説明

ビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具

【課題】 小型、軽量である上、構造も簡潔であって製造も容易なことから、従前までのシート張設用具等に比較して遥かに経済的なものとして提供可能であり、シート張設紐の張り替え作業も不要とし、高所での危険な作業も大幅に省略して小人数による張設作業を確実、安全に、しかも効率的且つ簡単、迅速にビニールハウスへのシート張設作業を実施可能になる実現するシート送り用とするシート張設用具を提供する。
【解決手段】 牽引用先頭枠2、追従枠3および繋着機構41を有する繋着枠4が、夫々ヒンジ機構6,6で互いに折曲げ自在に連結された上、牽引用先頭枠2からは潜り杆5を後方に向けて所定角度で突設してなるものとしたビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業用ビニールハウス、およびその他の倉庫、車庫といった用途にも広く利用されるビニールハウスの設営技術に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであって、ビニールハウスに張設されているビニールシートを交換する作業に好都合となるシート張設用具を製造する分野は勿論のこと、その製造に必要とする設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野、その他現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
我が国は、南北に細長い国土を有し、その地形も内陸や内海、島、山地、平地、盆地、傾斜地等のように複雑である上、周囲を海に囲まれ、各種の海流や、夏季に勢力を強める太平洋高気圧、および冬季にシベリアから張り出す寒気団等の影響を強く受ける等、各地で気象条件が大きく異なるという独特の気候風土を有しており、そうした厳しい自然環境を克服して安定した農業を維持するため、その土地々々に応じた様々な栽培形態が発達してきているが、太陽エネルギーを有効利用するようにした簡易施設としてのビニールハウスも、そうした目的で創出された物の一例といえる。
【0003】
このビニールハウスは、作物を適温に保つと共に、風雨の影響から作物を守り、灌水、施肥管理、病虫害対策等、栽培期間中の作物の育成、管理に有利である上、年間を通じ、同じ作物を栽培する周年栽培を実現することができる等、露地栽培に比較して有利な点が多く、しかも簡易な施設であって経済的な負担も少なくて済み、導入し易いという特徴も手伝って、限られた農地と、四季を通じて大きく気候を変化させる自然環境の中で、良質な農作物を安定生産したいとする我が国の農業事情にうまく適合したことから、トンネル栽培用とする小型のものをはじめ、花卉類や野菜類栽培用とする中形のもの、そしてサクランボ等果樹栽培用とする大型のもの等、様々な用途、サイズのものとして全国的に広く普及、利用され、施設型農業の隆盛を見るに至っている。
【0004】
このように広く普及しているビニールハウス、特に中型、大型のビニールハウスは、一般的に,その多くが亜鉛鍍金を施した複数本の鉄製パイプを棟方向に所定間隔を隔てるようにして配置させ、丸屋根式、片屋根式、両屋根式、または二重勾配式等のハウス骨格を形成し、その外側表面に塩化ビニル等のプラスチックシートを張設した構造となっているが、この構造において欠かせないビニールシートは、単年または数年に渡って使用している中に、風雨や日光および寒暖の差を繰り返し受け、次第に劣化して透光性が低下し、太陽光の取り込みを充分に行えなくなる上、弾力を失って強風や降雨、雹、積雪等の外力によって容易に破けてしまうという事態を招来してしまうといった不都合がある外、降雪地帯等では、農閑期となる冬期間の雪害や風害等から施設を守らなければならないという切実な問題もあることから、必要に応じてその都度ハウス骨格から取り外し、再び張設し直す作業が必ず伴うことになる。
【0005】
(従来の技術)
ところが、このビニールハウス骨格体に対するビニールシートの張設作業は、その目的上、ビニールシートがシームレスの大幅で長尺のものでなければならず、しかもそれ程頑丈ではない骨格体の最も高いところから左右に振り分けて棟方向全体に添設状としなければならないことから、作業が極めて大掛かりな上、かなり煩雑且つ危険性を伴うものとなるため、ビニールハウスを導入して施設型農業を営む農家にとって大きな作業負担を強いられることとなっており、こうした負担を少しでも軽減しようと、これまでにも、例えば特開平7−289092号公報に開示された「ハウスのシート張設装置」発明のように、ハウスの長手方向に配設した移動案内部に沿ってシート案内部を移動可能に設け、該シート案内部にシートの先端部を係止し、屋根面に沿って自動的に移動させながらシートを張掛けできるよう構成してなるものや、特開平8−214710号公報の「ビニールハウスにおける屋根シート展張方法及び屋根シート展張用補助具」発明に示された、ハウス骨格の屋根上に、棟方向に移動可能な走行部を有する可動な補助具と、屋根のアーチ形状に沿って棟と略直交するシート載置架台とを備え、ジグザグ状に折り畳まれたシートを、該シート載置架台上に搭載し、走行部を棟方向に移動させながらシートを展開状に張設してゆくようにしたもの等によって代表されるような、ビニールハウスを設営するための各種技術についての開発、提案がなされている。
【特許文献1】(1)特開平7−289092号公報 (2)特開平8−214710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
