説明

ビフェントリンおよび強力シペルメトリンの新規な処方物

【課題】組成物が水により希釈されたとき顕著に改善された物理的安定性を有する殺虫処方物中のビフェントリンおよび強力シペルメトリンからなる新規な殺虫組成物の提供。
【解決手段】(a)ビフェントリン、(b)強力シペルメトリン、(c)1つ以上の芳香族または脂肪族の溶媒、(d)酸、(e)溶媒により十分に精製された軽質および重質のパラフィン系石油、(f)(i)アルキルベンゼンスルホネート塩、(ii)エトキシル化ひまし油および(iii)ポリエチレングリコール脂肪酸エステルまたはエトキシル化脂肪酸からなる界面活性剤ブレンドからなる殺虫組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫剤および殺虫組成物の分野に関する。特に、本発明は、水により希釈されたとき物理的に安定なビフェントリンおよび強力(enriched)シペルメトリンからなる新規な殺虫組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
農業および他の応用で望まない昆虫の能率的な排除およびコントロールを可能にするために、これらの望まない病害虫に有効な化学殺虫剤を使用することが望まれる。複数の殺虫剤を含む処方物は、経済的に重要な昆虫、ダニおよび殺滅またはコントロールされる他の病害虫のスペクトルを広げそして活性成分のそれぞれの個々の殺虫的特徴を利用するために望ましい。
【0003】
2つ以上の殺虫剤を含む組成物は、当業者により用いられているが、水中のこれら混合物の物理的な安定性に関する問題は、適用および有効性に問題を生じさせている。従来の殺虫組成物が混合されるとき、両者の混合された成分(界面活性剤、粘度変性剤、湿潤剤)は、硬度の低いまたは中程度の水で希釈されたとき、混合物の物理的劣化(相分離)を加速させる。この物理的劣化は、植物またはコントロールが望まれる場所への適用前に、混合タンク中で生ずる。しばしば、この問題は、見落とされそして殺虫剤の混合物の均一な適用が達成されず、有効性を不適切にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的な例では、利益を目的とする適用において、殺虫剤処方物は、肉眼で認めうる総合的病状の利点のスペクトルを生じさせそしてそれを実施させつつ、処方のコストを下げるためにタンクの混合物の1%より少ない量である。水により希釈されたときの処方物の物理的安定性は、業界において重要な問題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、水により希釈されたとき物理的な安定性を顕著に改善した、ビフェントリンおよび強力シペルメトリンからなる新規な液状処方物が見いだされた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、組成物が水により希釈されたとき顕著に改善された物理的安定性を有する殺虫処方物中のビフェントリンおよび強力シペルメトリンからなる新規な殺虫組成物に関する。
【0007】
ゼータ−シペルメトリンは、広範囲の噛む昆虫、吸う昆虫および飛来する昆虫をコントロールする有力なしかも急速に作用する殺虫剤である。噛む昆虫、吸う昆虫および飛来する昆虫をコントロールすることに加えて、ピレスロイドビフェントリンも、多数の重要なダニ害虫に対して作用しそしてゼータ−シペルメトリンより長い残存活性を示す。
【0008】
用語「ビフェントリン」は、2−メチルビフェニル−3−イルメチル(Z)−(1RS)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−エンイル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを意味する。
【0009】
用語「シペルメトリン」は、合成ピレスロイド(R,S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル−(1RS)−シス−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(8つの異性体からなり、そのそれぞれはほぼ同じ量で存在する)を意味する。シペルメトリンの発見および工業化から、或る異性体の量が多い生成物が開発されてきている。
【0010】
