説明

ヒートポンプ式給湯機

【課題】ヒートポンプ筐体内の水−冷媒熱交換器とタンク筐体内の貯湯タンクとを接続する配管接続時の作業性を向上させる。
【解決手段】ヒートポンプ筐体2に収容された水−冷媒熱交換器22から給湯水を流出させる第1流出配管26の第1流出接続端部26a、水−冷媒熱交換器22へ給湯水を流入させる第1流入配管27の第1流出接続端部27a、タンク筐体3に収容された貯湯タンク31から給湯水を流出させる第2流出配管32の第2流出接続端部32aおよび貯湯タンク31へ給湯水を流入させる第2流入配管33の第2流入接続端部33aを互いに平行に形成する。これにより、第1流出接続端部26aおよび第2流入接続端部33aの接続端部同士および第1流入接続端部27aおよび第2流出接続端部32aの接続端部同士をU字状接続配管61、62によって、同一方向から接続できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯水を加熱するヒートポンプサイクルが収容されたヒートポンプ筐体と、給湯水を貯湯する貯湯タンクが収容されたタンク筐体とを備えるヒートポンプ式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯水を加熱するヒートポンプサイクルが収容されたヒートポンプ筐体と、給湯水を貯湯する貯湯タンクが収容されたタンク筐体とを備えるヒートポンプ式給湯機が知られている。例えば、特許文献1には、ヒートポンプ筐体およびタンク筐体をそれぞれ異なる場所に設置することで、その設置作業性を向上させたヒートポンプ式給湯機が開示されている。
【0003】
また、この特許文献1のヒートポンプ式給湯機に対して、ヒートポンプ筐体およびタンク筐体を水平方向に隣接配置して一体化させたヒートポンプ式給湯機についても、ヒートポンプ筐体内の水−冷媒熱交換器とタンク筐体内の貯湯タンクとを接続する接続配管を地中に埋設する埋設作業が不要となる等のメリットを有しており、そのニーズは高い。
【特許文献1】特開2006−308282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ヒートポンプ筐体およびタンク筐体を水平方向に隣接配置して一体化させたヒートポンプ式給湯機では、上述の埋設作業が不要となるものの、ヒートポンプサイクル構成機器が収容されたヒートポンプ筐体内部あるいは貯湯タンクが収容されたタンク筐体内部の狭い空間内で接続配管を接続しなければならない。
【0005】
さらに、例えば、家庭用のヒートポンプ式給湯機では、ヒートポンプ式給湯機を設置する家屋の壁面と隣接する家屋の壁面が近接していることが多く、ヒートポンプ筐体およびタンク筐体を狭い設置場所に搬送した後に、接続配管を接続する作業者自身の作業スペースを確保することも難しい。
【0006】
このため、ヒートポンプ筐体およびタンク筐体を水平方向に隣接配置して一体化させたヒートポンプ式給湯機では、特許文献1のヒートポンプ式給湯機に対して、配管接続時の作業性が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、ヒートポンプ筐体およびタンク筐体を水平方向に隣接配置して一体化させたヒートポンプ式給湯機において、水−冷媒熱交換器と貯湯タンクとを接続する配管接続時の作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、給湯水を加熱するヒートポンプサイクル(20)の水−冷媒熱交換器(22)が収容されたヒートポンプ筐体(2)と、給湯水を貯湯する貯湯タンク(31)が収容されたタンク筐体(3)とを備え、ヒートポンプ筐体(2)およびタンク筐体(3)を水平方向に隣接配置して一体化させたヒートポンプ式給湯機であって、
水−冷媒熱交換器(22)には、水−冷媒熱交換器(22)から給湯水を流出させる第1流出配管(26)、および、水−冷媒熱交換器(22)へ給湯水を流入させる第1流入配管(27)が接続されており、貯湯タンク(31)には、貯湯タンク(31)から給湯水を流出させる第2流出配管(32)、および、貯湯タンク(31)へ給湯水を流入させる第2流入配管(33)が接続されており、第1流出配管(26)および第2流入配管(33)は、それぞれ互いに接続される第1流出接続端部(26a)および第2流入接続端部(33a)を有し、第1流入配管(27)および第2流出配管(32)は、それぞれ互いに接続される第1流入接続端部(27a)および第2流出接続端部(32a)を有し、
