説明

パーボイル米の製造方法

【課題】排水処理設備を必要とせず、かつγ−アミノ酪酸等の機能性成分の含有量を増加させたパーボイル米の製造方法を提供する。
【解決手段】原料玄米を分搗き精米する分搗き工程と、分搗き精米された米粒を加水する加水工程と、加水された米粒の水分調質を行う水分調質工程と、水分調質を行った米粒を蒸気で加熱する常圧蒸煮工程と、前記常圧蒸煮工程で加熱された米粒を加圧蒸気で蒸煮する加圧蒸煮工程と、前記加圧蒸煮工程後の米粒に対し、少なくとも該米粒の表面の熱を低下させる冷却工程と、前記冷却工程にて冷却された米粒を仕上げ精米する仕上げ精米工程と、仕上げ精米された米粒を乾燥する乾燥工程とを含むパーボイル米の製造方法において、前記加水工程における米粒の加水を、湿り空気の通風によって行うという技術的手段を講じた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に長粒種や中粒種の玄米原料をパーボイル米にする製造方法及びその製造方法により製造されたパーボイル米に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水やお湯を加えることによって、短時間のうちに炊飯米の状態に戻すことのできる乾燥米飯食品がある。この乾燥米飯食品の種類の一つにパーボイル米がある。このパーボイル米は、インドやパキスタンなどのアジア地域のほか、アメリカやヨーロッパにおいても食されている。前記パーボイル米は、原料の籾(もみ)米をそのまま蒸煮(アルファ化)し、次いで乾燥、籾摺り、精米を順次行って製造され、食べるときには、お湯の中で10分〜20分程度茹(ゆ)でて食される。しかし、前記パーボイル米は、製造過程において原料籾米をそのまま蒸煮するため、籾殻の臭い等が胚乳に浸透し、籾殻臭の風味を有したものとなっている。
【0003】
近年、前記パーボイル米の食味に対する消費者の好みが多様化し、パーボイル米に付いた籾殻臭の風味を嫌う消費者が増えており、これに対応するため、籾殻臭を有さないパーボイル米の開発が行われている。その先行技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたようなパーボイル米の製造方法がある。これら特許文献1,2に記載されている製造方法は、原料籾米をそのまま蒸煮するのではなく、原料籾米を籾摺し、籾摺りして得た玄米を蒸煮(アルファ化)することにより、胚乳に籾殻臭が浸透せず、籾殻臭の風味が付いていないパーボイル米(製品)を製造するというものである。
【0004】
【特許文献1】特許第3649339号公報
【特許文献2】米国特許第5275836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記先行技術には、以下のような問題点がある。前記先行技術において、原料の玄米を蒸煮する際、蒸煮に先立って、前記玄米の含水率を30%前後に上昇させるための浸漬工程を必要とする。該浸漬工程は、約60℃の温水を入れた浸漬タンクに原料玄米を例えば60分間浸漬させる工程である。このため、前記浸漬タンクには大量の水が必要であるとともに、使用後の水を排水するために排水処理設備が必要である。したがって、前記浸漬工程において大量の温水を使用することによるランニングコストの増大の問題や、前記排水処理設備を必要とすることによる設備コストの増大の問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点にかんがみ、前記浸漬工程のような大量の温水を使用して玄米の含水率を上昇させる工程を設けることなく、また、前記排水処理設備を必要としないパーボイル米の製造方法を提供し、かつ前記パーボイル米の機能性成分の含有量を高めることを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、原料玄米を分搗き精米する分搗き工程と、分搗き精米された米粒を加水する加水工程と、加水された米粒の水分調質を行う水分調質工程と、水分調質を行った米粒を蒸気で加熱する常圧蒸煮工程と、前記常圧蒸煮工程で加熱された米粒を加圧蒸気で蒸煮する加圧蒸煮工程と、前記加圧蒸煮工程後の米粒に対し、少なくとも該米粒の表面の熱を低下させる冷却工程と、前記冷却工程にて冷却された米粒を仕上げ精米する仕上げ精米工程と、仕上げ精米された米粒を乾燥する乾燥工程とを含むパーボイル米の製造方法において、前記加水工程における米粒の加水を湿り空気の通風によって行うという技術的手段を講じた。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記加水工程において、温度が50℃以上で、かつ湿度が90%以上である湿り空気を米粒に通風させることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、前記加水工程において、原料である米粒の含水率が16%〜19%の範囲になるまで該米粒を加水することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、前記水分調質工程において、米粒を50℃以上の温度に保った状態で調質することを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項5の発明は、前記分搗き工程おいて、原料である玄米の胚芽を残留させるように搗精することを特徴とする。