本明細書で使用されるとき、用語「強力シペルメトリン」は、以下のものをいう。(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R)−シス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートおよび(R)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1S)−シス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートからなるラセミ体であるアルファ−シペルメトリン。約2:3の比の2つの鏡像異性対;(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R)−シス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートおよび(R)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1S)−シス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、並びに(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートおよび(R)−α−トランス−3−フェノキシベンジル(1S)−シス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートからなる反応混合物であるベータ−シペルメトリン。鏡像異性体;(R)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートおよび(S)−α−トランス−3−フェノキシベンジル(1S)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの1:1混合物であるシータ−シペルメトリン。1R−シス−Sおよび1R−トランス−Sの異性体の多い(R,S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1RS)−シス−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートであるゼータ−シペルメトリン。
【0011】
「ゼータ−シペルメトリン」の特別な形は、米国特許5164411、5028731および4997970に開示されている方法により1R−シス−Sおよび1R−トランス−S異性体の多い(R,S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1RS)−シス−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである。「ゼータ−シペルメトリン」の最も好ましい形は、n−ヘプタン中の触媒量のトリカプリリルアンモニウムクロリド(Aliquat(商標)336、Aldrich Chemical Co.)および炭酸ナトリウムとともにシペルメトリンの55/45シス/トランス混合物から出発して、米国特許4997970に開示されている方法によって製造されるシペルメトリン異性体混合物である。この方法および後続の単離方法は、少量通常0.6%から1.3%の触媒を含むゼータ−シペルメトリンを生成する。この触媒の存在は、水により希釈されたとき、安定である処方物の製造を複雑にする。
【0012】
本発明の好ましい態様では、ビフェントリンおよび強力シペルメトリンの殺虫剤は、組成物中の全成分の全重量に基づいて、0.01重量%から40重量%、さらに特に0.05重量%から30重量%の組み合わされた濃度で存在する。ビフェントリン活性成分(AI)対強力シペルメトリンAIの比は、1/99から99/1である。好ましくは、ビフェントリンAI対強力シペルメトリンAIの比は、1/4から4/1である。さらに好ましくは、その比は、1/3から3/1である。
【0013】
1つの側面では、本発明は、ビフェントリンおよび強力シペルメトリン、芳香族または脂肪族の溶媒、酸、溶媒により十分に精製された軽質および重質のパラフィン系石油およびアルキルベンゼンスルホネート塩、エトキシル化ひまし油、およびエトキシル化脂肪酸またはポリエチレングリコール脂肪酸エステルからなる界面活性剤ブレンドからなる殺虫組成物(該ビフェントリンおよび強力シペルメトリンの殺虫剤は、一緒にして、殺虫に有効な量で存在する)に関する。
【0014】
好ましくは、芳香族溶媒は、アルキル化ナフタレン芳香族流体およびアルキル化ナフタレンを除いた芳香族流体、例えばAromatic 200 ND FluidおよびAromatic 200 Fluid(ともにExxonMobil Chemicalsから販売されている)から選択される。脂肪族溶媒は、脱芳香族化炭化水素流体例えばExxsol Dシリーズ流体(ExxonMobil Chemicalsから販売されている)、イソパラフィン系流体例えばIsopar流体(ExxonMobil Chemicalsから販売されている)、および非常に高い正パラフィン含量を有する炭化水素流体例えばNorpar流体(ExxonMobil Chemicalsから販売されている)から選択される。芳香族または脂肪族の溶媒は、組成物中の全成分の全重量に基づいて、10重量%から90重量%、そして好ましくは40重量%から55重量%の濃度で存在する。最も好ましい溶媒は、44%から47%の濃度で存在するアルキル化ナフタレンを除いた芳香族流体である。