しかしながら、このような従前からのシート張架設装置や屋根シート展張用補助具等は、その施設が比較的大型を対象としていて、設置に際して大掛かりな取付け工事と、それに伴って発生する多額の費用とを要する上、ビニールハウス設営後の撤去作業にも多くの労力を費やさざるを得ないものであり、その上、ビニールハウスに張設したシートを外側から抑え込むために、棟方向所定間隔置きであって、骨格体梁間方向全体に掛け渡されている多数本のシート張設紐が張られた状態のままでのシート張設作業の実施をすることができず、シートを張り替える際には、全てのシート張設紐を一度撤去してしまい、シートを張設した後において、再度シート張設紐を掛け渡し直す作業が必要となってしまうため、今度はハウスの屋根に多数本のシート張設紐を掛け渡す作業のために多くの時間と手間とを費やさざるを得なくなる上、その間にも荒天で強風や風雨雪等が吹き付けられるとシートがバタつき、シート張設紐を掛け渡す作業が非常に困難なものとなってしまう等、張り替え作業の負担を簡単に軽減することができるものではなかった。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明では、以上のような状況に鑑み、小人数でも効率的且つ簡単、迅速なビニールハウスへのシート張設作業を実現すべく、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、既に同一人において、特開2004−121076公報に掲載された「ビニールハウスにおけるシート張設用具、ならびにその使用方法」発明を完成し、その実用化を進めていたところ、より円滑な作業を実施可能にする改良された構造のビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のビニールハウスのシート張設用具は、横方向所定間隔置きに立設された多数の門型骨格体の外周面に、外界を遮って防風、防雨、保温等の機能を達成可能にするようにするためのプラスチックシートを張設する上で必要とする器具の一つに関するものであって、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、左右対称の先鋭形に形成された牽引用先頭枠と、略台形枠状に形成され、上底辺が該牽引用先頭枠の後端左右幅に略一致する長さに設定された追従枠と、該追従枠下底辺に略一致する長さの上底辺を有する略台形状に形成され、その適所には、ビニールハウス被着用シートの適宜縁部を概略先鋭形状に束ねた部位を、脱抜不能に仮繋着可能とする繋着機構を有するものとした繋着枠とを設けると共に、前記牽引用先頭枠後端と追従枠上底辺との間、ならびに、追従枠下底辺と繋着枠上底辺との間に、夫々ヒンジ機構を設けて互いに折曲げ自在、且つ全体を一平面状に展開させたときに先鋭、末広がり形状となるよう連結した上、少なくとも前記牽引用先頭枠の先頭付近からは、牽引用先頭枠平面形に対して比較的小さな角度で立上り、該牽引用先頭枠に倣って一平面状に展開された追従枠の下底辺付近に達するか、あるいはそれを僅かに越えて繋着枠側に達する程度の長さに設定され、追従枠の幅方向略中心上側を通る直線棒状に延伸、形成されたシート張設紐避け用の潜り杆を突設してなる構成を要旨とするビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具である。
【0009】
この発明のビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具を、より具体的な構成のものとして示すと、左右対称の略三角状または略台形状等の先鋭形に形成され、先端から中途付近の何れか適所に索条用連結部を一体形成した牽引用先頭枠と、掌大程度の略台形枠状に形成され、上底辺が該牽引用先頭枠の後端左右幅に略一致する長さに設定された追従枠と、該追従枠下底辺に略一致する長さの上底辺を有する略台形状に形成され、その適所には、ビニールハウス被着用シートの適宜縁部を概略先鋭形状に束ねた部位を、脱抜不能に仮繋着可能とする繋着機構を有するものとした繋着枠とを設けると共に、前記牽引用先頭枠後端と追従枠上底辺との間、ならびに、追従枠下底辺と繋着枠上底辺との間に、夫々ヒンジ機構を設けて互いに折曲げ自在、且つ全体を一平面状に展開させたときに先鋭、末広がり形状となるよう連結した上、少なくとも前記牽引用先頭枠の先頭付近からは、牽引用先頭枠平面形に対して比較的小さな1ないし20度前後、望ましくは15度前後の角度で立上り、該牽引用先頭枠に倣って一平面状に展開された追従枠の下底辺付近に達するか、あるいはそれを僅かに越えて繋着枠側に達する程度の長さに設定され、追従枠の幅方向略中心上側を通る直線棒状に延伸、形成されたシート張設紐避け用の潜り杆を突設してなるものとしたビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具となる。