説明

ヒトオーファンGタンパク質共役型受容体

【課題】膜貫通受容体、より具体的には内在性のヒトオーファンGタンパク質共役型受容体の提供。
【解決手段】特定の塩基配列から成るcDNAによりコードされるGタンパク質共役型受容体([GPCR])。特定の塩基配列から成るcDNAを含んで成るプラスミド。前記プラスミドを含んでなる宿主細胞。ヒトGPCRの同定はジェンバンク(GenBank)データベース情報の再検討に基づき、開示された内在性ヒトGPCRのいくつかを同定した。他の開示される内在性ヒトGPCRは特定のESTクローンをクエリ配列として使用するESTデータベース(dbsest)のBLAST検索を実施することにより同定した。そのあと、同定された特定のESTクローンをプローブとして使用して、ヒトゲノムライブラリーをスクリーニングした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許文書は、以下の出願(全部は示された出願日に米国特許・商標庁(theUn
ited States Patent and TrademarkOffice)に米
国エクスプレスメール(U.S.Express Mail)を介して出願された)、す
なわち1998年11月20日に出願された米国仮出願第60/109,213号の利益
を主張する1999年2月26日に出願された米国仮出願第60/121,852号;1
999年2月16日に出願された米国仮出願第60/120,416号;1999年3月
12日に出願された米国仮出願第60/123,946号;1999年3月12日に出願
された米国仮出願第60/123,949号;1999年5月28日に出願された米国仮
出願第60/136,436号;1999年5月28日に出願された米国仮出願第60/
136,439号;1999年5月28日に出願された米国仮出願第60/136,56
7号;1999年5月28日に出願された米国仮出願第60/137,127号;199
9年5月28日に出願された米国仮出願第60/137,131号;1999年5月28
日に出願された米国仮出願第60/136,437号からの優先権を主張する1999年
6月29日に出願された米国仮出願第141,448号;1999年9月29日に出願さ
れた米国仮出願第____号(アリーナ ファーマシューティカルズインク(Arena
Pharmaceuticals,Inc.)処理予定事項表番号CHN10−1);
1999年9月29日に出願された米国仮出願第60/156,333号;1999年9
月29日に出願された米国仮出願第60/156,555号;1999年9月29日に出
願された米国仮出願第60/156,634号;1999年10月1日に出願された米国
仮出願第____号(アリーナ ファーマシューティカルズインク(Arena Pha
rmaceuticals,Inc.)処理予定事項表番号RUP6−1);1999年
10月1日に出願された米国仮出願第____号(アリーナファーマシューティカルズ
インク(Arena Pharmaceuticals,Inc.)処理予定事項表番号
RUP7−1);1999年10月1日に出願された米国仮出願第____号(アリーナ
ファーマシューティカルズインク(Arena Pharmaceuticals,I
nc.)処理予定事項表番号CHN6−1);1999年10月1日に出願された米国仮
出願第____号(アリーナ ファーマシューティカルズインク(Arena Phar
maceuticals,Inc.)処理予定事項表番号RUP5−1);1999年1
0月1日に出願された米国仮出願第____号(アリーナファーマシューティカルズ イ
ンク(Arena Pharmaceuticals,Inc.)処理予定事項表番号C
HN9−1)のそれぞれの優先権の利益を主張する。本特許文書は、1998年10月1
3日に申請された米国第09/170,496号、および1999年10月12日に(米
国エクスプレスメール(U.S.Express Mail)を介して)出願された米国
第(不明)号(ウッドコック(Woodcock)ウォッシュバーン(Washburn
)クルツ(Kurtz)マキエヴィッツ(Mackiewicz)とノリス(Norri
s)、LLP処理予定事項表番号AREN−0054)(双方は引用により本明細書に組
み込まれる)に関する。本特許文書は、1999年7月30日に出願された米国第09/
364,425号(そっくりそのまま引用により組み込まれる)にもまた関する。本出願
は、1999年10月12日に(米国エクスプレスメール(U.S.ExpressM
ail)を介して)出願された米国第____号(ウッドコック(Woodcock)、
ウォッシュバーン(Washburn)、クルツ(Kurtz)、マキエヴィッツ(Ma
kiewicz)とノリス(Norris)、LLP処理予定事項表番号AREN−00
50)(そっくりそのまま引用により本明細書に組み込まれる)に対する優先権もまた主
張する。前述の出願のそれぞれはそっくりそのまま引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許文書に開示される発明は、膜貫通受容体、およびより具体的には内在性のオーフ
ァンヒトGタンパク質共役型受容体(「GPCR」)に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトでは多数の受容体のクラスが存在するが、はるかに最も豊富かつ治療に関係するも
のは、Gタンパク質共役型受容体(GPCRもしくは複数のGPCR)のクラスにより代
表される。ヒトゲノム内には数十万個の遺伝子が存在することが推定されており、そして
これらのなかでおよそ2%もしくは2,000個の遺伝子がGPCRをコードすると推定
されている。内在性リガンドが同定されている、GPCRを包含する受容体は「既知」受
容体と称される一方、内在性リガンドが同定されていない受容体は「オーファン」受容体
と称される。GPCRは製薬学的製品の開発に重要な一領域を代表する。すなわち、10
0種の既知のGPCRのおよそ20種から全処方薬の60%が開発されている。この卓越
性は、とりわけGPCRの場合には単に意味論上でない。従って、オーファンGPCRは
、製薬業界にとって、金が19世紀後半のカリフォルニアにとって、成長、拡張、増強お
よび開発の契機となったところのものである。
【0004】
GPCRは1つの共通の構造モチーフを共有する。全部のこれらの受容体は、7個のα
ヘリックスを形成する22ないし24個の間の疎水性アミノ酸の7個の連なりを有し、そ
のそれぞれは膜に広がっている(各広がり(span)は数字により同定されている。すなわち
膜貫通−1(TM−1)、膜貫通−2(TM−2)など)。膜貫通ヘリックスは、細胞膜
の外もしくは「細胞外」側で、膜貫通−2と膜貫通−3、膜貫通−4と膜貫通−5、およ
び膜貫通−6と膜貫通−7の間でアミノ酸の鎖により結合されている(これらはそれぞれ
「細胞外」領域1、2および3(EC−1、EC−2およびEC−3)と称される)。膜
貫通ヘリックスは、細胞膜の内もしくは「細胞内」側で、膜貫通−1と膜貫通−2、膜貫
通−3と膜貫通−4、および膜貫通−5と膜貫通−6の間でもまたアミノ酸の鎖により結
合されている(これらはそれぞれ「細胞内」領域1、2および3(IC−1、IC−2お
よびIC−3)と称される)。受容体の「カルボキシ」(「C」)末端は細胞内の細胞内
空隙中に存し、また、受容体の「アミノ」(「N」)末端は細胞の外側の細胞外空隙中に
存する。
【0005】
一般に、内在性リガンドが受容体と結合する場合(しばしば受容体の「活性化」と称さ
れる)、細胞内領域のコンホメーションの変化が存在し、それは細胞内領域と細胞内の「
Gタンパク質」との間の共役(coupling)を可能にする。GPCRはGタンパク質に関して
「乱交性」であること、すなわちGPCRは1種以上のGタンパク質と相互作用する可能
性があることが報告されている。ケナキン(Kenakin,T.)、43Life S
ciences 1095(1988)を参照されたい。他のGタンパク質が存在するが
、現在のところGq、Gs、GiおよびGoが同定されたGタンパク質である。Gタンパ
ク質との内在性リガンドで活性化されたGPCRの共役がシグナル伝達カスケード過程(
「シグナル伝達」と称される)を開始する。正常な条件下では、シグナル伝達は最終的に
細胞の活性化もしくは細胞の阻害をもたらす。受容体のIC−3ループならびにカルボキ
シ末端がGタンパク質と相互作用すると考えられている。
【0006】
GPCRは、生理学的条件下では2種の異なるコンホメーション、すなわち「不活性」
状態と「活性状態」との間の平衡で細胞膜中に存在する。不活性状態の受容体は、細胞内
のシグナル伝達経路に連結して生物学的応答を生じさせることが不可能である。受容体の
コンホメーションの活性状態への変化は(Gタンパク質を介する)伝達経路への連鎖を可
能にし、そして生物学的応答を生じさせる。受容体は、内在性リガンドもしくは薬物のよ
うな化合物により活性状態で安定化させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ヒト内在性オーファンGタンパク質共役型受容体を本明細書で開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) 配列番号1を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目2) 配列番号2を含んで成る配列番号1のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目3) ベクターおよび配列番号1のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目4) 項目3記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目5) 配列番号3を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目6) 配列番号4を含んで成る配列番号3のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目7) ベクターおよび配列番号3のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目8) 項目7記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目9) 配列番号5を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目10) 配列番号6を含んで成る配列番号5のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目11) ベクターおよび配列番号5のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目12) 項目11記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目13) 配列番号7を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目14) 配列番号8を含んで成る配列番号7のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目15) ベクターおよび配列番号7のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目16) 項目15記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目17) 配列番号9を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目18) 配列番号10を含んで成る配列番号9のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目19) ベクターおよび配列番号9のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目20) 項目19記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目21) 配列番号11を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目22) 配列番号12を含んで成る配列番号11のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目23) ベクターおよび配列番号11のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目24) 項目23記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目25) 配列番号13を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目26) 配列番号14を含んで成る配列番号13のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目27) ベクターおよび配列番号13のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目28) 項目27記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目29) 配列番号15を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目30) 配列番号16を含んで成る配列番号15のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目31) ベクターおよび配列番号15のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目32) 項目31記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目33) 配列番号17を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目34) 配列番号18を含んで成る配列番号17のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目35) ベクターおよび配列番号17のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目36) 項目35記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目37) 配列番号19を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目38) 配列番号20を含んで成る配列番号19のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目39) ベクターおよび配列番号19のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目40) 項目39記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目41) 配列番号21を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目42) 配列番号22を含んで成る配列番号21のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目43) ベクターおよび配列番号21のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目44) 項目43記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目45) 配列番号23を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目46) 配列番号24を含んで成る配列番号23のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目47) ベクターおよび配列番号23のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目48) 項目47記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目49) 配列番号25を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目50) 配列番号26を含んで成る配列番号25のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目51) ベクターおよび配列番号25のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目52) 項目51記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目53) 配列番号27を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目54) 配列番号28を含んで成る配列番号27のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目55) ベクターおよび配列番号27のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目56) 項目55記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目57) 配列番号29を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目58) 配列番号30を含んで成る配列番号29のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目59) ベクターおよび配列番号29のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目60) 項目59記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目61) 配列番号31を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目62) 配列番号32を含んで成る配列番号31のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目63) ベクターおよび配列番号31のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目64) 項目63記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目65) 配列番号33を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目66) 配列番号34を含んで成る配列番号33のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目67) ベクターおよび配列番号33のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目68) 項目67記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目69) 配列番号35を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目70) 配列番号36を含んで成る配列番号35のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目71) ベクターおよび配列番号35のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目72) 項目71記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
(項目73) 配列番号37を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
(項目74) 配列番号38を含んで成る配列番号37のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
(項目75) ベクターおよび配列番号37のcDNAを含んで成るプラスミド。
(項目76) 項目75記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【0009】
受容体を中核として発展してきた学術文献は、受容体に対する多様な影響を有するリガ
ンドを指す多数の用語を採用している。明快さおよび一貫性のため、本特許文書を通じて
以下の定義を使用するであろう。これらの定義がこれらの用語の他の定義と対立する限に
おいて、以下の定義が支配する: 本明細書で使用されるアミノ酸の略語を表1に示す:
【0010】
【表1】