【0015】
好ましくは、アルキルベンゼンスルホネート塩は、分枝鎖または線状のアルキルベンゼンスルホネートのアミンまたはカルシウムの塩である。より好ましくは、アルキルベンゼンドデシルベンゼンスルホネートは、分枝鎖ドデシルベンゼンスルホネートアミノエチルエタノールアミンまたはカルシウムの塩、例えばAgnique ABS 70AEおよびAgnique ABS 60BC(Cognis Corporationから販売されている)およびRhodecal 70(Rhodia Corporationから販売されている)である。ドデシルベンゼンスルホネートまたはその塩は、組成物中の全成分の全重量に基づいて、1.5重量%から4.5重量%の濃度で存在する。
【0016】
エトキシル化ひまし油は、8から50のEO数を有するエトキシル化ひまし油の群から選ばれる1つ以上のエトキシル化ひまし油である。好ましくは、エトキシル化ひまし油は、15から40のEO数を有し、最も好ましくは、20から40のEO数を有し、例えばAgnique CSO−25およびAgnique CSO−36(Cognis Corporationから販売されている)である。エトキシル化ひまし油は、組成物の全成分の全重量に基づいて、1.5重量%から4.5重量%の濃度で存在する。
【0017】
エトキシル化脂肪酸は、C−C20エトキシル化脂肪酸、例えばステアリン酸モノオレエート、ステアリン酸ジオレエート、およびステアリン酸モノステアレートである。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、100から800の平均M、好ましくは300から500の平均Mそして最も好ましくは400の平均Mを有するポリエチレングリコールモノオレエート、例えばAgnique PEG 400MO(Cognis Corporationから販売されている)から選ばれる。エトキシル化脂肪酸またはポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、組成物のすべての成分の全重量に基づいて、0.10重量%から0.60重量%の濃度で存在する。
【0018】
溶媒により十分に精製された軽質および重質のパラフィン系石油は、80容量%から100容量%の軽質パラフィン系石油および0容量%から20容量%の重質パラフィン系石油の混合物、例えばSunpray 6N(Sunoco、Inc.から販売されている)、Orchex 796(ExxonMobil USAから販売されている)およびBVA Spray 10(BVA OIlsから販売されている)である。十分に溶媒で精製された軽質および重質のパラフィン系石油混合物は、全処方物のすべての成分の20重量%から30重量%の濃度、好ましくは組成物中のすべての成分の全重量に基づいて24重量%から26重量%の濃度で存在する。
【0019】
酸は、より活性の低い異性体へのエピマー化からゼータ−シペルメトリンを安定化するために、処方を緩衝するのに使用される。酸は、好ましくは酢酸または氷酢酸であり、そして組成物中のすべての成分の全重量に基づいて、0.01重量%から0.15重量%の濃度で存在する。
【0020】
殺虫処方物は、さらに、追加の成分例えば不凍剤、消泡剤および/または殺生物剤を含む。
本発明のこの側面の好ましい態様は、該ビフェントリンおよび強力シペルメトリンの殺虫剤が1/4から4/1の比および0.05%から30%の全濃度で存在し、芳香族溶媒は、40%から55%の濃度で存在し、酢酸は、0.01%から0.15%の濃度で存在し、十分に溶媒で精製された軽質および重質のパラフィン系石油は、20%から30%の濃度で存在し、分枝鎖ドデシルベンゼンスルホネート塩は、1.5%から4.5%の濃度で存在し、エトキシル化ひまし油またはひまし油の混合物は、1%から4.5%の濃度で存在し、そしてポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、0.10%から0.60%の濃度で存在し、その際すべての%は全重量に基づく重量%である殺虫性の乳化可能な濃縮処方物である。
【0021】
