説明

ヒール保護器具

特にハイヒールの靴の底部及び/又はヒールを保護するために、ヒール(9)を囲む可撓性中空本体(1)を備える器具では、中空本体(1)の端壁(2)は板形支柱又は補強部(5)を備え、反対側の端壁はスロットを付けた方法で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床及び/又はヒール、特にスパイクヒールを保護するためにヒールを包囲する可撓性中空本体を含む器具に関する。
【背景技術】
【0002】
パンプス又はスパイクヒールのようなハイヒールの靴は、ビジネスシューズとしてでも余暇であっても数十年間人気が高まっている。原則として、3cmより高いヒールは既に「ハイヒール」と認識されている。踝関節が地面から上がり、しかも体重分布が足の前部と足の後部の間で変化し、さらにその結果、重心が移動すると、姿勢が変化して、胸部及び臀部を強調し、変化しているが、それと同時に多少不安定である股関節部を揺らす歩き方になり、踝を捻る危険性が増加する。これに関して、ヒールの接触表面が小さいほど、傷害の危険性が高くなる。ヒールの高さが10センチメートルと14センチメートルの間の範囲にある靴で十分安全に歩行するには、何らかの練習が必要となり、その上、それでも全ての地面上で、及び全ての傾斜又はタイプの地面で可能なわけではない。より低い高さのヒールでも傷害の危険性は些細でなく、小さい接触表面を有する細いヒールの場合は特にそうである。
【0003】
ヒールの下に大きい支持表面があるものからスパイクヒールのペニー硬貨形のヒールまで、様々な形状のヒールがあり、スパイクヒールは地面に向かって先細にさえなっている。小さいヒール表面で生じる高い表面圧は、軟らかい表土に沈み、したがってヒールを損傷する危険性を必然的に伴う。さらに、このようなヒールは、傷つきやすい木の床又は寄せ木張り床に損傷を引き起こすことがある。
【0004】
英国特許第834,109号は、ヒールと地面の両方を保護する働きをする可撓性「ソックス」を示し、説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許第834,109号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、平坦でない又は傾斜した地面での歩行を容易にし、ヒール又はスパイクヒールを汚れ及び天候の影響から保護するように、靴の着用者が靴のヒールに単純な方法で保護手段又は断面の拡大部を提供できるようにする、最初に規定した種類の器具を提供することを目標とする。それと同時に、本発明による器具は、例えば寄せ木張り床のような傷つきやすい地面への損傷からの保護を提供するものである。さらに、本発明により提供される器具は、追加の道具がなく、ヒールへの損傷の危険性を伴わない状態で容易に適用し、外せるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を解決するために、本発明による器具は基本的に、中空本体の一方の端壁が板形補強又は補剛手段を備え、反対側に位置付けられた端壁がスロット付きであるように設計されることを特徴とする。器具は実際、スロット付き端壁が前方にある状態で単純に靴のヒール又はスパイクヒールに押しつけられる。スロット付き端壁の反対側に位置付けられた端壁に板状補強又は補剛手段を提供することにより、ヒールの安定した接触表面が提供され、それと同時に地面上の接触表面が拡大する。これで、ヒール又はスパイクヒールによって支持された体重は、もはやヒールの小さい表面積によってのみ地面に作用するのではなく、地面に加えられる点圧力を減少させるように、板形補強又は補剛手段の大きくなった表面積に分布する。特に例えば土壌、砂、雪などのような軟らかい表土では、小さい接触表面を有するヒール又はスパイクヒールは、高い表面負荷によりはまり込み、これはひっくり返ることによって傷害につながり得るばかりでなく、スパイクヒールへの損傷にもつながり得る。というのは、後者が濡れるか汚れる、又は破損することさえあるからである。したがって、本発明による器具は、ヒールへの効果的な保護も提供する。
【0008】
中空本体としての構成により、低重量の器具が提供され、これはヒール上に安全に留まるために必要とする保持力がそれに応じて小さくなる。器具の取り外しさえ、大きい力を加えずに実行可能になる。端壁のスロット付きの設計は、器具をヒールに押しつける単純な方法を提供し、そこではスロット付きの設計に由来する可撓性つまみを内側に曲げ、それによってヒールに弾性保持力を加えることができる。
【0009】
好ましい方法では、器具は可撓性中空本体が実質的に平行六面体形状であるように構成される。例えば円筒形又は角柱形の中空本体のように、端面に対して実質的に垂直に延在するジャケットによって相互に接続された2つの実質的に平行の端壁を備える他の形状も予想される。あるいは、半球形の中空本体も予想される。
【0010】
好ましい方法では、器具は可撓性中空本体が合成材料、特に例えばラテックス、ネオプレン、ゴムなどのような滑り止め材料で作成されるように構成される。滑り止め材料を使用することにより、本発明による器具で補強された靴のオフロードでの移動性が向上する。そのために、材料は例えば追加的に粗くすることによって、地面との接触箇所で適切に機械加工することができる。ダンス用の靴又はヒールの摩擦係数を低くすべき靴の場合、材料はそれに応じて滑らかにするか、被覆することができる。
【0011】
好ましい方法では、器具は板形補強又は補剛手段が例えば金属又は硬質プラスチックなどの耐久性がある、又は寸法的に安定した材料で作成されるように構成される。これは、特に鋭利なヒールが器具に損傷を引き起こし、時が経つにつれて中空本体の可撓性材料内に貫入することを防止する。同様に、地面に加えられる圧力が減少する。というのは、この方法で体重が中空本体の端面全体に分布するからである。
【0012】
板形補強又は補剛手段は、別個の要素として中空本体に組み込むことができる。しかし、中空本体の材料への完全な統合を提供するように、板形補強又は補剛手段を端壁内に注型する構成が好ましい。この場合、補強部又は補剛手段を、それに応じて中空本体の材料より硬度が高い板の形態で製造手順中に直接統合することができる。