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、この発明のビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具によれば、従前までのハウスへのシート張設方法が、大勢の人手を要する上、高所での危険な作業を余儀無くされるか、さもなければ、大掛かりな張架装置等をハウス屋根部に装着し、その装置を遠隔操作する等となって多大な費用と労力とを費やさざるを得ず、施設型農業を営む農家にとって大きな負担を強いるものとなっていたのに対し、ビニールハウスの棟方向に適宜間隔置き毎に並設されている門型骨格体と、梁間方向でそれら門型骨格体上に掛け渡されているシート張設紐との間を通過するようにして棟方向の一端側に垂らした牽引索条の一方側に、当該シート送り用とするシート張設用具を連結すると共に、その繋着機構にシートを束ねた部分を繋着し、棟方向の他端側に垂らした牽引索条他方側を地上付近において適宜手段で牽引操作することにより、迅速且つ安全にシートを張設可能にするものになることから、従前までの不都合は一挙に解消されるのは勿論のこと、同一人において開発したものを更に効率化して一人または数人といった小人数による作業を確実、安全なものとすることができることとなり、シート張設作業の効率をより一層向上させて経費を大幅に削減し、経済的な施設型農業設営を実現化できるという秀れた効果を発揮できるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
牽引用先頭枠は、その後端に続く追従枠や繋着枠に先立って、門型骨格体上を一端側から棟方向に引っ張られ、門型骨格体とシート張設紐との間を棟方向の他端側まで通過することにより、繋着枠に仮繋着させた束状のシートを張設範囲に渡り、誘導可能とする機能を果たすものであり、先端部分の牽引方向に直交する断面が、できるだけ小さく設定され、先端から後端までが概略先鋭状であり、特に先頭部分を頂点とする二等辺三角形状、あるいは台形状の平面形に形成したものとするのが望ましく、板状、柱状、錐状等の外郭形状に設定することができ、使用の際に上側となる側面の適所から、シート張設紐を避けるための潜り杆を、突設したものとしなければならず、先端側から中央付近辺りまでの適所か、該潜り杆の基部付近か、の何れか適所に環状または鈎状等の牽引索条用の連結部を一体形成したものとすることが可能であり、本体自体を枠状に形成し、その先端に牽引索条を縛り着けできるような牽引用先頭枠とすることもできる。
【0012】
牽引索条は、シート送り用とするシート張設用具の使用に際して付随的に必要となるものであって、当該シート張設用具に連結し、牽引力を当該シート張設用具に伝え、牽引誘導可能とする機能を果たすものであり、門型骨格体とシート張設紐との間を通過して、ハウス棟方向に掛け渡された上、同シート張設用具を介してシートの一部を地上部において取り付けることができると共に、同末端側は、ハウス外の地上部やトラック荷台等に据え付けられた巻取機に巻き掛けて始動できるか、人や農業用トラクター等でハウスから離れる棟方向への牽引を可能とするだけの長尺な長さのものとし、シートの牽引作業に耐えるに充分な強度を有するものであって、ビニルハウスの梁間方向骨格体や、シート張設紐等に不用な負担を掛けない程度の索条直径に設定され、ロープの外、比較的軽量な紐状物、例えば、紐やワイヤーロープ、ピアノ線等も包含している。
【0013】
追従枠は、牽引用先頭枠もしくは牽引用先頭枠の後端部分と、繋着枠の前端部分とを所定方向に折り曲げ自在に連結し、当該シート張設用具の柔軟性を高めると共に、牽引用先頭枠もしくは牽引用先頭枠に加えられた牽引力を後続の繋着枠に伝達する機能を果たすものであり、基本的に牽引用先頭枠または牽引用先頭枠の後端左右幅寸法に略一致する長さの上底辺を有する略台形状の平面形に形成されたものとすべきであって、上底辺が牽引用先頭枠または牽引用先頭枠の後端に、また下底辺が繋着枠の上底辺に、夫々ヒンジ機構を介して所定方向に回動自在に連結したものとしなければならず、保護シートの装着を可能とするよう、下底辺を杆状に形成したものとすることができ、上底辺と下底辺との間の適所に、左右対象的に後端方向に向けて延伸された一対もしくは3本以上の潜り杆を突設したものとすることが可能である。
【0014】
保護シートは、繋着枠に繋着されたビニールシートの繋着部分を外側から多い、門型骨格体上を棟方向に牽引され、シート張設紐の下を潜り抜ける際に、ビニールシートに加わる摩擦や荷重を軽減し、保護する機能を果たすものであり、ビニールシートの繋着部分を隠蔽できる程度に十分な面積を有し、比較的耐久性に秀れた低摩擦素材からなるものとしなければならず、単純な長方形状のシート素材の外、追従枠下底辺で折り返す中央部付近の幅寸法を該追従枠下底辺の幅寸法に略一致させると共に、中央で折り畳んだ状態で、追従枠および繋着枠の左右輪郭形状に倣うよう裁断、形成され、被着した際に皺が発生し難いようにした異形状シートからなるものとすることができ、繋着機構を含む繋着枠の末端側で、当該保護シートの端縁付近を括り縛るバンドあるいは縛り紐等を一体的もしくは別体に設けたものとすべきである。
【0015】
そして追従枠は、その左右辺中途適所間に、棒状や板状等を含む何れか適宜形状の横架部を一体化し、該横架部の少なくとも左右幅中心を挟んで対称となる左右適所から2本のシート張設紐避け用の潜り杆を、牽引用先頭枠または牽引用先頭枠に突設させたものと略同方向に向かい、互いに平行状の姿勢とするか、もしくは、全体形状の末広がり形状に倣って拡開状の姿勢かの何れかとし、追従枠平面形に対して比較的小さな1ないし20度前後、望ましくは15度前後の角度で立上り、該追従枠に倣って一平面状に展開された繋着枠の下底辺付近に達するか、あるいはそれを僅かに越える程度の長さに設定した、直線棒状に延伸、形成したものとすることができる。
【0016】