【0011】
組成物は最低1種の成分を含んで成る物質を意味する。
【0012】
内在性は哺乳動物が天然に産生する物質を意味する。例えば、そして制限でなく「受容
体」という用語に関しての内在性は、哺乳動物(例えば、そして制限でなくヒト)もしく
はウイルスにより天然に産生されるものを意味する。対照的に、この情況における非内在
性という用語は、哺乳動物(例えば、そして制限でなくヒト)もしくはウイルスにより天
然に産生されないものを意味する。
【0013】
宿主細胞は、その中に組み込まれたプラスミドおよび/もしくはベクターを有すること
が可能な細胞を意味する。原核生物宿主細胞の場合には、プラスミドは宿主細胞が複製す
る際に自律的分子として典型的に複製され(一般に、プラスミドはその後真核生物宿主細
胞への導入のため単離される);真核生物宿主細胞の場合には、真核生物宿主細胞が複製
する場合にプラスミドが複製するように、プラスミドが宿主細胞の細胞DNAに組込まれ
る。好ましくは、本明細書に開示される本発明の目的上、宿主細胞は真核生物、より好ま
しくは哺乳動物であり、そして最も好ましくは293、293TおよびCOS−7細胞よ
り成る群から選択される。
【0014】
リガンドは、内在性の天然に存在する受容体に特異的な内在性の天然に存在する分子を
意味する。
【0015】
非オーファン受容体は、内在性の天然に存在するリガンドに特異的な内在性の天然に存
在する分子を意味し、ここで、受容体へのリガンドの結合が細胞内シグナル伝達経路を活
性化する。
【0016】
オーファン受容体は、その受容体に特異的な内在性リガンドが同定されていないかもし
くは未知である内在性受容体を意味する。
【0017】
プラスミドはベクターおよびcDNAの組み合わせを意味する。一般に、プラスミドは
、cDNAの複製および/もしくはタンパク質としてのその発現の目的上、宿主細胞に導
入される。
【0018】
cDNAに関するベクターは、最低1個のcDNAを組み込むことが可能かつ宿主細胞
への組込みが可能な環状DNAを意味する。
【0019】
以下のセクションの順序は表象的な効率について示され、また、後に続く開示もしくは
請求の範囲に対する制限として意図されず、またそのように解釈されるべきでもない。
ヒトGPCRの同定
ヒトゲノムプロジェクトの努力は、ヒトゲノム内に配置されている核酸配列に関する夥
しい量の情報の同定をもたらし;それは、この努力によって、いずれかの特定のゲノム配
列がヒトタンパク質を翻訳する読取り枠情報を含有するもしくは含有するかも知れないか
どうかに関する理解もしくは認識を伴うことなく、遺伝子配列情報が利用可能にされてい
るというのが実情である。ヒトゲノム内の核酸配列のいくつかの同定方法は当業者の範囲
内にある。例えば、そして制限でなく、本明細書で開示される多様なGPCRは、ジェン
バンク[GenBank](商標)データベースを再検討することにより発見された一方
、他のGPCRは、既に配列決定されたGPCRの核酸配列を利用してESTデータベー
スのBLAST(商標)検索を実施することにより発見された。下の表Aは、GPCRの
それぞれの相同なGPCRと一緒に、開示される内在性のオーファンGPCRを列挙する