第1流出接続端部(26a)および第2流入接続端部(33a)の接続端部同士、並びに、第1流入接続端部(27a)および第2流出接続端部(32a)の接続端部同士のうち、少なくとも一方の接続端部同士は、互いに平行な方向に延びるように形成されるとともに、U字状の接続配管(61、62)で接続されていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、第1流出接続端部(26a)および第2流入接続端部(33a)の接続端部同士、あるいは、第1流入接続端部(27a)および第2流出接続端部(32a)の接続端部同士を、U字状の接続配管(61、62)で接続しているので、双方の接続端部にU字状の接続配管(61、62)を接続する作業を同一の方向から行うことができる。
【0010】
従って、接続配管を接続する作業者自身の作業スペースを確保することが難しい場合であっても、作業者が作業方向や作業位置を不必要に変化させることなく、接続端部同士を接続できる。
【0011】
さらに、ヒートポンプ筐体(2)およびタンク筐体(3)の製造誤差や、組付設置時の組付誤差によって、接続端部同士の位置が多少ずれていたとしても、接続端部同士が互いに平行に延びるように形成されているので、各配管(26〜33)および接続端部(26a〜33a)を若干撓ませることで、容易に接続端部同士を接続することができる。
【0012】
その結果、ヒートポンプ筐体(2)内の水−冷媒熱交換器(22)とタンク筐体(3)内の貯湯タンク(31)とを接続する配管接続時の作業性を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のヒートポンプ式給湯機において、第1流出接続端部(26a)、第1流入接続端部(27a)、第2流出接続端部(32a)および第2流入接続端部(33a)は、いずれも互いに平行な方向に延びるように形成されていることを特徴とする。
【0014】
これによれば、第1流出接続端部(26a)および第2流入接続端部(33a)の接続端部同士、並びに、第1流入接続端部(27a)および第2流出接続端部(32a)の接続端部同士をU字状の接続配管(61、62)で接続する接続作業を、全て同一の方向から行うことができる。その結果、配管接続時の作業性を、より一層、向上させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のヒートポンプ式給湯機において、第1流出接続端部(26a)、第1流入接続端部(27a)、第2流出接続端部(32a)および第2流入接続端部(33a)は、いずれもヒートポンプ筐体(2)とタンク筐体(3)との接触面に垂直な方向に延びるように形成されていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、第1流出接続端部(26a)、第1流入接続端部(27a)、第2流出接続端部(32a)および第2流入接続端部(33a)が、ヒートポンプ筐体(2)とタンク筐体(3)との隣接する方向に延びることになるので、ヒートポンプ式給湯機全体としての接触面に平行な方向の奥行寸法を抑制できる。
【0017】
その結果、接続配管を接続する作業者自身の作業スペースを確保しやすくなり、配管接続時の作業性を、より一層、向上させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のヒートポンプ式給湯機において、第1流出接続端部(26a)および第2流入接続端部(33a)の接続端部同士、並びに、第1流入接続端部(27a)および第2流出接続端部(32a)の接続端部同士は、ヒートポンプ筐体(2)内部で接続されており、ヒートポンプ筐体(2)には、接続作業用の開口部(2a)が設けられていてもよい。
【0019】
ところで、ヒートポンプ筐体(2)の内部は、ヒートポンプサイクル(20)を構成する複数の構成機器の間に、接続端部同士を接続するための空間を確保しやすい。つまり、ヒートポンプ筐体(2)の内部は、タンク筐体(3)の内部に対して、接続端部同士を接続するための空間を確保しやすい。
【0020】
