説明

ヒト及び家畜を保護するための、殺虫剤でコーティングした基材

ピレトロイド、クロロフェナピル及び特殊なアクリルバインダーを含有する組成物で処理した基材は、建造物中の有害昆虫を防除するため、そのような有害昆虫からヒト及び家畜を保護するため、及び、前記有害昆虫が伝染する、ベクター伝染性疾患からヒト及び家畜を保護するために、適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、有害昆虫、特にカからヒト及び家畜を保護するための、ピレトロイド含有作用物質混合物でコーティングされた基材、特にネット、並びに、コーティングに適した殺虫組成物に関する。
【0002】
ベクター伝染性疾患、例えばマラリア、黄熱病、デング熱、リンパ管フィラリア症及びリーシュマニア症の防除のために、殺虫剤で含浸した防蚊ネットは特に有効であると証明されている。家屋内壁に殺虫剤を噴霧適用する他に、このようなネットの使用は、例えば、世界的な「Roll Back Malaria Partnership」プロジェクトの柱の1つをなし、WHO(World Health Organization)により推奨される。より長期間にわたり効率的な保護を提供するために、このネットは、この殺虫作用が多数の洗浄後にも失われないように含浸されなくてはならない。相応する、特殊な殺虫剤−バインダー−組み合わせで処理したネットは、LLINs(Long Lasting Insecticidal Nets)とも呼ばれる。
【0003】
殺虫剤としては、この場合に、現在ほとんどピレトロイドのみが使用され、というのも、この殺虫剤クラスは、昆虫にとって高い致死作用と、同時に、哺乳類動物にとってより少ない毒性を有するだけでなく、昆虫は、迅速な麻痺によっても、一刺して疾患の伝染を生じ得る前に、戦闘力を失う(いわゆるノックダウン効果)。
【0004】
しかし、長年の、そして増加するピレトロイドの使用は、耐性の高められた発生の危険性も生じ、というのも、この殺虫剤は農業においても収穫物有害物を防除するために使用するからである。したがって、例えば、西アフリカ及び東アフリカでは、ピレトロイド耐性が、アノフェレス・ガンビエ(Anophelesgambiae)で、そして、南アフリカではアノフェレス・フネストス(Anopheles funestus)で伝播している。
【0005】
耐性形成の克服及び回避のために、代替的な殺虫剤の使用が、場合によってはピレトロイドと混合して議論されている。可能性のある候補は、この場合に、クロロフェナピルであり、これは、ハマダラカ属の蚊(Anopheles-Muecke)に対して良好な作用を有し、ヒトにとって毒性が極めて少なく、かつ、ピレトロイドとは異なる作用機序(ミトコンドリア中の酸化的リン酸化の脱共役、ミトコンドリア電子輸送阻害剤、METI)を有する(例えば、R. N'Guessan et al., Acta Tropica 102 (2007) 69-78; F.W. Mosha et al., Tropical Medicine and International Health 13(5) 2008 644-652; R. N'Guessan et al., Tropical Medicine and International Health 14(4) (2009) 1-7を参照のこと)。前述の文献には、クロロフェナピルとピレトロイドとの組み合わせも提案されている。
【0006】
しかし、実際には、両方の殺虫成分にとって、制御された放出についての要求を同時に高い洗浄強度でもって満たす、2つの異なる作用物質及び適したバインダーからの系を準備することは極めて困難である。したがって、WO 2009/003468(2頁、9〜15行)には次のことが確認されている:
「When different insecticides are incorporated into a polymer matrix, [...] the migration of the insecticides can be difficult to control, as a migration promoter or inhibitor of one insecticide or Synergist may influence the migration of the other insecticide. Thus, if a certain release is desired of different insecticides, this is a [sie!] difficult to achieve, though highly desired.」。
【0007】
この知られるようになった、殺虫剤組み合わせ(又は殺虫剤及び相乗剤からの組み合わせ)の使用のための解決策は、したがって、少なくとも1つの部分的に空間的に別個の、異なる作用物質の導入を提案する。
【0008】
WO 2008/098572には、2層のコーティングが記載され、これは、ポリマーマトリックスとこの中に導入された相乗剤とから構成される第1の層を含み、この上に、導入された殺虫剤を有する第2のコーティングフィルムが設けられている。
【0009】
WO 2009/003468には、2つの、異なる殺虫剤/相乗剤で含浸された繊維を含有する、殺虫性繊維が記載されている。代替的に、この繊維は、異なる部分に異なる作用物質/相乗剤を含有する、押出されたモノフィラメントであることができる。
【0010】
WO 2009/003469には、空間的に別個の部分中に殺虫剤及び相乗剤を含有する、殺虫性ネット構築物が記載されている。
【0011】
WO 2009/059607には、第1の物品、例えば防蚊ネット(これは、第1の殺虫剤でコーティングされている)、並びに、第2の物品、例えば、背もたれ(これは、第2の殺虫剤で含浸されている)を含む室が記載されている。
【0012】
Oxborough et al., Annals of Tropical Medicine & Parasitology 102 (2008) 717-727及び P. Guillet et al., Medical and Veterinary Entomology 15 (2001) 105-1 12は、いわゆる2in1−適用において、ピレトロイドとは異なる殺虫剤を、防蚊ネットの上方部分に設け、その一方で、この側方部分をピレトロイドで処理する、殺虫剤組み合わせを記載する。
【0013】
前述の材料及び装置は、しかし、通常は、その製造及び適用に手間がかかり、このことはしばしば、経済的な考慮から実際的でもなく、かつ、特にこのことは効率に関して更に広い改善の余地を提供する。
【0014】
したがって、更に、一方では、ピレトロイドと更なる殺虫剤との組み合わせによってピレトロイド耐性を克服するための良好な傾向を示し、しかし、他方では、良好な殺虫作用で、製造及び適用が極めて簡易である、特に持続的に殺虫剤を含浸したネットを提供するという課題が存在した。
【0015】
ピレトロイド及びクロロフェナピルを所定のアクリラートバインダーからの混合物と組み合わせてコーティングした所定の基材、特にテキスタイル材料、好ましくはネットが、ヒト又は家畜を有害昆虫から保護するためにとりわけ適することが見出された。
【0016】
WO 2008/052913には、特に、α−シペルメトリン及びクロロフェナピルからの組み合わせ物がネットの含浸のために提案され、これによって培養植物が保護されることが望まれる。但し、このような適用のためには、洗浄強度に対する要求は低く、かつ、この文献中には、殺虫剤混合物とバインダーからのどのような組み合わせが、ヒト及び家畜をベクター伝染性疾患から保護するための適用に適しているのかについて、如何なる示唆も見出せない。
【0017】
本発明の主題は、従って、
A)次の成分A1)、A2)からなる混合物A 0.1〜45質量%(A及びBの合計に対して)
A1)1種以上のピレトロイド99〜1質量%(Aに対して);
A2)クロロフェナピル1〜99質量%(Aに対して)
及び
B)次のものの乳化重合により得られるアクリラートバインダー99.9〜55質量%(A及びBの合計に対して)
B1)式(I)
【化1】

[式中、R1は、H又はCH3を、
2は、線状又は分枝鎖状のC1〜C12−アルキル基を意味する]
の(メタ)アクリラート1種以上20〜93質量%(Bに対して);
B2)N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−N′−ビスメチロールマレイン酸ジアミド及びN,N′−ビスメチロールフマル酸ジアミドの群からの少なくとも1種のモノマー1〜5質量%(Bに対して);
