説明

ヒューズ取付構造

【課題】ヒューズの取り付け作業の作業性に優れ、取り付け後のヒューズの保持力に優れるヒューズ取付構造の提供。
【解決手段】一対の平行端子部を持つヒューズ20と、ヒューズ20が取り付けられるヒューズ取付部を含むヒューズボックス1と、を備え、前記ヒューズ取付部が、ヒューズ20をその幅方向に挟むように対向配置されてヒューズ20のハウジング上面を係止する一対の弾性係止アーム4と、一対の弾性係止アーム4及び当該一対の弾性係止アームに係止されたヒューズ20の外周を取り囲む枠5と、を有し、枠5において一対の弾性係止アーム4の間を臨む箇所に、枠5の上縁に達する切り欠き7が形成され、切り欠き7の幅方向寸法が、ヒューズ20の幅方向寸法よりも大きい寸法に設定されており、ヒューズ20が、枠5の切り欠き7を通して一対の弾性係止アーム4の間に傾斜して差し込まれ、起こされることにより一対の弾性係止アーム4に係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズボックスにヒューズを取り付けるヒューズ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒューズ取付構造として、図8に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたヒューズ取付構造では、図8に示すように、ヒューズ101は、ヒューズホルダ102に取り付けられている。そして、このヒューズホルダ102は、ヒューズ101のタブ端子103が接続される相手端子104を収容したヒューズブロック本体105に組み付けられている。
【0004】
ヒューズホルダ102は、矩形筒状に形成されており、その内側には、挿入されたヒューズ101の上面を係止するための一対の弾性係止アーム111が設けられている。弾性係止アーム101は上下方向に延在し、その下端部をヒューズホルダ102の周壁の内面に連結させている。ヒューズホルダ102の上部開口112に露呈する弾性係止アーム111の上端部には、ヒューズ101の上面を係止する係止突部113が設けられている。尚、ヒューズの上面と接触する係止突部113の係止面113aは水平面とされている。
【0005】
ヒューズ101は、ヒューズホルダ102の上部開口112から一対の弾性係止アーム111の間に差し込まれる。ヒューズ101は、係止突部113に摺接して弾性係止アーム111を外側に撓ませながら一対の弾性係止アーム111の間に進入し、そして、その上面を、撓みより復帰した弾性係止アーム111の係止突部113に係止され、それによりヒューズホルダ102に取り付けられる。
【0006】
【特許文献1】特開平07−169382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたヒューズ取付構造では、ヒューズ101は、ヒューズホルダ102の上部開口112を通して、上方からのみ一対の弾性係止アーム111の間に差し込まれる。ここで、近年、ヒューズボックスの小型化等の要請により、ヒューズボックスに取り付けられるヒューズも小型化が図られ、一般には厚みの薄い扁平なものが多く用いられており、これに呼応してヒューズ取付部の上部開口も狭く(ヒューズの厚み方向に対応した方向の寸法が小さく)なる。そのため、ヒューズ取付部の上部開口にヒューズを差し込むことが難しくなってきており、ヒューズの取り付け作業の作業性の低下が懸念される。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒューズの取り付け作業の作業性に優れ、取り付け後のヒューズの保持力に優れるヒューズ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、本発明に係る下記(1)〜(3)のヒューズ取付構造により達成される。
【0010】
(1)互いに平行とされた一対の端子部の上端部間に可溶部が架設され、少なくとも当該一対の端子部の上端部及び当該可溶部を絶縁性のハウジングにより覆われたヒューズと、
前記ヒューズが取り付けられるヒューズ取付部を含むヒューズボックスと、
を備え、
