ヒューズユニット
【課題】可溶部の設計自由度が高いヒューズユニットを提供する。
【解決手段】給電用接続部12と外部用接続部13とこれらの間に介在される可溶部15を有するバスバー11と、バスバー11の外側に固定され、且つ、可溶部15を露出させる窓部21を有する絶縁樹脂部20を有するユニット本体10を備えたヒューズユニット1であって、窓部21は、可溶部15の可溶体15bを露出し、前記可溶体(15b)以外の前記可溶部15の箇所が絶縁樹脂部20に埋設されている。
【解決手段】給電用接続部12と外部用接続部13とこれらの間に介在される可溶部15を有するバスバー11と、バスバー11の外側に固定され、且つ、可溶部15を露出させる窓部21を有する絶縁樹脂部20を有するユニット本体10を備えたヒューズユニット1であって、窓部21は、可溶部15の可溶体15bを露出し、前記可溶体(15b)以外の前記可溶部15の箇所が絶縁樹脂部20に埋設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に過電流が通電されるのを防止するヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、電源から負荷に対し過電流の通電を防止するためヒューズユニットが搭載される。この種の従来例のヒューズユニットとしては、特許文献1に開示されたものがある。このヒューズユニット100は、図8に示すように、バッテリポスト(図示せず)にバッテリ端子(図示せず)を介して固定される。ヒューズユニット100は、導電性金属板であるバスバー101と、このバスバー101をインサート部品としてインサート成形によって設けられた絶縁樹脂部120とを備えている。
【0003】
バスバー101は、バッテリ端子(図示せず)が接続される給電用接続部102と、各外部端子が接続される外部用接続部103と、給電用接続部102と各外部用接続部103の間に介在される複数の可溶部104とを有する。各可溶部104は、バスバー101の一部が幅狭で、且つ、折曲形状に形成されたバスバー幅狭部104aと、このバスバー幅狭部104aに加締め固定された低融点金属(例えば錫)の可溶体104bとを有する。各可溶部104は、それぞれの過電流の通電によって溶断する。
【0004】
絶縁樹脂部120は、給電用接続部102、各外部用接続部103、各可溶部104を除くバスバー101の外面をほぼ被覆している。絶縁樹脂部120には、各可溶部104を露出させる窓部121がそれぞれ設けられている。各窓部121は、可溶部104の全体を露出するよう大きな寸法に形成されている。この各窓部121は、絶縁樹脂部120に装着された各可溶部カバー130で塞がれている。各可溶部カバー130は、コ字形状であり、窓部121の両方の開口を閉塞し、塵挨、水等から可溶部104を保護している。各可溶部カバー130は、目視によって可溶部104の溶断の有無を確認できるように透明体にて形成されている。各可溶部カバー130と絶縁樹脂部120の間は、ガタ付き防止構造とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−95214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来例では、絶縁樹脂部120の窓部121から可溶部104の全体を露出するようインサート成形する必要があるため、可溶部104の設計自由度が低いという問題があった。
【0007】
つまり、同じバリ切り駒を使用してインサート成形する場合、図9のハッチング領域がバリ切りの金型合わせ部A2となる。従って、バリ切りの金型合わせ部A2内の範囲でしか可溶部104の設計スペースが確保されず、設計自由度が低い。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、可溶部の設計自由度が高いヒューズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の端子接続部と前記端子接続部の間に介在される可溶部を有するバスバーと、前記バスバーの外側に固定され、且つ、前記可溶部を露出させる窓部を有する絶縁樹脂部を有するユニット本体を備えたヒューズユニットであって、前記窓部は、前記可溶部の可溶体を露出し、前記可溶体以外の前記可溶部の箇所が前記絶縁樹脂部に埋設されていることを特徴とする。
【0010】
前記ユニット本体の外側を被うキャップを備え、前記キャップは、前記窓部を塞ぐ窓閉塞部を有することが好ましい。
【0011】
