説明

ヒンジ構造

【課題】 空調機等の機器の扉において、扉の機器への衝突を防止することができるヒンジ構造を提供する。
【解決手段】 扉を設置する機器に固定される固定部材1と、扉に固定される可動部材2と、これらを連結する軸部材3とを備えてなり、固定部材1と可動部材2とは、軸部材貫通部1bの下面と当接部2bの上面が当接された状態で、互いに水平方向に回動可能に軸部材3により連結され、可動部材2が120°付近まで回転すると当接部2bの側端面が固定部材1の突起1cに当接する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、空調機等の扉に使用されるヒンジ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、屋外に設置された空調機には、点検やメンテナンスをするために、出入り用の扉がヒンジ構造により水平回動可能に取り付けられている。従来、この扉を開いて、それを完全に閉め切らない状態に放置しておくと、風に煽られて扉が急激に開いて扉に付いているハンドル等が空調機の壁表面に衝突し、損傷を与えるという問題がある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上記事情に鑑みなされたもので、空調機等の機器の扉において、扉の機器への衝突を防止することができるヒンジ構造を提供することを目的とする。
また、内部への出入り等の行い易さも考慮して扉の開く角度を十分確保しつつ、扉の機器への衝突を防止することができるヒンジ構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のヒンジ構造は、扉を設置する機器に固定される固定部材と、上記扉に固定される可動部材と、これらを互いに回動可能に連結する軸部材とを備えてなり、かつ、上記可動部材に当接部が設けられるとともに、上記固定部材に上記可動部材が所定角度回転したときに上記当接部に当接する突起が設けられていることを特徴とするものである。
【0005】
請求項2に記載のヒンジ構造は、扉を設置する機器に固定される固定部材と、上記扉に固定される可動部材と、これらを連結する軸部材とを備えてなり、かつ、上記固定部材は、上記機器に固定される取付部と、この取付部の下端から水平に延びる板状の軸部材貫通部と、この軸部材貫通部の先端から下方に曲げられて垂直に延びる突起とを備えるとともに、上記可動部材は、上記扉に固定される取付部と、この取付部の上端から水平に延びる板状の当接部とを備え、上記固定部材と上記可動部材とは、上記軸部材貫通部の下面と上記当接部の上面が当接された状態で、互いに水平方向に回動可能に上記軸部材により連結され、上記可動部材が120°付近まで回転すると上記当接部の端面が上記固定部材の上記突起に当接することを特徴とするものである。
【0006】
請求項1の考案においては、扉が所定角度回転すると可動部材の当接部が固定部材の突起に当接して、それ以上扉が開くことを阻止される。これにより、扉が風等によって急激に開いて空調機等の機器に衝突し損傷を与えるということが防止される。
【0007】
請求項2の考案においては、扉が120°付近まで回転すると可動部材の当接部の端面が固定部材の突起に当接して、それ以上扉が開くのを阻止される。これにより、扉が風等によって急激に開いて空調機等の機器に衝突し損傷を与えるということが防止される。また、可動部材は固定部材の突起に当接部の端面で当接するので、当接部が強い衝撃を受けても十分耐えることが可能である。さらに、扉が120°付近まで開くので機器の内部への出入り等も行い易い。
【0008】
【考案の実施の形態】
以下、本考案のヒンジ構造の一実施の形態を図1乃至図3に基づいて説明する。
図1は本実施の形態に係るヒンジ構造の分解斜視図、図2は同ヒンジ構造を扉に取り付けた状態を示す斜視図、図3は同ヒンジ構造を扉に取り付けた状態を上から見た図である。
【0009】
図1に示すように、ヒンジ構造Kは、固定部材1と、可動部材2と、これらを互いに回動可能に連結する軸部材3とを備えている。
固定部材1は、垂直に延在する平板状の取付部1aと、この取付部1aの下端の一端部から直角に曲げられて水平に延びる平板状の軸部材貫通部1bと、この軸部材貫通部の先端の一端部から下方に曲げられて垂直に延びる突起1cとを備えている。取付部1aには空調機等の機器に取り付けるための取付孔1dが形成されている。
一方、可動部材2は、垂直に延在する平板状の取付部2aと、この取付部2aの上端の一端部から直角に曲げられて水平に延びる平板状の当接部2bとを備えている。取付部2aには扉に取り付けるための取付孔2cが形成されている。
【0010】
固定部材1と可動部材2とは、軸部材貫通部1bの下面と当接部2bの上面が当接された状態で、当接部2b及び軸部材貫通部1bに夫々形成された貫通孔2d及び貫通孔eに軸部材3が挿入され、その先端部の雄ねじ3aにナット4が螺合され、これにより固定部材1と可動部材2とは互いに水平方向に回動可能に連結されている。
【0011】
このヒンジ構造Kは、図2及び図3に示すように、例えば、屋外に設置された空調機の出入り用の扉を水平回動可能に取り付けるために用いられる。すなわち、固定部材1の取付部1aを空調機の枠フレーム(機器)10の出口開口内側の面に固定する一方、可動部材2の取付部2aを扉11の一側端面に固定し、そして固定部材1と可動部材2とを水平回動可能に軸部材3及びナット4により連結する。ヒンジ構造Kは上下方向に間隔をおいて2箇所に設置する。
【0012】
図3に示すように、扉11は、二点鎖線で示す閉じた状態においては、可動部材2の取付部2aにおける扉11に当接している面と反対側の面が、枠フレーム10の出口開口内側の面に直接又はパッキンを介在させて当接し、これによりそれ以上の扉11を閉じる方向への回転が阻止される。一方、扉11は、実線で示す開いた状態においては、可動部材2の当接部2bにおける扉11が開く方向に向いている側端面が、固定部材1の突起1cに当接し、これによりそれ以上の扉11を開く方向への回転が阻止される。扉11を閉じた状態とこれを開いて突起1cによりそれ以上開くのを阻止された状態との間の回転角度θは、120°付近に設定されている。
【0013】
このようなヒンジ構造Kにあっては、扉11が120°付近まで回転すると可動部材2の当接部2bの側端面が固定部材1の突起1cに当接して、それ以上扉11が開くのを阻止されるため、扉11が風等によって急激に開いて空調機に衝突し損傷するのを防止することができ、さらに可動部材2は固定部材1の突起1cに当接部2bの側端面で当接するため、当接部2bが強い衝撃を受けても十分耐えることができ、しかも扉11が120°付近まで開くので空調機内部への出入りも行い易い。
【0014】
【考案の効果】
以上説明したように、請求項1に記載のヒンジ構造によれば、扉が所定角度回転すると可動部材の当接部が固定部材の突起に当接して、それ以上扉が開くことを阻止するから、扉が風等によって急激に開いて空調機等の機器に衝突し損傷を与えるということを防止することができるという効果を奏する。
【0015】
請求項2に記載のヒンジ構造によれば、扉が120°付近まで回転すると可動部材の当接部の端面が固定部材の突起に当接して、それ以上扉が開くことを阻止するから、扉が風等によって急激に開いて空調機等の機器に衝突し損傷を与えるということを防止することができるとともに、可動部材は固定部材の突起に当接部の端面で当接するため、当接部が強い衝撃を受けても十分耐えることができ、さらに扉が120°付近まで開くので機器の内部への出入り等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施の形態に係るヒンジ構造を示す分解斜視図である。
【図2】同ヒンジ構造を扉に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】同ヒンジ構造を扉に取り付けた状態を上から見た図である。
【符号の説明】
K ヒンジ構造
1 固定部材
1a 取付部
1b 軸部材貫通部
1c 突起
2 可動部材
2a 取付部
2b 当接部
3 軸部材
10 空調機の枠フレーム(機器)
11 扉

