説明

パーキンソン病を診断するための撮像剤

【課題】中枢神経系ドーパミントランスポータの撮像剤及びその使用方法の提供。
【解決手段】パーキンソン病の診断において撮像剤として用いられる放射性同位元素を使って識別したピペリジン誘導体の提供。他の様態は、例えばテクネチウムなどの放射性核種をキレート可能な官能基を包含するピペリジンモノアミントランスポータリガンド及び、その使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、中枢神経系ドーパミントランスポータ撮像剤、より具体的には、パーキンソン病の診断で撮像剤として用いる標識付きピペリジン誘導体に、関するものである。
【0002】
発明の詳細な説明
毎年、約5万人のアメリカ人がパーキンソン病であると診断されており、米国経済におけるその合計費用は年間で56億ドルを超えると推定できる。パーキンソン病(PD)の検査は現在無く、その診断は現在のところ筋肉のコントロールの悪化に関連した症状の観察に頼っている。早期の診断が困難なこと、そして加齢及び頭部外傷を除き原因が未知なことから、老齢化の進む我が国の国民をスクリーニングし、治療するためのより優れた方法の必要性が日増しに高まっている。疾患の進行はPETによりインビボで非観血的に観察できることは実証されているが1,2、PETで到達できる範囲に限度があり、またPETの費用が高価であるため、このようなスクリーニングも効果的とは言えない。単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)による撮像に、放射性標識を付けたドーパミントランスポータ(DAT)リガンドを利用できれば、多くの人にその恩恵がもたらされるであろう。このような脳撮像試験ができれば、パーキンソン病患者のドーパミン作動性ニューロンの変性速度を追跡できる可能性が生まれるだけでなく、推定上の神経保護剤の治療効果を個々の患者で予測できる機会も生まれる3。従って、DAT撮像に利用できる、安価かつ広く入手できる物質が確実に得られることにもなる。
【0003】
DATのSPECT撮像用の放射性標識リガンドの開発は困難を極めてきた。コカイン類似体のWIN35,428シリーズのI-123標識類似体を用いた霊長類及びヒトのDATの撮像は成功を収めている4-6。しかし、ヨウ素123は、この放射性同位体の信頼できるものが市販され、かつ低コストで供給できる程度には、米国市場には流通していない。安価でより簡単に手に入るTC−99mは、SPECTに用いるには理想的な撮像特性を持ち、DATリガンドの放射性標識としては、ある程度の成功を収めてきた。Kung氏らは、Tc−99m標識したトロパン類似体であるTRODATを用いたDAT撮像が技術的には実現できることを実証している。注目すべき成果ではあるが、この物質の脳内への絶対的な取り込み量は大変少なく、理想的な画質を得るには至らない。このシリーズのリガンドの脳内取り込みを予測する構造活性試験は信頼できる結果を出しておらず、これらリガンドの分子サイズが、血液脳関門を効率的に通過できるかどうかの閾値にあることが分かる。Kung氏らは最近、トロパンシリーズのTc−99m錯体の炭素スペーサ単位の長さを変えると、劇的な効果があることを報告している。キレートとトロパン部分との間のスペーサ長を一炭素から二炭素に増加させると、トランスポータへの結合を良好に維持したままで、脳内での蓄積を最小限に抑えることができたのである。
【0004】
国立パーキンソン病基金は、150万人のアメリカ人がパーキンソン病(PD)に罹患していると試算している。PDが致命的な疾患でないことを認識するのは重要ではあるが、肢体不自由を引き起こす、治療法のない変性疾患である。PDはゆっくりと進行する疾患であり、黒質として知られる脳内部位に位置する小領域の細胞を冒す。これらの細胞が変性すると、ドーパミンと呼ばれる、(とりわけ)筋肉活動に関与する重要な神経伝達物質が減少する。ドーパミンが欠乏すると幅広い筋肉機能不全が起きるが、中でも四つの主要な症状は、振戦、硬直、運動緩慢(動きの緩慢さ)及び体位不安定である。この疾患は一般には高齢者に罹患すると考えられており、60歳以上の高齢者の100人に一人が罹患する。
【0005】
現在のところ、パーキンソン病患者を診断する検査法はない。医師は、パーキンソン病が存在することが明らかになるまで、症状を観察せねばならない。経験ある医師でさえ、早期の精確な診断は、特に病態が様々な形をとることもあって難しく、その治療法も少しずつ異なる。PD(最も一般的な形のPD)の治療法には、微妙なバランスをとりながらの投薬(多くの場合、まず抗コリン性アマンタジンを投薬した後、レボドパをカビドパ、セレギリンTM、ボモクリプチンTM、又はペロゴリドTMと併用する)、連動した健康上の介入(肉体的、職業的、及び会話治療)や新規な実験的手法(振戦を除く視床切開術、ジアクリン社の胚細胞移植−ニューロセルTM、又はギルフォードのニューロイムノフィリン技術11)がある。PDのための投薬リストは、長所及び短所を持つ薬剤をあらゆる組合せにした広汎なものである。吐き気、低血圧、不随意運動、及び情動不安を含む多くの潜在的副作用を抑えようと、個人個人で評価を行うのが一般的である。疾患の管理は、これらの投薬でよく起きる「ウェアリング−オフ(原語:wearing-off)」現象及び「オン−オフ」効果を考慮に入れると、より複雑になる。現在利用されている薬物には数多くの組合せがあり、また臨床試験を通過する無数の新薬(即ち新しいドーパミンアゴニスト、レクイップTM及びミラペックスTM)や新しい移植法の費用を前に、これらの可能性ある治療法を評価できれば、資するところ大であろう。
【0006】
発明の概要
大まかには、本発明は、中枢神経系ドーパミントランスポータ撮像剤及びその利用法に関するものである。いくつかの実施例では、本発明は、放射性標識されたピペリジン誘導体を、パーキンソン病の診断における撮像剤として用いる方法に関する。本発明の別の態様は、テクネチウムなどの放射性核種をキレートできる官能基を含むピペリジンモノアミントランスポータリガンドと、その利用法とに関する。
【0007】
発明の詳細な説明
我々の主な関心の焦点は、PDの検出法及び管理法を向上させる機会に対処することである。一方我々は、我々の技術の他の潜在的な用途も認識している。他の二つの大きな潜在的市場とは、コカイン濫用の監視12と、多動性注意欠陥障害(ADHD/ADD)に関する市場である。国立ADD協会によれば、ADHD/ADDの合併する状態に対し、何百人もの児童(米国人工の4乃至6%)が治療を受けているが、数多くが過剰な治療を受けている。その診断基準は長々しく複雑であり、親及び医師はしばしば臨床的に見て誤った結論を導き出している。我々の考えでは、決定的な検査法があれば、このような混乱を最小限にでき、不要な薬物使用を減らし、適切な治療の指針となり、そして通常処方されているリタリンTM、デキセドリンTM、及びアデロールTMといった現行の投薬を監視できるであろう。ADDと、ドーパミントランスポータ遺伝子13の変異との間で最近立証された相関関係は、DAT撮像剤の必要性をさらに実証するものである。
【0008】
パーキンソン病の新しい治療法を開発する方法の一つは、ピペリジン核を、この系の官能上の一体性やNキレータの確立された化学的性質を維持しながら調べることを含む。我々に独占権のある研究に基づき、我々は、様々な異性体型、又は他の人工的な修飾を利用して、DAT、SERT、及びNET選択的リガンドを合理的にデザインする能力を開発できた10。我々の独占的な立場により、我々は、当該分野で最近収められた多くの成功を足場に、構築することができた。このように、我々は、一連の新規なピペリジンモノアミントランスポータリガンドを合成してテクネチウム−99mで標識し、対応するレニウム類似体を調製し、それらのインビトロでの薬理を解析し、インビボでの局在化特性を調べ、ドーパミン輸送系の特異的トレーサとしてのそれらの可能性を評価することを、提案する。この新規なテクネチウム撮像剤は、初期の診断を向上させ、また、PD管理における潜在的治療方法の効果を追跡するものとなるであろう。
【0009】
具体的には、方法の一つは、全てのcis/trans異性体の分離及び精製を含め、一連の新規なピペリジンモノアミントランスポータリガンドを合成することである。次に、全てのsyn/anti異性体の分離、精製及び構造上の同定を含め、対応するレニウム−ピペリジン類似体を調製する。次に、インビトロで薬理試験を全てのピペリジンリガンド及びレニウム錯体に対して行ってもよい。その後に、スペシフィック エイム3 (原語:specific aim 3)に定義した高親和結合化合物の99mTc標識版を調製することができる。テクネチウム標識した錯体をHPLCで特徴付けてもよく、また、生理的pHでの緩衝液中や、ヒト血漿及び血清成分中でのそれら錯体の安定性を、時間及び濃度の関数の形で評価してもよい。さらに、インビボラット試験を行って、99mTc−錯体の脳内取り込みの評価を行ってもよい。
【0010】
この方法を行う際、Nで誘導変化させるピペリジンリガンドの合成は、Re/Tc−99mの化学的性質の生成、解析法、及び標識技術に従って行われるであろう。このレニウム化合物は、構造上の同定を行っても、またインビトロで薬理学的プロフィールを調べても、異性体として純粋な形で調製されるであろう。モノアミントランスポータへの結合選択性について、最初のレニウム化合物を評価したら、より有望なリガンドの99mTc化学的性質の生成に着手するであろう。リード化合物の選別は、セロトニンもしくはノルエピネフリントランスポータよりも、ドーパミントランスポータへの選択性が高いことに基づくことになろう。テクネチウム−99m同族体については、まず放射化学的純度及び安定性について、評価することになろう。次に、我々はラットで生体分布試験を行って脳内取り込みを評価し、DAT結合剤CFTの存在下及び不在下における保持解析を行うであろう。これらの試みを集約すれば、撮像用のDAT特異的リガンドを開発するための我々の方法が実現可能なものかどうかを、妥当な確実性をもって判断できるであろう。最初のシリーズの結果は、次のシリーズの99mTc剤候補の合成の指針としても、役立てることができる。
【0011】
上記の方法を達成できたら、例えばヒト以外の霊長類でのインビボ撮像試験など、以下の方法を追求してもよい。この方法では、以下、(i)スペシフィック エイム4(原語:specific aim 4)から選択されたTc−99m錯体と、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)を用いて非ヒト霊長類モデルで領域選択的な蓄積(黒質)があるかをバリデートする、(ii)非ヒト霊長類でトランスポータ選択的な作用物質による薬理的な刺激を与えて、インビボでのトランスポータ選択性を単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)で調べる、そして(iii)リードTc−99m錯体が、非ヒト霊長類の「疾患状態」を、例えば神経毒素であるMPTPの誘発した黒質の片側病変などとして画像化する能力を、評価する、ことが行われよう。その後、リード化合物のTc−99m錯体を調製するための「キット」を開発し、このリード化合物のTc−99m錯体の線量測定を評価してもよい。こうして、リード化合物のこのような合成を、(i)PK及び代謝試験、(ii)二種の動物中でのリード化合物の毒性評価、及び(iii)リード化合物のRe錯体の拡張薬理試験、まで、拡大してもよい。IND申請準備の開始を始めてもよい。
【0012】
PDの早期の診断は、この疾患の治療及び管理の成功にとって重要である。この問題に対処するために、我々は、我々が特許を得た錯体をさらに開発して、新規な簡単に標識できる99mTc−ピペリジンCNS撮像剤を作製することを提案する。Tc−99m−CNS撮像剤を作製できれば、パーキンソン病など、CNS関連疾患に対する現在の戦いに著しい診断上及び商業上の機会がもたらされるであろう。
【0013】
Tc−99mは、核医学で現在最も普通に用いられている放射性核種であり、6時間の半減期と140KeVガンマエネルギー(ガンマフォトンの85%)という望ましい物理的特性を、モリブデン生成元から簡単に溶離させられるという広汎な供給源とを併せ持つ23。現在用いられている放射性トレーサの85%を越えるものが、Tc−99mで標識されている24。これらの強制的な基準があるため、SPECTでDATをターゲティングするのに用いる我々の各シリーズのピペリジンリガンドを放射性標識するのに、Tc−99mを放射性核種として選ぶことになる。
【0014】
臨床医にとって明らかに必要なのは、患者の脳内のDAT受容体を継続的に観察できること、(1)原因病理、即ち最終的にドーパミン作動性ニューロンの変性に結び付くような事象のカスケード、及び(2)脳の撮像法、に関するより多くの情報を継続的に収集できること、患者のドーパミン作動性ニューロンの変性の程度を継続的に予測できること、である。これは早期の診断にとって重要なだけでなく、神経保護作用が期待できる化合物の効果を長期に観察するのにも、助けとなるであろう。ドーパミン受容体活性を明らかにする迅速な非観血的方法を開発することは、PDの理解、そしてその診断及び治療を向上させるための、鍵である。
【0015】
SPECTの放射性プローブとして99mTc−ピペリジン錯体のcis及びtrans異性体を調製する方法が開発されている。三種類の炭素スペーサピペリジン誘導体に関して行ってきた我々のこれまでの研究では25、この誘導体はDATにおいてレニウム錯体に対して高い結合親和性を示したが、我々としてはこの研究に基づいて、他の類似体も研究するつもりである。これらの錯体は高い結合親和性を示し、(結合アッセイ及び[H]マジンドールを用いた)そのK値は43乃至96nMの範囲であったが、脳内取り込み率は低かった。我々の広汎なSARライブラリを(炭素の繋ぎ鎖を減らして脳内取り込みを向上させた)Kung氏及び共同研究者の研究8,9と組み合わせると、我々のピペリジンをベースにした系は、過去の成功を維持しつつ、欠点、特に顕著な脳内取り込みという欠点、を向上させることができる、という信念に至った。我々の系は、2β位からNキレート基が側基として延びているという、コカインに似た官能基と、ピペリジンとこのN部分との間の炭素の繋ぎ鎖とを有する。さらに、我々の新規な錯体は、より小型の化学的成分であるピペリジンを用い、キレート基までの繋ぎとして用いた炭素も一個だけであることから、血液脳関門での分子量カットオフ値を遙かに下回り、脳内取り込みも向上するであろう。
【0016】
ピペリジン誘導体の金属中心(Tc又はRe)のキレートに関しては、安定性、予測可能性、電気的中性、及び、当該系に対する干渉がほとんどないという基準を念頭に置いて、我々はよく確立されたこのN系を用いて、丈夫な中性の金属(V)−オキソコアを作った。我々はペンダント基Nコアを合成することを提案する。かつてN誘導体は電荷電位に関係なく調製されていたが、我々は、Nキレート基が形式3−電荷を持つように特にデザインした。従って、金属−オキソ(3+)コアを加えると全体的な電荷は予測上は中性のままとなる。スキーム1−4に示した種類の中性のジアミノジチオール類似体を用いると、数多くの利点:即ちa)ピペリジン部分がTc−99mキレート部位から遠く離れていること、b)生成物が中性であり、コカイン類似体の一般的特性を維持すると予測できること、c)ジアミノジチオールの誘導体は室温でTc−99mをキレートさせるのに良好なリガンドであり、その放射化学的収率及び放射化学的純度も高いことが証明されていること、d)このリガンドのコアは金属を好ましい+5の酸化状態に保つこと、そして最後にe)Tc−99m−ジアミノジチオキレートの大きさは、フェニル基の大きさと同様であり26、結合にとって障害にならないこと、がある。このキレート戦略を用いるもう一つの利点は、Nのこの分子上での位置が、その最適な位置を調べるのに必要な場合は変更できることである。
【0017】
我々は最近、下のスキーム1で示した経路で、このシリーズの最初の類似体を調製した。この合成はまずピペリジンエステル1で開始したが、このピペリジンエステル1は文献8で報告されたとおりの二つのステップでアレコリンから簡単に調製できる。このエステル加水分解し、生成した酸を、ジクロロメタンに塩化オキサリルを加えたもので転化させて、対応する酸塩化物2にした。保護基の付いたNキレート基を2で直接アシル化しようとする最初の試みは失敗した。
【0018】
【表1】