本発明の他の側面は、ビフェントリンおよび強力シペルメトリンの水性混合物、芳香族溶媒、1つ以上の非イオン性ポリマー状界面活性剤、消泡剤、保存料およびグリセリンからなり、その際ビフェントリンおよび強力シペルメトリンの殺虫剤は、少なくとも一緒にして、殺虫に有効な量で存在する殺虫組成物に関する。
【0022】
芳香族溶媒は、アルキル化ナフタレン芳香族流体およびアルキル化ナフタレンを除いた芳香族流体、例えばAromatic 200 ND FluidおよびAromatic 200 Fluid(ともにExxonMobil Chemicalsから販売されている)から選択される。芳香族溶媒は、組成物中のすべての成分の全重量に基づいて、5重量%から30重量%、好ましくは12重量%から15重量%の濃度で存在する。
【0023】
好ましくは、非イオン性ポリマー状界面活性剤は、アルキッドポリエチレングリコール例えばAtlox 4914(Uniqema Corporationから販売されている)およびポリアルキレングリコールエーテル例えばAtlas G−5000(Uniqema Corporationから販売されている)からなる群から選ばれる1つ以上の界面活性剤である。好ましくは、非イオン性ポリマー状界面活性剤は、組成物中のすべての成分の全重量に基づいて、3重量%から20重量%、好ましくは8重量%から12重量%の濃度で存在する。
【0024】
消泡剤は、好ましくは、シリコーン含有消泡剤、例えばRhodorsilエマルション1824消泡剤(Rhodia Corporationから販売されている)およびDow Corning AF Emulsion(Dow Corning Corporationから販売されている)である。好ましくは、消泡剤は、組成物中のすべての成分の全重量に基づいて、0.001重量%から1.5重量%の濃度で存在する。
【0025】
殺生物剤は、イソチアゾロン混合物、例えばKathon CG/ICP保存料またはLegend MK保存料(Rohm and Haas Corporationから販売されている)である。好ましくは、殺生物剤は、組成物中のすべての成分の全重量に基づいて、0.001重量%から1.5重量%の濃度で存在する。
【0026】
グリセリンは、好ましくは、精製されたグリセリン、例えばAgnique GLY 99−Uグリセリン(Cognis Corporationから販売されている)である。グリセリンは、組成物中のすべての成分の全重量に基づいて、3重量%から15重量%、好ましくは5重量%から10重量%の濃度で存在する。
【0027】
水は、希釈剤として使用され、そして好ましくは精製された水例えば脱イオン水または蒸留水であり、そして活性成分を望ましい濃度に希釈する量で存在する。好ましくは、水は、組成物中のすべての成分の全重量に基づいて、40重量%から60重量%の濃度で存在する。
【0028】
本発明のこの側面の好ましい態様は、殺虫性の濃縮された水性エマルション処方物であり、その際、該ビフェントリンおよび強力シペルメトリンの殺虫剤は、1/4から4/1の比および0.05%から30%の全濃度で存在し、芳香族溶媒は、12%から15%の濃度で存在し、非イオン性ポリマー状界面活性剤は、8%から12%の濃度で存在し、消泡剤は、0.001%から1.5%の濃度で存在し、保存料は、0.001%から1.5%の濃度で存在し、グリセリンは、5%から10%の濃度で存在し、水は40%から60%の濃度で存在し、ここですべての%は全重量に基づく重量%である。
【0029】
用語「周囲温度」は、本明細書で使用されるとき、一般に、実験室または他の作業する場所において見られる任意の好適な温度を意味し、そして一般に約15℃より下ではなくまたは約30℃より高くない。
【0030】
本発明の処方物は、以下の実施例によりさらに説明される。実施例は、本発明を説明するために過ぎず、そして開示された本発明のさらなる改変は当業者にとり明らかであるので、本発明を制限するものと解釈してはならない。このような改変のすべては、請求の範囲で規定された本発明の範囲内にあるものとみなされる。
【実施例1】
【0031】
本実施例は、本発明のビフェントリン対ゼータ−シペルメトリンが2/1の比の乳化可能な濃縮処方物の製造に関する1つのプロトコールを説明する。
42.32gのAromatic 200 NDに、8.34gの溶融ビフェントリン(活性成分95.9%)および11.11gのゼータ−シペルメトリン(活性成分36%、米国特許4997970に開示された方法により製造)を加えた。混合物を均一な溶液が形成されるまで、機械的攪拌機により周囲温度で攪拌し、次に2.52gの分枝鎖ドデシルベンゼンスルホネート塩(Agnique ABS 70AE)、0.28gのポリエチレングリコールモノオレエート(Agnique PEG 400MO)、0.84gのエトキシル化ひまし油(Agnique CSO−36)、1.96gのエトキシル化ひまし油(Agnique CSO−25)、20.00gの溶媒により十分に精製された軽質および重質のパラフィン系石油(Sunspray 6N)および0.08gの酢酸を加えた。添加完了後、攪拌を10分間続けて黄色がかった均一な溶液を得た。
