説明

ヒアルロン酸(HA)注入媒介物

注入可能な製剤に好適な粘度を呈する組成物が、本明細書に開示される。組成物は、好適な液体の薬学的担体内で、生物活性剤を装填した微小粒子およびヒアルロン酸またはその塩を含む。組成物を作製および使用する方法も開示される。本発明の組成物は、その中に溶解または分散した、(a)約0.01%〜約5重量%の濃度のヒアルロン酸またはその塩と、(b)生物活性剤を装填した生分解性微小粒子と、を有する、液体の薬学的担体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2009年5月14日に出願された、米国仮出願第61/178,271号の優先権の利益を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
対象の体液または組織内に組成物を注入することによって、対象に、生物活性剤を装填した微小粒子を含む組成物等の制御放出組成物を介して、生物活性剤を送達することが、しばしば望ましい。そのような投与様式は、特に、製剤が微小粒子を含む時、容易に懸濁し、かつシリンジを介して注入することができる組成物の量によって制限される場合もある。シリンジ詰まりおよび低い懸濁性のいずれも、注入可能な微小粒子組成物が直面する課題である。組成物に賦形剤を添加することを含む様々な取り組みを、そのような課題を打開するために使用してきたが、それらの多くは、最適な懸濁性または注入能をもたらしていない。したがって、これらの課題に対処する改善された組成物および方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
注入可能な製剤に好適な粘度を呈する組成物が、本明細書に開示される。本発明の組成物は、その中に溶解または分散した、(a)約0.01%〜約5重量%の濃度のヒアルロン酸またはその塩と、(b)生物活性剤を装填した生分解性微小粒子と、を有する、液体の薬学的担体を含む。
【0004】
(a)液体の薬学的担体内に、(i)液体の薬学的担体の約0.01%〜約5重量%の濃度に、ヒアルロン酸またはその塩と、(ii)生物活性剤を装填した生分解性微小粒子と、を混合することによって、製剤を調製することと、(b)製剤を、約110℃〜約130℃の温度で、約15〜約30分間オートクレーブすることと、(c)製剤を、室温に冷却することと、を含む、組成物を調製するための方法も開示される。
【0005】
対象に、生物活性剤を投与するための方法も開示され、(a)対象に、その中に溶解または分散した、(i)約0.01%〜約5重量%の濃度のヒアルロン酸またはその塩と、(ii)生物活性剤を装填した生分解性微小粒子と、を有する、液体の薬学的担体を含む、組成物を注入することと、(b)生分解性微小粒子を分解させ、それによって、対象に、生物活性剤を送達することと、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、概して、ヒアルロン酸またはその塩、および生物活性剤を装填した生分解性微小粒子を含む、注入可能な薬学的組成物に関する。組成物を調製および使用する方法も提供される。
【0007】
「ヒアルロン酸」または「ヒアルロン酸の塩」(ヒアルロナンまたはヒアルロン酸塩とも呼ばれる)は、グリコサミノグリカンである非硫酸化多糖類を指す。ヒアルロン酸は、交互コポリ(β−D−グルクロン酸−β−D−N−アセチル−グルコサミン)またはその塩を含む。ヒアルロン酸の塩は、とりわけ、カリウムおよびナトリウム塩を含む。
【0008】
「微小粒子」という用語が、本明細書で使用されており、概して、約10nm〜2000ミクロン(2ミリメートル)の大きさを有し、かつマイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、ナノカプセル、ナノスフェア、ならびに概して、約2000ミクロン(2ミリメートル)未満である粒子を含む、多種多様の構造を指す。
【0009】
「生分解性」は、本明細書において、概して、可溶性種に浸食するか、あるいは生理学的条件下でより小さい単位、または対象に対してそれら自身が非毒性(生体適合性)であり、かつ対象が代謝、排除、または排泄することができる化学的種に分解する物質と見なされる。
【0010】
「生物活性剤」は、生物活性を有する作用物質を指す。生物学的作用物質を用いて、疾患、障害、感染等を治療、診断、治癒、軽減、予防(すなわち、予防的に)、改善、調節することができるか、あるいはさもなければそれらへの好ましい効果を有することができる。生物活性剤は、対象の構造または機能に影響を及ぼす物質、または生物活性化するか、あるいは所定の生理学的環境に設置された後に、より生物活性化するプロドラッグも含む。
【0011】
本明細書で使用される「オートクレーブ」とは、本発明の組成物が、上昇した温度で、高圧蒸気に曝露される過程を指す。多種多様の市販のオートクレーブを用いることができる。
【0012】
ヒアルロン酸またはその塩は、約0.01%〜約5重量%、約0.1%〜約2%、または0.1〜約1重量%の濃度で、本発明の組成物中に存在する。例えば、ヒアルロン酸またはその塩は、0.2%、0.5%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、または1重量%の濃度で存在し得る。一実施例において、ヒアルロン酸またはその塩は、約0.8%〜約1.2%の濃度で存在することができる。
【0013】
ヒアルロン酸またはその塩は、好ましくは、約0.5×10〜約10×10ダルトンの分子量を有する。さらなる態様において、ヒアルロン酸またはその塩は、約5.2×10〜1.46×10ダルトンの分子量を有する。例えば、ヒアルロン酸またはその塩は、約5.2×10ダルトン、約8.0×10ダルトン、または約1.46×10ダルトンの分子量を有することができる。