【0019】
スキーム1:試薬及び条件(a)LiOH、H2O/THF、還流、18時間;(b)(COCl)2、CH2CL2、室温、2時間;(c)DMDP、ピリジン、室温、18時間;(d)BH3-THF、還流、6時間、次に1N HCl、還流1時間;(e)Et3N、MeCN、還流、12時間;(f)Hg(OAc)2、TFA、0℃、30分間、次にEtOH、H2S 20分間。
【0020】
よって、我々は、ピペリジンのファーマコフォア上にNキレート基を段階的に構築することに関心を向けた。酸塩化物2を、保護基の付いたアミン3に反応させると、対応するアミド4が容易に生成された。ボランのTHF溶液で還元し(て5を生成し)、6でアルキル化すると、完全に保護されたアミドアミノリガンド7ができた。このアミド官能基をボランのTHF溶液で還元すると、ジアミノジチオピペリジン8が生成した。そのp-メトキシベンジル保護基を、酢酸水銀(II)のTFA溶液で処理すると、所望のNリガンド9ができた。このリガンドをH NMR法で特徴付けした。
【0021】
ピペリジン−DATリガンドの最初のものは、Tc−99mグルコネートとのtransキレート反応により成功裏に標識付けされた。この生成物を酢酸エチル内に抽出し、HPLCにより、ハミルトンPRP-1カラムを用いて、ジメチルグルタミン酸緩衝液及びアセトニトリルで溶出させて、評価した。用いた方法は、10乃至60%のアセトニトリルによる勾配法だった。このHPLCでは、99mTcピペリジン錯体を用いた系は13分で溶出したが、前駆体は3分で溶出した。放射線化学収量は最大で50%であり、放射線化学純度は95%を越えていた。
【0022】
我々の主な関心の焦点は、PDの検出法及び管理法を向上させる機会に対処することである。一方で我々は、我々の技術の他の潜在的な用途も認識している。他の二つの大きな潜在的市場とは、コカイン濫用の監視12と、多動性注意欠陥障害(ADHD/ADD)に関するものである。国立ADD協会によれば、ADHD/ADDの合併する状態に対し、何百人もの児童(米国人工の4乃至6%)が治療を受けているが、数多くが過剰な治療を受けている。その診断基準は長々しく複雑であり、親及び医師はしばしば臨床的に見て誤った結論を導き出している。我々の考えでは、決定的な検査法があれば、このような混乱を最小限にでき、不要な薬物使用を減らし、適切な治療の指針となり、そして通常処方されているリタリンTM、デキセドリンTM、及びアデロールTMといった現行の投薬を監視できるであろう。ADDと、ドーパミントランスポータ遺伝子13の変異との間に最近立証された相関関係は、DAT撮像剤の必要性をさらに実証するものである。
【0023】
神経伝達物質受容体及びトランスポータは現在のところ、陽電子射出断層撮影法(PET)を用いて研究されている。最近の研究では、PDの臨床症状にとって必要な、線条のドーパミン神経支配が正常の85%以下失われていること、ドーパミン性神経緊張の50乃至60%の低下を、PETリガンド[11C]2β-カルボメトキシ-3-β-アリールトロパン及び[18F]6-フルオロ-DOPAを用いて検出できることが示された。近年、陽電子射出断層撮影法(PET)及び単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)を用いたCNSのドーパミントランスポータの撮像が実証されてきた。ドーパミントランスポータ部位の非観血的な測定のために用いられてきた放射性医薬の大半は、伝統的な再取り込み阻害剤、コカインの構造に基づいている14。コカイン自体、PETのリガンドとして用いられており、予測通り、ドーパミンの最終的な濃度が高い脳底神経節で濃度が高くなる。ドーパミントランスポータ部位への結合親和性がより高く、そして(代謝が遅いために)より良好な薬物動態特性を持つコカイン類似体が開発されている。これらリガンドのいくつかには、PET用には[11C]CFT(2β-カルボメトキシ-3β-(4-フルオロフェニル(トロパン)16及び[11C]メチルフェニデート17、そしてSPECT撮像用には[123I]β-CIT(2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨード-フェニル)トロパン18、[123I]IPT(N-(3-ヨードプロペン-2-イル)-2β-カルボメトキシ-3β-(4-クロロフェニル)トロパン)19及び[99mTc]TRODAT-120がある。PET/SPECTスキャンニングは、科学者がパーキンソン病のより良い治療法を探すのに利用できる現在では最良のツールであるが、この方法にはいくつか欠点がある。PETの操作には、サイクロトロンの取扱が必要であり、コストや複雑さの面から、現時点では幅広い利用に至っていない。ヨウ化させたこのリガンドは、有効であることが立証されていながら、市場は現在、I-123を長持ちするトレーサとしては受け止めていない。一方、Tc−99m−SPECT錯体は、脳内取り込みというその問題があるがために、その効果には大きな制約がある。問題は他にも、さらに別の化合物のトランスポータ選択性にまつわって起こっている21,22
【0024】
本発明の化合物及び方法
ある実施例においては、本発明の化合物は下記の式Aによって表され、
【化1】




但し、上記式において、
Xは、O又は(H)であり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル(heteroaralkyl)、アシル、アルコキシカルボニル(alkoxycarbonyl)、又はアルキルアミノカルボニル(alkylaminocarbonyl)であり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
はHであり、
は、それぞれ別個に、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
nは、0、1、又は2である。
【0025】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、XはOである、請求項1に記載の化合物。
【0026】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0027】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0028】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、Rは、H又はアラルキルである。
【0029】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、nは1である。
【0030】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0031】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0032】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0033】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、XはOであり、nは1である。
【0034】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0035】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0036】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0037】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式A及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又は4−メトキシベンジルであり、nは1である。
【0038】
ある実施例においては、本発明の化合物は下記の式Bによって表され、
【化2】



但し、上記式において、
Xは、O又は(H)であり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
は、それぞれ別個に、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
nは、0、1、又は2である。
【0039】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、XはOである。
【0040】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0041】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0042】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、Rは、H又はアラルキルである。
【0043】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、nは1である。
【0044】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0045】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0046】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0047】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、XはOであり、nは1である。
【0048】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0049】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0050】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0051】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式B及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又は4−メトキシベンジルであり、nは1である。
【0052】
ある実施例においては、本発明の化合物は下記の式Cによって表され、
【化3】



但し、上記式において、
Xは、O又は(H)であり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
はHであり、
は、それぞれ別個に、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
nは、0、1、又は2である。
【0053】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、XはOである。
【0054】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0055】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0056】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、Rは、H又はアラルキルである。
【0057】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、nは1である。
【0058】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0059】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0060】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0061】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、XはOであり、nは1である。
【0062】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0063】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0064】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0065】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式C及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又は4−メトキシベンジルであり、nは1である。
【0066】
ある実施例においては、本発明の化合物は下記の式Dによって表され、
【化4】


但し、上記式において、
Xは、O又は(H)であり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
は、それぞれ別個に、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
nは、0、1、又は2である。
【0067】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、XはOである。
【0068】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0069】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0070】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、Rは、H又はアラルキルである。
【0071】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、nは1である。
【0072】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0073】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、XはOであり、R4は任意に置換されるフェニルである。
【0074】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0075】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、XはOであり、nは1である。
【0076】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0077】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0078】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0079】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式D及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又は4−メトキシベンジルであり、nは1である。
【0080】
ある実施例においては、本発明の化合物は下記の式Eによって表され、
【化5】



但し、上記式において、
Xは、O又はSであり、
Yは、O又はSであり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
はHであり、
は、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
mは、1又は2であり、
nは、0、1、又は2である。
【0081】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOである。
【0082】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、YはOである。
【0083】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0084】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0085】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0086】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、mは1である。
【0087】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、nは1である。
【0088】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOである。
【0089】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0090】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0091】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0092】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOであり、mは1である。
【0093】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOであり、nは1である。
【0094】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0095】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0096】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0097】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式E及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、エチルであり、mは1であり、nは1である。
【0098】
ある実施例においては、本発明の化合物は下記の式Fによって表され、
【化6】