【0020】

【表2】

【0021】
受容体の相同性は、人体内での開示される受容体の役割の正しい認識を得ることに関し
て有用である。加えて、こうした相同性は、開示されるオーファンGPCRの天然の活性
化物質であることができる可能な内在性リガンド(1種もしくは複数)に関しての洞察を
提供する可能性がある。
B.受容体スクリーニング
受容体の伝統的研究は、アンタゴニストおよび受容体に影響を及ぼす可能性のある他の
分子を見出すように発見を進行させることができる前に内在性リガンドを最初に同定しな
ければならないという演繹的過程(歴史的に基づく)から常に進行したため、内在性リガ
ンドの同定(これは主として受容体の内在性リガンドを必要とする受容体結合アッセイの
実施の一手段を提供するという目的上)のための技術は過去数年のあいだにより容易に利
用可能になった。最初にアンタゴニストが知られているかも知れない場合でさえ、探索は
内在性リガンドを探すように直ちに拡大した。この思考様式は、構成的に活性化される受
容体の発見後でさえも受容体の研究に存続している。これまで認識されていなかったこと
は、受容体のアゴニスト、部分的アゴニストおよび反作用薬を発見するのに最も有用であ
るのは受容体の活性状態であるということである。過度に活性の受容体もしくは過小活性
の受容体から生じる疾患にとって、治療薬で望ましいものは、必ずしも内在性リガンドに
対するアンタゴニストである薬物ではなく、それぞれ受容体の活性状態を減少させるかも
しくは受容体の活性を高めるよう作用する化合物である。これは、活性の受容体状態の活
性を低下させるもしくは高める化合物は内在性リガンドと同一部位で結合する必要がない
ためである。従って、本発明の方法により教示されるとおり、治療的化合物についてのい
かなる探索もリガンド非依存的な活性状態に対する化合物のスクリーニングにより開始す
べきである。
【0022】
当該技術分野で既知であるとおり、GPCRはそれへの受容体の内在性リガンドの結合
を伴わなくてもそれらの内在性の状態で「活性」であることができる。こうした天然に活
性の受容体を、とりわけ反作用薬の直接同定のために(すなわち受容体の内在性リガンド
を必要とせずに)スクリーニングすることができる。あるいは、例えば受容体の内在性リ
ガンドの非存在下で活性である非内在性バージョンの受容体を確立するための受容体の突
然変異を介して受容体を「活性化する」ことができる。
【0023】
本明細書に開示される、内在性のもしくは非内在性の構成的に活性化されるバージョン
のヒトオーファンGPCRに対する候補化合物のスクリーニングは、受容体の内在性リガ
ンドの使用を必要とすることなく、この細胞表面受容体で作用する候補化合物の直接の同
定を提供することができる。本明細書に開示される内在性のバージョンのヒトGPCRが
発現および/もしくは過剰発現されている身体内の領域を決定することにより、受容体の
発現および/もしくは過剰発現を伴う関連疾患/障害状態を決定することが可能であり;
こうした一アプローチを本特許文書で開示する。
【0024】
本明細書に開示されるヒトオーファンGPCRの構成的活性化を明示するかも知れない
突然変異の創製に関して、GPCRのTM6内(典型的にはTM6/IC3界面に近づく
)に配置されると想定されているプロリン残基からの距離に基づく(こうしたプロリン残
基は極めて保存されているようである)。この残基から16アミノ酸残基に配置されるア
ミノ酸残基(おそらく受容体のIC3領域中に配置される)を最も好ましくはリシン残基
に突然変異することにより、こうした活性化を得ることができる。この目的を達成するた
めにはこの位置の突然変異で他のアミノ酸残基が有用であるかも知れない。
C.疾患/障害の同定および/もしくは選択
好ましくは、(a)組織mRNAに対するドットブロット分析、および/もしくは(b
)組織サンプル中の受容体の発現のRT−PCR同定のためのプローブを作成するのにヒ
トオーファンGPCRのDNA配列を使用することができる。組織供給源、もしくは疾患
に罹った組織中での受容体の存在、または正常組織に比較して疾患に罹った組織中での上
昇された濃度での受容体の存在は、限定されるものでないがその疾患に関連する疾患を挙
げることができる治療レジメンとの相関を同定するのに好ましく利用することができる。
受容体はこの技術により器官の領域に等しく十分に局在化する可能性がある。受容体が局
在化されている特定の組織の既知の機能に基づき、受容体の推定の機能上の役割を推定す
ることができる。
D.候補化合物のスクリーニング
1.包括的GPCRスクリーニングアッセイの技術
Gタンパク質受容体が構成的に活性(すなわちそれに結合する内在性リガンドの非存在
下で活性)になった場合、それはGタンパク質(例えばGq、Gs、Gi、Go)に結合
しかつGタンパク質へのGTPの結合を刺激する。その後、Gタンパク質がGTPアーゼ
として作用し、そしてGTPをGDPにゆっくりと加水分解し、それにより受容体は正常
な条件下で失活型になる。しかしながら、構成的に活性化された受容体はGDPをGTP
に交換し続ける。構成的に活性化される受容体を発現する膜への高められた結合をモニタ
ーするのに、GTPの加水分解不可能な類似物[35S]GTPγSを使用することができ
る。[35S]GTPγSはリガンドの不存在下および存在下での膜へのGタンパク質の共
役をモニターするのに使用することができることが報告されている。このモニタリングの
一例、なかんずく当業者に公知かつ利用可能な例は、1995年にトレイノル(Tray
nor)とナホルスキ(Nahorski)により報告された。本アッセイ系の好ましい
使用は候補化合物の初期スクリーニングのためである。なぜなら、該系は、受容体の細胞
内ドメインと相互作用する特定のGタンパク質に関係なく、全部のGタンパク質共役型受
容体に包括的に応用可能であるからである。
2.特異的GPCRスクリーニングアッセイの技術
「包括的」Gタンパク質共役型受容体アッセイ(すなわちアゴニスト、部分的アゴニス
トもしくは反作用薬である化合物を選択するためのアッセイ)を使用して候補化合物が同
定されれば、該化合物が受容体部位で相互作用していることを確認するためのさらなるス
クリーニングが好ましい。例えば、「包括的」アッセイにより同定された化合物は受容体
に結合しないかも知れないが、しかし代わりに細胞内ドメインからGタンパク質を単に「
分離する」かも知れない。
a.GsおよびGi
Gsは酵素アデニリルシクラーゼを刺激する。他方、Gi(およびGo)はこの酵素を
阻害する。アデニリルシクラーゼはATPのcAMPへの転化を触媒し;従って、Gsタ
ンパク質を共役する構成的に活性化されたGPCRは、cAMPの増大された細胞レベル
と関連する。他方、Gi(もしくはGo)タンパク質を共役する構成的に活性化されたG
PCRは、cAMPの低下された細胞レベルと関連する。一般に、“Indirect
Mechanisms of Synaptic Transmission,”第8章、
From Neuron To Brain(第3版)ニコルス(Nichols,J.G
.)ら編 サイナウア アソシエーツ インク(SinauerAssociates,I
nc.)(1992)を参照されたい。従って、cAMPを検出するアッセイを利用して
、ある候補化合物が例えば受容体に対する反作用薬(すなわちこうした化合物はcAMP
のレベルを低下させることができる)であるかどうかを決定することができる。cAMP
を測定するための当該技術分野で既知の多様なアプローチを利用することができ;最も好
ましいアプローチはELISAに基づく形式での抗cAMP抗体の使用に頼る。利用する
ことができる別の型のアッセイは全細胞セカンドメッセンジャーレポーター系アッセイで
ある。遺伝子のプロモーターは特定の遺伝子がコードするタンパク質の発現を駆動する。
環状AMPは、cAMP応答性のDNA結合タンパク質もしくは転写因子(CREB)(