B3)アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、マレイン酸及びフマル酸の群からの少なくとも1種のモノマー0.2〜5質量%(Bに対して);
B4)次の群からの少なくとも1種のモノマー0〜5質量%(Bに対して)
B4A)式(II)及び/又は(III)のモノマー
2C=CR3X(II)、ZHC=CHZ(III)
[式中、記号は次の意味を有する:

4、R5は、同じか又は異なり、線状又は分枝鎖状のC1〜C10−アルキル基;]
B4B)アクリル酸アリルエステル、アクリル酸メタリルエステル、メタクリル酸アリルエステル、メタクリル酸メタリルエステル、マレイン酸ジアリルエステル、マレイン酸ジメタリルエステル、フマル酸アリルエステル、フマル酸メタリルエステル、フタル酸ジアリルエステル、フタル酸ジメタリルエステル、テレフタル酸ジアリルエステル、テレフタル酸ジメタリルエステル、p−ジビニルベンゼン及びエチレングリコールジアリルエーテル;
B5)次の群からの少なくとも1種のモノマー0〜40質量%(Bに対して)
B5A)アクリルニトリル、メタクリルニトリル、マレイン酸ジニトリル及びフマル酸ジニトリル及び/又は
B5B)B1〜B4とは異なる、非極性エチレン性不飽和モノマー
を含有する組成物でコーティングされた基材に関する。
【0018】
更に、本発明の主題は、ヒト及び家畜を有害昆虫から及びベクター伝染性疾患から保護するための、本発明による基材の使用である。
【0019】
同様に、本発明の主題は、有害昆虫の防除のための並びにヒト及び家畜を有害昆虫及び/又はベクター伝染性疾患から保護するための方法であって、本発明によりコーティングされた基材が建築物中に取り付けられる方法である。
【0020】
更に、本発明の主題は、クロロフェナピル、ピレトロイド及び前述のアクリラートバインダーからの本発明による組み合わせを含有する水性処方物である。
【0021】
本発明によりコーティングされた基材は、簡易な製造、及び、特にネットの形における簡易な適用により優れている。本発明によりコーティングされたネットは、複数回の洗浄後にも、ピレトロイド耐性有害昆虫にすら良好な殺虫作用を有する。この殺虫剤コーティングされた基材は、好ましい毒物学的値を示し、かつ、ピレトロイド耐性有害昆虫にも有効な防除を可能にする。
【0022】
殺虫剤
本発明により、クロロフェナピル及び少なくとも1のピレトロイドからの混合物が使用される。
クロロフェナピル(V)
【化2】

(IUPAC名称:4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−1−エトキシメチル(−5−トリフルオロメチルピロール−3−カルボニトリル)は、BASF SEにより市販されており、例えば、C. D.S. Tomlin (Hrsg.), The Pesticide Manual, 第14版, British Crop Protection Council, Alton (UK) 2006に記載されている)。
【0023】
ピレトロイド成分として適しているのは例えばピレトロイド−エステル−殺虫剤、例えばアクリナトリン(Acrinathrin)、アレトリン(Allethrin)、ビオアレトリン(Bioallethrin)、バルトリン(Barthrin)、ビフェントリン(Bifenthrin)、ビオエタノメトリン(Bioethanomethrin)、シクレトリン(Cyclethrin)、シクロプロトリン(Cycloprothrin)、サイフルトリン(Cyfluthrin)、β−サイフルトリン、サイハロトリン(Cyhalothrin)、ガンマ−サイハロトリン、ラムダ−サイハロトリン、サイペルメトリン(Cypermethrin)、α−サイペルメトリン、β−、サイペルメトリン、θ−サイペルメトリン、ζ−サイペルメトリン、サイフェノトリン(Cyphenothrin)、デルタメトリン(Deltamethrin)、ジメフルトリン(Dimefluthrin)、ジメトリン(Dimethrin)、エムペントリン(Empenthrin)、フェンフルトリン(Fenfluthrin)、フェンピリトリン(Fenpirithrin)、フェンプロパトリン(Fenpropathrin)、フェンバレレート(Fenvalerate)、エスフェンバレラート(Esfenvalerate)、フルサイトリネート(FIucythrinate)、フルバリネート(Fluvalinate)、τ−フルバリネート、フレトリン(Furethrin)、イミプロトリン(Imiprothrin)、メトフルトリン(Metofluthrin)、ペルメトリン(Permethrin)、ビオペルメトリン(Biopermethrin)、トランスペルメトリン(Transpermethrin)、フェノトリン(Phenothrin)、プラレトリン(Prallethrin)、プロフルトリン(Profluthrin)、ピレスメトリン(Pyresmethrin)、レスメトリン(Resmethrin)、ビオレスメトリン(Bioresmethrin)、シスメトリン(Cismethrin)、テフルトリン(Tefluthrin)、テラレトリン(Terallethrin)、テトラメトリン(Tetramethrin)、トラロメトリン(Tralomethrin)、トランスフルトリン(Transfluthrin);ピレントロイド−エーテル殺虫剤、例えば、エトフェンプロックス(Etofenprox)、フルフェンプロックス(Flufenprox)、ハロフェンプロックス(HaIfenprox)、プロトリフェンブテ(Protrifenbute)、シラフロフェン(Silafluofen)及び天然ピレトロイド、例えばピレトリン(Pyrethrin)I及びII、シネリン(Cinerin)I及びII並びにジャスモリン(Jasmolin)I及びIIである。
【0024】
好ましくはシペルメトリン、α−シペルメトリン、デルタメトリン、ペルメトリン、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン及びラムダシハロトリンである。
【0025】
特に好ましくはα−シペルメトリン、デルタメトリン及びペルメトリンである。
【0026】
極めて特に好ましくはα−シペルメトリンである。
【0027】
好ましくは、クロロフェナピル及びピレトロイドからの二元混合物の使用であり、しかし、クロロフェナピルを、複数の、好ましくは2つのピレトロイドと混合して使用することもできる。
【0028】
ピレトロイド一般及び前述の作用物質は詳細に知られており、かつ市販されており、α−シペルメトリンは例えばBASF SE, Ludwigshafen, ドイツ国で市販されている。この作用物質は例えばThe Pesticide Manual (上記参照のこと)に記載されている。更なる記載は、H. Mehldorn (Hrsg.), Encyc-lopedic Reference of Parasitology, 第2版, Disease Treatment, Therapy, 2001にも見出される。同様に、ピペロニルブトキシドはThe Pesticide Manual(上記参照のこと)に記載されている。
【0029】
このクロロフェナピル:ピレトロイドの量比は、一般に0.01〜100:1、好ましくは0.1〜10:1、特に好ましくは0.1〜5:1、特に0.5〜2:1である。
【0030】
この殺虫剤混合物(クロロフェナピル及びピレトロイド)の濃度は好ましくは、基材のコーティングに用いられる(以下参照のこと)水性処方物中で、この基材の知られている液体吸収で所望の殺虫剤濃度がネットに生じるように調節される。一般に、この殺虫剤混合物の量は水性処方物中で0.05〜1質量%、好ましくは0.1〜0.7質量%(この水性処方物に対して)である。
【0031】
この殺虫剤の粒径は水性処方物中で一般に50nm〜20μm、好ましくは50nm〜8μm、特に好ましくは50nm〜4μm、とりわけ50nm〜500nmである。
【0032】
アクリラートバインダー(B)
バインダーは、作用物質組み合わせをテキスタイル材料に固定するために利用される。これによって、この作用物質が特に複数回の洗浄でも洗い流されないか又は少なくとも極めてゆっくりとだけ流されることが達成される。
【0033】
本発明により使用されるアクリラートバインダーとは、成分B1〜B4並びに任意にB5のエマルション重合により得られるコポリマーである。
【0034】
