説明

ヒアルロン酸の酸化誘導体,その調製方法及びその修飾方法

本発明は,多糖のグルコサミン部分の(6)位にアルデヒド基を有するヒアルロナン誘導体の調製方法及び修飾方法に関する。ヒアルロン酸はデス‐マーチンペリオジナン(DMP)試薬を使用して酸化させることが可能である。調製したアルデヒドは,例えば水,又は水‐有機溶媒系中でのNaBHCNによる還元アミノ化を利用してアミン,ジアミン,アミノ酸,ペプチド及びアミノ基を含む他の化合物を結合させるために使用可能である。ジアミン又は3つ以上のアミノ基を含む化合物を使用する場合,架橋ヒアルロナン誘導体が調製可能である。架橋誘導体は,アミノ‐アルキル基であるHA‐アルキル‐NHで置換したヒアルロナンとアルデヒドとを反応させて調製することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,第一ヒドロキシル基‐CH‐OHの代わりにアルデヒド基‐CH=Oを含む新規なヒアルロン酸誘導体の調製方法に関する。酸化は極性非プロトン性溶媒中でDMP(デス‐マーチンペリオジナン)試薬を使用して実行可能であり,
【化1】

前記溶媒は例えばジメチルスルホキシドを含む。
【背景技術】
【0002】
2つの反復単位β‐(1,3)‐D‐グルクロン酸及びβ‐(1,4)‐N‐アセチル‐D‐グルコサミンから成るヒアルロン酸は重要な多糖である。分子量は,単離方法及び原料物質に依存するが,5.10〜5.10g.mol−1である。ヒアルロン酸又はそのヒアルロナンナトリウム塩は結合組織,関節の滑液の必須成分であり,また水和,プロテオグリカン組織化,細胞分化,増殖及び血管形成などの生物学的プロセスに重要な役割を担う。ヒアルロン酸は親水性の高い多糖であり,塩の形態でpHの全範囲内において水溶性である。
【化2】

【0003】
ヒアルロン酸の酸化
多糖類の酸化は多糖の官能基の酸化度が変化するプロセスである。多糖類の特性を劇的に変化させることができるカルボン酸又はアルデヒドが最も頻繁に形成される。大抵,酸化度が高めの原子を含有する試薬を使用して反応が行われる。
【0004】
アンジェリーノ(Angelino)の欧州有機化学ジャーナル(European Journal of
Organic Chemistry) 2006年, 19, 4323-4326に記載された,第一ヒドロキシル基で糖類を選択的に酸化する方法では,温度0℃,DMF中で2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシルラジカルであるTEMPO/TCC系を使用し,相当分のアルデヒドが主生成物として得られた。
【0005】
シクロデキストリンのモノアルデヒドへの酸化は,コーンウェル(Cornwell)により,テトラヘドロンレターズ誌(Tetrahedron Letters)1995年, 36(46), 8371-8374に記載されている。その酸化は,温度20℃で,酸化剤としてDMSO又はDMF中にデス‐マーチンペリオジナン(DMP)を添加して行われた。
【0006】
2,2,6,6‐テトラメチル‐1‐ピペリジニルオキシルラジカル(TEMPO)及びNaOClを介して,温度0℃,pH10.2でヒアルロナンの第一ヒドロキシル基をカルボン酸へと酸化した(反応式2)(カーボハイドレイトリサーチ(Carbohydr Res) 2000年, 327 (4), 455-61)。
【化3】

他の多糖類と同様に,前記ポリマーは位置選択性が高く,分解が少ないことが観察された。前記溶液中の塩(NaBr,NaCl,NaSO)の濃度が増加すると,酸化率が減少した。
【0007】
TEMPO/NaClO系を使用したヒアルロナンの酸化は国際公開第02/18448 A2号の特許出願に記載されている。発明者らは生物学的錯体を形成する一方で,過カルボキシ化した多糖類の相互作用も扱っている。
【化4】

