説明

ヒューズユニット

【課題】ヒューズユニットの電源側端子の破損を防止する。
【解決手段】バッテリ端子3に立設されたボルト17に接続される電源側端子7と、負荷端子に接続される負荷側端子9、11と、電源側端子7と負荷側端子9、11に渡して設けられた可溶体とが平板状に一体形成された導体と、電源側端子7と負荷側端子9、11の他端子との接続部をそれぞれ露出させて導体を被覆してなる樹脂製のカバー13を備え、電源側端子7の接続部はカバー13の縁部に沿って位置された辺部29を有し、カバー13は電源側端子7の接続部の両面を露出させる切欠き部35が形成され、切欠き部35は、電源側端子7のボルト孔23に対応するボルト孔51を有し電源側端子7の端子面に重ねて締結される補強板49を保持可能な構造に形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニットに係り、特に、バッテリ端子を介してバッテリの電極に接続されるヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、自動車に搭載されたバッテリの電極にバッテリ端子を介してヒューズユニットを接続し、このヒューズユニットに負荷に接続された負荷端子を接続し、バッテリと負荷とをヒューズユニットを介して接続することが提案されている。同文献のヒューズユニットは、バッテリ端子に立設されたボルトに接続されるボルト孔が形成された電源側端子と、負荷端子が接続される負荷側端子と、電源側端子と負荷側端子に渡して設けられた可溶体とが平板状に一体形成された導体と、電源側端子と負荷側端子の他の端子との接続部をそれぞれ露出させて導体を被覆した樹脂製のカバーを備えている。また、導体の電源側端子の接続部は、カバーの縁部に沿って位置された辺部を有し、カバーは、カバーの縁部に至る切欠き部を有し、この切欠き部によって電源側端子の接続部の両面が露出される。そして、露出された接続部のボルト孔にバッテリ端子のボルトを挿入しナットで締結し、バッテリの電極にヒューズユニットが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−331591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなヒューズユニットは、電源側端子とバッテリ端子のボルトを接続するとき、ナットの締結力によって電源側端子が破損するおそれがある。つまり、ナットを締結すると、電源側端子は、ナットとバッテリ端子のボルトが立設する面に挟まれ接続される。このとき、例えば、プレス加工に比べて凹凸が多い鍛造加工のバッテリ端子を用いると、ボルトが立設された面の凹凸によって、電源側端子に加わる力がばらつき電線側端子が破損するという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ヒューズエレメントの電源側端子の破損を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のヒューズユニットは、バッテリ端子に立設されたボルトに接続されるボルト孔が形成された電源側端子と、負荷端子が接続される1つ又は複数の負荷側端子と、電源側端子と負荷側端子に渡して設けられた可溶体とが平板状に一体形成された導体と、電源側端子と負荷側端子の他端子との接続部をそれぞれ露出させて導体を被覆してなる樹脂製のカバーを備え、電源側端子の接続部はカバーの縁部に沿って位置された辺部を有し、カバーは電源側端子の接続部の両面を露出させてカバーの縁部に至る切欠き部が形成されてなるヒューズユニットにおいて、切欠き部は、電源側端子のボルト孔に対応するボルト孔を有し電源側端子の端子面に重ねて締結される金属板を保持可能な構造に形成されてなることを特徴とする。
【0007】
これによれば、バッテリ端子の種類や仕様に応じて、電源側端子に金属板を重ねて装着することにより電源側端子を補強できるから、電源側端子の破損を防止できる。また、電源側端子にバッテリ端子のボルトを接続するとき、電源側端子に重ねた金属板はカバーの切欠き部によって保持されているから、金属板を手などで押さえる必要はないので、作業を容易にできる。なお、プレス加工などで形成された凹凸が少ないバッテリ端子を用いる場合、電源側端子に金属板を重ねず、バッテリ端子のボルトを接続できる。
【0008】
この場合において、切欠き部の壁面の電源側端子の少なくとも一方の面と接する部位に、カバーの縁部から電源側端子の接続部を挟んで延在された切欠き溝を形成し、この切欠き溝に金属板の縁部を挿入するように構成できる。これによれば、カバーの切欠き部によって金属板を保持できるから、金属板を重ねて締結する作業を容易にできる。なお、切欠き部の壁面の電源側端子の両面にそれぞれ接する部位に切欠き溝を形成することができる。これによれば、電源側端子の接続部の両面に金属板を装着できるから、電源側端子の強度を一層向上できる。
【0009】