その後cAMP応答要素と呼ばれる特定の部位でプロモーターに結合しそして遺伝子の発
現を駆動する)の結合を促進することにより遺伝子発現を駆動する。レポーター遺伝子(
例えばβ−ガラクトシダーゼもしくはルシフェラーゼ)の前に複数のcAMP応答要素を
含有するプロモーターを有するレポーター系を構築することができる。従って、構成的に
活性化されたGsに結合された受容体は、cAMPの蓄積を引き起こし、これがその後遺
伝子およびレポータータンパク質の発現を活性化する。その後、標準的な生化学的アッセ
イを使用して、β−ガラクトシダーゼもしくはルシフェラーゼのようなレポータータンパ
ク質を検出することができる(チェン(Chen)ら 1995)。
GoおよびGq
GqおよびGoは酵素ホスホリパーゼCの活性化に関連し、この酵素は順にリン脂質P
IP2を加水分解して、2種の細胞内メッセンジャー、すなわちジアシルグリセロール(
DAG)およびイノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)を放出する。IP3の増大さ
れた蓄積はGqおよびGo会合型受容体の活性化と関連する。一般に、“Indirec
t Mechanisms of Synaptic Transmission,”第8章
From Neuron To Brain(第3版)ニコルス(Nichols,J.
G.)ら編 サイナウア アソシエーツ インク(SinauerAssociates,
Inc.)(1992)を参照されたい。IP3の蓄積を検出するアッセイを利用して、
候補化合物が例えばGqもしくはGo会合型受容体に対する反作用薬である(すなわちこ
うした化合物はIP3のレベルを低下させることができる)かどうかを決定することがで
きる。Gq会合型受容体はAP1レポーターアッセイ(ここでGq依存性のホスホリパー
ゼCがAP1要素を含有する遺伝子の活性化を引き起こす)を使用してもまた検査するこ
とができ;従って、活性化されたGq会合型受容体は、こうした遺伝子の発現の増大を明
示することができ、それにより、それに対する反作用薬はこうした発現の減少を明示する
ことができ、また、アゴニストはこうした発現の増大を明示することができる。こうした
検出のための商業的に入手可能なアッセイが利用可能である。
3.GPCR融合タンパク質
反作用薬、アゴニストおよび部分的アゴニストの直接同定のための候補化合物のスクリ
ーニングのための内在性の構成的に活性化されるオーファンGPCRもしくは非内在性の
構成的に活性化されるオーファンGPCRの使用は興味深い挑戦を提供し、ここでは定義
によりそれに結合される内在性リガンドの不存在下でさえ該受容体は活性である。従って
、活性化された受容体により得られるシグナルを高めることが可能であるアプローチを利
用することがしばしば有用である。好ましい一アプローチはGPCR融合タンパク質の使
用である。
【0025】
一般に、GPCRが上で示されたアッセイ技術(ならびに他者)を使用して構成的に活
性化される、もしくはされていることが決定されれば、内在性GPCRと共役する優勢な
Gタンパク質を決定することが可能である。GPCRへのGタンパク質の共役は評価する
ことが可能なシグナル伝達経路を提供する。哺乳動物発現系の使用によりスクリーニング
が起こることが最も好ましいため、こうした系はその中に内在性Gタンパク質を有するこ
とが期待されよう。従って、定義により、こうした系においては、構成的に活性化された
オーファンGPCRが連続的にシグナルを発するであろう。この点に関して、例えば受容
体に対する反作用薬の存在下で、とりわけスクリーニングの情況でそれが反作用薬と接触
される場合にそれが受容体をより容易に識別することが可能であろうことがよりありそう
であるように、このシグナルを高めることが好ましい。
【0026】
GPCR融合タンパク質は、GPCRと共役するGタンパク質の効力を高めることを意
図している。GPCR融合タンパク質は非内在性の構成的に活性化されたGPCRを用い
るスクリーニングに好ましい。なぜなら、こうしたアプローチは、こうしたスクリーニン
グ技術で最も好ましく利用されるシグナルを増大させるからであるが、とは言えGPCR
融合タンパク質は内在性の構成的に活性化されたGPCRとともに使用することもまた可
能であり、そして好ましくは使用する。これは大きな「S/N」比の助長で重要であり;
こうした大きな比は本明細書で開示されるような候補化合物のスクリーニングに重要かつ
好ましい。
【0027】
GPCR融合タンパク質の発現に有用な構築物の構築は当業者の範囲内にある。商業的
に入手可能な発現ベクターおよび系が、研究者の特定のニーズに合う可能性のある多様な
アプローチを提供する。こうしたGPCR融合タンパク質構築物に対する重要な基準は、
GPCR配列およびGタンパク質配列の双方が同じ読み枠にある(好ましくはGPCRの
配列がGタンパク質の配列の上流にある)こと、および、GPCRの発現に際してGタン
パク質もまた発現することが可能であるようにGPCRの「終止」コドンを欠失もしくは
置き換えなくてはならないことである。GPCRはGタンパク質に直接連結することがで
きるか、もしくは2者の間にスペーサー残基(好ましくは約12を越えないが、この数字
は当業者により容易に確かめることが可能である)が存在することができる。われわれは
、使用されないいくつかの制限部位が発現に際して効果的にスペーサーとなるであろうこ
とに、スペーサーの使用の(便宜性に基づく)好みを有する。最も好ましくは、GPCR
融合タンパク質構築物の創製に先立ちGPCRに共役するGタンパク質を同定することが
できる。同定された数種のみのGタンパク質が存在するため、その中の内在性のGPCR
配列の挿入にGタンパク質の配列を含んで成る構築物(すなわち普遍的Gタンパク質構築
物)が利用可能であることが好ましく;これは、異なる配列を有する多様な異なった内在
性GPCRの大スケールのスクリーニングの情況で効率を提供する。
E.他の利用性
本明細書に開示されるヒトオーファンGPCRの好ましい使用は、(好ましくは製薬学
的作用物質としての使用のための)反作用薬、アゴニストもしくは部分的アゴニストとし
ての候補化合物の直接同定のためであることができるが、これらのバージョンのヒトGP
CRは研究の設定でもまた利用することができる。例えば、GPCRを組み込むインビト
ロおよびインビボの系は、正常のおよび疾患に罹った双方のヒトの状態でこれらの受容体
が演じる役割をさらに解明かつ理解するため、ならびに構成的活性化の役割の理解(それ
がシグナル伝達カスケードの理解に適用されるため)に利用することができる。ヒトオー
ファンGPCRの価値は、身体内でのこうした受容体の位置(1種もしくは複数)を決定
することにより、そのための内在性リガンドが同定される前に人体でのこれらの受容体の
役割を理解するのにGPCRを使用することができることにおいて、研究ツールとしての
その利用性が高められることである。開示される受容体の他の用途は、とりわけ本特許文
書の検討に基づき当業者に明らかとなるであろう。
【実施例】
【0028】
以下の実施例は本発明の解明の目的上(そして制限でなく)提示する。特定の核酸およ
びアミノ酸の配列が本明細書で開示される一方、当業者は、下に報告される同一のもしく
は実質的に類似の結果を達成しつつこれらの配列に対する小さな改変を行う能力があると
信じられる。下に別の方法で示されない限り、開示される内在性オーファンヒトGPCR
の全部の核酸配列は配列決定しかつ確認している。同等の受容体の目的上、当業者は、機
能的に同等な受容体を得るために開示された配列に対し保存的置換を行うことができるこ
とを容易に認識するであろう。
【0029】
実施例1
内在性のヒトGPCR
1.ヒトGPCRの同定
ジェンバンク(GenBank)データベース情報の再検討に基づき、開示された内在
性ヒトGPCRのいくつかを同定した。データベースを検索する間に以下のcDNAクロ
ーンを下に明示されるとおり同定した。
【0030】