前記ヒューズ取付部が、前記ヒューズをその幅方向に挟むように対向配置されて当該ヒューズのハウジング上面を係止する一対の弾性係止アームと、当該一対の弾性係止アーム及び当該一対の弾性係止アームに係止された前記ヒューズの外周を取り囲む枠と、を有し、
前記枠において前記一対の弾性係止アームの間を臨む箇所に、当該枠の上縁に達する切り欠きが形成され、当該切り欠きの幅方向寸法が、前記ヒューズの幅方向寸法よりも大きい寸法に設定されており、
前記ヒューズが、前記枠の前記切り欠きを通して前記一対の弾性係止アームの間に傾斜して差し込まれ、起こされることにより当該一対の弾性係止アームに係止されることを特徴とするヒューズ取付構造。
【0011】
(2)前記ヒューズのハウジング上面を係止する前記弾性係止アームの係止面が、傾斜面とされており、
前記ヒューズが前記一対の弾性係止アームの間に傾斜して差し込まれて起こされる際に、当該ヒューズの側縁が当該一対の弾性係止アームの前記係止面に摺接することを特徴とする上記(1)に記載ヒューズ取付構造。
【0012】
(3)前記ハウジングが、前記一対の端子部の上端部及び可溶部並びに前記一対の端子部の内側縁部を覆い、
前記枠における前記切り欠きの下方領域に、前記一対の端子部の内側縁部を覆う前記ハウジングの部分に接触するリブが形成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のヒューズ取付構造。
【発明の効果】
【0013】
本発明のヒューズ取付構造では、一対の弾性係止アーム及び当該一対の弾性係止アームにハウジングの上面を係止されたヒューズを取り囲む枠において、一対の弾性係止アームの間を臨む箇所に切り欠きが形成されており、切り欠きの幅方向寸法がヒューズの幅方向寸法よりも大きい寸法に設定されている。そこで、この切り欠きを介して一対の弾性係止アームの間にヒューズを差し込むことができ、ヒューズボックスに取り付けられるヒューズが扁平なものであって、これに呼応して枠の上部開口が狭く形成される場合でも、一対の弾性係止アームの間にヒューズを効率よく差し込むことができ、ヒューズの取り付け作業の作業性を良好なものとすることができる。
【0014】
そして、本発明のヒューズ取付構造では、一対の弾性係止アームの間に傾斜して差し込まれたヒューズが起こされる際に、ヒューズの側縁がヒューズのハウジング上面を係止する弾性係止アームの係止面に摺接するが、この係止面が傾斜面とされている。そのため、ヒューズの側縁との摺接において弾性係止アームをスムースに撓ませることができ、ヒューズの取り付け作業の作業性を一層良好なものとすることができる。
【0015】
さらに、本発明のヒューズ取付構造では、枠における切り欠きの下方領域にリブが設けられており、このリブが一対の端子部の内側縁部を覆うハウジングの部分に接触させることで、枠内へのヒューズの挿入のために設定される枠とヒューズとの間の隙間を埋めることができる。それにより、ヒューズを強固に保持し、ヒューズの傾きやがたつきを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照して本発明に係るコネクタの好適な実施形態を説明する。
図1は本発明のヒューズ取付構造の一実施形態に係り、ヒューズボックスの外観斜視図、図2は図1において点線円IIで囲まれたヒューズ取付部の拡大斜視図、図3は図1のヒューズボックスに取り付けられるヒューズの分解斜視図、図4は図3のヒューズの正面図、図5及び図6はヒューズをヒューズ取付部に取り付ける過程を示す断面図、図7はヒューズが傾いて取り付けられている状態を示す断面図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、ヒューズボックス1は、例えば合成樹脂製であって、箱状に成形されており、その内部には、ヒューズ(図3参照)が取り付けられるヒューズ取付部2が形成されており、その他、リレー(不図示)が取り付けられるリレー取付部3等が区画形成されている。
【0018】