【0012】
そして、請求項6の発明は、本発明のパーボイル米の製造方法によって、パーボイル米が含有するγ−アミノ酪酸の量を富化(増加)させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるパーボイル米の製造方法によれば、分搗き工程において原料である玄米を分搗きして米粒内部(胚乳部)に水分が浸透し易い状態にし、この米粒を後工程の常圧蒸煮工程及び加圧蒸煮工程に搬送して各処理を行うことによって、分搗き米を常圧蒸気及び加圧蒸気によって米粒の含水率を上昇さながらα化させることができる。
【0014】
したがって、本発明のパーボイル米の製造方法には米粒を浸漬する浸漬工程が必要ないので、浸漬工程において大量に必要とされる温水が不要となる。このため、浸漬に使用する水を温水にするために必要であった設備のイニシャルコストと該設備のランニングコストとが削減できる。さらに、浸漬工程に不可欠な排水処理設備も設ける必要がないので、該排水処理設備に必要であったイニシャルコスト及びランニングコストを削減することができる。
【0015】
また、本発明のパーボイル米の製造方法は、前記分搗き工程には米粒の吸水性を向上させる作用のほかに米粒の胚芽を残留させる作用を有し、このため、分搗き工程後の米粒を通風加水工程及び水分調質工程に搬送して各処理を行うことによって、米粒内部のGABA(γ−アミノ酪酸)の栄養成分を増加させることができる。したがって、本発明の製造方法によって製造されたパーボイル米は、前記GABAの栄養成分が豊富に含まれた、従来品よりも付加価値のあるものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1の本発明におけるパーボイル米の製造方法の製造フローを参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
ステップS1(分搗き工程):
本分搗き工程では、原料である玄米を分搗きする。まず、籾米(長粒種又は中粒種)を籾摺りして玄米を準備する。本分搗き工程では、例えば、図2に示した公知の縦型研削式精米機1を使用する。縦型研削式精米機1の構成は、回転主軸2に砥石ロール3を軸着してなる精白ロール4と、該精白ロール4の外周方向に所定間隔の間隙(搗精室)5を介して配設した多孔スクリーン9と、該多孔スクリーン9の外周方向に配設した除糠収容室10とを構成する。そして、前記回転主軸2は、その上下の任意位置に配設した軸受2aによって軸支されるとともに、下端部が、軸着されたプーリ11及び動力伝達ベルト12を介してモータ13の出力側となるプーリ7と連結され、これによって回転自在に構成されている。さらに、前記搗精室5の下端部には製品排出部17が構成されており、該製品排出部17は、抵抗蓋14、製品排出口15及び製品排出樋16から構成される。
【0018】
一方、前記搗精室5の上端部は、更にその上部に配設した原料供給口18に通じている。該原料供給口18には原料供給調節部19が設けてある。なお、前記除糠収容室10の下端部は、管路8を介して排風ファン6と連通し、糠を吸引して機外に排出するようにしてある。
【0019】
本分搗き工程(ステップS1)の作用としては、上記縦型研削式精米機1を使用して、前記原料玄米を1%から5%の範囲内で分搗き精米する。該分搗き精米により、後の玄米の加水工程において、米粒内部(胚乳部)に水分が浸透し易くなる作用が生じる。また、前記原料玄米の1%から5%の範囲内で分搗き精米した米粒には胚芽が残留しているので、後の工程において、米粒内の栄養成分であるGABA(γ−アミノ酪酸)を富化させることに寄与する。
【0020】
ステップS2(通風加水工程)及びステップS3(水分調質工程):
本通風加水工程では、上記分搗き工程で分搗き精米された分搗き米に湿り空気(加湿風)を通風させて該玄米を加水し、これに続く水分調質工程では、加水後の分搗き米を循環させながらタンク内に貯留して、米粒内の前記GABA成分を富化させる。本加水工程において使用する装置としては、例えば、公知の山形多乾式の乾燥機と同様な構造のものを使用することができ、本発明では、図3、図4及び図5に示す通風加水装置80を使用する。一方、本水分調質工程において使用する装置としては、例えば、図3に示した公知の水分調質装置25を使用する。
【0021】
前記通風加水装置80は、略角柱状のタンク84、送風部85及び排風部86とから構成される。前記タンク84の上部には、原料を投入する供給口83が設けられ、タンク84下部の排出口には繰り出しバルブ91が設けてある。供給口83から投入された原料は、タンク84内部を流下して繰り出しバルブ91から排出される。
【0022】
繰り出しバルブ91から排出された原料は、流路26a及び流路切換弁22を経由して、還流部26c又は流路26bに送られる。還流部26cに送られた原料は、流路31aを経由して、供給口83に送られ、再度通風加水装置80で加水される。還流部26cには、公知のバケット式の昇降機や加圧空気搬送式のエア搬送装置等を使用する。前記還流部26cには、その還流経路において、原料のサンプルを採取する任意のサンプル採取手段(例えば、サンプル採取経路(図示せず))を設け、該サンプル採取手段に公知の穀物水分計を接続して、随時、前記還流経路を通る原料の含水率(水分)が測定されるようになっており、原料の加水は、原料の含水率(水分)が所定の範囲に達するまで、該原料を通風加水装置80に循環させて行われる。そして、原料の含水率(水分)が所定の範囲に達した時点で、流路切換弁22を切り換えて原料を水分調質装置25に送る。