但し、上記式において、
Xは、O又はSであり、
Yは、O又はSであり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
は、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
mは、1又は2であり、
nは、0、1、又は2である。
【0099】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOである。
【0100】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、YはOである。
【0101】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0102】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0103】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0104】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、mは1である。
【0105】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、nは1である。
【0106】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOである。
【0107】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0108】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0109】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0110】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、mは1である。
【0111】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、nは1である。
【0112】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0113】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0114】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0115】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式F及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、エチルであり、mは1であり、nは1である。
【0116】
ある実施例においては、本発明の化合物は下記の式Gによって表され、
【化7】



但し、上記式において、
Xは、O又はSであり、
Yは、O又はSであり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
はHであり、
は、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
mは、1又は2であり、
nは、0、1、又は2である。
【0117】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOである。
【0118】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、YはOである。
【0119】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0120】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0121】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0122】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、mは1である。
【0123】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、nは1である。
【0124】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOである。
【0125】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0126】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0127】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0128】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、mは1である。
【0129】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、nは1である。
【0130】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0131】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0132】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0133】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式G及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、エチルであり、mは1であり、nは1である。
【0134】
ある実施例においては、本発明の化合物が式Hによって表され、
【化8】



但し、上記式において、
Xは、O又はSであり、
Yは、O又はSであり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
は、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
mは、1又は2であり、
nは、0、1、又は2である。
【0135】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOである。
【0136】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、YはOである。
【0137】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0138】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0139】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0140】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、mは1である。
【0141】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、nは1である。
【0142】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOである。
【0143】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0144】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0145】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0146】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、mは1である。
【0147】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、nは1である。
【0148】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0149】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0150】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0151】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式H及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、エチルであり、mは1であり、nは1である。
【0152】
ある実施例においては、本発明の化合物は下記の式Iによって表され、
【化9】



但し、上記式において、
Xは、O又は(H)であり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
は−C(O)ORであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
はHであり、
は、それぞれ別個に、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
nは、1、2、3、4又は5である。
【0153】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、XはOである。
【0154】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0155】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0156】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、Rは、H又はアラルキルである。
【0157】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、nは3である。
【0158】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0159】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0160】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0161】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、XはOであり、nは3である。
【0162】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0163】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0164】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はアラルキルである。
【0165】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式I及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、それぞれ別個に、H又はトリフェニルメチルであり、nは3である。
【0166】
ある実施例においては、本発明の化合物は下記の式Jによって表され、
【化10】