潜り杆は、当該シート張設用具が門型骨格体上を棟方向に引張り、移動される際に、各門型骨格体間の梁間方向に張設されているシート張設紐の夫々の下側を円滑に潜り抜け可能とする機能を果たすものであり、牽引用先頭枠もしくは牽引用先頭枠に設けられるものはその後端が、牽引索条用の連結部の上側を越えて追従枠に突設された他の潜り杆の先端側付近の上側付近に達するよう、所定角度に傾斜された直線棒状に形成すべきであり、また、追従枠に突設されたものの場合には、その後端が、繋着機構に繋着されたシートの束状部分の上側に達するよう、所定角度に傾斜された直線棒状に形成するのが望ましい。
【0017】
繋着枠は、追従枠の後端に回動自在に連結された状態で追従し、一体に形成された繋着機構によって繋着されたシートの束状部分に対し、牽引用先頭枠あるいは牽引用先頭枠に加えられた牽引入力を、伝達する機能を果たすものであり、追従枠下底辺に略一致する上底辺を有する略台形状に形成され、上底辺と追従枠下底辺との間にヒンジ機構を設けたものとし、その上底辺から下底辺までの適所にシートの束状部分を脱抜不能に仮繋着、可能とする繋着機構を設けたものとしなければならない。
【0018】
繋着機構は、繋着枠の適所に、シートの束状にした部分を仮繋着し、牽引用先頭枠または牽引用先頭枠、追従枠ならびに繋着枠の夫々が、順次先頭側から、門型骨格体上を棟方向に移動して各シート張設紐の下を潜り抜ける際に、発生する摩擦力に抗して脱抜不能にシートの束状部分を強固に繋着すると共に、棟方向の他端側に移動し終えて、シートの束状部分を当該シート張設用具から取り外す際には、比較的容易に離脱させることができるものとするという機能を果たすものであり、バインダーやクリップ等のバネ機構を利用した止め金具を有するものや、バックルのような抜け止め機構を有するもの等とすることが可能である外、後述する実施例にも示すように、繋着枠の左右辺中途適所間に、その上下底辺に平行なシート折返し杆を一体化すると共に、該シート折返し杆の略全長に渡り鞘管を装着したものとした上、上底辺の長さを該シート折返し杆に略一致させた略台形状であって、繋着枠に倣って略平面状に展開させたときに同繋着枠の下底辺よりも僅かに上底辺寄りとなる左右辺中途箇所間に、該繋着枠下底辺と略平行な姿勢とするシート用の纏い杆が横架状に一体化されてなる挟着用補助枠を、その上底辺が前記鞘管に遊嵌され、同末端側となる下底辺が潜り杆の突設する側とは反対側に吊下げ状配置となるよう、回動自在に連結したものとすることができる。
【0019】
ヒンジ機構は、牽引用先頭枠あるいは牽引用先頭枠の後端と追従枠の前端部分との間、ならびに追従枠の後端と繋着枠の前端との間を夫々、一定方向に折曲げ自在に連結する機能を果たすものであり、一方の端部に鎖状あるいは環状の連結金具を一体形成し、これに他方の端部を連結もしくや遊嵌したものとすることが可能であるが、折曲方向や折曲範囲等を規制し易いよう、連結部分の何れか一方もしくは双方の杆状部分を軸芯とし、それに鞘管を装着してヒンジ部分を形成したものや、あるいは別途軸芯部品を有する蝶番を、連結部分の双方に跨り結合したものとすべきであり、さらに、潜り杆の先端が、当該シート張設用具自体やシートの繋着部分等に干渉しないよう適所に一体形成され、追従枠ならびに繋着枠の各上底辺付近の左右辺の少なくとも一方、望ましくは双方を、各追従枠ならびに繋着枠が同一平面状に展開された姿勢を越えて、シート張設紐避け用の潜り杆が突設された側に、折り曲がるのを規制するよう突設された、折曲規制用の係止部を有するものとするのが望ましい。
【0020】
シートは、ビニールハウスの全部もしくは一部の梁間方向骨格体とシート張設紐との間に張設可能であって、ビニールハウス内部を覆うシート状物を形成する機能を果たすものであり、この種ビニールハウス用として従前から使用され、また今後開発、提供されるであろう各種の透明な所謂農業用ビニールシートの外、表面処理や着色を施してなる反射シートや日除けシート等といった特殊目的で採用されるシート、あるいは、寒冷紗、不織布、ネット等といったシート状のもの等、門型骨格体に添設状にして使用可能となるあらゆるタイプのシート状素材のものが含まれている。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例】
【0021】
図1のビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具の斜視図に示す事例は、先鋭形に形成された牽引用先頭枠2と、略台形枠状に形成され、上底辺が該牽引用先頭枠2の後端左右幅に略一致する長さに設定された追従枠3と、該追従枠3下底辺に略一致する長さの上底辺を有する略台形状に形成され、その適所には、ビニールハウス9被着用シート95の束ねた部位を、仮繋着可能とする繋着機構41を有するも繋着枠4とを設けると共に、前記牽引用先頭枠2と追従枠3との間、ならびに、追従枠3と繋着枠4との間に夫々ヒンジ機構6,6を設け、互いに折曲げ自在、且つ全体を略一平面状(厳密にはヒンジ機構6,6辺りで段差を有する状態)に展開させたときに先鋭、末広がり形状となるよう連結した上、少なくとも前記牽引用先頭枠2の先頭付近からは、牽引用先頭枠2平面形に対して比較的小さな角度で立上り、該牽引用先頭枠2に倣って略一平面状に展開された追従枠3の下底辺付近に達する程度の長さに設定され、追従枠3の幅方向略中心上側を通る直線棒状に延伸、形成されたシート張設紐96,96,……避け用の潜り杆5を突設してなるものとしたこの発明に包含されるビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具の代表的な一実施例を示すものである。