従って、接続端部同士をヒートポンプ筐体(2)内部で接続することによって、接続端部同士をタンク筐体(3)内部で接続する場合に対して、水−冷媒熱交換器(22)と貯湯タンク(31)とを接続する際の作業性を向上させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のヒートポンプ式給湯機において、開口部(2a)は、ヒートポンプ筐体(2)の側面に設けられていることを特徴とする。これによれば、接続作業時に開口部(2a)からヒートポンプ筐体(2)内部に雨水等が侵入することを抑制できる。
【0022】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1〜3により、本発明の一実施形態を説明する。図1は、本実施形態の家庭用のヒートポンプ式給湯機1の模式的な全体構成図である。なお、各図における上下の各矢印は、ヒートポンプ式給湯機1を設置面Gに設置した状態における各方向を示している。
【0024】
ヒートポンプ式給湯機1は、図1に示すように、ヒートポンプ筐体2、および、このヒートポンプ筐体2とは別体に構成されたタンク筐体3を水平方向に隣接配置して一体化させたものである。ヒートポンプ筐体2およびタンク筐体3は、ヒートポンプ式給湯機1の外殻を形成するもので、耐食性に優れる金属(例えば、ステンレス)によって、上下方向に長手方向を有する略直方体状に形成されている。
【0025】
ヒートポンプ筐体2は、給湯水を加熱するヒートポンプサイクル20を収容するものである。ヒートポンプサイクル20は、圧縮機21、水−冷媒熱交換器22、電気式膨張弁23、蒸発器24等を順次配管接続して構成される周知の蒸気圧縮式の冷凍サイクルである。さらに、このヒートポンプサイクル20では、冷媒として二酸化炭素を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
【0026】
圧縮機21は、ヒートポンプサイクル20において、冷媒を吸入し、冷媒を臨界圧力以上となるまで圧縮して吐出するもので、本実施形態では、圧縮機構部21aを電動モータ21bにより駆動する電動圧縮機を採用している。
【0027】
水−冷媒熱交換器22は、冷媒通路22aを通過する圧縮機21吐出冷媒と水通路22bを通過する給湯水とを熱交換させるもので、圧縮機21から吐出された高温高圧冷媒の有する熱量を給湯水に放熱させることで、給湯水を加熱する加熱用熱交換器である。
【0028】
また、水−冷媒熱交換器22の水通路22bの出口側には、水−冷媒熱交換器22から給湯水を流出させる第1流出配管26が接続され、水通路22bの入口側には、水−冷媒熱交換器22へ給湯水を流入させる第1流入配管27が接続されている。さらに、第1流入配管27には、後述する貯湯タンク31に貯湯された給湯水を水−冷媒熱交換器22へ圧送する電動式の水ポンプ25が配置されている。
【0029】
電気式膨張弁23は、電気的に絞り開度を調整することで水−冷媒熱交換器22の冷媒通路22aから流出した高圧冷媒を減圧膨張させる減圧手段であるとともに、圧縮機21の吐出口から電気式膨張弁23の入口へ至る冷媒の高圧側冷媒圧力を制御する圧力制御手段でもある。
【0030】
蒸発器24は、電気式膨張弁23にて減圧膨張された低圧冷媒と電動送風ファン24aにより送風された外気(室外空気)とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
【0031】
なお、圧縮機21の電動モータ21b、電気式膨張弁23、蒸発器24の電動送風ファン24aおよび水ポンプ25は、図示しない制御装置の出力側に接続されており、この制御装置から出力される制御信号によってその作動が制御される。
【0032】
制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、上述の各種電気式アクチュエータ21b、23、24a、25の作動を制御する。
【0033】
また、制御装置の入力側には、水−冷媒熱交換器22の水通路22b入口側給湯水温度を検出する温度センサ等の各種センサ群、および、各種操作スイッチが設けられた操作パネル(いずれも図示せず。)が接続されている。
【0034】
さらに、ヒートポンプ筐体2は、その底面側にヒートポンプ筐体2を支持するヒートポンプベース4を有しており、このヒートポンプベース4を介して設置面Gに設置(固定)されている。
【0035】
より具体的には、ヒートポンプベース4は、ヒートポンプ筐体2と同じ材料で形成され、底面部とその外枠を形成する側面部を有して皿状に構成された基盤部材である。さらに、ヒートポンプベース4は、その底面から設置面Gに向かって延びるように形成された複数の脚部4aを有しており、ヒートポンプ筐体2は、この脚部4aを介して設置面Gに設置(固定)されている。
