構成される。ボス部550は、第1突起部54のボス部540のz軸負方向端面からz軸負方向に突出するように設けられている。挿入部551は、ボス部550のz軸負方向側端部からz軸負方向に突出するように延設されている。ボス部550は、センサ基板33の貫通孔330の内径よりも大径に形成され、挿入部551は、貫通孔330の内径よりも小径に形成される。ボス部550と挿入部551との間には段部552が形成される。ボス部550の高さ、すなわちボス部540のz軸負方向端面から段部552までのz軸方向距離は、コイルボビン30のフランジ部30b及び第1、第2端子設置部305,306の厚さ(z軸方向寸法)よりも大きく設けられている。第2突起部55(挿入部551)の先端は、第1突起部54(挿入部541)の先端よりもz軸負方向側に位置する。
【0021】
ギヤハウジング6は、アルミ系金属材料から作られており、ラック軸を収容する細長い筒状のラックチューブと、操舵軸2(出力軸22)及びラック&ピニオン・ギヤを収容するギヤボックスとしてのギヤ収容部6aとを一体に有している。なお、ギヤハウジング6を樹脂材料で形成することとしてもよい。図1に示すように、ギヤ収容部6aは中空筒状であり、その内周側(内部)には、第2軸受保持部61と、リテーナ保持部62と、基板収容部63とが設けられている。第2軸受保持部61は、ギヤ収容部6aのz軸正方向側に略円筒状に設けられる。第2軸受保持部61には、出力軸22のz軸正方向端を回転自在に支持する軸受としてのボールベアリング7cが設置・保持される。第2軸受保持部61の内周にボールベアリング7cの外輪が嵌合して設置される。リテーナ保持部62は、第2軸受保持部61のz軸正方向側に隣接して、第2軸受保持部61を取り囲むように略円筒状に設けられる。リテーナ保持部62の内周には円環状のリテーナ7dが嵌合して設置される。ボールベアリング7cの外輪は、リテーナ7dのz軸負方向端面と第2軸受保持部61の底面(z軸正方向端面)との間に挟まれるように保持される。基板収容部63は、リテーナ保持部62のz軸正方向側に隣接し、ギヤ収容部6aのz軸正方向側の開口部に連続して、リテーナ保持部62を取り囲むように略円筒状に設けられる。基板収容部63は、リテーナ保持部62の内周面に対して段差を有する若干大径の略円筒状に設けられており、ギヤ収容部6aのz軸正方向側に開口する。基板収容部63の内周面の直径は、センサハウジング5の凸部56の外周面の直径よりも僅かに大きく設けられている。基板収容部63の内部には、トルクセンサ3のセンサ基板33が収容され、センサ基板33は基板収容部63内で操舵軸2に対して略直角方向に広がるように設置・保持される。ギヤハウジング6には、基板収容部63の外周側に、周方向略等間隔に複数箇所(3カ所)、径方向外側に突出するボルト孔形成部64が設けられている。ボルト孔形成部64には、ボルト孔がz軸方向に貫通形成されている。ボルト孔形成部64は、ギヤ収容部6aの軸方向一方側(z軸正方向側)に設けられた(ギヤハウジング6の)フランジ部である。
【0022】
装置1の組立方法は、ボビン挿入工程と、第1カシメ工程と、基板配置工程と、第2カシメ工程とを有し、この順番で組立が行われる。ボビン挿入工程では、図3に示すように、ボールベアリング7bやコネクタ8(コネクタ端子80)がインサート成形され、シール部材7a等が設置された状態のセンサハウジング5が用意され、このセンサハウジング5のコイル収容部52に、コイルボビン30がz軸負方向側から挿入・設置される。
【0023】
第1カシメ工程では、図4に示すように、コイルボビン30をセンサハウジング5に固定する。すなわち、センサハウジング5のz軸負方向側の開口部から露出する第1突起部54は、コイルボビン30を固定する第1カシメ部543を形成する。よって、まず、コイルボビン30をセンサハウジング5の第1突起部54に対して配置する。z軸方向から見て、コイルボビン30の第1〜第3フランジ部301〜303における各軸方向貫通孔304は、第1突起部54における各挿入部541と略一致するように配置され、各挿入部541は、各軸方向貫通孔304にz軸正方側からz軸負方向側に向かってそれぞれ挿入される。ボス部540と挿入部541との間に形成された段部542(ボス部540のz軸負方向端面)がコイルボビン30のフランジ部30b(のz軸正方向端面)に当接した状態(フランジ部30bがセンサハウジング5の凹部57に設置された状態)で、樹脂材料で形成された挿入部541は、軸方向貫通孔304を貫通し、フランジ部30bのz軸負方向側に突出する。次に、センサハウジング5(挿入部541)は樹脂材料で形成されている。よって、溶融状態でのカシメを施すことにより第1カシメ部(膨大部)543が形成され、第1カシメ部543によりコイルボビン30がセンサハウジング5に固定される。このように、第1カシメ部543は、センサハウジング5に設けられている。具体的には、挿入部541の上記突出した部分を溶融し、その径方向寸法が軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように変形させることにより、第1カシメ部543が形成される。言換えると、第1カシメ部543は、溶融状態で第1係止部(膨大部)が形成され、第1係止部(膨大部)が第1被係止部(軸方向貫通孔304の周囲)と係止することにより、コイルボビン30をセンサハウジング5に固定する。更に言換えると、第1被係止部(軸方向貫通孔304の内周及び周囲)を第1カシメ部(第1突起部54)と接触させた状態で、第1カシメ部(第1突起部54の挿入部541)を溶融後変形させることにより、コイルボビン30がセンサハウジング5に固定される。ここで、フランジ部30bが設置される凹部57の深さは、フランジ部30bの厚さ以下に設けられている。よって、第1カシメ部543は、センサハウジング5のz軸負方向側端部(凸部56のz軸負方向端)よりもz軸負方向側に位置する。
【0024】
基板配置工程では、図5に示すように、センサ基板33を配置する。すなわち、センサハウジング5のz軸負方向側の開口部から第1突起部54よりもz軸負方向側に露出する第2突起部55(図4(a)参照)は、センサ基板33を固定する第2カシメ部553を形成する。よって、まず、センサ基板33を第2突起部55に対して配置する。z軸方向から見て、センサ基板33における各軸方向貫通孔333は、第2突起部55における各挿入部551と略一致するように配置され、各挿入部551は、各軸方向貫通孔333にそれぞれ挿入される。第2突起部55のボス部550と挿入部551との間に形成された段部552(ボス部550のz軸負方向端面)がセンサ基板33(のz軸正方向端面)に当接した状態で、挿入部551は、軸方向貫通孔333を貫通し、センサ基板33のz軸負方向側に突出する。ここで、ボス部550の高さは、コイルボビン30の(第1、第2端子設置部305,306を含む)フランジ部30bの厚さ以上に設けられている。よって、センサ基板33は、(第1、第2端子設置部305,306を含む)フランジ部30bよりもz軸負方向側に配置される。また、センサ基板33は、z軸方向から見て、コイルボビン30に設置された各コイル端子34がセンサ基板33におけるコイル端子接続部の各孔331と略一致し、センサハウジング5の各コネクタ端子80がセンサ基板33におけるコネクタ端子接続部の各孔332と略一致するように配置される。各コイル端子34は、コイルボビン30からz軸方向に延びて各孔331にそれぞれ挿入され、センサ基板33のz軸負方向側に突出する。各コネクタ端子80は、センサハウジング5からz軸方向に延びて各孔332にそれぞれ挿入され、センサ基板33のz軸負方向側に突出する。
【0025】
第2カシメ工程では、図5に示すように、センサ基板33をセンサハウジング5に固定する。すなわち、センサハウジング5(挿入部551)は樹脂材料で形成されている。よって、溶融状態でのカシメを施すことにより第2カシメ部(膨大部)553が形成され、第2カシメ部553によりセンサ基板33がセンサハウジング5に固定される。このように、第2カシメ部553は、センサハウジング5に設けられている。具体的には、挿入部551の上記突出した部分を溶融し、その径方向寸法が軸方向貫通孔333の内径よりも大きくなるように変形させることにより、第2カシメ部553が形成される。言換えると、第2カシメ部553は、溶融状態で第2係止部(膨大部)が形成され、第2係止部(膨大部)が第2被係止部(軸方向貫通孔333の周囲)と係止することにより、センサ基板33をセンサハウジング5に固定する。更に言換えると、第2被係止部(軸方向貫通孔333の内周及び周囲)を第2カシメ部(第2突起部55)と接触させた状態で、第2カシメ部(第2突起部55の挿入部551)を溶融後変形させることにより、センサ基板33がセンサハウジング5に固定される。ここで、図4(a)に示すように、センサ基板33は、センサハウジング5のz軸負方向側端部(凸部56のz軸負方向端)よりもz軸負方向側に位置するように、第2カシメ部553により固定される。また、センサハウジング5とセンサ基板33とを接続ないし係止する各構成は、コイルボビン30のフランジ部30bや各端子設置部305,306と干渉しないように配置されている。すなわち、図2に示すように、z軸方向から見て、第2カシメ部553(第2突起部55)は、第2フランジ部302と第1端子設置部305の間、又は第3フランジ部303と第2端子設置部306の間に形成される楔形のスペース内に配置される。また、z軸方向から見て、各コネクタ端子80(センサ基板33のコネクタ端子接続部の各孔332)は、第2、第3フランジ部302,303のx軸負方向側の辺よりも径方向外側に形成される三日月形のスペース内に配置される。
【0026】
第1、第2カシメ工程においては、カシメ工法に赤外線熱カシメを適用してもよいし、超音波カシメを適用してもよく、特に限定しない。赤外線熱かしめの場合、カシメ時の振動が発生せず、熱影響も小さいため、センサコイル31やセンサ基板33への悪影響を抑制することができる。超音波カシメの場合、カシメ装置が比較的小型であることから、このカシメ装置を挿入するためのスペースの確保が容易であり、結果として装置1の小型が可能となる。
【0027】
上記組立後、半田付け工程とユニット化工程が行われる。半田付け工程では、第2カシメ工程の後、コイル端子34及びコネクタ端子80をセンサ基板33に半田付けする。コイル端子34及びコネクタ端子80は、例えば、センサ基板33のz軸負方向側の面を半田液面に浸すフロー半田付けにより半田付けされることで、センサ基板33に固定されると共に、センサ基板33と電気的に接続される。なお、センサ基板33に搭載される電子部品は、例えばリフロー半田付けにより半田付けされることで、センサ基板33に固定されると共に、センサ基板33と電気的に接続される。
【0028】