【0023】
また、図4に示すようにタンク84内部には複数の送風ルーバ81及び排風ルーバ82が横設されている。図5は、タンク84の横断面の概略図であって、図5に示すように送風ルーバ81及び排風ルーバ82の断面形状は、山形に形成されており、底面には有孔板90が配設されている。送風ルーバ81は通風加水装置80の側面(図4中のA側)に設けられた送風部85と通風可能に接続されおり、排風ルーバ82は通風加水装置80の側面(図4中のB側)に設けられた排風部86と通風可能に接続されている。前記送風部85は送風管87と接続されており、送風管87は加湿装置88及び熱風発生器89に接続されている。また、前記排風部86は排風ファン92と接続されている。
【0024】
ここで、加湿装置88及び熱風発生器89の構成について、図3を参照しながら説明する。加湿装置88は、本実施例では一般的な気化式のものを使用しているが、スチーム式等のその他の加湿方法のものを使用してもよい。熱風発生器89には穀物乾燥機に一般に使用されているバーナーを用いることもできる。原料(分搗き米)の加水時には、熱風発生器89で生成される熱風が、前記排風ファン92の吸引作用によって、加湿装置88を通過し、湿り空気(加湿風)となって、送風管87、送風部85、各送風ルーバ81、タンク84内部、各排風ルーバ82及び排風部86を通って排風ファン92から機外に排出されるようになっている。また、送風部85には加湿風の温度及び湿度を検出する温湿度センサ(図示せず)が備えてある。
【0025】
加水時にタンク84内を通風する湿り空気(加湿風)の設定湿度及び温度は、原料の投入量に基づいて決定され、前記加湿風の湿度及び温度がそれぞれ前記設定湿度及び温度となるように、前記温湿度センサで検出する湿度及び温度に基づいて熱風発生器89の加熱量レベルを変更する。
【0026】
また、加水時にタンク84内を通風する湿り空気(加湿風)の米処理量当たりの風量は、0.2〜0.4立方メートル/s・tonの範囲で調節すればよく、望ましくは0.25〜0.35立方メートル/s・tonであり、より望ましくは0.28〜0.32立方メートル/s・tonである。また、加湿風の温度は50℃以上にすればよく、望ましくは50℃〜75℃、より望ましくは60℃〜70℃の範囲となるように調節すればよい。加湿風の湿度は90%以上にすればよく、望ましくは95%以上になるように調節すればよい。
【0027】
前記加湿風の温度が50℃未満であっても、穀物が含有するγ−アミノ酪酸等の機能性成分の量を増加させることはできる。しかし、加湿風の温度が低いと、前記機能性成分を増加させるために調質する時間を長くする必要があり、また、穀物が古米の場合には影響が少ないが、新米を加工する場合には、十分に前記機能性成分を増加させることが難しい。
【0028】
なお、熱風発生器89に送風ファンを接続し、上記排風ファン92からの排風を循環させる構造とすることもできる。また、本発明において、灯油を燃料とする熱風発生バーナを熱風発生器89として使用すると、原料に特有の臭いがつくことも考えられるので、熱風ヒータ又は熱交換器等を用いることが好ましい。
【0029】
前記水分調質装置25は円筒形状のタンク部26を備え、該タンク部26は、流路26bが上部供給口に接続されている。流路26bは、前記通風加水装置80の排出部である繰り出しバルブ91と、流路26a及び流路切換弁22を介して接続されている。一方、下部排出口には繰り出しバルブ23が設けてある。また、前記繰り出しバルブ23から排出された分搗き米をタンク部26内に還流させるための還流部27を備える。該還流部27としては、公知のバケット式の昇降機や加圧空気搬送式のエア搬送装置等を使用する。前記還流部27には、その還流経路において、前記加水後の分搗き米のサンプルを採取する任意のサンプル採取手段(例えば、サンプル採取経路)28を設け、該サンプル採取手段28には、公知の穀物水分計29を接続して、随時、前記還流経路を通る米粒の含水率(水分)が測定されるようになっている。
【0030】
また、前記還流部27の排出側には流路切換弁30を備えて、前記タンク部26に還流する流路30aと、前記通風加水装置80又は次工程(常圧蒸煮工程・ステップS4)に向かう流路30bとが切換え可能にしてある。該流路30bの下流側には流路切換弁31を備えて、前記通風加水装置80の供給口83に還流する流路31aと、次工程(常圧蒸煮工程・ステップS4)に向かう流路31bとが切換え可能にしてある。なお、前記流路は、下方傾斜状に配設したパイプ等を使用する。
【0031】
本発明の水分調質工程は、米粒内のγ−アミノ酪酸の含有量を増加させることを目的としているため、前記タンク部26は、通風加水装置80から送られてくる分搗き米の穀温を約60℃〜75℃に保てるように、保温装置又は加熱装置を備えることが望ましい。なお、穀温が低下した分搗き米を、通風加水装置80に送って、再加熱するようにしてもよい。
【0032】
本通風加水工程(ステップS2)の作用としては、まず、前工程(ステップS1・分搗き工程)から1ロット(一定量)単位で分搗き米が供給口83から前記通風加水装置80に供給され、該分搗き米が、送風ルーバ82から供給させる加湿風により順次加水される。この加水は、前記分搗き米がタンク84内部を流下する際に、タンク84内に通風されている加湿風に曝されてムラなく均一に行われる。