但し、上記式において、
Xは、O又はSであり、
Yは、O又はSであり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
は−C(O)ORであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
はHであり、
は、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
mは、1又は2であり、
nは、0、1、又は2である。
【0167】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOである。
【0168】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、YはOである。
【0169】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、Rはアルキルである。
【0170】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、Rは、任意に置換されるフェニルである。
【0171】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0172】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、mは1である。
【0173】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOである。
【0174】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rはアルキルである。
【0175】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0176】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0177】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOであり、mは1である。
【0178】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである。
【0179】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0180】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである。
【0181】
ある実施例においては、本発明の化合物が、式J及びその付帯定義によって表され、XはOであり、YはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、エチルであり、mは1である。
【0182】
ある実施例においては、本発明は、放射性核種と、式A、B、C、D、E、F、G、H、I、又はJによって表される化合物と、を包含する錯体に関する。この方法のある実施例においては、上記の放射性核種はテクネチウムである。
【0183】
ある実施例においては、本発明は、充分な量の放射性核種と、式A、B、C、D、E、F、G、H、I、又はJによって表される化合物とを包含する錯体を、哺乳動物に投与する段階を包含する、哺乳動物の脳組織を撮像する方法に関する。この方法のある実施例においては、上記の放射性核種はテクネチウムである。
【0184】
ある実施例においては、本発明は、充分な量の放射性核種と、式A、B、C、D、E、F、G、H、I、又はJによって表される化合物とを包含する錯体を、哺乳動物に投与する段階を包含する、哺乳動物の脳組織内のドーパミントランスポータを撮像する方法に関する。この方法のある実施例においては、上記の放射性核種はテクネチウムである。
【0185】
薬剤組成物
一実施例においては、本発明は、上述の化合物のうちの1つ又は複数の治療上有効量を1つ又は複数の薬学上容認可能な担体(添加剤)及び/又は希釈剤と組み合わせて製剤した、薬学上容認可能な化合物を提供する。下記により詳しく述べるように、本発明の薬剤組成物は、次の形状での使用を含めた、前記化合物を含有する固形状または液状の投与のために製剤されてもよい:(1)例えば液剤(水性または非水性または懸濁剤)、例えば口腔内、舌下及び全身からの吸収を目的とした錠剤、巨丸剤、粉末剤、顆粒剤、舌塗布用のペースト剤などの経口投与;(2)例えば無菌液剤または懸濁液剤または持続放出性の製剤としての皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射又は硬膜外注射などによる非経口投与;(3)例えばクリーム剤、軟膏剤または制御放出パッチまたはスプレー剤の皮膚への塗布などの局所適用;(4)例えばペッサリー、クリーム剤、泡剤などの膣内または直腸内投与;(5)舌下投与;(6)眼内投与;(7)経皮投与;又は(8)経鼻投与。
【0186】
ここで使用される「治療上有効量」という文言は、本発明の化合物を含有する化合物、物質又は組成物が、ある動物の少なくとも一細胞群に対して、いかなる医学的治療にも適用可能な相当の危険性−受益性割合で何らかの望ましい治療効果を発揮しうる量を意味する。
【0187】
「薬学上容認可能な」という文言は、ここでは、何らかの信頼できる医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー性応答又はその他の問題或いは合併症を伴うことなく、相当の危険性−受益性割合でヒト及び動物の組織に接触させて使用するのに適した化合物、物質、組成物及び/又は剤形を指すものとして使用される。
【0188】
ここで用いられる「薬学上容認可能な担体」という文言は、目的の化合物を、身体のある器官又は一部分から、その身体の別の器官又は一部分へと運搬又は輸送することに関する、液状のまたは固形状の充填剤、希釈剤、添加剤または溶液封入剤のような、薬学上容認可能な物質、組成物または賦形剤を意味する。各担体は、製剤中の他の成分と適合し、患者に有害でないという意味で「容認可能」でなければならない。薬学上容認可能な担体として使用できる物質の例は、薬剤組成中に用いられる以下の物質を含む:(1)ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;(2)コーンスターチ及びじゃがいも澱粉などの澱粉;(3)カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバターや坐剤ワックスなどの添加剤;(9)ピーナッツオイル、綿実油、紅花油、胡麻油、オリーブオイル、コーン油及び大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオル;(12)オレイン酸エチル及びエチルラウレートなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどのバッファ剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸バッファ溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物;及び(22)製剤に使用される他の非毒性適合物質。
【0189】
上述したように、本発明の化合物の複数の実施例に、アミノ又はアルキルアミドなどの塩基性官能基が含有されてもよく、従って、薬学上容認可能な酸が付加された薬学上容認可能な塩を形成することが可能である。この点で、「薬学上容認可能な塩」という術語は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機及び有機酸付加塩を指す。これらの塩を、投与賦形剤又は剤形の形成過程中にインシツで作製してもよいし、又は、遊離塩基の形の本発明の精製化合物を、好適な有機又は無機酸と個別に反応させ、生成した塩を単離させることにより作製してもよい。
【0190】
それぞれの塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩及びラウリルスルホン酸塩などが含まれる(例えば、Berge他(1977)”Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci. 66: 1−19を参照のこと)。
【0191】
目的の化合物の薬学上容認可能な塩には、例えば非毒性の有機又は無機酸から形成したその化合物の従来の非毒性の塩又は第4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような従来の非毒性の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、ホスホン酸、硝酸などの無機酸から誘導した塩;及び、酢酸、プロピオン酸、スクシン酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの有機酸から形成した塩が含まれる。
【0192】
別の複数の場合においては、本発明の化合物に、1つ又は複数の酸性の官能基が含有されてもよく、従って、薬学上容認可能な塩基が付加された薬学上容認可能な塩を形成することが可能である。この点で、「薬学上容認可能な塩」という術語は、本発明の化合物の比較的非毒性の無機及び有機塩基付加塩を指す。これらの塩を、同様に、投与賦形剤又は剤形の形成過程中にインシツで作製してもよいし、又は、遊離酸の形の精製化合物を、薬学上容認可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩などの好適な塩基、アンモニア、或いは薬学上容認可能な有機第一、第二又は第三アミンと個別に反応させ、生成した塩を分離することにより作製してもよい。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩及びアルミニウム塩などが含まれる。塩基付加塩の生成に有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが含まれる(例えばBerge他、同上を参照のこと)。
【0193】
ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤や、着色料、遊離剤、コーティング剤、甘味料、着香料及び芳香剤、保存料及び酸化防止剤が、前記組成物中に存在してもよい。
【0194】
薬学上容認可能な酸化防止剤の例には:(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性酸化防止剤;(2)アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α‐トコフェロールなどの油溶性酸化防止剤;及び、(3)クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤が含まれる。
【0195】
本発明の製剤には、経口、経鼻、局所(口腔内及び舌下を含む)、直腸内、経膣及び/又は非経口投与に適した製剤が含まれる。製剤が、一回服用量形式であると有利であろう。また、製剤技術上周知の任意の方法で作製されてもよい。担体材料と混合して一回服用量形式として作製することの可能な活性成分量は、治療されるホスト及び投与形態により異なるであろう。担体材料と混合して一回服用量形式として作製することの可能な活性成分量は、一般に、治療的効果を生じるような活性成分量であろう。前記活性成分量は、一般に、100%中約1%から約99%であり、好適には約5%から約70%であり、最も好適には約10%から約30%であろう。
【0196】
複数の実施例においては、本発明の製剤には、シクロデキストリン、リポゾーム、例えば胆汁酸などのミセル形成剤及び、例えばポリエステル及びポリ無水物などの高分子担体からなる群から選択された添加剤と、本発明の化合物とが含まれる。複数の実施例においては、上述の製剤によって、本発明の化合物が経口的に生体親和性となる。
【0197】
これらの製剤又は組成物の作製方法には、本発明の化合物を担体と結合させることと、任意に1つ又は複数の補助成分と結合させることとが含まれる。一般に、前記製剤は、本発明の化合物を均一かつ完全に、液性担体又は超微粒子の固形担体或いはこれらの双方と結合させ、必要な場合は、次に製品に成形することにより、作製される。
【0198】
経口投与に好適な本発明の製剤は、それぞれに所定量の本発明の化合物が活性成分として含有されている、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(通常はスクロースとアラビアゴム又はトラガカントを着香基剤として使用)、粉末剤、顆粒剤の形であってもよいし、又は、水性のもしくは非水性の液体の液剤又は懸濁剤、水中油型のもしくは油中水型の液体乳剤、エリキシル剤又はシロップ剤、香錠剤(ゼラチンとグリセリン、又はスクロースとアカシアゴムなどの不活性基剤を使用)、及び/又はうがい剤などの形であってもよい。本発明の化合物は、巨丸剤、舐剤又は糊剤として投与されてもよい。
【0199】
本発明の経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖剤、粉末剤、顆粒剤など)においては、活性成分は、クエン酸ナトリウム又はリン酸2カルシウム、及び/又は任意の以下の薬学上容認可能な担体の1つ又は複数と混合されている:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸などの充填剤又は増量剤;(2)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアカシアゴムなどの結合剤;(3)グリセロールなどの保水剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、幾つかのケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの液体緩染剤;(6)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイトクレイなどの吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物などの潤滑剤;及び(10)着色料。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合は、薬剤組成物にバッファ剤が含有されていてもよい。同様の種類の固形組成物を、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した充填剤として用いて、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセルに封入してもよい。
【0200】
錠剤を、1つ又は複数の補助成分を任意に用いて、圧縮又は成形により作製してもよい。圧縮錠剤を、結合剤(例えばゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウム又は架橋結合カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤を用いて製剤してもよい。不活性の液体希釈剤で加湿した粉末化合物の混合物を好適な機械で成型することにより、成形錠剤を作製してもよい。
【0201】
本発明の薬剤組成物の、錠剤及びその他の、例えば糖剤、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤などの固体剤形を、腸溶コーティング及びその他のコーティングなどの、製薬業において周知のコーティング及び外皮を任意に用いて達成又は作製してもよい。また、これらを、その中に含有される活性成分がゆっくりと放出される、又はその放出が制御されるように、例えば所望の放出プロフィールを得るための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、リポゾーム及び/又はマイクロスフェアを用いることにより、製剤してもよい。これらを、例えば凍結乾燥させることにより、迅速に放出されるように製剤してもよい。
【0202】
これらを、例えば除菌フィルタでの濾過により、或いは滅菌水に溶解可能な滅菌固形組成物の形の滅菌剤又はその他の何らかの滅菌注射用媒質と使用直前に組み合わせることにより、滅菌してもよい。これらの組成物が、遅鈍化剤も任意に含有してもよく、また、胃腸管の特定の部分にのみ又は選択的に、任意に遅効的な仕方で、活性成分を放出する組成物であってもよい。使用可能な包埋組成物の例には、高分子物質及びろう剤が含まれる。活性成分を、適切な場合には、上述の賦形剤の1つ又は複数と共にマイクロカプセルに封入してもよい。
【0203】
本発明の経口投与用の液体剤形には、薬学上容認可能な乳剤、微粒子乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれる。活性成分に加えて、液体剤形には、例えば水又はその他のエチルアルコール、イソプロピルアルコール、カルボン酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−プチレングリコール、油(特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物などの溶剤、可溶化剤及び乳化剤のような、当業で広く使用されている不活性の希釈剤が含まれてもよい。
【0204】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物には、加湿剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、香料、着色料、着香料及び保存料などのアジュバントが含まれてもよい。
【0205】
懸濁剤に、活性化合物に加えて、例えばエトキシイソステアリルアルコール、ポリオキしエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、デンプン及びトラガカント、及びこれらの混合物などの懸濁化剤が含まれてもよい。
【0206】
本発明の薬剤組成物の直腸内及び膣内投与用製剤を、坐剤として提供してもよい。例えばカカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス又はサリチル酸塩を含有し、室温では固形であるが体温では液状であるために、直腸又は膣腔内で溶解して活性化合物を放出する1つ又は複数の好適な非刺激性の賦形剤又は担体と、本発明の1つ又は複数の化合物とを混合することにより、前記坐剤を調製してもよい。
【0207】
膣内投与に好適な本発明の製剤には、適切であることが当業で知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡又はスプレー製剤も含まれる。
【0208】
本発明の化合物の局所投与及び経皮投与用の剤形には、粉末剤、スプレー剤、軟膏剤、糊剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ又は吸入剤が含まれる。活性化合物を、無菌条件下で、薬学上容認可能な担体及び、必要となるかもしれない任意の保存料、バッファ又は噴射剤と混合してもよい。
【0209】
軟膏剤、糊剤、クリーム剤及びゲル剤に、本発明の活性成分に加えて、動物性及び植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又はこれらの混合物などの賦形剤が含まれてもよい。
【0210】
粉末剤及びスプレー剤に、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物などの賦形剤が含まれてもよい。スプレー剤に、クロロフルオロ炭化水素及び、ブタン及びプロパンのような揮発性の置換されていない炭化水素などの通常の噴射剤が更に含まれていてもよい。
【0211】
経皮パッチは、本発明の化合物の身体への送達を制御できるという更なる利点を有する。前記化合物を適切な媒質中に溶解又は分散させることにより、このような剤形を形成可能である。吸収促進剤を用いて、前記化合物の皮膚上の流動性を高めることが可能である。速度調節膜を設けることにより、又は前記活性化合物をポリマーマトリックス又はゲル中に分散させることにより、このような流動の速度を調節することが可能である。
【0212】
眼科用の製剤、眼軟膏剤、粉末剤、液剤なども、本発明の範囲に含まれるものとして企図されている。
【0213】
非経口投与に好適な本発明の薬剤組成物は、本発明の1つ又は複数の化合物と、1つ又は複数の薬学上容認可能な滅菌等張性の水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液又は乳液、或いは使用直前に無菌注射用溶液又は分散液に溶解させてもよい無菌粉末などとの組合せを含有し、これに砂糖、アルコール、抗酸化剤、バッファ、静菌剤、前記製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質或いは懸濁化剤又は濃縮化剤が含まれていてもよい。
【0214】
本発明の薬剤組成物に使用可能な好適な水性及び非水性の担体の例には、水、エタノール、ポリオル(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びこれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが含まれる。レシチンなどのコーティング剤を用いることにより、分散剤の場合は必要な粒度を維持することにより、又は界面活性剤を用いることにより、適切な流動度を維持してもよい。
【0215】
これらの組成物が、保存料、加湿剤、乳化剤及び分散剤などののアジュバントを含有してもよい。例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの様々な抗細菌及び抗真菌剤を含有させることにより、微生物活動の防止を確実にしてもよい。また、砂糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を前記組成物に含有させることが望ましい。更に、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅らせる薬剤を含有させることにより、注射用薬剤の吸収を持続させてもよい。
【0216】
幾つかの場合においては、薬剤の効果を持続させるために、皮下又は筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅らせることが望ましい。水溶性の低い結晶性又は無晶性材料の懸濁液を用いてこれを達成可能である。この場合の薬剤の吸収速度は、懸濁液の溶解度に左右され、この溶解度は、結晶の大きさと結晶形とに左右される。又は、薬剤を油性の送達剤に溶解又は懸濁させることにより、非経口投与薬剤の吸収を遅らせてもよい。
【0217】
ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解可能なポリマーを母材とした本発明の化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより、注射用のデポ製剤を作製してもよい。薬剤のポリマーに対する比及び使用する特定のポリマーの性質により、薬剤の放出速度を調節することが可能である。その他の生分解可能なポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。身体組織と親和性のリポゾーム又はマイクロカプセル中に薬剤を混入させることにより、デポ注射用薬剤を調製してもよい。
【0218】
本発明の化合物を薬剤としてヒト及び動物に投与する際には、これらの化合物をそれ自体で、又は薬学上容認可能な担体と組み合わせる場合には、活性成分の例えば0.1%から99.5%(より好適には、0.5%から90%)を含有する薬剤組成物として投与してもよい。
【0219】
本発明の薬剤を、経口投与、非経口投与、局所投与又は直腸内投与してもよい。当然のことながら、これらはそれぞれの投与経路に適した形状で投与される。例えばこれらは、錠剤又はカプセル剤の形で、又は点眼剤、軟膏、坐剤などの形で、又は注射、点滴もしくは吸入により投与され、又は;ローション又は軟膏により局所投与され;及び、坐剤により直腸投与される。経口投与が好適である。
【0220】
