説明

ヒユーズの溶断表示装置

【目的】ヒューズの溶断表示棒が突出するのをリンク機構を介さずに表示させる。
【構成】溶断表示棒の突出によって押圧されるアクチュエータにより光リミットスイッチを動作させ、この光リミットスイッチの発する光信号を光ファイバを介して変換器に伝送し、この変換器で光信号を電気信号に変換する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は高圧回路に使用するヒューズの溶断表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の溶断表示装置として、従来はヒューズの溶断動作時に外部に突出する溶断表示棒の突出力を利用して、絶縁材からなるリンク機構を介して大地電位にあるマイクロスイッチを動作させ、電気信号を得る方式が知られている。図3は、そのような従来のヒューズの溶断表示装置の構成例を示す側面図である。図3において、1はヒューズであり、絶縁支持がいし2を介して大地電位のベース3上に支持されている。ヒューズ1の両端はコンタクト金具8を介して接続端子4に導電接続されている。また、ヒューズ1は、フック部5に図示されていないフック棒を引っ掛けてヒンジ6を中心にして矢印5Bで示す図の時計方向に回転させて開放させることができる。この開放角度は、コンタクト金具8に固定されたストッパ7にヒューズ1の端部が当接されることにより規制される。ヒューズの溶断表示装置は、ヒューズ1の右端側に取り付けられており、その構成の詳細を図4に示す。
【0003】図4は図3の要部側面図である。ヒューズ1に過電流が流れヒューズ1内の可溶体が溶断すると、溶断表示棒9 (点線) がヒューズ1の右端面から図の右方向に突出する。溶断表示棒9は突出したときに、ストッパ7に設けられた図示されていない貫通穴を通ってレバー5に突き当たるように構成されている。レバー5はこれに直角に固定されたクランク10および紙面に垂直に取り付けられたシャフト11と一体に構成されている。さらに、クランク10とプルバー12とは軸ピン13に回転自由に軸支されている。一方、ベース3にはサポート板14が取り付けられている。このサポート板14はアクチュエータ15を備え接点を内蔵したマイクロスイッチ16を固定するとともに、プルバー12の一方端に明けられた長穴17を貫通する留めボルト18を備えプルバー12を上下方向運動自由に支持している。プルバー12にはアクチュエータ15と当接する操作片19が紙面の手前方向に突設されており、プルバー12が矢印12Aの方向に動くことによってアクチュエータ15が操作片19を介して押圧され、リード線20の回路がマイクロスイッチ16の内部接点によって開閉される。図5は図4のP矢視図であり、シャフト11はストッパ7に固定されたサポート21に回転自由に軸支されている。レバー5はその下方端がシャフト11に巻き付けられボルト締めによって一体に固定されている。なお、プルバー12は絶縁性であり、ヒューズ1の取付充電部と大地電位のベース3との間の電圧に耐える絶縁性能を有したもので構成されている。
【0004】図4において、溶断表示棒9が突出すると、レバー5がシャフト11を支点にして矢印5A方向に倒れる。それに伴い、クランク10もシャフト11を支点にして矢印10Aの方向に動き、さらに、プルバー12が矢印12Aの方向に動く。それによって、前述のようにアクチュエータ15が押圧されてマイクロスイッチ16が開閉される。マイクロスイッチ16はアクチュエータ15の押圧によって、リード線20の回路を遮断するタイプと、閉路するタイプとがあるが、いずれのタイプの場合でもリード線20にアクチュエータ15の押圧と同期させて開閉の電気信号を出力させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述したような従来装置はリンク機構を介してマイクロスイッチを動作させていたために、高電圧になるほど機構的に無理が生ずるという問題点があった。すなわち、リンク機構に使用する部品は、高圧充電部と大地間を絶縁する必要から、十分な絶縁性能と使用電圧に相応した絶縁距離を必要とする。そのために高電圧になるほどプルバーが重くなり、機構的に無理が出て来る。また、リンク機構部分及び絶縁物は露出していることから周囲環境の影響を受け易く、経年劣化による絶縁性能の低下に配慮する必要があった。すなわち、課電を時々中断させて、絶縁部分の汚れを取り除いたり、シャフトや軸ピンの回動がスムーズになるようにグリスアップするなどの保守が必要であった。
