ビール樽用保冷容器
【課題】 店舗などでのビール樽の保管時において、場所をとらず、単純な構成でビール樽の低温維持を実現することができるビール樽用保冷容器を提供する。
【解決手段】 厚肉の側面を有し、容器の横断面が所謂スーパー楕円となるように形成された発泡ポリエチレン製の容器本体10と、容器本体10の開口部と略同の大きさ及び形状で、別の容器本体のスタッキングを可能にするための凸部21を上面に有する発泡ポリエチレン製の蓋部20と、断面が略コの字型の形状で、蓋部20と容器本体10とが接合する周縁部を固定するためのゴム製のベルトバンド30と、容器本体10の底面に装着し、容器本体の移動を容易にするためのキャスター40と、で構成され、ビール樽を収納した容器内に氷および水を充填して保冷する。
【解決手段】 厚肉の側面を有し、容器の横断面が所謂スーパー楕円となるように形成された発泡ポリエチレン製の容器本体10と、容器本体10の開口部と略同の大きさ及び形状で、別の容器本体のスタッキングを可能にするための凸部21を上面に有する発泡ポリエチレン製の蓋部20と、断面が略コの字型の形状で、蓋部20と容器本体10とが接合する周縁部を固定するためのゴム製のベルトバンド30と、容器本体10の底面に装着し、容器本体の移動を容易にするためのキャスター40と、で構成され、ビール樽を収納した容器内に氷および水を充填して保冷する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール樽の保冷を行う容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビールは銘柄間の競争が激しく、商品そのものに加え、鮮度の高い商品を供給するシステムについても開発競争が行われている。例えば、蓄冷剤を収納した容器内にビールを充填し、工場出荷から顧客到着までの間、最適な低温を維持できるようにした金属製のビール樽(例えば、特許文献1を参照)や、製品の搬送において厳重な温度管理を行うトラックなどが普及している。このようなビール樽やトラックによれば、工場から店舗までの搬送時においてビールを低温に維持することができる。
【0003】
一方、店舗等でのビール供給時においても、ビールの美味しさが引き立つ最適な低温を維持するための工夫がなされている。例えば、ビール樽を収容するための冷却室とサーバを備えた冷却装置(例えば、特許文献2を参照)や、ビール樽を収容して内部に氷等を充填し、そのままサーバ装置に装着することができる補助ケース(例えば、特許文献3を参照)などがある。このような冷却装置や補助ケースによれば、顧客への供給時においてビールを低温に維持することができる。
【0004】
以上のように、ビールは、工場から店舗までの搬送時や顧客への供給時において低温を維持するよう管理されている。しかしながら、飲食店などの店舗では、例えば、特許文献1に開示されたような樽でビールを購入する際、一定量の在庫を保有するが、その保管時に温度管理がなされていないという実態がある。例えば、倉庫に放置したり、サーバ装置の近くに積み置きしたりしている。特に、在庫期間が長い場合、樽の蓄冷剤などでは低温を維持できず、ビールの温度が上昇して鮮度は低下する。
【0005】
このように、従来は、製造から搬送までと顧客への供給時とにおいては温度管理が行われているのに、その途中の店舗等でのビール樽の保管時においてそれが中断すると、折角の鮮度維持が途切れてしまうという問題があった。ビール樽を包装するビニール製バッグに氷や水などを入れて保冷する方策も実施されいるが、一時的、応急的なもので長時間にわたる保管の対策とはなっていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−183466号公報(第2頁〜第3頁、図2)
【特許文献2】特開2000−171142号公報(第2頁〜第4頁、図1)
【特許文献3】特開2002−145398号公報(第2頁〜第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、店舗などでのビール樽の保管時において、場所をとらず、単純な構成でビール樽の低温維持を実現することができるビール樽用保冷容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のビール樽用保冷容器は、厚肉の側面を有し、容器の横断面が所謂スーパー楕円となるように形成された発泡ポリエチレン製の容器本体と、前記容器本体の開口部と略同の大きさ及び形状で、別の容器本体のスタッキングを可能にするための凸部形状を上面に有する発泡ポリエチレン製の蓋部と、断面が略コの字型の形状で、前記蓋部と前記容器本体とが接合する周縁部を固定するためのゴム製のベルトバンドと、前記容器本体の底面に装着し、容器本体の移動を容易にするためのキャスターと、で構成され、ビール樽を収納した容器内に氷および水を充填して保冷することを特徴とする。