以下の表1は、実施例1の方法で製造された追加の処方の例を示す。
【0032】
【表1】

【実施例2】
【0033】
希釈安定性の検討を、50mL容Nessler管中で、47.5mLの水(硬度342ppm)に加えられた実施例1の処方物2.5mLを用いて行った。Nessler管をゴム栓でシールし、管を10回転回することにより内容物を混合した。Nessler管を周囲温度で管の棚に置き、分離%を2.0時間および4.0時間で記録した。分離%は、先ずもしあるならば分離の高さを測り、次に混合物の全高さを測ることにより計算された。分離の高さを全高さにより除しそして100を乗ずることにより、分離%を得る。表2は、実施例1および表1に記載された処方物の希釈安定性の分離%を示す。処方物は、実施例1および表1のそれらに相当する処方物コードにより確認される。
【0034】
コントロール実験として、6.0gのビフェントリンの市販されている処方物(FMC CCorporationから販売されているCapture 2EC(商標))および1.2gのゼータ−シペルメトリンの市販されている処方物(FMC CCorporationから販売されているMustang Max 0.8EC(商標))を、1.2gのAromatic 200中でともにブレンドした。AIの濃度は、処方物コードF2のAIの濃度に類似していた。希釈安定性のテストは、上記のように硬度342ppmの水47.5mL中の2.5mLのコントロールブレンドを使用して行われた。コントロール実験の希釈安定性の分離%の結果は、表2に示される。
【0035】
【表2】

【0036】
本発明の新規な処方物は、コントロール希釈安定性テストに比べたとき、希釈安定性テストにおけるビフェントリンおよびゼータ−シペルメトリンの混合物の物理的安定性を維持するのに優れている。
【実施例3】
【0037】
この実施例は、本発明のビフェントリン対ゼータ−シペルメトリンの比が3/1である乳化可能な濃縮処方物の製造に関する1つのプロトコールを説明する。
45.64gのAromatic 200に、11.84gの溶融ビフェントリン(活性成分95.9%)および10.42gのゼータ−シペルメトリン(活性成分36%、米国特許4997970に開示された方法により製造)を加えた。混合物を均一な溶液が形成されるまで、機械的攪拌機により周囲温度で攪拌し、次に3.48gの分枝鎖ドデシルベンゼンスルホネート塩(Agnique ABS 70AE)、0.35gのポリエチレングリコールモノオレエート(Agnique PEG 400MO)、1.05gのエトキシル化ひまし油(Agnique CSO−36)、2.12gのエトキシル化ひまし油(Agnique CSO−25)、25.00gの溶媒により十分に精製された軽質および重質のパラフィン系石油(Sunspray 6N)および0.1gの氷酢酸を加えた。添加完了後、黄色がかった均一な溶液を得られるまで、攪拌を続けた。
【実施例4】
【0038】
希釈安定性の検討を、50mL容Nessler管中で、47.5mLの水(硬度342ppm)に加えられた実施例3の処方物2.5mLを用いて行った。Nessler管をゴム栓でシールし、管を10回転回することにより内容物を混合した。合計3本のNessler管をこの方法で製造した。1つのNessler管を0℃に維持された管の棚に置き、1つを周囲温度に維持された管の棚に置き、そして1つを30℃に維持された管の棚に置き、すべてを24時間維持した。24時間後の分離%は、それぞれの温度で0%であった。
【実施例5】
【0039】
この実施例は、本発明のビフェントリンおよびゼータ−シペルメトリンの比が3/1である濃縮水性エマルション処方物の製造に関する1つのプロトコールを説明する。
機械的攪拌機およびホモゲナイザーを備えた容器に、0.10gのシリコーン含有消泡剤(Rhodorsilエマルション1824消泡剤)、6.0gのポリアルキレングリコールエーテル非イオン性ポリマー状界面活性剤(Atlas G5000)および49.15gの脱イオン水を加えた。混合物を攪拌しそして50℃から55℃に加熱した。この温度に維持しつつ、ホモゲナイザーを動かし、13.63gのアルキル化ナフタレンを含まない芳香族溶媒(Aromatic 200 ND)、8.42gのゼータ−シペルメトリン(活性成分36%、米国特許4997970に開示された方法により製造)、10.10gのビフェントリン(活性成分95.5%)および4.00gのアルキッドポリエチレングリコール非イオン性界面活性剤(Atlox 4914)の加温された(50℃から55℃)混合物を徐々に添加した。90%タイルで3ミクロンより小さい粒径が得られるまで、混合物をホモゲナイズした。ホモゲナイザーを止め、攪拌した混合物を放冷して40℃より低くし、次に8.5gの精製したグリセリン(Agnique GLY99−U)および0.10gの保存料(Legend MK)を加えた。周囲温度に冷却しつつ、均一な溶液が得られるまで、得られた混合物を攪拌した。