【0022】
当該シート送り用とするシート張設用具1は、直径約5mmの丸鋼棒を、下底辺が30ないし40mm程度、上底辺が15ないし25mm程度、上下底辺間の距離が140ないし150mmに設定された略左右対称の概略台形状に折曲し、端部同士を熔接して先鋭形の台形枠状に形成した牽引用先頭枠2を有し、該牽引用先頭枠2の上下底辺間の略中間位置となる左右辺間には、同一丸鋼棒からなる横架棒21が掛け渡し状に一体化され、横架棒21の中央付近からは、上下反転L字型の鈎状をなした索条用連結部22が、牽引用先頭枠2の平面形から一側に、僅かに10mm前後、突出して先端を下底辺側に向けるよう熔接一体化してある。
【0023】
牽引用先頭枠2の索条用連結部22が突設された側面の先端付近には、直径約5mmの所定長に設定された直線状の丸鋼棒からなる潜り杆5が、牽引用先頭枠2平面形に対して比較的小さな15度前後の角度となるよう、同牽引用先頭枠2の左右幅の略中央を索条用連結部22の上側を越えさせて、後方に向けて立ち上がる姿勢に熔接、一体化したものとしている。
【0024】
牽引用先頭枠2の下底辺には、直径約5mmの丸鋼棒を、上底辺が40mm前後、下底辺が120mm前後、上下底辺間の距離が120ないし130mm前後の略左右対称な概略台形状に折曲し、端部同士を熔接して掌大程度とした追従枠3が、その上底辺部分を、後述するヒンジ機構6を介して、連結されたものとなっており、該追従枠3の上下底辺間の略中間位置に相当する左右辺間には、横架棒31を、上下底辺に略平行となるよう掛け渡して熔接、結合した上、同横架棒31の左右幅中心を挟んで対称となる左右適所から、直径約5mmの所定長に設定された直線状丸鋼棒からなる2本の、シート張設紐避け用の潜り杆5,5を、平面視では、同追従枠3の左辺に近いものが左辺に略平行に、右辺に近いものは右辺に略平行となるよう、末端側へ向けて拡開状の姿勢に設定すると共に、追従枠3の平面形に対して比較的小さな15度前後の角度で後方に向けて立上がる姿勢に熔接、一体化してある。
【0025】
追従枠3の下底辺には、直径約5mmの丸鋼棒を、上底辺が140ないし150mm前後、下底辺が230ないし260mm前後、上下底辺間が210mm前後の略左右対称な概略台形状に折曲し、端部同士を熔接、結合した繋着枠4の、上底辺部分が、後述するヒンジ機構6によって連結されていて、該繋着枠4には、以下に示す繋着機構41が設けてある。
【0026】
繋着機構41は、繋着枠4の上底辺から110ないし120mm前後、下底辺から約90mm前後となる左右辺中途適所間に、直径約5mm、長さ210mm前後の丸鋼棒からなるシート折返し杆42を、上下底辺に平行な姿勢とするよう掛け渡して熔接、一体化すると共に、該シート折返し杆42の略全長に渡り、外径約13mm、厚み約1mm、長さ約180ないし190mmの鞘管43を遊びをもって装着したものとした上、直径約5mmの丸鋼棒を、上底辺の長さが該シート折返し杆42の長さに略一致する190ないし195mm程度、下底辺の長さが290ないし310mm程度、上下底辺間の距離を190ないし200mm程度に設定した略台形状に折曲し、両端同士を熔接、結合してなる挟着用補助枠44の上底辺部分を、前記鞘管43に、折返杆42と共に折曲自在に遊嵌させ、該挟着用補助枠44は、同末端側となる下底辺が、牽引用先頭枠2ならびに追従枠3夫々の、潜り杆5,5,5突設側とは反対側に吊下げ状配置となるよう、回動自在に連結したものとしてあり、繋着枠4に倣って略平面状に展開させたときに、同繋着枠4の下底辺よりも僅かに上底辺寄りとなる挟着用補助枠44上底辺から45ないし50mm程度、同下底辺からは140ないし150mm程度の位置に相当する左右辺中途箇所間に、直径約5mmの丸鋼棒からなるシート用の纏い杆45を、繋着枠4の上下底辺と略平行な姿勢に横架し、熔接によって一体化している。
【0027】
牽引用先頭枠2下底辺と追従枠3上底辺との間に設けられた前記ヒンジ機構6は、牽引用先頭枠2下底辺の末端側周壁外側に渡り、外径が約9mm、肉厚約1mm、長さ約35mmの連結管61を平行状に熔接、一体化し、該連結管61に追従枠3上底辺を遊嵌、装着してなり、同連結管61の前記潜り杆5の突設側である周壁斜め後方外側には、直径約5mm、長さ約50mmの丸鋼棒からなり、牽引用先頭枠2と同一平面状に展開させたときの追従枠3の、同追従枠3上底辺近傍の左右辺に係合するようにした係止部62が、連結管61に平行状に熔接、一体化されている。
【0028】
追従枠3下底辺と繋着枠4上底辺との間に配されたヒンジ機構6も、同様に追従枠3下底辺の末端側周壁外側に渡り、外径が約9mm、肉厚約1mm、長さ約135mmの連結管61を平行状に熔接、一体化し、該連結管61に対して繋着枠4の上底辺を遊嵌したものであり、同連結管61の前記潜り杆5の突設側となる周壁斜め後方外側には、直径約5mm、長さ約150mmの丸鋼棒からなり、追従枠3と同一平面状に展開させた繋着枠4の、上底辺近傍の左右辺に係合するようにした係止部62を、連結管61に平行状に熔接、一体化してあり、各ヒンジ機構5,5により、牽引用先頭枠2、追従枠3および繋着枠4は、互いに潜り杆5,5,5が突設される側とは反対側への折曲が自在に行えるものとなり、牽引用先頭枠2、追従枠3および繋着枠4を略同一平面状に展開させた際には、各係止部62,62が、対応する左右辺に夫々係合して潜り杆5,5,5が突設される側への折曲が規制される。
【0029】