成分B1として、1又は複数、好ましくは1、2又は3、特に好ましくは1つの式(I)の(メタ)アクリラート
【化3】

[式中、記号は以下の意味を有する:
1は、H又はCH3、好ましくはH、
2は、C1〜C10−アルキル、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル、特に好ましくはメチル、エチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシル、特にとりわけ好ましくはエチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシル]
が使用される。
【0035】
成分B1として、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート及びメチルメタクリラートが好ましい。単独での又はメチルメタクリラート又はエチルアクリラートと混合したブチルアクリラートも好ましい。n−ブチルアクリラートが特に好ましい。
【0036】
成分B2としてN−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N′−ビスメチロールマレイン酸ジアミド及びN,N′−ビスメチロールフマル酸ジアミドの群からの少なくとも1種のモノマーが使用される。
【0037】
好ましくはN−メチロールアクリルアミド及びN−メチロールメタクリルアミド、特にN−メチロールメタクリルアミドである。
【0038】
成分B3として、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、マレイン酸及びフマル酸の群からの1又は複数の、好ましくは1又は2のモノマーが使用される。好ましくはアクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が特に好ましい。
【0039】
成分B4として、B4A及び/又はB4Bの群からの1又は複数のモノマー、好ましくは1又は2のモノマーが使用される。
【0040】
群B4Aのモノマーは、次の式(II)及び/又は(III)
2C=CR3X(II)、ZHC=CHZ(III)
[式中、記号は次の意味を有する:

4、R5は、同じか又は異なり、線状又は分枝鎖状のC1〜C10−アルキル]のモノマー並びに、(メタ)アクリル改変されたベンゾフェノン、例えばEP-A 0 346 734に記載されているものである。
【0041】
群B4Aのモノマーとして、アクリル酸アセトアセチルエステル、メタクリル酸アセトアセチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸ジアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチルエステル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチルエステル、アクリル酸−6−ヒドロキシヘキシルエステル、メタクリル酸−6−ヒドロキシヘキシルエステル、アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルエステル、メタクリル酸−3−ヒドロキシ−3−クロロプロピルエステル、アクリル酸グリシジルエステル及びメタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。特に好ましくはアクリルアミド、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピルエステル、ブタンジオールモノアクリラート−アセチルアセタート、メタクリル酸グリシジルエステル及び4−アクリルオキシベンゾフェノンである。
【0042】
群B4Bのモノマーとしてアクリル酸アリルエステル、アクリル酸メタリルエステル、メタクリル酸アリルエステル、メタクリル酸メタリルエステル、マレイン酸ジアリルエステル、マレイン酸ジメチルアリルエステル、フマル酸アリルエステル、フマル酸メタリルエステル、フタル酸ジアリルエステル、フタル酸ジメチルアリルエステル、テレフタル酸ジアリルエステル、テレフタル酸ジメタリルエステル、p−ジビニルベンゼン、ブタン−1,4−ジオール−ジアリルエーテル及びブタン−1,4−ジオール−ジメタリルエーテルが使用される。
【0043】
群B4の好ましいモノマーは、群B4Aのものであり、その際、この群からの1又は2のモノマーの使用が好ましい。
【0044】
群B5の好ましいモノマーは群B5Aのものであり、並びに、B5Bの群からのビニル芳香族モノマーである。
【0045】
成分B5Aとして好ましくはアクリルニトリル又はメタクリルニトリル、好ましくはアクリルニトリルが使用される。
【0046】
成分B5Bとしてスチレン及びα−メチルスチレンが好ましく、特に好ましくはスチレンである。
【0047】
好ましい一実施態様において、アクリラートバインダーの製造のために成分B5のモノマーとしてアクリルニトリルが使用される。
【0048】
アクリラートバインダー(B)は、次のもののエマルション重合により得られる(記載はそのつど、全量Bに対して質量%で挙げられている):
b1)20〜93質量%、好ましくは50〜90質量%、特に好ましくは60〜90質量%、とりわけ75〜85質量%の成分B1;
b2)1〜5質量%、好ましくは1.5〜3質量%の成分B2;
b3)0.2〜5質量%、好ましくは0.5〜4質量%、特に好ましくは0.75〜4質量%、とりわけ1〜3質量%の成分B3;
b4)0〜7質量%、好ましくは0〜5質量%、特に好ましくは0〜4.5質量%、とりわけ0又は0.2〜4.5質量%の成分B4;及び
b5)0〜40質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは5〜30質量%、とりわけ0又は5〜26質量%の成分B5。
【0049】
適した方法は当業者に知られており、かつ、例えばWO 2005/064072(20頁、20行〜23頁、15行に記載されている。
【0050】
この得られた、架橋していないエマルションポリマーの質量平均分子量は、一般に、40000〜250000である(GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)を用いて測定)。この分子量は一般に、鎖破断剤、例えば硫黄有機化合物の通常量での使用によって制御される。
【0051】
本発明により使用されるアクリラートバインダーは一般に、水性分散液の形で得られ、かつ、本発明による殺虫剤処方物中で通常この形で使用される。
【0052】
本発明のアクリラートバインダーは、更に通常の、当業者に慣用の添加剤を含有してよく、これは例えば、フィルム形成剤及び/又は可塑剤、例えばアジパート、フタラート、ブチルジグリコール、ジエステルの混合物であって、直鎖状又は分枝鎖状のアルコールとジカルボン酸との反応から得られたものを含有してよい。適したジカルボン酸及びアルコールは当業者に知られている。
【0053】
含浸のための処方物−架橋剤
本発明による基材、特にネットの製造のために、バインダーは溶媒中の処方物の形で、好ましくは水性処方物として使用でき、しかし、本発明は、溶媒不含処方物も包含する。
【0054】
好ましい一実施態様において、水55〜99質量%、好ましくは85〜98質量%及び0.5〜45質量%、好ましくは1〜10質量%の固形物質を含有する水性処方物が使用され、その際、この量の記載はそのつどこの処方物中の全成分の合計に対する。この正確な濃度は、このテキスタイル材料の吸収能力に応じて適合される。
【0055】
固形物質とは、アクリラートバインダー、殺虫剤混合物、任意に少なくとも1の架橋剤並びに任意に更なる成分である。
【0056】