前記キャップは、第1窓閉塞部を有するキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジ部を介して連結された第2窓閉塞部とを有し、前記第1窓閉塞部と前記第2窓閉塞部で前記窓部の両側の開口を塞ぐことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、可溶部の大部分が絶縁樹脂部で被われ、絶縁樹脂部で被われる箇所については、同じインサート金型を使用する場合にあって、設計の制約がなく自由に設計できる。従って、可溶部の設計自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示し、ヒューズユニットの組み付け前の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、(a)はユニット本体の平面図、(b)はユニット本体の底面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、インサート成形時におけるバリ切りの金型合わせ部を入る領域を示す要部平面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、底面側から見たキャップの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、キャップをユニット本体に組み付け、第2窓閉塞部が開放位置である斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、キャップをユニット本体に組み付け、第2窓閉塞部を閉塞位置とした上方からの斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、キャップをユニット本体に組み付け、第2窓閉塞部を閉塞位置とした下方からの斜視図である。
【図8】従来例のヒューズユニットの平面図である。
【図9】従来例のインサート成形時におけるバリ切りの金型合わせ部を入る領域を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図7は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、ヒューズユニット1は、ユニット本体10とキャップ30とを備えている。ユニット本体10は、L字状に折れ曲がった形態である。このような形態によって、ユニット本体10は、バッテリ(図示せず)の上面と側面に沿って配置される。
【0016】
ユニット本体10は、図1及び図2(a)、(b)に詳しく示すように、導電性金属板であるバスバー11と、このバスバー11の外面に固定された絶縁樹脂部20とを備えている。バスバー11は、端子接続部である給電用接続部12と、各外部端子(図示せず)が接続される端子接続部である複数の外部用接続部13,14と、給電用接続部12と各外部用接続部13,14間にそれぞれ介在される複数の可溶部15,16とを有する。
【0017】
給電用接続部12は、バッテリ(図示せず)のバッテリポスト(図示せず)にバッテリ端子(図示せず)を介して接続される。外部用接続部13には、ボルト接続によって外部端子(図示せず)が接続される。外部用接続部14は、タブ形状である。外部用接続部14には、コネクタ接続によって外部端子(図示せず)が接続される。
【0018】
複数の可溶部15,16は、バスバー11の上面と側面に設けられている。上面の各可溶部15は、ボルト接続用の外部用接続部13への過電流を阻止する。側面の可溶部16は、コネクタ接続用の外部用接続部14への過電流を阻止する。各可溶部15,16は、バスバー11の一部が幅狭に形成されたバスバー幅狭部15a,16aと、このバスバー幅狭部15a,16aに加締め固定された低融点金属(例えば錫)の可溶体15b、16bとを有する。各可溶部15,16は、それぞれの過電流の通電によって溶断する。
【0019】
絶縁樹脂部20は、バスバー11をインサート部品としてインサート成形によって絶縁性の合成樹脂より形成されている。絶縁樹脂部20は、給電用接続部12、各外部用接続部13,14、各可溶部15,16を除くバスバー11の外面をほぼ被覆している。絶縁樹脂部20には、上面と側面の各可溶部15,16を露出させる窓部21,22がそれぞれ設けられている。上面の各窓部21は、可溶体15b,16bのみを露出するよう小寸法に形成されている。可溶体15b,16b以外の可溶部15の箇所、具体的にはバスバー幅狭部15a,16aは、絶縁樹脂部20に埋設されている。
【0020】
キャップ30は、図1及び図4に詳しく示すように、絶縁性で、且つ、光透過性の合成樹脂材より形成されている。キャップ30は、上方からユニット本体10にスライド嵌合によって装着されている。キャップ30は、キャップ本体31と、キャップ本体31にヒンジ部32を介して連結された第2窓閉塞部41とを備えている。キャップ本体31は、ユニット本体10のみならずバッテリ端子(図示せず)とバッテリポスト(図示せず)を上方より被っている。キャップ本体31は、固定面部31aと、固定面部31aにヒンジ部31bを介して連結された蓋部31cとを有する。蓋部31cを閉位置から開方向に回転することによって、バッテリポスト(図示せず)とバッテリ端子(図示せず)と給電用接続部12等を露出させることができる。蓋部31cは、左右位置に第1窓閉塞部40を一体に有する。蓋部31cの閉位置では、第1窓閉塞部40が窓部21の上方の開口を閉塞する。ヒンジ部32の反対側に位置する蓋部31cの側面には、ロック爪34aが設けられている。