牽引用先頭枠2に突設した潜り杆5は、全長が約300mmに設定され、牽引用先頭枠2に倣って一平面状に展開された追従枠3の下底辺付近に達するか、あるいはそれを僅かに越えて繋着枠4側に達するものとなり、追従枠3に突設された左右一対の潜り杆5,5もまた、その全長が約300mmに設定され、追従枠3に倣って一平面状に展開された繋着枠4の下底辺付近に達するか、あるいはそれを僅かに越えるよう延伸、形成したものとしている。
【0030】
(実施例の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明のビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具1は、その新たな構造によって得られる機能性を利用することにより、以下に示すような、ビニールハウスに対するシート張設作業を実施することが可能となる。
図2のシート方向転換用とするシート張設用具の斜視図に示すビニールハウス9の、棟方向に約900mm間隔で隣接する門型骨格体91,91と交叉状に組み合わせることとなる長さ約1200mm、直径約30mmの鋼管製の横設主杆71,72を上下一対、平行配置した上、上方側の横設主杆71の両端近傍で門型骨格体91,91に交叉状配置とする左右連結部73,73よりもやや内側箇所を夫々一方側の軸着部74,74にすると共に、下方側の横設主杆72で、同じ門型骨格体91,91に交叉状配置とする左右連結部73,73間の中央付近を夫々他方側の軸着部74にするようにして、一対の方向転換用ローラ75,75を組み合わせてなるシート方向転換用のシート張設用具7を用意する。
【0031】
このシート張設用具7における横設主杆71,72各連結部73,73,……を、図8のシート張設作業中のシート方向転換用のシート張設用具の斜視図、および図9のシート張設作業中のビニールハウスの斜視図中に示すように、ビニールハウス9棟方向の一端側に位置する2本の隣接する門型骨格体91,91の、夫々の棟部92と軒部93との略中間辺りの適所の下方側に位置するようにして、両者が交叉配置となるようにした上、それら交叉位置の門型骨格体91,91を支持箇所とする適宜連結金具94,94,……によって、図7の装着状態にある連結金具の斜視図に示すように、当該張設具横設主杆71,72各連結部73,73,……を固定、一体化したものとする。
【0032】
一方、図3のシート誘導用とするシート張設用具の斜視図に示すビニールハウス9の隣接する一対の門型骨格体91,91に対し、交叉状配置で、自らの軸心周りに回転自在となるよう組み合わされる横設主杆81と、該横設主杆81に対し、束状のシート95を載置状にし得る形状に突設、形成したシート支え杆83とからなるものとしたシート誘導用とするシート張設用具8の複数台を、その横設主杆81の各連結部82,82を、ビニールハウス9の各門型骨格体91,91の中、シート張設の際にシート束95を牽引、通過させると想定される道筋に添って点在状となる複数箇所の各々に少なくとも2本の門型骨格体91,91夫々の棟部92と軒部93との略中間辺りの箇所の下方側に位置させるようになし、両者が交叉状配置となるようにした上、それら交叉位置の門型骨格体91,91を支持箇所とする適宜連結金具94,94によって、各張設具横設主杆81,81を同軸心廻りに回動自在に枢着状となし、図9中、および図10のシート誘導用とするシート張設用具の斜視図に実線で示すように、各張設具8,8をその横設主杆81,81を回動させ、各シート支え杆83,83が門型骨格体91,91の外側に位置するように設定したものとする。
【0033】
ビニールハウス9におけるシート送り用とするシート張設用具1の繋着機構41に、シート95の適宜縁部を概略先鋭形状に束ねた部位を、図4のシートを繋着する繋着機構の斜視図中に白抜き矢印で示すように、繋着枠4の潜り杆5,5突設側から挿入し、シート折返し杆42の鞘管43に巻き付けるように取り廻して挟着用補助枠44纏い杆45と繋着枠4下底辺との間を通した後、挟着用補助枠44下底辺の内側を通して強固に纏い着け、さらに、図5の保護シートの装着作業の斜視図中に白抜き矢印で示すように、所定縦横寸法の矩形状シート46を束ねて追従枠3横架棒31と下底辺との間に挿し通し、追従枠3下底辺のヒンジ機構6から、繋着枠4および繋着機構41を含むシート95の繋着部分を、その表裏範囲に渡って隠蔽状に覆い、中央付近で末端側に折り返した上、図6のシートを繋着したシート送り用とするシート張設用具の斜視図に示すように、繋着機構41よりも末端側に達した保護シート46表裏側縁付近諸共に包み込むようになし、紐あるいは適宜バンド等を用いて縛り纏めたものとする。
【0034】
また、図8および図9中に示すように、ビニールハウス9の棟方向に並設されている各門型骨格体91,91,……と、梁間方向でそれら門型骨格体91,91,……上に掛け渡されているシート張設紐(通称マイカ線)96,96,……との間を通過するようにしたロープ、紐、ワイヤー、ピアノ線等、何れかの牽引索条23の一方側を、棟方向の一端側に位置する前記シート方向転換用のシート張設用具7の一対の方向転換用ローラ75,75間に通して垂らし、シート張設用具1の牽引用先頭枠2の索条用連結部22に繋着した後、棟方向の他端側に垂らした牽引索条23他方側を、図9中に白抜き矢印で示すように、ハウス外の地上部やトラック荷台等に据え付けた巻取機に巻掛けて始動するか、あるいはトラクタや人力等のよって牽引するようにする。
【0035】