好ましくは少なくとも1の水分散可能な架橋剤が使用される。ここで、特に架橋剤とは、遊離イソシアナート基を提供するものである。この場合に好ましくはイソシアヌラート(遊離のイソシアナート基を提供する)、好ましくは脂肪族、脂環式又は芳香族のジイソシアナートであって4〜12個の炭素原子を有するものから誘導されるイソシアヌラートである。例は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、1,12−ドデカンジイソシアナート、2,2′−及び2,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、2,6−及び/又は2,4−トルイルジイソシアナート、2−エチルテトラメチレンジイソシアナート、2−メチルペンタメチレンジイソシアナート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアナート、リシンエステルジイソシアナート(CDI)、シクロヘキサン−1,3及び/又は1,4−ジイソシアナート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、4,4′−,2,4′−及び/又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアナート(モノマー状MDI)、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアナート(ポリマー状MDI)、又は少なくとも2の上述のイソシアナートを含有する混合物を含む。好ましくは1,6−ヘキサンメチレンジイソシアナートをベースとするイソシアヌラートである。特に好ましくは、付加的な親水基、例えば特にポリエチレンオキシド基を有するイソシアヌラートである。特にとりわけ好ましくは、エチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドを基礎とするポリアルキレンオキシドで親水化されたイソシアヌラートである。
【0057】
本発明により架橋剤として使用されるイソシアヌラートは、好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは7〜20質量%、とりわけ10〜15質量%の遊離イソシアナート基を含む(出発材料としてイソシアヌレートの製造に使用されたイソシアナートの量に対して)。
【0058】
この種のイソシアヌレートの製造は当業者に知られている。これは好ましくは極性の非プロトン性溶媒、例えばエチレンカーボナート又はプロピレンカーボナート中で溶解して使用される。好ましい、イソシアナート基を有する架橋剤についての更なる詳細は、WO 2008/052913の34頁6行〜35頁3行に開示されている。特に好ましくは、付加的なポリエチレンオキシド基を提供する、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)を基礎とするイソシアヌレートが使用され、その際、このイソシアヌレートはプロピレンカーボナートに溶解されている(プロピルカーボネート中70質量%HMDI)。この遊離イソシアナート基の量は、この溶液に対して約11〜12質量%である。この架橋剤は好ましくは、この処方物の全固形物質の量に関して1〜10質量%の量で使用される。
【0059】
この処方物は更に典型的な添加剤及び助剤、UV保護剤、脱泡剤並びに着色剤を含有できる。この種の添加剤の例は、WO 2006/128870の41頁38行〜43頁22行に挙げている。
【0060】
着色剤及び顔料は、純粋に審美的な目的の他に、例えばトリ又は哺乳類に対する警告作用を発揮するか又は昆虫に対する殺虫性テキスタイル材料のマスキングをもたらす。さらに、暗い着色は場合によって所望される日陰を生じ、並びに、屋外の適用の際に作用物質及びテキスタイル繊維に対するUV光の有害作用を和らげる。
【0061】
湿潤剤及び増粘剤は、劣悪に、したがって不均質にだけ湿潤可能な基材、例えばポリオレフィン繊維で、均一な処理溶液の塗布を達成するために使用できる。この目的では、水と混合可能な溶媒も使用でき、しかし、環境害の可能性のために好ましくはない。当業者には通常使用される助剤及びその濃度が知られている。
【0062】
好ましくは前記処方物は酸化防止剤、ペルオキシド捕捉剤、UV吸収剤及び光保護剤を含有できる。このことは特に、屋外で高められたUV照射に曝されるネットで推奨される。前述の添加剤は、光線に条件付けられた分解から基材繊維も作用物質も保護する。
【0063】
適したUV吸収剤は例えばWO 02/46503又はWO 2007/077101に記載されている。UV吸収剤は一方ではこの処方物の成分として含浸のために使用できる。これは、しかし、例えばポリオレフィン及びポリエステルでは、既にこの繊維の製造の経過の間に混和されていることもできる。好ましくは、異なる保護作用を発揮する数種の安定剤の混合物も使用できる。未処理のテキスタイル材料の質量に対して通常は0.2〜5質量%、好ましくは0.25〜4質量%、特に好ましくは0.5〜3.5質量%の安定化剤が使用される。処方物中のこの量は当業者によって相応して調節される。
【0064】
コーティング方法
本発明によりコーティングされた基材の製造には未処理の材料を、アクリラートバインダー及び殺虫剤混合物を少なくとも含有する混合物で、好ましくは前述の水性処方物で処理する。この処理は当業者に知られている方法で、例えばこの処方物での未処理の基材の浸漬又は吹付けにより実施されることができる。この処理は室温で、又は高められた温度でも実施できる。架橋が望まれる場合には、低温、例えば10〜70℃での処理工程に、更に高められた温度、例えば50〜170℃、好ましくは70〜150℃での後処理が続いてよい。このような処理の詳細は、例えばWO 2005/064072の29頁16行〜35頁36行に開示されている。
【0065】
このコーティングは、通常の、当業者に知られている、含浸用装置を用いて行われることができる。このコーティングは、簡易な手段によってもエンドユーザー自体によって実施でき、例えば、浸漬及びこの後の空気乾燥により実施できる。このためには好ましくは、高温で硬化しない適したバインダー系が選択される。
【0066】
基材
基材材料として例えばテキスタイル材料、非テキスタイルプラスチック材料、紙、皮革、人工皮革、シート及び他の、好ましくはフレキシブルな材料が適する。
【0067】
使用される基材は、好ましくは、テキスタイル材料、特に、テキスタイル繊維からのネットである。この場合に、天然繊維又は合成繊維からのネットであることができる。無論、2種以上の異なる繊維の混合物であることもできる。天然繊維のための例は、綿繊維、ジュート繊維又はロープ繊維(Leinenfaser)を含む。好ましくは、適したポリマーからの合成繊維である。例は、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリルニトリル又はポリオレフィンを含む。好ましくは、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリエステル、特に好ましくはポリオレフィン、特にポリプロピレン又はポリエチレン、及びポリエステル、特にとりわけ好ましくはポリエステル繊維、とりわけポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0068】
前記繊維は、平滑な又は構造化した繊維であることができる。前記繊維は、モノフィラメント、オリゴフィラメント又はマルチフィラメントであることができる。
【0069】
ポリプロピレン及びポリエチレンは、ポリプロプレン又はポリエチレン−ホモポリマーであることができる。しかし、エチレン又はプロピレンの他に少量の他のコモノマーを含有するコポリマーであることもできる。適したコモノマーは、特に、他のオレフィン、例えばエチレン又はプロピレン並びに1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、スチレン又はα−メチルスチレン、ジエン及び/又はポリエンであることができる。ポリエチレン又はポリプロプレン中のコモノマーの割合は一般に最大20質量%、好ましくは最大10質量%である。コモノマーの種類及び量は、当業者がこの繊維の所望の特性に応じて選択する。
【0070】
繊維製造に特に好ましくは、比較的高分子量の、粘性のある(zaehfliessend)生成物であって、通常の手段でそのメルトフローインデックス(ISO1133により測定)で特性決定されるものである。好ましくは、少なくとも1のポリプロプレン又はポリエチレンであって、メルトフローインデックスMFR(230℃、2.16kg)0.1〜60g/10分を有するものであることができる。好ましくは、メルトフローインデックスMFR(230℃、2.16kg)1〜50g/10分、特に好ましくは10〜45g/10分、例えば30〜40g/10分を有するポリプロプレンである。このようなポリプロピレン種は、特に繊維の製造に適する。無論、複数の異なる種類のポリプロピレンの混合物を使用することもできる。
【0071】
このテキスタイル繊維は、そのネットの種類に応じて、太さ0.05〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.12〜0.35mm、特にとりわけ0.2〜0.3mmの厚さを有する。
【0072】
