説明

ヒーターディスペンサ及びヒーターディスペンサ容器

【課題】簡単な操作により適時に適温に液体化粧料等を加熱して、該液体化粧料等の効果を十分に発揮させたり、粘度を低下させて簡易且つ確実に使用することができるようにする。
【解決手段】ディスペンサ容器1のディスペンサ6をなすノズル部21に良熱伝導性の金属製パイプ23を内装するとともに、該金属製パイプ23の外側面を取り巻くようにヒーター24を配置するものであって、ノズル部21の傾動をスイッチ機構に連動させて該スイッチ機構27を作動させて液体化粧料等5の加熱を行うものであるので、室温の低下に伴い該液体化粧料等の液温が低下してしまっても、最小限の動作により、ノズル部に内装する金属製パイプ内の液体化粧料等を加熱して使用に適した温度とすることができ、該液体化粧料等の有する効果を十分に得たり、又は流動性を高めて確実に塗布を行えるものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、クレンジングオイルやヘアートリートメント等の液体化粧料等を貯留したボトルから、必要に応じて該液体化粧料を供給するディスペンサ及びディスペンサを装着したディスペンサ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、クレンジングオイルやヘアートリートメント等の液体化粧料等をボトルに貯留し、必要に応じて供給するディスペンサ容器は、使用者がディスペンサを操作、例えばディスペンサを構成するヘッド部に対して下方への押圧操作を行うことでディスペンサのポンプを作動させると、該ポンプが発生する正圧及び負圧により、吸い上げた液体化粧料等を内装するパイプを通じてヘッド部のノズル部の吐出孔より吐出させるとともに、次の使用に備え、ボトル内に貯留する該液体化粧料等をノズル部に内装するパイプ内へと吸い上げてなるものである(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来の液体化粧料等のディスペンサ容器では、冬場等のように室温が低下すると次のような欠点が生じる。即ち、ボトル内に貯留する液体化粧料等がクレンジングオイルの場合、予めノズル部に内装するパイプに吸い上げてあるクレンジングオイルの液温は低下するものとなる。そして、この液温の低下したクレンジングオイルをそのまま皮膚に塗布しても、低い液温により皮膚の毛穴は収縮しクレンジングオイルは十分に毛穴の奥まで行き渡らず、毛穴の奥の汚れを落とすことができないものである。また、ヘアートリートメントのように常温でも粘度が高いものであると、液温が低下することで更に粘度が高くなって流動性が低くなり、ディスペンサ容器のノズル部から必要量を吐出させることができないことがある。そして無理矢理吐出させようとして繰り返しヘッド部に対する押圧操作を行うと、ディスペンサ容器内の圧力が異常に上昇し、ついにはノズル部からヘアートリートメントが噴出し、周囲を汚損するおそれがある。更に、折角吐出させても粘度が高く流動性が低いと満遍なく塗布することは困難となる。
【特許文献1】特開平9−103717号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、ボトル内に貯留する液体化粧料等の効果を十分に発揮させることができるようにするとともに、液体化粧料等の流動性を高めて使用し易くするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、ボトル内に貯留する液体化粧料等を、ディスペンサを構成するノズル部内に吸い上げるとともに、必要に応じて適温に加熱した上で、この加熱した液体化粧料等を供給できるようにするものである。
【0006】
そこで、第1の特徴として、液体化粧料等を貯溜してなるボトルの開口部に装着されるディスペンサであって、該ボトル内に貯溜する液体化粧料を吸い上げてなるポンプ、下方への押圧操作によりジョイント筒を介して連結するポンプを作動させるへッド部、及び該ヘッド部に一体に保持され、内装するパイプの一端をジョイント筒を介してポンプと連結し、他端を吸い上げた液体化粧料等を外部に吐出する吐出孔に連結するものであって、その内部において液体化粧料等を貯溜してなるノズル部から構成され、
該ノズル部内において液体化粧料等を加熱する加熱機構を設けてなるものである。
【0007】