ユニット化工程では、軸受7cやリテーナ7d、(磁路抵抗可変部材32を含む)操舵軸2等が設置された状態のギヤハウジング6が用意され、このギヤハウジング6がz軸負方向側からセンサハウジング5と組み合わされることにより、センサハウジング5のz軸負方向側の開口部が閉塞される。図1に示すように、操舵軸2は、センサ基板33の貫通孔330及びコイルボビン30の内周側をz軸正方向側から貫通する。ギヤハウジング6の基板収容部63のz軸正方向端の内周は、センサハウジング5の凸部56の外周に嵌合する。ギヤハウジング6のボルト孔形成部64は、センサハウジング5のボルト孔形成部58に接合する。ボルト孔形成部64のz軸正方向端面の内周(基板収容部63のz軸正方向端の内周)にはシール部材7eが設置される。両ボルト孔形成部58,64のボルト孔にはボルト7fが挿通され、両ハウジング5,6がボルト締結される。この状態で、基板収容部63は、センサハウジング5(コイル収容部52)のz軸負方向側の開口部に対向し、これに連通する。センサ基板33の貫通孔330には、出力軸22のz軸正方向端が設置され、センサ基板33の中心Oは操舵軸2の中心軸Oと略一致する。コイルボビン30のフランジ部30b及びセンサ基板33は、共にz軸に対して直角方向(径方向)に広がるようにハウジング4内に設置されると共に、z軸方向で層状に並んで(z軸方向から見てオーバーラップするように)配置される。言換えると、両者30b,33の一方は他方よりもz軸方向(操舵軸2が延びる方向)でz軸負方向側(ギヤハウジング6側)に配置される。本実施例1では、センサ基板33のほうが、フランジ部30bよりもz軸負方向側に配置される。フランジ部30b及びセンサ基板33のうちz軸正方向側(センサハウジング5側)に配置されたもの(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)は、z軸方向から見て(操舵軸2に対して直角方向において)、z軸負方向側(ギヤハウジング6側)に配置されたもの(センサ基板33)とオーバーラップするように配置される。図2の破線で示すように、z軸方向から見て、第1カシメ部543はセンサ基板33に重なっており、本実施例1ではセンサ基板33の範囲内(センサ基板33の外周縁と貫通孔330との間)に収まるように配置される。
【0029】
[実施例1の作用]
次に、装置1の作用を説明する。図1に示すように、センサコイル31(コイルボビン30)の軸に対してセンサ基板33が略垂直方向に広がり、かつセンサ基板33内にセンサコイル31の軸が位置するように、両者33,31が配列されている。このように、センサコイル31の軸上にセンサ基板33が位置するように、言換えるとセンサコイル31とセンサ基板33とが軸方向に並んで配置されているため、操舵軸2に対する略垂直方向(径方向)の広がり(径方向スペースの使用)が抑制される。よって、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。したがって、装置1の車載レイアウト性を向上することができる。具体的には、コイルボビン30は略円筒状に形成され、センサ基板33は略円環状に形成され、両者の軸は略一致するように軸O上に配置されている。また、操舵軸2は両者の軸と同じ軸O上に設置される。よって、操舵軸2に対するセンサ基板33の径方向の広がりを可及的に抑制し、上記効果を向上することができる。なお、コイルボビン30のフランジ部30bを設けなくても上記効果を得ることができるが、本実施例1ではフランジ部30bを設け、このフランジ部30bとセンサ基板33は共にz軸方向に対して直角方向に広がり、かつz軸方向に並ぶように配置される。よって、コイルボビン30にフランジ部30bを設けた場合において、上記効果を得ることができる。
【0030】
また、センサ基板33がコイルボビン30の軸方向端部(フランジ部30b)に対向して配置されるため、センサコイル31とセンサ基板33との接続構造を簡略化することができる。本実施例1では、センサ基板33は、z軸方向から見て、コイルボビン30の第1、第2端子設置部305,306(コイル端子34)とオーバーラップするように設けられている。よって、コイル端子34をセンサ基板33へハーネス等を介さず直接に接続することができる。例えば、基板配置工程でセンサ基板33をハウジング4側に取り付ける際、各端子設置部305,306からz軸負方向に延びるコイル端子34をそのままセンサ基板33(コイル端子接続部の各孔331)に接続するだけでよい。又は、センサ基板33の設置後にコイル端子34を取付けることとしてもよく、この場合、センサ基板33がハウジング4側に設置された状態で、z軸負方向側から直線状のコイル端子34をセンサ基板33(各孔331)及び端子設置部305,306に挿通・固定するだけでよい。これにより、センサコイル31とセンサ基板33の接続性を向上し、装置1の構造の簡素化と共に製造の効率化を図ることができる。同様に、本実施例1では、センサ基板33がコネクタ端子80に対向して配置されるため、コネクタ8とセンサ基板33との接続構造を簡略化することができる。具体的には、センサ基板33は、z軸方向から見て、センサハウジング5のコネクタ端子設置部53(コネクタ端子80)とオーバーラップするように設けられている。よって、上記コイル端子34と同様、コネクタ端子80をセンサ基板33へハーネス等を介さず直接に接続することができるため、装置1の構造の簡素化と共に製造の効率化を図ることができる。
【0031】
また、センサ基板33は、ギヤハウジング6(ギヤ収容部6a)の開口部に設けられた基板収容部63内に配置されるため、ギヤハウジング6の上記開口部がセンサハウジング5に組付けられて閉塞される際、同時に、基板収容部63が閉塞されてハウジング4の外部から遮断される。よって、基板収容部63の気密性(シール性)を担保するための蓋部材やシール部材を別途設けることが不要となる。したがって、装置1の部品点数を削減することができると共に製造の効率化を図ることができる。なお、本実施例1では基板収容部63をギヤハウジング6(ギヤ収容部6a)に設けたが、センサハウジング5の側に設けることとしてもよい。
【0032】
本実施例1ではフランジ部30bを設けたことで、コイルボビン30をハウジング4(センサハウジング5)に対してより確実に固定することができる。また、フランジ部30bによりコイルボビン30をハウジング4に対して位置決めすることで、同じハウジング4に設置される操舵軸2に対するセンサコイル31の位置の精度を向上し、トルクセンサ3の検出精度を向上できる。また、フランジ部30bは第1〜第3フランジ部301〜303を有し、コイルボビン30は第1〜第3フランジ部301〜303にそれぞれ設けられた第1被係止部(軸方向貫通孔304)によって周方向3箇所で固定されるため、ハウジング4に対するコイルボビン30(センサコイル31)の径方向位置の精度を向上し、トルクセンサ3の検出精度を向上できる。
【0033】
また、本実施例1では、フランジ部30bがセンサハウジング5に固定されるため、図10に示す比較例1のようにフランジ部30bがギヤハウジング6に固定される場合に比べ、センサハウジング5に対してコイルボビン30(センサコイル31)をより精度よく位置決めすることができる。すなわち、図10は、比較例1の装置1を、図1と同様に中心軸Oを通る平面で切った断面を示す。比較例1では、ギヤハウジング6が樹脂材料により形成され、第1係止部としての第1突起部54と、第2係止部としての第2突起部55が、ギヤハウジング6と一体に設けられている。第1突起部54及び第2突起部55は、基板収容部63のz軸負方向側の底部からz軸正方向側に突出するように設けられ、それぞれボス部540,550と挿入部541,551を有する。第1突起部54は、センサ基板33(貫通孔330)の内周側を貫通するように配置され、コイルボビン30を固定する第1カシメ部543を形成する。第2突起部55は、センサ基板33を固定する第2カシメ部553を形成する。第1突起部54は第2突起部55よりも高く設けられ、第1カシメ部543は第2カシメ部553よりもz軸正方向側に形成される。他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と対応する構成には同じ符号を付して説明を省略する。この比較例1のように、コイルボビン30のフランジ部30bをギヤハウジング6に固定することとしてもよい。これに対し、本実施例1では、フランジ部30bをセンサハウジング5に固定することとしたため、センサハウジング5に対してコイルボビン30(センサコイル31)をより精度よく位置決めすることができ、トルクセンサ3の検出精度をより向上できる。
【0034】
センサ基板33は、センサハウジング5に設置されたコネクタ端子80がセンサ基板33に半田付けされることによりセンサハウジング5に固定支持される。また、センサ基板33は、コイルボビン30に設置されたコイル端子34がセンサ基板33に半田付けされることによりコイルボビン30に固定支持される。よって、必ずしも第2係止部(第2カシメ部553)によりセンサ基板33をセンサハウジング5に固定しなくても、センサ基板33をハウジング4の側に固定することが可能である。本実施例1では、センサ基板33に第2被係止部(孔333)を設け、第2係止部(第2カシメ部553)によりセンサ基板33をセンサハウジング5に固定することとしたため、仮に、上記半田付けによる固定の強度が不足しても、より確実に、センサ基板33をハウジング4の側に固定することができる(フェイルセーフ機能)。本実施例1では、第2係止部(第2カシメ部553)を2箇所設け、中心軸Oを挟んで径方向で対向してこれら第2係止部(第2カシメ部553)を配置したため、第2係止部(第2カシメ部553)の数を最小限としつつ、固定強度を向上することができる。また、第2係止部(第2カシメ部553)を、周方向でコネクタ端子80(とセンサ基板33との半田付け部位)とコイル端子34(とセンサ基板33との半田付け部位)との間に配置したため、センサ基板33を周方向でより均等にハウジング4の側に固定支持することができる。なお、センサ基板33は、コイルボビン30のようにセンサハウジング5(操舵軸2)に対する厳密な位置決めが必要とされないため、例えば操舵軸2に対し垂直方向に広がる平面に対して若干傾いて固定されてもよい。
【0035】
センサ基板33は、センサ基板33が固定されるハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)の軸方向端部(凸部56のz軸負方向端)よりもハウジング4の他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(凸部56のz軸負方向端よりもz軸負方向側)に配置される。よって、比較例1のように上記一方のユニット(ギヤハウジング6)の軸方向端部(z軸正方向端部)よりも上記他方のユニット(センサハウジング5)の側にセンサ基板33が配置されない場合と異なり、センサ基板33に搭載される電子部品と上記一方のユニット(センサハウジング5)との干渉を抑制することができる。また、基板配置工程や半田付け工程、及び半田付け状態の検査工程において、センサ基板33が固定されるハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)がセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、上記工程における作業効率を向上することができる。具体的には、センサ基板33(の各孔331,332)にコネクタ端子80やコイル端子34を挿入する際、例えば端子80,34を整列させるための治具としてクシ歯を用いても、上記一方のユニット(センサハウジング5)が邪魔にならない。また、センサ基板33への端子80,34の半田付けの際、上記一方のユニット(センサハウジング5)が邪魔にならないため、例えばフロー半田付けを用いることが容易となる。更に、半田付けの状態を目視で確認することが容易となる。
【0036】
なお、フランジ部30bとセンサ基板33がハウジング4の同じユニットに固定されなくてもよい。本実施例1では、フランジ部30bとセンサ基板33が共に一方のユニット(センサハウジング5)に固定され、フランジ部30bのほうが上記一方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸正方向側)に配置され、センサ基板33のほうが他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置される。よって、比較例1のように、フランジ部30bとセンサ基板33が共に一方のユニット(ギヤハウジング6)に固定され、センサ基板33のほうが上記一方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸正方向側)に配置され、フランジ部30bのほうが他方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸負方向側)に配置される場合と異なり、半田付け工程や、半田付け状態の検査工程において、フランジ部30bがセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、上記工程における作業効率を向上することができる。具体的には、センサ基板33に端子(コネクタ端子80やコイル端子34)や電子部品を半田付けする際、フランジ部30bや第1係止部(第1カシメ部543)が邪魔にならないため、作業を容易化できる(例えばフロー半田付けを用いることが容易となる)。また、センサ基板33の半田付けの状態を検査する際、フランジ部30b等が干渉することが抑制され、目視で確認することが容易となるため、検査の作業効率が向上する。