上記構成によれば、場所をとらず、単純な構成でビール樽の低温維持、具体的には1気圧下0℃での保管を長時間にわたって実現することができる。
【0009】
また、本発明のビール樽用保冷容器は、請求項1に記載のビール樽用保冷容器であって、前記蓋部は、ビール樽に接続するホースを挿入するための穴部を有することを特徴とする。
上記構成によれば、容器内に収納したビール樽からホースを介してサーバ装置へ接続し、そのままビールの供給を行うことができる。従って、サーバ装置に冷却手段を設ける必要がなく、サーバ装置の構成を簡略化し、小型・軽量化することができる。
【0010】
また、本発明のビール樽用保冷容器は、請求項2に記載のビール樽用保冷容器であって、ビール樽を収納した前記容器本体を積層する際、上積みする容器本体の前記キャスターは脱着して積層されることを特徴とする。
上記構成によれば、容器のスタッキング(積み重ね)が安定して行えるので、店舗内の限られたスペースでもビール樽を低温を維持しながら保管することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のビール樽用保冷容器によれば、店舗などでのビール樽の保管時において、場所をとらず、単純な構成でビール樽の低温維持を長時間にわたって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の外観を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の部品構成を示す分解斜視図である。
【図3】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の正面図である。
【図4】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の背面図である。
【図5】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の右側面図である。
【図6】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の左側面図である。
【図7】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の平面図である。
【図8】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の底面図である。
【図9】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器を2段積みにスタッキングした様子を示す斜視図である。
【図10】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器にビール樽が収納された状態を示す外観斜視図である。
【図11】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の部品構成をビール樽が収納された状態で示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の部品構成を示す分解斜視図である。更に、図3から図8は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の、正面図(図3)、背面図(図4)、右側面図(図5)、左側面図(図6)、平面図(図7)、底面図(図8)である。
【0015】
ビール樽用保冷容器100は、主に、容器本体10、蓋部20、ベルトバンド30、キャスター40、で構成される。
【0016】
容器本体10は、ビール樽を収納するための発泡ポリエチレン製容器である。容器本体10は厚肉で、容器内側および外側の断面は円ではなく、所謂スーパー楕円の形状を有している。これにより、同じスペースに容器を保管する場合でも、断面が円の場合と比較して、収納するビール樽との空隙の体積を多く確保することができる。従って、氷および水を多量に充填でき、保冷時間を長くすることができる。ビール樽を収納したあと、容器内部には氷および水を充填して蓋部20を載置する。
【0017】
蓋部20は、容器本体10の開口部に装着し、ビール樽を収納した容器内部を密閉するための発泡ポリエチレン製蓋である。蓋部20の上面には別の容器本体を上積みする際にその底面を適切に支えて安定させるための凸部21が形成されている。また、蓋部20の下面には、容器本体10の容器内部の寸法とほぼ同じで、蓋部20を装着する際に容器の内面に適度に嵌入する凸部22が形成されている。更に、容器本体10の開口部と蓋部20のそれぞれが接合する周縁部は、接合面積が広くなるように形成されている。これらにより、容器内部の気密性を保つことができる。
また、蓋部20の周縁の一部には、収納したビール樽に接続するホースを挿入するための穴部23が形成されている。この穴部23は、ビール樽用保冷容器の保冷性能を損なわない程度に最小限の大きさで形成されている。