【0033】
タンク84内を流下しながら湿り空気により加水された原料(分搗き米)の含水率(水分)は、還流部26cに配設されたサンプル採取手段の穀物水分計で測定される。この水分測定値が所定の範囲内になるまでは、原料を連続的に循環させて通風加水装置80で加水する。本通風加水工程による加水後の最終的な原料の含水率は、試験により求めた結果等に基づいて、加工する玄米の品種によって適宜設定すればよく、おおよそ16.0%〜20.0%の範囲であって、16.0%〜19.0%の範囲でもよく、17.0%〜18.5%の範囲でもよい。
【0034】
なお、加水によって米粒に亀裂が生じない程度の加水速度で加水することが望ましい。このため、加水速度は、緩やか(緩速的)に行う必要があり、例えば、0.3%/h〜0.8%/hの範囲内となるようにするのが好ましい。
【0035】
次に、前記水分調質工程(テンパリング工程)(ステップS3)の作用としては、前記通風加水工程(ステップS2)で加水した前記1ロットの分搗き米を、前記水分調質装置25のタンク部26に供給して堆積し、前記繰り出しバルブ23及び還流部27の駆動によって順次循環しながら調質する。この循環の際に、前記サンプル採取手段28によって加水後の分搗き米サンプルを採取して穀物水分計29に送り、前記玄米サンプルの含水率の測定を行う。
【0036】
本水分調質工程においては、含水率を16%〜19%の範囲にまで加水した分搗き米を、50℃以上、望ましくは50℃〜70℃の範囲に穀温(米粒の温度)を維持させた状態で1時間から5時間の間、循環しながら調質する。これは、分搗き米中におけるγ−アミノ酪酸(ギャバ)の栄養成分を増加させることを目的(効果)としているからである。このため、調質する間に前記分搗き米の含水率が低下して、前記玄米サンプルの測定含水率が、16%〜19%の範囲になっていない場合には、前記流路切換弁30及び31を切換えて、タンク部26内の分搗き米を通風加水装置80に戻して再度加水を行う。再加水後の分搗き米は再度水分調質装置25に供給されて循環され、穀物水分計29によって含水率(水分)が16%〜19%の範囲になっているか否かをチェックし、含水率が前記範囲内となっていれば、水分調質装置25内で調質が行われる。
【0037】
なお、本水分調質工程において、原料である分搗き米を調質する時間は、容易に変更することが可能であるので、加工する玄米の種類や増加させるγ−アミノ酪酸の量により適宜変更すればよい。また、前記穀温は50℃以上、望ましくは50℃〜75℃、より望ましくは60℃〜70℃の範囲となるように調節すればよい。
【0038】
ところで、アジア地域などにおいては、収穫後の籾米の乾燥貯蔵設備が整っていないために、原料籾米の含水率が大きくバラついていることがある。しかし、本水分調質工程や前記通風加水工程を経ることにより、原料玄米の含水率を均一化することができるので、一定品質のパーボイル米を製造することに役立つ。これがもう一つの目的(効果)である。
【0039】
本水分調質工程において調質処理が終了すると、流路切換弁30及び31を切換えて、調質処理を終えた分搗き米を流路31bを介して次工程(常圧蒸煮工程・ステップS4)に搬送する。
【0040】
ステップS4(常圧蒸煮工程):
本常圧蒸煮工程では、前記調質処理を終えた分搗き米を常圧蒸気によって加熱する。本常圧蒸煮工程において使用する常圧蒸煮装置32を図6に示す。該常圧蒸煮装置32は、密閉状の機枠38の内部に、多孔壁からなる円筒多角形状の回転ドラム33,34が上下に横設してある。上段には前記回転ドラム33を横設し、該回転ドラム33は、原料が流下するように一端供給開口側から他端排出開口側に向かって下方傾斜状になっている。そして、前記一端供給開口側には原料供給管35の排出側が挿入され、他端排出開口側には、当該回転ドラム33から排出された原料を下段に横設した前記回転ドラム34の一端供給開口側に移送供給するための下方移送管36に通じている。
【0041】
前記回転ドラム34も前記回転ドラム33と同様に、原料が流下するように一端供給開口側から他端排出開口側に向かって下方傾斜状になっており、前記一端供給開口側に前記下方移送管36の排出側が挿入され、他端排出開口側は、次工程(加圧蒸煮工程・ステップS5)に原料を移送供給する下方移送管37に通じている。前記回転ドラム33,34は、それぞれ内部中央に横設した回転軸33a,34aに対して、連結板33c,34cによって連結されているとともに、前記機壁38に設けた各軸受によって回転自在になっている。そして、前記回転軸33a,34aの一端部は、プーリ33b,34b及び動力伝達ベルト39を介してモータ40と接続している。
【0042】
前記回転ドラム33,34の各下方には、該回転ドラム33,34の全長に亘(わた)る長さの蒸気噴出管41,42が横設してあり、該蒸気噴出管41,42の蒸気供給源側は、蒸気管43及び開閉弁44を介して蒸気供給源(図示せず)と接続している。前記機枠38の底部38aは、一方側に向かって下方傾斜状になっており、その傾斜下部には、常圧蒸煮装置32において蒸気が水滴になって溜まった水を排水するための排水部38bが設けてある。なお、前記原料供給管35の上部供給側には繰り出しバルブ35aが設けてある。
【0043】