【0037】
本実施例1では、フランジ部30bとセンサ基板33は共にセンサハウジング5の側に固定される。よって、ボビン挿入工程と、第1カシメ工程と、基板配置工程と、第2カシメ工程の全ての作業を、センサハウジング5の軸方向一方側(z軸負方向側)から行うことができる。例えば、センサハウジング5のz軸負方向側の開口部が鉛直方向上側を向くようにセンサハウジング5を設置しておけば、このセンサハウジング5にコイルボビン30を挿入・設置する、第1カシメ部543を形成してコイルボビン30を固定する、センサ基板33を設置する、第2カシメ部553を形成してセンサ基板33を固定する、という作業の全てを鉛直方向上側から一連の流れとして行うことができ、この間、センサハウジング5の上下方向の向きを変える必要はない。このようにセンサハウジング5の軸方向一方側から組み付けを行うことができるため、装置1の生産性を向上することができる。
【0038】
また、フランジ部30bとセンサ基板33が共にセンサハウジング5の側に固定されると共に、フランジ部30bのほうがセンサハウジング5の側(z軸正方向側)に配置され、センサ基板33のほうがギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置されるため、半田付け工程や、半田付け状態の検査工程において、センサコイル31のコイル保持部30aがセンサ基板33と干渉することが抑制される。よって、上記工程における作業効率を向上することができる。
【0039】
センサハウジング5の材料として、樹脂以外の材料、例えばアルミ合金等の金属材料を用いることとしてもよい。本実施例1では、センサハウジング5は樹脂材料で形成されるため、装置1の構造を簡略化して小型化を図ることができる等の効果を得ることができる。すなわち、従来も、センサハウジングが樹脂材料によって形成されるパワーステアリング装置が知られている。しかし、従来の装置では、センサハウジングを樹脂化した場合に課題となるはずの、センサコイルやセンサ基板の具体的な配置や組付け方法については十分に考慮されておらず、樹脂化のメリットを十分に発揮できていない。例えば、特開2009−298246号公報に開示される装置では、センサ基板は、センサハウジングの径方向側面に設けられた基板収容室内に配置されている。よって、基板収容室を設けるスペース分だけ装置の径方向寸法が増大し、(樹脂化のメリットの1つである)車載レイアウト性を向上できない。また、基板収容部内を外部からシールするための蓋部材やシール部材が別途必要となり、(樹脂化のメリットの1つである)部品点数を削減することもできない。これに対し、本実施例1では、上記のように、センサ基板33とセンサコイル31(コイルボビン30)は、径方向ではなく軸方向(操舵軸2が延びる方向)に並んで(z軸方向から見てオーバーラップするように)配置されており、ハウジング4の径方向側面(例えばセンサコイル31の径方向外側)にセンサ基板33の収容室が別途設けられない。よって、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができ、車載レイアウト性を向上することができる。また、センサ基板33は、ハウジング4を構成する一方のユニット(センサハウジング5)の開口部(に設けられた基板収容部63)に収容される。よって、ハウジング4を構成する他方のユニット(ギヤハウジング6)により上記開口部が閉塞されるだけで、センサ基板33がハウジング4内に気密に収容される。したがって、基板収容部63を外部からシールするための蓋部材やシール部材が別途不要となり、装置1の部品点数を削減することができる。
【0040】
更に、コネクタ8は、樹脂材料によりセンサハウジング5と一体成形される。また、コネクタ端子80や第1軸受(ボールベアリング7b)は、センサハウジング5にインサート成形される。よって、部品点数や組付工数を削減することができる。
【0041】
センサ基板33とコイルボビン30の軸は略一致するように配置される。また、センサ基板33の内周縁(センサ基板33において中心Oからの距離が最も近い点が中心Oの周りで描く円、すなわち内接円。本実施例1では貫通孔330の内周)は、コイルボビン30のフランジ部30bを固定する第1係止部(第1カシメ部543)よりも径方向内側(操舵軸2に対し直角方向で中心軸Oに向かう側)に位置する。よって、センサ基板33の内周縁が第1係止部(第1カシメ部543)よりも径方向外側に設けられる場合に比べ、センサ基板33が径方向内側に広がるため、センサ基板33において電子部品を搭載可能なスペースを拡大することができる。言換えると、必要な電子部品を搭載可能としつつ、センサ基板33の径方向外側への寸法増大を抑制して、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。
【0042】
フランジ部30bを固定する第1係止部(第1カシメ部543)は、センサ基板33の外周縁(センサ基板33において中心Oからの距離が最も遠い点が中心Oの周りで描く円、すなわちセンサ基板33の外接円)よりも径方向内側に位置するように設けられている。よって、コイルボビン30に(径方向外側に広がる)フランジ部30bを設けた場合でも、第1係止部(第1カシメ部543)がセンサ基板33の径方向外側(センサ基板33の外接円の外側)にはみ出すことを抑制することで、装置1の径方向寸法のより一層の小型化を図ることができる。
【0043】
フランジ部30b及びセンサ基板33はz軸方向から見てオーバーラップするように配置される。よって、両者をオーバーラップさせない場合に比べ、上記オーバーラップの分だけ装置1の径方向外側への寸法増大を抑制することができる。例えば、上記オーバーラップの分だけ、センサ基板33がフランジ部30bに対して径方向外側へはみ出すことを抑制して、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。
【0044】
また、フランジ部30b及びセンサ基板33の一方(センサ基板33)は他方(フランジ部30b)よりも上側(センサ基板33及びフランジ部30bが固定されるユニットから離れる側)、すなわちギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置され、両カシメ部(第1、第2カシメ部543,553)のうち上記他方(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)は、径方向において(z軸方向から見て)上記一方(センサ基板33)とオーバーラップするように配置される。よって、このオーバーラップの分だけ、上記他方(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)が上記一方(センサ基板33)に対して径方向に突出することが抑制されるため、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。なお、上記他方(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)は、径方向で(z軸方向から見て)上記一方(センサ基板33)と部分的にオーバーラップすることとしてもよい。
【0045】
本実施例1では、センサ基板33が上記一方側に配置される。言換えると、センサ基板33はフランジ部30bよりも上側、すなわちギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置され、フランジ部30bを固定する第1係止部(第1カシメ部543)は、径方向で(z軸方向から見て)センサ基板33とオーバーラップするように配置される。よって、このオーバーラップの分だけセンサ基板33に電子部品を搭載可能なスペースを拡大することができるため、センサ基板33の径方向外側への寸法増大を抑制して、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。以下、比較例2を用いて説明する。図11は、比較例2のセンサハウジング5側の完成ユニットをz軸負方向側から見た正面図である。比較例2では、本実施例1とは異なり、センサ基板33の外周側に切欠部335が設けられている。切欠部335は、z軸方向から見て、第1係止部(第1カシメ部543)とオーバーラップする位置に設けられている。この比較例2においては、センサ基板33がフランジ部30bよりも上側(センサ基板33及びフランジ部30bが固定されるユニットから離れる側)に設置されているときでも、切欠部335を介してフランジ部30bに第1カシメ部543を形成可能である。言換えると、一方のユニットにコイルボビン30を設置し、かつセンサ基板33を設置した後に、センサ基板33の干渉を抑制しつつ第1カシメ部543を形成し、コイルボビン30を上記一方のユニットに固定することが可能である。しかし、この比較例2の構成では、センサ基板33において電子部品を搭載可能なスペースが上記切欠部335の分だけ縮小することになる。これに対し、本実施例1では、上記切欠部335をなくし、z軸方向から見てセンサ基板33が第1係止部(第1カシメ部543)とオーバーラップするように設けた。これにより、センサ基板33の外接円の半径はそのままで、センサ基板33において電子部品を搭載可能なスペースを、上記オーバーラップ部分(図11の切欠部335の面積)だけ拡大することができる。言換えると、必要とされる電子部品を搭載可能としつつセンサ基板33を小型化することが可能であり、これにより装置1の径方向寸法のより一層の小型化を図ることができる。
【0046】
フランジ部30bを固定する第1係止部(第1カシメ部543)とセンサ基板33を固定する第2係止部(第2カシメ部553)は、周方向で互いにズレて(径方向で重ならないように)配置されている。具体的には、両係止部(第1、第2カシメ部543,553)は、周方向で見たとき互いに重なるように配置されている。よって、両係止部(第1、第2カシメ部543,553)同士の干渉を抑制しつつ、両係止部(第1、第2カシメ部543,553)の一方が径方向外側に大きく突出して配置されることを抑制できるため、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。また、センサ基板33を固定する第2係止部(第2カシメ部553)は、コイルボビン30の第1、第2端子設置部305,306(コイル端子34)に対して周方向でズレて配置されている。また、センサ基板33をセンサハウジング5に接続するコネクタ端子80は、第1係止部(第1カシメ部543)に対して周方向でズレて配置されている。よって、上記と同様に、装置1の径方向寸法のより一層の小型化を図ることができる。本実施例1では、第2係止部(第2カシメ部553)及びコネクタ端子80は、コイルボビン30と干渉しない範囲で可能な限り径方向内側、具体的には、フランジ部30bの外周縁を結ぶ円周(外接円)と略重なる径方向位置又は上記円周内に配置されている。よって、センサ基板33の大きさをフランジ部30bの外接円と略同じ程度にまで小型化することができる。
【0047】