ここで使用される「非経口投与」及び「非経口的に投与された」という文言は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与方式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄膜下、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内及び胸骨内注射及び点滴も含まれるが、これらに限定されることはない。
【0221】
ここで使用される「全身投与」、「全身投与された」、「末梢投与」及び「末梢投与された」という文言は、化合物、薬剤又はその他の材料が、患者の系に入って代謝及び別の同様の過程の影響を受けるような具合に投与される、中枢神経系への直接投与以外の、例えば皮下投与などの投与を意味する。
【0222】
これらの化合物を、経口投与、例えばスプレー剤による経鼻投与、直腸内投与、膣内投与、非経口投与、槽内投与、例えば粉末剤、軟膏剤又はドロップ剤による、口腔内投与及び舌下投与を含めた局所投与を含む適切な投与経路を介して、ヒト及びその他の動物に、治療のために投与してもよい。
【0223】
適切に水和させて使用可能な本発明の化合物及び/又は本発明の薬剤組成物は、選択する投与経路にかかわらず、当業で周知の従来の方法を用いて、薬学上容認可能な剤形に製剤される。
【0224】
本発明の薬剤組成物の活性成分の実際の投与量レベルは、特定の患者、組成物及び投与方法に応じて、患者に毒性を発揮することなく所望の治療的反応を達成するのに有効であるような活性成分量を得られるように、様々に異なってもよい。
【0225】
選択される投与量レベルは、使用する本発明の特定の化合物の活性、又はこれらのエステル、塩又はアミド、投与経路、投与時間、使用する特定の化合物の排出又は代謝の速度、治療の持続時間、使用する特定の薬剤と組み合わせて使用される他の薬剤、化合物及び/又は材料、年齢、性別、体重、容態、全身的健康状態、治療される患者の過去の病歴、及びその他の医療技術上周知の同様の要因を含めた様々な要因に左右されるであろう。
【0226】
当業における通常の技術を有する医師又は獣医師は、必要とされる薬剤組成物の有効量を容易に決定及び処方することが可能である。例えば、医師又は獣医師が、本発明の化合物の投与を、所望の治療的効果を得るのに必要とされるよりも低いレベルの量で開始し、前記所望の効果が得られるまで徐々に投与量を増加させることが可能である。
【0227】
一般に、本発明の化合物の適切な一日量は、その化合物が治療効果を発揮することの可能な最小の用量であろう。そのような有効量は、一般に、上述した要因に左右されるであろう。一般に、本発明の化合物を患者に静脈内、脳室内及び皮下投与する場合の用量は、望ましい鎮痛効果を得るためには、体重1キログラムに対して、一日当たり、約0.0001mgから約100mgであろう。
【0228】
所望の場合には、活性化合物の有効一日量を、一日の間に、適切な間隔を置いて、2回、3回、4回、5回、6回又はそれ以上の回数に分割して、任意に一回服用剤形として投与してもよい。
【0229】
本発明の化合物を単独で投与することも可能であるが、前記化合物を薬剤(組成物)として投与することが望ましい。
【0230】
一実施例においては、本発明は、上述の化合物のうちの1つ又は複数の治療上有効量を1つ又は複数の薬学上容認可能な担体(添加剤)及び/又は希釈剤と組み合わせて製剤した、薬学上容認可能な化合物を提供する。下記により詳しく述べるように、本発明の薬剤組成物は、次の形状での使用を含めた、前記化合物を含有する固形状または液状の投与のために製剤されてもよい:(1)例えば液剤(水性または非水性または懸濁剤)、錠剤、巨丸剤、粉末剤、顆粒剤、舌塗布用のペースト剤などの経口投与;(2)例えば無菌液剤または懸濁液剤としての皮下注射、筋肉内注射又は静脈内注射などによる非経口投与;(3)例えばクリーム剤、軟膏剤、スプレー剤の皮膚、肺、口腔などへの局所適用;(4)例えばペッサリー、クリーム剤、泡剤などの膣内または直腸内投与;(5)舌下投与;(6)眼内投与;(7)経皮投与;又は(8)経鼻投与。
【0231】
本発明の化合物を、他の薬剤から類推した任意の有利な方法で、ヒト又は動物への投与のために製剤してもよい。
【0232】
「治療」という用語は、予防、療法呼び治癒をも包含するものとして意図されている。
【0233】
この治療を受ける患者は、霊長類、特にヒト、及びその他の、例えばウマ、ウシ、ブタ及びヒツジなどの哺乳類;並びに一般的な家禽類及びペットを含めた、この治療を必要としている任意の動物である。
【0234】
本発明の化合物を、それ自体で、又は薬学上容認可能な担体と組み合わせて投与してもよく、また、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド及びグリコペプチドなどの抗菌剤と組み合わせて投与してもよい。
【0235】
連続投与には、最初に投与した活性化合物の治療効果が完全に消失する前に次の活性化合物を投与するような仕方で、連続して、同時に又は別々に活性化合物を投与することが含まれる。
【0236】
本発明の活性化合物を動物試料に添加する際には、前記活性化合物を有効量含有する試料プレミックスを予め調製し、このプレミックスを完全試料中に混合することが望ましい。
【0237】
又は、活性成分を含有する中間濃縮物又は試料サプリメントを試料中に混合してもよい。そのような試料プレミックス及び完全試料の調製及び投与方法は、参考文献(”Applied Animal Nutrition”, W. H. Freedman and CO.,サンフランシスコ,米国,1969又は”Livestock Feeds and Feeding”0 and B books, Corvallis,オレゴン州,米国,1977)に記載されている。
【0238】
コンビナトリアル・ライブラリ
本発明の化合物のコンビナトリアル・ライブラリを、医薬、農化学、又は他の生物学的又は医療に関連した活性又は材料に関連した性質のスクリーニングに向けて、調製してもよい。本発明の目的のためのコンビナトリアル・ライブラリは化学的に関連した化合物の混合体であり、この混合体を所望の性質についてまとめてスクリーニングすることができ、前記ライブラリも、溶液中にあっても、又は固体支持体に共有結合させてもよい。単一の反応で数多くの関連する化合物を調製できれば、実行せねばならないスクリーニング・プロセスの数を大きく低下させ、また簡便化することができる。適切な生物学的、薬学的、農化学的又は物理学的特性に関するスクリーニングを、従来の方法で行ってもよい。
【0239】
ライブラリの多様性は、多様なレベルで作り出すことができる。例えば、コンビナトリアル法で用いる基質アリール基は、例えば環構造でふ入りになっているなど、コアとなるアリール部分で多様であっても、及び/又は、他の置換基の部分で多様になっていてもよい。
【0240】
小型の有機分子のコンビナトリアル・ライブラリを作製するには、当業において様々な技術が得られる。例えば、Blondelle et al. (1995) Trends Anal. Chem. 14:83; the Affymax U.S. Patents 5,359,115 and 5,362,899: the Ellman U.S. Patent 5,288,514: the Still et al. PCT publication WO 94/08051; Chen et al. (1994) JACS 116:2661: Kerr et al. (1993) JACS 115:252; PCT publications WO92/10092, WO93/09668 and WO91/07087; 及び the Lerner et al. PCT publication WO93/20242)を参照されたい。従って約16から1,000,000又はそれ以上といったダイバーソマに関する様々なライブラリを合成でき、特定の活性又は性質についてスクリーニングすることができる。
【0241】
例示的な実施例では、例えば基質のある一つの位置に位置するなど、加水分解可能な又は光分解可能な基によってポリマ・ビードに結合させるなど、スティル氏らのPCT公報WO 94/08051に説明された技術に適合された当該反応を用いて、置換されたダイバーソマのライブラリを合成することができる。このスティル氏の技術によれば、ライブラリは一組のビード上で合成されるが、各ビードは、そのビード上にある特定のダイバーソマを判別できるようにした一組のタグを含んでいる。酵素阻害剤を発見するのに特に適した実施例の一つとしては、透過可能な膜の表面上にビードを分散させ、そのダイバーソマをこのビードから、ビード・リンカの溶解によって解放することができる。各ビードからのダイバーソマは、この膜を通ってアッセイ領域に拡散し、このアッセイ領域で酵素アッセイと相互作用することになる。数多くのコンビナトリアル法の詳細な説明を下で行う。
【0242】
A)直接的な特徴付け
コンビナトリアル化学の分野で成長中の傾向としては、質量分析法(MS)など、フェムトモルより小さい量の化合物を特徴付けるのに用いることのできる技術の感受性を利用したり、コンビナトリアル・ライブラリから選別された化合物の化学的構成を直接調べるといった傾向がある。例えば、ライブラリを不溶性の支持マトリックス上に提供した場合、化合物の個別の集団を最初にその支持体から解放し、MSで特徴付けることができる。別の実施例では、MS試料調製技術の一部として、MALDIなどのMS技術を用いて化合物をマトリックスから、特に、化合物をマトリックスに繋ぎ止めるために最初に不安定な結合を用いた場合に、解放することができる。例えば、マトリックスからダイバーソマを解放し、そのダイバーソマをMS分析のために電離させるために、ある一つのライブラリから選別したビードを、MALDIステップで照射することができる。
【0243】
B)マルチピン合成
本方法のライブラリはマルチピン・ライブラリ・フォーマットを採ることができる。簡単に説明すると、ゲイセン氏及びその共同研究者は(Geysen et al. (1984) PNAS 81:3998-4002)、マイクロタイタ・フォーマットに並べた、ポリアクリル酸をグレーティングしたポリエチレン製ピン上のパラレル合成によって化合物ライブラリを作製する方法を紹介した。このゲイセン氏の技術を用いて、このマルチピン法を用い、一週間当たり数千の化合物を合成及びスクリーニングすることができ、繋ぎ止められた化合物を多くのアッセイで再利用してもよい。さらに、純度評価及び更なる評価を行うために、合成後に支持体から化合物を切り離せるよう、適したリンカ部分をこのピンに繋げることもできる(Bray et al. (1990) Tetrahedron Lett 31:5811-5814; Valerio et al. (1991) Anal Biochem 197:168-177; Bray et al. (1991) Tetrahedron Lett 32:6163-6166参照)。
【0244】
C)分割−カップリング−リコンバイン
さらに別の実施例では、化合物のふ入りのライブラリを、分割−カップリング−リコンバインというストラテジを用いて一組のビード上で提供することができる(例えばHoughten (1985) PNAS 82:5131-5135; and U.S. Patents 4,631,211; 5,440,016; 5,480,971を参照されたい)。簡単に説明すると、この名称が暗に示すように、縮合がライブラリに導入される各合成ステップにおいて、当該ライブラリの特定の位置に付加される異なる置換基の数に等しいグループにビードを分割し、この異なる置換基を別々の反応でカップリングし、ビードをリコンバインし、次回の反復のための一個のプールにするのである。
【0245】
ある一つの実施例では、分割−カップリング−リコンバイン・ストラテジを、Houghten氏が開発したいわゆる「ティーバッグ法」に類似の方法を用いて実施することができ、このとき化合物の合成は、樹脂で密封された、内側が多孔質のポリプロピレンバッグで起きる(Houghten et al. (1986) PNAS 82:5131-5135)。こうしてこのバッグを適した反応溶液中に配置することで、置換基を、化合物を保持した樹脂に結合させ、樹脂洗浄及び脱保護といった全ての共通のステップは、一個の反応容器中で同時に行われる。合成終了時、各バッグは一個の化合物を含有することとなる。
【0246】
D)光指示、空間指定可能なパラレル化学合成によるコンビナトリアル・ライブラリ
一個の化合物の同定が、合成基質上でのその位置によってなされるようなコンビナトリアル合成のスキームは、空間指定可能な合成法と呼ばれる。ある一つの実施例では、このコンビナトリアル・プロセスは、固体支持体上の特定の位置上への化学試薬の添加をコントロールすることによって行われる(Dower et al. (1991) Annu Rep Med Chem 26:271-280; Fodor, S.P.A. (1991) Science 251:767; Pirrung et al. (1992) U.S. Patent No. 5,143,854; Jacobs et al. (1994) Trends Biotechnol 12:19-26)。写真印刷の空間解像力によって、小型化が可能である。この技術は、感光性の保護基を用いた保護/脱保護反応の利用を通じて実施できる。
【0247】
この技術の主要な点はGallop et al. (1994) J Med Chem 37:1233-1251に説かれている。感光性のニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)保護されたアミノリンカ又はその他の感光性のリンカの共有結合を通じたカップリングのために合成基質が調製される。光を用いて、カップリングに向けて合成支持体の特定の領域を選択的に活性化させる。感光性の保護基を光によって除去する(脱保護)と、選択された区域が活性化する。活性化後、それぞれがアミノ末端に感光性保護基を持つアミノ酸類似体の組の最初のものが表面全体に露出される。カップリングは、前のステップで光によって指定された領域のみで起きる。この反応を停止させ、プレートを洗浄し、第二のマスクを通じて基質をサイド照射し、第二の保護されたビルディングブロックとの反応に向けて異なる領域を活性化させる。マスクのパターン及び反応物の順序が、生成物及びそれらの位置を決定することとなる。このプロセスは写真印刷技術を用いているため、合成できる化合物の数は、適した解像度で指定することのできる合成部位の数の制限を受けるだけである。各化合物の位置が精確に判明しているために、その他の分子とのその相互作用を直接指定できる。
【0248】
光指示化学合成においては、生成物は、照射パターン及び反応物添加の順序に依存する。刷板パターンを変えることで、数多くの様々な組のテスト化合物を同時に合成することができるが、この特徴は、数多くの様々なマスキング・ストラテジの作製につながる。
【0249】
E)コードされたコンビナトリアル・ライブラリ
さらに別の実施例では、当該方法は、コードされたタギング系を備えた化合物ライブラリを利用する。コンビナトリアル・ライブラリからの活性化合物の同定における最近の改良法は、一本のビードになされた反応ステップをユニークにコードしているタグと、推論ではあるがそれが持つ構造と、を用いた化学的指標系を利用するものである。概念的には、この方法は、発現したペプチドから活性を得るが、この活性ペプチドの構造は、対応するゲノムDNA配列から推論されるような、ファージ展示ライブラリを模倣したものである。合成コンビナトリアルライブラリの最初のコーディングは、DNAをコードとして用いた。その他、多様な形のコーディングが報告されており、その中には、配列決定可能なバイオ−オリゴマ(例えばオリゴヌクレオチド及びペプチド)を用いたコーディング法や、配列決定不可能なタグを更に用いた二進法コーディング法がある。
【0250】
1)配列決定可能なバイオ−オリゴマを用いたタギング
コンビナトリアル合成ライブラリをコードするのにオリゴヌクレオチドを用いる原理は、1992年に説かれており (Brenner et al. (1992) PNAS 89:5381-5383)、このようなライブラリの一例が、翌年に発表されている(Needles et al. (1993) PNAS 90:10700-10704)。各々が特定のジヌクレオチド(それぞれTA, TC, CT, AT, TT, CA及びAC)によってコードされた全ての組合せのArg、Gln、Phe、Lys、Val、D-Val及びThr(三文字のアミノ酸の記号)から成る公称7(=823,543)のペプチドのコンビナトリアル・ライブラリが、固体支持体上でペプチド及びオリゴヌクレオチド合成を、一連にして交互に行うことによって作製された。この研究では、オリゴヌクレオチド合成の場合は保護されたOH基を、そしてペプチド合成には保護されたNH基を生じる(ここでは1:20の比で)試薬と一緒にビードを同時に予備インキュベートすることによって、ペプチド又はオリゴヌクレオチド合成に向けて、ビード上のアミン結合官能性を特異的に差異化させた。終了時、タグはそれぞれ69量体から成ったが、そのうち14単位はこの記号を持っていた。ビードに結合したライブラリを、蛍光標識した抗体と一緒にインキュベートし、蛍光の強力な結合抗体を含有するビードを、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって採集した。このDNAタグをPCRによって増幅し、配列決定し、予測されたペプチドを合成した。このような技術に従えば、化合物ライブラリは、当該方法で用いるように得られるが、当該方法でのタグのオリゴヌクレオチド配列は、特定のビードに対してなされた連続的なコンビナトリアル反応を表すものであり、従って、そのビード上の化合物の正体を明らかにするものである。
【0251】
オリゴヌクレオチドのタグを利用することにより、感受性の優れたタグ分析が可能となる。しかしながら尚、当該方法では、タグ及びライブラリ・メンバの同時合成を交互に行うために必要なオルトゴナルの組の保護基を注意深く選択せねばならない。さらに、タグ、特にリン酸塩及び糖アノメリック結合の化学的不安定性によって、オリゴマー以外のライブラリの合成に利用できる試薬及び条件の選択が限られてくる場合がある。好適な実施例では、本ライブラリは、アッセイに向けてテスト化合物のライブラリ・メンバを選択的に切り離すことができるリンカを利用する。
【0252】
さらにペプチドはコンビナトリアル・ライブラリのタギング分子としても利用されてきた。当業においては二つの例示的な方法が説かれているが、その両方が、コーディング鎖及びリガンド鎖を交互につなげた、固相上に枝分かれしたリンカを用いている。最初の方法 (Kerr JM et al. (1993) J Am Chem Soc 115:2529-2531)では、合成におけるオルトゴナリティは、コーディング鎖には酸に弱い保護を、そして化合物鎖には塩基に弱い保護を利用することによって、達成している。
【0253】
もう一つの方法 (Nikolaiev et al. (1993) Pept Res 6:161-170)では、枝分かれしたリンカを用いて、コーディング単位及びテスト化合物の両方が、樹脂上の同じ官能基に結合できるようにしている。実施例の一つでは、切断可能なリンカを、枝分かれの点とビードとの間に配置して、切断の結果、コード及び化合物の両方を含有する分子が解放されるようにすることができる (Ptek et al. (1991) Tetrahedron Lett 32:3891-3894)。別の実施例では、切断可能なリンカは、コードを残したまま、テスト化合物をビードから選択的に分離できるよう、切断可能なリンカを配置することができる。この最後のコンストラクトは特に貴重であるが、それはなぜなら、それによって、コーディング基の潜在的な干渉を受けずに、テスト化合物をスクリーニングすることができるからである。ペプチド・ライブラリ・メンバ及びそれらの対応するタグの個別の切断及び配列決定の、当業における例の結果、このタグは、ペプチド構造を精確に予測するものであることが確認された。
【0254】
2)配列決定の不可能なタギング:二進法コーディング法
テスト化合物ライブラリをコーディングするための、もう一つの代替的な形は、二進法のコードとして用いられる、一組の配列決定不可能な電子含有タギング分子を利用するものである(Ohlmeyer et al. (1993) PNAS 90:10922-10926)。タグの例は、電子捕捉ガスクロマトグラフィ(ECGC)によってフェムトモルレベルよりも小さいレベルで、それらのトリメチルシリルエーテルとして検出可能なハロ芳香族アルキルエーテルである。アルキル鎖の長さの変更や、芳香族ハリド置換基の性質及び位置の変更により、原理的には240個(例えば1012から上)の異なる分子をコードすることのできる、少なくとも40個のこのようなタグの合成が可能である。最初の報告(上記Ohlmeyer et al.) では、このタグを、光切断可能なo-ニトロベンジニルリンカを介してペプチドライブラリの利用できるアミン基のうちの約1%に結合させていた。ペプチド様又はその他のアミン含有分子のコンビナトリアル・ライブラリを作製する場合、この方法は便利である。しかしながら、基本的にあらゆるコンビナトリアル・ライブラリのコーディングを可能とする、より多能な系が開発されている。そこで、当該化合物を、固体支持体に、光切断可能なリンカを介して結合させており、そのタグを、カテコールエーテルのリンカを通じ、カルベン挿入を介してビード・マトリックス中に結合させる(Nestler et al. (1994) J Org Chem 59:4723-4724)。このオルトゴナル結合ストラテジにより、溶液中でのアッセイに向けてライブラリ・メンバを選択的に切り離すことができ、その後、このタグの組の酸化的解離の後にECGCにより解読することができる。
【0255】
当業ではいくつかのアミド結合ライブラリは、アミン基に結合させた電子含有タグを用いた二進法コーディングを利用しているが、これらのタグをビード・マトリックスに直接結合させることにより、コードされるコンビナトリアル・ライブラリ中に作製できる構造に、より大きな多能性がもたらされる。このように結合させると、タグ及びそれらのリンカは、ビード・マトリックス自体とほぼ同じ程度に非反応性となる。二進法で符号化されたコンビナトリアル・ライブラリが二つ、報告されているが、これらの方法では、電子含有タグは、固相に直接結合され(Ohlmeyer et al. (1995) PNAS 92:6027-6031)ており、当該化合物ライブラリを作製する上での目印となっている。両ライブラリは、ライブラリ・メンバが固体支持体に光不安定性のリンカによって結合され、タグは強力な酸化によってのみ切断可能なリンカを通じて結合されているといった、オルトゴナル結合ストラテジを用いて構成された。ライブラリのメンバは固体支持体から繰り返し、部分的に光溶離させることができるため、ライブラリ・メンバを複数のアッセイに利用することができる。さらに連続的な光溶離により、高収量の反復的スクリーニング・ストラテジが可能となる。一番目に、複数のビードを96ウェルのマイクロタイタ・プレートに容れ、二番目に、化合物を部分的に切り離し、アッセイプレートに移し、三番目に、金属結合アッセイにより活性のあるウェルを識別し、四番目に、対応するビードを一つずつ、新しいマイクロタイタ・プレートに再度並べ、五番目に、単一の活性化合物を同定し、そして六番目に、構造を解読する。
【0256】
実施例
以上、本発明を概略的に解説したところで、以下の実施例を参考にされれば、より容易に理解されようが、以下の実施例は単に本発明の特定の態様及び実施例の描写を目的に含まれたのであり、本発明を限定するものとは、意図していない。
【0257】
実施例1
一連の新規なピペリジンモノアミントランスポータリガンドの合成
我々が独占権を持つピペリジンモノアミントランスポータリガンドは、関連するトロパンと構造活性関係にあるが、異性体型及びエナンチオマー型でより簡単に調製できるため、そのモノアミン選択度に幅を持たせることができる。この選択度は、C−3位エステルの配向や、リガンドの絶対的立体配置を含め、多くの因子への依存度が高いため、予備研究で用いた様々な条件下で、各異性体の両方のエナンチオマー(スキーム2)を調製することとする。trans-(+)異性体[(+)-10]は対応するcis-(-)異性体[(-)-1]から、酸を触媒とするエピマー化で容易に調製される8
【0258】
【表2】