【0014】
ヒアルロン酸またはその塩を、商業的に得ることができるか、あるいは当分野で既知の方法を用いて、天然源から調製または抽出することができる。例として、ヒアルロン酸ナトリウムは、HEALONの商標名で、溶液または分散として販売されている。HEALONは、生理学的塩化ナトリウムリン酸緩衝液pH7.0〜7.51中に溶解した10mg/mLのヒアルロン酸ナトリウムを含む。凍結乾燥ヒアルロン酸粉末も同様に、分子量の範囲で、商業的に得ることができる。
【0015】
液体の薬学的担体は、薬学的分野で既知の任意の好適な担体であり得る。液体担体の例は、糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、および水である。液体担体は、好ましくは、水性であり、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水等の1つ以上の塩を含み得る。液体の薬学的担体は、好ましくは、生理学的に許容されるpHで保たれる。生物活性剤と混合することができる他の薬学的に許容される担体または成分は、例えば、脂肪酸、糖類、塩、ポリエチレングリコール、タンパク質、多糖類、またはカルボキシメチルセルロース等の水溶性ポリマー、界面活性剤、可塑剤、ポリマーもしくは塩もしくは糖類等の高分子量もしくは低分子量ポロシゲン、あるいはコレステロールもしくはワックス等の疎水性低分子量化合物を含むことができる。
【0016】
組成物は、任意で、薬学的製剤に使用される界面活性剤または他の添加剤を含むことができ、一態様において、組成物は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む。ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートは、TWEEN20、TWEEN40、TWEEN60、およびTWEEN80の商標名で一般に発売されているポリソルベート20、40、60、または80を含むことができる。ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートは、好ましくは、ポリマー中に見出されるオキシエチレン−(CHCHO)−基の総数を指す、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートポリオキシエチレンである。
【0017】
組成物中の微小粒子は、任意の好適な重量パーセント、例えば、最大1000mg/mLの担持される液体で存在し得る。微小粒子は、概して、その中でカプセル化された生物活性剤を有する、生分解性ポリマー微小粒子マトリックスを含む。そのような微小粒子を、当分野で既知の方法を用いて調製することができる。好ましくは、微小粒子は、当分野で既知のエマルジョン法または二重エマルジョン法を用いて調製することができる。ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリリン酸塩、ポリリン酸エステル、ポリジオキサノン、ポリリン酸エステル、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、ポリリン酸塩、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ炭酸塩、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、アルキル化ポリアルキレン、ポリシュウ酸アルキレン、ポリコハク酸アルキレン、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンの1つ以上であり得る。
【0018】
微小粒子は、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチラート)もしくはポリ(ヒドロキシブチラート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリリン酸エステル、吉草酸ポリヒドロキシもしくは吉草酸ポリヒドロキシを含有するコポリマー、ポリシュウ酸アルキレン、ポリコハク酸アルキレン、ポリ(マレイン酸)、ならびにコポリマー、ターポリマー、それらの組み合わせ、またはそれらの混合物も含み得る。ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、または1つ以上の他の開示されるポリマーとのそのような組み合わせも含み得る。
【0019】
L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むが、それらに限定されないラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残渣を使用することができる。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド)、ならびにポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、またはコポリマー、ターポリマー、組み合わせ、もしくはそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。
【0020】
