説明

ビデオコーディングシステム、画像の表示優先度判定プログラムおよび小包処理装置

【課題】オペレータの作業量が減少し、打鍵入力作業の効率化が図れるビデオコーディングシステム、画像の表示優先度判定プログラムおよび小包処理装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係るビデオコーディングシステムは、宛先情報が記載された帳票が少なくとも1つの面に添付されている多面形状の小包の各面における画像を各面にそれぞれ対応して設けられた撮像手段により撮像した各画像に対しそれぞれ宛先情報の存在を推定できる情報が含まれている可能性を判定し、その判定結果に基づき、前記複数の撮像手段により撮像された各画像に対し表示するための優先度を判定する優先度判定手段と、この優先度判定手段により判定された優先度に基づき、前記複数の撮像手段により撮像された各画像を選択的に表示する表示手段と、この表示手段に表示された画像に基づき、当該小包の宛先情報を入力する入力手段とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ビデオコーディングシステム、画像の表示優先度判定プログラムおよび小包処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、宛先情報が記載された帳票(配達伝票)が少なくとも1つの面に添付されている、たとえば6面形状の小包から前記帳票に記載されている宛先情報を読取り、この読取った宛先情報に基づき当該小包を行先別に区分処理する小包処理装置が開発され、実用化されている。
【0003】
このような小包処理装置では、小包の各面における画像を、各面にそれぞれ対応して設けられたカメラにより撮像し、この複数のカメラにより撮像された各画像から、それぞれ前記帳票に記載された宛先情報を認識し(読取り)、宛先情報を認識できなかった場合は、複数のカメラにより撮像された各画像をビデオコーディングシステム(VCS)へ送って表示することで、オペレータが表示された各画像に基づき宛先情報を打鍵入力するようにしたものがある。
【0004】
しかしながら、このような従来のビデオコーディングシステムにおける画像表示方法では、単に複数の画像を表示するだけなので、複数の画像の中のどの画像に宛先情報が含まれているかわからない。そのため、オペレータは全ての画像を順次確認しながら打鍵入力しなければならず、ビデオコーディングシステムにおけるオペレータの作業量が増加し、打鍵入力作業の効率が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3207419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、オペレータの作業量が減少し、打鍵入力作業の効率化が図れるビデオコーディングシステム、画像の表示優先度判定プログラムおよび小包処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るビデオコーディングシステムは、宛先情報が記載された帳票が少なくとも1つの面に添付されている多面形状の小包の各面における画像を各面にそれぞれ対応して設けられた撮像手段により撮像した各画像に対しそれぞれ宛先情報の存在を推定できる情報が含まれている可能性を判定し、その判定結果に基づき、前記複数の撮像手段により撮像された各画像に対し表示するための優先度を判定する優先度判定手段と、この優先度判定手段により判定された優先度に基づき、前記複数の撮像手段により撮像された各画像を選択的に表示する表示手段と、この表示手段に表示された画像に基づき、当該小包の宛先情報を入力する入力手段とを具備している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るビデオコーディングシステムが適用される小包処理装置の構成を概略的に示す模式図。
【図2】実施形態に係る帳票の一例を示す模式図。
【図3】実施形態に係るバーコードシールの一例を示す模式図。
【図4】実施形態に係るスキャナ部の構成を概略的に示す模式図。
【図5】実施形態に係る入力結果テーブルの情報格納例を説明するための図。
【図6】実施形態に係るデータベースの情報格納例を説明するための図。
【図7】実施形態に係る優先度テーブルの情報格納例を説明するための図。
【図8】実施形態に係る小包処理装置の全体的な動作を説明するフローチャート。
【図9】実施形態に係る小包処理装置の全体的な動作を説明するフローチャート。
【図10】実施形態に係るリジェクト小包の各面の画像に対する表示優先度の判定処理を説明するフローチャート。
【図11】実施形態に係るリジェクト小包の各面の画像に対する表示優先度の判定処理を説明するフローチャート。