前記回転ドラム33,34の回転数については、特に限定されるものではないが、胴割れが生じないように、原料(分搗き米)が前記回転ドラム33,34内を通過する時間が10秒から300秒の範囲内になるように、適宜設定する。また、前記蒸気噴出管41から機壁38内に充満させる蒸気の供給量についても、胴割れが生じないように、適宜設定する。
【0044】
本常圧蒸煮工程(ステップS4)の作用を説明する。本常圧蒸煮工程は、上記構成の常圧蒸煮装置32を用い、該常圧蒸煮装置32を、機壁38内に約100℃の蒸気を前記蒸気噴出管41から供給して充満させるとともに前記回転ドラム33,34を回転させた状態にしておいて、前工程において調質処理を終えた1ロットの分搗き米を、順次、前記繰り出しバルブ35a及び原料供給管35を介して前記回転ドラム33の一端供給開口側に供給する。
【0045】
前記回転ドラム33に供給された分搗き米は、常圧の前記蒸気(飽和水蒸気)によって加熱されるとともに、前記蒸気によって粒間の空気が追い出されて代わりに蒸気が充満された状態で、回転ドラム33の回転によって撹拌されながら他端排出開口側に向かって流下する。このとき、前記粒間の空気は、機壁38の上部に設けた排気管と排風ファンとからなる空気排気部38cから排出される。前記他端排出開口側から排出された前記分搗き米は、前記下方移送管36を通って前記回転ドラム34内に一端供給開口側から供給され、該回転ドラム34内においても前記回転ドラム33の作用と同様に加熱作用と粒間に蒸気が充満される作用とを受けながら撹拌移送されて他端排出開口側から排出される。これにより、前記常圧蒸煮装置32での処理を終えて排出される前記分搗き米は、胴割れが生じることなく約100℃に加熱され、かつ、粒間に蒸気が充満され、次工程(加圧蒸煮工程)のα化処理を品質よく行うための予備的な処理が行われたことになる。
【0046】
また、本常圧蒸煮工程では蒸気を使用するので、前記排出部38bから排出する排水量は少量ですむ。
【0047】
ステップS5(加圧蒸煮工程):
本加圧蒸煮工程では、前記加熱処理を終えた分搗き米を加圧蒸気によってα化する。本加圧蒸煮工程において使用する加圧蒸煮装置45を図6に示す。該加圧蒸煮装置45は、密閉状の機枠46の内部に、ベルトコンベヤー47が横設内蔵される。該ベルトコンベヤー47は、ネット状の搬送無端ベルト47aと、該送無端ベルト47aを掛け渡す駆動ローラー47b及び従動ローラー47cとから構成されている。前記機枠46の底部には、機枠46によって形成された密閉空間内に、加圧蒸気を供給するための加圧蒸気供給部49が配設してある。該加圧蒸気供給部49は、前記機枠46の底部に設けた供給口(図示せず)に蒸気管49aを介して接続した加圧蒸気供給源(図示せず)と、前記蒸気管49aの途中に設けた開閉弁49bとから構成される。
【0048】
前記ベルトコンベヤー47の搬送始端側には、当該ベルトコンベヤー47上に原料を供給する傾斜シュート管48が配設してあり、該傾斜シュート管48の上流側の端部は、前工程から排出された原料が移送されてくる前記下方移送管37の排出側と連通している。
【0049】
前記下方移送管37の内部には、原料を加圧蒸煮装置45に供給する際に、前記機枠46内の加圧蒸気が当該下方移送管37を通って抜け出ないようにするための複数の弁が内蔵されている。前記下方移送管37の内部には、前記複数の弁として、上部から、原料の落下衝撃を吸収するための衝撃吸収ダンパー37a、上方バタフライ弁37b、下方バタフライ弁37c、前工程から供給された原料(加熱された分搗き米)の塊をほぐすほぐし板37dが順次、任意間隔をおいて配設してある。また、前記下方移送管37における前記上方バタフライ弁37bと下方バタフライ弁37cとの間の間隙37fには、エア抜きバルブ37eが設けてある。
【0050】
前記下方移送管37を介して原料を加圧蒸煮装置45に供給する際には、まず、前記上方バタフライ弁37b及び下方バタフライ弁37cを共に閉状態にして前記エア抜きバルブ37eから前記隙間37fにおける圧力(加圧蒸気)を抜く。次いで、前記上方バタフライ弁37bを開状態にし、原料を上部供給側から前記衝撃吸収ダンパー37aの開度によって流量調整しながら前記隙間37f内に供給する。そして、該隙間37f内に原料が所定量堆積した時点で、前記エア抜きバルブ37eを閉状態にするとともに前記上方バタフライ弁37bを閉状態にし、この後に、下方バタフライ弁37cを開状態にすることで、原料は、自重によって落下し、前記ほぐし板37bを介して前記加圧蒸煮装置45(傾斜シュート管48)に供給される。上記順序が繰り返されることで、1ロット分の原料は加圧蒸煮装置45内に順次供給される。
【0051】
前記ベルトコンベヤー47の搬送終端側には、当該加圧蒸煮装置45においてα化処理を終えた分搗き米を機枠46外に排出するための下方移送管50が配設してある。該下方移送管50の内部にはα化処理を終えた分搗き米を機枠46外に排出する際に、前記機枠46内の加圧蒸気が当該下方移送管50を通って抜け出ないようにするための複数の弁が配設してある。該下方移送管50の内部にも前記下方移送管37と略同様に、上部から、α化処理を終えた分搗き米の落下衝撃を吸収するための衝撃吸収ダンパー50a、上方バタフライ弁50b、下方バタフライ弁50c、が順次、任意間隔をおいて配設してある。また、前記下方移送管50における前記上方バタフライ弁50bと下方バタフライ弁50cとの間の間隙50fには、エア抜きバルブ50eが設けてある。なお、前記機枠46の底部には、加圧蒸煮装置45において蒸気が水滴になって溜まった水を排水するための排水部51が設けてある。