【実施例6】
【0040】
希釈安定性の検討を、50mL容Nessler管中で硬度342の水47.5mLに添加された実施例5で製造された処方物2.5mLを使用して行った。Nessler管をゴム栓でシールし、管を10回転回させることにより内容物を混合した。合計3本のNessler管をこの方法で製造した。1本のNessler管を0℃に維持された管の棚に置き、1本を周囲温度に維持された管の棚に置き、そして1本を30℃に維持された管の棚に置き、すべてを24時間維持した。24時間後の分離%は、それぞれの温度で0%であった。
【0041】
本発明は、好ましい態様に重点を置いて記述されたが、好ましい態様の変化が使用できそして本発明が本明細書で詳細に記述された以外に実施できることをめざしていることは、当業者により理解されるだろう。従って、本発明は、請求の範囲により限定された発明の範囲および趣旨内に含まれるすべての改変を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ビフェントリン、
(b)強力シペルメトリン、
(c)1つ以上の芳香族または脂肪族の溶媒、
(d)酸、
(e)溶媒により十分に精製された軽質および重質のパラフィン系石油、
(f)(i)アルキルベンゼンスルホネート塩、(ii)エトキシル化ひまし油および(iii)ポリエチレングリコール脂肪酸エステルまたはエトキシル化脂肪酸からなる界面活性剤ブレンド
からなることを特徴とする殺虫組成物。
【請求項2】
強力シペルメトリンが、アルファ−シペルメトリン、ベータ−シペルメトリン、シータ−シペルメトリンおよびゼータ−シペルメトリンからなる群から選ばれる請求項1の殺虫組成物。
【請求項3】
強力シペルメトリンが、ゼータ−シペルメトリンである請求項2の殺虫組成物。
【請求項4】
ビフェントリンおよびゼータ−シペルメトリンが、合計した量で、処方物の全重量に基づいて0.05重量%から30重量%で存在する請求項3の殺虫組成物。
【請求項5】
ビフェントリン対ゼータ−シペルメトリンの比が、1/4から4/1である請求項4の殺虫組成物。
【請求項6】
芳香族溶媒が、アルキル化ナフタレン芳香族溶媒およびアルキル化ナフタレンを除いた芳香族溶媒から選ばれる請求項1の殺虫組成物。
【請求項7】
芳香族溶媒が、処方物の全重量に基づいて40重量%から55重量%の濃度で存在する請求項6の殺虫組成物。
【請求項8】
アルキルベンゼンスルホネート塩が、分枝鎖ドデシルベンゼンスルホネートカルシウム塩および分枝鎖ドデシルベンゼンスルホネートアミノエチルエタノールアミン塩から選ばれる請求項1の殺虫組成物。
【請求項9】
アルキルベンゼンスルホネート塩が、処方物の全重量に基づいて1.5重量%から4.5重量%の濃度で存在する請求項8の殺虫組成物。
【請求項10】
エトキシル化ひまし油が、20から40のEO数を有するエトキシル化ひまし油から選ばれる請求項8の殺虫組成物。
【請求項11】
エトキシル化ひまし油が、処方物の全重量に基づいて1.5重量%から4.5重量%の濃度で存在する請求項10の殺虫組成物。
【請求項12】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルが、300から500の平均Mを有するポリエチレングリコールモノオレエートグリコールから選ばれる請求項1の殺虫組成物。
【請求項13】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルが、処方物の全重量に基づいて0.10重量%から0.60重量%の濃度で存在する請求項12の殺虫組成物。
【請求項14】
溶媒により十分に精製された軽質および重質のパラフィン系石油が、処方物の全重量に基づいて20重量%から30重量%の濃度で存在する請求項1の殺虫組成物。
【請求項15】
酸が、酢酸および氷酢酸からなる群から選ばれる請求項1の殺虫組成物。
【請求項16】
酸が、処方物の全重量に基づいて0.10重量%から0.15重量%の濃度で存在する請求項15の殺虫組成物。
【請求項17】
昆虫が存在するかまたは存在することが予想される場所に請求項1の組成物を適用することからなることを特徴とする昆虫をコントロールする方法。
【請求項18】