【0018】
ベルトバンド30は、断面が略コの字型の形状で、蓋部20と容器本体10とが接合する周縁部を固定するゴム製バンドである。ベルトバンド30で容器本体10と蓋部20とを固定することにより、収納したビール樽が浮いて蓋部20を押し上げ、気密性が損なわれるのを防止する。ゴム製であるので、周縁部への装着、脱着が容易に行える。
【0019】
キャスター40は、容器本体の底面に装着し、容器本体の移動を容易にする。本実施の形態では、キャスター40を4個設置している。キャスター40は、リング41に固定されており、このリング41は、容器本体10の底面周縁部に形成した凹部11に嵌入して装着される。キャスター40とリング41を含むキャスター部は、容器本体10への着脱が自在に行える。キャスター40を装着すれば、ビール樽および冷却用の氷、水を収納した容器本体10を容易に移動することができる。尚、キャスター40の個数や大きさは実施の形態に示した例に限定されるものではない。
【0020】
次に、図9は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器を2段積みにスタッキングした様子を示す斜視図である。上積みするビール樽用保冷容器のキャスター40は脱着して重ねられている。4個のキャスター40はリング41で一体化されているため、脱着がし易く、また脱着時に紛失等がおこりにくい。
【0021】
また、上記のとおり、容器本体10および蓋部20は、厚肉の発泡ポリエチレンで成型されている。発泡ポリエチレンは、保温性に優れ、しかも軽量でありながら強度があるため、重量のあるビール樽を収納し、2段、3段と積み重ねて保管するビール樽用保冷容器の材質として最も好適である。特に、樹脂製の壁面の内側に空気層を設け、その中に発泡スチロールなどの保温部材を装填した二層構造のクーラーボックスなどと比較して、構造が簡単(発泡ポリエチレンの1種類のみ)であり、金型もワンプライで済むため、製造コストを低減できるという利点もある。
【0022】
図10は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器にビール樽が収納された状態を示す外観斜視図である。また、図11は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の部品構成をビール樽が収納された状態で示す分解斜視図である。
【0023】
上記構成のビール樽用保冷容器を用いてビール樽を収納し、氷および水を充填して保管した場合、1気圧において0℃を維持することができる。また、氷や水を適宜補充すれば、ビールの鮮度(品質)を長時間にわたって維持することができる。
【0024】
ところで、上述のように本発明のビール樽用保冷容器は、軽量で強度(耐久性)に優れ、しかもスタッキング(積み重ね)が可能であるため、製品(ビール樽)の通い箱としても利用可能である。例えば、工場出荷の段階で本発明のビール樽用保冷容器にビール樽を収納してから搬送を行うようにしてもよい。このようにすれば、搬送コストの高い保冷車(トラック)や冷却手段を備えたサーバ装置などを用いなくても、製造から顧客への提供までの間でビールの温度が上昇することがなく、一貫して低温を維持する配送システムを提供することができる。
【0025】
以上のように、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器は、店舗などでのビール樽の保管時において、場所をとらず、単純な構成でビール樽の低温維持を実現することができる。
【0026】
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係るビール樽用保冷容器は、ビール樽の低温維持を長時間にわたって実現するという効果を有し、店舗などでビール樽を保管する際の保冷容器として、またビール樽の通い箱として有用である。
【符号の説明】
【0028】
10 容器本体
20 蓋部
21 凸部(蓋上面)
22 凸部(蓋下面)
23 穴部
30 ベルトバンド
40 キャスター
41 リング
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール樽の保冷を行う容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビールは銘柄間の競争が激しく、商品そのものに加え、鮮度の高い商品を供給するシステムについても開発競争が行われている。例えば、蓄冷剤を収納した容器内にビールを充填し、工場出荷から顧客到着までの間、最適な低温を維持できるようにした金属製のビール樽(例えば、特許文献1を参照)や、製品の搬送において厳重な温度管理を行うトラックなどが普及している。このようなビール樽やトラックによれば、工場から店舗までの搬送時においてビールを低温に維持することができる。