また、金属板に、電源側端子の辺部に係止される爪を設けることができる。これによれば、金属板を所望の位置に係止できるから、金属板の位置決めを容易にできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヒューズエレメントの電源側端子の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態のヒューズユニットとバッテリ端子を示す分解図である。
【図2】図1のヒューズユニットにバッテリ端子を接続した状態の斜視図である。
【図3】図1のヒューズユニットの上面図である。
【図4】図1の補強板の爪の形成方法を示した斜視図である。
【図5】図1のヒューズユニットを電源側端子側から見た側面図である。
【図6】補強板をバッテリ端子の反対側に装着する斜視図であり(a)は補強板の装着前の斜視図であり、(b)は補強板の装着後の図である。
【図7】補強板の変形例を示す図である。
【図8】補強板を保持する他の構成を示す平面図である。
【図9】図8のリブの位置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。図1〜4に示すとおり、本実施形態のヒューズユニット1は、図示していないバッテリ電極に接続されたバッテリポストにバッテリ端子3を介して接続されるようになっている。ヒューズユニット1は、バッテリ端子3に接続される電源側端子7と、図示していない負荷に接続される負荷端子が接続される複数(本実施形態は2つ)の負荷側端子9、11と、電源側端子7と負荷側端子9、11に渡して設けられた図示していない可溶体とを、金属で平板状に一体形成した導体部と、電源側端子7と負荷側端子9、11の他端子との接続部をそれぞれ露出させて導体部の両面を被覆した樹脂製のカバー13を備えている。
【0013】
バッテリ端子3は、バッテリポストが挿入される加締穴15と、ヒューズユニット1の電源側端子7に接続されるボルト17を備えている。加締穴15は、加締穴15を拡径、縮径する調整ねじ19を備えている。これにより、加締穴15に円柱状のバッテリポストを挿入し、調整ねじ19を締め加締穴15を縮径し、バッテリポストにバッテリ端子3を接続できるようになっている。ヒューズユニット1の電源側端子7に接続されるボルト17は、加締穴15に連設された板部21に立設されている。
【0014】
ヒューズユニット1の電源側端子7は、バッテリ端子3のボルト17が挿入されるボルト孔23と、電源側端子7は、カバー13の縁部に沿って位置された辺部29を有している。ボルト孔23は、バッテリ端子3のボルト17が挿入されナット27で締結されるようになっている。これにより、ヒューズユニット1とバッテリ端子3が電気的に接続されるようになっている。負荷側端子9、11は、それぞれ端子面からボルト31、33が立設されている。ボルト31、33は、負荷端子のボルト孔に挿入されナットで締結され負荷端子と電気的に接続されるようになっている。電源側端子7と各負荷側端子9、11は、可溶体で接続されている。可溶体は、過電流が流れたときに溶断されるようになっている。
【0015】
カバー13は、バッテリ端子3が接続される電源側端子7の接続部の両面を露出させてカバー13の縁部に至る切欠き部35と、各負荷側端子9、11のボルト31、33が立設された面を露出させる開口37、39と、外部から可溶体を目視可能な窓41、43と、放熱部45を備えている。切欠き部35は、カバー13を、縁部からU字型に切欠いた形状に形成され、電源側端子7の接続部の両面と辺部29を露出させるようになっている。開口37、39は、各負荷側端子9、11の端子面とボルト31、33を露出するようになっている。窓41、43は、可溶体の位置に形成され、透明な樹脂製のカバーで覆われ、このカバーを通して可溶体を目視できるようになっている。放熱部45は、樹脂板を間隔を開けて複数配列して形成されている。
【0016】
ここで、本実施形態の特徴構成を説明する。本実施形態には、電源側端子7の端子面に重ねて装着される補強板49が設けられている。補強板49は、矩形に形成された金属板であり、電源側端子7のボルト孔23に対応するボルト孔51を有している。これにより、電源側端子7に重ねられボルト17とナット27で電源側端子7に共締め可能になっている。補強板49には、電源側端子7の辺部29に係止される2つの爪52が形成されている。爪52は、図4に示すように、金属板を補強板49に直交する方向に折り曲げて形成されている。爪52は、電源側端子7の辺部29に係止可能に形成されている。これにより、爪52を電源側端子7に係止し補強板49を所望の位置に位置決めできるようになっている。
【0017】
一方、カバー13の切欠き部35は、補強板49を保持可能な構造に形成されている。具体的には、切欠き部35の壁面47には、補強板49の辺部が挿入され保持される切欠き溝53が形成されている。切欠き溝53は、切欠き部35の壁面47の電源側端子7の両面にそれぞれ接する部位に形成され、カバー13の縁部から電源側端子7の接続部を挟んで延在させて形成されている。