図12は、比較例3の装置1を、図1と同様に中心軸Oを通る平面で切った断面を示す。比較例3の装置1は、比較例1の装置1と同様の構成において、フランジ部30bやセンサ基板33をハウジング4に固定するための係止部として、ボルト7gないしネジを用いたものである。なお、ギヤハウジング6の材料は樹脂でも金属でもよい。この比較例3のように、ボルトやネジを用いてフランジ部30b等をハウジング4に固定することとしてもよい。これに対し、本実施例1の装置1では、樹脂材料から形成された係止部材(第1、第2突起部54,55)を変形してフランジ部30b等を固定することとしたため、係止部材をハウジング4(センサハウジング5)と一体に形成することで部品点数を削減できると共に、装置1の構造を簡略化することができる。なお、本実施例1では、樹脂材料から形成された係止部材(第1、第2突起部54,55)を塑性変形することにより膨大部(第1、第2カシメ部543,553)を形成し、フランジ部30b等をカシメ固定することとしたが、樹脂製の係止部材(例えばスナップフィット)の弾性変形によりフランジ部30b等をハウジング4に固定することとしてもよい。
【0048】
本実施例1では、フランジ部30b及びセンサ基板33において、係止部材(第1、第2突起部54,55)が係止する被係止部を構成するために、(フランジ部30b等をz軸方向に貫通する)孔304,333を設けた。これら軸方向貫通孔304,333に係止部材(第1、第2突起部54,55)が挿入されることで、センサハウジング5に対するフランジ部30b等の係止(固定)が行われる。よって、被係止部を構成するために軸方向貫通孔304,333を設けず、例えばフランジ部30bの外周縁やセンサ基板33の内外周縁にセンサハウジング5の側の係止部材が係止するようにした場合に比べ、フランジ部30bやセンサ基板33の径方向寸法の増大を抑制することができる。
【0049】
また、被係止部を軸方向貫通孔304により構成してフランジ部30b等をカシメ固定したため、より確実かつ精度よくフランジ部30b等をハウジング4(センサハウジング5)に固定することができる。例えば、第1カシメ部543についてみると、フランジ部30bの軸方向貫通孔304を貫通した係止部材(第1突起部54の挿入部541)における軸方向貫通孔304から突出した部分は、軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように溶融され、第1カシメ部543を形成する。よって、フランジ部30bをより確実にハウジング4(センサハウジング5)に(z軸方向で)固定することができる。また、係止部材(第1突起部54)は、溶融して第1カシメ部543を形成する際、フランジ部30bの軸方向貫通孔304を貫通した状態となっている。よって、第1カシメ部543の形成時に、フランジ部30bとハウジング4(センサハウジング5)との相対位置ずれが抑制されるため、コイルボビン30(センサコイル31)の(径方向)位置精度を向上することができる。第2カシメ部553についても同様である。
【0050】
係止部材(第1突起部54)においては、その根元側のハウジング4(センサハウジング5)と先端側の挿入部541との間に、ボス部540が設けられている。よって、ボス部540が設けられない場合よりも、溶融される挿入部541の先端とハウジング4(センサハウジング5)との距離が大きくなり、挿入部541の溶融時における熱の影響がハウジング4(センサハウジング5)の側に及ぶことを抑制することができる。したがって、熱によるハウジング4(センサハウジング5)の変形を抑制し、ハウジング4(センサハウジング5)における各部品の組付け精度やハウジング4のシール性等を向上することができる。第2カシメ部553についても同様である。
【0051】
係止部材(第1突起部54)においては、ボス部540と挿入部541との間に段部542が設けられており、フランジ部30bが段部542(を構成するボス部540のz軸負方向端面)に当接した状態で、第1カシメ部543が形成される。よって、第1カシメ部543の形成作業時(挿入部541の溶融・変形時)及びこの形成作業後に、フランジ部30bがハウジング4(センサハウジング5)に対してz軸方向に位置決めされるため、コイルボビン30(センサコイル31)とハウジング4(センサハウジング5)の(z軸方向)相対位置ずれを抑制することができる。したがって、トルクセンサ3の検出精度を向上したり、センサ特性のバラツキを抑制したりすることが可能である。第2カシメ部553についても同様である。
【0052】
第1カシメ部543は、フランジ部30bが固定されるハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)の軸方向端部(凸部56のz軸負方向端)よりも他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に位置するように設けられる。よって、第1カシメ部543の形成作業において上記一方のユニット(センサハウジング5)が邪魔にならず、上記一方のユニット(センサハウジング5)が第1カシメ部543と干渉することが抑制されるため、カシメ作業の効率を向上することができる。また、第1カシメ部543をフランジ部30bに押し付けてフランジ部30bを第1カシメ部543とボス部540との間に挟みこむことが容易となる。よって、フランジ部30bとボス部540との間のガタを抑制して、コイルボビン30(センサコイル31)と上記一方のユニット(センサハウジング5)との(z軸方向)相対位置ずれを抑制することが容易となる。
【0053】
第2カシメ部553についてみると、センサ基板33は、センサ基板33が固定されるハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)の軸方向端部(凸部56のz軸負方向端)よりも他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に位置するように、第2カシメ部553により固定される。よって、第2カシメ部553のカシメ作業の際、上記一方のユニット(センサハウジング5)がセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、作業効率を向上することができる。また、本実施例1の装置1の組立方法では、第1カシメ工程後に基板配置工程を行う。よって、第1カシメ工程においてセンサ基板33が干渉する(邪魔になる)ことが抑制されるため、組立作業を容易化し、装置1の生産性を向上できる。
【0054】
[実施例1の効果]
以下、実施例1の装置1及びその組立方法が奏する作用効果を列挙する。
(A1)装置1は、内部に形成されたコイル収容部52と軸方向一方側(z軸負方向側)に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部(センサハウジング5)と、第1ハウジング部と組み合わされることにより第1ハウジング部の上記開口部を閉塞する第2ハウジング部(ギヤハウジング6)と、から構成されるハウジング4と、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸21と、トーションバー20を介して入力軸21と接続されると共に転舵輪に上記回転力を伝達する出力軸22と、から構成されると共に、ハウジング4に回転自在に収容される操舵軸2と、
コイル収容部52に収容され、操舵軸2の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより入力軸21と出力軸22の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイル31と、
センサコイル31を保持するコイル保持部30aと、コイル保持部30aから径方向外側に突出するように設けられたフランジ部30bと、から構成され、コイル収容部52に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビン30と、
コイルボビン30のフランジ部30bに設けられた第1被係止部(軸方向貫通孔304及びその周囲)と、
ハウジング4内に収容され、センサコイル31と電気的に接続され、センサコイル31に印加される上記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板33と、
センサ基板33に設けられた第2被係止部(軸方向貫通孔333及びその周囲)と、
第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で第1被係止部と係止する第1係止部(膨大部)が形成されることによりコイルボビン30を第1ハウジング部に固定する第1カシメ部543と、
第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で第2被係止部と係止する第2係止部が形成されることによりセンサ基板33を第1ハウジング部に固定する第2カシメ部553と、
センサコイル31の出力信号に基づき駆動制御され、転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、を備え、
コイルボビン30のフランジ部30bおよびセンサ基板33の一方(センサ基板33)は他方(フランジ部30b)よりも操舵軸2の方向(z軸方向)で第2ハウジング部側(z軸負方向側)に配置され、第1カシメ部543および第2カシメ部553のうち上記他方(フランジ部30b)に設けられたカシメ部(第1カシメ部543)は、操舵軸2に対して垂直な方向において(z軸方向から見て)上記一方(センサ基板33)とオーバーラップするように配置される。
よって、コイルボビン30のフランジ部30bとセンサ基板33とを軸方向に直列配置とすることで、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。したがって、装置1の車載レイアウト性を向上することができる。また、上記他方(フランジ部30b)側のカシメ部(第1カシメ部543)が上記一方側の部材(センサ基板33)とオーバーラップするように配置されるため、装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0055】
(A2)上記(A1)において、センサ基板33は、コイルボビン30のフランジ部30bよりも操舵軸2の方向(z軸方向)で第2ハウジング部(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置される。
よって、電子部品が多く半田付けされるセンサ基板33を第2ハウジング部の側に配置することにより、センサ基板33の半田付け状態を検査する際、フランジ部30bが干渉することが抑制されるため、検査の作業効率を向上することができる。また、センサ基板33においてフランジ部30bの第1カシメ部543とオーバーラップする部分にも電子部品を搭載することが可能となるため、装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0056】
(A3)上記(A2)において、第1被係止部は、コイルボビン30のフランジ部30bに形成された軸方向貫通孔304(及びその周囲)であって、
第1カシメ部543は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304に第1ハウジング部(センサハウジング5)側から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側に向かって(z軸負方向に)挿入され、コイルボビン30の軸方向貫通孔304から第2ハウジング部側(z軸負方向側)に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法がコイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される。