【0052】
前記下方移送管50を介してα化処理を終えた分搗き米を加圧蒸煮装置45から排出する際には、まず、前記上方バタフライ弁50b及び下方バタフライ弁50cを共に閉状態にして前記エア抜きバルブ50eから前記隙間50fにおける圧力(加圧蒸気)を抜く。次いで、前記上方バタフライ弁50bを開状態にし、α化処理を終えた分搗き米を前記衝撃吸収ダンパー50aの開度によって流量調整しながら前記隙間50f内に供給する。そして、該隙間50f内に前記玄米が所定量堆積した時点で、前記エア抜きバルブ50eを閉状態にするとともに前記上方バタフライ弁50bを閉状態にし、この後に下方バタフライ弁50cを開状態にすることで、α化処理を終えた分搗き米は、自重によって落下して排出される。上記順序が繰り返されることで、α化処理を終えた1ロット分の分搗き米は加圧蒸煮装置45外に順次排出される。
【0053】
本加圧蒸煮工程(ステップS5)の作用を説明する。前記加圧蒸煮装置45の内部(機枠46の内部)に前記加圧蒸気供給部49から加圧蒸気を供給充満させて、室内圧力を0.2MPa〜0.4MPaとし、また、蒸気温度を約145℃前後の状態に設定する。また、ベルトコンベヤー47の搬送速度は、分搗き米が供給されて排出されるまでの時間が120秒から1800秒の範囲となるように、適宜な速度にする。この設定条件で、前工程(常圧蒸煮工程、ステップS4)で予備的な処理を終えた分搗き米、すなわち、胴割れが生じることなく約100℃に加熱され、かつ、粒間に蒸気を充満させた(空気を追い出した)分搗き米を、順次、前記下方移送管37及び傾斜シュート管48を介してベルトコンベヤー47上に供給する。
【0054】
前記ベルトコンベヤー47上に供給された分搗き米は、ベルトコンベヤー47によって搬送されながら室内の圧力と加熱蒸気とによって米粒内の含水率を上昇させながらα化され、排出の際にはα化度が約100%になる。このとき、本加圧蒸煮工程に供給された分搗き米は、前述の予備的な処理がなされているため、粒間に加熱蒸気がスムーズに充満されて米粒におけるα化のムラ発生が防止されて、製品の品質が向上する効果を奏し、また、予め加熱されているので約100%α化させるための時間を短時間にすることができ、α化処理の生産効率面でも効果を奏する。なお、前記加圧蒸気の圧力や温度は、適宜、米粒のα化度をチェックしながら設定する。
【0055】
前記ベルトコンベヤー47上においてα化処理を終えた分搗き米は、前記下方移送管50から排出され、次工程(放冷工程・ステップS6)に移送供給される。
【0056】
また、本加圧蒸煮工程では蒸気を使用するので、前記排出部51から排出する排水量は少量ですむ。
【0057】
ステップS6(放冷工程):
本放冷工程は、α化処理を終えた前記分搗き米の表面の熱(粗熱(あらねつ))をとり、次工程(仕上げ精米工程・ステップS7)を容易にするために行う。本放冷工程では、図7に示した放冷装置52を使用する。前記放冷装置52は、機枠53内にベルトコンベヤー54を横設内蔵する。前記機枠53の一端上部には、次工程から移送供給された分搗き米をベルトコンベヤー54上に供給するための供給部55が配設してあり、また、前記機枠53の他方下端部には、ベルトコンベヤー54上の搬送終端部から放出された分搗き米を機外排出するための排出部56が配設してある。
【0058】
前記ベルトコンベヤー54は、ネット状の搬送無端ベルト54aと、該搬送無端ベルト54aを掛け渡す駆動ローラー54b及び従動ローラー54cとから構成されている。前記機枠53の側面には、前記ベルトコンベヤー54の長手方向に沿った横長形状の外気取入口57が構成されている。また、前記機枠53における上面には、ベルトコンベヤー54の搬送面の略全面積に相当する大きさの吸引排風口58が設けてある。前記吸引排風口58は吸引管59を介して排風ファン60に接続し、さらに排気管61へと接続してしる。
【0059】
本放冷工程(ステップS6)の作用を説明する。本放冷工程(冷却工程)では、前工程(加圧蒸煮工程)においてα化処理された直後の分搗き米を、順次、前記供給部55から搬送無端ベルト54aの搬送始端側に供給する。該搬送無端ベルト54a上に供給された前記分搗き米は、ベルトコンベヤー54によって搬送される間に、前記排風ファン60の吸引によって生じる、前記外気取入口57から取り入れた外気が搬送無端ベルト54aの下方から通風され、これにより、米粒の表面の熱(粗熱)が奪われて表面温度が低下する。表面温度が低下した分搗き米は前記排出部56から排出される。排出された分搗き米は、含水率が17%〜25%の範囲内となり、次工程(仕上げ精米工程・ステップS7)に搬送される。なお、前記ベルトコンベヤー54の搬送速度や前記排風ファン60による吸引風量は、排出された米粒の表面温度が60℃以下になるようにチェックしながら適宜設定する。
【0060】
ステップS7(仕上げ精米工程):
本仕上げ精米工程(高水分精米工程)は、前工程によって放冷された分搗き米の仕上げ精米を行う。本仕上げ精米工程においては、前記ステップS1(分搗き工程)で使用した前記縦型研削式精米機1と同様のものを使用する(図2参照)。該縦型研削式精米機1の構成については、前述のとおりである。