【0018】
このように構成される本実施形態の特徴作用を説明する。ヒューズユニット1とバッテリ端子3を接続するとき、バッテリ端子3の種類や仕様に応じて、ヒューズユニット1の電源側端子7を補強する補強板49を、使用するかしないかを選択する。例えば、プレス加工などバッテリ端子3の板部21に凹凸が少ない場合は補強板49を使用しない。一方、バッテリ端子3の板部21に凹凸が多く、電源側端子7との接触面積が小さい鍛造加工などのバッテリ端子を用いる場合は補強板49を使用する。
【0019】
補強板49を使用する場合、カバ−13の切欠き部35の切欠き溝53に、カバー13の縁部から補強板49を挿入し、電源側端子7に補強板49を重ねて装着する。このとき、補強板49の挿入方向の後端側に設けられた爪52が電源側端子7の辺部29に係止され、補強板49が位置決めされる。この状態で、ヒューズユニット1の電源側端子7のボルト孔23にバッテリ端子3のボルト17を挿入し、ナット27で締結する。これにより、電源側端子7に補強板49を重ねて締結できるから、電源側端子7の強度を向上でき、ナット27を締結によって電源側端子7が破損することを防止できる。
【0020】
これによれば、バッテリ端子3の種類や仕様に応じて、電源側端子7に補強板49を重ねて装着することにより電源側端子7を補強できるから、電源側端子7の破損を防止できる。さらに、補強板49は、カバー13の切欠き部に保持されるから、ヒューズユニット1とバッテリ端子3を接続するときに補強板49を手などで押さえる必要がなく、接続作業を容易にできる。
【0021】
なお、本実施形態は、電源側端子7のバッテリ端子3側に補強板49を装着しているが、図6に示すように、電源側端子7のバッテリ端子3と反対側に補強板49を装着することができる。これによっても、電源側端子7を補強板で補強できる。
【0022】
また、本実施形態は、電源側端子7の片面に補強板49を装着しているが、電源側端子7の両面に補強板49を装着することができる。この場合、補強板49の爪52を形成すると、爪52が他の補強板49にぶつかり補強板49を装着できない。そのため、爪52がない補強板49を用いる、又は、図7に示すように、一枚の金属板を折り曲げてコの字に形成した補強板49を用いることが好ましい。
【0023】
また、補強板49を保持する切欠き溝53を、切欠き部35の壁面47の電源側端子7の少なくとも一方の面と接する部位に形成することができるが、本実施形態のように電源側端子7の両面にそれぞれ接する部位に形成することによって、補強板49の装着枚数を変えることができるから、電源側端子7の強度を調整しやすい。
【0024】
また、本実施形態は、負荷端子を接続する負荷側端子9、11を2つ形成しているが、負荷側端子9、11の数はこれに限定されず、適宜増減できる。
【0025】
また、本実施形態は切欠き溝53で補強板49を保持する構成を説明したが、図8、9に示すように、切欠き部35の壁面47から突出するリブ61を設け、補強板49を保持するように構成できる。
【符号の説明】
【0026】
1 ヒューズユニット
3 バッテリ端子
7 電源側端子
9 負荷側端子
11 負荷側端子
13 カバー
17 ボルト
23 ボルト孔
29 辺部
35 切欠き部
47 壁面
49 補強板
51 ボルト孔
52 爪
53 切欠き溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ端子に立設されたボルトに接続されるボルト孔が形成された電源側端子と、負荷端子が接続される1つ又は複数の負荷側端子と、前記電源側端子と前記負荷側端子に渡して設けられた可溶体とが平板状に一体形成された導体と、前記電源側端子と前記負荷側端子の他端子との接続部をそれぞれ露出させて前記導体を被覆してなる樹脂製のカバーを備え、前記電源側端子の前記接続部は前記カバーの縁部に沿って位置された辺部を有し、前記カバーは前記電源側端子の前記接続部の両面を露出させて前記カバーの縁部に至る切欠き部が形成されてなるヒューズユニットにおいて、
前記切欠き部は、前記電源側端子のボルト孔に対応するボルト孔を有し前記電源側端子の端子面に重ねて締結される金属板を保持可能な構造に形成されてなることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のヒューズユニットにおいて、
前記切欠き部の壁面の前記電源側端子の少なくとも一方の面と接する部位に、前記カバーの縁部から前記電源側端子の接続部を挟んで延在された切欠き溝が形成され、
該切欠き溝は、前記金属板の縁部を挿入可能に形成されてなることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のヒューズユニットにおいて、
前記金属板は、前記電源側端子の前記接続部の前記辺部に係止される爪を有してなることを特徴とするヒューズユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate