説明

ヒートシール包装用下地材及びその下地材を用いたシール包装方法

【課題】ゴミの減量化に貢献でき、見栄えも良く商品を取り扱える為のヒートシール包装用下地材を提供する。
【解決手段】平板状の下地材に被包装物を載せ、その被包装物の上にフィルムを被せ、該フィルムを前記下地材に熱溶着して包装するヒートシール包装に使用する下地材であって、前記下地材は、平板状の吸水性部材を有する下地材本体1と、該下地材本体の被包装物載置面1a側に前記包装用フィルムとの熱溶着を可能とするシール層2を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被包装物を下地材に載せ、その被包装物にフィルムを被せ、該フィルムを前記下地材の表面に熱溶着するヒートシール包装に使用する下地材及びシール包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等で販売される商品のゴミをより出さないようにする試みがされている(例えば、特許文献1参照)。
又、特許文献1には、通常、精肉や鮮魚は発泡トレイに入れ包装されて販売されているが、そのトレイを使用しないように事前にお客に容器や持ち帰り用の袋を持参してもらうことが開示されている。
しかし、スーパーマーケット等ではお客に容器等を持参してもらうことは、現実の運用でお客に要求することはできないので、店舗としてはゴミの減量化を考慮し発泡トレイの代わりに、単なるビニール袋に肉等を入れて販売することも試みられている。
【0003】
しかし、単にビニール袋に肉等を入れて、ショーケースに陳列しただけでは、見栄えが悪いので、薄い板状のトレイに肉等を載せ、その上にフィルムを被せ包装することも考えられるが、使用するトレイが平らであるので、肉等から出るドリップが板状のトレイの端から漏れてしまい、見栄えも悪くなるので商品として扱うことができなくなることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2004−187482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ゴミの減量化に貢献でき、見栄えも良く商品として扱える為のヒートシール包装用下地材及びシール包装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に本発明のヒートシール包装用下地材は、平板状の吸水性部材を有する下地材本体と、該下地材本体の被包装物載置面側に包装用のフィルムとの熱溶着を可能とするシール層を有することを特徴とする(請求項1)。
前記下地材本体は、該下地材本体自身を吸水性部材で構成する形態、或いは吸水性部材と他の部材の積層体で構成する形態の何れでもよい。
前記下地材本体を形成する吸水性部材としては、ドリップを吸収保持する繊維の集合体、又、ドリップが水を多く含む場合は親水性繊維の集合体が好ましく、例えば、エアレイドパルプ、熱可塑性の合成繊維とパルプを含む不織布、天然繊維、親水処理された疎水性繊維、あるいはこれらの混合物で形成されたもの等が挙げられる。尚、下地材本体の被包装物載置面はそのまま露出させて被包装物を直接載せる、或いは被包装物載置面に孔開きのフィルムを積層一体化して間接的に載せるようにするなど何れでもよい。
【0007】
前記シール層は、被包装物を覆うフィルムと熱溶着する部分で、該シール層は前記下地材本体の被包装物載置面側の全面、或いは同面の外周縁部分(例えば、下地材本体が矩形である場合、全周(四辺)、一部(対向する二辺))に形成する等、何れでもよい。
【0008】
上記手段によれば、下地材本体が吸水性部材を有し、且つその下地材本体の被包装物載置面側に、被包装物に被せられるフィルムと熱溶着するシート層が形成されている為、吸水シートを載せる手間、及び吸水シートを載せる位置に神経を使う必要がなく、吸水シートを用いない場合と同様の作業で、ドリップ吸水機能を備えたヒートシール包装を可能にする。
【0009】