よって、第1カシメ部543の軸方向貫通孔304から突出した部分が軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように溶融、形成されることにより、コイルボビン30のフランジ部30bをより確実に固定することができる。また、溶融、形成時には、第1カシメ部543はコイルボビン30の軸方向貫通孔304に貫通した状態となっているため、溶融、形成時におけるフランジ部30bと第1カシメ部543との相対位置ずれを抑制することができる。
【0057】
(A4)上記(A3)において、第1カシメ部543は、第1ハウジング部(センサハウジング5)から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に突出して形成されたボス部540と、ボス部540の第2ハウジング部側の端部から延設されコイルボビン30の軸方向貫通孔304に挿入される挿入部541とから構成される。
よって、第1ハウジング部と挿入部541との間にボス部540を設けることにより、溶融される挿入部541の先端と第1ハウジング部との距離が大きくなるため、挿入部541の溶融時における熱の影響が第1ハウジング部側に及ぶのを抑制することができる。
【0058】
(A5)上記(A4)において、ボス部540は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも大径に形成され、
挿入部541は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも小径に形成され、
第1カシメ部543は、挿入部541がコイルボビン30の軸方向貫通孔304に挿入され、ボス部540と挿入部541との間に形成された段部542がコイルボビン30のフランジ部30bに当接した状態で挿入部541の上記突出した部分が溶融および変形されることにより形成される。
よって、コイルボビン30のフランジ部30bが段部542に当接した状態で第1カシメ部543を形成することにより、溶融、変形時および第1カシメ部543の形成作業後におけるフランジ部30bと第1カシメ部543との相対位置ずれを抑制することができる。
【0059】
(A6)上記(A4)において、センサ基板33は、第1ハウジング部(センサハウジング5)の第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側の端部(凸部56のz軸負方向端)よりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に位置するように第2カシメ部553により固定される。
よって、第1ハウジング部がセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、第2カシメ部553のカシメ作業、センサ基板33上に搭載される電子部品の半田付け、半田付け状態の検査のうち少なくとも1つの工程における作業効率を向上することができる。
【0060】
(A7)上記(A6)において、第1カシメ部543は、第1ハウジング部(センサハウジング5)の第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側の端部(凸部56のz軸負方向端)よりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に位置するように設けられる。
よって、第1ハウジング部が第1カシメ部543と干渉することが抑制されるため、第1カシメ部543のカシメ作業における作業効率を向上することができる。
【0061】
(A8)上記(A2)において、第2被係止部は、センサ基板33に形成された軸方向貫通孔333(及びその周囲)であって、
第2カシメ部553は、センサ基板33の軸方向貫通孔333に第1ハウジング部(センサハウジング5)側から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に向かって挿入され、センサ基板33の軸方向貫通孔333から第2ハウジング部側に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法がセンサ基板33の軸方向貫通孔333の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される。
よって、第2カシメ部553の軸方向貫通孔333から突出した部分が軸方向貫通孔333の内径よりも大きくなるように溶融、形成されることにより、センサ基板33をより確実に固定することができる。また、溶融、形成時には、第2カシメ部553はセンサ基板33の軸方向貫通孔333に貫通した状態となっているため、溶融、形成時におけるセンサ基板33と第2カシメ部553との相対位置ずれを抑制することができる。
【0062】
(B1)装置1の組立方法であって、
装置1は、
内部に形成されたコイル収容部52と軸方向一方側(z軸負方向側)に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部(センサハウジング5)と、第1ハウジング部と組み合わされることにより第1ハウジング部の上記開口部を閉塞する第2ハウジング部(ギヤハウジング6)と、から構成されるハウジング4と、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸21と、トーションバー20を介して入力軸21と接続されると共に転舵輪に上記回転力を伝達する出力軸22と、から構成されると共に、ハウジング4に回転自在に収容される操舵軸2と、
コイル収容部52に収容され、操舵軸2の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより入力軸21と出力軸22の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイル31と、
センサコイル31を保持するコイル保持部30aと、コイル保持部30aから径方向外側に突出するように設けられたフランジ部30bと、から構成され、コイル収容部52に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビン30と、
ハウジング4に設けられ、樹脂材料で形成された第1カシメ部543および第2カシメ部553と、
コイルボビン30のフランジ部30bに設けられた第1被係止部(軸方向貫通孔304及びその周囲)と、
ハウジング4内に収容され、センサコイル31と電気的に接続され、センサコイル31に印加される上記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板33と、
センサ基板33に設けられた第2被係止部(軸方向貫通孔333及びその周囲)と、
センサコイル31の出力信号に基づき駆動制御され、転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、を備え、
コイルボビン30をコイル収容部52に挿入するボビン挿入工程と、
第1被係止部を第1カシメ部543と接触させた状態で第1カシメ部543を溶融後変形させることによりコイルボビン30を第1ハウジング部に固定する第1カシメ工程と、
第1カシメ工程の後に行われ、第2被係止部が第2カシメ部553と接触するようにセンサ基板33をフランジ部30bよりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に配置する基板配置工程と、
第2被係止部を第2カシメ部553と接触させた状態で第2カシメ部553を溶融後変形させることによりセンサ基板33を第1ハウジング部に固定する第2カシメ工程と、を有する。
よって、コイルボビン30のフランジ部30bとセンサ基板33とを軸方向に直列配置とすることで、装置1の径方向寸法の小型化を図ることができる。また、第1カシメ工程後にセンサ基板33を配置することにより、第1カシメ工程においてセンサ基板33が干渉することを抑制し、作業効率を向上することができる。
【0063】
(B2)上記(B1)において、第1カシメ部543は、操舵軸2に対して垂直な方向において(z軸方向から見て)センサ基板33とオーバーラップするように配置される。
よって、センサ基板33においてコイルボビン30のカシメ部543とオーバーラップする部分にも電子部品を搭載することが可能となるため、装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0064】
(B3)上記(B1)において、センサ基板33に搭載される電子部品は、フロー半田により半田付けされる。
よって、センサ基板33がコイルボビン30のフランジ部30bより第2ハウジング部側(z軸負方向側)に配置されるため、フロー半田時においてコイルボビン30のフランジ部30bが干渉することを抑制し、作業効率を向上することができる。
【0065】
[実施例2]
実施例2の装置1では、コイルボビン30のフランジ部30bのほうが、センサ基板33よりもギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置される。図5は、実施例2のセンサハウジング5の軸方向断面を示す。図6〜図8は、ハウジング4を構成するセンサハウジング5側のユニットが完成するまでの各状態を示す。図6は、センサハウジング5にボールベアリング7bやシール部材7a等が設置された状態を示す。図7は、更にセンサ基板33が設置された状態を示す。図8は、更にコイルボビン30が設置された状態を示す。図6〜図8において、(a)はユニットを図1と同様に切った断面を示し、(b)はユニットをz軸負方向側から見た正面図である。
【0066】
図7(b)に示すように、センサ基板33の内周側には、貫通孔330と連続して、3箇所に切欠部334が設けられている。切欠部334は、z軸方向から見て、コイルボビン30の第1突起部54に対応する位置に設けられている。図6、図7に示すように、第1突起部54は、第2突起部55よりも(z軸負方向側に)高く設けられており、センサ基板33の切欠部334をそれぞれz軸方向に貫通するように配置され、フランジ部30bの(第1被係止部としての)軸方向貫通孔304にそれぞれ挿通する。図8に示すように、フランジ部30bはセンサ基板33よりもギヤハウジング6の側(z軸負方向)に配置され、第1カシメ部543は第2カシメ部553よりもz軸負方向側に形成される。図8(b)に示すように、コイル端子34は、端子設置部305,306からz軸正方向側かつ径方向外側に突出し、センサ基板33に接続される。装置1の組立方法は、基板配置工程(図6→図7)と、第2カシメ工程(図7)と、ボビン挿入工程(図7→図8)と、第1カシメ工程(図8)とを有し、この順番で組立が行われる。他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と対応する構成に同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
次に、本実施例2の作用を説明する。フランジ部30bとセンサ基板33が共にハウジング4の一方のユニット(センサハウジング5)に固定され、センサ基板33のほうが上記一方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸正方向側)に配置され、フランジ部30bのほうが他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置される。よって、第1カシメ部543のカシメ作業の際、センサ基板33が干渉する(邪魔になる)ことが抑制されるため、上記作業の効率化を図ることができる。第1カシメ部543は、フランジ部30bが固定される一方のユニット(センサハウジング5)の軸方向端部(凸部56のz軸負方向端)よりも他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に位置するように設けられる。よって、第1カシメ部543のカシメ作業の効率を向上することができる。