ヒューズボックスのヒューズ取付部2に装着されるヒューズ20は、図3に示すように、互いに平行に配置された一対の平板端子部21,21の上端部間に可溶部22が架設されたヒューズエレメント25を絶縁ハウジング23内に組付けてなるブレード型ヒューズである。各平板端子部21は、それぞれ略矩形板状を呈しており、これら平板端子部21,21の対向する内側縁21a,21aの間に横架するように、可溶部22が所定の断面積をもって設けられている。
【0019】
絶縁ハウジング23は、略T字状を有する一対のハウジング部材24,24からなり、ヒューズエレメント25を厚み方向から挟むようにして一体に結合される。各ハウジング部材24の内壁面には、それぞれ大小一対のピン24a,24aが突設されており、各平板端子部21にそれぞれ設けられた貫通孔21bを貫通した後に、各ピン24aが対峙する各ハウジング部材24の内壁面に穿設された嵌合孔24bに嵌合される。これにより、ヒューズエレメント25の可溶部22及び各平板端子部21の上端部21c並びに各平板端子部21の内側縁部21aは、絶縁ハウジング23により覆われる。
【0020】
そこで、ヒューズ20は、図4に示すように、各平板端子部21の外側縁部21dにおける下端21eから前記可溶部22の側方に位置する中間部位にかけての表裏面領域21fを露出させており、後述するヒューズ取付部2に設けられた相手端子9(図5,6参照)により、この表裏面領域21fを厚み方向に挟持され、相手端子9に電気的に接続される。かかる構成のヒューズ20は、厚みの薄い扁平なものとなっている。
【0021】
ヒューズ20が取り付けられるヒューズボックス1のヒューズ取付部2は、図2に示すように、ヒューズ20をその幅方向に挟むように対向配置されて当該ヒューズ20のハウジング23の上面を係止する一対の弾性係止アーム4,4と、当該一対の弾性係止アーム及び当該一対の弾性係止アームに係止された前記ヒューズの外周を取り囲む平面視略矩形状の枠5と、を有している。
【0022】
弾性係止アーム4は、枠5内で上下方向に延在し、その下端部を枠5の内面に連結させている。そして、弾性係止アーム4は、枠5の内面と間に撓み空間をおいて、枠5の内面に連結された下端部より上方に向けて伸び、その上端部を枠5の上部開口に露呈させている。弾性係止アーム4の上端部には、対となる相手側の弾性係止アーム4に向けて突出する係止突部6が設けられている。
【0023】
ヒューズ20は、各弾性係止アーム4の上端部を当該弾性係止アーム4と枠5の内面との間におかれた撓み空間に退避させるよう、各弾性係止アーム4外側に撓ませながら一対の弾性係止アーム4の間に差し込まれ、ハウジング23の上面における幅方向の縁部を係止突部6により係止され、それによりヒューズボックス1に取り付けられる。尚、ハウジング23の上面を係止する係止突部6の下面(係止面)6aは、係止突部6の突端から弾性係止アーム4と接続する基端に向かうに従って緩やかな下り勾配となる傾斜面とされている。
【0024】
ヒューズ取付部2の枠5には、一対の弾性係止アーム4の間を臨む箇所に、当該枠5の上縁に達する切り欠き7が形成されている。この切り欠き7の幅方向寸法Wは、ヒューズ20の幅方向寸法よりも大きい寸法に設定されている。よって、枠5の上部開口に限らず、この切り欠き7を通しても一対の弾性係止アーム4の間にヒューズ20を差し込むことができるようになっている。
【0025】
そこで、図5に示すように、ヒューズ20は、一対の平板端子部21の下端21eを斜め下方に向ける傾斜した状態で、切り欠き7を通して一対の弾性係止アーム4の間に差し込まれる。この状態から垂直に起こされる過程で、ヒューズ20の一対の平板端子部21の露呈した外側縁あるいはハウジング23の側縁が係止突部6の下面6aに摺接し、各弾性係止アーム4を外側に撓ませる。係止突部6の下面6aが、上記の通り傾斜面とされていることにより、ヒューズ20の一対の平板端子部21の露呈した外側縁あるいはハウジング23の側縁との摺接において、スムースに弾性係止アーム4を外側に撓ませることができる。
【0026】