その結果、ディスペンサのヘッド部に対して下方への押圧操作を行うことで、ボトル内に貯留する液体化粧料等がポンプにより吸い上げられるとともに、その一部がノズル内部に滞留するので、該液体化粧料等はノズル部内において加熱機構により加熱されることで必要な温度にまで上昇し、供給されるものとなる。
【0008】
上記第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、上記ヘッド部において一体に保持されるノズル部内に、スイッチ機構を介して電源と接続するヒーターを配置するものである。
【0009】
その結果、ディスペンサのヘッド部に対して下方への押圧操作を行うことで、ボトル内に貯留する液体化粧料等がポンプにより吸い上げられるとともに、その一部がノズル部内に滞留する。そして、ノズル部内に滞留する液体化粧料等はヒーターにより直接加熱されるので、迅速且つ効率的に加熱されることで必要な温度まで上昇し、供給されるものとなる。
【0010】
上記第1の特徴を踏まえて、第3の特徴として、ヘッド部において一体に保持されるノズル部内に内装されるパイプを、良熱伝導性のパイプとするとともに、該パイプの外側面を取り巻くように、スイッチ機構を介して電源と接続するヒーターを配置するものである。
【0011】
その結果、ディスペンサのヘッド部に対して下方への押圧操作を行うことで、ボトル内に貯留する液体化粧料等がポンプにより吸い上げられるとともに、その一部がノズル部に内装される良熱伝導性のパイプ内に滞留する。そして、スイッチ機構を作動させてヒーターによる加熱を行うことで、ノズル部内のパイプがヒーターにより加熱され、同時に該パイプ内に滞留する液体化粧料等は加熱されて必要な温度まで上昇し、供給されるものとなる。また、液体化粧料等はパイプを介して間接的に加熱されているため、液体化粧料等によるヒーターの腐食や加熱後も一定時間液体化粧料等の保温を行うことができる。
【0012】
なお、上記良熱伝導性のパイプとしては、樹脂製又は金属製のものが考えられ、樹脂製は軽量化や可撓性に優れ製造作業等においては有利であるが、金属製は熱伝導率が高く液体化粧料等を効率よく加熱することができるとともに、熱耐久性を有することから、金属製のパイプを用いることが好ましいものである。
【0013】
上記第2又は3の特徴を踏まえて、第4の特徴として、上記ヘッド部において一体に保持されるノズル部に内装されるパイプと、ポンプへ連結するジョイント筒との間に、屈撓自在となるフレキシブルチューブを介在させるとともに、ヘッド部と一体となる突出部を該ノズル部の下面側に設けた上、ノズル部を下方に向けて傾動自在とするとともに、前記ノズル部下面と該突出部とを開放方向へ弾撥するスプリングをもって連接する一方、上記ヒーターと電源との間に接続されるスイッチ機構を前記突出部においてノズル部に対向するよう配置し、ノズル部の傾動によるスイッチ機構への押勢によって該スイッチ機構を作動させてなるものである。
【0014】
そのため、該ヘッド部に一体に保持されるノズル部を下方へ向けて傾動させてスイッチ機構を押勢することで、ヒーターを加熱させることができるので、洗顔中又は洗髪中において視覚に頼ることができない状況下であっても最小限の動作で、簡易且つ確実に必要な温度にまで上昇した液体化粧料等を得ることができるものとなる。
【0015】
更に、上記第2乃至4の特徴を踏まえて、第5の特徴として、上記電源をディスペンサに一体に固持してなるものである。
【0016】
そのため、電源を含めてディスペンサを一体化することができるので、替えボトルに対してもディスペンサを装着して使用することができるものとなる。
【0017】
なお、スイッチ機構とともにタイマー、電源又は電源に接続する電源アダプターを一体にコントローラーとし、ディスペンサーが大量の水を浴びることで発生する故障の防止、又は美容室等での使用に際して施術者の作業における利便性を向上させる等のために、ディスペンサーとは別体としても良いものである。
【0018】
又、上部に開口部を配設するとともに、その内部に液体化粧料等を貯留してなるボトルと、前記いずれかの特徴を有するヒーターディスペンサとからなり、前記開口部に該ヒーターディスペンサを装着してなるヒーターディスペンサ容器である。
【発明の効果】
【0019】
本願発明は、ボトル内に貯留する液体化粧料等を、使用する直前に適温に加熱できるので、該液体化粧料等を変質させることなくその効果を十分に発揮させて使用することができ、また加熱することで液体化粧料等の粘度を低下させて流動性を高められるので、使用者は簡易且つ確実に液体化粧料等を使用することができる優れた効果を有する。