【図12】実施形態に係る小包の具体例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は展開図。
【図13】実施形態に係る特定パターンの検知処理を説明するフローチャート。
【図14】実施形態に係る優先度テーブルの情報格納例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係るビデオコーディングシステムが適用される小包処理装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る小包処理装置の構成を概略的に示すものである。この小包処理装置は、読取区分機1とビデオコーディングシステム(VCS)2とによって構成されている。
【0010】
この小包処理装置により扱う小包Pは、多面形状たとえば6面形状であり、少なくとも1つの面上に宛先情報が記載された帳票Lが添付(たとえば、貼付)されている。帳票Lは、たとえば、図2に示すように、当該小包Pの届け先を示す宛先情報(住所情報)が記載される宛先情報欄21、依頼主の住所情報が記載される依頼主情報欄22、たとえば印刷された当該帳票L固有のバーコード23、および、その他の情報欄24などが設けられている。その他の情報欄24は、内容物情報24a、配達希望日24bおよび受付日付24cなどが記載される。
上記宛先情報としては、都道府県名、市区町村名、街区番号などの全てあるいは一部から構成されている。
【0011】
また、小包のPの少なくとも1つの面上には、バーコードシールSが添付(たとえば、貼付)されているものとする。バーコードシールSは、たとえば、図3に示すように、配達員が管理するための管理用のバーコード25が印刷されている。
【0012】
読取区分機1は、小包Pに添付された帳票Lの画像を取得し、取得した画像から帳票Lに記載されている宛先情報を認識し、その宛先情報の認識結果あるいはビデオコーディングシステム2からの宛先情報に対応した所定の区分情報(区分箱番号)に基づき、小包Pを後述するデータベース11に登録されている配達順の宛先情報に対応するポケット(区分箱)に区分するとともに、リジェクト小包Pに対し固有のID番号を示すバーコード(管理情報)を印刷(付与)するものである。
【0013】
読取区分機1は、たとえば、処理する小包Pを1個ずつ供給する供給部3、供給部3によって供給される小包Pを搬送する搬送路(搬送手段)4、搬送路4で搬送される小包Pの各面(6面)の画像をそれぞれ撮像するスキャナ部(撮像手段)5、スキャナ部5を通過した小包Pから当該小包Pに印刷されているバーコードを読取るバーコード読取部6、バーコード読取部6を通過した小包P上に上記ID番号を示すバーコードを印刷するバーコード印刷部7、バーコード印刷部7を通過した小包Pを宛先情報の認識結果あるいはビデオコーディングシステム2からの宛先情報をデータベース11にあらかじめ登録されている配達順の宛先情報に基づき区分したり、宛先情報の認識できなかった小包Pおよびデータベース11に該当する宛先情報がなかった小包Pをリジェクト庫(図示しない)としての行先無区分口へ区分する区分部8、スキャナ部4で取得した小包Pの各面の画像から宛先情報を認識する認識部9、これら各部を制御する制御部(判定手段、処理手段)10、および、データベース11によって構成されている。
【0014】
供給部3、搬送路4、スキャナ部5、バーコード読取部6、バーコード印刷部7、および区分部8は、搬送区分部本体1a内に設けられている。
【0015】
スキャナ部4は、たとえば、図4に示すように、搬送路4で搬送される小包Pの各面(6面)にそれぞれ対応して設けられた6つのカメラ(撮像手段)31,32,33,34,35,36から構成されていて、この6つのカメラ31〜36により小包Pの各面の画像をそれぞれ撮像するようになっている。
なお、図示を省略しているが、小包Pの底面(図面において下面)と対応する部分には、撮像窓(透明窓)が形成されているものとする。
【0016】
認識部9は、基準の文字パターンが記憶されている辞書を有していて、小包Pの各面の撮像画像から得られる1文字ずつの文字パターンと上記辞書の基準の文字パターンとの比較により得られる類似度により、類似度の高い文字を認識結果として出力するものであり、たとえば、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)を主体に構成されている。
【0017】
認識部9における宛先情報の認識処理は、たとえば、小包Pの各面(6面)から取得された画像に対しそれぞれ帳票Lの画像を検知し(切出し)、検知した帳票Lの画像に対し宛先情報欄21に記載された宛先情報の認識処理を行ない、得られた類似度が一番高い認識結果を最終的な認識結果として出力してもよく、あるいは、小包Pの各面(6面)から取得された画像に対し順次帳票Lの画像を検知し(切出し)、検知した帳票Lの画像に対し宛先情報欄21に記載された宛先情報の認識処理を行ない、宛先情報として認識できた際、その時点で認識処理を終了し、当該認識結果を最終的な認識結果として出力してもよい。