不凍剤、消泡剤および殺生物剤から選ばれる少なくとも1つの追加の成分をさらに含む請求項1の組成物。
【請求項19】
(a)1/4から4/1の比および0.05%から30%の全濃度で存在するビフェントリンおよびゼータ−シペルメトリン、
(b)40%から55%の濃度で存在する芳香族溶媒、
(c)0.01%から0.15%の濃度で存在する酢酸、
(d)20%から30%の濃度の十分に溶媒で精製された軽質および重質のパラフィン系石油、
(e)a.1.5%から4.5%の濃度のアルキルベンゼンスルホネート塩、b.1.5%から4.5%の濃度のエトキシル化ひまし油、およびc.0.10%から0.60%の濃度で存在するポリエチレングリコール脂肪酸エステル
からなり、その際すべての%は全重量に基づく重量%であることを特徴とする殺虫組成物。
【請求項20】
昆虫が存在するかまたは存在することが予想される場所に請求項19の組成物を適用することからなることを特徴とする昆虫をコントロールする方法。
【請求項21】
不凍剤、消泡剤および殺生物剤から選ばれる少なくとも1つの追加の成分をさらに含む請求項19の組成物。
【請求項22】
(a)ビフェントリン、
(b)強力シペルメトリン、
(c)1つ以上の芳香族溶媒、
(d)1つ以上の非イオン性ポリマー状界面活性剤、
(e)消泡剤、
(f)殺生物剤、
(g)グリセリンおよび
(h)水
からなることを特徴とする殺虫組成物。
【請求項23】
強力シペルメトリンが、アルファ−シペルメトリン、ベータ−シペルメトリン、シータ−シペルメトリンおよびゼータ−シペルメトリンからなる群から選ばれる請求項22の殺虫組成物。
【請求項24】
強力シペルメトリンが、ゼータ−シペルメトリンである請求項23の殺虫組成物。
【請求項25】
ビフェントリンおよびゼータ−シペルメトリンが、処方物の全重量に基づいて0.05重量%から30重量%の合計した量で存在する請求項24の殺虫組成物。
【請求項26】
ビフェントリン対ゼータ−シペルメトリンの比が、1/4から4/1である請求項25の殺虫組成物。
【請求項27】
芳香族溶媒が、アルキル化ナフタレン芳香族溶媒およびアルキル化ナフタレンを除いた芳香族溶媒から選ばれる請求項22の殺虫組成物。
【請求項28】
芳香族溶媒が、処方物の全重量に基づいて12重量%から15重量%の濃度で存在する請求項27の殺虫組成物。
【請求項29】
非イオン性ポリマー状界面活性剤が、アルキッドポリエチレングリコールおよびポリアルキレングリコールエーテルからなる群から選ばれる請求項22の殺虫組成物。
【請求項30】
非イオン性ポリマー状界面活性剤が、処方物の全重量に基づいて8重量%から12重量%の濃度で存在する請求項29の殺虫組成物。
【請求項31】
消泡剤が、処方物の全重量に基づいて0.001重量%から1.5重量%の濃度で存在する請求項22の殺虫組成物。
【請求項32】
殺生物剤が、処方物の全重量に基づいて0.001重量%から1重量%の濃度で存在する請求項22の殺虫組成物。
【請求項33】
グリセリンが、処方物の全重量に基づいて5重量%から10重量%の濃度で存在する請求項22の殺虫組成物。
【請求項34】
水が、処方物の全重量に基づいて40重量%から60重量%の濃度で存在する請求項22の殺虫組成物。
【請求項35】
昆虫が存在するかまたは存在することが予想される場所に請求項22の組成物を適用することからなることを特徴とする昆虫をコントロールする方法。
【請求項36】
(a)1/4から4/1の比および0.05%から30%の全濃度で存在するビフェントリンおよびゼータ−シペルメトリン、
(b)12%から15%の濃度で存在する芳香族溶媒、
(c)8%から12%の濃度で存在する1つ以上の非イオン性ポリマー状界面活性剤、
(d)0.001%から1.5%の濃度で存在する消泡剤、
(e)0.001%から1.5%の濃度で存在する殺生物剤、
(f)5%から10%の濃度で存在するグリセリン、
(g)40%から60%の濃度で存在する水
からなり、その際すべての%は全重量に基づく重量%であることを特徴とする殺虫組成物。
【請求項37】
昆虫が存在するかまたは存在することが予想される場所に請求項36の組成物を適用することからなることを特徴とする昆虫をコントロールする方法。

【公表番号】特表2009−521477(P2009−521477A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547617(P2008−547617)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/049061
【国際公開番号】WO2007/076027
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】