前記下地材本体の被包装物載置面には、ドリップ吸水を調整する吸水調整部を形成する(請求項2)。その吸水調整部は、例えば下地材本体の被包装物載置面全面に積層形成した前記シール層に形成する(請求項3)。その吸水調整部の形態としては、前記下地材本体の被包装物載置面に積層されるシール層、或いはフィルムに多数の穴を形成する形態(請求項4)、或いは下地材本体の被包装物載置面に多数の凸部を形成する形態(請求項5)等が挙げられる。尚、穴の大きさ、穴の位置、穴の数は問わないが、例えば、直径1mm程度の穴を5〜10mm間隔で格子状に形成する。同様に、凸部の大きさ、凸部の位置、凸部の数は問わないが、例えば凸部を格子状に配置し、その凸部相互間に形成される凹部が前記穴に相当する為、凸部相互で形成される凹部(穴)が前記穴の形態となるようにしてもよい。
【0010】
上記手段によれば、フィルムを熱溶着するために設けたシール層が、吸水調整部を兼ねることができるので、下地材の構造を簡単にすることができ、より薄くすることができるのでゴミの減量化に貢献できる。そして、穴、又は凸部によって形成される凹部(穴に相当する)により、下地材に載せられる鮮魚や精肉等の被包装物が、下地材と接触する面積が少なくなるため、全面接触に比べて吸水量が調整され、被包装物が必要以上に吸水乾燥するのを防止できる。
【0011】
又、前記シール層は、前記被包装物に被せられるフィルムと同じ材質で形成する(請求項6)。同じ材質のシール層は、例えば、被包装物に被せられるフィルムと同じフィルムを溶かし、その溶解液を下地材本体にコーティング(塗布、吹付け、真空蒸着等)する方式、或いは同じフィルムを積層する方式の何れでもよい。
【0012】
上記手段によれば、包装に使用するフィルムと同じ材質(同じフィルム)のシール層が下地材本体に形成されている為、包装に使用するフィルムとシール層の融点は同じになり、フィルムは下地材に確実にヒートシールされる。
【0013】
また、前記シール層は、前記被包装物に被せられるフィルムの融点と略同じ融点を有するものとする(請求項7)。前記略同じ融点とは、フィルムの融点と同じ、或いはフィルムの融点に対し一定の範囲内(例えば、±10℃)の融点の両方を意味する。
【0014】
上記手段によれば、包装に使用するフィルムと略同じ融点のシール層が下地材本体に形成されているので、フィルムは下地材に確実にヒートシールされる。
【0015】
又、前記下地材本体の被包装物載置面と反対側の面はそのまま露出したままでもよいが、該面に下地材本体が吸水したドリップが外に出ないように保持する吸水保持層を積層形成してもよい(請求項8)。前記吸水保持層としては、例えば、ポリエステル系のラミネート加工が挙げられる。
【0016】
上記手段によれば、下地材本体の被包装物載置面と反対側の面に吸水保持層があることで、下地材本体(吸水性部材)が吸収したドリップが下地材本体から流れ出るのを防止できる。
【0017】
又、上記構成の下地材を用いたシール包装方法は、略平板状の下地材に被包装物を載せ、その被包装物の上にフィルムを被せ、該フィルムの周縁を下地材表面に熱溶着するシール包装方法であって、前記下地材は、平板状の吸水性部材を有する下地材本体と、該下地材本体の被包装物載置面側に前記フィルムとの熱溶着を可能とするシール層を有し、前記下地材上に被包装物を載せる被包装物載置工程と、フィルムをフィルムロールから引き出して下地材上方に展張保持するフィルムフィード工程と、下地材上の被包装物に展張状態のフィルムを被せる被覆工程と、被包装物に被せたフィルムの縁を前記下地材表面のシール層に熱溶着するシール工程と、を備える(請求項9)。
前記被覆工程は、展張保持したフィルムを、被包装物を載せた下地材に対して移動させる、或いは展張保持したフィルムに対して下側から被包装物を載せた下地材を移動させて被覆する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のヒートシール包装用下地材は請求項1記載の構成により、平板状の下地材であるのでゴミの減量化に貢献でき、しかも、吸水性部材であるのでドリップ等が下地材から漏れ出ることがなく、見栄えのよい商品を作ることが出来る下地材を提供することができる。