過ヨウ素酸ナトリウムの使用によるHA及び他の多糖類の酸化率は,スコットら(Scott et al)により研究されている(反応式3)(ヒストケミ(Histochemie) 1969年, 19 (2), 155-61)。鎖長,置換反応,ポリマーの立体配置及び温度などの因子を検討し,定量化した。ヒアルロナンを酸化するためにNaIOを使用することも米国特許第6683064号及び第6953784号に開示された。
【0008】
生理学的緩衝液中の低分子量HA類似体のモデル反応が研究された(カーボハイドレイトリサーチ 1999年, 321, (3-4), 228-34)。グルクロン部分及びグルコサミン部分の酸化生成物がGC‐MS分析で同定された。この結果から,酸化がグルクロン部分で初めに生じ,メソ酒石酸が主生成物であり,ヒアルロナン酸化のバイオマーカーとして使用し得ることが示唆されている。
【0009】
3.4.2 架橋反応における酸化されたHAの使用
架橋ヒドロゲルを調製するための酸化されたHAの使用が,ウェンら(Weng et al)により,ジャーナルオブバイオメディカルマテリアルズリサーチA(J
Biomed Mater Res A)2008年, 85(2), 352-65に記載されている(反応式4)。この場合には,部分的に酸化されたヒアルロナン及びゼラチンの2つの先駆物質が使用された。
【化5】

得られたヒドロゲルの物理化学的特性は,機器分析FT‐IR,SEM(走査電子顕微鏡法)及び流動度測定により解明されている。ヒアルロナンの酸化度が高まると,それに応じてヒドロゲルの相溶性が高まり,水分吸収能が低下する。細胞‐ヒドロゲル相互作用を研究するために,皮膚線維芽細胞を使用した。ヒドロゲル及びその分解生成物の双方が生体適合性を有することが,長期細胞生存率アッセイにより証明されている。細胞と共に培養されると,ヒドロゲルは4週間以内に分解し,接着性は明らかに失われる。良好な生体適合性及び生分解性が,マウス皮下移植で更に証明された。最終的に,ヒドロゲル中の細胞間マトリックスのin vitro及びin vivoでの沈積はSEM分析で証明された。
【0010】
外部架橋剤が全く無い状態で3次元ヒドロゲルを形成する,油中水型エマルジョン法により,酸化されたヒアルロナン及びゼラチンから架橋HAを調製する方法が,ウェンらの出版物,バイオマテリアルズ(Biomaterials),2008年, 29, (31), 4149-56に記載されている。この研究において,ヒドロゲル構造へのモデル薬物の取り込み(カプセル封入),及びマクロファージを介するそれらの放出をHPLCにより検証した。
【0011】
過ヨウ素酸ナトリウムによりHA‐アルデヒドに酸化したHA,及びアジピン酸ジヒドラジドで修飾したHAをカップリングすることによる弾性ヒドロゲルの調製が,サヒナーら(Sahiner et al)により,バイオマテリアル学会会誌ポリマー編(J. Biomater. Sci. Polym. Ed)2008年, 19 (2), 223-43に記載されている(反応式5)。
【化6】

得られた誘導体は培養した線維芽細胞の増殖に対して際立った影響を何ら与えていなかったことがMTTアッセイにより示された。
【発明の開示】
【0012】
本発明は,多糖のグルコサミン部分の6位にあるヒアルロン酸の第一ヒドロキシル基をアルデヒドへと選択的に酸化させる方法に関する。酸化剤としてデス‐マーチンペリオジナンDMPを使用し,反応を非プロトン環境下で行う。ヒアルロナンのグルコサミン部分の6位にアルデヒド基を導入するという点で,提示された手法は独創的である(反応式6,構造3)。近年発表されているアプローチは,糖リングを開環しながらヒアルロナンのグルクロン部分の2位及び3位にアルデヒド基を導入するか(反応式6,構造2),或いはヒアルロナンのグルコサミン部分の6位にカルボキシル基を導入するか(反応式6,構造1)のいずれかである。
【化7】