【0036】
タンク筐体3は、給湯水を貯湯する貯湯タンク31等を収容するものである。貯湯タンク31は、耐食性に優れた金属(例えば、ステンレス)製で、断熱構造を有し、高温の給湯水を長時間保温することができる温水タンクである。また、その貯湯量は、300〜400リットル程度である。
【0037】
貯湯タンク31に貯留された給湯水は、貯湯タンク31の上部に設けられた出湯口31aから出湯され、図示しない温調弁により水道からの冷水と混合されて温度調節された後、台所や風呂等に給湯される。また、貯湯タンク31の底部には、給水口31bが設けられ、この給水口31bから水道水が給水される。
【0038】
さらに、貯湯タンク31の底部には、水−冷媒熱交換器22側へ給湯水を流出させる給湯水出口31cが設けられ、給湯水出口31cには、貯湯タンク31から給湯水を流出させる第2流出配管32が接続されている。
【0039】
また、貯湯タンク31の上部には、水−冷媒熱交換器22の水通路22b出口側から流出した給湯水を流入させる給湯水入口31dが設けられ、給湯水入口31dには、貯湯タンク31へ給湯水を流入させる第2流入配管33が接続されている。
【0040】
そして、第2流出配管32および第2流入配管33は、それぞれ水−冷媒熱交換器22に接続された第1流入配管27および第1流出配管26に接続されている。これにより、貯湯タンク31→第2流出配管32→第1流入配管27(水ポンプ25)→水−冷媒熱交換器22→第1流出配管26→第2流入配管33→貯湯タンク31の順で給湯水が循環する水回路30が構成されている。
【0041】
さらに、タンク筐体3は、ヒートポンプ筐体2と同様に、その底面側にタンク筐体3を支持するタンクベース5を有しており、このタンクベース5を介して、設置面Gに設置(固定)されている。
【0042】
より具体的には、タンクベース5は、タンク筐体3と同じ材料で形成され、底面部とその外枠を形成する側面部を有して皿状に構成された基盤部材である。さらに、タンクベース5は、その底面から設置面Gに向かって延びるように形成された複数の脚部5a、5bを有しており、タンク筐体3は、この脚部5aを介して設置面Gに設置(固定)されている。
【0043】
また、図1に示すように、タンクベース5に設けられた脚部のうち、少なくとも1つは、ヒートポンプベース4およびタンクベース5を組み付けた際に、ヒートポンプベース4下側空間に突き出した突出形状脚部5bになっている。
【0044】
ここで、図2により、第2流出配管32と第1流入配管27との接続構造および第1流出配管26と第2流入配管33との接続構造の詳細について説明する。図2(a)は、ヒートポンプ式給湯機1内部において、主に上述の水回路30を構成する構成機器の実態的な配置態様を示す断面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。
【0045】
図2に示すように、各配管26、27、32、33は、それぞれヒートポンプ筐体2およびタンク筐体3の内部で他の構成部品と干渉しないように折れ曲がるとともに、ヒートポンプ筐体2内部で直線上に延びるように形成された接続端部26a、27a、32a、33aを有している。
【0046】
これらの各接続端部26a〜33aの先端部には、それぞれ接続端部の外周側に円板状に広がるフランジ部が設けられている。そして、第1流出接続端部26aおよび第2流入接続端部33aの接続端部同士、並びに、第1流入接続端部27aおよび第2流出接続端部32aの接続端部同士は、互いに平行な方向に延びるように形成されている。
【0047】
より具体的には、第1流出接続端部26a、第1流入接続端部27a、第2流出接続端部32aおよび第2流入接続端部33aは、いずれも互いに平行、かつ、いずれもヒートポンプ筐体2とタンク筐体3とを一体化させる際の接触面に垂直な方向、すなわち、ヒートポンプ筐体2とタンク筐体3との隣接する方向(図1、2では、紙面左右方向)に延びるように形成されている。
【0048】
さらに、第1流出接続端部26aおよび第2流入接続端部33aの先端部および第2流出接続端部32aおよび第1流入接続端部27aの先端部は、それぞれ同一平面上で開口して、U字状接続配管61、62によって接続されている。なお、U字状接続配管とは、接続配管の略中央部が半円弧状に湾曲して、入口側と出口側の2つの先端部が略同一平面上で開口している接続配管である。