そして、請求項2、4、5記載の構成により、下地材と被包装物の接触する面積が少なくなるため、全面接触に比べて吸水量を調整でき、被包装物が必要以上に吸水されて乾燥するのを防止できる。
又、請求項3によれば、フィルムを熱溶着するために設けられるシール層が吸水調整部を兼ねることができるので、下地材の構造を簡単にすることができ、より薄くすることができるので、ゴミの減量化に貢献できる。
【0019】
又、請求項6記載の構成により、包装に使用するフィルムとシール層の融点は同じになり、フィルムは下地材に確実にヒートシールされる。
また、請求項7記載の構成により、包装に使用するフィルムと略同じ融点のシール層が下地材本体に形成されているので、フィルムは下地材に確実にヒートシールされる。
更に、請求項8記載の構成により、下地材本体(吸水性部材)が吸収したドリップが下地材本体から流れ出るのを防止できる。
また、請求項9記載の構成により、平板状の下地材に被包装物を載せて見栄え良く包装することができる包装方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るヒートシール包装用下地材の実施の形態の一例を示し、(a)は一部切欠平面図、(b)は(a)図のb−b線に沿える縦断面図。
【図2】他の実施の形態を示し、(a)は一部切欠平面図、(b)は(a)図のb−b線に沿える縦断面図。
【図3】他の実施の形態を示し、(a)は一部切欠平面図、(b)は(a)図のb−b線に沿える縦断面図。
【図4】他の実施の形態を示す縦断面図。
【図5】本発明に係る下地材を用いたシール包装方法の実施に用いる包装装置の一例を示す外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るヒートシール包装用下地材の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1に示すヒートシール包装用下地材Aは、吸水性部材からなる下地材本体1の一側面(被包装物載置面)1aの全面に、包装に使用するフィルムの熱溶着を可能にするシール層2が積層形成され、下地材本体1の他側面(被包装物載置面と反対側の面)1bの全面には前記下地材本体1が吸収したドリップが下地材本体1から流れ出るのを防止する吸水保持層3が積層形成されている。
【0023】
前記下地材本体1は、平板状の吸水性部材で構成され、その吸水性部材としてはドリップを吸収保持する繊維の集合体、又、ドリップが水を多く含む場合は親水性繊維の集合体が好ましく、例えば、エアレイドパルプ、熱可塑性の合成繊維とパルプを含む不織布、天然繊維、親水処理された疎水性繊維、あるいはこれらの混合物で形成されたもの等が挙げられる。
又、前記下地材本体1を構成する吸水性部材は、パルプと合成繊維の混合比率が全体を通して同じにした単層構造の不織布でもよいが、表裏層と中間層の前記パルプと合成繊維の混合比率を変えた三層を積層一体化したエアレイド不織布が好ましい。
【0024】
前記下地材本体1の一側面1aに積層されるシール層2は、下地材Aに載せた被包装物Wに被せる包装用のフィルム(熱可塑性フィルム)5を熱溶着によって固定するもので、該シール層2は前記包装に使用するフィルム5と同じフィルム(勿論、融点は同じ)を溶かした溶液を、前記下地材本体1の一側面1a全面に塗布乾燥して形成されている。前記溶液を塗布して形成するシール層2の厚みは、フィルム5の熱溶着が可能であれば、厚みは問わない。
例えば、包装に使用するフィルム5が塩化ビニルフィルム(融点:150℃)であれば、塩化ビニルフィルムを溶かした溶液を塗布し、ポリエチレンフィルム(融点:110〜120℃)を使用する場合は、同フィルムを溶かした溶液を塗布してシール層2を形成する。包装に使用するフィルムと同じ材質(同じ融点)のシール層2が加熱されることで、フィルム5とシール層2が同じ温度で同じ量だけ溶融され、フィルム5は確実に下地材本体1に固着される。
【0025】
前記シール層2は、前記したように包装に使用するフィルム5と同じフィルムに限らず、包装に使用するフィルムの融点と略同じ融点、或いは一定の範囲内(例えば、±10℃)の融点を有するフィルムを溶かし、下地材本体1に塗布して形成してもよい。