【実施例1】
【0020】
図1において示される1は、本願発明の実施例1であるヒーターディスペンサ容器である。該ヒーターディスペンサ容器1は、上部に、外側面にねじ部4を螺設する開口部3を配設するとともに、その内部に液体化粧料等5を貯溜してなるボトル2と、該ボトル2内に貯溜する液体化粧料等5を吸い上げてなるポンプ7、下方への押圧操作によりジョイント筒20を介して連結するポンプ7を作動させるへッド部19、及び該ヘッド部19に一体に保持されるノズル部21からなるディスペンサ6並びに、該ディスペンサ6とそのポンプ7上部において一体に装着される電源28とによって構成される。
【0021】
そして、上記ヘッド部19において一体に保持されるノズル部21に内装されるパイプを、例えばアルミニウムやその合金、又はステンレス等の良熱伝導性の金属製パイプ23とするとともに、該金属製パイプ23の外側面を取り巻くように、スイッチ機構27を介してディスペンサ6に一体に固持される電源28とリード線36を通じて接続する、例えばニクロム線等のヒーター24を断熱材25により包装しつつ配置するものである。
なお、ノズル部21内に滞留する液体化粧料等5を迅速且つ確実に加熱するために、図7に示すように、ノズル部21に穿設した孔21aに対してシールパッキン21bにより密閉しつつその内部にシリコンゴムチューブ等により被覆したニクロム線等のヒーター24を配設してもよいものである。その結果、ノズル部21内で液体化粧料等5とヒーター24とは直接接触するので、液体化粧料等5は、迅速且つ確実に必要な温度まで温度上昇するものとなる。
【0022】
更に、上記ヘッド部19において一体に保持されるノズル部21内に内装される金属製パイプ23の一端と、ポンプ7へ連結するジョイント筒20との間に屈撓自在となるフレキシブルチューブ26を介在させて、ノズル部21をヘッド部19に対して下方へ傾動自在とするとともに、前記金属製パイプ23の他端は、ボトル2内より吸い上げた液体化粧料等5を外部に吐出する吐出孔22に連結する。
一方、ノズル部21の下面側に、先端側を下方へ傾斜させつつ、ヘッド部19と一体となる突出部19aを設け、該ノズル部21下面と突出部19a先端とを開放方向へ弾撥するスプリング35をもって連接することによって、ノズル部21を下方に向けて傾動自在、且つ、スプリング35の弾撥によって復元自在とする。
ところで、上記ヒーター24と電源28との間に接続されるスイッチ機構27は、スイッチ本体27aとスイッチプレート27bとスイッチボタン27cとからなり、スイッチボタン27cはスイッチ本体27aより上方へ突出して設けられ、一端側をスイッチ本体27a上部に固定して、他端側を回動自在とするスイッチプレート27bによって押圧自在となっている。このスイッチ機構27を前記ヘッド部19と一体となる突出部19aにおいて、スイッチプレート27bの固定端側を傾斜面の上部側として前記ノズル部21に対向するように配置するものである。その結果、ノズル部21が傾動していない状態で、ノズル部21とスイッチプレート27bとは略平行となっている。
そのため、ノズル部21を下方へ傾動させることで、スイッチプレート27bを押圧し、該スイッチプート27bがスイッチボタン27cを打突してスイッチ機構27を作動させるとともに、ノズル部21はスプリング35の弾撥力によって自動的に元の位置に復帰する。
なお、該スイッチ機構27を含む電気回路には、タイマー回路や定電圧回路(図示省略)が組み込まれてヒーター24の制御を行い、液体化粧料等5の安定した加熱を可能にする。また、この他にも、ノズル部21の操作、例えばノズル部21のスイッチプレート27bに対する押圧回数、すなわちスイッチボタン27cの打突回数に応じて液体化粧料等5の加熱温度を任意に変化させたり、また長時間操作が行われない場合、手動によらず自動的に主電源を切断して電源28を保護する回路を組み込むこともできる。
【0023】