【0018】
制御部10は、全体の制御を司るもので、たとえば、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)などを主体に構成されていて、図5に示すように、ビデオコーディングシステム2からの宛先情報(住所コード)とID番号からなる入力結果が登録される入力結果テーブルT1を有する。
【0019】
データベース11は、たとえば、図6に示すように、配達順の宛先情報と宛先情報に対応する所定の区分情報(区分箱情報)とが対応してあらかじめ登録されている。また、データベース11には、後述する優先度判定処理に用いる基準情報として、処理対象とする帳票の情報(罫線情報等のデザイン情報)、および、検知する特定パターン(模様やマーク、文字列等)などもあらかじめ登録される。
【0020】
ビデオコーディングシステム2は、画像蓄積装置12、複数(この例では3つ)のビデオコーディングデスク(以降、単にVCDと略称する)13,…、および、パソコン等により構成されるスーパバイザ端末装置14によって構成されていて、これら画像蓄積装置12、VCD13、および、スーパバイザ端末装置14は通信回線を介して接続されている。
【0021】
画像蓄積装置12は、認識部9で宛先情報が認識できなかった際、認識部9から供給されるスキャナ部4で取得した小包Pの各面の画像を対応するID番号を付与して記憶し、VCD13に分配するもので、大容量記憶装置12aおよび分配部12bにより構成され、スーパバイザ端末装置14によって管理されている。
【0022】
VCD13は、たとえば、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)などを主体に構成されていて、液晶表示器等の画像表示部13aおよびキーボード等の入力部13bを備えており、画像蓄積装置12から供給される小包Pの各面の画像に対しそれぞれ表示するための優先度を判定して、その優先度の順に画像を画像表示部13aに表示し、この表示された画像をオペレータが目視することで当該小包Pの宛先情報(住所コード)を入力部13bにより入力するようになっている。この入力された宛先情報は、対応するID番号とともにスーパバイザ端末装置14を介して制御部10に送られる。
【0023】
VCD13は、たとえば、図7に示すように、小包Pの各面の画像に対しそれぞれ判定された優先度を対応するID番号とともに登録する優先度テーブルT2を有する。
【0024】
次に、上記のような構成において、本実施形態に係る小包処理装置の全体的な動作について、図8および図9に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0025】
まず、供給部3は、処理する小包Pを1個ずつ搬送路4に供給し、搬送路4で搬送する(ステップS1)。スキャナ部5は、搬送路4で搬送される小包Pの各面(6面)の画像を6つのカメラ31〜36によりそれぞれ撮像し、撮像した各面(6面)の画像を認識部9へ送る(ステップS2)。
【0026】
認識部9は、たとえば、小包Pの各面(6面)から取得された画像に対しそれぞれ帳票Lの画像を検知し(切出し)、検知した帳票Lの画像に対し宛先情報欄21に記載された宛先情報の認識処理を行ない、得られた類似度が一番高い認識結果を最終的な認識結果として制御部10へ出力する(ステップS3)。
【0027】
制御部10は、認識部9からの認識結果に基づき、宛先情報を認識でき、かつ、認識された宛先情報がデータベース11に登録されているか否かを判定し(ステップS4)、登録されている場合、当該小包Pを区分部8により宛先情報に対応する区分口に区分する(ステップS5)。この際、認識された宛先情報に対応してデータベース11に登録されている区分情報により区分される。
【0028】
ステップS4における判定の結果、宛先情報を認識できなかった場合(読取不能)、あるいは、認識された宛先情報がデータベース11に登録されている宛先情報になかった場合(宛先無し)、制御部10は、当該小包Pに対し管理情報として固有のID番号を示すバーコードをバーコード印刷部7により印刷し(ステップS6)、その後、当該小包Pを区分部8においてリジェクト用の区分口(リジェクト庫)に区分する(ステップS7)。
【0029】
リジェクトされた小包Pの各面の画像は画像蓄積装置12へ送られ、分配部12bにより、当該小包Pに印刷されたID番号が付与されて大容量記憶装置12aに格納される(ステップS8)。
【0030】
次に、画像蓄積装置12は、分配部12bにより、大容量記憶装置12aに格納されたリジェクト小包Pの各面の画像を対応するID番号とともにリジェクト画像待ちのVCD13に分配する(ステップS9)。
