説明

ヒーターユニットおよび記録装置

【課題】高電圧の電圧形態を採る本体部への低電圧の電圧形態を採るユニットの誤装着を確実に回避することができるヒーターユニット及び記録装置を提供する。
【解決手段】第1方向(Z軸方向)と直交する第2方向(Y軸方向)において、孔部48aを有する嵌合部48は、第2コネクタ部45を挟んだ一方側に設けられ、上記電圧形態が同一のときにフェイルセーフピン18による規制を不可とさせる切り欠き部49は、第2コネクタ部45を挟んだ他方側に設けられて、所定電圧で給電を受ける第1形態と、第2方向において、嵌合部48は、第2コネクタ部45を挟んだ一方側に設けられ、切り欠き部49は、第2コネクタ部45を挟んだ一方側に設けられて、上記所定電圧より高い電圧で給電を受ける第2形態と、を有するヒーターユニットを採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーターユニットおよび記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、記録装置として、サーマルヘッドを用いて記録媒体に記録を行うサーマルプリンターが開示されている。
このプリンターは、従来、耐久品として扱われ且つ他の部品と比べて部品寿命が短いサーマルヘッドを、本体部に対し着脱自在として、消耗品とすることにより、サーマルヘッド破損時の対応の煩雑さの回避、プリンター全体の製品寿命の延命を図っている。
【0003】
このプリンターでは、サーマルヘッドユニットの交換に際し、サーマルヘッドブロックとサーマルヘッドユニットとを着脱するが、装着時の位置決めのため、サーマルヘッドブロックは位置決めピンを3本有し、また、サーマルヘッドユニットは該位置決めピンを挿入するための孔部を3個有している。そして、位置決めピンと孔部との嵌合後、止めネジによりサーマルヘッドブロック及びサーマルヘッドユニットを固定する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−85222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プリンターは、仕向け地域別の電圧仕様の違いで複数種の電圧形態を同一の製品で採用する場合がある。こういった場合に、上記サーマルヘッドユニットのようなヒーターユニットの交換を行うと、所定の電圧形態の本体部に、その電圧形態と異なる電圧形態のユニットを誤装着してしまう場合がある。上記従来技術においては、フェイルセーフ機構が無いため、異種の電圧形態を採るヒーターユニットの誤装着を回避できないという問題がある。
【0006】
しかしながら、フェイルセーフ機構の導入にあたり、強電圧で電流が流れる構造体であることが多いヒーターユニットにおいては、例えば、100Vの電圧形態を採る本体部に、220Vの電圧形態を採るユニットを誤装着しても安全上特に問題ないが、その逆の場合、220Vの電圧形態を採る本体部に、100Vの電圧形態を採るユニットを誤装着してしまうと、ユニットに過剰に電流が流れてしまうことから、高電圧の電圧形態を採る本体部への低電圧の電圧形態を採るユニットの誤装着を確実に回避することが求められる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、高電圧の電圧形態を採る本体部への低電圧の電圧形態を採るユニットの誤装着を確実に回避することができるヒーターユニット及び記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、本体部が備える第1コネクタ部に対して第1方向において着脱自在に接続する第2コネクタ部を備えて該本体部から複数種の電圧形態で給電を受けるヒーターユニットであって、上記本体部は、上記第1コネクタ部と上記第2コネクタ部とが接続するときに上記第1方向で孔部に挿通して嵌合する位置決めピンと、該孔部を有する嵌合部とのいずれか一方を有すると共に、上記電圧形態の異なる上記第1コネクタ部及び上記第2コネクタ部の上記第1方向における接続を規制するフェイルセーフピンと、上記電圧形態が同一のときに上記フェイルセーフピンによる規制を不可とさせる切り欠き部とのいずれか一方とを有するのに対し、上記第1方向と直交する第2方向において、上記位置決めピンと嵌合部との他方は、上記第2コネクタ部を挟んだ一方側に設けられ、上記フェイルセーフピンと切り欠き部との他方は、上記第2コネクタ部を挟んだ他方側に設けられて、所定電圧で給電を受ける第1形態と、上記第2方向において、上記位置決めピンと嵌合部との他方は、上記第2コネクタ部を挟んだ一方側に設けられ、上記フェイルセーフピンと切り欠き部との他方は、上記第2コネクタ部を挟んだ一方側に設けられて、上記所定電圧より高い電圧で給電を受ける第2形態と、を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明は、電圧の形態に応じて、2つの形態を採る。