【0068】
センサ基板33の内周側に切欠部334が設けられ、この切欠部334を第1突起部54がz軸方向に貫通してフランジ部30bの軸方向貫通孔304に挿通する。よって、コイルボビン30の位置決めをより安定化することができる。すなわち、第1突起部54が貫通する切欠部334をセンサ基板33の外周側に設けることとしてもよいが、この場合、フランジ部30bの径方向寸法が増大するおそれがある。これに対し、本実施例2では、センサ基板33の内周側に切欠部334を設けたため、フランジ部30bの径方向寸法の増大を抑制することが可能である。これにより、コイルボビン30を小型化できると共に、コイルボビン30をより安定的にハウジング4(センサハウジング5)に対して位置決めすることができる。その他、実施例1と対応する各構成により、実施例1と同様の作用を得る。
【0069】
[実施例2の効果]
以下、実施例2の装置1が奏する作用効果を列挙する。
(C1)上記(A1)において、コイルボビン30のフランジ部30bは、センサ基板33よりも操舵軸2の方向(z軸方向)で第2ハウジング部(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置される。
よって、第1カシメ部543のカシメ作業の際、センサ基板33が干渉することが抑制され、カシメ作業の効率化を図ることができる。
【0070】
(C2)上記(C1)において、第1被係止部は、コイルボビン30のフランジ部30bに形成された軸方向貫通孔304(及びその周囲)であって、
第1カシメ部543は、コイルボビン30の軸方向貫通孔304に第1ハウジング部(センサハウジング5)側から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に向かって挿入され、コイルボビン30の軸方向貫通孔304から第2ハウジング部側に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法がコイルボビン30の軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される。
よって、第1カシメ部543の軸方向貫通孔304から突出した部分が軸方向貫通孔304の内径よりも大きくなるように溶融、形成されることにより、コイルボビン30のフランジ部30bをより確実に固定することができる。また、溶融、形成時には、第1カシメ部543はコイルボビン30の軸方向貫通孔304に貫通した状態となっているため、溶融、形成時におけるフランジ部30bと第1カシメ部543との相対位置ずれを抑制することができる。
【0071】
(C3)上記(C1)において、第1カシメ部543は、第1ハウジング部(センサハウジング5)から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に突出して形成されたボス部540と、ボス部540の第2ハウジング部側の端部から延設されセンサ基板33の軸方向貫通孔333に挿入される挿入部541とから構成される。
よって、第1ハウジング部と挿入部541との間にボス部540を設けることにより、溶融される挿入部541の先端と第1ハウジング部との距離が大きくなり、挿入部541の溶融時における熱の影響が第1ハウジング部側に及ぶのを抑制することができる。
【0072】
(C4)上記(C3)において、第1カシメ部543は、第1ハウジング部(センサハウジング5)の第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側の端部(凸部56のz軸負方向端)よりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に位置するように設けられる。
よって、第1ハウジング部が第1カシメ部543と干渉することが抑制されるため、第1カシメ部543のカシメ作業における作業効率を向上することができる。
【0073】
(C5)上記(C4)において、センサ基板33は、第1ハウジング部(センサハウジング5)の第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側の端部(凸部56のz軸負方向端)よりも第2ハウジング部側(z軸負方向側)に位置するように第2カシメ部553により固定される。
よって、第1ハウジング部がセンサ基板33と干渉することが抑制されるため、第2カシメ部553のカシメ作業、センサ基板33上に搭載される電子部品の半田付け、半田付け状態の検査のうち少なくとも1つの工程における作業効率を向上することができる。
【0074】
(C6)上記(C1)において、第2被係止部は、センサ基板33に形成された軸方向貫通孔333(及びその周囲)であって、
第2カシメ部553は、センサ基板33の軸方向貫通孔333に第1ハウジング部(センサハウジング5)側から第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に向かって挿入され、センサ基板33の軸方向貫通孔333から第2ハウジング部側に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法がセンサ基板33の軸方向貫通孔333の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される。よって、上記(A8)と同様の作用効果を奏する。
【0075】
[実施例3]
実施例3の装置1では、センサ基板33の貫通孔330に大径部35が設けられ、コイルボビン30のフランジ部30b及び第1、第2端子設置部305,306が貫通孔330を挿通可能に設けられている。図9は、センサハウジング5側の完成ユニットをz軸負方向側から見た正面図である。図9に示すように、z軸方向から見て、第1〜第3フランジ部301〜303は、コイル保持部30aから径方向外側に向かって延びる略矩形状に設けられ、コイルボビン30の軸周り(周方向)に互いに離間して配置されている。
【0076】
センサ基板33に設けられた貫通孔330は、コイルボビン30(コイル保持部30a、第1〜第3フランジ部301〜303、及び第1、第2端子設置部305,306)が挿通可能に形成されたボビン貫通孔である。貫通孔330は、大径部35と小径部36から構成される。大径部35は、センサ基板33の周方向に3箇所設けられており、第1〜第3大径部351〜353を有している。第1〜第3大径部351〜353は、それぞれ第1〜第3フランジ部301〜303がz軸方向に挿通可能に形成されている。具体的には、センサ基板33の中心Oから第1〜第3大径部351〜353までの径方向距離(半径)は、コイルボビン30の軸から第1〜第3フランジ部301〜303までの径方向距離よりも大きく設けられている。センサ基板33の中心Oの周りにおける第1〜第3大径部351〜353の幅(周方向距離)は、それぞれ、コイルボビン30の軸の周りにおける第1〜第3フランジ部301〜303の幅(周方向距離)よりも大きく設けられている。
【0077】
小径部36は、隣接する大径部35の間にそれぞれ設けられており、第1、第2大径部351,352の間の第1小径部361と、第2、第3大径部352,353の間の第2小径部362と、第3、第1大径部353,351の間の第3小径部363とを有している。第1〜第3小径部361〜363は、コイルボビン30の(第1、第2端子設置部305,306を含む)コイル保持部30aが挿通可能に形成されている。第1、第3小径部361,363は、センサ基板33の中心Oから径方向外側に向かって延びる略矩形状に設けられ、第2小径部362は、センサ基板33の中心Oの周りに延びる略円弧状に設けられている。第1〜第3小径部361〜363は、その縁が第1〜第3フランジ部301〜303の軸方向貫通孔304より径方向内側に配置されるように形成されている。第1、第3小径部361,363は、それぞれ第1、第2端子設置部305,306が挿通可能に形成され、第2小径部362はコイル保持部30aが挿通可能に形成されている。センサ基板33は、フランジ部30bよりもギヤハウジング6の側(z軸負方向側)に配置される。なお、端子設置部305,306から延びるコイル端子34の形状を適宜変更し、鈎形状や、z軸方向に対して傾いた直線部を有する形状とすることで、組付け時にコイル端子34をセンサ基板33のコイル端子接続部に接続したり、組付け後にコイル端子34を半田付けしたりする作業を容易化できる。他の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と対応する構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0078】
次に、本実施例3の作用を説明する。センサ基板33の貫通孔330には大径部35が設けられている。大径部35は、z軸方向から見て、第1係止部(第1カシメ部543)とオーバーラップする位置に設けられている。よって、比較例2と同様、コイルボビン30を一方のユニット(センサハウジング5)に設置し、かつセンサ基板33を設置した後に、センサ基板33の干渉を抑制しつつ第1カシメ部543を形成して、コイルボビン30を上記一方のユニット(センサハウジング5)に固定することが可能である。なお、実施例2と同様、センサ基板33のほうが上記一方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸正方向側)に配置され、フランジ部30bのほうが他方のユニット(ギヤハウジング6)の側(z軸負方向側)に配置されることとしてもよい。この場合、センサ基板33の貫通孔330はコイルボビン30が挿通可能に設けられているため、コイルボビン30をセンサ基板33より先に上記一方のユニット(センサハウジング5)に組付けることが可能である。すなわち、コイルボビン30を上記一方のユニット(センサハウジング5)に設置した後、貫通孔330にコイルボビン30のフランジ部30bや端子設置部305,306を挿通することで、センサ基板33をフランジ部30bよりも上記一方のユニット(センサハウジング5)の側(z軸正方向側)に設置することが可能である。ここで、コイル端子34の形状については上記と同様のことが言える。その他、実施例1と対応する各構成により、実施例1と同様の作用を得る。
【0079】
[実施例3の効果]
以下、実施例3の装置1が奏する作用効果を列挙する。
(D1)内部に形成されたコイル収容部52と軸方向一方側(z軸負方向側)に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部(センサハウジング5)と、第1ハウジング部と組み合わされることにより第1ハウジング部の上記開口部を閉塞する第2ハウジング部(ギヤハウジング6)と、から構成されるハウジング4と、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸21と、トーションバー20を介して入力軸21と接続されると共に転舵輪に上記回転力を伝達する出力軸22と、から構成されると共に、ハウジング4に回転自在に収容される操舵軸2と、
コイル収容部52に収容され、操舵軸2の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより入力軸21と出力軸22の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイル31と、
センサコイル31を保持するコイル保持部30aと、コイル保持部30aから径方向外側に突出するように設けられたフランジ部30bと、から構成され、コイル収容部52に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビン30と、