【0031】
リジェクト小包Pの各面の画像およびID番号を受取ったVCD13は、受取った小包Pの各面の画像に対しそれぞれ表示するための優先度を判定して、その優先度の順に画像を画像表示部13aに表示し、この表示された画像をオペレータが目視することで当該小包Pの宛先情報(住所コード)を入力部13bにより入力する(ステップS10)。
【0032】
宛先情報の入力が終了すると、VCD13は、入力された宛先情報に上記ID番号を付与した入力結果を生成し、スーパバイザ端末装置14を介して制御部10へ送信する。これにより、制御部10は、VCD13から送られたの宛先情報とID番号とからなる入力結果を入力結果テーブルT1に追加登録する(ステップS11)。この結果、入力結果テーブルT1には、宛先情報とID番号とからなる入力結果ファイルが生成される。
【0033】
次に、リジェクトされた小包Pを再度、供給部3により搬送路4に供給して搬送することにより(ステップS12)、バーコード読取部6でID番号を示すバーコード(ステップS6で印刷されたバーコード)を読取り、制御部10へ送る(ステップS13)。
【0034】
制御部10は、バーコード読取部6で読取られたバーコードを認識し、その認識結果(ID番号)により該当する宛先情報を入力結果テーブルT1から取出す(ステップS14)。
【0035】
次に、制御部10は、入力結果テーブルT1から取出した宛先情報がデータベース11に登録されているか否かを判定し(ステップS15)、登録されている場合、当該小包Pを区分部8により宛先情報に対応する区分口に区分する(ステップS16)。
【0036】
ステップS15における判定の結果、宛先情報がデータベース11に登録されている宛先情報になかった場合(宛先無し)、制御部10は、当該小包Pを区分部8において宛先無区分口としてのリジェクト庫に区分される(ステップS17)。
【0037】
次に、ステップS10におけるリジェクト小包Pの各面の画像に対する表示優先度の判定処理について、図10および図11に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
なお、以下の説明では、リジェクトされた小包Pの各面(6面)の画像を面番号=1〜6の画像とする。
【0038】
まず、面番号=1の画像に対し帳票Lの有無を検知する(ステップS21,S22)。すなわち、たとえば、帳票L内に存在するバーコード23を検索することにより、帳票Lの有無を判定する。この判定の結果、帳票Lが存在しない場合(バーコード23が存在しない場合)、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+0」を与える(ステップS23)。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
【0039】
上記判定の結果、帳票Lが存在する場合(バーコード23が存在する場合)、当該帳票Lの情報(罫線情報等のデザイン情報)をあらかじめデータベース11に登録されている処理対象とする帳票の情報(罫線情報等のデザイン情報)と比較することにより、処理対象の帳票であるか否かを判定する(ステップS24)。このようなチェックを行なう理由は、たとえば、他社の帳票が添付されている場合もあるので、それを検知するためである。
【0040】
ステップS24における判定の結果、検知された帳票Lが処理対象外の帳票である場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+100」を与える(ステップS25)。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
【0041】
ステップS24における判定の結果、検知された帳票Lが処理対象の帳票である場合、帳票L内に存在する受付日付24cを認識し(ステップS26)、受付日付24cが認識できなかった場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+200」を与える(ステップS27)。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
【0042】
ステップS26における判定の結果、受付日付24cが認識できた場合、当日(今日)の日付と比較し、たとえば、受付日付24cが当日であれば当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+1000」を与え、受付日付24cが昨日であれば当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+900」を与え、……、受付日付24cが1週間以上前であれば当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+300」を与える(ステップS28)。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