【0013】
好ましい方法では、器具はスロット付き端壁が端壁の中心から半径方向外側に配向された少なくとも2つ、好ましくは4つ以上のスロットを備え、スロット間の材料が可撓性把持つまみを形成するように構成される。スロット付き端壁に幾つかのスロットを設けることにより、器具は最大量の異なるスパイクヒールのサイズに、それに応じて適応する必要なく安全に対応することができ、可撓性把持つまみは、様々な幅のスパイクヒールでも器具を維持するのに十分な保持力を提供する。したがって器具を固定する別個のステップが不要になり、器具は単純にスパイクヒールで中空本体に踏み込むことによって固定可能である。
【0014】
中空本体の把持つまみがヒールと同じレベルで係合していない場合、これは中空本体の傾斜につながるモーメントを引き起こすことがある。これで、中空本体の補強された端面はもはやヒールの接触表面と平行ではなくなり、したがって歩行が困難になる。このような傾斜を防止するために、スロット付き端壁と実質的に平行に形成され、同様にスロットが付けられた追加の支持壁が、端壁のスロットの交点を支持壁のそれと結ぶ垂線が補強された端壁を実質的に垂直に通るように、中空本体の内部に配置される。これは、器具とヒール間の接触表面を増加させることによって、中空本体が傾くのを安全に防止し、そのヒールへの付着を向上させる。このようなさらなる成果は、細いヒールの場合に特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下では、図面で概略的に図示された例示的実施形態によって、本発明をさらに詳細に説明する。
【図1】図3の線I−Iに沿った本発明による器具の断面図である。
【図2】挿入されたヒールがある図1による断面図である。
【図3】本発明による器具の上面図である。
【図4】中空本体内に配置された追加の支持壁を含み、挿入されたヒールがない本発明による器具のさらなる構成を示す。
【図5】中空本体内に配置された追加の支持壁を含み、挿入されたヒールがある本発明による器具のさらなる構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1では、器具の中空本体が1で表されている。中空本体は実質的に立方体の形状であり、下端壁2及び上端壁3を有する。ジャケットが4で表されている。本発明によれば、下端壁2は端壁2内に注型された板形補強又は補剛手段5を備えている。特に図3の上面図から明白であるように、上端壁には把持つまみ7を形成する複数の切り込み又はスロット6が設けられる。靴のヒール9での踏み込みを容易にするために、上端壁3は開口8を含む。
【0017】
図2による断面図から、ヒール9の断面に従って開口9の断面を広げるように、ヒール9を導入することによって中空本体の内部の方向に把持つまみ7がいかに曲がっているかが明白である。弾力的に内側に曲がった把持つまみ7が、それによってヒール9に保持力を加える。
【0018】
立方体形の中空本体は、約25mmの縁長さ及び約2mmの肉厚を有することが好ましく、エラストマ材料としてゴム又はラテックスが選択されることが好ましい。硬質の板5は、2mmの板厚を有する金属板として設計することが好ましい。
【0019】
図4及び図5は改造した構成を示し、同一の部品には同じ参照番号が引き続き使用されている。これらから、端壁3に平行に延在する同様のスロット付き支持壁10が明白であり、したがってヒール9と支持壁10の間の接触表面が、ヒールに突き当たる全接触表面を増加させ、それ故に保持力の上昇に寄与する。それにより中空本体1内のヒール9の傾きが防止される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床及び/又はヒール、特にスパイクヒールを保護するために前記ヒールを包囲する可撓性中空本体を含む器具であって、前記中空本体(1)の一方の端壁(2)が板形補強又は補剛手段(5)を備え、反対側に位置付けられた端壁(3)がスロット付きであるように設計されることを特徴とする器具。
【請求項2】
前記可撓性中空本体(1)が実質的に平行六面体形状であることを特徴とする請求項1記載の器具。
【請求項3】
前記可撓性中空本体(1)が合成材料、特にラテックス、ゴムなどのような滑り止め材料で作成されることを特徴とする請求項1又は2記載の器具。
【請求項4】
前記板形補強又は補剛手段(5)が、例えば金属又は硬質プラスチックなどの耐久性がある、又は寸法的に安定した材料で作成されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の器具。
【請求項5】
前記板形補強又は補剛手段(5)が前記端壁(2)内に注型されることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の器具。
【請求項6】
前記スロット付き端壁(3)が、前記端壁(3)の中心から半径方向外側に配向された少なくとも2つ、好ましくは4つ以上のスロット(6)を備え、前記スロット(6)間の前記端壁(3)の材料が可撓性把持つまみ(7)を形成することを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の器具。
【請求項7】
前記スロット付き端壁(3)に実質的に平行に形成され、同様にスロットが付けられた追加の支持壁(10)が、前記中空本体(1)の内部に配置されることを特徴とする前記請求項いずれか1項記載の器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−508638(P2011−508638A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540988(P2010−540988)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000402
【国際公開番号】WO2009/082770
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510183132)ヒールダイス ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】