【0061】
本仕上げ精米工程(ステップS7)の作用を説明する。前工程(放冷工程)によって表面の粗熱が取られた分搗き米を、順次、前記縦型研削式精米機1の原料供給口18に供給すると、前記分搗き米は、搗精室5において仕上げ搗精されて前記製品排出部17から排出される。このとき、原料の分搗き米は前工程(放冷工程)によって粗熱が取られて米粒表面のぬめりがなくなっているので、搗精が良好に行われる。排出された製品精白米(パーボイル白米)は、含水率が18%前後であり、次工程(乾燥工程)に搬送される。
【0062】
なお、前記精白ロール4の回転速度や前記製品排出部17における抵抗値などについては、搗精品質や砕米が生じないように適宜設定する。また、本仕上げ精米工程において、精米条件を適宜変更し、完全に精米せずに、分搗き米や胚芽米になるように精米してもよい。
【0063】
ステップS8(乾燥工程):
本乾燥工程では、前工程から排出された製品精白米(パーボイル米)の乾燥を行う。本乾燥工程において使用する乾燥装置は、例えば、図8に示した循環式穀物乾燥装置62を使用する。該循環式穀物乾燥装置62は、例えば、特公平8−27134号公報に記載された公知ものである。前記循環式穀物乾燥装置62は、上部から、貯留部(調質部)63、乾燥部64、排出部65を順次重設してなる乾燥機本体部62aと、該乾燥機本体部62aの側方に併設した昇降機66とから構成される。
【0064】
前記乾燥部64は、熱風を生成するバーナ67と、前記熱風が供給される熱風胴68と、穀粒が流下しかつ熱風を通風可能な多孔板からなる左右の穀物流下層69,69と、前記熱風胴68から穀物流下層69,69(穀粒間)を通風した熱風を排風する左右の排風胴70,70と、該排風胴70,70と連通して前記熱風を吸引して機外に排風する排風ファン(図示せず)とから構成される。
【0065】
前記排出部65は、前記穀物流下層69,69の下部に配設した繰り出しバルブ71と、該繰り出しバルブ71の下方に設けた漏斗状の穀粒集穀板72と、該穀粒集穀板72の下部に配設され、穀粒を前記昇降機66の搬送始端側に搬送する下部搬送スクリュー73とから構成される。
【0066】
前記昇降機66は、機枠66a内に、その上部と下部にそれぞれ配設したプーリ74,74と、該プーリ74,74に掛け渡した無端状のバケットベルト75aとを有し、バケットベルト75aには複数のバケット75が装着されている。前記プーリ74,74の一方はモータ(図示せず)と接続して駆動側となり、前記バケットベルト75aを搬送回転できるようにしてある。前記機枠66aの下部は前記下部搬送スクリュー73の搬送終端側と連通し、また、前記機枠66aの上部は後述する上部搬送部76の搬送始端側と連通している。前記機枠66aの側部には穀物水分計66bを装着して、乾燥中の穀物の含水率が自動的に測定されるようになっている。前記上部搬送部76は前記貯留部63の上部に配設され、上部搬送スクリュー77と、該上部搬送スクリュー77の搬送終端側の位置に前記貯留部63内に臨ませた飛散板78とから構成される。なお、前記排風胴70,70の一方側の機壁には、被乾燥物である前記製品精白米(パーボイル米)を供給するための開閉扉79が設けてある。
【0067】
本乾燥工程(ステップS8)の作用を説明する。まず、前記開閉扉78を開けて、前工程(仕上げ精米工程、ステップS7)から排出された1ロットの製品精白米(パーボイル米)(含水率:18%前後)を順次供給すると、前記製品精白米は、下部搬送スクリュー73、昇降機66及び上部搬送部76を介して貯留部63に搬送されて堆積される(以上、張込運転)。この張込運転が終了すると前記開閉扉78を閉め、乾燥運転を開始する。
【0068】
前記乾燥運転は、前記排風ファンの吸引作用によって、前記バーナ67で発生させた熱風を前記穀物流下層69,69の穀粒(前記製品精白米)に通風させる。前記繰り出しバルブ71が断続的に回転して前記穀物流下層69,69の前記穀粒が繰り出され、繰り出された穀粒は、前記下部搬送スクリュー73、昇降機66及び上部搬送部76を介して貯留部63に還流され、該貯留部63内で調質される。このようにして穀物は機内を循環し、熱風通風と調質を繰り返しながらムラなく乾燥される。そして、前記穀物水分計66bによる穀物の測定含水率が、例えば、13%まで下がると乾燥運転を終了し、排出運転を行って当該穀粒を機外に排出する。
【0069】
なお、本乾燥工程(ステップS8)に続き、必要に応じて、研米工程を設ける。該研米工程は、公知の湿式研米装置を使い、乾燥処理された前記穀粒(=製品精白米(パーボイル米))に少量の噴霧水を添加し、穀粒を互いに擦(こす)り合わせて表面に艶(つや)を出す工程である。この研米工程を経ることにより、製品の外観品質が高まる。
【0070】
以上説明した工程を経て製造されたパーボイル米は、γ−アミノ酪酸(ギャバ)の成分が増加しているので栄養成分が豊富であり、胴割れも生じていないので外観的にも優れている。また、製造設備面においても、蒸気を使用するので排水量は少量であり、よって、大量の排水処理に必要な排水処理設備が不要というメリットがある。
【0071】
また、本発明の製造方法で製造された、γ−アミノ酪酸等の機能性成分の含有量を増加させたパーボイル米は、穀粒中に含有するγ−アミノ酪酸等の機能性成分の含有量が増加しているだけであって、その他の性質は周知の方法で乾燥したパーボイル米と同様である。したがって、通常の穀物と同じように取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のパーボイル米の製造方法における製造フローを示す。