所定電圧の第1形態では、第2コネクタ部を第2方向で挟んだ一方側で、嵌合部に位置決めピンが挿通して位置決めがなされ、第2コネクタ部を第2方向で挟んだ他方側にフェイルセーフピンが配置され、そのフェイルセーフピンの形態と同種の形態の切り欠き部を有さない場合には、第1コネクタ部及び第2コネクタ部の第1方向における接続が規制される。一方、所定電圧より高い電圧の第2形態では、第2コネクタ部を第2方向で挟んだ一方側で、嵌合部に位置決めピンが挿通し、位置決めがなされ、該位置決めがなされる同一側にフェイルセーフピンが配置され、そのフェイルセーフピンの形態と同種の形態の切り欠き部を有さない場合には、第1コネクタ部及び第2コネクタ部の第1方向における接続が規制される。この第2形態では、位置決めピンとフェイルセーフピンとを同一側に配置するため、第1形態と比べて位置決めピンとフェイルセーフピンとの間の距離が小さく、例えば、ユーザーが無理に異種のユニットを装着しようとし、位置決めピンを中心にユニットを抉り姿勢がズレても、位置決めピンからフェイルセーフピンまでの回転半径が小さく、フェイルセーフピンによる規制位置のズレが生じ難くなる。このため、高電圧の電圧形態を採る本体部への低電圧の電圧形態を採るユニットの誤装着を確実に回避することができる。
【0009】
また、本発明においては、上記第2形態において、上記嵌合部に、上記孔部と上記切り欠き部とが形成されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、孔部と切り欠き部とが共に同一の嵌合部に形成されるので、両者の相対位置関係の精度を高めることができる。
【0010】
また、本発明においては、記録媒体に対し流体を噴射する記録ヘッドと、本体部に対し着脱自在に設けられ、上記記録媒体上の上記流体を乾燥させるヒーターユニットと、を有する記録装置であって、上記ヒーターユニットとして、先に記載のヒーターユニットを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、高電圧の電圧形態を採る本体部への低電圧の電圧形態を採るユニットの誤装着を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態におけるプリンターを示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態におけるヒーターユニットの本体部に対する装着状態を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるヒーターユニットを取り外したときの本体部を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるヒーターユニットを示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるヒーターユニットの外装を取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態における100Vの電圧形態のフェイルセーフピンと取り付けフレームの位置関係を示す平面図である。
【図7】図6における矢視A1図である。
【図8】図6における矢視A2図である。
【図9】本発明の実施形態における120Vの電圧形態のフェイルセーフピンと取り付けフレームの位置関係を示す平面図である。
【図10】図9における矢視B1図である。
【図11】図9における矢視B2図である。
【図12】本発明の実施形態における230Vの電圧形態のフェイルセーフピンと取り付けフレームの位置関係を示す平面図である。
【図13】図12における矢視C1図である。
【図14】図12における矢視C2図である。
【図15】本発明の実施形態におけるフェイルセーフ機構の作用を説明するための概略平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るヒーターユニット及び記録装置の実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面では、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。ここで、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向(鉛直方向)とする。