【表3】

【0031】
他の開示される内在性ヒトGPCRは、以下のESTクローンをクエリ配列として使用
するESTデータベース(dbest)のBLAST検索を実施することにより同定した
。その後、同定された以下のESTクローンをプローブとして使用して、ヒトゲノムライ
ブラリーをスクリーニングした。
【0032】

【表4】

【0033】
2.完全長のクローニング
a.hG2A(配列番号23および24)
マウスESTクローン1179426を使用して、3種のアミノ酸hG2Aコーディン
グ配列以外の全部を含有するヒトゲノムクローンを得た。このコーディング配列の5’端
は5’RACE(商標)を使用することにより得、また、PCRのための鋳型はクロンテ
ック(Clontech)のヒト脾マラソン−レディ[Marathon−ready]
(商標)cDNAであった。開示されるヒトG2Aは、以下:
5’−CTGTGTACAGCAGTTCGCAGAGTG−3’(配列番号39;1回
目のPCR)
5’−GAGTGCCAGGCAGAGCAGGTAGAC−3’(配列番号40;2回
目のPCR)
のような配列番号39および配列番号40に示されるような第一回および第二回のPCR
のためのG2AのcDNAに特異的なプライマーを使用するPCRにより増幅した。PC
Rは、94℃30秒間、次いで94℃5秒間および72℃4分間の5周期;ならびに94
°5秒間および70°4分間の30周期で、アドバンテージ[Advantage](商
標)GCポリメラーゼキット(クロンテック(Clontech);製造説明書に従うこ
とができる)を使用して実施した。およそ1.3kbのPCRフラグメントをアガロース
ゲルから精製し、HindIIIおよびXbaIで消化し、そして発現ベクターpRC/
CMV2(インヴィトロジェン(Invitrogen))にクローン化した。T7シー
クェナーゼ[Sequenase](商標)キット(USBアマーシャム(USB Am
ersham);製造元の説明書に従うことができる)を使用してクローン化された挿入
物を配列決定し、そして提示された配列と配列を比較した。P32標識されたフラグメント
を用いてRNAドットブロット(クロンテック(Clontech);製造元の説明書に
従うことができる)をプロービングすることによりヒトG2Aの発現を検出することがで
きる。
b.hCHN9(配列番号33および34)
ESTクローン1541536の配列決定は、hCHN9が1個の開始コドンのみを有
する(すなわち終止コドンは欠けていた)部分的cDNAクローンであることを示した。
hCHN9をデータベース(nr)に対して「BLAST検索する(blast)」のに使用し
た場合、hCHN9の3’の配列はロイコトリエンB4受容体のcDNAの5’非翻訳領
域(hCHN9のコーディング配列と同じ読み枠に終止コドンを含有した)に100%相
同であった。LTB4RのcDNAの5’非翻訳領域がhCHN9の3’配列であったか
どうかを決定するために、hCHN9に見出される開始コドンに隣接する5’配列および
LTB4Rの5’非翻訳領域に見出される終止コドンを取り巻く3’配列に基づくプライ
マーを使用してPCRを実施した。利用された5’プライマー配列は以下のとおりであっ
た:
5’−CCCGAATTCCTGCTTGCTCCCAGCTTGGCCC−3’(配列
番号41;センス)および
5’−TGTGGATCCTGCTGTCAAAGGTCCCATTCCGG−3’(配
列番号42;アンチセンス)
製造元により供給される緩衝液系、0.25μMの各プライマーおよび0.2mMの各4
種のヌクレオチドとともに鋳型としての胸腺cDNAおよびrTthポリメラーゼ(パー
キン エルマー(Perkin Elmer))を使用してPCRを実施した。周期条件は
、94℃1分間、65℃1分間ならびに72℃1分および10秒間の30周期であった。
予測された大きさと一致する1.1kbのフラグメントをPCRから得た。本PCRフラ
グメントをpCMVにサブクローニングし(下を参照されたい)そして配列決定した(配
列番号33を参照されたい)。c.hRUP4(配列番号37および38)
鋳型としてヒト脳cDNA(クロンテック(Clontech))を用いるRT−PC
Rにより完全長のhRUP4をクローン化した:
5’−TCACAATGCTAGGTGTGGTC−3’(配列番号43;センス)およ

5’−TGCATAGACAATGGGATTACAG−3’(配列番号44;アンチセ
ンス)。
以下の周期、すなわち94℃2分間;94℃30秒間;55℃30秒間、72℃45秒間
および72℃10分間により、タックプラス[TaqPlus](商標)プレシジョン
[Precision](商標)ポリメラーゼ(ストラタジーン(Stratagene
);製造説明書に従うことができる)を使用してPCRを実施した。周期2から4を30
回反復した。
【0034】
PCR産物を1%アガロースゲルで分離し、そして500bpのPCRフラグメントを
単離しかつpCRII−TOPOベクター(インヴィトロジェン(Invitrogen
))にクローン化し、そしてT7 DNAシークェナーゼ[Sequenase](商標
)キット(アマーシャム(Amersham))およびSP6/T7プライマー(ストラ
タジーン(Stratagene))を使用して配列決定した。配列分析は、該PCRフ
ラグメントが実際に、他のGPCRとの類似性をもつ1個の連続的読取り枠を有する代替
スプライシングされた形態のAI307658であったことを示した。このPCRフラグ
メントの完了された配列は以下のとおりであった:
【0035】
【表5】

【0036】
上の配列に基づき、2種のセンスオリゴヌクレオチドプライマーの組:
5’−CTGCTTAGAAGAGTGGACCAG−3’(配列番号46;オリゴ1)

5’−CTGTGCACCAGAAGATCTACAC−3’(配列番号47;オリゴ2

および、2種のアンチセンスオリゴヌクレオチドプライマーの組:
5’−CAAGGATGAAGGTGGTGTAGA−3’(配列番号48;オリゴ3)
5’−GTGTAGATCTTCTGGTGCACAGG−3’(配列番号49;オリゴ
4)
を、製造元の説明書に従って鋳型としてヒト脳マラソン−レディ[Marathon−R
eady](商標)cDNA(クロンテック(Clontech)、カタログ番号740
0−1)を用いる3’−および5’−race PCRに使用した。RACEPCRによ
り生成されたDNAフラグメントをpCRII−TOPO(商標)ベクター(インヴィト
ロジェン(Invitrogen))にクローン化し、そしてSP6/T7プライマー(
ストラタジーン(Stratagene))および数種の内的プライマーを使用して配列
決定した。3’RACE産物はポリ(A)テール(tail)およびTAA終止コドンで終了す
る1個の完了される読取り枠を含有した。5’RACE産物は不完全な5’端を含有した
(すなわちATG開始コドンが存在しなかった)。
【0037】
新たな5’配列に基づき、オリゴ3および以下のプライマー:
5’−GCAATGCAGGTCATAGTGAGC−3’(配列番号50;オリゴ5)
を第2回の5’RACE PCRに使用し、そしてPCR産物を上のとおり分析した。第
3回の5’RACE PCRは、アンチセンスプライマー:
5’−TGGAGCATGGTGACGGGAATGCAGAAG−3’(配列番号51
;オリゴ6)および
5’−GTGATGAGCAGGTCACTGAGCGCCAAG−3’(配列番号52
;オリゴ7)
を利用して実施した。5’RACE PCRの産物の配列は開始コドンATGの存在を示
し、また、さらなる回の5’RACE PCRはいかなるそれ以上の5’配列も生成しな
かった。プライマーとして、センスプライマー
5’−GCAATGCAGGCGCTTAACATTAC−3’(配列番号53;オリゴ
8)
およびオリゴ4を使用するRT−PCR、ならびにヒト脳および心のcDNA鋳型(クロ
ンテック(Clontech)、カタログ番号7404−1)から生成された650bp
のPCR産物の配列分析により、完了された5’配列を確認した。オリゴ2および以下の
アンチセンスプライマー:
5’−TTGGGTTACAATCTGAAGGGCA−3’(配列番号54;オリゴ9