【0259】
スキーム2:試薬及び条件(a)LiOH、H2O/THF、還流、18時間;(b)(COCl)2、CH2CL2、室温、2時間;(c)DMDP、ピリジン、室温、18時間;(d)BH3-THF、還流、6時間、次に1N HCl、還流1時間;(e)Et3N、MeCN、還流、12時間;(f)Hg(OAc)2、TFA、0℃、30分間、次にEtOH、H2S 20分間。
【0260】
「3+1」法をMTPTのN-プロピルチオール類似体を用いた利用した予備研究では、優れた脳内取り込みがあったため、この予備研究に基づき、スキーム3に示すように、Nキレート単位をピペリジンの窒素に繋げた形で有する二番目のシリーズの化合物を調製することとする。必要となるN-クロロプロピル類似体は、我々の研究室で既に調製されており、優れた収率で得られる。この比較的に立体障害の少ない塩化物は、PMBで保護されたNキレート基で直接アルキル化することができると思われる。あり得ないことだが、これが不可能と判明した場合、このキレートを、我々の予備研究で用いたのと同様な段階的態様で構築することもできる。
【0261】
【表3】

【0262】
スキーム3:試薬及び条件(a)ACE-Cl、ClCH2CH2Cl、還流、4時間、次にMeOH、還流;(b)BrCH2CH2CH2Cl、K2CO3、アセトン、還流、12時間(c)(PMBSCH2CH2NCH22、KI、アセトニトリル;(d)Hg(OA)2、TFA、0℃、30分間、次にEtOH、H2S 20分間。
【0263】
実施例2
レニウム−ピペリジン錯体の調製
VII族金属であるテクネチウム及びレニウムの性質は、周期関係のために大変似通っている。これらの金属は、チオール、窒素、ホスフィン及びこれら二つの金属のオキソ化学でしばしば見られるように、同様な反応上の化学的性質を呈すると思われる。同様に、ペルレネート及びペルテクネテートも大変似た反応挙動を有する28。SnCl2による(VII)金属オキソ種の同様な還元により、通常すずで還元する99mTcを用いる医療上有用なテクネチウム99mのモデルとして、非放射性のレニウムを容易に置換することができる。レニウム−ピペリジン錯体の合成は、この生成物の構造を特徴付ける簡単な手段となるであろう。次に、この特徴付けられた生成物を、インビトロでの薬理試験に利用することもできる。さらに、Tc及びReの周期関係から、類似のレニウム錯体をモデリングすることで放射性医薬品をデザインできることも、分かる29
【0264】
レニウム類似体の合成は、安定で中性のレニウム−オキソ錯体を形成する際にN系の確立済みの化学的性質に従ったものとなるであろう30,31。我々のN系は、簡単に外せる陽子を三個持つため、予測可能な金属錯体を、全体的な実効電荷がゼロの状態で形成する。Re(V)は、[TBA][ReOBr4(OPPh3)] を適当なピペリジンリガンドに、1:1.2の比で、10mLのメタノール及び塩基として三当量のNEt3 の中で反応させることで、合成されるであろう。この反応液は30分間、還流させる。反応液の冷却後、生成物は、Spies及び共同研究者が確立した方法32を用いた小型のカラムで精製することとなる。その代わりに、レニウム(V)開始材料 [ReOCl3(PPh3)2] を、レニウム開始材料候補として利用してもよい。我々はこの多彩な材料で、過去、窒素及び硫黄の供与原子を扱うのに成功している33,34。 この反応の概略図をスキーム4で図示する。合成されたレニウム−ピペリジン錯体をキラルHPLCカラムを通過させて、最近の手法35に従って分離及び精製することになるであろう。 次にこの錯体を元素解析、赤外分光分析、質量分光法、及びNMR分光法で分析する。最後に我々は 99Tc/Re-ピペリジン錯体の結晶化を試みることであろう。
【0265】
【表4】


【0266】
スキーム4.レニウム−ピペリジン錯体の合成
【0267】
実施例3
ピペリジンリガンド及び対応するレニウム錯体のインビトロでの薬理試験
各レニウム−オキソ錯体や、遊離リガンドの薬理プロフィールは、各モノアミントランスポータでの結合親和性により、判断されるであろう。DAT(CHO細胞で発現させたヒト組換え体)での結合親和性は、 0.15 nM [125I]RTI-55を変位させるその能力で判断されるであろう36。NET(CHO細胞で発現させたヒト組換え体)での結合親和性も、この錯体が0.20 nM [125I]RTI-55を変位させる能力で判断されよう37。5−HTT(HEK-293で発現させたヒト組換え体)での結合親和性は、0.15 nM [125I]RTI-55を変位させるその能力で判断されるであろう36。化合物はすべて、まず10-6 M で(二重反復式で)テストし、40%を越える変位を見せた化合物を(二重反復式で10-7、10-8、10-9 Mで)検定し、およそのIC50 値を計算する。
【0268】
実施例4
99mTc標識版の高親和性ピペリジンの調製及び特徴付け
Tc−99mで標識されたピペリジン錯体は、10 mCi のTcO4- を、グルセプト酸ナトリウム (200 mg/3 ml)の0.9% 生理食塩水溶液に加えることで、調製されるであろう。20分間インキュベートした後、酢酸ナトリウム(50 mM, pH 5.2) 及び適したピペリジンリガンド(50 ug)の溶液400ulに加えることとなる。この混合液を80℃で30分間、加熱する。次にこの混合液を酢酸エチル (3 x 1 mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、窒素ガス下で乾燥させる。次のこの残渣をエタノール (400 ul) 中に再度溶解し、ハミルトンPRP-1 (5 mm, 25 cm) カラムを用いたHPLCで、CH3CN バッファを用いて反応生成物を溶離させて純度をチェックする。このバッファはジメチルグルタール酸(0.05 mM)から成るが、その後そのpHをNaOHで7.0 に調節する。
【0269】
我々の予備研究の一部として、我々は既に、99mTc標識付きピペリジン錯体に関する、安定性検査案を策定していた。放射性標識してある化合物の溶液中及び血漿中での安定性は、時間や、pH及び溶媒といった溶液条件の関数として決定されるであろう。具体的には、放射性標識を付けて分離した後、生成物を室温で48時間、放置した後、HPLC解析を行って、標識の保持具合や、生成物の分解をチェックすることとなる。我々は、TcO4- の再形成や、還元後の種TcO2 について分析するであろう。 インビボでの標識安定性を予測するのに役立つよう、リガンド刺激も加えるであろう。具体的には、この生成物を、例えばシステイン、アルブミン、及びトランスフェリンといった競合する生物学的リガンドと一緒にインキュベートして、放射性標識の安定性を、HPLC解析で検査する。最後に我々は、血漿中や、時間及びpHの関数という点でも、生成物を検査するであろう。
【0270】
実施例5
いくつかの 99mTc-錯体の脳内取り込みのインビボラット試験
薬理試験を完了し、ドーパミントランスポータに対するリガンド及びレニウム錯体の結合親和性が示唆され、Tc-99m標識法が解明したら、予備ラット試験を行うこととなる。この試験では、脳内への取り込み及び保持が評価されることになる。この評価は、Tc-99m-ピペリジン錯体のラットへの投与後様々な時点で組織のサンプルを採取して行われるであろう。この試験を、ドーパミントランスポータへの結合をめぐって競合するβ−CITで前処理を行って反復すれば、特定の取り込みが遮断できるかどうかを判断できるであろう。脳内取り込み及び保持を、このシリーズ内同士や他のSPECT DAT錯体で比較してもよいであろう。
【0271】
実施例6
(+)-4βb-(4’-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3β-[2-(4’-メトキシベンジルチオ)-エチル)アミノメチル]-N-[2-(4’-メトキシベンジルチオ)エチル)]アセトアミド ((+)-5)の合成
【0272】
【表5】