このように、たとえば、古い帳票が他の面に添付されている可能性があるため、日付情報をチェックし、より新しい日付の帳票画像の優先度を上げるものである。
【0043】
次に、面番号=1の画像に対しバーコードシールSに印刷された管理用のバーコード25の有無を検知する(ステップS29,S30)。すなわち、たとえば、バーコードシールSに印刷された管理用のバーコード23を検索することにより、バーコード23の有無を判定する。この判定の結果、バーコード23が存在しない場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+0」を与える(ステップS31)。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
【0044】
上記判定の結果、バーコード23が存在する場合、当該バーコード23は認識可能か否かを判定する(ステップS32)。この判定の結果、バーコード23を認識不可能(認識不良)な場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+10」を与える(ステップS33)。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
【0045】
ステップS32における判定の結果、バーコード23を全桁認識可能な場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+20」を与える(ステップS34)。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
【0046】
このように、帳票L上に存在するバーコード23の他に、配達員が管理するためにバーコード23が印刷されたバーコードシールSを添付することがあり、このバーコードシールSは複数貼り付けられる場合があるが、そのうちの1つは帳票Lと同じ面に貼り付けられる可能性が高いため、検知できればその面の優先度を高くすることができる。
【0047】
次に、面番号=1の画像に対し帳票Lに記載された文字以外の文字列(行情報)の有無を検知する(ステップS35,S36)。すなわち、たとえば、小包Pの面に直接宛先情報が記載されている場合があるので、その有無を検知する。
【0048】
文字列が検知できなかった場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+0」を与える(ステップS37)。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
【0049】
文字列が検知できた場合、当該文字列を認識し(ステップS38)、データベース11に登録された住所情報と比較することにより、当該文字列は宛先情報を示しているか否かを判定し(ステップS39)、宛先情報を示していない場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+1」を与える(ステップS40)。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
【0050】
ステップS39における判定の結果、宛先情報を示している場合、認識結果の深度により以下のように判定する(ステップS41)。すなわち、たとえば、都道府県情報まで認識できた場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+2」を与え、市町村情報まで認識できた場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+3」を与え、……、部屋番号情報まで認識できた場合、当該画像に対し所定の優先度、たとえば優先度「+9」を与える。こうして与えられた優先度は、対応する画像のID番号とともに優先度テーブルT2に登録される。
【0051】
このように、帳票Lを用いずに直接宛先情報が記載されている場合や、帳票Lが検知できなかったが何か文字列(あるいは文字らしきもの)が存在することが検知できた場合、その面の画像の優先度を高くすることができる。
【0052】
次に、面番号=1の画像に対し特定パターンの有無を検知し、優先度を決定する(ステップS42)。
【0053】
次に、処理する面番号が「6」よりも大きいか否かを判定し(ステップS43)、大きいければ当該処理を終了し、大きくなければ処理する面番号を「+1」して(ステップS44)、ステップS21に戻り、次の面番号=2の画像に対する処理を繰り返す。
【0054】