【0013】
それぞれの酸化生成物(構造3,反応式6)が共役した糖リングの構造を維持しているという点で,本発明の方法は更に有利である。ジアルデヒドへと酸化した生成物において環が開くと(構造2,反応式6),鎖の直線性が「切断」され,したがって,非修飾ヒアルロナンと比較して,多糖3次元構造は大幅に変化する。カルボン酸へ酸化した生成物(構造1,反応式6)内では,鎖の直線性は「切断」されないとはいえ,カルボキシル基はアルデヒド基のように,このような多様な修飾(結合)能を可能にすることはない。カルボキシル基は既に非修飾多糖の構成要素であることから,構造1(反応式6)への酸化は多糖極性を高めるだけで,新規な置換体の結合に利用可能な新規な性質を発展させることはない。
【0014】
アルキル基が結合したアルデヒド基は,所謂ジェミナルジオール形態HA‐CH(OH)で,水中に存在し,アルデヒドと同様に求核試薬と反応することが知られている。水溶液中では,グルコサミン部分の6位(生成物3,反応式6)で酸化したヒアルロナンの95%以上がジェミナルジオールの形態で存在することが,NMR分光法により証明されている。
【0015】
本発明の方法では,ヒアルロン酸を極性非プロトン性溶媒,例えばDMSOに溶解し,その後,酸化剤を添加し,該混合物を温度10〜50℃,好ましくは20℃で,少なくとも5分間,好ましくは1〜150時間,より好ましくは少なくとも10時間,攪拌する。
【0016】
調製した酸化されたヒアルロナンは,例えばアミノ基を含む化合物の結合に使用可能である。前記結合はイミン形態か,或いは還元後にアミン形態(還元的アミノ化)(反応式7)で実施することが可能である。
【化8】

【0017】
この修飾の両段階は水溶液中で行い,還元はNaBHCNを使用して行う。反応式7に記載の反応の両段階は1工程で行うことが可能である。
【0018】
ヒアルロン酸誘導体の修飾は,酸化誘導体と,一般式HN‐Rのアミン又はR‐NH基で置換したヒアルロナンとを反応させることで行うことが可能であり,式中,Rは,任意で芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む,直鎖又は分岐鎖C1‐C30のアルキルである。このアミンはアルキルアミン,例えばブチルアミン又はヘキサンジアミン,アミノ酸,ペプチド又は遊離アミノ基を含む多糖とすることが可能である。ジアミン,又は3つ以上のアミノ基を含む化合物を使用する場合,架橋ヒアルロナン誘導体を調製することが可能である。架橋誘導体は,アルデヒドと,アミノアルキル基HA‐アルキル‐NHで置換したヒアルロナンとを反応させることでも調製可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
DS=置換度=100%×結合した置換体の分子量/全多糖二量体の分子量。
本明細書で使用している用語「当量(eq)」は,特に指定がなければヒアルロン酸二量体を指す。本明細書で使用している百分率は,特に指定がなければ重量パーセントを意味する。
出発ヒアルロナン(starting hyaluronan)(ソース:シーピーエヌ エスピーオーエル.エス.アール.オー.(CPN spol. s r. o.), ドルニ ドブロチ, チェコ)の分子量はSEC‐MALLSアッセイで測定した。
【0020】
実施例1 DMPによるヒアルロン酸の酸化
DMSO(1ml)中のDMP溶液(0.2eq)を,DMSO中のヒアルロン酸(0.1g,20kDa)1%溶液に添加した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS10%(NMRにより測定)