【0273】
(-) リチウム4β-(4’-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3b-カルボキシレート、 (-)-2: (-)-1 (Kozikowski et. al. J. Med. Chem. 1998, 41, 1962-1969, 5.0 g, 19 mmol)及びLiOH (670 mg, 28 mmol)を混合して溶かしたTHF/H2O (2:1, 150 mL) 溶液を加熱しながら16時間、還流させた。次に、その結果生成した澄んだ無色の溶液を濃縮して30mLにし、エーテル (100 mL)で洗浄した。次にこの水溶液を濃縮して(-)-2 を白色の固体 (7.28 g、定量)として得て、これをそのまま用いた。
【0274】
(+) リチウム 4-(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3b-カルボキシレート、(+)-2:
上の通り、(+)-1から調製して、(+)-2を白色の固体(定量)として得て、それをそのまま用いた。
【0275】
(-)-N-[2-(4'-メトキシベンジルチオ)エチル]4-(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3--カルボキシアミド、(-)-3: (-)-2 (3.50 g, 8.9 mmol)のTHF (50 mL)懸濁液に、2 M のHCl の無水エーテル(25 mL)溶液を加えた。その結果得られた混合液を室温で30分間、攪拌して、濃縮した。得られた残渣をTHF/CH2Cl2 (1:1、50 mL)に懸濁させ、塩化オキサリル(4.0 mL, 48 mmol)を滴下して加えた。その結果得られた懸濁液を室温で2時間、攪拌して、生じた黄色の溶液を濃縮して、粗酸塩化物を黄色の泡の形で得た。この泡をTHF (100 mL)中に溶解させ、1-アミノ-2-(4’メトキシベンジルチオ)エタン (3.8 g, 19 mmol)及びEt3N (5.4 mL, 39 mmol)の混合液で処理した。できた反応液を室温で2時間、攪拌した後、濃縮した。得られた残渣を、飽和NaHCO3 (75 mL)に懸濁させ、CH2Cl2 (2 x 75 mL)で抽出した。フラッシュ・クロマトグラフィ(EtOAc/Et3N, 9:1, SiO2)を行うと、(-)-3 (2.44 g, 63% from (-)-1)が澄んだ無色の油として得られた: Rf 0.6 (EtOAc/Et3N, 9:1); [ ]D -71.0 (c 1.33, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) 1.69-1.74 (m, 1H), 2.06-2.18 (m, 1H), 2.23-2.36 (m, 4H), 2.56 (t, 2H, J = 6.2 Hz), 2.69 (m, 1H), 2.79 (dt, 1H, J = 4.7, 11.0 Hz), 3.02-3.08 (m, 2H), 3.23-3.29 (m, 1H), 3.43-3.51 (m, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 6.85 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.07 (d, 2H, J = 9.5 Hz), 7.20 (d, 2H, J = 9.5 Hz), 7.23 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 8.99 (m, 1H)].
【0276】
(+)-N-[2-(4'-メトキシベンジルチオ)エチル] 4b-(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3b-カルボキシアミド、(+)-3: 上の通り、(+)-2 から調製して (+)-3 (8.6 g, (+)-1から88%) を澄んだ無色の油として得た: [ ]D + 70.4 (c 2.09, CHCl3)。
【0277】
(-)-4 -(4’-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3b-[2-(4’-メトキシベンジルチオ)エチル)アミノメチル], (-)-4: 水素化アルミニウムリチウム (430 mg, 11 mmol)を(-)-3 (2.4 g, 5.6 mmol)のTHF (50 mL)溶液に分配しながら加えた。得られた懸濁液を加熱しながら18時間、還流させ、次に1 N のNaOH (10 mL)水溶液を加えて慎重に反応を停止させた。できた混合液を30分間攪拌した後、セライト濾過した。水層を濾過物から分離してCH2Cl2 (2 x 25 mL)で抽出した。プールしたその有機抽出物を乾燥(Na2SO4)させ、濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(EtOAc/Et3N, 9:1, SiO2)を行うと、(-)-4 (1.3 g, 55%)が、澄んだ粘性の油として得られた:Rf 0.3 (EtOAc/Et3N, 9:1); [ ]D -45.9 (c 1.50, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) 1.69-1.77 (m, 1H), 2.02-2.11 (m, 3H), 2.18-2.28 (m, 2H), 2.30 (s, 3H), 2.45-2.49 (m, 2H), 2.55-2.62 (m, 2H), 2.78-2.85 (m, 2H), 3.01-3.05 (m, 1H), 3.03 (d, 1H, J = 7.4 Hz), 3.59 2H), 3.78 (s, 3H), 6.81 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.14 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.16 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.27 (d, 2H, J = 8.2 Hz).
【0278】
(+)-4 -(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3 -[2-(4'-メトキシベンジルチオ)エチル)アミノメチル]、 (+)-4: 上の通り、(+)-3から調製して(+)-4 (2.46 g, 46 %)を澄んだ無色の油として得た: [ ]D + 45.1 (c 1.74, CHCl3).
【0279】
(+)-4 -(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3 -[2-(4'-メトキシベンジルチオ)エチル)アミノメチル] N-[2-(4'-メトキシベンジルチオ)エチル)]アセトアミド (+)-5: (+)-4 (1.45 g, 3.5 mmol)、N-[2-(4’-メトキシベンジルチオ)エチル)] 2-ブロモアセトアミド (2.0 g, 6.9 mmol)及びK2CO3 (1.4 g, 10 mmol) の混合液を、室温でMeCN (10 mL)中で攪拌した。28時間後に、溶媒を取り除き、残渣を飽和NaHCO3 (50 mL)中に懸濁させ、CH2Cl2 (3 x 25 mL)で抽出した。プールしたこの有機抽出物を乾燥(Na2SO4)させ、濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(EtOAc/Et3N, 9:1, SiO2)を行うと、(+)-5 (871 mg, 38 %)が澄んだ粘性の油として得られた:Rf 0.5 (EtOAc/Et3N, 9:1); [ ]D + 66.1 (c 1.40, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) 1.61-1.66 (m, 1H), 1.72-1.79 (m, 1H), 1.89-2.03 (m, 3H), 2.04 (s, 2H), 2.23 (s, 3H), 2.27-2.47 (m, 4H), 2.53 (t, 2H, J = 7.0 Hz), 2.66-2.83 (m, 2H), 2.86-2.95 (m, 2H), 3.13 (d, 1H, J = 8.9 Hz), 3.32-3.46 (m, 2H), 3.57 (s, 2H), 3.68 (s, 2H), 3.77 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 6.80-6.87 (m, 4H), 7.04 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.16 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.23-7.27 (m, 4H), 8.10 (m, 1H).
【0280】
実施例7
(-)-N-4 -(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3 -メチル N-(2-ピリジル)メチルアミン ((-)-7)の合成
【0281】
【表6】


【0282】
(-)-N-(2-ピリジル)メチル 4-(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3--カルボキシアミド、(-)-6: (-)-2 (3.7 g, 9.7 mmol)のTHF (50 mL) 懸濁液に、HClの無水エーテル(25 mL)溶液2Mを加えた。できた混合液を30分間、室温で攪拌し、濃縮した。得られた残渣をTHF/CH2Cl2 (1:1, 50 mL)中に懸濁させ、塩化オキサリル (4.5 mL, 52 mmol)を滴下して加えた。その結果できた懸濁液を室温で2時間、攪拌し、できた黄色の溶液を濃縮して、粗酸塩化物を黄色の泡の形で得た。この泡をTHF (100 mL)に溶解させ、2-アミノメチルピリジン (1.8 mL, 18 mmol) 及びEt3N (5.4 mL, 39 mmol)の混合液で処理した。できた反応液を室温で2時間、攪拌した後、濃縮した。得られた残渣を、飽和NaHCO3 (75 mL)中に懸濁させ、 CH2Cl2 (3 x 75 mL)で抽出した。フラッシュ・クロマトグラフィ(EtOAc/Et3N, 9:1, SiO2)を行って(-)-6 (1.82 g, (-)-1から55% )を黄色の無色の油として得た: Rf 0.33 (EtOAc/Et3N, 9:1); [ ]D - 60.9 (c 1.21, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) 1.68 (dd, 1H, J = 2.4, 13.3 Hz), 2.05-2.12 (m, 1H), 2.26-2.37 (m, 5H), 2.74 (m, 1H), 2.77-2.80 (m, 1H), 3.04-3.13 (m, 2H), 4.50 (abq, 2H), 6.97 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.14 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.19 (dd, 1H, J = 5.0, 7.0 Hz), 7.26 s, 1H), 7.64 (m, 1H), 8.57 (d, 1H, J = 4.3 Hz), 9.45 (m, 1H)].
【0283】
(+)-N-(2-ピリジル)メチル 4 -(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3--カルボキシアミド、(+)-6:上の通り、(+)-2 から調製して (+)-6 (4.6 g, (+)-1から68% )を黄色の無色の油として得た: [ ]D + 60.4 (c 1.03, CHCl3).
【0284】
(-)-N-4 -(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3 -メチル N-(2-ピリジル)メチルアミン、 (-)-7: 水素化アルミニウムリチウム(400 mg, 11 mmol)を、(-)-6 (1.8 g, 5.3 mmol)のTHF (50 mL)溶液に分配しながら加えた。できた懸濁液を加熱しながら18時間、還流させた後、1NのNaOH (10 mL)水溶液で慎重に反応停止させた。その結果得られた混合液を30分間、攪拌した後、セライト濾過した。水層を濾過物から分離し、CH2Cl2 (3 x 25 mL)で抽出した。プールしたこの有機抽出物を乾燥(Na2SO4)させ、濃縮した。 フラッシュ・クロマトグラフィ (CH2Cl2/EtOH/Et3N, 7:2:1, SiO2)を行うと、(-)-7 (352 mg, 20%) が暗い粘性の油として得られた: Rf 0.65 (EtOAc/Et3N, 9:1); [ ]D -39.4 (c 1.41, CHCl3)。
【0285】
(+)-N-4 -(4'-クロロフェニル)-1-メチルピペリジン-3 -メチル N-(2-ピリジル)メチルアミン、 (+)-7: 上の通り、(+)-6 から調製して (+)-7 (2.46 g, 46 %)を澄んだ無色の油として得た: [ ]D + 45.1 (c 1.74, CHCl3).
【0286】
実施例8
放射性標識したピペリジン錯体((+)-14)の合成
【0287】
【表7】