このテキスタイル材料は例えばカバー又は覆いの形で使用され、例えばベットカバー、マットレス、クッション、カーテン、壁カバー、絨毯、窓用−、棚用−及びドア用カーテン、天井カバー、防水シート(Plane)及びテント用布地(Zeltbahne)のためである。好ましくは、ネット、特に防蚊ネット、例えばベットネットであって蚊及び他の有害昆虫に対する保護のためのものである。
【0073】
好ましく使用されるネットは好ましくは、整数の角を有する編み目パターンを有する。このネットはこの場合に好ましくは、唯一の編み目からだけなり、例えば4角形だけ又は6角形だけの編み目からなり、又は、2種以上の異なる編み目を含むこともでき、例えば8角形及び4角形の編み目からの組み合わせを含む。
【0074】
このネットの編み目は、この場合に好ましくは、本質的に同じようであることが望ましく、すなわち、このネットは、編み目の形及びサイズに関してここからわずかな逸脱を有してよいが、この値はこの平均値から過度に強く分散しない。
【0075】
適した編み目サイズ(正方形の編み目の側方長さ)は、5mm、好ましくは2.5mm、特に1.5mmを上限として、0.1mm、好ましくは0.25mm、特に好ましくは0.5mm、特に0.7mmを下限とする範囲内にある。
【0076】
このネットの編み目は好ましくは四角形、六角形又は八角形の編み目の群から選択される。
【0077】
四角形の編み目は、側辺a及びbを有する平行四角形の形にある編み目である。「平行四角形」との概念は無論、「長方形」及び「正方形」の概念をも包含する。この平行四角形の両側辺の間の小さい角度は、通常は60〜90°である。90°の特殊な例では、平行四角形は直方形である。a=bかつ90°の特殊な場合には、正方形である。この平行四角形は更に高さhaを有する。長方形又は正方形では、この高さhaは、側辺aの長さに相応する。正方形のネットが特に好ましい。
【0078】
六角形の編み目では、3対のそれぞれ互いに平行の側辺a、b及びcが間隔ha、hb及びhcをおいて配置されている。八角形の編み目では、4対のそれぞれ互いに平行の側辺a、b、c及びdは間隔ha、hb、hc及びhdをおいて配置されている。八つの角からは平面全体をおおう(flaechendeckend)パターンが作成できないことを当業者は知っている。八角形の編み目を含むネットは、したがって、更に少なくとも2種の編み目を含む。この場合にこれは、四角形の編み目であることができる。
【0079】
本発明の特殊な一実施態様において、この高さhaは、平行四角形の場合に、六角形の場合に及び八角形の場合に、0.1〜0.99mm、好ましくは0.1〜0.9mm、特に好ましくは0.12〜0.8mm、特にとりわけ0.25〜0.7mmを有する。
【0080】
平行四角形では、この長さ対高さ比率b/haは1:1〜5:1、好ましくは1:1〜4:1、特に好ましくは2:1〜4:1である。編み目は、すなわち、比率b/ha1:1の場合には、0.1〜0.99mmの側辺長さを有する正方形であることができる。より大きい比率のb/haでは、一方向に長く伸びた構築物である。最大0.99mmの間隔haによって、より小さな昆虫も効果的にこのネット通過を防ぎ、その一方で、この長さは更に0.99mmよりも長いことができ、この結果、このネットの空気通過性は過度に妨げられない。
【0081】
六角形では、この比率((hb+hc)/2)/haは1:1〜5:1、好ましくは1:1〜4:1であり、特に好ましくは2:1〜4:1である。この状況はここでは平行四角形と類似する。比率1:1の場合には、3つの同じ側辺を有する規則正しい六角形であり、これはそのつど0.99mmを超えない等しい間隔を互いに有する。より大きな比率((hb+hc+hd)/2)/haでは、一方向に長く伸びた六角形が生じる。昆虫通過性又は空気通過性に関する作用は、平行四角形と同様である。
【0082】
八角形では、この比率((hb+hc+hd)/3)/haは1:1〜5:1、好ましくは1:1〜4:1であり、特に好ましくは2:1〜4:1である。この状況はここでは平行四角形と類似する。比率1:1の場合には、4つの同じ側辺を有する規則正しい八角形であり、これはそのつど0.99mmを超えない等しい間隔を互いに有する。より大きな比率((hb+hc+hd)/3)/haでは、一方向に長く伸びた八角形が生じる。昆虫通過性又は空気通過性に関する作用は、平行四角形と同様である。
【0083】
四角形又は六角形の編み目の他にこの実施態様においては例えば四角形及び八角形の編み目の組み合わせも使用できるか又はこの編み目の形及びサイズは編み目の一部で変動できる。例えば、このネットの縁部はより密に編まれることができ、或いは、一定の間隔で、他のポリマーからも製造されている、より密なテキスタイル繊維が安定化のために編み込まれることができる。
【0084】
「高さ」及び「長さ」との概念は、各編み目の開いている領域(offene Flaeche)に関し、繊維又はコーティングされた繊維を考慮しない。同様に、「編み目サイズ」との概念は本発明の意味合いにおいて、編み目の空隙の大きさ、すなわち、各編み目の開いている領域を意味し、繊維又はコーティングされた繊維を考慮しない。
【0085】
本発明のこの実施態様によるテキスタイルのネット材料は、ヨーロッパ特許出願08161456.2に記載されている。
【0086】
本発明によるテキスタイル材料、特に本発明によるネットの製造のために使用される繊維の太さは、当業者が所望されるネットの特性に応じて選択する。この繊維が太いほど、通常はこのネットの機械的安定性も高くなり、他方では、編み目サイズの減少と共に、この開いている領域の割合はこの繊維によって覆われる領域の割合に比較して常により小さい。通常は、この繊維太さは、このネットが少なくとも20%、特に少なくとも40%、とりわけ少なくとも50%の開いている領域を有するように測定されるべきである。描写した種類のネットは市販されている。
【0087】
使用されるネットは、好ましくは1層のネットであることができる。しかし、これは、いわゆるスペーサーファブリック(Abstandsgewirke)であることもでき、この場合に2つのネットが個々の繊維によって相互に二層に連結している。
【0088】
本発明の基材の特性及び使用
本発明による基材、特にネットは、ヒト及び家畜を、有害昆虫から及び有害昆虫により伝染されるベクター伝染性疾患から保護するために適している。
【0089】
本発明による基材は、有害昆虫の防除のためにも適しており、その際、本発明による基材を好ましくはネットの形で建築物中に取り付ける。本発明の方法の好ましい一実施態様において、フレキシブルな本発明による基材、特にネットが、可能性のある栄養源として有害昆虫に対して誘引的に作用する生物又は生きていない物品の周囲に取り付けられる。
【0090】
有害昆虫との概念は、本発明により昆虫の他に本来の意味合いで有害な、特に、疾患の伝染のためのベクターとして責任があるクモ類(クモ網(Arachnida))をも包含する。
【0091】
本発明による基材は、特に、次の目:双翅目(Diptera)、ノミ目(Siphonaptera)、ゴキブリ目(Blattaria)、(ゴキブリ亜目(Blattodea))、ハサミムシ目(Dermaptera)、半翅目(Hemiptera)、膜翅目(Hymenoptera)、直翅目(Orthoptera)、シロアリ目(Isoptera)、シミ目(Thysanura)、シラミ目(Phthiaraptera)、真正クモ目(Araneida)及びダニ目(Acarina)、並びに、ムカデ網(Chilopoda)及びヤスデ網(Diplopoda)からの健康有害物及び貯蔵有害物の保護又は防除のために適している。これは好ましくは双翅目(Diptera)、半翅目(Hemiptera)、膜翅目(Hymenoptera)、ダニ目(Acarina)及びノミ目(Siphonaptera)に対して適している。
【0092】
特にこれは、双翅目(Diptera)、例えばカ科(Culicidae)、ブユ科(Simuliidae)、ヌカカ科(Ceratopogonidae)、アブ科(Tabanidae)、イエバエ科(Muscidae)、クロバエ科(Calliphoridae)、ヒツジバエ科(Oestridae)、ニクバエ科(Sarcophagidae)、シラミバエ科(Hippoboscidae)、ノミ目(Siphonaptera)(ヒトノミ科(Pulicidae)、ロパロプシリダエ科(Rhopalopsyllidae)、ナガノミ科(Ceratophyllidae))及びダニ目(Acarina)(マダニ科(Ixodidae)、ヒメダニ科(Argasidae)、ナッタリエラ科(Nuttalliellidae))に対して、とりわけカ及びハエに対して適している。