【0021】
実施例2 DMPによるヒアルロン酸の酸化
DMSO(1ml)中のDMP溶液(0.2eq)を,DMSO中のヒアルロン酸ナトリウム塩(0.1g,600kDa)0.5%溶液に添加した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS10%(NMRにより測定,詳細は実施例1参照)
【0022】
実施例3 DMPによるヒアルロン酸の酸化
DMSO(1ml)中のDMP(1eq)溶液を,DMSO中のヒアルロン酸(0.1g,20kDa)1%溶液に添加した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS50%(NMRにより測定,詳細は実施例1参照)
【0023】
実施例4 DMPによるヒアルロン酸の酸化
DMSO(1ml)中のDMP溶液(1eq)を,DMSO中のヒアルロン酸(0.1g,20kDa)1%溶液に添加した。該混合液を温度20℃で1時間攪拌した。その後,該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS30%(NMRにより測定,詳細は実施例1参照)
【0024】
実施例5 DMPによるヒアルロン酸の酸化
DMSO(1ml)中のDMP溶液(0.2eq)を,DMSO中のヒアルロン酸(0.1g,20kDa)1%溶液に添加した。該混合液を温度50℃で1時間攪拌した。その後,該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS10%(NMRにより測定,詳細は実施例1参照)
【0025】
実施例6 酸化されたヒアルロナンとアミンとの反応
酸化されたヒアルロン酸の水溶液(1%)(0.1g,酸化度 DS=30%,実施例4)をブチルアミン(0.4eq)と混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を2倍量のアセトン及び0.1mlのNaCl飽和水溶液で沈殿させ,ろ過し,真空乾燥させた。その後,得られた黄色の材料を分析した。
UV‐VIS 328nm,n→π遷移 ‐CH=N‐
【0026】
実施例7 酸化されたヒアルロナンとブチルアミンとの反応,及びそれに続く還元
酸化されたヒアルロン酸の水溶液(1%)(0.1g,酸化度 DS=50%,実施例3)をブチルアミン(0.4eq)と混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を,NaBHCN(3eq)を含む水0.5mlと混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS35%(NMRにより測定)

【0027】
実施例8 酸化されたヒアルロナンとジアミンとの反応,及びそれに続く還元
酸化されたヒアルロン酸の水溶液(1%)(0.1g,酸化度 DS=50%,実施例3)をヘキサンジアミン(0.4eq)と混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を,NaBHCN(3eq)を含む水0.5mlと混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS35%(NMRにより測定)

【0028】
実施例9 酸化されたヒアルロナンとアミノ‐ヒアルロナンとの反応
酸化されたヒアルロン酸の水溶液(1%)(0.1g,酸化度 DS=30%,実施例4)を,温度20℃で,ヘキサンジアミン(1eq,DS=35%,実施例8)で置換したヒアルロナン誘導体の1%水溶液と混合した。数分後に得られた不溶性の凝縮したゴム状沈殿物を機械的に粉砕して小片にし,ろ過し,減圧下で乾燥させた。
FT‐IR(KBr) 1700cm−1
【0029】
実施例10 リジンによる酸化されたヒアルロナンの還元的アミノ化
酸化されたヒアルロン酸の水溶液(1%)(0.1g,酸化度 DS=30%,実施例4)をリジン(0.3eq)と混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を,NaBHCN(3eq)を含む水0.5mlと混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS25%(NMRにより測定)

【0030】
実施例11 リジンによる酸化されたヒアルロナンの還元的アミノ化
酸化されたヒアルロン酸の水溶液(1%)(0.1g,酸化度 DS=30%,実施例4)をリジン(20eq)と混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を,NaBHCN(10eq)を含む水0.5mlと混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。その後,得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS28%(NMRにより測定,実施例10)
【0031】
実施例12 セリンによる酸化されたヒアルロナンの還元的アミノ化
酸化されたヒアルロン酸の水溶液(1%)(0.1g,酸化度 DS=30%,実施例4)をセリン(0.3eq)と混合した。該混合液を温度20℃で1分間攪拌した。その後,該溶液を,NaBHCN(3eq)を含む水0.5mlと混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS26%(NMRにより測定)

【0032】
実施例13 アルギニンによる酸化されたヒアルロナンの還元的アミノ化
酸化されたヒアルロン酸の水溶液(1%)(0.1g,酸化度 DS=30%,実施例4)をアルギニン(0.3eq)と混合した。該混合液を温度20℃で100時間攪拌した。その後,該溶液を,NaBHCN(3eq)を含む水0.5mlと混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS23%(NMRにより測定)