本実施形態では、記録装置として、インクジェット式プリンター(以下、単にプリンターと称する)について例示する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態におけるプリンター1を示す概略構成図である。
プリンター1は、ロール状に巻かれたロール紙RP1あるいはロール紙RP2から延出される長尺の用紙(記録媒体)Pに対して、インク(流体)を記録ヘッド31から噴射して画像や文字等を印字する構成となっている。プリンター1は、用紙Pを搬送する複数のローラー21を有する搬送部2と、用紙Pに対し印字を行う記録部3と、印字後、用紙Pの表面上のインクを乾燥させるヒーターユニット4と、ヒーターユニット4と電気的に接続して給電すると共に温度等に関する制御信号を出力する制御盤5と、を有する。
【0014】
プリンター1の本体部11には、ロール紙RP1、搬送部2、記録部3、ヒーターユニット4、制御盤5が収容されている。また、本体部11に接続された外部ケース12にはスペアのロール紙RP2が収容されている。なお、ロール紙RP1及びロール紙RP2のいずれかを用いるかは任意に選択可能である。ロール紙RP1あるいはロール紙RP2から延出された用紙Pは、搬送部2のローラー21によって記録部3に搬送される。
【0015】
記録部3は、インクを噴射する記録ヘッド31と、用紙Pを支持する支持台32と、を有する。用紙Pは、記録ヘッド31と支持台32との間に送り出される。送り出された用紙Pは、支持台32に支持され、その上面(表面)は記録ヘッド31に対して所定の間隔を保って搬送される。そして、用紙Pの上面に記録ヘッド31からインクが噴射されて画像や文字等の印字が行われる。
【0016】
用紙Pの搬送経路には、記録部3より下流側にヒーターユニット4が設けられている。ヒーターユニット4は、本体部11に対して着脱自在に設けられている。ヒーターユニット4は、ファン41と、加熱装置42と、を有する。ファン41及び加熱装置42は、制御盤5から給電を受け、また、制御盤5からの制御信号により駆動する。加熱装置42は、例えば、ニクロム線等の電熱線を有する。ファン41により取り込まれた空気は、加熱装置42より加熱されて温風となり、用紙Pの上面に向けて吹き付けられる。これにより、用紙P上のインクが乾燥し、用紙Pに画像や文字等が定着する。
【0017】
次に、図2〜図5を参照して、本体部11に対し着脱自在なヒーターユニット4の構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態におけるヒーターユニット4の本体部11に対する装着状態を示す平面図である。図3は、本発明の実施形態におけるヒーターユニット4を取り外したときの本体部11を示す平面図である。図4は、本発明の実施形態におけるヒーターユニット4を示す斜視図である。図5は、本発明の実施形態におけるヒーターユニット4の外装を取り外した状態を示す斜視図である。
【0018】
図2に示すように、ヒーターユニット4は、平面視で略長方形状を有する。本実施形態のヒーターユニット4は、本体部11に設けられた一対の本体フレーム12A,12Bに対してZ軸方向(第1方向)、すなわち鉛直方向において着脱自在な構成となっている。
本体フレーム12Aは、ヒーターユニット4の長手方向一端部(+X側端部)の底部を支持する底部フレーム13aと、ヒーターユニット4の長手方向一端部の側部を平面視略凹状に囲う側部フレーム14aとを有する。一方、本体フレーム12Bは、ヒーターユニット4の長手方向他端部(−X側端部)の底部を支持する底部フレーム13bと、ヒーターユニット4の長手方向他端部の側部を平面視略凹状に囲う側部フレーム14bとを有する。
【0019】
図3に示すように、本体フレーム12Aには、装着されたヒーターユニット4と電気的に接続する第1コネクタ部15が設けられている。第1コネクタ部15は、制御盤5と電気的に接続されており、ヒーターユニット4に給電するための電力線が配置される給電部16aと、ヒーターユニット4に制御信号を伝送する信号線が配置される信号部16bとを有する。この第1コネクタ部15は、側部フレーム14aの内側であって、底部フレーム13aから所定高さで凸設された凸フレーム13a1に取り付けられている。