【0003】
一方、店舗等でのビール供給時においても、ビールの美味しさが引き立つ最適な低温を維持するための工夫がなされている。例えば、ビール樽を収容するための冷却室とサーバを備えた冷却装置(例えば、特許文献2を参照)や、ビール樽を収容して内部に氷等を充填し、そのままサーバ装置に装着することができる補助ケース(例えば、特許文献3を参照)などがある。このような冷却装置や補助ケースによれば、顧客への供給時においてビールを低温に維持することができる。
【0004】
以上のように、ビールは、工場から店舗までの搬送時や顧客への供給時において低温を維持するよう管理されている。しかしながら、飲食店などの店舗では、例えば、特許文献1に開示されたような樽でビールを購入する際、一定量の在庫を保有するが、その保管時に温度管理がなされていないという実態がある。例えば、倉庫に放置したり、サーバ装置の近くに積み置きしたりしている。特に、在庫期間が長い場合、樽の蓄冷剤などでは低温を維持できず、ビールの温度が上昇して鮮度は低下する。
【0005】
このように、従来は、製造から搬送までと顧客への供給時とにおいては温度管理が行われているのに、その途中の店舗等でのビール樽の保管時においてそれが中断すると、折角の鮮度維持が途切れてしまうという問題があった。ビール樽を包装するビニール製バッグに氷や水などを入れて保冷する方策も実施されいるが、一時的、応急的なもので長時間にわたる保管の対策とはなっていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−183466号公報(第2頁〜第3頁、図2)
【特許文献2】特開2000−171142号公報(第2頁〜第4頁、図1)
【特許文献3】特開2002−145398号公報(第2頁〜第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、店舗などでのビール樽の保管時において、場所をとらず、単純な構成でビール樽の低温維持を実現することができるビール樽用保冷容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のビール樽用保冷容器は、厚肉の側面を有し、容器の横断面が所謂スーパー楕円となるように形成された発泡ポリエチレン製の容器本体と、前記容器本体の開口部と略同の大きさ及び形状で、別の容器本体のスタッキングを可能にするための凸部形状を上面に有する発泡ポリエチレン製の蓋部と、断面が略コの字型の形状で、前記蓋部と前記容器本体とが接合する周縁部を固定するためのゴム製のベルトバンドと、前記容器本体の底面に装着し、容器本体の移動を容易にするためのキャスターと、で構成され、ビール樽を収納した容器内に氷および水を充填して保冷することを特徴とする。
上記構成によれば、場所をとらず、単純な構成でビール樽の低温維持、具体的には1気圧下0℃での保管を長時間にわたって実現することができる。
【0009】
また、本発明のビール樽用保冷容器は、請求項1に記載のビール樽用保冷容器であって、前記蓋部は、ビール樽に接続するホースを挿入するための穴部を有することを特徴とする。
上記構成によれば、容器内に収納したビール樽からホースを介してサーバ装置へ接続し、そのままビールの供給を行うことができる。従って、サーバ装置に冷却手段を設ける必要がなく、サーバ装置の構成を簡略化し、小型・軽量化することができる。
【0010】
また、本発明のビール樽用保冷容器は、請求項2に記載のビール樽用保冷容器であって、ビール樽を収納した前記容器本体を積層する際、上積みする容器本体の前記キャスターは脱着して積層されることを特徴とする。
上記構成によれば、容器のスタッキング(積み重ね)が安定して行えるので、店舗内の限られたスペースでもビール樽を低温を維持しながら保管することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のビール樽用保冷容器によれば、店舗などでのビール樽の保管時において、場所をとらず、単純な構成でビール樽の低温維持を長時間にわたって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の外観を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の部品構成を示す分解斜視図である。
【図3】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の正面図である。
【図4】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の背面図である。
【図5】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の右側面図である。