【0026】
前記吸水保持層3は、前記下地材本体1にしみ込んだドリップ、水等が流れ出ないように保持するもので、例えば、ポリエステル系のラミネート加工によって形成されている。
前記吸水保持層3の形成は、上記ポリエステル系のラミネート加工に限らず、例えば、下地材本体1の一側面(被包装物載置面)1aにシール層2を形成するポリエチレンを塗布した後、該下地材本体1をパラフィンの液に浸漬して、下地材本体1の他側面1bにパラフィンをしみ込ませるようにしてもよい。この場合、ポリエチレンが塗布されている面においてはパラフィンがはじかれて該面にパラフィンがしみ込むことはない。下地材本体1の他側面にパラフィンがしみ込むことで、防水性または防油性を付与でき、下地材本体に水や油がしみ込むことがなく、下地材が弱くなるのを防ぐことができる。
【0027】
又、下地材本体1の他側面に前記のようにパラフィンを含浸させる他に、一側面のシール層2を形成するポリエチレンを塗布してもよい。ポリエチレンの塗布により、前記パラフィンの場合と同様に防水性や防油性を備えることができ、しかも下地材本体1の一側面及び他側面とも同じ材料を塗布することになるので、塗布作業を簡素化できる。尚、前記吸水保持層3は、前記したパラフィン、ポリエチレンに限らず、防水性、防油性を有する樹脂材のコーティングであればよい。
【0028】
前記シール層2には、前記下地材本体1の吸水量を調整する吸水調整部4が形成されている。
前記吸水調整部4は、前記シール層2の外周縁を除いた内側部分に小さな穴4a(例えば、直径1mm程度)が所定の間隔をおいて斜め格子状に開口されて形成されている。
これにより、シール層2の上に鮮魚や精肉等の被包装物Wを載せた場合、該被包装物Wと接触する面積が少なくなり、結果、吸水量が調整され、被包装物が必要以上に乾燥するのを防止する。
このようにフィルムをヒートシールするために設けられたシール層2に穴4aを設けることで、シール層があることでフィルムと熱溶着することができ、しかも吸水量の調整をも兼ねることができる。また、シール層2が下地材の一側面1a全面に形成(塗布)されている場合は、シール層を設ける作業が部分的に形成(塗布)する場合と比べて作業効率が良くなる。
【0029】
上記構成のヒートシール包装用下地材Aは、下地材本体1が吸水性部材で構成されていることで、従来のように吸水シートを下地材の表面に置く必要がなく、又、置く必要がないため従来のように吸水シートを取り付け忘れる心配もない。そして、下地材本体1の一側面(被包装物載置面)の全面にシール層2が積層形成されていることで、被包装物Wに被せたフィルム5の周縁を下地材本体1に確実に熱溶着することができる。
又、前記シール層2には吸水調整部4として穴4aが形成されている為、該被包装物Wと接触する面積が少なくなり、結果、吸水量が調整され、被包装物が必要以上に乾燥するのを防止できる。そして、被包装物が、ドリップが出るような鮮魚や精肉等では、確実にドリップを吸収することができる。
【実施例2】
【0030】
図2に示すヒートシール包装用下地材A’は、前記実施例1で示した下地材本体1の一側面(被包装物載置面)1aの全面にフィルム6が積層貼着され、そのフィルム6の外周縁を除いた内側部分に、吸水調整部4の小さな穴4a(例えば、直径1mm程度)が所定の間隔をおいて斜め格子状に開口され、更に、前記フィルム6の外周縁部分に前記シール層7が積層形成されたものである。尚、実施例1に記載の部材と同じ部材は同じ符号を付し、説明を省略する。
【0031】
前記シール層7は、実施例1におけるシール層2と同様、包装に使用するフィルムと同じフィルムを溶かした溶液を塗布して形成、或いは包装に使用するフィルムの融点と略同じ融点、或いは一定の範囲内(例えば、±10℃)の融点を有するフィルムを溶かし、フィルム6の表面に塗布して形成する等、何れでもよい。