【0033】
実施例14 ペンタペプチドPAL‐KTTKS(パルミトイル‐Lys‐Thr‐Thr‐Lys‐Ser)による酸化されたヒアルロナンの還元的アミノ化
水/イソプロパノール系2/1中の酸化されたヒアルロン酸の溶液(1%)(0.1g,酸化度 DS=10%,実施例1)を,イソプロピルアルコール中の置換ペンタペプチドPAL‐KTTKS(0.05eq)1%溶液と混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。その後,該溶液を,NaBHCN(3eq)を含む水0.5mlと混合した。該混合液を温度20℃で24時間攪拌した。該溶液を0.1%に希釈し,混合液(0.1%NaCl,0.1%NaHCO)3×5リットルに対して透析し(1日1回),蒸留水7×5リットルに対して透析した(1日2回)。得られた溶液を蒸発させ,分析した。
DS8%(NMRにより測定)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコサミン部分の6位で,式Xによるアルデヒド,及び,その水和形態であり,式Yによる所謂ジェミナルジオール:

へと酸化されたヒアルロン酸誘導体。
【請求項2】
極性非プロトン性溶媒,特にジメチルスルホキシド中で,ヒアルロン酸がデス‐マーチンペリオジナン(DMP)と反応する請求項1記載のヒアルロン酸誘導体の調製方法。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸が,遊離酸又は塩の形態である請求項2記載の調製方法。
【請求項4】
前記ヒアルロン酸の分子量が,1.10〜5.10g.mol−1の範囲内にある請求項2又は3記載の調製方法。
【請求項5】
前記ヒアルロン酸が前記デス‐マーチンペリオジナン(DMP)と,温度10〜50℃の範囲内,好ましくは20℃で,5分〜150時間,好ましくは少なくとも10時間反応する請求項2〜4いずれか1項記載の調製方法。
【請求項6】
前記DMPが前記ヒアルロン酸の二量体に対して0.05〜1当量の範囲内の量で存在する請求項2〜5いずれか1項記載の調製方法。
【請求項7】
前記酸化されたヒアルロン酸誘導体が,一般式HN‐Rのアミン又はR‐NH基で置換したヒアルロナンと反応し,式中,Rは,任意で芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む直鎖又は分岐鎖C‐C30のアルキルである請求項2〜6いずれか1項記載の方法を使用して調製した前記ヒアルロン酸誘導体の修飾方法。
【請求項8】
前記酸化されたヒアルロン酸誘導体がアミノ酸と反応する請求項7記載の修飾方法。
【請求項9】
前記酸化されたヒアルロン酸誘導体がペプチドと反応する請求項7記載の修飾方法。
【請求項10】
前記酸化されたヒアルロン酸誘導体が遊離アミノ基を含む多糖と反応する請求項7記載の修飾方法。
【請求項11】
前記アミン,アミノ酸,ペプチド又は多糖の量が,前記ヒアルロナンの二量体に対して0.05〜10当量の範囲内である請求項7〜10いずれか1項記載の修飾方法。
【請求項12】
水又は水‐有機溶媒系中で,前記酸化されたヒアルロン酸誘導体が,前記アミン,アミノ酸,ペプチド又は多糖と温度0〜80℃の範囲内,好ましくは20℃で,1分〜24時間,好ましくは1時間反応する請求項7〜11いずれか1項記載の修飾方法。
【請求項13】
前記アミン,アミノ酸,ペプチド又は多糖を添加した0〜100時間後に請求項12記載の反応混合液に添加される還元剤としてのNaBHCNの存在下で,前記酸化されたヒアルロン酸誘導体が前記アミン,アミノ酸,ペプチド又は多糖と反応する修飾方法。
【請求項14】
前記還元剤としてのNaBHCNの量が,前記アルデヒド又はジェミナルジオールの分子量に対して0〜20モル当量の範囲内である請求項13記載の修飾方法。
【請求項15】
前記有機溶媒が,水混和性アルコール,特にイソプロパノール又はエタノール,及び水混和性極性非プロトン性溶媒,特にジメチルスルホキシドから成る群より選択される請求項12〜14いずれか1項記載の修飾方法。
【請求項16】
水の量が溶液全体の体積に対して少なくとも50%(v/v)である請求項12〜15いずれか1項記載の修飾方法。

【公表番号】特表2013−513671(P2013−513671A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542355(P2012−542355)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/CZ2010/000128
【国際公開番号】WO2011/069474
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(507211897)コンティプロ ファーマ アクチオヴァ スポレチノスト (3)
【Fターム(参考)】