ラクチド/グリコリドポリマーを、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介して、溶融重合によって好都合に作製することができる。加えて、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチド、およびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーは、DL−ポリマーよりも結晶性であり、より緩徐に再吸収する。グリコリドおよびDL−ラクチドまたはL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーが市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーも市販されている。
【0021】
生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である時、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は、変化し得る。さらなる態様において、生分解性ポリマーは、0〜100モル%、40〜100モル%、50〜100モル%、60〜100モル%、70〜100モル%、または80〜100モル%のラクチド、および0〜100モル%、0〜60モル%、10〜40モル%、20〜40モル%、または30〜40モル%のグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は、100モル%である。さらなる態様において、生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であることができ、ここで、比率は、モル比率である。
【0022】
ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であることもできる。一態様において、ポリマーは、様々な態様において、95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であり得るポリ(ラクチド−カプロラクトン)であることができ、ここで、比率は、モル比率である。
【0023】
一態様において、ポリマーは、ターポリマーを含むことができる。ターポリマーは、ターポリマーのその教示の全てが、参照により本明細書に組み込まれる、2008年11月12日に出願された米国特許出願シリアル番号第12/269135号(米国特許出願第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであることができる。
【0024】
組成物から対象の隣接組織または体液内に放出することができる、生物活性剤の様々な形態を用いることができる。液体または固体の生物活性剤を、本明細書に記載の組成物内に組み込むことができる。生物活性剤は、少なくとも非常にわずかに水溶性、好ましくは、中程度に水溶性である。生物活性剤は、活性成分の塩を含むことができる。そのため、生物活性剤は、酸性、塩基性、または両性塩であり得る。それらは、非イオン分子、極性分子、または水素結合することができる分子複合体であり得る。生物活性剤を、例えば、非荷電性分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミド、ポリマー薬物接合体の形態、または他の形態で、組成物内に含み、効果的な生物学的もしくは生理学的活性を提供することができる。
【0025】
組成物内に組み込まれる生物活性剤の例には、ペプチド、ホルモン、酵素、抗体、抗体断片等のタンパク質、アプタマー、iRNA、DNA、RNA、アンチセンス核酸、アンチセンス核酸類似体等の核酸、低分子量化合物、または高分子量化合物が挙げられるが、それらに限定されない。開示の微小粒子用に企図される生物活性剤には、同化剤、制酸剤、抗喘息薬、抗コレステロール薬および抗高脂血薬、抗凝血剤、抗痙攣剤、下痢止め薬、制吐薬、抗菌剤および抗菌薬を含む抗感染症薬、抗炎症薬、抗躁薬、代謝拮抗剤、制嘔吐剤、抗腫瘍薬、抗肥満薬、解熱薬および鎮痛薬、鎮痙薬、抗血栓剤、鎮咳薬、抗尿酸血症薬、抗狭心症薬、抗ヒスタミン剤、食欲抑制剤、生物学的製剤、脳拡張薬、冠状動脈拡張薬、気管支拡張薬、細胞毒性薬、充血除去剤、利尿薬、診断用薬、赤血球生成薬、去痰薬、胃腸鎮静剤、血糖上昇剤、睡眠薬、血糖降下剤、免疫抑制薬、イオン交換樹脂、下剤、ミネラルサプリメント、粘液溶解薬、神経筋薬、末梢血管拡張剤、向精神薬、鎮静剤、興奮剤、甲状腺薬および抗甲状腺薬、組織増殖剤、子宮弛緩薬、ビタミン、または抗原性物質が含まれる。
【0026】
他の生物活性剤には、アンドロゲン阻害剤、多糖類、成長因子(例えば、血管内皮成長因子−VEGF)、ホルモン、抗血管形成因子、デキストロメトルファン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、塩酸クロフェジアノール、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシラミン、クエン酸フェニルトロキサミン、塩酸フェニレフリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、リン酸コデイン、硫酸コデインモルヒネ、ミネラルサプリメント、コレスチラミン、N−アセチルプロカインアミド、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、塩酸フェニルプロパノラミン、カフェイ、グアイフェネシン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、ホルモン、インターフェロン、サイトカイン、およびワクチンが含まれる。
【0027】