尚、シール層7は図示するようにフィルム6の外周縁に沿って所定幅形成する形態に限定されず、フィルム6上の被包装物Wを載せる領域が確保されれば、該シール層7の平面形状は任意である。又、前記シール層7は、被包装物Wを囲むようにフィルム6(下地材本体1)の四辺に形成するのが好ましいが、包装する被包装物Wによっては閉塞したリング形状にすることなく、リングが部分的に切れた形態、例えば対向する二辺、或いは三箇所等でもよい。
【0032】
図示したヒートシール包装用下地材A’の場合は、フィルム6上に鮮魚や精肉等の被包装物Wを載せた場合、該フィルム6に形成した吸水調整部4の穴4aの存在により該被包装物Wと接触する面積が少なくなり、結果、吸水量が調整され、被包装物が必要以上に乾燥するのを防止する。
そして、フィルム6(下地材本体1)の外周縁に沿って形成したシール層7によって、被包装物Wに被せたフィルム5の周縁を熱溶着することができる。
尚、図2の実施例において、フィルム6は被包装物Wを載置する範囲、例えば、シール層7の形成領域を残してその内側部分に積層形成し、そのフィルム6を囲むようにシール層7を下地材本体1表面に直接積層形成してもよい。又、前記シール層7を形成する溶液に顔料を入れて着色することで、フィルム6上における該シール層7の領域が明確に判断でき、それにより、被包装物Wを置ける範囲が明確になり、包装作業の作業性向上に貢献できる。
【0033】
上記構成のヒートシール包装用下地材A’は、前記実施例1と同様の作用効果に加えて、シール層7が下地材本体1の外周縁に沿って形成されていることで、被包装物Wを置く領域が明確になり、被包装物の載置作業を迅速且つ正確に行うことが可能となる。
【実施例3】
【0034】
図3に示すヒートシール包装用下地材A”は、前記実施例2で示したフィルム6を下地材本体1の一側面(被包装物載置面)1aに積層形成することなく、下地材本体1の外周縁に沿ってシール層8を積層形成したものである。尚、前記実施例1、2と同じ部材は同じ符号を付し、説明を省略する。
【0035】
前記シール層8は、実施例1におけるシール層2と同様、包装に使用するフィルムと同じフィルムを溶かした溶液を塗布して形成、或いは包装に使用するフィルムの融点と略同じ融点、或いは一定の範囲内(例えば、±10℃)の融点を有するフィルムを溶かし、下地材本体1の表面に塗布して形成する等、何れでもよい。
尚、シール層8は図示するように下地材本体1の外周縁に沿って所定幅形成する形態に限定されず、下地材本体1上の被包装物Wを載せる領域が確保されれば、該シール層8の平面形状は任意である。
【0036】
図4は、吸水調整部4の他の例を示し、前記実施例3における下地材本体1の一側面(被包装物載置面)1aに、被包装物Wを載承支持する多数の凸部4bを形成し、その凸部4b相互間に結果として凹部(穴)が形成されるようにする。
それにより、被包装物Wは吸水性部材である下地材本体1と接触する面積が少なくなり、その結果吸水量が調整され、被包装物Wは必要以上に乾燥するのが防止される。
尚、前記凸部4bの大きさ、形成個数、形成位置は問わない。
【0037】
次に、本発明に係る下地材を用いたシール包装方法を、図5に示すシール包装装置を用いて簡単に説明する。
図5に示すシール包装装置Bは、平板状の下地材A上に被包装物Wを載せ、その被包装物Wにストレッチフィルム5を被せ、被包装物Wより外側のフィルム5縁を前記下地材A表面に熱溶着してシール包装する装置で、被包装物Wに被せるフィルムの引き出し、シール加工の上下動作を手動操作によって行う手動式のシール包装装置である。
そのシール包装装置Bは、基台10上に下地材載せ部11が一対の支持脚12で所定高さ位置に水平に支持され、更にその下地材載せ部11の側方(図面では右側方)には一対の取付板13が所定間隔をおいて平行に起立固定され、その取付板13,13間の上部にフィルムロール配置部14が、下方に、フィルムを展張保持する保持部16、フィルムフィード手段17のフィルム先端クランプ部18、及びシール手段19の発熱体(ヒータ)を備えた枠体15が前記下地材載せ部11に対して上下回動可能に取り付けられて構成されている。
【0038】
上記シール包装装置による包装動作について説明する。
(1)枠体15が初期位置にあり、且つフィルムフィード手段17のフィルム先端クランプ部18が前記枠体15の起点位置に位置する状態で、下地材載せ部11の上に下地材Aを載せ、更に下地材Aの上に被包装物Wを載せる(被包装物載置工程)。