【0020】
図4に示すように、ヒーターユニット4の短手方向一方側(+Y側)の側部には、空気を取り込むための複数の吸引孔43が設けられている。吸引孔43から取り込まれた空気は、内部で加熱され、底部に設けられた不図示の吹き出し口から下方に吹き出される。この底部に対し逆側の天部には、把持部50が設けられている。把持部50は、長手方向に延びる軸周りに、略水平面(XY平面)から略直角に回動自在な構成となっている。ヒーターユニット4は、把持部50の回動に連動して長手方向両側側部から出没する固定ピン60を有する。
【0021】
図5(a)に示すように、把持部50は、X軸方向に延びる軸周りに回動自在にユニットフレーム44に軸支されている。把持部50の回動軸51の延長線上には、YZ平面に対し交差する略円弧状のカム52が設けられている。カム52の下方には、カム52をX軸方向で挟み込むカム受け部材70が設けられている。カム受け部材70は、ユニットフレーム44に両側をガイドされ、X軸方向にスライド自在な構成となっている。このカム受け部材70の先端に固定ピン60が設けられる。固定ピン60は、ユニットフレーム44に固定されたピン受け部材80によりX軸方向にガイドされる構成となっている。
【0022】
上記構成によれば、図5(a)に示すように把持部50が略水平面に沿って倒伏すると、カム52によって固定ピン60が長手方向外側に張り出される。この固定ピン60が、図2に示す本体フレーム12Aの側部フレーム14aに設けられた不図示の開口部と、本体フレーム12Bの側部フレーム14bに設けられた不図示の開口部とにそれぞれ挿入されると、本体部11に対する装着状態となる。
一方、図5(b)に示すように把持部50が略直角に起立すると、カム52によって固定ピン60が長手方向内側に引き込まれる。これにより、固定ピン60が、本体フレーム12Aの側部フレーム14aに設けられた不図示の開口部と、本体フレーム12Bの側部フレーム14bに設けられた不図示の開口部とからそれぞれ抜き出されると、本体部11に対する装着解除状態となる。
【0023】
図4及び図5に示すように、ヒーターユニット4の長手方向一端部(+X側端部)の底部には、本体フレーム12Aに設けられた第1コネクタ部15に対してZ軸方向(第1方向)において着脱自在な第2コネクタ部45が外装から露出して設けられている。第2コネクタ部45は、ファン41及び加熱装置42と電気的に接続されている。第1コネクタ部15と第2コネクタ部45とは、対となるカップリング形状を有する。したがって、把持部50を把持し、側部フレーム14a,14bに沿ってヒーターユニット4を本体フレーム12A,12Bに下ろすと、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45とが物理的に接続されると共に電気的に接続される。
【0024】
図3に示すように、本体部11には、上記接続時に第1コネクタ部15に対する第2コネクタ部45の位置を位置決めする位置決めピン17が、本体フレーム12Aに設けられている。位置決めピン17は、Z軸方向と直交するY軸方向(第2方向)において、第1コネクタ部15を挟んだ一方側(+Y側)において、凸フレーム13a1上に立設している。位置決めピン17の先端部は、先細りのテーパ形状を有する。なお、図3では、Y軸方向において第1コネクタ部15を挟んだ他方側(−Y側)に、後述するフェイルセーフピン18が立設している。フェイルセーフピン18は、略円柱形状を有し、基端部が凸フレーム13a1にカシメられて固定されている。
【0025】
一方、図5に示すように、ヒーターユニット4には、第2コネクタ部45に一体的に締結された取り付けフレーム46が設けられている。取り付けフレーム46は、Y軸方向において第2コネクタ部45を挟んだ一方側(+Y側)において、Z軸方向−側に向かって突出する第1突出部47aと、Y軸方向において第2コネクタ部45を挟んだ他方側(−Y側)において、Z軸方向−側に向かって突出する第2突出部47bと、を有する。第1突出部47aの先端部には、略直角に屈曲し、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45とが接続するときに、Z軸方向で位置決めピン17が挿通して嵌合する孔部48aが形成された嵌合部48が一体で設けられている。
【0026】
上記構成のプリンター1は、仕向け地域に応じて、複数種の電圧形態(本実施形態では100V、120V、230Vの3形態)で駆動するバリエーションがある。