【0093】
特に本発明の基材は次のものに対して適する:
ムカデ類(ムカデ綱(Chilopoda))、例えばスクティゲラ・コレオプトラタ(Scutigera coleoptrata)、
ヤスデ類(倍脚綱(Diplopoda))、例えばナルケウス属の種(Narceus spp.)、
クモ類(真正クモ目(Araneae))、例えば、ラトロデクトゥス・マクタンス(Latrodectus mactans)及びロクソスケレス・レクルサ(Loxosceles reclusa)、
ダニ類(コナダニ亜目(Acaridida)):例えばサルコプテス属の種(Sarcoptes sp.)、
寄生ダニ類(寄生形態):マダニ類(後気門類(Ixodida))、例えば、イクソデス・スカプラリス(Ixodes scapularis)、イクソデス・ホロキクルス(Ixodes holocyclus)、イクソデス・パキフィクス(Ixodes pacificus)、リピケファルス・サングイネウス(Rhiphicephalus sanguineus)、デルマケントル・アンデルソニ(Dermacentor andersoni)、デルマケントル・ヴァリアビリス(Dermacentor variabilis)、アンブリオンマ・アメリカヌム(Amblyomma americanum)、アンブリオンマ・マクラトゥム(Ambryomma maculatum)、オルニトドルス・ヘルムシ(Ornithodorus hermsi)、及びオルニトドルス・トゥリカタ(Ornithodorus turicata)、及び中気門亜目、例えば、オルニトニッスス・バコティ(Ornithonyssus bacoti)及びデルマニッスス・ガリナエ(Dermanyssus gallinae)、
シロアリ類(等翅目(Isoptera))、例えば、カロテルメス・フラヴィコリス(Calotermes flavicollis)、レウコテルメス・フラヴィペス(Leucotermes flavipes)、ヘテロテルメス・アウレウス(Heterotermes aureus)、レティクリテルメス・フラヴィペス(Reticulitermes flavipes)、レティクリテルメス・ヴィルギニクス(Reticulitermes virginicus)、レティクリテルメス・ルキフグス(Reticulitermes lucifugus)、テルメス・ナタレンシス(Termes natalensis)、及びコプトテルメス・フォルモサヌス(Coptotermes formosanus)、
ゴキブリ類(ゴキブリ目-ゴキブリ亜目(Blattaria Blattodea))、例えば、ブラッテラ・ゲルマニカ(Blattella germanica)、ブラッテラ・アサヒナエ(Blattella asahinae)、ペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana)、ペリプラネタ・ヤポニカ(Periplaneta japonica)、ペリプラネタ・ブルンネア(Periplaneta brunnea)、ペリプラネタ・フリギノサ(Periplaneta fuligginosa)、ペリプラネタ・アウストララシアエ(Periplaneta australasiae)、及びブラッタ・オリエンタリス(Blatta orientalis)、
双翅目(ハエ目(Diptera))、例えば、ハエ及びカ、アエデス・アエギプティ(Aedes aegypti)、アエデス・アルボピクトゥス(Aedes albopictus)、アエデス・ヴェクサンス(Aedes vexans)、アナストレファ・ルデンス(Anastrepha ludens)、アノフェレス・マクリペンニス(Anopheles maculipennis)、アノフェレス・クルキアンス(Anopheles crucians)、アノフェレス・アルビマヌス(Anopheles albimanus)、アノフェレス・ガンビアエ(Anopheles gambiae)、アノフェレス・フレエボルニ(Anopheles freeborni)、アノフェレス・レウコスフィルス(Anopheles leucosphyrus)、アノフェレス・ミニムス(Anopheles minimus)、アノフェレス・クァドリマクラトゥス(Anopheles quadrimaculatus)、カリフォラ・ヴィキナ(Calliphora vicina)、クリソミア・ベッジアナ(Chrysomya bezziana)、クリソミア・ホミニヴォラクス(Chrysomya hominivorax)、クリソミア・マケラリア(Chrysomya macellaria)、クリソプス・ディスカリス(Chrysops discalis)、クリソプス・シラケア(Chrysops silacea)、クリソプス・アトランティクス(Chrysops atlanticus)、コクリオミイア・ホミニヴォラクス(Cochliomyia hominivorax)、コルディロビア・アントロポファガ(Cordylobia anthropophaga)、クリコイデス・フレンス(Culicoides furens)、クレクス・ピピエンス(Culex pipiens)、クレクス・ニグリパルプス(Culex nigripalpus)、クレクス・クィンクェファスキアトゥス(Culex quinquefasciatus)、クレクス・タルサリス(Culex tarsalis)、クリセタ・イノルナタ(Culiseta inornata)、クリセタ・メラヌラ(Culiseta melanura)、デルマトビア・ホミニス(Dermatobia hominis)、ファンニア・カニクラリス(Fannia canicularis)、ガステロフィルス・インテスティナリス(Gasterophilus intestinalis)、グロッシナ・モルシタンス(Glossina morsitans)、グロッシナ・パルパリス(Glossina palpalis)、グロッシナ・フスキペス(Glossina fuscipes)、グロッシナ・タキノイデス(Glossina tachinoides)、ハエマトビア・イリタンス(Haematobia irritans)、ハプロディプロシス・エクェストリス(Haplodiplosis equestris)、ヒッペラテス属の種(Hippelates spp.)、ヒポデルマ・リネアタ(Hypoderma lineata)、レプトコノプス・トレンス(Leptoconops torrens)、ルキリア・カプリナ(Lucilia caprina)、ルキリア・クプリナ(Lucilia cuprina)、ルキリア・セリカタ(Lucilia sericata)、リコリア・ペクトラリス(Lycoria pectoralis)、マンソニア属の種(Mansonia spp.)、ムスカ・ドメスティカ(Musca domestica)、ムスキナ・スタブランス(Muscina stabulans)、オエストルス・オヴィス(Oestrus ovis)、フレボトムス・アルゲンティペス(Phlebotomus argentipes)、プソロフォラ・コルンビアエ(Psorophora columbiae)、プソロフォラ・ディスコロル(Psorophora discolor)、プロシムリウム・ミクストゥム(Prosimulium mixtum)、サルコファガ・ハエモルホイダリス(Sarcophaga haemorrhoidalis)、ニクバエ属の種(Sarcophaga sp.)、シムリウム・ヴィッタトゥム(Simulium vittatum)、ストモクシス・カルキトランス(Stomoxys calcitrans)、タバヌス・ボヴィヌス(Tabanus bovinus)、タバヌス・アトラトゥス(Tabanus atratus)、タバヌス・リネオラ(Tabanus lineola)、及びタバヌス・シミリス(Tabanus similis)、
ハサミムシ類(革翅目(Dermaptera))、例えば、フォルフィクラ・アウリクラリア(Forficula auricularia)、
有吻類(カメムシ目(Hemiptera))、例えば、シラミ及びナンキンムシ(Wanze)、例えば、キメクス・レクトゥラリウス(Cimex lectularius)、キメクス・ヘミプテルス(Cimex hemipterus)、レドゥヴィウス・セニリス(Reduvius senilis)、サシガメ属の種(Triatoma spp.)、ロドニウス・プロリクスス(Rhodnius prolixus)、及びアリルス・クリタトゥス(Arilus critatus)、