(2)フィルムフィード手段17のフィルム先端クランプ部18を、ハンドル20を持って起点位置から枠体15の先端側に向かって往動(前進)させる。そして、終点手前位置でフィルム先端クランプ部18の可動下板18bは固定上板18aに対して開動され、フィルム待機部上に支持されているフィルム5の先端を挟むように位置する。
(3)フィルム先端クランプ部18が更に前進し、可動下板18bがスプリングの弾発力で閉動され、フィルム5の先部を固定上板18aと可動下板18bで挾着する。
(4)フィルム5の先部を挾着したフィルム先端クランプ部18を、ハンドル20を持って枠体15の手前側位置まで復動(後退)させる。該フィルム先端クランプ部18の復動(後退)は、フィルムロール配置部14に支持されたフィルムロール5’を転動させてフィルム5をフィルムロール5’から引き出す。
(5)フィルム先端クランプ部18を初期位置まで復動(後退)させてフィルム5を枠体15の下面に沿って引き出した後、ハンドル20によって枠体15を下方に押動する。それにより、枠体15は軸21を中心として下方に回動し、下降の途中に保持部16の台板16aの上面に取り付けた弾性体16bが枠体15の下面に弾圧接されて、フィルム5の幅方向の両側縁を挾着保持し、フィルム5を枠体15の下面に展張保持する。
(6)フィルム5を展張保持した枠体15を下降させてフィルム5を下地材載せ部11に載置した下地材A及び該下地材A上に盛った被包装物Wに被せ(被覆工程)、更に枠体15の下降動作を続けてシール手段19の発熱体(ヒータ)を、下地材載せ部11に載置した下地材Aの周縁を覆うフィルム5の表面に圧接する。それにより、フィルム5は下地材Aの被包装物載置面全面に塗布形成されたシール層2に熱溶着される(シール工程)。
(7)下地材Aの周縁にフィルム5をシールした後、カッターで包装物のフィルム5を切断する。フィルムロール5’に繋がるフィルム5の先端はフィルム待機部によって水平状態に支持され、次の包装のために待機する。
(8)最後にフィルム先端クランプ部18によるフィルム5の先端の挾着を開放し、シール包装を完了した包装物を下地材載せ部11から取り除く。
【0039】
上記の如く構成したヒートシール包装用下地材A,A’,A”は、下地材本体1が吸水性部材で構成されていることで、吸水シートを別途設ける必要もなく、又、下地材表面に設けられたシール部との関係で該シートを置く位置を調整する必要がないので作業性を向上できる。そして、吸水シートの取り付け忘れも解消でき、しかも、ドリップが出るような被包装物であっても、薄い下地材を使ってのヒートシール包装が可能となる。
【0040】
本発明のヒートシール包装用下地材は、図示した実施例に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施例1において、シール層2は包装に使用するフィルムと同じフィルムを溶かした溶液を下地材本体に塗布して形成した例を示したが、該シール層2は溶液を塗布して形成する方法に限らず、シール層2を形成するフィルムを下地材本体に積層貼着してもよい。フィルムを下地材本体と一体化する方法としては、ホットメルト、熱圧エンボス、熱接着性樹脂のパウダーを用いる方法等、今日周知の方法が適用できる。
(2)本発明に係る下地材の厚さは限定されないが、例えば1mm以下のように薄い下地材とした場合は、包装された被包装物を取り出した後、該下地材を廃棄する際に容積が小さくなり、ゴミの減量化に貢献できる。
(3)実施例では、下地材本体を構成する吸水性部材として不織布、パルプと合成繊維の混合物等、繊維系のものを示したが、これに限らず、例えば、発泡吸水シート(ポリスチレン発泡体)でもよい。
(4)実施例では、下地材本体1そのものが吸水性部材である例を示したがこれに限らず、例えば、薄い基紙の上に吸水性部材を積層し、更にその上にシール層2を形成し、前記基紙の裏面には吸水保持層3を設けるようにしてもよい。