以下、所定の電圧形態の本体部11に対する異種の電圧形態のヒーターユニット4の装着を不可とさせるフェイルセーフ機構について以下に示す図を参照して説明する。フェイルセーフ機構は、フェイルセーフピン18と、取り付けフレーム46とから構成される。なお、以下に示す図では、第2コネクタ部45を不図示としている。
【0027】
先ず、100Vの電圧形態のフェイルセーフ機構100Aについて説明する。
図6は、本発明の実施形態における100Vの電圧形態のフェイルセーフピン18と取り付けフレーム46の位置関係を示す平面図である。図7は、図6における矢視A1図である。図8は、図6における矢視A2図である。
【0028】
図に示すように、100Vの電圧形態の本体部11の本体フレーム12Aにおいては、フェイルセーフピン18が、Y軸方向において第1コネクタ部15を挟んだ他方側(−Y側)に設けられている。このように、100Vの電圧形態の本体フレーム12Aでは、第1コネクタ部15をY軸方向で挟んだ一方側(+Y側)に位置決めピン17が配置され、他方側(−Y側)にフェイルセーフピン18が配置される形態を採る。このフェイルセーフピン18は、当該他方側において、Z軸方向(第1方向)及びY軸方向(第2方向)と直交するX軸方向(第3方向)の一方側(+X側)寄りに、予め凸フレーム13a1に形成された不図示の孔部にカシメられて設けられている。
【0029】
一方、100Vの電圧形態のヒーターユニット4の取り付けフレーム46においては、第2突出部47bとフェイルセーフピン18とが、Z軸方向において干渉しないように切り欠かれた切り欠き部49が、第2突出部47bに形成されている(図7及び図8参照)。切り欠き部49は、Y軸方向において第2コネクタ部45を挟んだ他方側(−Y側)に設けられている。このように、100Vの電圧形態の取り付けフレーム46では、第2コネクタ部45をY軸方向で挟んだ一方側(+Y側)に嵌合部48が配置され、他方側(−Y側)に切り欠き部49が配置される形態(第1形態)を採る。この切り欠き部49は、当該他方側において、X軸方向の一方側(+X側)寄りに形成されている。
【0030】
次に、120Vの電圧形態のフェイルセーフ機構100Bについて説明する。
図9は、本発明の実施形態における120Vの電圧形態のフェイルセーフピン18と取り付けフレーム46の位置関係を示す平面図である。図10は、図9における矢視B1図である。図11は、図9における矢視B2図である。
【0031】
図に示すように、120Vの電圧形態の本体部11の本体フレーム12Aにおいては、フェイルセーフピン18が、Y軸方向において第1コネクタ部15を挟んだ他方側(−Y側)に設けられている。このように、120Vの電圧形態の本体フレーム12Aでは、第1コネクタ部15をY軸方向で挟んだ一方側(+Y側)に位置決めピン17が配置され、他方側(−Y側)にフェイルセーフピン18が配置される形態を採る。このフェイルセーフピン18は、当該他方側において、X軸方向の他方側(−X側)寄りに、予め凸フレーム13a1に形成された孔部13a2(図3参照)にカシメられて設けられている。
【0032】
一方、120Vの電圧形態のヒーターユニット4の取り付けフレーム46においては、第2突出部47bとフェイルセーフピン18とが、Z軸方向において干渉しないように切り欠かれた切り欠き部49が、第2突出部47bに形成されている(図10及び図11参照)。切り欠き部49は、Y軸方向において第2コネクタ部45を挟んだ他方側(−Y側)に設けられている。このように、100Vの電圧形態の取り付けフレーム46では、第2コネクタ部45をY軸方向で挟んだ一方側(+Y側)に嵌合部48が配置され、他方側(−Y側)に切り欠き部49が配置される形態(第1形態)を採る。この切り欠き部49は、当該他方側において、X軸方向の他方側(−X側)寄りに形成されている。
【0033】
次に、230Vの電圧形態のフェイルセーフ機構100Cについて説明する。
図12は、本発明の実施形態における230Vの電圧形態のフェイルセーフピン18と取り付けフレーム46の位置関係を示す平面図である。図13は、図12における矢視C1図である。図14は、図12における矢視C2図である。
【0034】
図に示すように、230Vの電圧形態の本体部11の本体フレーム12Aにおいては、フェイルセーフピン18が、Y軸方向において第1コネクタ部15を挟んだ一方側(+Y側)に設けられている。このように、230Vの電圧形態の本体フレーム12Aでは、第1コネクタ部15をY軸方向で挟んだ一方側(+Y側)に、位置決めピン17とフェイルセーフピン18とが配置される形態を採る。このフェイルセーフピン18は、Y軸方向において、位置決めピン17と第1コネクタ部15との間に位置し、予め凸フレーム13a1に形成された孔部13a3(図3参照)にカシメられて設けられている。