膜翅類(ハチ目(Hymenoptera))、例えば、アリ類、ミツバチ類、スズメバチ類、ハバチ類、例えば、シリアゲアリ属の種(Crematogaster spp.)、ホプロカンパ・ミヌタ(Hoplocampa minuta)、ホプロカンパ・テストゥディネア(Hoplocampa testudinea)、モノモリウム・ファラオニス(Monomorium pharaonis)、ソレノプシス・ゲミナタ(Solenopsis geminata)、ソレノプシス・インヴィクタ(Solenopsis invicta)、ソレノプシス・リクテリ(Solenopsis richteri)、ソレノプシス・クシロニ(Solenopsis xyloni)、ポゴノミルメクス・バルバトゥス(Pogonomyrmex barbatus)、ポゴノミルメクス・カリフォルニクス(Pogonomyrmex californicus)、ダシムティラ・オッキデンタリス(Dasymutilla occidentalis)、マルハナバチ属の種(Bombus spp.)、ヴェスプラ・スクァモサ(Vespula squamosa)、パラヴェスプラ・ヴゥルガリス(Paravespula vulgaris)、パラヴェスプラ・ペンシルヴァニカ(Paravespula pennsylvanica)、パラヴェスプラ・ゲルマニカ(Paravespula germanica)、ドリコヴェスプラ・マクラタ(Dolichovespula maculata)、ヴェスパ・クラブロ(Vespa crabro)、ポリステス・ルビギノサ(Polistes rubiginosa)、カンポノトゥス・フロリダヌス(Camponotus floridanus)、及びネピテマ・フミレ(Linepithema humile)、
直翅目(Orthoptera)、例えば、コオロギ類、バッタ類、イナゴ類、例えば、アケタ・ドメスティカ(Acheta domestica)、グリロタルパ・グリロタルパ(Gryllotalpa gryllotalpa)、ロクスタ・ミグラトリア(Locusta migratoria)、メラノプルス・ビヴィッタトゥス(Melanoplus bivittatus)、メラノプルス・フェムルブルム(Melanoplus femurrubrum)、メラノプルス・メクシカヌス(Melanoplus mexicanus)、メラノプルス・サングイニペス(Melanoplus sanguinipes)、メラノプルス・スプレトゥス(Melanoplus spretus)、ノマダクリス・セプテムファスキアタ(Nomadacris septemfasciata)、スキストケルカ・アメリカナ(Schistocerca americana)、スキストケルカ・グレガリア(Schistocerca gregaria)、ドキオスタウルス・マロッカヌス(Dociostaurus maroccanus)、タキキネス・アシナモルス(Tachycines asynamorus)、オエダレウス・セネガレンシス(Oedaleus senegalensis)、ゾノゼルス・ヴァリエガトゥス(Zonozerus variegatus)、ヒエログリフス・ダガネンシス(Hieroglyphus daganensis)、クラウッサリア・アングリフェラ(Kraussaria angulifera)、カリプタムス・イタリクス(Calliptamus italicus)、コルトイケテス・テルミニフェラ(Chortoicetes terminifera)、及びロクスタナ・パルダリナ(Locustana pardalina)、
隠翅類(ノミ目(Siphonaptera))、例えば、クテノケファリデス・フェリス(Ctenocephalides felis)、クテノケファリデス・カニス(Ctenocephalides canis)、クセノプシラ・ケオピス(Xenopsylla cheopis)、プレクス・イリタンス(Pulex irritans)、トゥンガ・ペネトランス(Tunga penetrans)、及びノソプシルス・ファスキアトゥス(Nosopsyllus fasciatus)、
総尾類(シミ目(Thysanura))、例えば、セイヨウシミ類(Silberfischchen)及びマダラシミ類(Ofenfischchen)、例えば、レピスマ・サッカリナ(Lepisma saccharina)、テルモビア・ドメスティカ(Thermobia domestica)、
シラミ類(シラミ目(Phthiraptera))、例えば、ペディクルス・フマヌス・カピティス(Pediculus humanus capitis)、ペディクルス・フマヌス・コルポリス(Pediculus humanus corporis)、プティルス・プビス(Pthirus pubis)、ハエマトピヌス・エウリステルヌス(Haematopinus eurysternus)、ハエマトピヌス・スイス(Haematopinus suis)、リノグナトゥス・ヴィトゥリ(Linognathus vituli)、ボヴィコラ・ボヴィス(Bovicola bovis)、メノポン・ガリナエ(Menopon gallinae)、メナカントゥス・ストラミネウス(Menacanthus stramineus)、及びソレノポテス・カピラトゥス(Solenopotes capillatus)。
【0094】
本発明による基材は、カ(カ科(Culicidae))、とりわけ、アノフェレスの属、例えば、アノフェレス・ガンビアエ(Anopheles gambiae)、アノフェレス・ステフェンシ(Anopheles stephensi)、アノフェレス・フネストス(Anopheles funestus)、アノフェレス・マクリペンニス(Anopheles maculipennis)、アノフェレス・クラビゲル(Anopheles claviger)及びアノフェレス・プルベウス(Anopheles plumbeus);ヤブカ属(Aedes)、例えばアエデス・アエギプティ(Aedes aegypti)(ステゴミア・アエギプティ(Stegomyia aegypti))、アエデス・アルボピクトゥス(Aedes albopictus);イエカ属(Culex)、例えば、クレクス・クィンクェファスキアトゥス(Culex quinquefasciatus);ハボシカ属(Culiseta);ヘマゴーガス(Haemagoggus)属;ヌマカ属(Mansonia);セスジヤブカ亜属(Ochlerotatus)、プソロプテス(Psorophora);セバエテス(Sabethes);オオカ(Toxorhynchites);ベラリナ(Verralina);ウェオミヤ(Wyeomyia)及びゾイグノミヤ(Zeugnomyia)からの保護又はこの防除に特に好ましく適している。
【0095】
さらに、本発明による基材は好ましくはノミ目(Siphonaptera)(ノミ類)、特にスナノミ属(Tunga)(スナノミ)、例えばツンガ・ペネトランス(Tunga penetrans)からの保護又はこれの防除に適している。
【0096】
特に好ましくは本発明による基材、特にネットは、ピレトロイド又はクロロフェナピルのいずれか、好ましくはピレトロイドに対して耐性を有する有害昆虫の防除に適している。
【0097】
伝染が妨げられることができる疾患は、プラスモジウム属により誘発される疾患、例えばマラリア・トロピカナ(Malaria tropicana)、マラリア・テルチアナ(Malaria tertiana)及びマラリア・クアルタナ(Malaria quartana)の他に、寄生虫により誘発される疾患、例えば、フィラリア症、犬糸状虫症(Disofilariose)、ウィルスにより誘発される疾患、例えば黄熱病、デング熱、西ナイル熱、チクングニア熱、リフト渓谷熱、細菌により誘発される疾患、例えば、ツラレミア、及び、寄生性単細胞トリパノソーマクルーズにより惹起され、サシガメ類により伝染されるシャーガス病(南アメリカトリパノソーマ症)である。
【0098】
その他に、本発明による基材、特にネットは、貯蔵すべき収穫物、すなわち、収穫され、任意に加工された形にもある植物又は植物部分からの保護にも適する。
【0099】
これらは例えば、保護すべき物品をネットでくるむことによって使用されることができる。保護すべき物品は、例えば、まきの山、果物、野菜、穀物、ココア豆、コーヒー豆又はスパイスであることができる。前記物品はさらに貨物(Ballen)であることができる。例えば、貨物は、紅茶、タバコ又は綿の群から選択されたものを含む。