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 扉を設置する機器に固定される固定部材と、上記扉に固定される可動部材と、これらを互いに回動可能に連結する軸部材とを備えてなり、かつ、上記可動部材に当接部が設けられるとともに、上記固定部材に上記可動部材が所定角度回転したときに上記当接部に当接する突起が設けられていることを特徴とするヒンジ構造。
【請求項2】 扉を設置する機器に固定される固定部材と、上記扉に固定される可動部材と、これらを連結する軸部材とを備えてなり、かつ、上記固定部材は、上記機器に固定される取付部と、この取付部の下端から水平に延びる板状の軸部材貫通部と、この軸部材貫通部の先端から下方に曲げられて垂直に延びる突起とを備えるとともに、上記可動部材は、上記扉に固定される取付部と、この取付部の上端から水平に延びる板状の当接部とを備え、上記固定部材と上記可動部材とは、上記軸部材貫通部の下面と上記当接部の上面が当接された状態で、互いに水平方向に回動可能に上記軸部材により連結され、上記可動部材が120°付近まで回転すると上記当接部の端面が上記固定部材の上記突起に当接することを特徴とするヒンジ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3064182号
【登録日】平成11年(1999)9月8日
【発行日】平成11年(1999)12月24日
【考案の名称】ヒンジ構造
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−3543
【出願日】平成11年(1999)5月24日
【出願人】(390004879)株式会社テクノ大手 (201)
【出願人】(390003333)新晃工業株式会社 (46)