【0035】
一方、230Vの電圧形態のヒーターユニット4の取り付けフレーム46においては、第1突出部47aとフェイルセーフピン18とが、Z軸方向において干渉しないように切り欠かれた切り欠き部49が、嵌合部48に形成されている(図12参照)。切り欠き部49は、Y軸方向において第2コネクタ部45を挟んだ一方側(+Y側)に設けられている。このように、230Vの電圧形態の取り付けフレーム46では、第2コネクタ部45をY軸方向で挟んだ一方側(+Y側)に、嵌合部48と切り欠き部49とが設けられる形態(第2形態)を採る。この切り欠き部49は、Y軸方向において、孔部48aと第2コネクタ部45との間に形成されている。
【0036】
続いて、上記構成のフェイルセーフ機構100A〜100Cの作用について、図15を参照して説明する。
図15は、本発明の実施形態におけるフェイルセーフ機構100A〜100Cの作用を説明するための概略平断面図である。なお、図15(a)は100Vの電圧形態のフェイルセーフ機構100Aを示し、図15(b)は120Vの電圧形態のフェイルセーフ機構100Bを示し、図15(c)は230Vの電圧形態のフェイルセーフ機構100Cを示す。
【0037】
図15(a)に示すように、100Vの電圧形態の本体部11に、100Vの電圧形態のヒーターユニット4をZ軸方向で装着しようとすると、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45とが接続するときに、嵌合部48の孔部48aに位置決めピン17が挿通して嵌合し、フェイルセーフピン18と切り欠き部49とがZ軸方向で位置合せされる。この切り欠き部49は、Y軸方向で第2コネクタ部45を挟んだ他方側(−Y側)であって、X軸方向の一方側(+X側)寄りに形成されているので、第2突出部47bとフェイルセーフピン18とのZ軸方向による干渉が回避され、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45とがZ軸方向で奥まで完全に嵌め込まれ、両者が接続される。
一方、100Vの電圧形態の本体部11に、図15(b)に示す120Vの電圧形態のヒーターユニット4、あるいは、図15(c)に示す230Vの電圧形態のヒーターユニット4をZ軸方向で装着しようとすると、第2突出部47bとフェイルセーフピン18とがZ軸方向で干渉し、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45との接続が規制されることとなる。
【0038】
また、図15(b)に示すように、120Vの電圧形態の本体部11に、120Vの電圧形態のヒーターユニット4をZ軸方向で装着しようとすると、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45とが接続するときに、嵌合部48の孔部48aに位置決めピン17が挿通して嵌合し、フェイルセーフピン18と切り欠き部49とがZ軸方向で位置合せされる。この切り欠き部49は、Y軸方向で第2コネクタ部45を挟んだ他方側(−Y側)であって、X軸方向の他方側(−X側)寄りに形成されているので、第2突出部47bとフェイルセーフピン18とのZ軸方向による干渉が回避され、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45とがZ軸方向で奥まで完全に嵌め込まれ、両者が接続される。
一方、120Vの電圧形態の本体部11に、図15(a)に示す100Vの電圧形態のヒーターユニット4、あるいは、図15(c)に示す230Vの電圧形態のヒーターユニット4をZ軸方向で装着しようとすると、第2突出部47bとフェイルセーフピン18とがZ軸方向で干渉し、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45との接続が規制されることとなる。
【0039】