コイルボビン30のフランジ部30bに設けられた第1被係止部(軸方向貫通孔304及びその周囲)と、
ハウジング4内に収容され、センサコイル31と電気的に接続され、センサコイル31に印加される上記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板33と、
センサ基板33に設けられた貫通孔であって、複数のフランジ部30bが挿通可能に形成された複数の大径部351〜353と、隣接する複数の大径部351〜353の間に設けられ外縁が第1被係止部より径方向内側に配置されるように形成された小径部361〜363と、から構成されると共に、コイルボビン30のコイル保持部30aおよび複数のフランジ部30bが挿通可能に形成されたボビン貫通孔330と、
センサ基板33に設けられた第2被係止部(軸方向貫通孔333及びその周囲)と、
第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で第1被係止部と係止する第1係止部が形成されることによりコイルボビン30を第1ハウジング部に固定する第1カシメ部543と、
第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で第2被係止部と係止する第2係止部が形成されることによりセンサ基板33を第1ハウジング部に固定する第2カシメ部553と、
センサコイル31の出力信号に基づき駆動制御され、転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、
を有する。
よって、センサ基板33に大径部351〜353を設けることにより、コイルボビン30のフランジ部30bとセンサ基板33とが干渉することが抑制されるため、第1カシメ部543のカシメ作業時におけるセンサ基板33の干渉を抑制して作業効率を向上することができる。または、センサ基板33をコイルボビン30のフランジ部30bよりも第1ハウジング部側(z軸正方向側)に配置する場合に、第1ハウジング部にコイルボビン30をセンサ基板33より先に組付けることが可能となる。
【0080】
(D2)上記(D1)において、センサ基板33は、コイルボビン30のフランジ部30bよりも操舵軸2の方向(z軸方向)で第2ハウジング部(ギヤハウジング6)側(z軸負方向側)に配置される。
よって、電子部品が多く半田付けされるセンサ基板33を第2ハウジング部側に配置することにより、例えばセンサ基板33の半田付け状態を検査する際、コイルボビン30のフランジ部30bが干渉することが抑制され、検査の作業効率を向上することができる。
【0081】
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例1〜3に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1〜3に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、実施例1では、装置1のギヤ機構としてラック&ピニオン型を用いたが、これに限らず、例えばボール&ナット型であってもよい。また、実施例1では、ピニオンアシスト式のパワーステアリング装置に本発明を適用することとしたが、例えばラックアシスト式の装置に本発明を適用することとしてもよい。また、実施例1では、電動直結式の電動パワーステアリング装置としたが、オイルポンプを電動機で駆動して操舵補助力として油圧力を発生する所謂電動油圧式であってもよく、要は、センサコイル31の出力信号に基づき駆動制御され、転舵輪に操舵補助力を付与する電動機を備えたものであればよい。
【0082】
また、センサコイル31は、トルクセンサに限らず、例えば操舵角センサのものであってもよく、パワーステアリング装置1は、検出した操舵角を用いて操舵アシスト量を決定してもよい。要は、センサコイル31は、操舵軸2の回転量をインピーダンス値の変化として出力し、操舵軸2の回転状態を検出するものであればよい。
【符号の説明】
【0083】
1 パワーステアリング装置
2 操舵軸
20 トーションバー
21 入力軸
22 出力軸
30 コイルボビン
30a コイル保持部
30b フランジ部
304 軸方向貫通孔(第1被係止部)
31 センサコイル
33 センサ基板
333 軸方向貫通孔(第2被係止部)
4 ハウジング
5 センサハウジング(第1ハウジング部)
52 コイル収容部
543 第1カシメ部
553 第2カシメ部
6 ギヤハウジング(第2ハウジング部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成されたコイル収容部と軸方向一方側に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部と、前記第1ハウジング部と組み合わされることにより前記第1ハウジング部の開口部を閉塞する第2ハウジング部と、から構成されるハウジングと、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸と、トーションバーを介して前記入力軸と接続されると共に転舵輪に前記回転力を伝達する出力軸と、から構成されると共に、前記ハウジングに回転自在に収容される操舵軸と、
前記コイル収容部に収容され、前記操舵軸の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより前記入力軸と前記出力軸の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイルと、
前記センサコイルを保持するコイル保持部と、前記コイル保持部から径方向外側に突出するように設けられたフランジ部と、から構成され、前記コイル収容部に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビンと、
前記コイルボビンのフランジ部に設けられた第1被係止部と、
前記ハウジング内に収容され、前記センサコイルと電気的に接続され、前記センサコイルに印加される前記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板と、
前記センサ基板に設けられた第2被係止部と、
前記第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で前記第1被係止部と係止する第1係止部が形成されることにより前記コイルボビンを前記第1ハウジング部に固定する第1カシメ部と、
前記第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で前記第2被係止部と係止する第2係止部が形成されることにより前記センサ基板を前記第1ハウジング部に固定する第2カシメ部と、
前記センサコイルの出力信号に基づき駆動制御され、前記転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、を備え、
前記コイルボビンのフランジ部および前記センサ基板の一方は他方よりも操舵軸方向前記第2ハウジング部側に配置され、前記第1カシメ部および前記第2カシメ部のうち前記他方に設けられたカシメ部は、前記操舵軸に対して垂直な方向において前記一方とオーバーラップするように配置される
ことを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記第1被係止部は、前記コイルボビンのフランジ部に形成された軸方向貫通孔であって、
前記第1カシメ部は、前記コイルボビンの軸方向貫通孔に前記第1ハウジング部側から前記第2ハウジング部側に向かって挿入され、前記コイルボビンの軸方向貫通孔から前記第2ハウジング部側に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法が前記コイルボビンの軸方向貫通孔の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される
ことを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記センサ基板は、前記第1ハウジング部の前記第2ハウジング部側端部よりも前記第2ハウジング部側に位置するように前記第2カシメ部により固定されることを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項4】
内部に形成されたコイル収容部と軸方向一方側に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部と、前記第1ハウジング部と組み合わされることにより前記第1ハウジング部の開口部を閉塞する第2ハウジング部と、から構成されるハウジングと、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸と、トーションバーを介して前記入力軸と接続されると共に転舵輪に前記回転力を伝達する出力軸と、から構成されると共に、前記ハウジングに回転自在に収容される操舵軸と、
前記コイル収容部に収容され、前記操舵軸の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより前記入力軸と前記出力軸の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイルと、
前記センサコイルを保持するコイル保持部と、前記コイル保持部から径方向外側に突出するように周方向に複数個互いに離間して配置されたフランジ部と、から構成され、前記コイル収容部に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビンと、
前記コイルボビンのフランジ部に設けられた第1被係止部と、
前記ハウジング内に収容され、前記センサコイルと電気的に接続され、前記センサコイルに印加される前記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板と、
前記センサ基板に設けられた貫通孔であって、前記複数のフランジ部が挿通可能に形成された複数の大径部と、隣接する前記複数の大径部の間に設けられ外縁が前記第1被係止部より径方向内側に配置されるように形成された小径部と、から構成されると共に、前記コイルボビンのコイル保持部および前記複数のフランジ部が挿通可能に形成されたボビン貫通孔と、
前記センサ基板に設けられた第2被係止部と、
前記第1ハウジングに設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で前記第1被係止部と係止する第1係止部が形成されることにより前記コイルボビンを前記第1ハウジングに固定する第1カシメ部と、
前記第1ハウジングに設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で前記第2被係止部と係止する第2係止部が形成されることにより前記センサ基板を前記第1ハウジングに固定する第2カシメ部と、
前記センサコイルの出力信号に基づき駆動制御され、前記転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、
を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項5】
パワーステアリング装置の組立方法であって、
前記パワーステアリング装置は、
内部に形成されたコイル収容部と軸方向一方側に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部と、前記第1ハウジング部と組み合わされることにより前記第1ハウジング部の開口部を閉塞する第2ハウジング部と、から構成されるハウジングと、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸と、トーションバーを介して前記入力軸と接続されると共に転舵輪に前記回転力を伝達する出力軸と、から構成されると共に、前記ハウジングに回転自在に収容される操舵軸と、