【0021】
ヒンジ部32は、蓋部31cの一方の側面端に沿って設けられている。
【0022】
第2窓閉塞部41は、ヒンジ部32を支点として、蓋部31cの底面を開放する開放位置と蓋部31cの底面を閉じる閉塞位置との間に変移できる。第2窓閉塞部41の回転先端には、被ロック部34bが設けられている。閉塞位置では、被ロック部34bとロック爪34aが係止される。第2閉塞部41の閉塞位置では、上面の各窓部21の下方の開口を閉塞する。
【0023】
次に、ユニット本体10とキャップ30の組み付け作業を説明する。図1に示すように、第2窓閉塞部41を開放位置としたキャップ30を、ユニット本体10の上方よりスライドさせる。すると、図5に示すように、キャップ30がユニット本体10にロックされて嵌合される。次に、開放位置の第2窓閉塞部41を閉塞位置に回転し、ロック爪34aに被ロック部34bを係止する。これにより、図6及び図7に示すように、第2窓閉塞部41が閉塞位置にロックされる。閉塞位置では、キャップ本体31の第1窓閉塞部40と第2窓閉塞部41によって上面の各窓部21の上下両方の開口が閉塞される。これで、ユニット本体10とキャップ30の組み付けが完了する。
【0024】
以上説明したように、絶縁樹脂部20の窓部21は、可溶部15,16の可溶体15b,16bのみを露出する小寸法に形成され、可溶体15b,16b以外の可溶部15,16の箇所が絶縁樹脂部20に埋設されている。ここで、可溶部15の箇所について、同じバリ切り駒を使用してインサート成形する場合、図3のハッチング領域がバリ切りの金型合わせ部A1となり、絶縁樹脂部20で埋設される箇所、具体的にはバスバー幅狭部15aの大部分については、設計の制約がなく自由に設計できる。可溶部16についても同様である。従って、可溶部15,16の設計自由度が高い。
【0025】
インサート形成に使用するバリ切り駒は、可溶部15と接触する部分の長さL1,L2(図3に示す)が同じ寸法であれば、可溶体15b以外の部分(例えば図3の破線箇所)の設計が異なるバスバー11でも、同一のものを用いることができる。
【0026】
また、窓部21,22は、小寸法である。従って、端子や部品が窓部21内に入らないため、他回路との絶縁性が向上する。又、作業者が誤って指等を窓部21内に入れることを防止できる。
【0027】
キャップ30が絶縁樹脂部20の窓部21を閉塞する第1窓閉塞部40及び第2窓閉塞部41を有する。従って、可溶部15を露出する窓部21は、ユニット本体10自体を被うキャップ30によって閉塞されるため、従来例のような可溶部カバーが不要である。以上より、従来例のようにユニット本体10と可溶部カバー間で発生する異音を完全に防止できると共に、部品点数も削減できる。
【0028】
窓部21は、キャップ30によって閉塞されるので、可溶部15を塵挨、水等から保護でき、又、溶断した可溶体(例えば錫)が飛散するのを防止できる。
【0029】
キャップ30は、光透過性の部材より形成されているので、キャップ30を開けることなく、可溶部15の溶断の有無を視認できる。
【0030】
キャップ30は、第1窓閉塞部40を有するキャップ本体31と、キャップ本体31にヒンジ部32を介して連結された第2窓閉塞部41とを有し、第1窓閉塞部40と第2窓閉塞部41で窓部21の両側の開口を塞ぐよう構成されている。従って、キャップ30をユニット本体10に組み付けたり、取り外したりする作業が容易である。
【0031】
この実施形態では、ユニット本体10は、接続端子を介してバッテリのバッテリポストに接続されるものであるが、本発明は、このようなタイプのユニット本体以外にも適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 ヒューズユニット
10 ユニット本体
11 バスバー
12 給電用接続部(端子接続部)
13,14 外部用接続部(端子接続部)
15,16 可溶部
15b,16b 可溶体
20 絶縁樹脂部
21,22 窓部
30 キャップ
31 キャップ本体
32 ヒンジ部
40 第1窓閉塞部(窓閉塞部)
41 第2窓閉塞部(窓閉塞部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に過電流が通電されるのを防止するヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、電源から負荷に対し過電流の通電を防止するためヒューズユニットが搭載される。この種の従来例のヒューズユニットとしては、特許文献1に開示されたものがある。このヒューズユニット100は、図8に示すように、バッテリポスト(図示せず)にバッテリ端子(図示せず)を介して固定される。ヒューズユニット100は、導電性金属板であるバスバー101と、このバスバー101をインサート部品としてインサート成形によって設けられた絶縁樹脂部120とを備えている。
【0003】