【図6】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の左側面図である。
【図7】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の平面図である。
【図8】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の底面図である。
【図9】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器を2段積みにスタッキングした様子を示す斜視図である。
【図10】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器にビール樽が収納された状態を示す外観斜視図である。
【図11】 本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の部品構成をビール樽が収納された状態で示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の部品構成を示す分解斜視図である。更に、図3から図8は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の、正面図(図3)、背面図(図4)、右側面図(図5)、左側面図(図6)、平面図(図7)、底面図(図8)である。
【0015】
ビール樽用保冷容器100は、主に、容器本体10、蓋部20、ベルトバンド30、キャスター40、で構成される。
【0016】
容器本体10は、ビール樽を収納するための発泡ポリエチレン製容器である。容器本体10は厚肉で、容器内側および外側の断面は円ではなく、所謂スーパー楕円の形状を有している。これにより、同じスペースに容器を保管する場合でも、断面が円の場合と比較して、収納するビール樽との空隙の体積を多く確保することができる。従って、氷および水を多量に充填でき、保冷時間を長くすることができる。ビール樽を収納したあと、容器内部には氷および水を充填して蓋部20を載置する。
【0017】
蓋部20は、容器本体10の開口部に装着し、ビール樽を収納した容器内部を密閉するための発泡ポリエチレン製蓋である。蓋部20の上面には別の容器本体を上積みする際にその底面を適切に支えて安定させるための凸部21が形成されている。また、蓋部20の下面には、容器本体10の容器内部の寸法とほぼ同じで、蓋部20を装着する際に容器の内面に適度に嵌入する凸部22が形成されている。更に、容器本体10の開口部と蓋部20のそれぞれが接合する周縁部は、接合面積が広くなるように形成されている。これらにより、容器内部の気密性を保つことができる。
また、蓋部20の周縁の一部には、収納したビール樽に接続するホースを挿入するための穴部23が形成されている。この穴部23は、ビール樽用保冷容器の保冷性能を損なわない程度に最小限の大きさで形成されている。
【0018】
ベルトバンド30は、断面が略コの字型の形状で、蓋部20と容器本体10とが接合する周縁部を固定するゴム製バンドである。ベルトバンド30で容器本体10と蓋部20とを固定することにより、収納したビール樽が浮いて蓋部20を押し上げ、気密性が損なわれるのを防止する。ゴム製であるので、周縁部への装着、脱着が容易に行える。
【0019】
キャスター40は、容器本体の底面に装着し、容器本体の移動を容易にする。本実施の形態では、キャスター40を4個設置している。キャスター40は、リング41に固定されており、このリング41は、容器本体10の底面周縁部に形成した凹部11に嵌入して装着される。キャスター40とリング41を含むキャスター部は、容器本体10への着脱が自在に行える。キャスター40を装着すれば、ビール樽および冷却用の氷、水を収納した容器本体10を容易に移動することができる。尚、キャスター40の個数や大きさは実施の形態に示した例に限定されるものではない。
【0020】
次に、図9は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器を2段積みにスタッキングした様子を示す斜視図である。上積みするビール樽用保冷容器のキャスター40は脱着して重ねられている。4個のキャスター40はリング41で一体化されているため、脱着がし易く、また脱着時に紛失等がおこりにくい。
【0021】
また、上記のとおり、容器本体10および蓋部20は、厚肉の発泡ポリエチレンで成型されている。発泡ポリエチレンは、保温性に優れ、しかも軽量でありながら強度があるため、重量のあるビール樽を収納し、2段、3段と積み重ねて保管するビール樽用保冷容器の材質として最も好適である。特に、樹脂製の壁面の内側に空気層を設け、その中に発泡スチロールなどの保温部材を装填した二層構造のクーラーボックスなどと比較して、構造が簡単(発泡ポリエチレンの1種類のみ)であり、金型もワンプライで済むため、製造コストを低減できるという利点もある。