更に、タイマー28”、スイッチ機構27、電源28又は電源アダプター28’を一つにまとめてコントローラー37とし、ディスペンサ6とは別体とするものであってもよい〔図6(イ)参照〕。又、スイッチ機構27はノズル部21に設け、タイマー28”や電源28等を別体としてもよい。このときリード線36の途中に着脱自在となるコネクター38を配設することで、ディスペンサ6をボトル2に対して脱着する際に該コネクター38を分離してリード線36を短くすることで、ディスペンサ6はボトル2に対して容易に回すことができ、迅速且つ簡単に脱着を行えるようにもなる〔図6(ロ)参照〕。以上のように、少なくともディスペンサ6とタイマー28”や電源28等とを別体とすることで、大量の水をヒーターディスペンサ容器1が浴びることとなっても電気系統に対する水分の影響を最小限にできるので故障を十分に防止できるものとなる。その上、美容室等での使用に際しては施術者にとって都合がよい位置に上記コントローラー37を設置することで、作業の利便性を向上させることもできる。
【0024】
一方、本願発明の実施例1におけるヒーターディスペンサ容器1を構成するボトル2とディスペンサ6とは、該ボトル2の開口部3の端縁に、パッキン33とともにポンプ本体筒13の外側面に周設されるフランジ13bを載置した上で、バッテリーホルダー30に保持されたバッテリー31を内装する筐体上部29aと筐体下部29bとからなる電源28の筐体29のネジ部32と、ボトル2の開口部3の外側面に螺設されるネジ部4とを螺合させることで、該ネジ部32の上周縁部34とボトル2の開口部3の端縁との間に、ポンプ本体筒13の外側面に周設されるフランジ13bがパッキン33とともに一体に挟持されて固定されるものとなる。
【0025】
ここで、ディスペンサ6をなすポンプ7は従来周知のものであるが、次のように構成されているものである。
即ち、ポンプ7は、その上部には固定蓋9により閉塞される開口部8が、又、その下部にはボトル2の内底方向に向けて幅狭のテーパー状となりボール弁11により閉塞自在となる吸入孔10を有するポンプ本体筒13と、該吸入孔10に連結されたチューブ12からなり、ヘッド部19と一体に連結するジョイント筒20が前記固定蓋9を貫通した上、その端部に導入筒15を固持してポンプ本体筒13内の空間14に挿入され、更に該ジョイント筒20の端部及び導入筒15の外側面には、周断面がH形状の弾性体のピストン16が、ポンプ本体筒13の内壁面に密着するように装着されている。そのため、該空間14はピストン16を境にして、固定蓋9と固定蓋9を貫通するジョイント筒20との間の隙間を通して外部と通気可能とされる空間上部14aと、常時ポンプ本体筒13の内壁面との間で気密性が保持される空間下部14bとに区画される。その上で、空間上部14aにはポンプ本体筒13にボトル2内と連通する空気孔17が穿設されるとともに、該空気孔17は、外部とボトル2の内部との密閉性を維持、解除するために、固定蓋9と連結してポンプ本体筒13の内壁面に当接する垂下縁9aとピストン上部16aとの当接又は離隔によって開閉自在となる。また空間下部14bには、ジョイント筒20の端部に固持された導入筒15の保持部15aとポンプ本体筒13の係止段部13aとの間にスプリング18を内装する。
以上のようにポンプ7は構成されるため、このヒーターディスペンサ容器1の使用に際して次のように作動する。なお、未使用の場合を除いて、通常ディスペンサ6内にはチューブ12よりノズル部21先端までボトル2内の液体化粧料等5が充満しているものである。
まず、ヘッド部19に対して下方への押圧操作を行うことで、ポンプ本体筒13の空間下部14b内では、該ヘッド部19と一体となったジョイント筒20の端部に固持された導入筒15及びピストン16が押し下げられ、スプリング18を圧縮するとともに、該空間下部14b内の容積を圧縮しようとする。そのため、該空間下部14b内の液体化粧料等5は、空間下部14b内でボール弁11をポンプ本体筒13の吸入孔10に対して押し付けて閉塞してしまい、該空間下部14b内に充満する液体化粧料等5の圧力は上昇することになる。一方、ポンプ本体筒13の空間上部14aでは、ピストン16が押し下げられることで当接していた固定蓋9と連結した垂下縁9aとピストン上部16aとが離隔するので、ピストン本体筒13に穿設された空気孔17は開放、即ち密閉性は解除され、外部とボトル2内とは通気可能となる。
そして、該空間下部14b内において圧力の上昇した液体化粧料等5は、導入筒15、ジョイント筒20、フレキシブルチューブ26及びノズル部21に内装される金属製パイプ23へと流動し、最終的にはノズル部21内に貯留されていた液体化粧料等5を押し出して吐出孔22より吐出することになる。