そして、図6に示すように、ヒューズ20は垂直に起こされた状態から押し下げられ、ハウジング23の上面における幅方向の縁部を、撓みから復帰した弾性係止アーム4の係止突部6に係止され、それによりヒューズボックス1に取り付けられる。尚、ヒューズ取付部2の枠5内の底には音叉型の相手端子9が設置されており、ヒューズ20が押し下げられることにより、各平板端子部21の表裏面領域21fは、相手端子9のスリット9aに進入して厚み方向に挟持され、相手端子9に電気的に接続される。
【0027】
上記の通りヒューズボックス1に取り付けられた状態で、ヒューズ20は、枠5に切り欠き7が形成されることで厚み方向に上側部分の支持を失っており、枠5内へのヒューズ20の挿入のために設定された枠5とヒューズ20との間の隙間により図7に示すように傾き、あるいはがたつく可能性がある。そこで、図2及び図6に示すように、枠5における切り欠き7の下方領域には、枠5内に突出してリブ8が形成されている。
【0028】
リブ8は、枠5内へのヒューズ20の挿入方向と平行である上下方向に延在しており、枠5とヒューズ20との間に設定された隙間を埋め、ヒューズ20の一対の平板端子部21の内側縁部を覆うハウジング23の部分24cに接触し、ヒューズ20を強固に保持する。
【0029】
尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のヒューズ取付構造の一実施形態に係り、ヒューズボックスの外観斜視図である。
【図2】図1において点線円IIで囲まれたヒューズ取付部の拡大斜視図である。
【図3】図1のヒューズボックスに取り付けられるヒューズの分解斜視図である。
【図4】図3のヒューズの正面図である。
【図5】ヒューズをヒューズ取付部に取り付ける過程を示す断面図である。
【図6】ヒューズをヒューズ取付部に取り付ける過程を示す断面図である。
【図7】ヒューズが傾いて取り付けられている状態を示す断面図である。
【図8】従来のヒューズ取付構造の平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ヒューズボックス
2 ヒューズ取付部
4 弾性係止アーム
5 枠
6a 係止面
7 切り欠き
8 リブ
20 ヒューズ
21 端子部
22 可溶部
23 ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行とされた一対の端子部の上端部間に可溶部が架設され、少なくとも当該一対の端子部の上端部及び当該可溶部を絶縁性のハウジングにより覆われたヒューズと、
前記ヒューズが取り付けられるヒューズ取付部を含むヒューズボックスと、
を備え、
前記ヒューズ取付部が、前記ヒューズをその幅方向に挟むように対向配置されて当該ヒューズのハウジング上面を係止する一対の弾性係止アームと、当該一対の弾性係止アーム及び当該一対の弾性係止アームに係止された前記ヒューズの外周を取り囲む枠と、を有し、
前記枠において前記一対の弾性係止アームの間を臨む箇所に、当該枠の上縁に達する切り欠きが形成され、当該切り欠きの幅方向寸法が、前記ヒューズの幅方向寸法よりも大きい寸法に設定されており、
前記ヒューズが、前記枠の前記切り欠きを通して前記一対の弾性係止アームの間に傾斜して差し込まれ、起こされることにより当該一対の弾性係止アームに係止されることを特徴とするヒューズ取付構造。
【請求項2】
前記ヒューズのハウジング上面を係止する前記弾性係止アームの係止面が、傾斜面とされており、
前記ヒューズが前記一対の弾性係止アームの間に傾斜して差し込まれて起こされる際に、当該ヒューズの側縁が当該一対の弾性係止アームの前記係止面に摺接することを特徴とする請求項1に記載ヒューズ取付構造。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記一対の端子部の上端部及び可溶部並びに前記一対の端子部の内側縁部を覆い、
前記枠における前記切り欠きの下方領域に、前記一対の端子部の内側縁部を覆う前記ハウジングの部分に接触するリブが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒューズ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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