【0022】
図10は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器にビール樽が収納された状態を示す外観斜視図である。また、図11は、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器の部品構成をビール樽が収納された状態で示す分解斜視図である。
【0023】
上記構成のビール樽用保冷容器を用いてビール樽を収納し、氷および水を充填して保管した場合、1気圧において0℃を維持することができる。また、氷や水を適宜補充すれば、ビールの鮮度(品質)を長時間にわたって維持することができる。
【0024】
ところで、上述のように本発明のビール樽用保冷容器は、軽量で強度(耐久性)に優れ、しかもスタッキング(積み重ね)が可能であるため、製品(ビール樽)の通い箱としても利用可能である。例えば、工場出荷の段階で本発明のビール樽用保冷容器にビール樽を収納してから搬送を行うようにしてもよい。このようにすれば、搬送コストの高い保冷車(トラック)や冷却手段を備えたサーバ装置などを用いなくても、製造から顧客への提供までの間でビールの温度が上昇することがなく、一貫して低温を維持する配送システムを提供することができる。
【0025】
以上のように、本発明の実施の形態におけるビール樽用保冷容器は、店舗などでのビール樽の保管時において、場所をとらず、単純な構成でビール樽の低温維持を実現することができる。
【0026】
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係るビール樽用保冷容器は、ビール樽の低温維持を長時間にわたって実現するという効果を有し、店舗などでビール樽を保管する際の保冷容器として、またビール樽の通い箱として有用である。
【符号の説明】
【0028】
10 容器本体
20 蓋部
21 凸部(蓋上面)
22 凸部(蓋下面)
23 穴部
30 ベルトバンド
40 キャスター
41 リング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚肉の側面を有し、容器の横断面が所謂スーパー楕円となるように形成された発泡ポリエチレン製の容器本体と、
前記容器本体の開口部と略同の大きさ及び形状で、別の容器本体のスタッキングを可能とするための凸部形状を上面に有する発泡ポリエチレン製の蓋部と、
断面が略コの字型の形状で、前記蓋部と前記容器本体とが接合する周縁部を固定するためのゴム製のベルトバンドと、
前記容器本体の底面に装着し、容器本体の移動を容易にするためのキャスターと、
で構成され、ビール樽を収納した容器内に氷および水を充填して保冷することを特徴とするビール樽用保冷容器。
【請求項2】
前記蓋部は、ビール樽に接続するホースを挿入するための穴部を有することを特徴とする請求項1に記載のビール樽用保冷容器。
【請求項3】
ビール樽を収納した前記容器本体を積層する際、上積みする容器本体の前記キャスターは脱着して積層されることを特徴とする請求項1又は2に記載のビール樽用保冷容器。
【請求項1】
厚肉の側面を有し、容器の横断面が所謂スーパー楕円となるように形成された発泡ポリエチレン製の容器本体と、
前記容器本体の開口部と略同の大きさ及び形状で、別の容器本体のスタッキングを可能とするための凸部形状を上面に有する発泡ポリエチレン製の蓋部と、
断面が略コの字型の形状で、前記蓋部と前記容器本体とが接合する周縁部を固定するためのゴム製のベルトバンドと、
前記容器本体の底面に装着し、容器本体の移動を容易にするためのキャスターと、
で構成され、ビール樽を収納した容器内に氷および水を充填して保冷することを特徴とするビール樽用保冷容器。
【請求項2】
前記蓋部は、ビール樽に接続するホースを挿入するための穴部を有することを特徴とする請求項1に記載のビール樽用保冷容器。
【請求項3】
ビール樽を収納した前記容器本体を積層する際、上積みする容器本体の前記キャスターは脱着して積層されることを特徴とする請求項1又は2に記載のビール樽用保冷容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−31983(P2011−31983A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194769(P2009−194769)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(504204384)有限会社ユイット (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(504204384)有限会社ユイット (32)
【Fターム(参考)】
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