その後、ヘッド部19への押圧操作を解除することで、空間下部14b内で圧縮されていたスプリング18がその弾撥力により伸長するので、ピストン16、導入筒15及びジョイント筒20、更にはジョイント筒20と一体のヘッド部19は元の位置へ復帰するために上昇する。そのため、ポンプ本体筒13の空間下部14bの容積が膨張することで負圧が発生するので、吸入孔10を閉塞していたボール弁11はその負圧により上昇するとともに、ボトル2内に貯溜する液体化粧料等5をチューブ12を介してポンプ本体筒13の吸入孔10より適宜吸い上げるものである。その際、ピストン上部16aが固定蓋9と連結した垂下縁9aに当接して密閉性が維持されるようになるまでの間、ポンプ本体筒13の空間上部14aの開放されている空気孔17より、ボトル2内から吸い上げられた液体化粧料等5の容積に応じて空気がボトル2内に吸入されるため、ボトル2内には負圧が生ぜず、常にディスペンサ6内においては、液体化粧料等5がノズル部21先端にまで充満するものとなる。
【0026】
以上のように、本願発明の実施例1であるヒーターディスペンサ容器1は構成されるので、使用者は以下のようにして使用するものである。
なお、全く該ヒーターディスペンサ容器1が未使用であると、ディスペンサ6内にはボトル2内に貯溜する液体化粧料等5が充満していないので、ヘッド部19に対して繰り返し押圧動作をおこなうことでポンプ7を作動させ、予めノズル部21先端まで液体化粧料等5を充満させておく必要がある。
【0027】
まず、使用者がこのヒーターディスペンサ容器1から加熱した液体化粧料等5を吐出させようとする場合は、ノズル部21を下方へ傾動させることで、該ノズル部21の下面によってスイッチ機構27のスイッチプレート27bを押圧して、該スイッチプレート27bによってスイッチボタン27cを打突させ、スイッチ機構27を作動させる。これによってスイッチが入り、電源28よりノズル部21に内装する金属製パイプ23の外側面を取り巻くように配置されるヒーター24に対して電気が供給されることで、ヒーター24が加熱されて、金属製パイプ23も加熱されることとなる。その結果、該金属製パイプ23内に滞留する液体化粧料等5も同様に加熱されるものとなる。このとき、ヒーター24に対する電気の供給はタイマー回路や定電圧回路によって制御されているので、予め設定した温度で一定時間加熱することができ、液体化粧料等5を使用に適した温度状態にすることができる上、金属製パイプ23はその外側面に取り巻くように配置されるヒーター24とともに断熱材25により包装されているので、加熱された液体化粧料等5の温度は容易に低下することがなく、又、加熱時に不用意にノズル部に触っても、安全性を維持することができるものである。
【0028】
そして、予め設定されていた時間加熱した後、使用者がヘッド部19に対して押圧操作を行うことで、上述したポンプ7の作動により、ノズル部21に内装される金属製パイプ23内に滞留し、ヒーターによって適温に加熱された液体化粧料等5を、ノズル部21の吐出孔22より吐出させることができる。
【0029】
また、一旦ノズル部21の吐出孔22より加熱した液体化粧料等5を吐出させてしまった後は、上記ヘッド部19に対する下方への押圧操作をやめることで、上述したポンプ7の作動により、ポンプ本体筒13の空間下部14bにおいて発生する負圧によって、ボトル2内から新たな液体化粧料等5を吸い上げて、再度ノズル部21の先端まで液体化粧料等5を充満させるものである。
【0030】
なお、ボトル2内に貯溜する液体化粧料等5が全てなくなってしまった場合には、電源28のネジ部32と、ボトル2の開口部3の外側面に螺設するネジ部4との螺合を解くことでディスペンサ6とボトル2とを分離できるので、ディスペンサ6をボトル2の開口部3から外して、該開口部3より詰め替えの液体化粧料等5を注入すればよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
ボトル内に貯溜する液体化粧料等を、例えば使用直前というように必要に応じて必要な温度に加熱することができるので、低温となって効果が低下したり、粘度が高くなって流動性が低下して使用しにくい液体化粧料等を貯溜するディスペンサ容器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本願発明の実施例1のディスペンサ容器の全体斜視図である。
【図2】本願発明の実施例1のディスペンサ容器の縦断面図である。