組成物中の生物活性剤として使用することができる代表的な薬物には、ペプチド薬、タンパク薬物、脱感作物質、抗原、抗生物質、抗菌薬、抗ウイルス、抗菌、抗寄生虫、抗真菌物質、およびそれらの組み合わせ等の抗感染症薬、抗アレルギー物質、アンドロゲン性ステロイド、充血除去剤、睡眠薬、ステロイド性抗炎症薬、抗コリン物質、交感神経様作用物質、鎮静剤、縮瞳薬、精神賦活剤、精神安定剤、ワクチン、エストロゲン、黄体ホルモン薬、体液性剤、プロスタグランジン、鎮痛剤、抗痙攣剤、抗マラリア薬、抗ヒスタミン剤、心臓作用薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗パーキンソン病薬、血圧降下薬、β−アドレナリン遮断薬、栄養剤、ならびにベンゾフェナントリジンアルカロイドが含まれるが、それらに限定されない。作用物質はさらに、興奮剤、鎮静剤、睡眠薬、鎮痛剤、抗痙攣剤等としての機能を果たすことができる物質であることができる。
【0028】
組成物は、単独または組み合わせのいずれかで、多数の生物活性剤を含むことができる。他の生物活性剤には、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等の鎮痛剤、リドカイン、キシロカイン等の麻酔薬、デキセドリン、酒石酸フェンジメトラジン等の食欲抑制薬、メチルプレドニゾロン、イブプロフェン等の抗関節炎薬、硫酸テルブタリン、テオフィリン、エフェドリン等の抗喘息薬スルフイソキサゾール、ペニシリンG、アンピシリン、セファロスポリン、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リファンピン等の抗生物質、アムホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール等の抗真菌剤、アシクロビル、アマンタジン等の抗ウイルス剤、シクロホスファミド、メトトレキサート、エトレチナート等の抗癌剤、ヘパリン、ワルファリン等の抗凝血剤、フェニトインナトリウム、ジアゼパム等の抗痙攣剤、イソカルボキサジド、アモキサピン等の抗鬱剤、ジフェンヒドラミンHCl、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤、インスリン、プロゲスチン、エストロゲン、コルチコイド、グルココルチコイド、アンドロゲン等のホルモン、ソラジン、ジアゼパム、クロルプロマジンHCl、レセルピン、クロルジアゼポキシドHCl等の精神安定剤、ベラドンナアルカロイド、塩酸ジシクロミン等の抗痙攣剤、必須アミノ酸、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンB12等のビタミンおよびミネラル、プラゾシンHCl、ニトログリセリン、プロプラノロールHCl、ヒドララジンHCl、パンクレリパーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ等の心血管作動薬、LHRH、ソマトスタチン、カルシトニン、成長ホルモン、グルカゴン様ペプチド、成長ホルモン放出因子、アンジオテンシン、FSH、EGF、骨形態形成タンパク質(BMP)、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、インターロイキン、コラーゲン、フィブリノゲン、インスリン、第VIII因子、第IX因子、エンブレル(登録商標)、リツキサン(登録商標)、ハーセプチン(登録商標)、アルファグルコシダーゼ、セレザイム/Ceredose(登録商標)、バソプレシン、ACTH、ヒト血清アルブミン、ガンマグロブリン、構造タンパク質、血液製剤タンパク質、複合体タンパク質、酵素、抗体、モノクローナル抗体等のペプチドおよびタンパク質、プロスタグランジン、核酸、炭水化物、脂質、モルヒネ、コデイン等の麻酔薬、精神治療物質、抗マラリア薬、L−ドーパ、フロセミド、スピロノラクトン等の利尿薬、ラニチジンHCl、シメチジンHCl等の抗潰瘍薬が含まれるが、それらに限定されない。
【0029】
生物活性剤はまた、例えば、サイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子等を含む免疫調節物質、ネコのフケ、カバノキ花粉、イエダニ、草花粉等のアレルゲン、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌、ジフテリア菌、リステリア菌、炭疽菌、破傷風菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、髄膜炎菌、淋菌、ミュータンス連鎖球菌、緑膿菌、チフス菌、パラインフルエンザ菌、百日咳菌、野兎病菌、ペスト菌、コレラ菌、レジオネラニューモフィラ、ヒト型結核菌、ハンセン菌、梅毒トレポネーマ、病原性レプトスピラ、ライム病ボレリア、カンピロバクタージェジュニ等の細菌性生物の抗原、天然痘、A型およびB型インフルエンザ、呼吸器合胞体、パラインフルエンザ、麻疹、HIV、SARS、水痘帯状ヘルペス、1型および2型単純ヘルペス、サイトメガロウイルス、エプスタインバー、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、乳頭腫ウイルス属、ポリオウイルス、流行性耳下腺炎、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、馬脳炎、日本脳炎、黄熱、リフトバレー熱、リンパ球性脈絡髄膜炎、B型肝炎等のウイルスの抗原、クリプトコックスネオフォルマンス、ヒストプラスマカプスラーツム、カンジダアルビカンス、カンジダトロピカリス、ノカルジアアステロイデス、ロッキー山紅斑熱リケッチア、発疹熱リケッチア、肺炎マイコプラズマ、クラミジアシッタシ、クラミジアトラコマチス、熱帯熱マラリア原虫、トリパノソーマブルーセイ、赤痢アメーバ、トキソプラズマ原虫、膣トリコモナス、マンソン住血吸虫等の真菌の抗原、原生動物、および寄生生物でもあり得る。これらの抗原は、全ての死滅した生物、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、またはそれらの組み合わせの形態であり得る。