を使用するRT−PCR、ならびにヒト脳および心のcDNA鋳型(クロンテック(Cl
ontech)、カタログ番号7404−1)から生成された670bpのPCR産物の
配列分析により、完了された3’配列を確認した。
d.hRUP5(配列番号9および10)
以下の配列:
5’−ACTCCGTGTCCAGCAGGACTCTG−3’(配列番号55)
5’−TGCGTGTTCCTGGACCCTCACGTG−3’(配列番号56)
を有した、ATG開始コドンから上流のセンスプライマー(配列番号55)、および終止
コドンとしてTCAを含有するアンチセンスプライマー(配列番号56)、ならびに鋳型
としてヒト末梢白血球cDNA(クロンテック(Clontech))を使用するRT−
PCRにより完全長のhRUP5をクローン化した。段階2から段階4が30回反復され
た以下の周期、すなわち94℃30秒間;94℃15秒間;69℃40秒間;72℃3分
間;および72℃6分間による50μlの反応中での増幅にアドバンテージ(Advan
tage)cDNAポリメラーゼ(クロンテック(Clontech))を使用した。1
.4kbのPCRフラグメントを単離し、そしてpCRII−TOPO(商標)ベクター
(インヴィトロジェン(Invitrogen))を用いてクローン化し、そしてT7
DNAシークェナーゼ[Sequenase](商標)キット(アマーシャム(Amer
sham))を使用して完全に配列決定した。配列番号9を参照されたい。
e.hRUP6(配列番号11および12)
プライマー:
5’−CAGGCCTTGGATTTTAATGTCAGGGATGG−3’(配列番号
57)および
5’−GGAGAGTCAGCTCTGAAAGAATTCAGG−3’(配列番号58

ならびに鋳型としてヒト胸腺マラソン−レディ[Marathon−Ready](商標
)cDNA(クロンテック(Clontech))を使用するRT−PCRにより完全長
のhRUP6をクローン化した。以下の周期、すなわち94℃30秒間;94℃5秒間;
66℃40秒間;72℃2.5秒間および72℃7分間による50μlの反応中での増幅
にアドバンテージ(Advantage)cDNAポリメラーゼ(クロンテック(Clo
ntech)、製造元の説明書に従う)を使用した。周期2から4を30回反復した。1
.3kbのPCRフラグメントを単離し、そしてpCRII−TOPO(商標)ベクター
(インヴィトロジェン(Invitrogen))にクローン化し、そしてABIビッ
グ ダイ ターミネーター[Big Dye Terminator](商標)キット(P.
E.バイオシステム(P.E.Biosystem))を使用して完全に配列決定した(
配列番号11を参照されたい)。
f.hRUP7(配列番号13および14)
プライマー:
5’−TGATGTGATGCCAGATACTAATAGCAC−3’(配列番号59
;センス)および
5’−CCTGATTCATTTAGGTGAGATTGAGAC−3’(配列番号60
;アンチセンス)
ならびに鋳型としてヒト末梢白血球cDNA(クロンテック(Clontech))を使
用するRT−PCRにより完全長のRUP7をクローン化した。段階2ないし段階4が3
0回反復された以下の周期、すなわち94℃2分間;94℃15秒間;60℃20秒間;
72℃2分間;72℃10分間による50μlの反応中での増幅にアドバンテージ[Ad
vantage](商標)cDNAポリメラーゼ(クロンテック(Clontech))
を使用した。1.25kbのPCRフラグメントを単離し、そしてpCRII−TOPO
(商標)ベクター(インヴィトロジェン(Invitrogen))にクローン化し、そ
してABI ビッグ ダイ ターミネーター[Big DyeTerminator](商
標)キット(P.E.バイオシステム(P.E.Biosystem))を使用して完全
に配列決定した。配列番号13を参照されたい。
g.hARE−5(配列番号5および6)
hARE5特異的プライマー5’−CAGCGCAGGGTGAAGCCTGAGAG
C−3’配列番号69(センス、開始コドンATGの5’)および5’−GGCACCT
GCTGTGACCTGTGCAGG−3’配列番号70(アンチセンス、終止コドンT
GAの3’)、ならびに鋳型としてヒトゲノムDNAを使用するPCRにより完全長のh
ARE−5をクローン化した。段階2ないし段階4が35回反復された以下の周期、すな
わち、96℃、2分;96℃、20秒;58℃、30秒;72℃、2分;および72℃、
10分による増幅に、タックプラス プレシジョン[TaqPlusPrecision
](商標)DNAポリメラーゼ(ストラタジーン(Stratagene))を使用した