【図3】本願発明の実施例1のディスペンサの斜視図である。
【図4】本願発明の実施例1のディスペンサ上部の部分断面斜視図である。
【図5】本願発明の実施例1のスイッチ機構の動作を示す斜視図である。
【図6】本願発明の実施例1において、タイマー、スイッチ機構及び電源又は電源に接続する電源アダプターを一つにまとめてコントローラーとした場合の模式図である。
【図7】本願発明の実施例1のディスペンサのヘッド部に一体に保持されるノズル部の変形例の要部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ヒーターディスペンサ容器
2 ボトル
3 開口部
4 ねじ部
5 液体化粧料等
6 ディスペンサ
7 ポンプ
8 開口部
9 固定蓋
9a 垂下縁
10 吸入孔
11 ボール弁
12 チューブ
13 ポンプ本体筒
13a 係止段部
13b フランジ
14 空間
14a 空間上部
14b 空間下部
15 導入筒
15a 保持部
16 ピストン
16a ピストン上部
17 空気孔
18 スプリング
19 ヘッド部
19a 突出部
20 ジョイント筒
21 ノズル部
22 吐出孔
23 金属製パイプ
24 ヒーター
25 断熱材
26 フレキシブルチューブ
27 スイッチ機構
27a スイッチ本体
27b スイッチプレート
27c スイッチボタン
28 電源
28’ 電源アダプター
28” タイマー
29 筐体
29a 筐体上部
29b 筐体下部
30 バッテリーホルダー
31 バッテリー
32 ネジ部
33 パッキン
34 上周縁部
35 スプリング
36 リード線
37 コントローラー
38 コネクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体化粧料等を貯溜してなるボトルの開口部に装着されるディスペンサであって、該ボトル内に貯溜する液体化粧料を吸い上げてなるポンプ、下方への押圧操作によりジョイント筒を介して連結するポンプを作動させるへッド部、及び該ヘッド部に一体に保持され、内装するパイプの一端をジョイント筒を介してポンプと連結し、他端を吸い上げた液体化粧料等を外部に吐出する吐出孔に連結するものであって、その内部において液体化粧料等を貯溜してなるノズル部から構成され、
該ノズル部内において液体化粧料等を加熱する加熱機構を設けてなることを特徴とするヒーターディスペンサ。
【請求項2】
上記ヘッド部において一体に保持されるノズル部内に、スイッチ機構を介して電源と接続するヒーターを配置することを特徴とする請求項1記載のヒーターディスペンサ。
【請求項3】
上記ヘッド部において一体に保持されるノズル部内に内装されるパイプを、良熱伝導性のパイプとするとともに、該パイプの外側面を取り巻くように、スイッチ機構を介して電源と接続するヒーターを配置することを特徴とする請求項1記載のヒーターディスペンサ。
【請求項4】
上記ヘッド部において一体に保持されるノズル部内に内装されるパイプと、ポンプへ連結するジョイント筒との間に、屈撓自在となるフレキシブルチューブを介在させるとともに、ヘッド部と一体となる突出部を該ノズル部の下面側に設けた上、ノズル部を下方に向けて傾動自在とするとともに、前記ノズル部下面と該突出部とを開放方向へ弾撥するスプリングをもって連接する一方、上記ヒーターと電源との間に接続されるスイッチ機構を前記突出部においてノズル部に対向するよう配置し、ノズル部の傾動によるスイッチ機構への押勢によって該スイッチ機構を作動させてなることを特徴とする請求項2又は3記載のヒーターディスペンサ。
【請求項5】
上記電源をディスペンサに一体に固持してなることを特徴とする請求項2乃至4記載のヒーターディスペンサ。
【請求項6】
上部に開口部を配設するとともに、その内部に液体化粧料等を貯溜してなるボトルと、請求項1乃至5記載のヒーターディスペンサとからなり、開口部に該ヒーターディスペンサを装着してなるヒーターディスペンサ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−110324(P2008−110324A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296493(P2006−296493)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【Fターム(参考)】