【0030】
さらなる特定の態様において、生物活性剤は、抗生物質を含む。抗生物質は、例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、カルバセフェム、ロラカルベフ、カルバペネム、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファロスポリン(第一世代)、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン(Cefalotin)もしくはセファロチン(Cefalothin)、セファレキシン、セファロスポリン(第二世代)、セファクロール、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セファロスポリン(第三世代)、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロスポリン(第四世代)、セフェピム、セファロスポリン(第五世代)、セフトビプロール、糖ペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、モノバクタム、アズトレオナム、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン、ポリペプチド、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、キノロン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レポフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、スルホンアミド、マフェニド、プロントジル(初期)、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルアミド(初期)、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール)(TMP−SMX)、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン等を含むテトラサイクリン、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジンアミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファンピシン(米国ではリファンピン)、チニダゾール、またはそれらの組み合わせの1つ以上であり得る。一態様において、生物活性剤は、リファンピシン(米国ではリファンピン)およびミノサイクリンの組み合わせであり得る。
【0031】
本発明の組成物を、(a)液体の薬学的担体内に、(i)液体の薬学的担体の約0.01%〜約5重量%の濃度に、ヒアルロン酸またはその塩と、(ii)生物活性剤を装填した生分解性微小粒子と、を混合することによって、製剤を調製することと、(b)製剤を、約110℃〜約130℃の温度で、約15〜約30分間オートクレーブすることと、(c)製剤を、室温に冷却することと、によって調製することができる。
【0032】
混合するステップ(a)を、従来の手法を用いて実行することができる。いくつかの態様において、ステップ(a)でともに混合された製剤を、数分間、数時間、またはさらには終夜等の長期間振盪することが望ましくあり得る。オートクレーブするステップ(b)は、製剤を好適な容器内に密封し、その後、製剤をオートクレーブすることによって実行される。冷却するステップ(c)を、単に製剤を冷ますか、あるいは製剤を冷蔵または他の好適な手段によって冷却することによって実行することができる。
【0033】
組成物を、対象に投与して、生分解性微小粒子の分解を介して、対象に、生物活性剤を送達することができる。投与方法は、(a)対象に、その中に溶解または分散した、(i)約0.01%〜約5重量%の濃度のヒアルロン酸またはその塩と、(ii)生物活性剤を装填した生分解性微小粒子と、を有する、液体の薬学的担体を含む、組成物を注入することと、(b)生分解性微小粒子を分解させ、それによって、対象に、生物活性剤を送達することと、を含む。
【0034】
本発明の組成物の十分な粘度のため、ユーザは、組成物をシリンジ内に取り込み、注入を行う前に、シリンジ内で5分間程度保持し得る。
【0035】