【0038】
予測された大きさの1.1kbのPCRフラグメントを単離し、そしてpCRII−T
OPO(商標)ベクター(インヴィトロジェン(Invitrogen))にクローン化
し、そしてT7 DNAシークェナーゼ[Sequenase](商標)キット(アマー
シャム(Amersham))を使用して完全に配列決定した(配列番号5)。
h.hARE−4(配列番号3および4)
hARE−4特異的プライマー5’−CTGGTGTGCTCCATGGCATCCC
−3’配列番号67(センス、開始コドンATGの5’)および5’−GTAAGCCT
CCCAGAACGAGAGG−3’配列番号68(アンチセンス、終止コドンTGAの
3’)、ならびに鋳型としてヒトゲノムDNAを使用するPCRにより完全長のhARE
−4をクローン化した。段階2ないし段階3が35回反復された以下の周期、すなわち9
4℃、3分;94℃、30秒;59℃、2分;72℃、10分による増幅にタック(Ta
q)DNAポリメラーゼ(ストラタジーン(Stratagene))および5%DMS
Oを使用した。
【0039】
予測された大きさの1.12kbのPCRフラグメントを単離し、そしてpCRII−
TOPO(商標)ベクター(インヴィトロジェン(Invitrogen))にクローン
化し、そしてT7 DNAシークェナーゼ[Sequenase](商標)キット(アマ
ーシャム(Amersham))を使用して完全に配列決定した(配列番号3)。
i.hARE−3(配列番号1および2)
hARE−3特異的プライマー5’−gatcaagcttCCATCCTACTGA
AACCATGGTC−3’配列番号65(センス、小文字のヌクレオチドはHindI
IIのオーバーハングを表し、開始コドンとしてのATG)および5’−gatcaga
tctCAGTTCCAATATTCACACCACCGTC−3’配列番号66(アン
チセンス、小文字のヌクレオチドはXbaIのオーバーハングを表し、終止コドンとして
のTCA)、ならびに鋳型としてヒトゲノムDNAを使用するPCRにより完全長のhA
RE−3をクローン化した。段階2ないし段階4が35回反復された以下の周期、すなわ
ち94℃、3分;94℃、1分;55℃、1分;72℃、2分;72℃、10分による増
幅にタックプラス プレシジョン[TaqPlus Precision](商標)DNA
ポリメラーゼ(ストラタジーン(Stratagene))を使用した。
【0040】
予測された大きさの1.3kbのPCRフラグメントを単離し、そしてHindIII
およびXbaIで消化し、pRC/CMV2ベクター(インヴィトロジェン(Invit
rogen))にHindIIIおよびXbaI部位でクローン化し、そしてT7DN
Aシークェナーゼ[Sequenase](商標)キット(アマーシャム(Amersh
am))を使用して完全に配列決定した(配列番号1)。
j.hRUP3(配列番号7および8)
hRUP3特異的プライマー5’−GTCCTGCCACTTCGAGACATGG−
3’配列番号71(センス、開始コドンとしてのATG)および5’−GAAACTTC
TCTGCCCTTACCGTC−3’配列番号72(アンチセンス、終止コドンTAA
の3’)、ならびに鋳型としてヒトゲノムDNAを使用するPCRにより完全長のhRU
P3をクローン化した。段階2ないし段階4が35回反復された以下の周期、すなわち9
4℃、3分;94℃、1分;58℃、1分;72℃、2分;72℃、10分による増幅に
タックプラス プレシジョン[TaqPlus Precision](商標)DNAポリ
メラーゼ(ストラタジーン(Stratagene))を使用した。
【0041】
予測された大きさの1.0kbのPCRフラグメントを単離し、そしてpCRII−T
OPO(商標)ベクター(インヴィトロジェン(Invitrogen))にクローン化
し、そしてT7 DNAシークェナーゼキット(アマーシャム(Amersham))を
使用して完全に配列決定した(配列番号7)。
【0042】
実施例2
受容体の発現
タンパク質の発現のために多様な細胞が当該技術分野で利用可能であるが、哺乳動物細
胞を利用することが最も好ましい。これの主な理由は実地的なことに基づく。すなわち、
例えばGPCRの発現のための酵母細胞の利用は、可能な一方で、受容体共役型の遺伝子
的機構を包含しなくてもよい(事実、酵母の場合は包含しない)非哺乳動物細胞、および
哺乳動物の系について発展した分泌経路をプロトコルに導入し、従って、非哺乳動物細胞
で得られる結果は、潜在的に有用な一方で哺乳動物細胞から得られるものと同じくらい好
ましくはない。哺乳動物細胞のうちCOS−7、293および293T細胞がとりわけ好
ましいが、利用される特定の哺乳動物細胞は当業者の特定のニーズに基づくことが可能で
ある。開示されるGPCRの発現のための一般的手順は以下のとおりである。
【0043】
第1日に、150mmプレートあたり1×107個の293T細胞をプレート培養した
。第2日に2本の反応チューブを準備することができる(各チューブについて後に続く比
率はプレート1枚あたりである)。すなわち、チューブAは、1.2mlの血清を含まな
いDMEM(アーヴィン サイエンティフィック(IrvineScientific)
、カリフォルニア州アーヴィン)中に20μgのDNA(例えばpCMVベクター;受容
体cDNAを含むpCMVベクター、など)を混合することにより準備することができ;
チューブBは1.2mlの血清を含まないDMEM中に120μlのリポフェクタミン(
ギブコ(Gibco)BRL)を混合することにより準備することができる。チューブA
およびBは反転(数回)により混合し、次いで室温で30〜45分間インキュベートする
。混合状態を「トランスフェクション混合物」と称することができる。プレート培養され
た293T細胞を1×PBSで洗浄し、次いで10mlの血清を含まないDMEMを添加
する。その後、細胞に2.4mlのトランスフェクション混合物を添加し、次いで37℃
/5%CO2で4時間インキュベートすることができる。その後、トランスフェクション
混合物を吸引により除去し、次いで25mlのDMEM/10%ウシ胎児血清を添加した
。それから細胞を37℃/5%CO2でインキュベートすることができる。72時間のイ
ンキュベーション後に、細胞をそれから収穫しかつ分析に利用することができる。
【0044】
実施例3
開示されるヒトGPCRの組織分布
本明細書に開示されるGPCRの組織分布の測定にはいくつかのアプローチを使用する
ことができる。
1.ドットブロット分析
商業的に入手可能なヒト組織のドットブロット形式を使用して、内在性オーファンGP
CRが局在化されている領域の決定のため、こうした受容体をプロービングした。実施例
1のGPCRからのcDNAフラグメント(放射標識された)をプローブとして使用した
か、もしくは使用することができる。すなわち、製造元の説明書に従って、プライム−イ
ット II[Prime−It II](商標)ランダムプライマー標識キット(ストラタ
ジーン(Stratagene))、#300385)を使用する完全な受容体のcDN
A(ベクターから切り出された)を使用して、放射標識されたプローブを生成したか、も
しくは生成することができる。製造元の説明書に従い、ヒトRNAマスターブロット[M
aster Blot](商標)(クロンテック(Clontech)、#7770−1
)を内在性ヒトGPCR放射標識プローブとハイブリダイズさせ、そしてストリンジェン
トな条件下で洗浄した。ブロットを−80℃で一夜、コダック(Kodak)バイオマッ
クス[BioMax](商標)オートラジオグラフィーフィルムに露光させた。数種の受
容体についての結果を表BおよびCに要約する(多様な組織およびそれらの位置を同定す
る格子についてはそれぞれ図1Aおよび1Bを参照されたい)。hCHN3およびhCH
N8を使用して生じられた結果についての例示的ドットブロットを、それぞれ図2Aおよ
び2Bに提供する。
【0045】
【表6】