バスバー101は、バッテリ端子(図示せず)が接続される給電用接続部102と、各外部端子が接続される外部用接続部103と、給電用接続部102と各外部用接続部103の間に介在される複数の可溶部104とを有する。各可溶部104は、バスバー101の一部が幅狭で、且つ、折曲形状に形成されたバスバー幅狭部104aと、このバスバー幅狭部104aに加締め固定された低融点金属(例えば錫)の可溶体104bとを有する。各可溶部104は、それぞれの過電流の通電によって溶断する。
【0004】
絶縁樹脂部120は、給電用接続部102、各外部用接続部103、各可溶部104を除くバスバー101の外面をほぼ被覆している。絶縁樹脂部120には、各可溶部104を露出させる窓部121がそれぞれ設けられている。各窓部121は、可溶部104の全体を露出するよう大きな寸法に形成されている。この各窓部121は、絶縁樹脂部120に装着された各可溶部カバー130で塞がれている。各可溶部カバー130は、コ字形状であり、窓部121の両方の開口を閉塞し、塵挨、水等から可溶部104を保護している。各可溶部カバー130は、目視によって可溶部104の溶断の有無を確認できるように透明体にて形成されている。各可溶部カバー130と絶縁樹脂部120の間は、ガタ付き防止構造とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−95214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来例では、絶縁樹脂部120の窓部121から可溶部104の全体を露出するようインサート成形する必要があるため、可溶部104の設計自由度が低いという問題があった。
【0007】
つまり、同じバリ切り駒を使用してインサート成形する場合、図9のハッチング領域がバリ切りの金型合わせ部A2となる。従って、バリ切りの金型合わせ部A2内の範囲でしか可溶部104の設計スペースが確保されず、設計自由度が低い。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、可溶部の設計自由度が高いヒューズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の端子接続部と前記端子接続部の間に介在される可溶部を有するバスバーと、前記バスバーの外側に固定され、且つ、前記可溶部を露出させる窓部を有する絶縁樹脂部を有するユニット本体を備えたヒューズユニットであって、前記窓部は、前記可溶部の可溶体を露出し、前記可溶体以外の前記可溶部の箇所が前記絶縁樹脂部に埋設されていることを特徴とする。
【0010】
前記ユニット本体の外側を被うキャップを備え、前記キャップは、前記窓部を塞ぐ窓閉塞部を有することが好ましい。
【0011】
前記キャップは、第1窓閉塞部を有するキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジ部を介して連結された第2窓閉塞部とを有し、前記第1窓閉塞部と前記第2窓閉塞部で前記窓部の両側の開口を塞ぐことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、可溶部の大部分が絶縁樹脂部で被われ、絶縁樹脂部で被われる箇所については、同じインサート金型を使用する場合にあって、設計の制約がなく自由に設計できる。従って、可溶部の設計自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示し、ヒューズユニットの組み付け前の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、(a)はユニット本体の平面図、(b)はユニット本体の底面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、インサート成形時におけるバリ切りの金型合わせ部を入る領域を示す要部平面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、底面側から見たキャップの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、キャップをユニット本体に組み付け、第2窓閉塞部が開放位置である斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、キャップをユニット本体に組み付け、第2窓閉塞部を閉塞位置とした上方からの斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、キャップをユニット本体に組み付け、第2窓閉塞部を閉塞位置とした下方からの斜視図である。
【図8】従来例のヒューズユニットの平面図である。
【図9】従来例のインサート成形時におけるバリ切りの金型合わせ部を入る領域を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図7は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、ヒューズユニット1は、ユニット本体10とキャップ30とを備えている。ユニット本体10は、L字状に折れ曲がった形態である。このような形態によって、ユニット本体10は、バッテリ(図示せず)の上面と側面に沿って配置される。