【0049】
より具体的には、これらのU字状接続配管61、62の先端部にも、それぞれ各接続端部26a〜33aと同様のフランジ部が設けられており、接続端部26a〜33aのフランジ部に対してボルト締め等の締結手段によって接続されている。
【0050】
また、U字状接続配管61、62のフランジ部と接続端部26a〜33aのフランジ部との間には、O−リングやガスケットといったシール部材が挟み込まれており、それぞれの接続部から給湯水が漏れることを防止している。
【0051】
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。本実施形態のヒートポンプ式給湯機1は、商用電源等の外部電源が供給された状態で、操作パネルに設けられた作動スイッチを投入(ON)すると作動する。
【0052】
作動スイッチが投入されると、制御装置が、水−冷媒熱交換器22の水通路22b入口側給湯水温度、水通路22b出口側給湯水温度、外気温といった各種センサ群の検出信号および操作パネルに設けられた給湯水温度設定スイッチの操作信号に基づいて、各種電気式アクチュエータ21b、23、24a、25の作動を制御する。
【0053】
これにより、圧縮機21から吐出された高温高圧冷媒と水ポンプ25から流出した給湯水が水−冷媒熱交換器22に熱交換し、冷媒の有する熱量が給湯水に放熱され、給湯水が加熱される。
【0054】
水−冷媒熱交換器22から流出した冷媒は、電気式膨張弁23にて減圧膨張されて、蒸発器24へ流入する。この際、電気式膨張弁23の弁開度は、ヒートポンプサイクル20の高圧側冷媒圧力が高圧側冷媒温度に応じて決定される目標高圧に近づくように制御される。これにより、ヒートポンプサイクル20のCOPが略最大値となるように高圧側冷媒圧力が制御される。
【0055】
蒸発器24へ流入した低圧冷媒は、電動送風ファン24aにより送風された外気から吸熱して蒸発し、再び圧縮機21へ吸入される。一方、水−冷媒熱交換器22から流出した給湯水は、貯等タンク31へ戻り、加熱された給湯水が貯湯タンク31に貯湯される。
【0056】
次に、図3により、本実施形態のヒートポンプ式給湯機1の組付方法について説明する。図3は、図2(a)に対応するヒートポンプ式給湯機1の外観正面図である。前述の如く、本実施形態のヒートポンプ式給湯機1は、ヒートポンプ筐体2およびタンク筐体3が別体として構成されているので、ヒートポンプ筐体2およびタンク筐体3を別々に設置場所へ搬送する。
【0057】
そして、タンク筐体3を設置場所に配置した後、ヒートポンプ筐体2をタンク筐体3と一体化する。具体的には、図3に示すように、設置面Gに固定されたタンク筐体3に対して、ヒートポンプベース4の底面を突出形状脚部5bの上面に乗り上げるように、ヒートポンプ筐体2を配置する。これにより、ヒートポンプ筐体2およびタンク筐体3が水平方向に隣接配置される。
【0058】
この状態で、ヒートポンプ筐体2およびタンク筐体3同士をボルト締め等の締結手段で一体化させる。さらに、ヒートポンプ筐体2の側面に設けられた開口部2aを開いて、ヒートポンプ筐体2の内部で、貯湯タンク31と水−冷媒熱交換器22とを接続する。
【0059】
具体的には、開口部2aを介してヒートポンプ筐体2の内部へ、U字状接続配管61を挿入して、U字状接続配管61のフランジ部を、第1流出接続端部26aおよび第2流入接続端部33aのフランジ部にボルト締めにて固定する。さらに、U字状接続配管62を挿入して、U字状接続配管62のフランジ部を、第1流入接続端部27aおよび第2流出接続端部32aのフランジ部にボルト締めにて固定する。
【0060】
そして、この接続作業の終了後、開口部5aを板状の閉塞板にて閉じる。さらに、給湯タンク41の出湯口31aと家屋内の台所や風呂等に給湯水を導く給湯配管を接続し、出湯口31aと水道水を供給する水道配管とを接続する。これにより、ヒートポンプ式給湯機1の各種配管の接続が完了する。
【0061】
本実施形態では、第1流出接続端部26aおよび第2流入接続端部33aの接続端部同士、並びに、第2流出接続端部32aおよび第1流入接続端部27aの接続端部同士を、それぞれU字状接続配管61、62で接続しているので、双方の接続端部にU字状接続配管61、62を接続する作業を同一の方向から行うことができる。
【0062】
従って、接続配管を接続する作業者自身の作業スペースを確保することが難しい場合であっても、作業者が作業方向や作業位置を不必要に変化させることなく、接続端部同士を接続できる。