【0046】
【表7】

【0047】
2.RT−PCR
a.hRUP3
hRUP3のmRNAの組織分布を確かめるため、hRUP3特異的プライマーおよび
鋳型としてのヒト多組織cDNAパネル(MTC、クロンテック(Clontech))
を使用してRT−PCRを実施した。40μlの反応中で以下の反応周期、すなわち94
℃2分間;94℃15秒間;55℃30秒間;72℃1分間;72℃、10分間を使用す
るPCR反応にタック(Taq)DNAポリメラーゼ(ストラタジーン(Stratag
ene))を利用した。プライマーは以下のとおりであった:
5’−GACAGGTACCTTGCCATCAAG−3’(配列番号61;センス)
5’−CTGCACAATGCCAGTGATAAGG−3’(配列番号62;アンチセ
ンス)。
【0048】
反応の20μlを1%アガロースゲルに負荷し;結果を図3に示す。
【0049】
図3のデータにより支持されるとおり、利用されたcDNAパネル中の16のヒト組織
(脳、結腸、心、腎、肺、卵巣、膵、胎盤、前立腺、骨格、小腸、脾、精巣、胸腺白血球
および肝)のうち、単一のhRUP3のバンドは膵からのみ明らかである。他のGPCR
を用いるhRUP3のタンパク質配列の付加的な比較分析は、hRUP3の内在性リガン
ドが小分子であることが予測されるような、小分子の内在性リガンドを有するGPCRに
hRUP3が関することを示唆する。
b.hRUP4
プライマーとしてhRUP4 オリゴ8および4、ならびに鋳型としてヒト多組織cD
NAパネル(MTC、クロンテック(Clontech))を使用してRT−PCRを実
施した。周期2から4が30回反復された以下の周期、すなわち94℃30秒間、94℃
10秒間、55℃30秒間、72℃2分間および72℃5分間による40μlの反応中で
の増幅にタック(Taq)DNAポリメラーゼ(ストラタジーン(Stratagene
))を使用した。
【0050】
20μlの反応を1%アガロースゲルに負荷してRT−PCR産物を分析し、そして、
hRUP4のmRNAは多くのヒト組織で発現されて見出され、心および腎で最も強い発
現であった(図4を参照されたい)。PCRフラグメントの真正性を確認するために、h
RUP4の5’端由来の300bpのフラグメントをサザンブロット分析のプローブとし
て使用した。該プローブは、プライム−イット II[Prime−ItII](商標)
ランダムプライマー標識キット(ストラタジーン(Stratagene))を使用して
32P−dCTPで標識し、そしてプローブクワント[ProbeQuant](商標)G
−50微小カラム(アマーシャム(Amersham))を使用して精製した。12時間
のプレハイブリダイゼーション後に42℃で一夜ハイブリダイゼーションを行った。ブロ
ットを最後に65℃で0.1×SSCで洗浄した。サザンブロットは、該PCRフラグメ
ントをhRUP4として確認した。
c.hRUP5
以下のhRUP5特異的プライマー:
5’−CTGACTTCTTGTTCCTGGCAGCAGCGG−3’(配列番号63
;センス)
5’−AGACCAGCCAGGGCACGCTGAAGAGTG−3’(配列番号64
;アンチセンス)
および、鋳型としてヒト多組織cDNAパネル(MTC、クロンテック(Clontec
h))を使用してRT−PCRを実施した。以下の周期、すなわち94℃30秒間、94
℃10秒間、62℃1.5分間、72℃5分間によりかつ周期2から3が30回反復され
た40μlの反応中での増幅にタック(Taq)DNAポリメラーゼ(ストラタジーン(
Stratagene))を使用した。20μlの反応を1.5%アガロースゲルに負荷
してRT−PCR産物を分析し、そしてhRUP5のmRNAは末梢血白血球でのみ発現
されて見出された(データは示されない)。
d.hRUP6
hRUP6の発現を確認しかつその組織分布を決定するためにRT−PCRを適用した
。AC005871およびGPR66セグメントの整列に基づく、使用されたオリゴヌク
レオチドは、以下の配列:
5’−CCAACACCAGCATCCATGGCATCAAG−3’(配列番号73;
センス)
5’−GGAGAGTCAGCTCTGAAAGAATTCAGG−3’(配列番号74
;アンチセンス)
を有し、また、ヒト多組織cDNAパネル(MTC、クロンテック(Clontech)
)を鋳型として使用した。以下の周期、すなわち94℃30秒間;94℃5秒間;66℃
40秒間、72℃2.5分間および72℃7分間により40μlの反応中でタックプラス
プレシジョン[TaqPlusPrecision](商標)ポリメラーゼ(ストラタ
ジーン(Stratagene);製造説明書に従うことができる)を使用してPCRを
実施した。周期2から4を30回反復した。
【0051】
反応の20μlを1.2%アガロースゲルに負荷してRT−PCR産物を分析し、そし
て、主として胸腺で、また、心、腎、肺、前立腺、小腸および精巣中でより少ない発現で
、hRUP6を表す特異的な760bpのDNAフラグメントが発現された(図5を参照
されたい)。
【0052】
本特許文書で挙げられる特許、出願および印刷された刊行物のそれぞれはこれによりそ
っくりそのまま引用により組み込まれることが意図される。
【0053】
当業者は、多数の変更および改変を、本発明の技術思想から離れることなく本発明の好
ましい態様に対し行ってよいことを認識するであろう。全部のこうした変形物は本発明お
よび後に続く請求の範囲の範囲内にあることを意図している。
【0054】
多様なベクターが当業者に利用可能であるが、内在性および非内在性双方のヒトGPC
Rに対する利用の目的上、利用されるベクターはpCMVであることが最も好ましい。こ
のベクターは、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(the
Budapest Treatyfor the International Reco
gnition of the Deposit of Microorganismsfo
r the Purpose of Patent Procedure)の規定の下に、1
998年10月13日にアメリカン タイプ カルチャーコレクション(America
n Type Culture Collection)(ATCC)(10801Uni
versity Blvd.,米国バージニア州マナサス20110−2209)に寄託
された。該DNAはATCCにより試験され、そしてそうであることが決定された。AT
CCはpCMVに対し以下の寄託番号:ATCC#203351を割り当てている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】発明にかかる、本明細書で提供されるある種のドットブロットの参照「格子」を提供する(それぞれ図2Aおよび2Bもまた参照されたい)。
【図1B】発明にかかる、本明細書で提供されるある種のドットブロットの参照「格子」を提供する(それぞれ図2Aおよび2Bもまた参照されたい)。
【図2】発明にかかる、それぞれhCHN3およびhCHN8から生じるある種のドットブロット分析の結果の再現を提供する(それぞれ図1Aおよび1Bもまた参照されたい)。
【図3】発明にかかる、hRUP3のRT−PCR分析の結果の再現を提供する。
【図4】発明にかかる、hRUP4のRT−PCR分析の結果の再現を提供する。
【図5】発明にかかる、hRUP6のRT−PCR分析の結果の再現を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項2】
配列番号2を含んで成る配列番号1のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項3】
ベクターおよび配列番号1のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項4】
請求項3記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項5】
配列番号3を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項6】
配列番号4を含んで成る配列番号3のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項7】
ベクターおよび配列番号3のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項8】
請求項7記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項9】
配列番号5を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項10】
配列番号6を含んで成る配列番号5のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項11】
ベクターおよび配列番号5のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項12】
請求項11記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項13】
配列番号7を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項14】
配列番号8を含んで成る配列番号7のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項15】
ベクターおよび配列番号7のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項16】
請求項15記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項17】
配列番号9を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項18】
配列番号10を含んで成る配列番号9のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項19】
ベクターおよび配列番号9のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項20】
請求項19記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項21】
配列番号11を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項22】
配列番号12を含んで成る配列番号11のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項23】
ベクターおよび配列番号11のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項24】
請求項23記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項25】
配列番号13を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項26】
配列番号14を含んで成る配列番号13のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項27】
ベクターおよび配列番号13のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項28】
請求項27記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項29】
配列番号15を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項30】
配列番号16を含んで成る配列番号15のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項31】
ベクターおよび配列番号15のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項32】
請求項31記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項33】
配列番号17を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項34】
配列番号18を含んで成る配列番号17のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項35】
ベクターおよび配列番号17のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項36】
請求項35記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項37】
配列番号19を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項38】
配列番号20を含んで成る配列番号19のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項39】
ベクターおよび配列番号19のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項40】
請求項39記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項41】
配列番号21を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項42】
配列番号22を含んで成る配列番号21のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項43】
ベクターおよび配列番号21のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項44】
請求項43記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項45】
配列番号23を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項46】
配列番号24を含んで成る配列番号23のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項47】
ベクターおよび配列番号23のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項48】
請求項47記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項49】
配列番号25を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項50】
配列番号26を含んで成る配列番号25のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項51】
ベクターおよび配列番号25のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項52】
請求項51記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項53】
配列番号27を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項54】
配列番号28を含んで成る配列番号27のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項55】
ベクターおよび配列番号27のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項56】
請求項55記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項57】
配列番号29を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項58】
配列番号30を含んで成る配列番号29のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項59】
ベクターおよび配列番号29のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項60】
請求項59記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項61】
配列番号31を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項62】
配列番号32を含んで成る配列番号31のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項63】
ベクターおよび配列番号31のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項64】
請求項63記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項65】
配列番号33を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項66】
配列番号34を含んで成る配列番号33のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項67】
ベクターおよび配列番号33のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項68】
請求項67記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項69】
配列番号35を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項70】
配列番号36を含んで成る配列番号35のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項71】
ベクターおよび配列番号35のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項72】
請求項71記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。
【請求項73】
配列番号37を含んで成るヒトGタンパク質共役型受容体をコードするcDNA。
【請求項74】
配列番号38を含んで成る配列番号37のcDNAによりコードされるヒトGタンパク質共役型受容体。
【請求項75】
ベクターおよび配列番号37のcDNAを含んで成るプラスミド。
【請求項76】
請求項75記載のプラスミドを含んで成る宿主細胞。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−209352(P2007−209352A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129923(P2007−129923)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【分割の表示】特願2004−132989(P2004−132989)の分割
【原出願日】平成11年10月13日(1999.10.13)
【出願人】(500478097)アリーナ・フアーマシユーチカルズ・インコーポレーテツド (97)
【Fターム(参考)】