【0016】
ユニット本体10は、図1及び図2(a)、(b)に詳しく示すように、導電性金属板であるバスバー11と、このバスバー11の外面に固定された絶縁樹脂部20とを備えている。バスバー11は、端子接続部である給電用接続部12と、各外部端子(図示せず)が接続される端子接続部である複数の外部用接続部13,14と、給電用接続部12と各外部用接続部13,14間にそれぞれ介在される複数の可溶部15,16とを有する。
【0017】
給電用接続部12は、バッテリ(図示せず)のバッテリポスト(図示せず)にバッテリ端子(図示せず)を介して接続される。外部用接続部13には、ボルト接続によって外部端子(図示せず)が接続される。外部用接続部14は、タブ形状である。外部用接続部14には、コネクタ接続によって外部端子(図示せず)が接続される。
【0018】
複数の可溶部15,16は、バスバー11の上面と側面に設けられている。上面の各可溶部15は、ボルト接続用の外部用接続部13への過電流を阻止する。側面の可溶部16は、コネクタ接続用の外部用接続部14への過電流を阻止する。各可溶部15,16は、バスバー11の一部が幅狭に形成されたバスバー幅狭部15a,16aと、このバスバー幅狭部15a,16aに加締め固定された低融点金属(例えば錫)の可溶体15b、16bとを有する。各可溶部15,16は、それぞれの過電流の通電によって溶断する。
【0019】
絶縁樹脂部20は、バスバー11をインサート部品としてインサート成形によって絶縁性の合成樹脂より形成されている。絶縁樹脂部20は、給電用接続部12、各外部用接続部13,14、各可溶部15,16を除くバスバー11の外面をほぼ被覆している。絶縁樹脂部20には、上面と側面の各可溶部15,16を露出させる窓部21,22がそれぞれ設けられている。上面の各窓部21は、可溶体15b,16bのみを露出するよう小寸法に形成されている。可溶体15b,16b以外の可溶部15の箇所、具体的にはバスバー幅狭部15a,16aは、絶縁樹脂部20に埋設されている。
【0020】
キャップ30は、図1及び図4に詳しく示すように、絶縁性で、且つ、光透過性の合成樹脂材より形成されている。キャップ30は、上方からユニット本体10にスライド嵌合によって装着されている。キャップ30は、キャップ本体31と、キャップ本体31にヒンジ部32を介して連結された第2窓閉塞部41とを備えている。キャップ本体31は、ユニット本体10のみならずバッテリ端子(図示せず)とバッテリポスト(図示せず)を上方より被っている。キャップ本体31は、固定面部31aと、固定面部31aにヒンジ部31bを介して連結された蓋部31cとを有する。蓋部31cを閉位置から開方向に回転することによって、バッテリポスト(図示せず)とバッテリ端子(図示せず)と給電用接続部12等を露出させることができる。蓋部31cは、左右位置に第1窓閉塞部40を一体に有する。蓋部31cの閉位置では、第1窓閉塞部40が窓部21の上方の開口を閉塞する。ヒンジ部32の反対側に位置する蓋部31cの側面には、ロック爪34aが設けられている。
【0021】
ヒンジ部32は、蓋部31cの一方の側面端に沿って設けられている。
【0022】
第2窓閉塞部41は、ヒンジ部32を支点として、蓋部31cの底面を開放する開放位置と蓋部31cの底面を閉じる閉塞位置との間に変移できる。第2窓閉塞部41の回転先端には、被ロック部34bが設けられている。閉塞位置では、被ロック部34bとロック爪34aが係止される。第2閉塞部41の閉塞位置では、上面の各窓部21の下方の開口を閉塞する。
【0023】
次に、ユニット本体10とキャップ30の組み付け作業を説明する。図1に示すように、第2窓閉塞部41を開放位置としたキャップ30を、ユニット本体10の上方よりスライドさせる。すると、図5に示すように、キャップ30がユニット本体10にロックされて嵌合される。次に、開放位置の第2窓閉塞部41を閉塞位置に回転し、ロック爪34aに被ロック部34bを係止する。これにより、図6及び図7に示すように、第2窓閉塞部41が閉塞位置にロックされる。閉塞位置では、キャップ本体31の第1窓閉塞部40と第2窓閉塞部41によって上面の各窓部21の上下両方の開口が閉塞される。これで、ユニット本体10とキャップ30の組み付けが完了する。
【0024】
以上説明したように、絶縁樹脂部20の窓部21は、可溶部15,16の可溶体15b,16bのみを露出する小寸法に形成され、可溶体15b,16b以外の可溶部15,16の箇所が絶縁樹脂部20に埋設されている。ここで、可溶部15の箇所について、同じバリ切り駒を使用してインサート成形する場合、図3のハッチング領域がバリ切りの金型合わせ部A1となり、絶縁樹脂部20で埋設される箇所、具体的にはバスバー幅狭部15aの大部分については、設計の制約がなく自由に設計できる。可溶部16についても同様である。従って、可溶部15,16の設計自由度が高い。
【0025】