【0006】この発明の目的は、リンク機構を介さずにヒューズの溶断を表示させる装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明によれば、ヒューズ溶断時にヒューズの内部から外部へ溶断表示棒が突出することによって押圧されるアクチュエータと、このアクチュエータが機械的に押圧されたときに光信号を開閉する光リミットスイッチと、この光リミットスイッチの発する光信号を伝送する光ファイバと、この光ファイバによって伝送される光信号を受け電気信号に変換して出力する変換器とにより構成されたものとする。かかる構成において、光リミットスイッチは取付け金具を介して取付けられる。
【0008】
【作用】この発明の構成によれば、突出する溶断表示棒を光リミットスイッチのアクチュエータに当接させ、このとき発生する光リミットスイッチの光信号を光ファイバを介して送出させ、この光信号を大地電位側に配された変換器によって電気信号に変換して出力させるようにした。これにより、リンク機構を介さずにヒューズの溶断を表示することができる。
【0009】
【実施例】以下この発明を実施例に基づいて説明する。図1はこの発明の実施例にかかるヒューズの溶断表示装置の構成を示す要部側面図である。光リミットスイッチ26がストッパ7に取付け金具22を介して取り付けられている。溶断表示棒9の突出域の先端には光リミットスイッチ26の備えたアクチュエータ25が配されている。また、光リミットスイッチ26に接続された光ファイバ28, 29は電気信号30Sを出力する変換器30に入力されている。
【0010】図2は図1のQ矢視図であり、取付け金具22は光リミットスイッチ26を嵌め込み、2股になってストッパ7にボルト留めされている。図1, 図2の構成において、その他の構成は図4, 図5の従来の装置のそれと同じであるので、同じ部分には同一参照符号を用いることにより詳細な説明は省略する。
【0011】図1において、光リミットスイッチ26はアクチュエータ25が機械的に押圧されたときに光ファイバ28と29との間を遮光又は透光させることにより光信号を発するものである。また、変換器30は光ファイバ28に光28Sを送光させるとともに、光ファイバ29の光信号29Sを受け、電気的に変換して出力するものである。光リミットスイッチ26が動作時遮光のタイプならば、光信号29Sはヒューズ1が溶断したときにそのレベルが1から0へ変化する信号となる。一方、光リミットスイッチ26が動作時透光のタイプならば、光信号29Sはヒューズ1が溶断したときにそのレベルが0から1へ変化する信号となる。光ファイバ28, 29が絶縁性なので変換器30は大地電位のところに配することができる。
【0012】
【発明の効果】この発明は前述のように、突出する溶断表示棒を光リミットスイッチによって検知するようにしたので、従来の装置のように複雑なリンク機構が不要となった。そのために、高電圧のヒューズにも適用することができるとともに、絶縁部分の浄化や軸部のグリスアップが不要となり保守の容易な装置を提供することができる。
【0013】また、ヒューズの溶断表示装置を使用する顧客によっては、所有する設備の構成上からどうしても従来のマイクロスイッチを適用せざるを得ない場合もある。この発明による装置の場合、光リミットスイッチの取り付け金具を取り外せば、従来のリンク機構も取付け可能なので両方式の互換性が利くという利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかるヒューズ溶断装置の構成を示す要部側面図
【図2】図1のQ矢視図
【図3】従来のヒューズの溶断装置の構成例を示す側面図
【図4】図3の要部側面図
【図5】図4のP矢視図
【符号の説明】
1 ヒューズ
2 絶縁支持がいし
3 ベース
4 接続端子
6 ヒンジ
7 ストッパ
8 コンタクト金具
9 溶断表示棒
22 取付け金具
25 アクチュエータ
26 光リミットスイッチ
28 光ファイバ
29 光ファイバ
30 変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】ヒューズ溶断時にヒューズの内部から外部へ溶断表示棒が突出することによって押圧されるアクチュエータと、このアクチュエータが機械的に押圧されたときに光信号を開閉する光リミットスイッチと、この光リミットスイッチの発する光信号を伝送する光ファイバと、この光ファイバによって伝送される光信号を受け電気信号に変換して出力する変換器とにより構成されたことを特徴とするヒューズの溶断表示装置。
【請求項2】請求項1記載のものにおいて、光リミットスイッチは取付け金具を介して取付けられていることを特徴とするヒューズの溶断表示装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【公開番号】特開平5−47295
【公開日】平成5年(1993)2月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−199661
【出願日】平成3年(1991)8月9日
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)