この牽引操作により、地上付近から上方に向かうシート張設用具1の牽引用先頭枠2と追従枠3および繋着枠4の夫々とが、相互間のヒンジ機構6,6や鞘管43による可撓性によってシート方向転換用のシート張設用具7の一対の方向転換用ローラ75,75の中の何れか一方の方向転換用ローラ75に添うように迫り上がり、続いて地上から上方に向かう束状のシート95を、同一方の方向転換用ローラ75を経由して低摩擦の条件下で門型骨格体91,91,……の上にまで引き上げ、ビニールハウス9の棟方向であって、選択した方向転換用ローラ75の側の方向となる略水平状の棟方向に門型骨格体91,91,……上を牽引、誘導し、その過程でシート送り用とするシート張設用具1の潜り杆5,5,5によって自然にシート張設紐96,96,……を持ち上げ、その先端をシート張設紐96,96,……に邪魔されることなく門型骨格体91,91,……とシート張設紐96,96,……との間を棟方向に通過させ、その過程でシート95の牽引想定箇所に点在する各シート誘導用とするシート張設用具8,8が、各シート支え杆83,83によって門型骨格体91,91に添って梁間方向に垂れ下がろうとする束状のシート95を夫々係止するものとする。
【0036】
図9中に示すように、ビニールハウス9棟方向の他端側までシート95を牽引、誘導した段階であって、シート95を門型骨格体91,91,……とシート張設紐96,96,……との間で梁間方向に展開させる前段階に、図10中に二点鎖線で示すように、各シート誘導用とするシート張設用具8,8をその横設主杆81,81を回動軸とし、各シート支え杆83,83が略真下方向に向く垂下状となって門型骨格体91,91,……の内側に納められてしまうようにしてから、シート束95から保護シート46およびシート張設用具1を外し、シート95を門型骨格体91,91,……とシート張設紐96,96,……との間で梁間方向に展開させ、シート張設紐96,96,……を緊張することで、ビニールハウス9へのシート95の張設作業を終えることとなる。
【0037】
(実施例の効果)
以上のような構成からなる実施例のシート送り用とするシート張設用具1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、牽引用先頭枠2、追従枠3および繋着枠4の夫々を、ヒンジ機構6,6で折り曲げ自在に連結したことにより、図8中に示すように、シート方向転換用とするシート張設用具7の方向転換用ローラ75,75間を通過させる際に、方向転換用ローラ75に添って折れ曲がり、円滑に門型骨格体91,91,……上に引き上げることが可能となり、しかもシート張設用具1の全体が先鋭、末広がり状の平枠状に形成されると共に、牽引用先頭枠2ならびに追従枠3の夫々に潜り杆5,5,5が突設されているので、通過の際にシート張設紐96,96,……を自動的に上方に押し退けるものとなり、引っ掛かりによる牽引操作の障害を防止できるものとなる上、繋着機構41に繋着された束状のシート部分95が保護シート46で包まれることから、シート95の張設作業中における破損や磨耗を確実に阻止できるものとなるという利点を得られることになる。
【0038】
(結 び)
叙述の如く、この発明のビニールシートにおけるシート送り用とするシート張設用具は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも小型、軽量である上、構造が簡素で製造も容易なことから、従前からのシート張設用具等に比較して遥かに経済的なものとして提供することができ、シート張設紐の張り替え作業も不要とし、高所での危険な作業も大幅に省略して小人数による張設作業を確実、安全に実施することが可能となって作業効率も格段に高められ、ビニールハウスのシート張り替え作業の度毎に多大な経費と労力とを覚悟しなければならなかった施設型農業を営む農家にとっては勿論のこと、関連農機具業界等からも高い評価がなされ、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図面は、この発明のビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具の技術的思想を具現化した代表的な一実施例を示すものである。
【図1】シート送り用とするシート張設用具を示す斜視図である。
【図2】シート方向転換用とするシート張設用具を示す斜視図である。
【図3】シート誘導用とするシート張設用具を示す斜視図である。
【図4】束ねたシートの繋着機構への繋着作業を示す斜視図である。
【図5】保護シートの装着作業を示す斜視図である。
【図6】保護シートを装着したシート張設用具を示す斜視図である。
【図7】連結金具の装着状態を示す斜視図である。
【図8】門型骨格上に引き上げられるシート張設用具を示す斜視図である。
【図9】ビニールハウスへのシート張設作業を示す斜視図である。
【図10】シート誘導用とするシート張設具の斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 シート送り用とするシート張設用具
2 牽引用先頭枠(牽引用先頭枠)
21 同 横架棒
22 同 索条用連結部
23 同 牽引索条
3 追従枠
31 同 横架棒
4 繋着枠
41 同 繋着機構
42 同 シート折返し杆
43 同 鞘管
44 同 挟着用補助枠
45 同 シート用の纏い杆
46 同 保護シート
5 潜り杆
6 ヒンジ機構
61 同 連結管
62 同 係止部
7 シート方向転換用とするシート張設用具
71 同 上方側の横設主杆
72 同 下方側の横設主杆
73 同 左右連結部
74 同 軸着部
75 同 方向転換用ローラ
8 シート誘導用とするシート張設用具