インサート形成に使用するバリ切り駒は、可溶部15と接触する部分の長さL1,L2(図3に示す)が同じ寸法であれば、可溶体15b以外の部分(例えば図3の破線箇所)の設計が異なるバスバー11でも、同一のものを用いることができる。
【0026】
また、窓部21,22は、小寸法である。従って、端子や部品が窓部21内に入らないため、他回路との絶縁性が向上する。又、作業者が誤って指等を窓部21内に入れることを防止できる。
【0027】
キャップ30が絶縁樹脂部20の窓部21を閉塞する第1窓閉塞部40及び第2窓閉塞部41を有する。従って、可溶部15を露出する窓部21は、ユニット本体10自体を被うキャップ30によって閉塞されるため、従来例のような可溶部カバーが不要である。以上より、従来例のようにユニット本体10と可溶部カバー間で発生する異音を完全に防止できると共に、部品点数も削減できる。
【0028】
窓部21は、キャップ30によって閉塞されるので、可溶部15を塵挨、水等から保護でき、又、溶断した可溶体(例えば錫)が飛散するのを防止できる。
【0029】
キャップ30は、光透過性の部材より形成されているので、キャップ30を開けることなく、可溶部15の溶断の有無を視認できる。
【0030】
キャップ30は、第1窓閉塞部40を有するキャップ本体31と、キャップ本体31にヒンジ部32を介して連結された第2窓閉塞部41とを有し、第1窓閉塞部40と第2窓閉塞部41で窓部21の両側の開口を塞ぐよう構成されている。従って、キャップ30をユニット本体10に組み付けたり、取り外したりする作業が容易である。
【0031】
この実施形態では、ユニット本体10は、接続端子を介してバッテリのバッテリポストに接続されるものであるが、本発明は、このようなタイプのユニット本体以外にも適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 ヒューズユニット
10 ユニット本体
11 バスバー
12 給電用接続部(端子接続部)
13,14 外部用接続部(端子接続部)
15,16 可溶部
15b,16b 可溶体
20 絶縁樹脂部
21,22 窓部
30 キャップ
31 キャップ本体
32 ヒンジ部
40 第1窓閉塞部(窓閉塞部)
41 第2窓閉塞部(窓閉塞部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子接続部と前記端子接続部の間に介在される可溶部を有するバスバーと、前記バスバーの外側に固定され、且つ、前記可溶部を露出させる窓部を有する絶縁樹脂部を有するユニット本体を備えたヒューズユニットであって、
前記窓部は、前記可溶部の可溶体を露出し、前記可溶体以外の前記可溶部の箇所が前記絶縁樹脂部に埋設されていることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項2】
請求項1記載のヒューズユニットであって、
ユニット本体の外側を被うキャップを備え、
前記キャップは、前記窓部を塞ぐ窓閉塞部を有することを特徴とするヒューズユニット。
【請求項3】
請求項2記載のヒューズユニットであって、
前記キャップは、第1窓閉塞部を有するキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジ部を介して連結された第2窓閉塞部とを有し、前記第1窓閉塞部と前記第2窓閉塞部で前記窓部の両側の開口を塞ぐことを特徴とするヒューズユニット。
【請求項1】
複数の端子接続部と前記端子接続部の間に介在される可溶部を有するバスバーと、前記バスバーの外側に固定され、且つ、前記可溶部を露出させる窓部を有する絶縁樹脂部を有するユニット本体を備えたヒューズユニットであって、
前記窓部は、前記可溶部の可溶体を露出し、前記可溶体以外の前記可溶部の箇所が前記絶縁樹脂部に埋設されていることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項2】
請求項1記載のヒューズユニットであって、
ユニット本体の外側を被うキャップを備え、
前記キャップは、前記窓部を塞ぐ窓閉塞部を有することを特徴とするヒューズユニット。
【請求項3】
請求項2記載のヒューズユニットであって、
前記キャップは、第1窓閉塞部を有するキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジ部を介して連結された第2窓閉塞部とを有し、前記第1窓閉塞部と前記第2窓閉塞部で前記窓部の両側の開口を塞ぐことを特徴とするヒューズユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−54945(P2013−54945A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192811(P2011−192811)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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