そして、図15(c)に示すように、230Vの電圧形態の本体部11に、230Vの電圧形態のヒーターユニット4をZ軸方向で装着しようとすると、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45とが接続するときに、嵌合部48の孔部48aに位置決めピン17が挿通して嵌合し、フェイルセーフピン18と切り欠き部49とがZ軸方向で位置合せされる。この切り欠き部49は、Y軸方向で第2コネクタ部45を挟んだ一方側(+Y側)に形成されているので、嵌合部48とフェイルセーフピン18とのZ軸方向による干渉が回避され、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45とがZ軸方向で奥まで完全に嵌め込まれ、両者が接続される。また、孔部48aと切り欠き部49とが共に同一の嵌合部48に形成されるので、両者の相対位置関係の精度を高めることができる。
一方、230Vの電圧形態の本体部11に、図15(a)に示す100Vの電圧形態のヒーターユニット4、あるいは、図15(b)に示す120Vの電圧形態のヒーターユニット4をZ軸方向で装着しようとすると、嵌合部48とフェイルセーフピン18とがZ軸方向で干渉し、第1コネクタ部15と第2コネクタ部45との接続が規制されることとなる。
【0040】
ここで、図15(c)のフェイルセーフ機構100Cでは、ヒーターユニット4が他の電圧形態よりも約2倍程度の高い電圧で給電を受けるため、100Vの電圧形態のフェイルセーフ機構100Aと120Vの電圧形態との場合のフェイルセーフ機構100Bの形態(第1形態)と異なる形態(第2形態)を採用している。
この第2形態では、位置決めピン17とフェイルセーフピン18とを同一側(−Y側)に配置するため、第1形態と比べて位置決めピン17とフェイルセーフピン18との間の距離が小さく、例えば、ユーザーが230Vの電圧形態の本体部11に、無理に100Vや120Vの電圧形態のヒーターユニット4を抉るように装着しようとし、位置決めピン17を中心にユニットの姿勢がズレても、位置決めピン17と孔部48aとの嵌合位置からフェイルセーフピン18までの回転半径が小さいから、フェイルセーフピン18が干渉する嵌合部48の規制位置のズレが生じ難くなる。このため、230Vの電圧形態を採る本体部11への100Vや120Vの電圧形態を採るヒーターユニット4の誤装着を確実に回避することができ、例えば、ヒーターユニット4のニクロム線等の電熱線の破損等を確実に予防することができる。
なお、第1形態と第2形態は、所定電圧を閾値としてそれ未満か以上かで形態を設定している。本実施形態では、120V〜230Vの範囲内の一の特定の値を当該閾値を設定し、例えば200Vより高い電圧で給電を受けるときに第2形態とし、200V未満で給電を受けるときに第1形態としているが、実機の仕様に応じて具体的な電圧形態の実情が異なるので、当該仕様に応じて適宜最適な閾値を選択することが好ましい。
【0041】
したがって、上述した本実施形態によれば、本体部11が備える第1コネクタ部15に対して第1方向(Z軸方向)において着脱自在に接続する第2コネクタ部45を備えて該本体部11から複数種の電圧形態で給電を受けるヒーターユニット4であって、本体部11は、第1コネクタ部15と上記第2コネクタ部45とが接続するときに上記第1方向で孔部48aに挿通して嵌合する位置決めピン17と、上記電圧形態の異なる第1コネクタ部15及び第2コネクタ部45の上記第1方向における接続を規制するフェイルセーフピン18とを有するのに対し、上記第1方向と直交する第2方向(Y軸方向)において、孔部48aを有する嵌合部48は、第2コネクタ部45を挟んだ一方側に設けられ、上記電圧形態が同一のときにフェイルセーフピン18による規制を不可とさせる切り欠き部49は、第2コネクタ部45を挟んだ他方側に設けられて、所定電圧で給電を受ける第1形態と、第2方向において、嵌合部48は、第2コネクタ部45を挟んだ一方側に設けられ、切り欠き部49は、第2コネクタ部45を挟んだ一方側に設けられて、上記所定電圧より高い電圧で給電を受ける第2形態と、を有するという構成を採用することによって、高電圧の電圧形態を採る本体部11への低電圧の電圧形態を採るユニットの誤装着を確実に回避することができる。
【0042】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、本体部11が位置決めピン17及びフェイルセーフピン18を有するのに対し、ヒーターユニット4が嵌合部48及び切り欠き部49を有する形態について説明したが、本発明は、本体部11が嵌合部48及び切り欠き部49を有するのに対し、ヒーターユニット4が位置決めピン17及びフェイルセーフピン18を有する形態であっても、本体部11が嵌合部48及びフェイルセーフピン18を有するのに対し、ヒーターユニット4が位置決めピン17及び切り欠き部49を有する形態であっても、本体部11が位置決めピン17及び切り欠き部49を有するのに対し、ヒーターユニット4が嵌合部48及びフェイルセーフピン18を有する形態であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、記録装置がプリンター1である場合を例にして説明したが、プリンターに限られず、複写機及びファクシミリ等の装置であってもよい。