81 同 横設主杆
82 同 連結部
83 同 シート支え杆
9 ビニールハウス
91 同 門型骨格体
92 同 棟部
93 同 軒部
94 同 連結金具
95 同 シート(シート束状部分)
96 同 シート張設紐(マイカ線)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右対称の先鋭形に形成された牽引用先頭枠と、略台形枠状に形成され、上底辺が該牽引用先頭枠の後端左右幅に略一致する長さに設定された追従枠と、該追従枠下底辺に略一致する長さの上底辺を有する略台形状に形成され、その適所には、ビニールハウス被着用シートの適宜縁部を概略先鋭形状に束ねた部位を、脱抜不能に仮繋着可能とする繋着機構を有するものとした繋着枠とを設けると共に、前記牽引用先頭枠後端と追従枠上底辺との間、ならびに、追従枠下底辺と繋着枠上底辺との間に、夫々ヒンジ機構を設けて互いに折曲げ自在、且つ全体を概略一平面状に展開させたときに先鋭、末広がり形状となるよう連結した上、少なくとも前記牽引用先頭枠の先頭付近からは、牽引用先頭枠平面形に対して比較的小さな角度で立上り、該牽引用先頭枠に倣って概略一平面状に展開された追従枠の下底辺付近に達するか、あるいはそれを僅かに越えて繋着枠側に達する程度の長さに設定され、追従枠の幅方向略中心上側を通る直線棒状に延伸、形成されたシート張設紐避け用の潜り杆を突設してなるものとしたことを特徴とするビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具。
【請求項2】
左右対称の略三角状または略台形状等の先鋭形に形成され、先端から中途付近の何れか適所に索条用連結部を一体形成した牽引用先頭枠と、掌大程度の略台形枠状に形成され、上底辺が該牽引用先頭枠の後端左右幅に略一致する長さに設定された追従枠と、該追従枠下底辺に略一致する長さの上底辺を有する略台形状に形成され、その適所には、ビニールハウス被着用シートの適宜縁部を概略先鋭形状に束ねた部位を、脱抜不能に仮繋着可能とする繋着機構を有するものとした繋着枠とを設けると共に、前記牽引用先頭枠後端と追従枠上底辺との間、ならびに、追従枠下底辺と繋着枠上底辺との間に、夫々ヒンジ機構を設けて互いに折曲げ自在、且つ全体を概略一平面状に展開させたときに先鋭、末広がり形状となるよう連結した上、少なくとも前記牽引用先頭枠の先頭付近からは、牽引用先頭枠平面形に対して比較的小さな1ないし20度前後、望ましくは15度前後の角度で立上り、該牽引用先頭枠に倣って概略一平面状に展開された追従枠の下底辺付近に達するか、あるいはそれを僅かに越えて繋着枠側に達する程度の長さに設定され、追従枠の幅方向略中心上側を通る直線棒状に延伸、形成されたシート張設紐避け用の潜り杆を突設してなるものとしたことを特徴とするビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具。
【請求項3】
追従枠が、その左右辺中途適所間に適宜形状の横架部を一体化し、該横架部の少なくとも左右幅中心を挟んで対称となる左右適所から2本のシート張設紐避け用の潜り杆を牽引用先頭枠または牽引用先頭枠に突設させたものと略同方向に向かい、互いに平行状の姿勢とするか、もしくは、全体形状の末広がり形状に倣って拡開状の姿勢かの何れかとし、追従枠平面形に対して比較的小さな1ないし20度前後、望ましくは15度前後の角度で立上り、該追従枠に倣って概略一平面状に展開された繋着枠の下底辺付近に達するか、あるいはそれを僅かに越える程度の長さに設定した直線棒状に延伸、形成してなるものとした、前記請求項1または2何れか一項記載のビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具。
【請求項4】
ヒンジ機構が、その適所に一体形成され、追従枠ならびに繋着枠の各上底辺付近の左右辺の少なくとも一方、望ましくは双方を、各追従枠ならびに繋着枠が概略一平面状に展開された姿勢を越えて、シート張設紐避け用の潜り杆が突設された側に折れ曲がるのを規制するよう突設された折曲規制用の係止部を有するものとした、前記請求項1ないし3何れか一項記載のビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具。
【請求項5】
繋着機構が、繋着枠の左右辺中途適所間に、その上下底辺に平行なシート折返し杆を一体化すると共に、該シート折返し杆の略全長に渡り鞘管を装着したものとした上、上底辺の長さを該シート折返し杆に略一致させた略台形状であって、繋着枠に倣って概略一平面状に展開させたときに同繋着枠の下底辺よりも僅かに上底辺寄りとなる左右辺中途箇所間に、該繋着枠下底辺と略平行な姿勢のシート用の纏い杆が横架状に一体化されてなる挟着用補助枠を、その上底辺が前記鞘管に遊嵌され、同末端側となる下底辺が、潜り杆の突設する側とは反対側に吊下げ状配置となるよう回動自在に連結してなるものとした、前記請求項1ないし4何れか一項記載のビニールハウスにおけるシート送り用とするシート張設用具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−115722(P2006−115722A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305193(P2004−305193)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(502356838)
【Fターム(参考)】