【図2】本発明における縦型研削式精米機の縦断面図を示す。
【図3】本発明における通風加水装置と水分調質装置を示す。
【図4】本発明における通風加水装置の部分縦断面の概略図を示す。
【図5】本発明における通風加水装置の横断面の概略図を示す。
【図6】本発明における常圧蒸煮装置及び加圧蒸煮装置の各縦断面図を示す。
【図7】本発明における放冷装置の縦断面図を示す。
【図8】本発明における循環式穀物乾燥機の縦断面図を示す。
【符号の説明】
【0073】
1 縦型研削式精米機
2 回転主軸
2a 軸受
3 砥石ロール
4 精白ロール
5 搗精室
6 排風ファン
7 プーリ
8 管路
9 多孔スクリーン
10 除糠収容室
11 プーリ
12 動力伝達ベルト
13 モータ
14 抵抗蓋
15 製品排出口
16 製品排出樋
17 製品排出部
18 原料供給口
19 原料供給調節部
20 通風加水装置
21 供給タンク
22 流路切換弁
23 繰り出しバルブ
25 水分調質装置
26 タンク部
26a 流路
26b 流路
26c 還流部
27 還流部
28 サンプル採取手段
29 穀物水分計
30 流路切換弁
30a 流路
30b 流路
31 流路切換弁
31a 流路
31b 流路
32 常圧蒸煮装置
33 回転ドラム
33a 回転軸
33b プーリ
33c 連結板
34 回転ドラム
34a 回転軸
34b プーリ
34c 連結板
35 原料供給管
35a 繰り出しバルブ
36 下方移送管
37 下方移送管
37a 衝撃吸収ダンパー
37b 上方バタフライ弁
37c 下方バラフライ弁
37d ほぐし板
37e エア抜きバルブ
37f 間隙
38 機壁
38a 底部
38b 排出部
38c 空気排気部
39 動力伝達ベルト
40 モータ
41 蒸気噴出管
42 蒸気噴出管
43 蒸気管
44 開閉弁
45 加圧蒸煮装置
46 機枠
47 ベルトコンベヤー
47a 搬送無端ベルト
47b 駆動ローラー
47c 従動ローラー
48 傾斜シュート管
49 加圧蒸気供給部
49a 蒸気管
49b 開閉弁
50 下方移送管
50a 衝撃吸収ダンパー
50b 上方バタフライ弁
50c 下方バタフライ弁
50e エア抜きバルブ
50f 間隙
51 排水部
52 放冷装置
53 機枠
54 ベルトコンベヤー
54a 搬送無端ベルト
54b 駆動ローラー
54c 従動ローラー
55 供給部
56 排出部
57 外気取入口
58 吸引排風口
59 吸引管
60 排風ファン
61 排気管
62 循環式穀物乾燥装置
62a 乾燥機本体部
63 貯留部
64 乾燥部
65 排出部
66 昇降機
66a 機枠
66b 穀物水分計
67 バーナ
68 熱風胴
69 穀物流下層
70 排風胴
71 繰り出しバルブ
72 集穀板
73 下部搬送スクリュー
74 プーリ
75 バケット
75a バケットベルト
76 上部搬送部
77 上部搬送スクリュー
78 飛散板
79 開閉扉
80 通風加水装置
81 送風ルーバ
82 排風ルーバ
83 供給口
84 タンク
85 送風部
86 排風部
87 送風管
88 加湿装置
89 熱風発生器
90 有孔板
91 繰り出しバルブ
92 排風ファン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料玄米を分搗き精米する分搗き工程と、
分搗き精米された米粒を加水する加水工程と、
加水された米粒の水分調質を行う水分調質工程と、
水分調質を行った米粒を蒸気で加熱する常圧蒸煮工程と、
前記常圧蒸煮工程で加熱された米粒を加圧蒸気で蒸煮する加圧蒸煮工程と、
前記加圧蒸煮工程後の米粒に対し、少なくとも該米粒の表面の熱を低下させる冷却工程と、
前記冷却工程にて冷却された米粒を仕上げ精米する仕上げ精米工程と、
仕上げ精米された米粒を乾燥する乾燥工程とを含み、
前記加水工程において、湿り空気の通風により米粒の加水を行うことを特徴とするパーボイル米の製造方法。
【請求項2】
前記加水工程において、温度が50℃以上で、かつ湿度が90%以上である湿り空気を米粒に通風させることを特徴とする請求項1に記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の加水工程において、原料である米粒の含水率が16%〜19%の範囲になるまで該米粒を加水することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項4】
前記水分調質工程において、米粒を50℃以上の温度に保った状態で調質することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項5】
前記分搗き工程は、胚芽を残留させるように搗精することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のパーボイル米の製造方法によって、含有するγ−アミノ酪酸の量を富化させたこと特徴とするパーボイル米。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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