【0063】
さらに、ヒートポンプ筐体2およびタンク筐体3の製造誤差や、組付設置時の組付誤差によって、接続端部同士の位置が僅かにずれていたとしても、接続端部同士が互いに平行に延びるように、各配管26、27、32、33を折り曲げているので、各配管26〜33および接続端部26a〜33aを若干撓ませることで、容易に接続端部同士を接続することができる。
【0064】
その結果、ヒートポンプ筐体2内の水−冷媒熱交換器22とタンク筐体3内の貯湯タンク31とを接続する際の配管接続時の作業性を向上させることができる。
【0065】
さらに、各接続端部26a〜33aが、いずれも互いに平行に形成されているので、いずれの接続端部同士を接続する作業も同一の方向から行うことができる。従って、配管接続時の作業性を、より一層、向上させることができる。
【0066】
さらに、各接続端部26a〜33aが、いずれもヒートポンプ筐体2とタンク筐体3との隣接する方向に延びるように形成されているので、ヒートポンプ式給湯機1全体としての接触面に平行な方向(図2、3では、紙面垂直方向)の奥行寸法を抑制できる。従って、接続配管を接続する作業者自身の作業スペースを確保しやすくなり、より一層、接続作業性を向上させることができる。
【0067】
また、ヒートポンプ筐体2の内部は、ヒートポンプサイクル20を構成する複数の構成機器の間に、接続端部同士を接続するための空間を確保しやすい。従って、本実施形態の如く、ヒートポンプ筐体2に設けた開口部2aから、接続端部同士をヒートポンプ筐体2の内部で接続することで、接続端部同士をタンク筐体3内部で接続する場合に対して、接続作業性を向上させることができる。
【0068】
また、開口部2aがヒートポンプ筐体2の側面に設けられているので、接続作業時に開口部2aからヒートポンプ筐体2内部に雨水等が侵入することを抑制できる。さらに、接続作業後、開口部2aを閉塞板で閉塞するので、ヒートポンプ式給湯機1全体としての意匠性が損なわれることも防止できる。
【0069】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
【0070】
(1)上述の実施形態では、第1流出接続端部26aおよび第2流入接続端部33aの接続端部同士、並びに、第1流入接続端部27aおよび第2流出接続端部32aの接続端部同士の双方の接続端部同士が、互いに平行な方向に延びるように形成され、U字状接続配管61、62で接続された例を説明したが、少なくとも一方の接続端部同士が互いに平行な方向に延びるように形成され、U字状接続配管で接続されていてもよい。
【0071】
(2)上述の実施形態では、各接続端部26a〜33aを、いずれも互いに平行な方向に延びるように形成した例を説明したが、第1流出接続端部26aおよび第2流入接続端部33aの接続端部同士、並びに、第1流入接続端部27aおよび第2流出接続端部32aの接続端部同士が互いに平行に延びるように形成すればよい。
【0072】
例えば、第1流出接続端部26aおよび第2流入接続端部33aの接続端部同士が互いに平行に水平方向に延びて、第1流入接続端部27aおよび第2流出接続端部32aの接続端部同士が互いに平行に鉛直方向に延びるようにしてもよい。さらに、接続作業時の雨水の筐体内への侵入が無視できる場合は、筐体の天盤(上面)に接続作業用の開口部を設けてもよい。
【0073】
(3)上述の実施形態では、ヒートポンプ筐体2内にヒートポンプサイクル20全体を収容した例を説明したが、少なくとも水−冷媒熱交換機22をヒートポンプ筐体2に収容する構成とすればよい。
【0074】
(4)上述の実施形態では、各接続端部26a〜33aの先端部に設けられたフランジ部およびU字状接続配管61、62のフランジ部を用いて、各配管26〜33およびU字状接続配管61、62を接続する例を説明したが、ユニオンおよびナットを用いて接続してもよい。
【0075】
(5)上述の実施形態では、ヒートポンプ筐体2の内部で接続端部同士を接続する例を説明したが、タンク筐体3の内部で接続作業用の接続端部同士を接続するための空間を確保できる場合は、タンク筐体3の内部で接続端部同士を接続してもよい。
【0076】