つまり、下地材本体自身が吸水性部材であってもよいし、基紙に吸水性部材を積層した積層体を下地材本体としても良く、被包装物が載置される下地材に吸水性部材が含まれていればよい。
(5)実施例では、フィルムフィード手段17のフィルム先端クランプ部18はハンドル20を手で操作することでフィルムを所定量フィードさせる例を示したが、フィルム先端クランプ部18を自動で駆動させるようにしてもよい。又、フィルム5が展張保持された枠体15を下降させてフィルム5を下地材A上に盛った被包装物Wに被せるようにしたが、これに限らず、下地材載せ部11を、展張保持されたフィルム5に対して突き上げて、下地材A上に盛った被包装物Wにフィルム5を被せるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
A、A’、A”…ヒートシール包装用下地材
1…下地材本体
1a…下地材本体の一側面(被包装物載置面)
2、7、8…シール層
3…吸水保持層
4…吸水調整部
4a…穴(吸水調整部)
4b…凸部(吸水調整部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の下地材に被包装物を載せ、その被包装物の上にフィルムを被せ、該フィルムを前記下地材に熱溶着して包装するヒートシール包装に使用する下地材であって、
前記下地材は、平板状の吸水性部材を有する下地材本体と、該下地材本体の被包装物載置面側に前記フィルムとの熱溶着を可能とするシール層を有することを特徴とするヒートシール包装用下地材。
【請求項2】
前記下地材本体の被包装物載置面に、吸水調整部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のヒートシール包装用下地材。
【請求項3】
前記吸水調整部が前記シール層に形成されていることを特徴とする請求項2記載のヒートシール包装用下地材。
【請求項4】
前記吸水調整部は、下地材本体の被包装物載置面に設けた多数の穴で形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載のヒートシール包装用下地材。
【請求項5】
前記吸水調整部は、下地材本体の被包装物載置面に設けた多数の凸部で形成されていることを特徴とする請求項2記載のヒートシール包装用下地材。
【請求項6】
前記シール層は、前記被包装物に被せられるフィルムと同じ材質で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のヒートシール包装用下地材。
【請求項7】
前記シール層は、前記被包装物に被せられるフィルムの融点と略同じ融点を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のヒートシール包装用下地材。
【請求項8】
前記下地材本体の被包装物載置面とは反対の面に吸水保持層が積層形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載のヒートシール包装用下地材。
【請求項9】
略平板状の下地材に被包装物を載せ、その被包装物の上にフィルムを被せ、該フィルムの周縁を下地材表面に熱溶着するシール包装方法であって、
前記下地材は、平板状の吸水性部材を有する下地材本体と、該下地材本体の被包装物載置面側に前記フィルムとの熱溶着を可能とするシール層を有し、
前記下地材上に被包装物を載せる被包装物載置工程と、
フィルムをフィルムロールから引き出して下地材上方に展張保持するフィルムフィード工程と、
下地材上の被包装物に展張状態のフィルムを被せる被覆工程と、
被包装物に被せたフィルムの縁を前記下地材表面のシール層に熱溶着するシール工程と、
を備えたことを特徴とするシール包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−31905(P2011−31905A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177864(P2009−177864)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】