図7は、上記判定処理終了後の優先度テーブルT2の具体例を示している。この具体例は、たとえば、ID番号が「0001」の小包Pにおいて、面番号=1の画像に対して優先度「+220」を与え、面番号=2の画像に対して優先度「+0」を与え、面番号=3の画像に対して優先度「+20」を与え、面番号=4の画像に対して優先度「+0」を与え、面番号=5の画像に対して優先度「+0」を与え、面番号=1の画像に対して優先度「+0」を与えた場合を示している。
【0055】
なお、面番号=1の画像に対する優先度「+220」は、ステップS21〜S28の処理おいて与えられた優先度「+200」とステップS29〜S34の処理おいて与えられた優先度「+20」とが加算された値である。このように、与えられた優先度が加算されて登録される。面番号=3の画像に対する優先度「+20」は、ステップS29〜S34の処理おいて与えられたものである。
【0056】
また、たとえば、ID番号が「0002」の小包Pにおいて、面番号=1の画像に対して優先度「+0」を与え、面番号=2の画像に対して優先度「+29」を与え、面番号=3の画像に対して優先度「+0」を与え、面番号=4の画像に対して優先度「+20」を与え、面番号=5の画像に対して優先度「+0」を与え、面番号=1の画像に対して優先度「+0」を与えた場合を示している。
【0057】
なお、面番号=2の画像に対する優先度「+29」は、ステップS29〜S34の処理おいて与えられた優先度「+20」とステップS35〜S41の処理おいて与えられた優先度「+9」とが加算された値である。このように、与えられた優先度が加算されて登録される。面番号=4の画像に対する優先度「+20」は、ステップS29〜S34の処理おいて与えられたものである。
【0058】
次に、ステップS42における処理について図12に示す小包Pの具体例および図13に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0059】
たとえば、小包Pの各面番号が図12に示すものとし、面番号=2の面に帳票Lが添付され、面番号=3の面に特定パターン(たとえば、模様)Mが印刷されているものとする。
【0060】
このような具体例において、図13に示すフローチャートを参照しつつ説明する。面番号=2の画像に対する処理では帳票Lが検知できなかったと仮定すると、面番号=3の画像に対し公知の文字認識等と同様な認識方法で特定パターンMを検知する(ステップS51)。
【0061】
次に、検知した特定パターンMをあらかじめデータベース11に登録されている特定パターンと比較することにより、検知対象とする特定パターンであるか否かを判定し(ステップS52)、検知対象とする特定パターンでない場合は当該処理を終了し、図11の次のステップS43に進む。
【0062】
ステップS52における判定の結果、検知対象とする特定パターンである場合、当該特定パターンの帳票位置にあたる面番号の画像の優先度を上げる(ステップS53)。図12の例の場合、特定パターンMが存在する面(面番号=3)の上側の面(面番号=2)に帳票Lが添付されていると推定し、その画像の優先度を上げる。
【0063】
このように、帳票Lが検知できなかった場合でも、特定の模様や会社マークなどの特定パターンを検知できれば、帳票Lが添付されている面を推定できるので、その面の画像の優先度を上げる。たとえば、図12の例の場合、面番号=3の面に特定パターンMが存在する場合、面番号=2の画像の優先度を上げる。
【0064】
図14は、図12〜図13の具体例において、特定パターンMの検知により優先度が与えられた場合の優先度テーブルT2の具体例を示している。この具体例は、たとえば、ID番号が「0001」の小包Pにおいて、面番号=1、面番号=3〜6の画像に対しては優先度「+0」を与えたが、ステップS42の処理により面番号=2の画像に対して優先度を上げるために優先度「+10」を与えた場合を示している。
【0065】
こうして、リジェクト小包Pの各面の画像に対する表示優先度の判定処理が終了すると、VCD13では、優先度が一番高い(優先度の値が一番大きい)画像を画像表示部13aに表示する。図7の具体例の場合、ID番号が「0001」の小包Pとすると、面番号=1の画像に対する優先度が一番高い(+220)ので、面番号=1の画像を画像表示部13aに表示する。オペレータは、画像表示部13aに表示された面番号=1の画像を目視することで、当該小包Pの宛先情報を入力部13bにより入力する。
【0066】
もし、面番号=1の画像で宛先情報を入力できなかった場合、オペレータが入力部13bにより特定のキー操作を行なうことにより、次に優先度が高い画像を画像表示部13aに表示する。図7の具体例の場合、面番号=3の画像に対する優先度が一番高い(+20)ので、面番号=3の画像を画像表示部13aに表示する。オペレータは、表示された面番号=3の画像に基づき宛先情報を入力する。