本発明の組成物を、任意の所望の対象に投与することができる。対象は、哺乳動物、魚、鳥、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であり得る。本明細書に開示の方法の対象は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、テンジクネズミ、または齧歯類であり得る。用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、性別に関わらず、成人および新生児対象、ならびに胎児を対象とすることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の薬学的担体を含む組成物であって、その中に溶解または分散した、(a)約0.01%〜約5重量%の濃度のヒアルロン酸またはその塩と、(b)生物活性剤を装填した生分解性微小粒子と、を有する、組成物。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸またはその塩は、存在約0.1〜約1重量%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸またはその塩は、約0.5×10〜約10×10ダルトンの分子量を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記液体の薬学的担体は、生理学的緩衝液を含む、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記液体の薬学的担体は、生理食塩水を含む、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項6】
約0.01%〜約1重量%の濃度のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートをさらに含む、任意の前記請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートは、約0.1%〜約1重量%の濃度である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートは、約0.1%の濃度である、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
薬学的組成物を調製するための方法であって、
(a)液体の薬学的担体内に、(i)前記液体の薬学的担体の約0.01%〜約5重量%の濃度に、ヒアルロン酸またはその塩と、(ii)生物活性剤を装填した生分解性微小粒子と、を混合することによって、製剤を調製することと、
(b)前記製剤を、約110℃〜約130℃の温度で、約15〜約30分間オートクレーブすることと、
(c)前記製剤を、室温に冷却することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記ヒアルロン酸またはその塩は、前記液体の薬学的担体内に、約0.1〜約1重量%の濃度に混合される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒアルロン酸またはその塩は、約0.5×10〜約10×10ダルトンの分子量を有する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体の薬学的担体は、生理学的緩衝液を含む、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記液体の薬学的担体は、生理食塩水を含む、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ステップ(b)の前に、前記液体の薬学的担体内に、約0.01%〜約1重量%の濃度に、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを混合することをさらに含む、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
対象に、生物活性剤を投与するための方法であって、
(a)対象に、その中に溶解または分散した、(i)約0.01%〜約5重量%の濃度のヒアルロン酸またはその塩と、(ii)生物活性剤を装填した生分解性微小粒子と、を有する、液体の薬学的担体を含む、組成物を注入することと、
(b)前記生分解性微小粒子を分解させ、それによって、前記対象に、前記生物活性剤を送達することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記組成物を注入することの前に、前記組成物は、シリンジ内に取り込まれ、前記シリンジ内で最大5分間保持される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ヒアルロン酸またはその塩は、約0.1〜約1重量%の濃度で存在する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒアルロン酸またはその塩は、約0.5×10〜約10×10ダルトンの分子量を有する、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記液体の薬学的担体は、生理学的緩衝液を含む、請求項15〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記組成物は、約0.01%〜約1重量%の濃度のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートをさらに含む、請求項15〜19のいずれかに記載の組成物。

【公表番号】特表2012−526851(P2012−526851A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511032(P2012−511032)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/034832
【国際公開番号】WO2010/132730
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511274330)サーモディクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】