(6)上述の実施形態では、図2(b)に示すように、ヒートポンプ筐体2の前後方向の奥行寸法(すなわち、それぞれの筐体2、3同士の接触面に平行、かつ、上下方向に垂直な寸法)が、タンク筐体3の奥行寸法よりも短い例を説明したが、それぞれの筐体2、3の奥行寸法を略同等としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】一実施形態のヒートポンプ式給湯機の模式的な全体構成図である。
【図2】(a)は、一実施形態のヒートポンプ式給湯機の断面図である。(b)は、(a)のA−A断面図である。
【図3】一実施形態のヒートポンプ式給湯機の正面図である。
【符号の説明】
【0078】
2 ヒートポンプ筐体
2a 開口部
3 タンク筐体
20 ヒートポンプサイクル
22 水−冷媒熱交換器
26 第1流出配管
26a 第1流出接続端部
27 第1流入配管
27a 第1流入接続端部
31 貯湯タンク
32 第2流出配管
32a 第2流出接続端部
33 第2流入配管
33a 第2流入接続端部
61、62 U字状接続配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯水を加熱するヒートポンプサイクル(20)の水−冷媒熱交換器(22)が収容されたヒートポンプ筐体(2)と、
前記給湯水を貯湯する貯湯タンク(31)が収容されたタンク筐体(3)とを備え、
前記ヒートポンプ筐体(2)および前記タンク筐体(3)を水平方向に隣接配置して一体化させたヒートポンプ式給湯機であって、
前記水−冷媒熱交換器(22)には、前記水−冷媒熱交換器(22)から給湯水を流出させる第1流出配管(26)、および、前記水−冷媒熱交換器(22)へ給湯水を流入させる第1流入配管(27)が接続されており、
前記貯湯タンク(31)には、前記貯湯タンク(31)から給湯水を流出させる第2流出配管(32)、および、前記貯湯タンク(31)へ給湯水を流入させる第2流入配管(33)が接続されており、
前記第1流出配管(26)および前記第2流入配管(33)は、それぞれ互いに接続される第1流出接続端部(26a)および第2流入接続端部(33a)を有し、
前記第1流入配管(27)および前記第2流出配管(32)は、それぞれ互いに接続される第1流入接続端部(27a)および第2流出接続端部(32a)を有し、
前記第1流出接続端部(26a)および前記第2流入接続端部(33a)の接続端部同士、並びに、前記第1流入接続端部(27a)および前記第2流出接続端部(32a)の接続端部同士のうち、少なくとも一方の接続端部同士は、互いに平行な方向に延びるように形成されるとともに、U字状の接続配管(61、62)で接続されていることを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項2】
前記第1流出接続端部(26a)、前記第1流入接続端部(27a)、前記第2流出接続端部(32a)および前記第2流入接続端部(33a)は、いずれも互いに平行な方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項3】
前記第1流出接続端部(26a)、前記第1流入接続端部(27a)、前記第2流出接続端部(32a)および前記第2流入接続端部(33a)は、いずれも前記ヒートポンプ筐体(2)と前記タンク筐体(3)との接触面に垂直な方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項4】
前記第1流出接続端部(26a)および前記第2流入接続端部(33a)の接続端部同士、並びに、前記第1流入接続端部(27a)および前記第2流出接続端部(32a)の接続端部同士は、ヒートポンプ筐体(2)内部で接続されており、
前記ヒートポンプ筐体(2)には、接続作業用の開口部(2a)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のヒートポンプ式給湯機。
【請求項5】
前記開口部(2a)は、前記ヒートポンプ筐体(2)の側面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のヒートポンプ式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−168298(P2009−168298A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5107(P2008−5107)
【出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】