【0067】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、小包の宛先情報を取得できなかった場合、小包の各面から得られた各画像をVCDに表示する際に、各画像の優先度を判定し、優先度が一番高い画像から表示することにより、ビデオコーディングシステムにおけるオペレータの作業量が減少し、打鍵入力作業の効率化が図れる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
P…配達物、L…帳票、S…バーコードシール、1…読取区分機、2…ビデオコーディングシステム(VCS)、3…供給部、4…搬送路、5…スキャナ部、6…バーコード読取部、7…バーコード印刷部、8…区分部、9…認識部、10…制御部、11…データベース、12…画像蓄積装置、12a…大容量記憶装置、12b…分配部、13…ビデオコーディングデスク(VCD)、13a…画像表示部、13b…入力部、14…スーパバイザ端末装置、T1…入力結果テーブル、T2…優先度テーブル、21…宛先情報欄、23…バーコード、24c…受付日付、25…管理用のバーコード、31〜36…カメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宛先情報が記載された帳票が少なくとも1つの面に添付されている多面形状の小包の各面における画像を各面にそれぞれ対応して設けられた撮像手段により撮像した各画像に対しそれぞれ宛先情報の存在を推定できる情報が含まれている可能性を判定し、その判定結果に基づき、前記複数の撮像手段により撮像された各画像に対し表示するための優先度を判定する優先度判定手段と、
この優先度判定手段により判定された優先度に基づき、前記複数の撮像手段により撮像された各画像を選択的に表示する表示手段と、
この表示手段に表示された画像に基づき、当該小包の宛先情報を入力する入力手段と、
を具備するビデオコーディングシステム。
【請求項2】
前記優先度判定手段は、
前記複数の撮像手段により撮像された各画像から、それぞれ前記帳票を検知する第1の処理手段と、
この第1の処理手段により前記帳票が検知できた場合、当該帳票は処理対象のものか否かを判定する第2の処理手段と、
この第2の処理手段により処理対象の帳票と判定された場合、前記帳票にあらかじめ記載されている受付日付を認識する第3の処理手段と、
この第3の処理手段により受付日付を認識できた場合、当該受付日付を当日の日付と比較する第4の処理手段と、
前記第1の処理手段により前記帳票が検知できなかった場合、前記第2の処理手段により処理対象外の帳票と判定された場合、前記第3の処理手段により受付日付を認識できなかった場合、および、前記第4の処理手段の比較結果に応じて対応する画像に対し所定の優先度を与える第5の処理手段と、
を具備する請求項1記載のビデオコーディングシステム。
【請求項3】
前記優先度判定手段は、
前記複数の撮像手段により撮像された各画像から、それぞれ前記小包の少なくとも1つの面にあらかじめ添付されている管理用のバーコードを検知する第1の処理手段と、
この第1の処理手段により管理用のバーコードが検知できた場合、当該バーコードを認識する第2の処理手段と、
前記第1の処理手段により管理用のバーコードが検知できなかった場合、および、前記第2の処理手段による認識結果に応じて対応する画像に対し所定の優先度を与える第3の処理手段と、
を具備する請求項1記載のビデオコーディングシステム。
【請求項4】
前記優先度判定手段は、
前記複数の撮像手段により撮像された各画像から、それぞれ前記帳票に記載された文字以外の文字列を検知する第1の処理手段と、
この第1の処理手段により文字列が検知できた場合、当該文字列を認識して宛先情報を示しているか否かを判定する第2の処理手段と、
前記第1の処理手段により文字列が検知できなかった場合、および、前記第2の処理手段による判定結果に応じて対応する画像に対し所定の優先度を与える第3の処理手段と、
を具備する請求項1記載のビデオコーディングシステム。
【請求項5】
前記優先度判定手段は、
前記複数の撮像手段により撮像された各画像から、それぞれ前記小包の少なくとも1つの面にあらかじめ付与されている特定パターンを検知する第1の処理手段と、
この第1の処理手段による検知結果に応じて対応する画像に対し所定の優先度を与える第2の処理手段と、
を具備する請求項1記載のビデオコーディングシステム。
【請求項6】
前記請求項2〜請求項5のうち少なくとも2つの請求項に記載された優先度判定手段を具備する請求項1記載のビデオコーディングシステム。
【請求項7】
コンピュータに、
宛先情報が記載された帳票が少なくとも1つの面に添付されている多面形状の小包の各面における画像を各面にそれぞれ対応して設けられた撮像手段により撮像した各画像から、それぞれ前記帳票を検知する第1の手順、