【0045】
また、記録装置としては、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする記録装置を採用してもよい。本発明は、例えば微小量の液滴を吐出させる記録ヘッド等を備える各種の記録装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記記録装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、記録装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクが挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。また、記録装置の具体例としては、上記実施形態で説明したような用紙がロール状に巻かれたロール紙を収容体(ケース12)に備えた装置に限られない。例えば、可撓性を有する基板や金属板、あるいはプラスチックシートや布など、長尺状の記録媒体がロール状に巻かれているものを収容体に備えた装置であれば、いずれも記録装置として採用することができる。さらに、収容体に備えられた長尺状の記録媒体は、例えば葛折状になっているなどのように必ずしもロール状に巻かれていなくてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…プリンター(記録装置)、4…ヒーターユニット、11…本体部、15…第1コネクタ部、17…位置決めピン、18…フェイルセーフピン、31…記録ヘッド、45…第2コネクタ部、48…嵌合部、48a…孔部、49…切り欠き部、P…用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部が備える第1コネクタ部に対して第1方向において着脱自在に接続する第2コネクタ部を備えて該本体部から複数種の電圧形態で給電を受けるヒーターユニットであって、
前記本体部は、前記第1コネクタ部と前記第2コネクタ部とが接続するときに前記第1方向で孔部に挿通して嵌合する位置決めピンと、該孔部を有する嵌合部とのいずれか一方を有すると共に、前記電圧形態の異なる前記第1コネクタ部及び前記第2コネクタ部の前記第1方向における接続を規制するフェイルセーフピンと、前記電圧形態が同一のときに前記フェイルセーフピンによる規制を不可とさせる切り欠き部とのいずれか一方とを有するのに対し、
前記第1方向と直交する第2方向において、前記位置決めピンと嵌合部との他方は、前記第2コネクタ部を挟んだ一方側に設けられ、前記フェイルセーフピンと切り欠き部との他方は、前記第2コネクタ部を挟んだ他方側に設けられて、所定電圧で給電を受ける第1形態と、
前記第2方向において、前記位置決めピンと嵌合部との他方は、前記第2コネクタ部を挟んだ一方側に設けられ、前記フェイルセーフピンと切り欠き部との他方は、前記第2コネクタ部を挟んだ一方側に設けられて、前記所定電圧より高い電圧で給電を受ける第2形態と、を有することを特徴とするヒーターユニット。
【請求項2】
前記第2形態において、
前記嵌合部に、前記孔部と前記切り欠き部とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒーターユニット。
【請求項3】
記録媒体に対し流体を噴射する記録ヘッドと、本体部に対し着脱自在に設けられ、前記記録媒体上の前記流体を乾燥させるヒーターユニットと、を有する記録装置であって、
前記ヒーターユニットとして、請求項1または2に記載のヒーターユニットを有することを特徴とする記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−106418(P2012−106418A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257207(P2010−257207)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】