【0100】
本発明は実施例により詳細に説明されるが、これに限定されない。
【0101】
実施例
A)アクリラートバインダー
ポリマー分散液の製造
一般的規定
水250g及び平均粒径30nmを有するスチレンシードラテックス3g(33質量%)を85℃に加熱し、これに5質量%のフィード2を添加する。10分後、フィード1(以下参照)及び残りのフィード2の添加を開始する。
【0102】
フィード2はH2O39.9g中に溶解したペルオキソ二硫酸ナトリウム30gを含有する。このフィード1の組成は第1表に挙げられている。フィード1及び2を3時間添加し、次いで0.5時間後重合する。
【0103】
第1表 1質量%pphmにおけるフィード1の組成(100モノマーにつき1部)
【表1】

【0104】
開始剤ペルオキソ二硫酸ナトリウムの量は0.3質量部であり、乳化剤の量は0.4質量部Dowfax 2A1 (Dow)及び0.6質量部Lumiten IRA (BASF SE)であり、これは第1表からのモノマー組成100質量部に対する。
【0105】
略称
MMA:メチルメタクリラート
S:スチレン
AN:アクリルニトリル
EA:エチルアクリラート
EHA:2−エチルヘキシルアクリラート
BA:n−ブチルアクリラート
Amol:N−メチロールアクリルアミド
MAMol:N−メチロールメタクリルアミド
AS:アクリル酸
AM:アクリルアミド
【化4】

【0106】
B)使用されるネットの製造:
第2表
【表2】

【0107】
試験のためにそのつど使用したネットは、殺虫剤α−シペルメトリン、殺虫剤クロロフェナピル、アクリラートバインダーA8並びにイソシアナートベース架橋剤から構成される水性処方物で含浸し、乾燥し、かつ1分間約100℃で架橋する。殺虫剤の量は、第2表に挙げるように、このネットの液体吸収(場合によって、定義された条件下の絞り後)を測定し、この処方物の濃度をネットに1m2あたり所望の量が得られるように適合することで調節する。このバインダー量を殺虫剤含有量に相応して適合した。
【0108】
C)ネットの試験
この処理したネットを第3表に挙げるように複数回洗浄した。洗浄を規定「Montpellier washing procedure」(例えば、補足書WHO PVC, 3/07/2002"Evaluation of wash resistance of long-lasting insecticidal nets"に記載)に応じて実施した。WO 2005/064072、第46頁中の規定に基づいて処理した。
【0109】
この試料をWO 2005/064072、第47頁に記載のような生物学的試験にかけた。この生物学的試験は、わずかに適合させたが、WHOの「Cone Test」(WHOPES 96.1)に相応する。60分後に「Knock Down」を、そして、死亡率を24時間後に算出した。
【0110】
この試験のために一方ではアエデス・アエギプティのピレトロイド耐性でない株並びにアノフェレス・ガンビエのピレトロイド耐性株に対して使用した。
【0111】
第3表:
【表3】

【0112】
この結果は、本発明によるネットがピレトロイド耐性アノフェレス蚊に対しても良好な作用を有することを証明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のものを含有する組成物
A)次の成分A1)、A2)からなる混合物A 0.1〜45質量%(A及びBの合計に対して)
A1)1種以上のピレトロイド99〜1質量%(Aに対して)、
A2)クロロフェナピル1〜99質量%(Aに対して)
及び
B)次の成分の乳化重合により得られるアクリラートバインダー99.9〜55質量%(A及びBの合計に対して)
B1)式(I)
【化1】

[式中、
1は、H又はCH3を意味し、
2は、線状又は分枝鎖状のC1〜C12−アルキル基を意味する]
の(メタ)アクリラート1種以上20〜93質量%(Bに対して);
B2)N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−N′−ビスメチロールマレイン酸ジアミド及びN,N′−ビスメチロールフマル酸ジアミドの群からの少なくとも1種のモノマー1〜5質量%(Bに対して);
B3)アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、マレイン酸及びフマル酸の群からの少なくとも1種のモノマー0.2〜5質量%(Bに対して);
B4)次の群からの少なくとも1種のモノマー0〜5質量%(Bに対して)
B4A)次の式(II)及び/又は(III)のモノマー
2C=CR3X(II)、ZHC=CHZ(III)
[式中、記号は次の意味を有する:

4、R5は、同じか又は異なり、線状又は分枝鎖状のC1〜C10−アルキル基]
B4B)アクリル酸アリルエステル、アクリル酸メタリルエステル、メタクリル酸アリルエステル、メタクリル酸メタリルエステル、マレイン酸ジアリルエステル、マレイン酸ジメタリルエステル、フマル酸アリルエステル、フマル酸メタリルエステル、フタル酸ジアリルエステル、フタル酸ジメタリルエステル、テレフタル酸ジアリルエステル、テレフタル酸ジメタリルエステル、p−ジビニルベンゼン及びエチレングリコールジアリルエーテル;
B5)次の群からの少なくとも1種のモノマー0〜40質量%(Bに対して)
B5A)アクリルニトリル、メタクリルニトリル、マレイン酸ジニトリル及びフマル酸ジニトリル及び/又は
B5B)B1〜B4とは異なる、非極性エチレン性不飽和モノマー
でコーティングされた基材。
【請求項2】
前記組成物の前記成分Aは、シペルメトリン、α−シペルメトリン、デルタメトリン、ペルメトリン、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン及びλ−シハロトリンから選択されている、請求項1記載の基材。
【請求項3】
前記成分A1は、α−シペルメトリンである、請求項2記載の基材。
【請求項4】
前記アクリラートバインダーBの前記成分B1は、n−ブチルアクリラートである、請求項1から3のいずれか1項記載の基材。
【請求項5】
前記アクリラートバインダーBの前記成分B2は、N−メチロールアクリルアミド又はN−メチロールメタクリルアミドである、請求項1から4のいずれか1項記載の基材。
【請求項6】
前記アクリラートバインダーの前記成分B3は、アクリル酸である、請求項1から5のいずれか1項記載の基材。
【請求項7】
テキスタイル材料の形にある請求項1から6のいずれか1項記載の基材。
【請求項8】
ネットの形にある請求項1から7のいずれか1項記載の基材。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項記載の組成物を含有する、基材の殺虫性コーティングのための水性処方物。
【請求項10】
遊離イソシアナート基を提供する架橋剤を含有する、請求項9記載の水性処方物。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項記載の基材を、ヒト及び/又は家畜が利用する建造物中に取り付ける、有害昆虫からヒト及び/又は家畜を保護するための方法。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか1項記載の基材を、ヒト及び/又は家畜が利用する建造物中に取り付ける、有害昆虫が伝染するベクター伝染性疾患からヒト及び/又は家畜を保護するための方法。
【請求項13】
建造物中に請求項1から8のいずれか1項記載の基材を取り付ける、建造物中の有害昆虫の防除方法。
【請求項14】
建造物中の有害昆虫の防除のための、ヒト及び/又は家畜を有害昆虫から保護するための、及び/又は、ヒト及び/又は家畜を有害昆虫が伝染するベクター伝染性疾患から保護するための、請求項1から8のいずれか1項記載の基材の使用。
【請求項15】
前記有害昆虫がピレトロイド耐性を示す、請求項11から13のいずれか1項記載の方法又は請求項14記載の使用。

【公表番号】特表2012−532840(P2012−532840A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518932(P2012−518932)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059523
【国際公開番号】WO2011/003845
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】