この第1の手順により前記帳票が検知できた場合、当該帳票は処理対象のものか否かを判定する第2の手順、
この第2の手順により処理対象の帳票と判定された場合、前記帳票にあらかじめ記載されている受付日付を認識する第3の手順、
この第3の手順により受付日付を認識できた場合、当該受付日付を当日の日付と比較する第4の手順、
前記第1の手順により前記帳票が検知できなかった場合、前記第2の手順により処理対象外の帳票と判定された場合、前記第3の手順により受付日付を認識できなかった場合、および、前記第4の手順の比較結果に応じて対応する画像に対し所定の優先度を与える第5の手順、
を実行させるための画像の表示優先度判定プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
宛先情報が記載された帳票が少なくとも1つの面に添付されている多面形状の小包の各面における画像を各面にそれぞれ対応して設けられた撮像手段により撮像した各画像から、それぞれ前記小包の少なくとも1つの面にあらかじめ添付されている管理用のバーコードを検知する第1の手順、
この第1の手順により管理用のバーコードが検知できた場合、当該バーコードを認識する第2の手順、
前記第1の手順により管理用のバーコードが検知できなかった場合、および、前記第2の手順による認識結果に応じて対応する画像に対し所定の優先度を与える第3の手順、
を実行させるための画像の表示優先度判定プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
宛先情報が記載された帳票が少なくとも1つの面に添付されている多面形状の小包の各面における画像を各面にそれぞれ対応して設けられた撮像手段により撮像した各画像から、それぞれ前記帳票に記載された文字以外の文字列を検知する第1の手順、
この第1の手順により文字列が検知できた場合、当該文字列を認識して宛先情報を示しているか否かを判定する第2の手順、
前記第1の手順により文字列が検知できなかった場合、および、前記第2の手順による判定結果に応じて対応する画像に対し所定の優先度を与える第3の手順、
を実行させるための画像の表示優先度判定プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
宛先情報が記載された帳票が少なくとも1つの面に添付されている多面形状の小包の各面における画像を各面にそれぞれ対応して設けられた撮像手段により撮像した各画像から、それぞれ前記小包の少なくとも1つの面にあらかじめ付与されている特定パターンを検知する第1の手順、
この第1の手順による検知結果に応じて対応する画像に対し所定の優先度を与える第2の手順、
を実行させるための画像の表示優先度判定プログラム。
【請求項11】
宛先情報が記載された帳票が少なくとも1つの面に添付されている多面形状の小包を搬送する搬送手段と、
この搬送手段により搬送される小包の各面における画像をそれぞれ撮像する複数の撮像手段と、
この複数の撮像手段により撮像された各画像から、それぞれ前記帳票に記載された宛先情報を認識する認識手段と、
この認識手段により宛先情報を認識できた場合、当該宛先情報に基づき、前記搬送手段により搬送される小包を区分処理する第1の処理手段と、
前記認識手段により宛先情報を認識できなかった場合、前記搬送手段により搬送される当該小包に対して所定の管理情報を付与する管理情報付与手段と、
前記認識手段により宛先情報を認識できなかった場合、前記複数の撮像手段により撮像された各画像に対しそれぞれ宛先情報の存在を推定できる情報が含まれている可能性を判定し、その判定結果に基づき、前記複数の撮像手段により撮像された各画像に対し表示するための優先度を判定する優先度判定手段と、
この優先度判定手段により判定された優先度に基づき、前記複数の撮像手段により撮像された各画像を選択的に表示するとともに、当該表示された画像に基づき、当該小包の宛先情報を前記管理情報付与手段により付与された管理情報に対応して入力するビデオコーディングシステムと、
このビデオコーディングシステムにより入力された宛先情報と前記管理情報とを対応させて登録する登録手段と、
前記管理情報が付与された小包を前記搬送手段により搬送することにより、当該小包から前記管理情報を読取り、この読取った管理情報により対応する宛先情報を前記登録手段から取得し、この取得した宛先情報に基づき、当該搬送される小包を区分処理する第2の処理手段と、
を具備する小包処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−103162(P2013−103162A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248009(P2011−248009)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】