【0288】
(-)-メチル 4 -(4-クロロフェニル)ピペリジン-3 -カルボキシレート (-)-9: (-)-1 (8.9 g, 33 mmol)、1-クロロエチル クロロホルメート (5.4 mL, 50 mmol)、及びK2CO3 (150 mg)の1,2-ジクロロエタン (100 mL)溶液を加熱しながら2時間、還流させ、HClのエーテル(40 mL)溶液1Mで希釈した。できた混合液をSiO2のパッドを通して濾過し、このパッドをCH2Cl2 (100 mL)で洗浄した。化合した濾過物を濃縮し、MeOH (100 mL)で希釈し、加熱しながら16時間、還流させた。16時間後、溶媒を取り除き、残った油分を10% HCl (150 mL)中に懸濁させ、EtOAc (100 mL)で洗浄し、NH4OHで塩基性にし、CH2Cl2 (3 X 150 mL)で抽出した。 プールしたCH2Cl2層を濃縮し、クロマトグラフィ(EtOAc/Et3N, 9:1)にかけて、(-)-9 (6.8 g, 78%)を澄んだ無色の油として得た: Rf = 0.15 (EtOAc/Et3N, 9:1); [ ]D - 177 (c 0.92, EtOH); 1H NMR (CDCl3) 1.76 (dd, 1H, J = 2.4, 13.2 Hz), 2.04 (br s, 1H), 2.46 (ddd, 1H, J = 4.4, 12.7, 18.0 Hz), 2.80-2.89 (m, 2H), 3.07-3.13 (m, 2H), 3.40-3.50 (m, 2H), 3.56 (s, 3H), 7.24 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.38 (d, 2H, J = 8.3 Hz); 13C NMR (CDCl3) 26.7, 42.9, 45.7, 46.6, 49.1, 51.0, 128.3, 128.5, 132.1, 141.9, 173.8; MS m/z (%) 253 (19), 194 (37), 115 (48), 57 (100).
【0289】
(+)-メチル 4 -(4-クロロフェニル)ピペリジン-3b-カルボキシレート (+)-9: 上の通り、(+)-1 から調製して(+)-9 (78%)を澄んだ粘性の油として得た: [ ]D + 190 (c 1.1, EtOH).
【0290】
(+)-メチル4 -(4-クロロフェニル)-1-(3-クロロプロピル)ピペリジン-3 -カルボキシレート (+)-11: (+)-9 (1.4 g, 5.5 mmol)、ブロモクロロプロパン (1.5 mL, 15 mmol)、及び K2CO3 (4.1 g, 30 mmol) のアセトン(100 mL)溶液を室温で18時間、攪拌した。この反応混合液を飽和NaHCO3 (100 mL) で希釈し、エーテル (2 X 75 mL)で抽出した。プールしたこの有機抽出物を、水(50 mL)、ブライン(50 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させた。クロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc, 1:1, SiO2)を行うと、(+)-11 (1.5 g, 83 %)が澄んだ無色の油として得られた: Rf = 0.8 (ヘキサン/EtOAc, 1:1); [ ]D + 26.6 (c 1.05, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) 1.36 (m, 1H), 1.77 (m, 1H), 1.99-2.18 (M, 3H), 2.27-2.42 (m, 3H), 2.52-2.62 (m, 3H), 3.35 (m, 1H), 3.08-3.19 (m, 5H), 6.96 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 7.14 (d, 2H), J = 8.7 Hz). MS m/z (%) 331 (3), 329 (9), 294 (12), 266 (100), 223 (27).
【0291】
(+)-メチル 4 -(4-クロロフェニル)-1-(3-[N-(トリチルチオ)エチル]アセトアミジル] -N-(トリチルチオ)エチルアミノプロピル)ピペリジン-3 -カルボキシレート (+)-12: (+)-11 (260 mg, 0.79 mmol)、N-(トリチルチオ)エチル]アセトアミジル N-(トリチルチオ)エチルアミン (535 mg, 0.79 mmol)、KI (10 mg)及びK2CO3 (140 mg, 1 mmol) のMeCN (25 mL)溶液を加熱しながら8時間、還流させた。この溶媒を取り除き、残渣を1/2飽和したNaHCO3 (50 mL)に懸濁させて、エーテル (3 X 25 mL)で抽出した。プールしたこの有機抽出物を乾燥(Na2SO4)させ、濃縮した。クロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc、勾配、SiO2)を行うと、(+)-12 (110 mg, 14 %)が澄んだ無色の油として得られた: Rf = 0.4 (EtOAc).
【0292】
(+)-メチル 4 -(4-クロロフェニル)-1-(3-[N-(トリチルチオ)エチル]アセトアミジル] -N-(トリチルチオ)エチルアミノプロピル)ピペリジン-3 -カルボキシレート (+)-13: (+)-12 (10 mg)のCH2Cl2 (250 mL)溶液にTFA (300 mL)及びトリエチルシラン(200 mL)を加えた。この溶液を室温で30分間、攪拌した。溶媒を窒素ガス流下で取り除き、ヘキサン(3 X 1 mL)で洗浄した。得られた(+)-13 (6 mg, 80%)の残渣をDMSO (600 mL)の中に溶解させた。
【0293】
(+)-13 のTc-99mによる放射性標識付け: [99mTc]ペルテクネテート(10 mCi)を グルセプト酸ナトリウム (200 mg/3 mL)の0.9% 生理食塩水溶液に加えた。20分後、一アリクォート(400 mL)をNaOAc (400 mL, 50mM, pH 5.2)及び(+)-13 (1mg = 100ul DMSO)の溶液に加えた。この混合液を室温で30分間、インキュベートし、この時点で生成物の収率及び純度についてHPLCで分析した。このHPLCは、ヴァイダック社のC198カラムを付けたヴァリアンProStar 345 だった。Tc-99mで標識したピペリジン錯体は、溶媒H2O + 0.1%TFA 及びCH3CN + 0.1%TFAで勾配(0-100%B) 法を用いて溶離させた。HPLC分離後、このTFA をウォーターズC18 Sep-Pakを用いて取り除き、ミリポアMillex-GV 0.22μmフィルタを通して濾過した。最終生成物を希釈し、0.9% の生理食塩水を加えて等張にして、3.98 mCi の活性を含有する一用量(10mL)とした。調製後3及び24時間の時点でHPLC分析をこの用量に行うと、生成物は両方の時点で90%を越える純度であった。
【0294】
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32. Spies, H., Fietz, T., Pietzsch H-J., Johannsen, B., Leibnitz, P., Reck, G., Scheller, D., Klostermann, K.、「三座ジチオレート(原語:dithiolates)および単座アルカン−またはアレーン−チオレート・コリガンド(原語:alkane-or arene-thiolate coligands)との中性オクソレニウム(V)錯体」、J. Chem. Soc. Dalton Trans. (1995年) 2277-2280

33.Maresca, K. P., Bonavia, G. H., Babich, J. W., Zubieta, J. A.、「オクソレニウム−チオレートの化学的性質の‘3+1’概念の陽イオンおよび二核錯体への拡張(原語:Expansion of the'3+1' concept of oxorhenium-thiolate chemistry to cationic and binuclear complexes)」、Inorg. Chem. Comm. (1998年) 1: 209-212

34.Rose, D. J., Maresca, K. P., Kettler, P. B., Chang, Y. D., Soghomonian, V., Chen, Q., Abrams, M. J., Larsen, S. K., Zubieta, J.、「レニウムチオレート錯体の合成と特徴指摘」、Inorganic Chemistry (1995年) 35: 3556-3562

35.Luyt, L. G., Jenkins, H. A., Hunter, D., H.、「テクネチウム99mおよびレニウムに関するN2S2二官能価のキレート化剤:単一異性体に対する錯体形成、共役、およびエピマー化」、Bioconjugate Chem. (1999年) 10: 470-479

36.Gu, H.; Wall, S. C.; Rudnick, G.、「生体アミン・トランスポータの安定発現によって、阻害因子感受性、動態、およびイオン依存性の違いが判明する」、J. Biol. Chem. (1994年) 269, 7124-7130

37.Galli, A.; DeFelice, L. J.; Duke, B. J.; Moore, K. R.; Blakely, R. D.、「コカインおよび抗うつ薬によって遮断されるノルエピネフリン・トランスポータ移入HEK−293細胞におけるナトリウム依存性ノルエピネフリン誘導電流」、J. Exp. Biol. (1995年) 198,2197-2212
【0295】
参照による編入
ここに引用した全ての特許および出願は、参照によって本開示に含むものとする。
【0296】
均等物
当業者なら、通常の実験法を用いるだけで、ここに説明された本発明の特定の実施形態に対して多くの均等物を認識または確認することになろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式Eによって表される化合物であって、




但し、上記式において、
Xは、O又はSであり、
Yは、O又はSであり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
はHであり、
は、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
mは、1又は2であり、
nは、0、1、又は2である、化合物。
【請求項2】
XはOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
YはOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Rはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
は、任意に置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
は、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
mは1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
nは1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
XはOであり、YはOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
XはOであり、Rはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
XはOであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
XはOであり、mは1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
XはOであり、nは1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
XはOであり、YはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、エチルであり、mは1であり、nは1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
下記の式Fによって表される化合物であって、




但し、上記式において、
Xは、O又はSであり、
Yは、O又はSであり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
は、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
mは、1又は2であり、
nは、0、1、又は2である、化合物。
【請求項20】
XはOである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
YはOである、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
Rはアルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
は、任意に置換されるフェニルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
は、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項25】
mは1である、請求項19に記載の化合物。
【請求項26】
nは1である、請求項19に記載の化合物。
【請求項27】
XはOであり、YはOである、請求項19に記載の化合物。
【請求項28】
XはOであり、Rはアルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項29】
XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項30】
XはOであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項31】
XはOであり、mは1である、請求項19に記載の化合物。
【請求項32】
XはOであり、nは1である、請求項19に記載の化合物。
【請求項33】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項34】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項35】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項36】
XはOであり、YはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、エチルであり、mは1であり、nは1である、請求項19に記載の化合物。
【請求項37】
下記の式Gによって表される化合物であって、




但し、上記式において、
Xは、O又はSであり、
Yは、O又はSであり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
はHであり、
は、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
mは、1又は2であり、
nは、0、1、又は2である、化合物。
【請求項38】
XはOである、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
YはOである、請求項37に記載の化合物。
【請求項40】
Rはアルキルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項41】
は、任意に置換されるフェニルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項42】
は、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項43】
mは1である、請求項37に記載の化合物。
【請求項44】
nは1である、請求項37に記載の化合物。
【請求項45】
XはOであり、YはOである、請求項37に記載の化合物。
【請求項46】
XはOであり、Rはアルキルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項47】
XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項48】
XはOであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項37に記載の化合物。
置換されるフェニルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項49】
XはOであり、mは1である、請求項37に記載の化合物。
【請求項50】
XはOであり、nは1である、請求項37に記載の化合物。
【請求項51】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に
【請求項52】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項53】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項54】
XはOであり、YはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、エチルであり、mは1であり、nは1である、請求項37に記載の化合物。
【請求項55】
下記の式Hによって表される化合物であって、




但し、上記式において、
Xは、O又はSであり、
Yは、O又はSであり、
Rは、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
はHであり、
はHであり、
は、任意に置換されるアリール、又はヘテロアリールであり、
は、H、アルキル、アルコキシル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、アルコキシカルボニル、又はアルキルアミノカルボニルであり、
mは、1又は2であり、
nは、0、1、又は2である、化合物。
【請求項56】
XはOである、請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
YはOである、請求項55に記載の化合物。
【請求項58】
Rはアルキルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項59】
は、任意に置換されるフェニルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項60】
は、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項61】
mは1である、請求項55に記載の化合物。
【請求項62】
nは1である、請求項55に記載の化合物。
【請求項63】
XはOであり、YはOである、請求項55に記載の化合物。
【請求項64】
XはOであり、Rはアルキルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項65】
XはOであり、Rは任意に置換されるフェニルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項66】
XはOであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項67】
XはOであり、mは1である、請求項55に記載の化合物。
【請求項68】
XはOであり、nは1である、請求項55に記載の化合物。
【請求項69】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項70】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項71】
XはOであり、YはOであり、Rはアルキルであり、Rは任意に置換されるフェニルであり、Rは、H、アルキル、又はアラルキルである、請求項55に記載の化合物。
【請求項72】
XはOであり、YはOであり、Rはメチルであり、Rは4−クロロフェニルであり、Rは、エチルであり、mは1であり、nは1である、請求項55に記載の化合物。


【公開番号】特開2012−31179(P2012−31179A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192414(P2011−192414)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2001−561364(P2001−561364)の分割
【原出願日】平成13年2月22日(2001.2.22)
【出願人】(507412863)モレキュラ インサイト ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】