説明

パン粉付機

【課題】 押圧部材のシリコン板の状態を確認することができるパン粉付機を提供する。
【解決手段】 本発明は、食品加工物にパン粉を付着させるパン粉付機に関する。パン粉付機(1)は、食品加工物(P)を囲んだパン粉の層(2)を搬送する搬送コンベヤ(4)と、搬送コンベヤ(4)に取付けられ、パン粉の層(2)を上方から押付けるための押付装置(6)を有する。押付装置(6)は、パン粉の層(2)の上面(2a)を押すためのシリコン板(48)が接着された押圧部材(20)と、この押圧部材(20)を上下方向に往復移動させるための上下移動機構(18)を有する。押圧部材(20)は、上下移動機構(18)に取外し可能に取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン粉付機に関し、更に詳細には、押圧部材を用いて食品加工物にパン粉を付着させるパン粉付機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コロッケ、トンカツなどのフライ製品になる前の、パン粉を付けていない状態の食品加工物の表面に、パン粉を付着させるパン粉付機が知られている。例えば、食品加工物の周りにパン粉を配置し、パン粉の上に配置された加圧ローラの下を通過させることによってパン粉を食品加工物に付着させる方式のパン粉付機、パン粉の層の中に食品加工物を配置し、パン粉の上方及び側方に配置された押圧板をパン粉に押付けることによってパン粉を食品加工物に付着させる方式のパン粉付機(特許文献1参照)等が知られている。後者のパン粉付機の場合、上方の押圧板は、それを上下に往復移動させる上下往復機構に取外しができないように固定され、押圧板のパン粉側の表面即ち下面には、シリコン板が接着されている。
【0003】
【特許文献1】実登2603045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した上方の押圧板を採用するパン粉付機において、押圧板が上下往復動機構に取付けられたまま取外しができない状態では、押圧板の下面に接着されたシリコン板を見ることはできない。このため、シリコン板の状態を目で確認をすることが困難であった。また、押圧板の下側のスペースが小さいため、シリコン板を洗浄するのに時間がかかっていた。このため、フライ製品への異物混入を防止するため、例えば、上下往復機構自体をパン粉付機本体から持上げて、シリコン板の状態を確認したり、時間をかけてシリコン板の洗浄をしたりしていた。
また、押圧板が上下往復機構に取外しできないように固定されているので、パン粉を食品加工物に押付ける圧力の調整が十分にできない場合があった。
【0005】
そこで、本発明の第1の目的は、押圧部材のシリコン板の状態を容易に確認することができるパン粉付機を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、押圧部材のシリコン板の状態を容易に確認することができ、パン粉を食品に押付ける圧力調整が可能なパン粉付機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の目的を達成するために、本発明によるパン粉付機は、食品加工物にパン粉を付着させるためのパン粉付機であって、食品加工物を囲んだパン粉の層を搬送する搬送コンベヤと、搬送コンベヤに取付けられ、パン粉の層を上方から押付けるための押付装置と、を有し、押付装置は、パン粉の層の上面を押すためのシリコン板が接着された押圧部材と、この押圧部材を上下方向に往復移動させるための上下移動機構とを有し、押圧部材は、上下移動機構に取外し可能に取付けられていることを特徴としている。
このように構成されたパン粉付機では、上下移動機構により押圧部材を上下方向に往復移動させ、搬送コンベヤによって搬送されたパン粉の層を上方から押付けることによって、パン粉に囲まれた食品加工物にパン粉を付着させる。パン粉付機による作業終了後、押圧部材を上下移動機構から取外すことにより、押圧部材に接着されたシリコン板の状態を容易に確認することができる。また、シリコン板の洗浄も容易になる。
【0007】
本発明において、好ましくは、パン粉の層の上面を押す力の大きさを変化させるために、上下移動機構に対する押圧部材の上下方向の固着位置は調整可能である。
このように構成されたパン粉付機では、押圧部材が上下移動機構から取外し可能に取付けられているので、押圧部材を上下移動機構に取付ける際の固着位置を変える機能を追加することが可能になる。その結果、搬送コンベヤで搬送されるパン粉の高さ及び食品加工食品の大きさ等に応じた上下方向位置でパン粉を押付けることが可能になる。これにより、本発明の第2の目的が達成される。
【0008】
本発明において、好ましくは、更に、押圧部材と上下移動機構との間に介在し且つ押圧部材をパン粉に向かって付勢する付勢部材を有する。
このように構成されたパン粉付機では、押圧部材が上下移動機構から取外し可能に取付けられているので、押圧部材と上下移動機構との間に付勢部材を介在させることが可能になる。その結果、付勢部材は、上下移動機構により押圧部材がパン粉を押付けるときの衝撃を緩衝させるように働き、食品加工物に適した圧接の仕方でパン粉を付けることができる。これにより、本発明の第2の目的が達成される。
【0009】
上記本発明において、更に好ましくは、押圧部材がパン粉を押付けているとき、搬送コンベヤによるパン粉の移動に合わせて押圧部材を移動させるように、上下移動機構は、前記搬送コンベヤの上方に設けられた支持部を中心に揺動可能である。
このように構成されたパン粉付機では特に、上記付勢部材が有効に作用する。詳細には、押圧部材と上下移動機構が取外しできないように固定されている場合、上下移動機構が揺動すると、押圧板の位置が上方に移動し、パン粉への押圧力が著しく弱まる。これに対して、本発明では、押圧部材がパン粉に向かって付勢されているので、上下移動機構が揺動して押圧部材の位置が上方に移動しても、付勢部材による付勢力が働くため、パン粉への押圧力が著しく弱まることはない。従って、比較的長い時間、食品加工物へのパン粉の押付けが可能になり、食品加工物にパン粉が良好に付着する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、押圧部材のシリコン板の状態を確認することができるパン粉付機を提供することができる。
また、本発明により、押圧部材のシリコン板の状態を確認することができ、パン粉を食品に押付ける圧力が調整可能なパン粉付機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1及び図2を参照して、本発明によるパン粉付機の第1の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態であるパン粉付機の概略的な正面図である。図2は、図1のパン粉付機の断面図である。
パン粉付機1は、食品加工物Pを囲んだパン粉の層2を搬送する搬送コンベヤ4と、搬送コンベヤ4に取付けられ、パン粉の層2を上方から押付けるための押付装置6とを有している。パン粉付機1は、好ましくは、押付装置6の上流側において、食品加工物Pを囲むようにパン粉の層2を形成するパン粉供給装置(図示せず)を有し、押付装置6の下流側に、パン粉の層2を側方から押付けるための横押付装置(図示せず)を有している。
【0012】
搬送コンベヤ4は、搬送方向8に対して横方向両側に配置された左右の機械フレーム10a、10bと、機械フレーム10a、10bに固定されたコンベヤプレート12と、コンベヤプレート12に沿って移動するコンベヤベルト14とを有している。コンベヤプレート12の両側は、パン粉の層2を支持するのに十分な高さを有するように上方に折り曲げられている。コンベヤベルト14は、図示していない駆動装置によって搬送方向8に移動可能である。
【0013】
押付装置6は、機械フレーム10a、10bの上に固定された装置フレーム16a、16bと、搬送方向8に揺動可能に且つコンベヤベルト14を跨ぐように装置フレーム16a、16bに取付けられた上下移動機構18と、上下移動機構18に取外し可能に取付けられた押圧部材20とを有している。
装置フレーム16a、16bはそれぞれ、機械フレーム10a、10bから立ち上がり、上下移動機構18を回動可能に支持する支持部22を有している。
上下移動機構18は、搬送方向8に対して横方向に延び且つ両側の支持部22に回動可能にされたベース24と、ベース24に取付けられたガイド付き空気シリンダ26と、空気シリンダ26に固定された固定プレート28とを有している。空気シリンダ26は、そのロッド側26aが下向きになるようにベース24に取付けられ、固定プレート28は、空気シリンダ26のロッド側26aにねじ30で固定されている。また、固定プレート28には、押圧部材20を取付けるために上下方向に貫通する2つの貫通孔32を有している。
押圧部材20は、固定プレート28に取外し可能に取付けられる取付けプレート34と、取付けプレート34に回動可能に取付けられた圧接プレート36とを有している。取付けプレート34には、固定プレート28の2つの貫通孔32と整列可能に取付けプレート34から上方向に延びる2つのねじ山付きロッド38と、圧接プレート36を回動可能に支持するために取付けプレート34から下方に延びる4つの受けブラケット40が溶接されている。ねじ山付きロッド38は、貫通孔32に挿入され、取付けプレート34が固定プレート28に押付けられるようにロックナット42がねじ山付きロッド38にねじ込まれている。4つの受けブラケット40は、横方向に整列する横貫通孔44を有している。圧接プレート36には、それから上方向に延びるシャフト46aとそれから横方向に延びるシャフト46bとからなるT字形の部材46が溶接され、このT字形の部材46は、取付けプレート34の2つの受けブラケット40の間に位置し、その横貫通孔44に回動可能に支持されている。また、圧接プレート36の下面36aには、パン粉の層2の上面2aを押すためのシリコン板48が接着されている。
【0014】
次に、本発明によるパン粉付け装置の動作及び操作を説明する。
上下移動機構18の空気シリンダ26によって押圧部材20を上下方向に往復移動させ、搬送コンベヤ4によって搬送されたパン粉の層2を上方から押付ける。パン粉の層2が押付けられることによりパン粉に囲まれた食品加工物Pにパン粉を付着させる。
また、パン粉の層2は搬送コンベヤ4により搬送方向8に移動しているので、空気シリンダ26のロッドを延ばして、圧接プレート36及びシリコン板48がパン粉を押付けた状態にあるとき、上下移動機構18は支持部22において搬送方向8に揺動する。次いで、空気シリンダ26のロッドを引込めると、上下移動機構18は自重で搬送方向8と逆方向に揺動し、元の位置に戻る。
パン粉付機1による作業終了後、ロックナット42をねじ山付きロッド38から取外すことにより、押圧部材20を上下移動機構18から取外す。押圧部材20が取外されるので、圧接プレート36に接着されたシリコン板48の状態を容易に確認することができる。また、シリコン板42を十分に水洗浄することが容易になり、その結果、菌の繁殖の防止が容易になる。また、シリコン板48に欠けた部分があるかどうかを容易に調べることができる。
【0015】
次に、図3を参照して、本発明によるパン粉付機の第2の実施形態を説明する。図3は、本発明による第2の実施形態のパン粉付機の押付装置の概略図である。本発明の第2の実施形態のパン粉付機60は、ねじ山付きロッド38を長くして、固定プレート28の下に第2のロックナット62を追加することにより、固定プレート28と取付けプレート34とを離して固着させたこと以外、第1の実施形態のパン粉付機1と同じである。従って、第1の実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
第2の実施形態のパン粉付機60では、ねじ山付きロッド38に対する2つのロックナット42、62の位置を調整することにより、上下駆動機構18に対する押圧部材20の上下方向の固着位置を調整することができる。
【0016】
次に、図4を参照して、本発明によるパン粉付け装置の第3の実施形態を説明する。図4は、本発明による第3の実施形態のパン粉付機の押付装置の概略図である。本発明の第3の実施形態のパン粉付機70は、ねじ山付きロッド38を長くして、固定プレート28と取付けプレート34との間に介在し且つ押圧部材20をパン粉の層2に向かって付勢するばね72を追加して、固定プレート28と取付けプレート34とを離して固定したこと以外、第1の実施形態のパン粉付機1と同じである。従って、第1の実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
第3の実施形態のパン粉付機70では、ばね72は、上下移動機構18により押圧部材20がパン粉を押付けるときの衝撃を緩衝させるように働く。また、上下移動機構18が揺動して押圧部材20の位置が上方に移動しても、ばね72による付勢力が働くため、パン粉への押圧力が著しく弱まることはない。
【0017】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態であるパン粉付機の概略的な正面図である。
【図2】図1のパン粉付機の概略的な断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態のパン粉付機の押付装置の概略的な断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態のパン粉付機の押付装置の概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1、60、70 パン粉付機
2 パン粉の層
2a 上面
4 搬送コンベヤ
6 押付装置
18 上下移動機構
20 押圧部材
22 支持部
42 ロックナット
48 シリコン板
62 ロックナット
72 ばね
P 食品加工物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品加工物にパン粉を付着させるパン粉付機であって、
食品加工物を囲んだパン粉の層を搬送する搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤに取付けられ、パン粉の層を上方から押付けるための押付装置と、を有し、
前記押付装置は、パン粉の層の上面を押すためのシリコン板が接着された押圧部材と、この押圧部材を上下方向に往復移動させるための上下移動機構とを有し、前記押圧部材は、前記上下移動機構に取外し可能に取付けられていることを特徴とするパン粉付機。
【請求項2】
パン粉の層の上面を押す力の大きさを変化させるために、前記上下移動機構に対する前記押圧部材の上下方向の固着位置は調整可能であることを特徴とする請求項1に記載のパン粉付機。
【請求項3】
更に、前記押圧部材と前記上下移動機構との間に介在し且つ前記押圧部材をパン粉の層に向かって付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1に記載のパン粉付機。
【請求項4】
前記押圧部材がパン粉を押付けているとき、前記搬送コンベヤによるパン粉の移動に合わせて前記押圧部材を移動させるように、前記上下移動機構は、前記搬送コンベヤの上方に設けられた支持部を中心に揺動可能であることを特徴とする請求項3に記載のパン粉付機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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