前記コイル収容部に収容され、前記操舵軸の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより前記入力軸と前記出力軸の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイルと、
前記センサコイルを保持するコイル保持部と、前記コイル保持部から径方向外側に突出するように設けられたフランジ部と、から構成され、前記コイル収容部に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビンと、
前記ハウジングに設けられ、樹脂材料で形成された第1カシメ部および第2カシメ部と、
前記コイルボビンのフランジ部に設けられた第1被係止部と、
前記ハウジング内に収容され、前記センサコイルと電気的に接続され、前記センサコイルに印加される前記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板と、
前記センサ基板に設けられた第2被係止部と、
前記センサコイルの出力信号に基づき駆動制御され、前記転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、を備え、
前記コイルボビンを前記コイル収容部に挿入するボビン挿入工程と、
前記第1被係止部を前記第1カシメ部と接触させた状態で前記第1カシメ部を溶融後変形させることにより前記コイルボビンを前記第1ハウジングに固定する第1カシメ工程と、
前記第1カシメ工程の後に行われ、前記第2被係止部が前記第2カシメ部と接触するように前記センサ基板を前記フランジ部よりも前記第2ハウジング側に配置する基板配置工程と、
前記第2被係止部を前記第2カシメ部と接触させた状態で前記第2カシメ部を溶融後変形させることにより前記センサ基板を前記第1ハウジングに固定する第2カシメ工程と、
を有することを特徴とするパワーステアリング装置の組立方法。
【請求項1】
内部に形成されたコイル収容部と軸方向一方側に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部と、前記第1ハウジング部と組み合わされることにより前記第1ハウジング部の開口部を閉塞する第2ハウジング部と、から構成されるハウジングと、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸と、トーションバーを介して前記入力軸と接続されると共に転舵輪に前記回転力を伝達する出力軸と、から構成されると共に、前記ハウジングに回転自在に収容される操舵軸と、
前記コイル収容部に収容され、前記操舵軸の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより前記入力軸と前記出力軸の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイルと、
前記センサコイルを保持するコイル保持部と、前記コイル保持部から径方向外側に突出するように設けられたフランジ部と、から構成され、前記コイル収容部に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビンと、
前記コイルボビンのフランジ部に設けられた第1被係止部と、
前記ハウジング内に収容され、前記センサコイルと電気的に接続され、前記センサコイルに印加される前記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板と、
前記センサ基板に設けられた第2被係止部と、
前記第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で前記第1被係止部と係止する第1係止部が形成されることにより前記コイルボビンを前記第1ハウジング部に固定する第1カシメ部と、
前記第1ハウジング部に設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で前記第2被係止部と係止する第2係止部が形成されることにより前記センサ基板を前記第1ハウジング部に固定する第2カシメ部と、
前記センサコイルの出力信号に基づき駆動制御され、前記転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、を備え、
前記コイルボビンのフランジ部および前記センサ基板の一方は他方よりも操舵軸方向前記第2ハウジング部側に配置され、前記第1カシメ部および前記第2カシメ部のうち前記他方に設けられたカシメ部は、前記操舵軸に対して垂直な方向において前記一方とオーバーラップするように配置される
ことを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記第1被係止部は、前記コイルボビンのフランジ部に形成された軸方向貫通孔であって、
前記第1カシメ部は、前記コイルボビンの軸方向貫通孔に前記第1ハウジング部側から前記第2ハウジング部側に向かって挿入され、前記コイルボビンの軸方向貫通孔から前記第2ハウジング部側に貫通し突出した部分を溶融し、この突出した部分の径方向寸法が前記コイルボビンの軸方向貫通孔の内径よりも大きくなるように変形させることにより形成される
ことを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記センサ基板は、前記第1ハウジング部の前記第2ハウジング部側端部よりも前記第2ハウジング部側に位置するように前記第2カシメ部により固定されることを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項4】
内部に形成されたコイル収容部と軸方向一方側に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部と、前記第1ハウジング部と組み合わされることにより前記第1ハウジング部の開口部を閉塞する第2ハウジング部と、から構成されるハウジングと、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸と、トーションバーを介して前記入力軸と接続されると共に転舵輪に前記回転力を伝達する出力軸と、から構成されると共に、前記ハウジングに回転自在に収容される操舵軸と、
前記コイル収容部に収容され、前記操舵軸の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより前記入力軸と前記出力軸の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイルと、
前記センサコイルを保持するコイル保持部と、前記コイル保持部から径方向外側に突出するように周方向に複数個互いに離間して配置されたフランジ部と、から構成され、前記コイル収容部に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビンと、
前記コイルボビンのフランジ部に設けられた第1被係止部と、
前記ハウジング内に収容され、前記センサコイルと電気的に接続され、前記センサコイルに印加される前記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板と、
前記センサ基板に設けられた貫通孔であって、前記複数のフランジ部が挿通可能に形成された複数の大径部と、隣接する前記複数の大径部の間に設けられ外縁が前記第1被係止部より径方向内側に配置されるように形成された小径部と、から構成されると共に、前記コイルボビンのコイル保持部および前記複数のフランジ部が挿通可能に形成されたボビン貫通孔と、
前記センサ基板に設けられた第2被係止部と、
前記第1ハウジングに設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で前記第1被係止部と係止する第1係止部が形成されることにより前記コイルボビンを前記第1ハウジングに固定する第1カシメ部と、
前記第1ハウジングに設けられ、樹脂材料で形成され、溶融状態で前記第2被係止部と係止する第2係止部が形成されることにより前記センサ基板を前記第1ハウジングに固定する第2カシメ部と、
前記センサコイルの出力信号に基づき駆動制御され、前記転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、
を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項5】
パワーステアリング装置の組立方法であって、
前記パワーステアリング装置は、
内部に形成されたコイル収容部と軸方向一方側に設けられた開口部とを有すると共に樹脂材料で形成された第1ハウジング部と、前記第1ハウジング部と組み合わされることにより前記第1ハウジング部の開口部を閉塞する第2ハウジング部と、から構成されるハウジングと、
ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸と、トーションバーを介して前記入力軸と接続されると共に転舵輪に前記回転力を伝達する出力軸と、から構成されると共に、前記ハウジングに回転自在に収容される操舵軸と、
前記コイル収容部に収容され、前記操舵軸の外周に設けられ、励磁信号が印加されることにより前記入力軸と前記出力軸の間の相対回転量をインピーダンス値の変化として出力するセンサコイルと、
前記センサコイルを保持するコイル保持部と、前記コイル保持部から径方向外側に突出するように設けられたフランジ部と、から構成され、前記コイル収容部に収容されると共に、樹脂材料で形成されるコイルボビンと、
前記ハウジングに設けられ、樹脂材料で形成された第1カシメ部および第2カシメ部と、
前記コイルボビンのフランジ部に設けられた第1被係止部と、
前記ハウジング内に収容され、前記センサコイルと電気的に接続され、前記センサコイルに印加される前記励磁信号を出力する電子部品が搭載されたセンサ基板と、
前記センサ基板に設けられた第2被係止部と、
前記センサコイルの出力信号に基づき駆動制御され、前記転舵輪に操舵補助力を付与する電動機と、を備え、
前記コイルボビンを前記コイル収容部に挿入するボビン挿入工程と、
前記第1被係止部を前記第1カシメ部と接触させた状態で前記第1カシメ部を溶融後変形させることにより前記コイルボビンを前記第1ハウジングに固定する第1カシメ工程と、
前記第1カシメ工程の後に行われ、前記第2被係止部が前記第2カシメ部と接触するように前記センサ基板を前記フランジ部よりも前記第2ハウジング側に配置する基板配置工程と、
前記第2被係止部を前記第2カシメ部と接触させた状態で前記第2カシメ部を溶融後変形させることにより前記センサ基板を前記第1ハウジングに固定する第2カシメ工程と、
を有することを特徴とするパワーステアリング装置の組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−228994(P2012−228994A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99637(P2011−99637)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(301041449)日立オートモティブシステムズステアリング株式会社 (44)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(301041449)日立オートモティブシステムズステアリング株式会社 (44)
【Fターム(参考)】
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